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NPO 方式の導入による公私協力方式・事業連携方式の新たな潮流

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4 9

NPO

方式の導入 による

公私協 力方式 ・事業連携方式の新 たな潮流

出 井

NPO ( No nPo 丘tOr gani z at i on)

につ いては、近年種々の観点 よ り議論 されて きたが、周知 の と お り、「特定非営利活動促進法」、通称

NPO

法 と呼ばれ る法律が平成

1 0

年の第

1 4 2

国会 で可決成立

し、同年

1 2

1

日に施行 された。

NPO

法につ いては、法案 の提 出か ら成立、施行 まで足掛 け

3

の長 き歳 月が費や されたが

、NPO

の活動 は近年次第に社会に定着す る傾 向が芽生 え、法人数 は現在

3 , 5 0 0

に達す る といわれ る。しか しなが ら

、NPO

法人の公益活動や収益活動等の事業活動 に対 し ては、現状 では

NPO

の関係者や 当事者等が考 えてい るようには、一般市民側 におけ る理解や協力等 は必ず しも十分 とはいえない面 も多々見受け られ る。

一方

、NPO

法人側 では法人活動や事業展開におけ る具体的 な事業 イメー ジの不透明 さ、事業展開 とそれに基づ く事業収入の不安定 さ、活動 に対す る補唄 ・支援 のための法人や個 人か らの寄付金等 の資金援助等の不確定 さ、 また 自治体等の行政か らの支援や便宜供与等に対 して過度 な期待や要請 等 を強 く志 向 してい るな ど、

NPO

法人側 におけ る自律性や独立性 の観点 よ り多々問題 も見受 け ら れ るこ とも否めない。

他方

、NPO

法の付則には、施行後

3

年以内の見直 しの規定がある。東京都 など各都道府県におい ては、

NPO

法人の申請状況の調査、 また

NPO

法人の資格取得 団体 に対 して各種 の意向調査 ・失態 調査 な どが行 われ るな ど、現在 同法の見直 し気運が高 まってい る。

この ような情況 を踏 まえ、本稿 では、財 ・サー ビスの提供 におけ る公共セ クター、民間セ クター の役割 とその限界 を明 らかにす る一方、非営利セ クターの台頭 とその役割や機能 な ど民間非営利組 織 ・団体 である

NPO

法人の社会経済的な位置づ けや その成 り立 ち、経過、あるいは現状の問題点 ・ 課題 を整理す る とともに

、NPO

法人 と行政

、NPO

法人 と企業 との関わ りの観点 よ り、今後の

NPO

活動 に対す る支援策の在 り方、今後の方向性 について論述 した ものである。

本稿 では、 とりわけ、次の ような内容 に焦点 を充てて執筆 している0

1

新 たな財 ・サー ビスの提供主体 の台頭

1

財 ・サー ビスの提供主体

2 わが国の第 3セ クター と欧米諸国の節 3セ クター

2 「第3セ クター」方式か ら市民参加型 「ジ ョイン トセ クター」方式への新 たな潮流 1 各 セ クターの概念 と各 セ クターの構成

2 第 3セ クターの概念

3

4

セ クターの概念

新潟産業大学経済学部紀要』第

2 3

,2 0 0 1

6

(2)

50

NPO

方式の導入による公私協力方式 ・事業連携方式の新たな潮流

4

5

セ クターの概念

5

ジ ョイン トセ クターの概念

6 「第 3セ クター」方式か ら 「ジ ョイン トセ クター」方式‑の新 たな潮流

7 NPO

法人 (民間非営利団体)の育成 ・支援

3 新 しい財 ・サー ビスの提供主体 に対す る期待

1 公共 セ クター ・民間セ クターの限界 と非営利セ クター に対す る期待

2 NPO

(民間非営利団体)の活動特性

3 非営利 セ クター の位 置づ け と経済学的な意義

4

ア メ リカにおいて非営利セ クターが台頭 して きた社会経済的背景 1 歴史的背景

2

市場 の失敗

3

政府の失敗

4

多元的 な価値観 ・自由

5

連帯

5 NPO

に関す る経済学的分析

1

政府の失敗 と

NPO 2

市場 の失敗 と

NPO

6

新 しいサー ビスの提供主体 としての

NPO

(民間非営利団体)

1 NPO

の定義 と特徴

2

特定非営利活動法人

3 NPO

(非営セ クター) とフィランソロピーの相違

4 NPO

とボランティア団体 の相違

5 NPO

NGO

の相違

6

わが国の法人制度の概要 と法人 ・市民団体 の位 置づ け

7

非営利セ クターの国際比較

1 ア メ リカにおけ る非営利セ クター

2

非営利セ クターの国際比較 の困難性 3 非営利 セ クターの国際比較 におけ る定義

4

非営利セ クターの国際比較統計

5

主要各国におけ る

NPO

の法人制度の概要 とわが国 との比較

8

わが国で

「 NPO

法案」が浮上 して きた社会経済的背景

1

民間非骨の第

3

セ クターの役割

2

行財政改革 を含む社会 システムの変革

3

国会 におけ る

NPO

法案 の審議過程

4

特定非営利活動促進法」 と 「民法」 との関係性

5 NPO

法人 とその他 の法人の基本的な相違

9 NPO

(特定非営利活動法人)の設立要件の概要

1 設立要件のポイン ト

(3)

新潟産業大学経済学部紀要

2 3

2

日的要件

3

非営利の要件 と社員資格 の要件

4

役員の要件 と社員数 の要件

5

宗教 ・政治 との関係

6

暴力団の排除につ いて

1 0

特定非営利活動促進法」 におけ る法人活動 の例示 と法人の申請状視 1 法人活動 の具体 的な例示

2

法人取得 の申請方法 と、申請状況

l l NPO

法人 と行政 お よび企業 との関係

1 NPO

法人 と行政 の関係

2 NPO

法人 と企業の関係

3 NPO

の財政規模

1 2 NPO

をめ ぐる問題点 と今後の課題

1

「アンケー ト調査」結果 にみ る問題点 ・課題

2 NPO

法人 をめ ぐる税制 問題

3 NPO

法人に対す る寄付 をめ ぐる税制

4 NPO

法人の支援 に関す る残 された今後の課題

1 3

地域社会 の再生 ・蘇生 を図 るための寄付金お よび基金制度の改革課題 とその提言 1 地域社会 の再生 ・蘇生 に向けて寄付金の果 たす機能 ・役割 とその評価

2

寄付金 に関す る税制改革‑ の期待 と 「議月立法」の可能性

3

自治体 の 「基金設置に関す る条例制定」の可能性

参考 :

