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(1)

Ⅱ.分担研究報告

研究1

虚弱から要支援・介護高齢者口腔に関する

評価法の考案に資する調査報告

(2)
(3)

厚生労働科学研究費補助金(長寿科学総合研究事業)

要介護高齢者等の口腔機能および口腔の健康状態の改善ならびに 食生活の質の向上に関する研究(H25-長寿‐一般‐005)

分担研究報告書

板橋区お達者健診継続受診者(平成23年・平成25年・平成26年)における 歯・口腔の状況の変化について

前期高齢者および後期高齢者に着目した比較検討

研究分担者  恒石美登里  日本歯科総合研究機構主任研究員

研究要旨

  超高齢社会を迎えた日本では、今後団塊の世代が75歳以上となる2025年に向けての準備が 喫緊の課題となっている。要支援者や要介護にできるだけならないような施策をより若い世代 から講じていくことが必要となってくると思われる。平成 26 年度の厚生労働省予算において 75歳以上の後期高齢者の歯科健診が大幅に拡充されることとなり、多くの都道府県でもすでに 取り組みが実施・検討されている。今後はこの検診の意義を示すようなデータの蓄積やエビデ ンスが求められており、本研究では前期高齢者と後期高齢者について継続受診者の縦断データ を用いて検討を行った。

対象は、平成23年度、平成25年度および平成26年度に実施された「板橋お達者健診 2011 コホート調査」を継続的に受診した東京都板橋区在住の地域在住高齢者404名とした。お達者 健診では、血液検査、運動機能検査、認知機能検査、面接調査員による生活機能等の聞き取り 調査等を実施している。歯科関連問診項目では、歯磨き習慣、歯科医院の受診状況、口の健康 等について調査し、測定項目として残存歯数、機能歯数、咬筋および側頭筋触診、オーラルデ ィアドコキネシス、反復嚥下テスト、ガムによる診査を実施した。平成26年受診時に前期高齢 者(74歳まで)であった者、平成23年受診時には前期高齢者であったが平成26年受診時には 後期高齢者となった者、そして両年とも後期高齢者であった者の 3群に分類し、3群間の比較 を行った。

その結果、平成26年時測定データでは、残存歯数、オーラルディアドコキネシス、反復嚥下 テストにおいて3群に有意差が見られ、高齢になるほど残存歯数の低下および発音・嚥下機能低 下を認めた。また、咬筋の触診について平成25年と平成26年とを比較すると、改善した者、変 化のない者、悪化した者の分布に差がみられた。つまり、後期高齢者では、悪化および改善と もにその割合が多く、変化が起こりやすいことが示唆された。

自主的に健診に参加できる高齢者において前期高齢者と後期高齢者ではあらゆる口腔機能の 低下が認められた。75歳以降の後期高齢者健診においては、すでに歯を喪失している高齢者も 多く、咀嚼機能や発音機能および嚥下機能等を総合的に診断できる項目を歯科健診として取り 入れる必要があると思われた。

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A.研究目的

  65歳以上人口(高齢化率)は、平成25年10月1日時点の人口推計データ1)によると25.1%であり、平成26

年10月1日時点では26.3%と、1年に1%以上増加していた。このように超高齢が進む社会における課題とし て健康寿命と平均寿命とのかい離が指摘されている。平成26年10月1日に開催された厚生科学審議会地域保 健健康増進栄養部会資料2)によると、平成25年における健康寿命は男性71.79年、女性74.21年となっており、

男女とも平成22年公表データより延伸していたものの、平均寿命とのかい離は10年(男性では9年、女性で は12.4年)ほどある。つまり、健康寿命を延ばすこと、できるだけ要介護状態にならないような施策が早急 に求められている。

  また、平成26年度の厚生労働省保険局高齢者医療課の予算3)では、健康診査に要する経費が拡充され、

その中でも後期高齢者医療の被保険者に係る歯科健診に対する予算が大幅に拡充された。この後期高齢者歯 科健診の概要は、口腔機能低下の予防を図り、肺炎等の疾病予防に繋げるため、歯・歯肉の状態や口腔衛生 状態等をチェックする歯科健診を実施することとなっており、広域連合に対して国庫補助(1/3)が行われ ることとなっている。このように75歳以上の歯科健診が導入されたことは非常に重要であり、多くの都道府 県でも後期高齢者歯科検診をすでに実施・検討を行っている。今後はこの健診の意義を示すようなデータの 蓄積やエビデンスを示していく必要性がある。

そこで平成25年度には同年度(単年度)の板橋区の健診受診者を対象として前期高齢者と後期高齢者の歯 や口腔の状況にどのような差が見られるかを分析したところ、男女ともに残存歯数、咬合力、発音機能、嚥 下機能について有意な差を認めることが明らかとなった4)。しかし、横断研究では各指標の変化を知るこ とはできない。そこで平成26年度の本研究では、前期高齢者と後期高齢者との比較についてコホートデータ を利用して分析・検討することを目的とした。

 