NPO

法 :特定非営利活動促進法の概要】

51

1

新 たな財 ・サ ー ビスの提供 主体 の台重

1

財 ・サー ビスの提供主体

近年 の激変す る社会経済環境の中で、財 ・サー ビスの提供主体 に対す る考 え方は大 き く変容 して いる。従来のサー ビス提供主体 につ いては、基本的に、次の ように分 け られ る。

(1) 第 1セ クター と称 され る国や 自治体 の 「行政部 門」

(2) 第 2セ クター と称 され る商法等に基づ き設立 され る営利法人の 「民間部 門」

(3) 「その他 のセ クター」 としては、民法 に基づ く公益法人 (社 団法人、財団法人)、個別特別 法に基づ く 「宗教法人学校法人」「社会福祉法人「医療法人消費生活協 同組合」 な どの 中間法人 を含む非営利セ クター と称 され る 「非営利部 門」と 「市民活動 団体「ボランティア団 地縁組織 (町 内会)」な どの人格 な き社 団 と呼ばれ る任意組織 ・団体 な どが含 まれ る

2 わが国の第3セクター と欧米諸国の第3セクター

ちなみに、わが国では、第

1

セ クターの 「行政部 門」 と第

2

セ クターの 「民間部 門」 との共 同出 指 ・共同出資に よって設立 された法人 を、「3セ クター」 と称 している。 この第 3セ クターの法人

(4)

5 2 NPO

方式の導入による公私協力方式 ・事業連携方式の新 たな潮流

格 につ いては、一般 に、① 民法 に基づ いて設立 され る 「公益法人」 であ るか、 あ るいは②商法や有 限会社法 に基づ いて設立 され る 「営利法人」 (株式会社 、有 限会社)であ るか、 どち らかの法人 とし て設立 されてい る。

この 「第

3

セ クター」 と呼ばれ る概念 は、 わが国独特 の ものであ る。欧米諸 国において 「第 3セ,L) クター」 と呼ばれ る概 念 とわが国の概 念 とは、基本的に異 る とい う点 に注意 を払 う必要が あ る。 欧 米諸 国において用 い られてい る 「

3

セ クター」 とは、 「

1

セ クターの公共 セ クター ではない」、

また、 「第

2

セ クター の民間営利 セ クター で もない」 と位 置づ け られてい る、 「その他 の民間非営利 セ クター」 と称 され る、 いわゆ る 「非営利部 門」 を指 してい るこ とは周知 の とお りであ る。 この よ うな性格 を持つ民間非営利 セ クターの概 念 は、 わが国の場合 に当て俵 めて考 えてみ る と、 わが国で は 「その他 のセ クター」 の概 念 に近 い ものであ る といえる。

一方 わが国では、民間非営利 セ クター であ る

、NPO

法人のほか、個別特別法 に基づ いて設立 され た 「私立学校法 人社会福祉法 人宗教 法人」な ど各法人の位 置づ けな どとの関連性 につ いては、

図表1

Loc alCo mmuni t i e si nAme r i c a

Loc alCo mmuni t i e si nJ apa n

(出所) 出井信夫編著 『公私協力方式 と第

3

セ クター方式の研究

No. 2

地域計画研究所、平成 9年 3

(5)

新潟産業大学経済学部紀要

2 3

5 3

まだ明確 に位 置づ けが確立 された とはいい難 い面が ある。 そのため、 これ らの非営利セ クターの概 念や位 置づ けにつ いて、 わが国の概念 と欧米諸国の概念 との間ではその類似性や相違性 を明確 に区 別す るこ とは困難 な面があ るo 一般 に認識 されてい るわが国の第3セ クターの概念 と欧米諸国の第

3

セ クターの概 念の両者間の概念の関係性 については、図表

1

に示す ように両者の関係性 は基本的

に相違 している1)0

2

3

セクター」方式か ら市民参加型 「ジ ョイン トセクター」方式への 新 た な潮流

1

各セクターの概念 と各セクターの構成

一般 に、地域社会 の構成員 は、「自治体地域住民民間企業」の三者か らなる.

これ らの三者間の相互の関連性 に着 目して体系化す ると、次の ように整理 で きる。す なわち、各 セ クターの構成 は.、 それぞれ(1)3セ クター は 「自治体」 と 「民間企業

か ら、 (2)4セ クター は 「自治体」 と 「地域住民

か ら、 (3)5セ クターは 「地域住民」 と 「民間企業」か ら、(4)ジ ョ イン トセ クター は 「自治体」 と 「地域住民」 と 「民間企業」か らなる。 これ らの各 セ クターの関係 性 につ いては、図表

2

に図示す とお りである2)。この図表

2

を基礎 に、これ らの各セ クターの定義 ・ 概 念 とその相互 の関連性 お よびその代表的 な事例 につ いて、 さ らに再 整理 した ものが図表3であ

3)0

公共部 門 と民間部 門の協力による公私協力 ・事業連携方式につ いては、一般 に第3セ クター方式 であると捉 え られているが、近年 は、 まちづ くや地域活性化 ・地域振興 を推進す る組織 ・団体 とし て、第

4

セ クター方式、第

5

セ クター方式、 ジ ョイン トセ クター方式 とい う新 たな発想 ・方法論が 芽生 えている。 とりわけ、地域住民が主体 となって設立 され る

「 NPO

」方式に対す る関心が急速に 高 まっているこ とは周知 の とお りである。

図表

2

公共サービスの処理方式別供給主体の概念図 ̀ ジ ョイン トセ クター

(出所) 神戸市 『昭和

5 2

年度神戸市報告書』 (昭和

5 3

3

月) より作成

(6)

5 4 NPO

方式の導入による公私協力方式 ・事業連携方式の新 たな潮流 図表 3 各セクターの概念

事業主体 の構成 代表的な 代表的な事例 と

法人形態 今後設立 され る可能性 の高い事業主体 お よび分野

3

セ クタ‑‑ ・地方公共団体等 ・株式会社・財 団法人 ・安 比総合開発㈱ (岩手県安代町)

・㈱石炭の歴史村観光 (北海道夕張市)

・㈱ ルネ ッサ ンス棚倉 (福 島県棚倉町)

・越谷 コ ミュニティプ ラザ㈱ (埼玉県越谷市)

・財 団法人地域活性化 センター な ど

・そのほか ・そのほか .財団法人 (まちづ くり財 団な ど)

・民 間 企 業 等 ・株式会社 (市街地開発事業 な ど)

・公益信託 (助成財団な ど)

・協 同組合 (工場 団地の共 同福利厚生施設な ど) な どのケー スが想定 され る

・また

NPO

な どの参加協力が想定 され る

4

・地方公共団体等・住 ・株式会社・社 団法人 ・㈱七 日町再開発 ビル (山形県山形市)

・㈱ 山湊 (愛知 県新城市)

・社 団法人 シルバー人材センター な ど

・そのほか ・そのほか .財団法人 (生 きがい事業団な ど)

セ クター ・公益信託 (区画整理事業に伴 うまちづ くり

信託 な ど) な どのケースが想定 され る

・また

NPO

な どの参加協力が想定 され る

第 5

セ クター ・住 ・財団法人 ・財 団法人富士記念財 団な ど

・公益信託

・そのほか ・公益信託 あだちまちづ くりトラス ト

・公益信託 コ ミュニティ .ファン ド‑さざんか きつちゃん教育基金 な どの公益信託

・そのほか .財 団法人 (助成財団や福祉厚生施設な どの 管理財団)

・株式会社 (まちづ くり .む らお こし .地域

・民 間 企 業 等 活性化事業や人材バ ンク事業 な

ど)

・また、(コ ミュニティー .ビジネス‑地域の スモール ビジネス) な どのケー スか想定 さ れ る

・また

NPO

な どの参加協力が想定 され る

ジ ョイン ト ・地方公共 団体等・民 間 企 業 等・住 ・株式会社・財 団法人・そのほか ・㈱ふ‑るさ と企画 (岐阜県東 白川村)

・㈲美濃 白川ふ るさと開発 (岐阜県 白川町)

・㈱ じよんのび村協会 (新潟県高柳町)

・㈱黒壁 (滋賀県長浜市)

・財団法人 まつ ど街 と水辺の緑化基金

・財団法人船橋緑の基金 な どの緑化対策基金

・財団法人津南地域活性化 センター (新潟県津南町)

・そのほか .株式会社 (まちづ くり事業 .市街地再開発

セ クター 事業 .社会福祉事業 .教育文化

な どの関連事業 な ど)

・財団法人 (公共施設管理財団等)

・公益信託 (まちづ くり公益信託 .環境基金)

・また、(コ ミュニティー .ビジネス‑地域の スモール ビジネス) な どのケー スが想定 さ れ る

・また

NPO

な どの参加協力が想定 され る (出所) 出井信夫 「第

3

セ クターの現状 と課題」

新潟産業大学経済学部紀要

1 3

』 (平成

7

6

月)に加筆修正

(7)

新潟産業大学経済学部紀要 第

2 3

5 5

他方、

「 PFI 」( Pr i v a t eFi n a n c el n i t i a t i v e:

民間事業者による公共事業の推進方法)事業方式 と 呼ばれ る公共事業の推進手法が近年法制化 され注 目されている。この

PFI

方式については、山

「 PFI

方式による公私協力方式 ・事業連携方式の新 たな潮流

新潟産業大学経済学部紀要

節2 2

号』 を参軍 されたい.

ここでは、「第

4

セ クター

5

セ クター「ジ ョイン トセ クター」の各セ クターにおけ る 「基本 的な概念

各セ クターの相互関連性

主 な事例

について詳解す る4)。なお、第3セ クターについ ての詳細は、筆者の諸論文 を参照 されたいム

2

3

セクターの概念

3クタ一については、次のように定義 され る5)0「3セ クター とは、 自治体 の出資法人で、公 社、協会、株式会社等の名称の如何 にかかわ らず、(∋土地開発公社 などの特別法人である法定三公 社 と、②単独 または複数の 自治体が

1 0 0%

全額 出資お よび出指 している地方公社等 を除いた法人で、

③公的セ クター (国、 自治体、政府関係機関等の特殊法人等) と民間セ クター (民間企業等の営利 法人、農協 ・商工会議所、商工会、観光協会等の経済団体や任意団体等 を含む各種団体や民間の公 益法人等) との両者の共同出資によって設立 された商法に基づ く商法法人の株式会社等 (狭義の意 咲)に、 また共同出損によって設立 された民法に基づ く民法法人の財団法人等 を加 えた (広義の意 咲)法人組織 ・団体 である」。

3 第 4セクターの概念

「第

4

セ クター」とは、基本的には、「自治体 を中心 とした公共セ クター と一般住民の両者の出資・

出絹によ り設立 された法人組織 ・団体 を指す」 と定義 で きるが、 このタイプの組織 ・団体 は現状で はまだ数少ない。

典型的な事例 としては、山形県山形市の中心市街地再開発事業 を推進す るため設立 された㈱七 日 町再開発 ビルがあげ られ る.当初 は再開発組合 による組合施行 を目指 したが、諸般の事情 よ り組合 結成は不調に終 り断念 され、個人施行 に変更 された。 それ を契機 に、個 人地権者 (出資比率

5 5%)

と山形市 (出資比率

4 5%)

との共同出資によって㈱七 日町再開発 ビルが設立 され、山形市七 日町節 一校市街地再開発事業 として 「七 日町

AZ

」 (アズ)ビルが整備 された。 この施設は、地権者が中心 に入居 した商業 ・物販部 門 と山形市中央公民館 ホールや図書館等公民館施設が併設された公共部 門 が一体的に一つの建物の中に整備 された 「複合 多機能型公共公益 ・民間商業施設」 とい うユニー ク な事業事例 である。近年大 きな関心 を集めている公共事業の計画的、効率 的な推進 を図 る とい う

「 PFI

事業方式の参考事例 として も黄重な事例 である。 また、愛知県新城市㈱ 山渓 (さんそ う) は、通称 まちづ くりの さんそ うと呼ばれている。地域活性化 ・地域振興の推進 を図 る目的で、新城 市 と市民

1 0 0

人の共同出資によって設立 された市民が主体 となった 「まちづ くり・まちおこし会社」

である。 中心市街地にある 「空 き店舗「旧旅館「旧工場」等 をまちづ くりや地域活性化 ・地域振 興 に有効 に活用す るとい う趣 旨で、 これ らの諸施設 を利用 して市民のギャラ リー、物産販売、飲食 店、各種の教養講座 を開催す るなど、単に市民が事業会社 に出資 をす るとい う而か らの協力関係 を 保持す るとい う点に とどまらず市民が積極的主体的に会社の事業運営 に参画 しているとい う点で、

全 国で も類例のないユニー クなまちづ くり会社 である。 この ような性格の事業会社のため全般的に

(8)

5 6 NPO

方式の導入による公私協力方式 ・事業連携方式の新たな潮流

経営 は厳 しい環境 にあ るが、事業部 門に よっては黒字 を維持 している部 門 もある。今後の まちづ く り推進 の 目的 で設立 され る第

3

セ クターや

NPO

法 人の事 業運営 におけ る参考 とな る好事例 であ る。

そのほか、類似組織 ・団体 として、 まつ りや イベ ン トの主催 ・開催 団体 な どが考 えられ る。一時 的 ・臨時的に組織化 され る、祭 りの主催者 な ど任意団体 が代表的な例 である。 これ らの団体 は、一 般 に、「権利能力 な き社 団」と呼ばれ るまた、社会福祉事業法 に基づ き設立 され る法人格が付与 さ れた社会福祉法人社会福祉協議会 な どもこの タイプに属す る法人組織であるといえよう。 同様 に、

社 団法人 シルバー人材 センター (千葉県船橋市の ように財 団法人形態で設立 され る団体 も中にはあ る) な ども類似的団体 として、 この タイプに分類 で きる。ナ シ ョナル ・トラス ト運動 な どを推進す る目的で当初任意団体 として出発 したが、 その後安定的な財源確保 な ど一定の要件 を満 た し社 団法 人や財 団法人 として設立許可 さる組織 ・団体がある。 それ らの中に も、 この タイプに分類 で きる法 人があ る。 まちづ くり公社、 まちづ くり会社 と称 され る法人組織の中に も、 この タイプに分類 され るものが設立 され る可能性がある。

この ように 「

4

セ クター」 とは、「行政 と住民が 中心 となって協力す る組織 ・団体 を指す

が、

今後 は、「特定非営利活動促進法」(通称、

NPO

法)に示 され る

1 2

の活動分野で設立 され る

NPO

人の中に も、 この タイプに含 まれ る組織 ・団体 が設立 され る可能性があると考 え られ る。

4 5セクターの概念

5

セ クター」とは、基本的には、「民間企業等 を中心 とした民間セ クター と一般住民の両者の 出資 ・出損 に よ り設立 された法人組織や 団体 を指す」 と定義 で きるが、 この タイプの組織 ・団体 は 現状 では まだ少 ない。

代表的な例 としては、社会福祉法人や ボランティア活動団体等の活動 を支援 ・助成す る目的で、

銀行 か らの基本財産 の出損 と銀行員の寄附金等 を得 て設立 された財団法人富士記念財団 (富士銀行) があげ られ る。

一方、公益信託 あだちまちづ くりトラス トは、民間デ ィベ ロッパー な ど地域開発や住宅開発等に 伴 い 自治体 に寄付 され る寄付金 (住宅開発等に係 わ る一種 の開発負担金 である) と、市民の募金、

寄付金 を原資 として公益信託 されたユニー クなまちづ くり手法の事例 である。 この公益信託 は、足 立区の快適 で文化 的なふれあいのあるまちづ くりの創造 に寄与す るこ とを目的に、足立区が仝新 出 指 した財 団法人足立区 まちづ くり公社 が委託者 (出描者) として、基金 を拠 出 した形態で運営 され ている。 この公社 は、信託助成金の助成先等 を推薦す る役割 を担 う運営委月会 を実質的にサ ポー ト

しているが、足立区はこの公益信託 に対 し出指金等は一切行 っていない とい う意味で、第

5

セ クタ ーに分類で きる。 同様 に、公益信託 コ ミュニティ ・ファン ド‑さざんか きっちゃん教育基金 は、社 団法人船橋青年会議所 の提唱によって設立 された公益信託 である。 日本青年会議所 (

J C)

活動の中 で市民運動展開の一つの唱矢 としてその後 のJC活動 に大 きな影響 を与 えた と高 く評価 され てい る。 この教育基金 は、市 内等の企業や一般市民等に呼びかけ寄付 された寄付金や募金 を信託財産 と した公益信託 で、障害児や母子家庭等の児童生徒、学生‑の奨学資金の支給や養護学校等教育施設 に対す る教育器材や図書等の助成 な どを主 たる目的 としてい る。 この基金 は、公益信託方式の活用 に よ り基金果実 (基金運用益 ‑利息) を奨学資金給付 な どの原資に活用す る公益信託方式の典型的

(9)

新潟産業大学経済学部紀要

2 3

5 7

な事例 である。

今後は、企業におけ る社会貢献の在 り方や企業人 として社会貢献活動の参画の在 り方などの論議 が高 まる中で、企業 と社員 あるいは一般住民等が共に協力 し合 って活動 した り、一定の 目的達成の ために協力す るとい う、 この種 のタイプの法人 ・団体が増加す る可能性が高い。 また、民間企業等 が中心 となって設立 された 「企業財団」 と呼ばれ る奨学金助成や研究助成などを目的 とした、いわ ゆる 「助成財団」な どにこの タイプに属す る法人 ・団体がある。企業か らだけの出資 ・出椙だけで はな く、一般社員や一般市民などか らの寄付や募金などを受けて助成活動や奨学金の給付活動等 を 行 う組織 ・団体 である。 自然環境保全運動 などを推進 ・支援す る団体の中には、財団法人を設立せ ずに、実質的に財団法人 と同様の機能 ・役割 を果たすこ とが可能であるとい う点に着 目して公益信 託方式 を採用す る団体がある。 これ らの中に も、 このタイプに分斯で きる法人があろう。

この ように 「第

5

セ クター」 とは、「民間企業 と住民 との協力によって設立 された組織 ・団体 を指 す」が、今後は、「特定非営利活動促進法」 (通称、

NPO

法)に示 され る

1 2

の活動分野で設立 され

NPO

法人の中に も、 この タイプに含 まれ る組織 ・団体が設立 され る可能性があると考 えられ る。

5

ジ ョイン トセクターの概念

「ジョイン トセ クター」とは、基本的には、「自治体 を中心 とした公共セ クター と民間企業 を中心 とした民間セ クター と一般住民 を加 えた三者の出資・出才削こよ り設立 された法人組織や団体 を指す」

と定義 で きるが、 このタイプの組織 ・団体 は厳密にいえば まだ数 多 くはない。近年、「公共民間 企業住民」の三者の協力による事業化や企業化 など公私協力 ・事業連携が推進 され る傾向にある。

全国の各都道府県 を中心に、緑化事業推進の 目的で設立 された財団法人緑の基金は、 ジョイン トセ クター方式の典型的な事例 といえる。録の基金は、一般 に、 鋸 台体か らの出揃金 (基金)に加 え、

民間企業か らの寄付金お よび一般市民等か らの寄付金や募金等によ り構成 されている場合が多い。

ジョイン トセ クターの代表的な事例 としては、次のような例があげ られ る。

(1)財団法人船橋緑の基金は、緑の基金 と同様の趣 旨で設立 された基金で、船橋市の基金出指 ( 助金 ‑基金造成事業)に加 え、民間ディベ ロッパー等の民間事業者などが船橋了ff宅地開発事業施設 整備基準に基づ いて、財団法人船橋縁の基金への寄附基準に従 って寄付 した寄付金 (一種の住宅開 発に係わる開発負担金)お よび一般の市民や企業等か らの寄付金や券金 などを原資 として、基金運 営 され るものである。この財団の 目的は、行政 と市民が手 をたず さえて線 を保全 し、線化 を推進 し、

健康 で供過 な生活が営 まれ る活力ある近代的都市船橋 を創造す ることにあ り、民有地の線化推進等 に大 きな役割 を果た している。

(2)財団法人津南地域活性化センターは、新潟県津南町の地域活性化 を推進す る目的で設立 された 財団法人で、津南町が整備 した公共施設 クア‑ ウス津南 を運営管理 している。財団法人の出指者は、

津南町、地元商工会、農協、森林組合 に加 え、地元金融機関の北越銀行のほか地元出身者で町外で 活躍 している企業のオーナー等である。 このセンターでは、出資に賛同す る地域外の一般人か らの 寄付金 を募 るな ど、ユニー クな活動 を行 っている。

(3)株式会社黒壁は、滋賀県長浜市でJCや ロー タ リー クラブな どで活躍 して きた地元経済界 リー ダー的な市民である

7

人の出資者に加 え、地元金融機関の信用金庫 と長浜市が参画 して設立 された (出資者の名義 をみ ると、必ず しもジョイン トセ クター とはいえない面 もある)地域活性化 ・地域

(10)

5 8 NPO方式の導入による公私協力方式 ・事業連携方式の新たな潮流

振興 を推進す るまちづ くり会社 である。老朽化 によ り解体 の危機 に瀕 していた明治時代 の土蔵造 り の銀行 の保存修復運動 を契機 に、土蔵造 りの銀行 を改造 したガラス館 の整備 を中心 に ガラス美術 館 な どガ ラス をコンセプ トに、市の策定 した博物館都市構想 を具体 的に展開す ると同時に、他 の 自 治体 の第3セ クター会社‑ 出資す るな ど、 まちづ くりの経営 ノウ‑ ウを積極的に活用 し事業展開 を 図 る元気のあ るユニー クなまちづ くり会社 である。

近年、「まちづ くり公社「まちづ くり会社「まちづ くりセンター」な ど、地域活性化や地域振興 な どの役割 ・機能 を担 う法人組織 ・団体 が設立 され る傾 向にあるが、 これ らの中にはこのタイプに 分類 され る傾 向が高 まる と考 え られ る。一般 に、 これ らの組織 ・団体 は法人形態は株式会社形態が 採用 され る場合 が多いが、事業分野や事業形態に よっては財 団法人形態によって設立 され る場合 も ある。

この ように 「ジ ョイン トセ クター」 とは、「行政、企業、お よび住民 との三者の協力 ・支援 によっ て設立 された組織 ・団体 を指す」が、今後は、「特定非営利活動促進法」 (通称、

NPO

法)に示 され

1 2

の活動分野で設立 され る

NPO

法人の中に も、 この タイプの組織 ・団体 が設立 され る可能性が 高い といえる。

6 3セクター」方式か ら 「ジ ョイ ン トセクター」方式への新 たな潮流

公的部 門 と民間部 門の協力に よる公私協力 ・事業連携方式には、公共部 門 と民間部 門の出指 ・出 資に よる 「第3セ クター方式」が採用 されて きたが、 この第 3セ クター方式に加 え、一般 の住民や 権利関係者 な どの参画や協力 を得 て、事業化や企業化 を推進す るとい う考 え方が 「ジ ョイン トセ ク

ター方式であるとりわけ、む らお こ し ・まちお こし事業や地域活性化事業 な どに加 え、市街地 再 開発事業、駅前再 開発事業 な どの事業 を推進す る際には、地域住民のみな らず地域外の住民であ って も、諸権利等の利害関係者 な どの参画 を得 て事業 を推進 した方が関係者間の理解や協力 をよ り 得やす く、事業が成功す る可能性 も一層高 まる場合 も少 な くない。 それゆえに事業分野や事業形態 に よっては、第3セ クター方式 よ りは、む しろ住民参加 を得 て実施 され る 「ジ ョイン トセ クター」

方式の方が よ り適切 で望 ましい事業主体 であ ると考 え られ るようになった。つ ま り、「地域住民等 も 株主等」 として、積極的に当該事業の推進 に関わ ることに よ り事業の成功 を高めてい くとい う考 え 方が生 まれて きたわけである。

今後 は、事業分野や事業形態によっては、「自治体等民間企業等住民等」の三者間の共 同出 資や共同出指 に よって協力 ・支援体制 を確 立す るとい う 「ジ ョイン トセ クター方式」 で設立 され る 事業主体 も出現す る可能性が高い と予想 され る。また

、NPO

法の施行 に伴 い、ジ ョイン トセ クター タイプの組織 ・団体 の増加が予想 され るので、 これ ら団体 ・組織に対す る支援や育成措置 を拡充す るこ とが今後の課題 である。

7 NPO

法人 (民間非営利団体)の育成 ・支援

( 1 )

多様 な民間団体 と民間非営利団体

まちづ くりを推進す る組織は、法人格 を有す る団体 だけではな く、各種 団体、いわゆ る 「権利能 力な き社 団」 と呼ばれ る 「民間非営利団体」 も大 きな役割 を果 た している。 これ らの まちづ くり組 織 ・団体 と住 民 と企業 と自治体 の四着の相互間の関係性 につ いて、 とりわけ 自治体 の視点 よ り体系

(11)

新 潟産業大学経済学部紀要 23号

図表

4

自治 体 の 複 合 経 営 シ ス テ ム (組 織 間 の相 互 関連 連 携 性 :コ ン グ ロマ リッ り 事務 ・事業 の実施

(自治事務 と法定受託事務 に再 編)

自治等以外、条例 よ り自に設立 され いる組織、団体、法人

地方公社 .第

3

セ クタ

( 1 0 0%出資団体)

地方公社 .第

3

セ クター

( 5 0%以上 の出資等)

地方公社 .第

3

セ クター

( 2 5%以上 の出資等)

地方公社 .第

3

セ クター

活動等 を支援助成す る団 体 (社会福祉協議会等) 活動等 を支援助成す る団

活動等 を支援助成す る団

体 (自治会 .町 内会等

)

まちづ くり財 団

コミュニ ティ ・トラス ト

サー ビス 等の提供

指導 ・監督 (出資)守 指導 ・監督 (出資)守

まちづ くりの支援

節3

セ クター (株 式 会 社/財 団 法 人)へ の 出 資 ・出揃

都 道府県

旦・分担

業 の

受託事務

公益信託 基金 の設置

広域的団

基礎 的団体 執行機関の分散

治体間の広域的な連携体制 協力体制 事務等の共同処理体制

協力体制

公共の福祉と経肝性の両立 独 立採算性 事業区分毎に事業費の明確化

独 立採算性

特別法 に よ り設立.

独立的に運営 自治法等 に よ り設立

独立的に運営

NPO

に よ り設立 独立的に運営

報告 信託法/条例 に よる設立

公益信託」事業

支援等

59

地方 自治法等の法律 に準 拠 して設立 され る委月会

行政委月会

域市町村圏組合

一部事務組合

地方公 菅企業 (法通用/非適用企業)

特別会計 に よる事業

地方公社

基金 .財団

NPO

法 に よ る

1 2串業

活動支援 等

附等

金型信託方式

託財産委託型信託方式 事業 .サー ビス等の民間会社 .団体 (任意団体等 を含 む)等へ の委託

(出所) 出井信夫 「新 しい まちづ くり活動 の支援 システムの研究」

新 潟産業大学経済学部紀要

2 0

号』平成

1 1

1 2

(12)

60 NPO

方式の導入による公私協力方式 ・事業連携方式の新 たな潮流

図表 5 まちづ くりの推進主体 ・組織 自治法および条例に基づき設立

独 自に運営 条例および商法・民泌こ基づき設立

独 自に運営 商法・民法に基づき設立

独 自に運営 社会福祉法人として設立

独 自に運営 民法 に基づ き設立

自に運営 民法 に基づ き設立

独 自に運営 信託法 に よ り設立

独 自に運営

NP O

法に基づ き設立 独 自に運営 任 意団体 として設立

独 自に運営

基金 (地域振興基金等)

基金 .財 団

地方公社

シノレノヾ‑

人材 セ ン ター

財 団法人 (まちづ くり財 団)

公益信託

非営利特定活動法人 (12の活動事業)

各種 団体 等

まちづ くりの支援 寄 附等 まちづ くりの支援

寄 附等 まちづ くりの支援

出資等 地域福祉 の支援

会 費等 まちづ くり支援

会 費等 まちづ くり支援

寄 附等

まちづ くり支援 寄 附等

まちづ くり支援

寄 附等

まちづ くりの支援 会 費等

(出所) 出井信夫 「地方公社 ・第

3

セ クターの再評価

地域経営の革新 と創造』

的に図示 した ものが図表

4

であ る6)。 同様 に、 まちづ くりの推進主体 ・団体組織 の視点 よ りこれ らの 四着 の関係性 につ いて体 系的に図示 した ものが図表

5

であ る

7)

0

わが国では、一般 に事 業活動 の実施 は、(1)公共部 門に よる一般政府や 自治体 に よる公共事業 ( 般会計、特別会計) のほかに、(2)政府や 自治体 におけ る公的企業、(3)商法 に よる営利法人の株式 会社 (有 限会社 )、(4)民法 に よる公益法人の社 団法人や財 団法人、・(5)社会福祉事業法 に基づ く社会 福祉 法人な ど個別法 に基づ く法人、(

6)

中間法人 と呼ばれ る協 同組合等の法人組織団体 に よって事業 が推進 されてい る。 この うち営利 を目的 とす る組織 団体 につ いては、一定 の要件 を満 たせ ば株式会 社や有 限会社 等の法人格 を取得 で きる。一方、非営利 団体 の 中で も積極 的に広 く公益性 を目的 とす

(13)

新潟産業大学経済学部紀要 23

6 1

る組織団体 であれば主務官庁の厳 しい設立許可審査 はあるが、民法による社 団法人や財団法人ある いは社会事業法による社会福祉法人、私立学校法による学校法人等のそれぞれの 目的に応 じて個別 法に準拠 した法人格 を取得す ることは可能である。主務官庁制の問題等法人制度事態には改善すべ き点は多々あるが、 ともか く一定の必要要件や基準が満たされ、公益性があると認め られれば、法 人格 を取得す る道はある。 また、近年、区分所有法に基づ き設置 された分譲マ ンション等の管理組 合の中に も、有限会社等 として法人化 され る例 もい くつか散見 され る0

他方、町内会や まつ り ・イベ ン ト等の開催時に組織 され る祭実行委員会や ボランティア活動 を推 進す るボランティア団体等の任意団体の中には、財団法人等の団体 と比較 して も遜色のない活動 を 行 っている団体 は多数存在す る。 この ような民間団体の中には、非営利活動 を主体的に行 う 「民間 非営利団体」で社会的に も有益有意義 な活動 を展開 している組織団体 もある。 自治会や町内会組織 や ボランティア団体等が代表的な例 である。 これ らの民間団体 は、一般 に 「権利能力なき社 団

呼ばれ、現行法上においては積極的に法人格 を取得す ることは極めて困難である。 これ らの 「民間 非営利団体」の中には、 まちづ くりや地域社会 に貢献す る組織団体の一つ として、 また市民の 自助 努力の高揚 を醸成す る観点か らもその役割はます ます韮要になると考 えられ る。 これ らの不特定 多 数者‑の公益性 を目的 としない、いわば、「非公益 ・非私益」 と位置づ け られ る組織団体 は、現行法 上 では民法上の法人格 を得 るのは難 しい。 そのため、市民 レベ ルの「民間非営利団体」 (市民活動団 体)は、任意団体 として 「権利能力なき社団」活動 をせ ざるをえない情況にあった。 ともあれ、 こ れ ら民間非営利団体が法人格 を取得 で きるか どうかは、その団体の活動の発展に大 きな形轡 を及ぼ す ことは改めてい うまで もない。

この ような暖味 な組織で も相 当な活動実績 を有す る組織団体の例 は多数 ある。 この ような組織団 体 に対 しては、現況のわが国社会 の利点 として もっと積極的に評価すべ きであるとい う意見等 を背 景 として、種々の観点 よ り議論 されて きた. これ らの議論 を踏 まえて

、1 9 9 8

弟1 4 2

国会で 「特定 非営利活動促進法」、通称

NPO

法が可決成立 し同年

1 2

1

日に施行 された。

( 2 ) NPO

法人の育成 ・支援

NPO

法人におけ る活動費等の資金調達 は、多 くの課題がある。「民間の活動は、民間の資金で賄 うことがふ さわ しい」 と一般 にいわれているが、 これ らの諸団体においては、現況は政府や 自治体 等か らの補助金や振興基金等か らの助成金の交付が期待 されていることが多い。本来的には、民間 の資金が中心に、なるべ きである。民間資金の拠出者は、基本的には個人 と企業であるo奨学金の給 付、研究費 ・活動空曹等 を助成 ・交付す る 「助成団体」 (助成財団)等 もい くつか存在す るが、 もとを たどれば個 人か企業の寄付 である。そのため、いかに個人や企業が寄付 をしやすい環境 を整 えるか が大 きな課題 となる。 この対策 としては、寄付金に対す る免税措置の拡充が考 えられ る。 しか しな が ら、現行法制度上 では、企業の場合 には寄付金の損金算入控除制皮があるが、個人の場合 には特 定の限 られた団体 (指定寄付)以外の団体等に対す る所得税等の税研控除制皮はない.

したがって、今後の課題 は、 これ らの非営利団体の支援 ・育成 を図 ると同時に、 これ ら団体 活動 を側面か ら支援 ・育成 してい くための支援措置 として、企業 と個人の寄付金に対す る法人税や所得 税 ・地方税等の減免措置の充実 を図 る必要がある。 また、 これ ら非営利活動法人 自らの 自立 を図 る ため、安定的な事業活動 を推進す る意識の高揚 を高め ると同時に、魅力のある事業展開 を推進す る ことによって企業や個人か らの寄付金等の獲得 を促進す るような工夫 も重要 である。 また、個 人や

(14)

62 NPO方式の導入による公私協力方式 ・事業連携方式の新たな潮流

企業等か らの寄付金 を最大限利活用す る方法 として、「自治体 に対す る指定寄付 の全額控除制度」( 業の場合 は寄付金 の全額損金参入額があ る、個 人の場合 は所得税お よび地方税 の一定額 の寄付金控 除制度 による税金の還付制度が ある

)

」制度 と 「自治体 の基金制度」等 との連携 によって、個 人や企 業等か らの寄付 を容易 に促進 で きるよ うな新 たな手法 の確 立 を図 るこ とが重要 な課題 とな ってい

る。

3

新 しい財 ・サ ー ビスの提供主体 に対 す る期待

1 公共 セクター ・民間セクター活動の限界 と非営利セクターに対 す る期待

社会 の大 きな変化 に伴 い、従来のサー ビス提供主体 では十分 に機能 しない面が散見 され る傾 向が 高 まる中で、欧米諸 国にみ られ るような民間部 門の一つ として、非営利セ クターであ る 「非営利法 人」の活動 に対す る期待が高 まる傾 向にある。 その背景 には、社会経済の変容 に伴 って、従来か ら の伝統的な第

1

セ クターお よび第

2

セ クター による財 ・サー ビスの提供 だけでは、その機能 ・役割 が十分 に果 たす こ とがで きな くなって きた とい うこ とがその背景 にある。今 日、第1セ クターお よ び第

2

セ クターの活動 については、次の ような限界な どが指摘 されている8)0

(1) 1セクターの行政活動の特徴 と限界

1セ クター である行政 では、国お よび 自治体 の公的機関が公費 (税金)によって各種 のサー ビ スを提供す る。 そのためサー ビスの提供 にあたっては、客観性、公平性が求め られ るこ とか ら、画 一的、平均 的なニー ズへの対応に とどまらざるを得 ない。 したが って、サー ビスの安定的な提供 と い う面 においては優 れた利点 を発揮す るこ とがで きるが、 その反面 では機動性 に富む柔軟 な対応 を す るとい う点においては問題がある。

( 2)

2

セクターの民間活動の特徴 と限界

それに対 して、第

2

セ クター である企業 では、市場原理 に よ り営利 を追求す るため、投資効率 の 悪 いサー ビスは提供 で きない。 また、サー ビスの提供 にあたっては、機動性 ・柔軟性 にづ いては十 分 に発揮 で きるとい う反面、利潤が期待 で きない ものにつ いては中止や撤退 を行 う場合があるので、

安定的、継続的なサー ビスを提供す るとい う点においては問題がある0

( 3)

非営利セクターの活動 に対 す る期待

この ように、第

1

セ クターお よび第

2

セ クター におけ る両者の活動の短所が顕在化す る傾 向にあ ったこ とに加 えて、阪神 ・淡路 島大震災な どにおいて発揮 された災害救助 におけ るさまざまな支援 活動や福井沖 で座礁沈没 したタンカー船 よ り流出 した原油の回収 ・除去作業等におけ るボランティ ア活動等に多数 の参加者が集 ま り、当初予想 された以上 の力 を結集す るこ とがで きたこ とに よ り環 境汚染等が防除で きたこ とな どが契機 となって、 また各種 のボランティア活動 に対す る関心の高 さ や参加者の参加意識の高揚が浸透す るこ とな どと相 まって、 これ らの活動 に対す る高い評価 とその 活動 に対す る期待感が一気 に高 まったのである。同時に、 これ らの活動 においては、一時的短期 的 な活動形態か ら恒常的長期 的 な観点 よ り、活動が継続的に行 われ るための対応や支援 の在 り方 な ど に対す る必要性があるとい う点 につ いて も強 く認識 された。す なわち、無償的 ・不定期 的な行動 を 基本 とす るボランティア活動 を軸 とす る活動形態か ら、諸経費等の失費や一定 (低廉 な)の報酬 を 受支給す るとい う有償 的 ・恒常的 な事業活動形態の側面 を取 り入れ るこ とに よって、継続的な活動

(15)

新潟産業大学経済学部紀要

2 3

63 が維持 ・持統す るこ とが可能 となるとともに、事務局機能 ・センター的機能の充実強化が可能 とな るように種々の支援措置 を講ず る必要があ る、 とい う点が強 く認識 されたわけである。

か くして、 この ような活動 を行 う 「民間の非営利団体」の活動がにわかに注 目され るこ とにな り、

NPO

(非営利組織 :

NonPr o 丘tOr gani z at i on)

の活動 とその活動範囲や活動領域の拡大に対 して、

まちづ くりの推進や社会福祉サー ビスの提供等、市民社会 に円滑 なサー ビスの提供や市民連帯意識 の向上 ・醸成等新 たな観点 よ り、公共側 のみな らず、市民か らも大 きな期待が寄せ られ るこ ととな ったわけである。

2 NPO

(民間非営利団体)の活動特性

一般 に、

NPO

には、次の ような活動特性がある といわれてい る9)0 (1) 先駆性

行政 は、 多数が需要す るサー ビスの提供 をす る。一方、企業 は利潤追及 とい う観点か らサー ビス の提供 を行 う。 そのため、少数者のサー ビス需要や赤字が懸念 され るようなサー ビス等の提供 につ いては、両 セ クター とも十分対応で きない両が 多々あ る。その点では

、NPO

は 自らの ミッシ ョン(使 命)に基づ き、必要 と感ずれば採算性 を度外視 して も、 自発的に活動 を起 こ し先駆的にサー ビスの 提供 を行 うこ とが可能 である。

( 2)

機動性

行政 と企業 においては、サー ビスの提供 を開始す るまでには一定以上 の手続 き等が必要 である。

それに対 して

、NPO

では現場 に決定権が委ね られ るこ とが 多いことに加 えて、活動範囲が比較的狭 く活動規模 も小規模 な ものが 多いこ とか ら、機動性や柔軟性 に富み臨機応変に対応す るこ とが可能 である。

(3) 地域密着性

財 ・サー ビスの提供 にあたっては、地域住民の意向 を十分 に把握す る必要があるこ とはい うまで もない。したが って、地域 に密着 して活動す る

NPO

は、地域住民のニー ズを十分 に把握す ることが 可能 であ り、ニー ズに応 じたサー ビスの提供が可能 となる。

( 4)

多元性

行政 は、一元的、画一的な価値観 に基づ いてサー ビス提供 を行 わなければな らない。一方、企業 では営利追及 を前提 にサー ビスを提供す るこ とが原則 となる。 これ らの両者の活動特性 に対 して、

NPO

は多様 な価値観 に基づ いてい くつ もの組織がサー ビス提供 を行 うので、個 々のニー ズに対 し きめ細か くサー ビスを提供す るこ とが可能 である。 多様 な活動 を行 う

NPO

が 多ければ 多いほ ど、

個々のニー ズに対応で きる可能性 は高い。

( 5)

自己実現性

余暇時間の増大 に よる自由時間の増大、 多種 多様 な 自己実現ニー ズの高 ま り等が ます ます増加す る傾 向にあ る。この ような背景の中で

、NPO

で活動す るこ とは、自らが必要 と考 えるサー ビスを自 らの手 で提供 してい くこ とがで きるな ど、 そこで活動す る人達 には満足感、充足感、生 き甲斐等が 得 られ るこ とに もつ なが るので、 その活動 もきめ細やかで多様 な ものが期待 で きる。

( 6)

経済性

NPO

は、他 のセ クター とは異な り、その活動費は主に会 費、助成金、寄付金等の収入に よって賄

(16)

6 4 NP O

方式の導入による公私協力方式 ・事業連携方式の新たな潮流

われてい る。 また、資機材の提供、 ボランティア等に よる活動支援 もあ り、サー ビスの提供 コス ト は相対的に低 く、行政や企業 では対応 しに くいようなサー ビス を提供す るこ とが可能 である。

3非営利セクターの位置づ けと経済学的な意義

( 1)

非営利セクターの位置づ け

一般 に、経済の活動主体 として捉 え られてい る 「企業家計政府」の三者 を基礎 に、 さらに

非営利セ クター」 を加 えた四つの経済主体 におけ る相互の関係性 につ いて図示 した ものが図表

6

である10)。この図に示 され るように、一方では家計 を中心 に、 (1)非営利組織 に対 し企業 と家計か ら 寄付や ボランティアが提供 されている。それに対 して、(

2)

政府か らは補助金が支 出 され る。他方 で 、 (3)非営利セ クター は、他 のセ クターや家計に対 して、生産 されたサー ビスを供給 してい る。

( 2)

非営利セクターの経済学的な定義

この ような

NPO

(非営利組織)につ いては、経済学的には、「収入か ら支 出を差 し引いた純利益 を利害関係者に分配す るこ とが制度的にで きないような非政府組織団体 である」 と定義す るこ とが で きる11)。この ような性格 を有す る

NPO

のサー ビスの提供や活動範囲 をみ ると

、( 1 )

一般 には、公 共的社会的 な 目的 を持 って活動す る 「公共奉仕型

NPO」

が比較的多い といえるが

、( 2 )

中には会月 に限定 しサー ビスを提供す る とい う 「会員奉仕型

NPO」

も少 なか らずある、 と考 えられ る。

4

アメ リカにおいて非営利 セ クターが台頭 して きた社会経済的背景

ア メ リカにおいて、非営利 セ クターが台頭 して きた社会経済的な背景 につ いては、次の ような、

(1)歴史的背景、 (2)市場 の失敗、 (3)政府の失敗、(4)多元的な価値観 ・自由、(5)連帯の諸点があげ られてい る12)0

図表6 非営利組織 を含 む トライア ングル

税 ・サービス

公共財

(出所) 山内直人 『ノンプロフットエコノミー』 日本評論社、平成

9

7

図表 1 3 日本の市民社会の団体地図 公益信託( 4 3 3 )●認可特定■ ロ は法 人の概念 L . ̲ "̲ . 桓 制上の概念 ( ,‑ は団‑ 公益信託 I● 一 利益団体 .NGO .民間非営利団体 ( NPO) の存在領域 特殊 等 ●● ■●● ●●● 匝 校法人 ( 1 6 , 15 5 ) f l財 団法人 ( 1 3, 4 可 l 医 療 法人社団法人(12,451)I匝 療法人匝 会福祉法人(ー3両l.特定公益増進法人l任意団体 [事蒜な し](43,000'l 社団 任意
図表 1 5 各国の NPO 法人制度の比較 義 NP O 法人 非営利公益法人 登録チャ リティ 届出非営利社団 公益社団 登録社団 財団 益法人 ( 財団、社団) く、各州の一般法人法 ヤ リティ法 を準拠法 とす る登 益社団、届出を行 わない社団がある 法 と財団法 ( 州法)による財団、有限会社、 ・NPO 法 に よ る の中に非営利法人を規 録 チャ リティ( 会社法 に よる ・1 9 8 7 年法による公益財団 と、それ らの 株式会社 などがあるo NPO 法人 走 している州が多いo
図表 3 0 諸外国の NPO に係 る租税制度の比較 日̲ ̲ 字… ‑ ‑ 税法に規定 され ・本来の事業及び関連収益事業 二本釆事業及び関連収益事業 ・本来事業及び関連収益事業に対す る法人税は非課 ・本来事業及t J r 関連収益事業に対す た 3 3 業種)を営 ・所得 は免税o に対す る法人税 .所得税 は 税o る法人税二営業税は免税
図表 3 1 個人 および企 業か らの 「 寄付金 および基金 設置」制度 を利活用 した地域活性化 ・地域振興の新 たな方法の体 系化 (「 信託法人」的な考え方 ※ 2) 自地域内に居住する (r 信託市民」的な考え方 ・ X・1) 他地域内に居住する 等 r L 茎 望 遠 擢 重 要 砲 等毒lI ( 出所) 出井信夫 「 新 しいまちづ くり活動の支援 システムの研究」『 新潟産業大学経済学部 紀要 第 20号』 より作成 NPOjf沌o)堀、とHcEか沖鍵爵JJ揖勤・朝粥湛薄jf沌e)聾tI吋

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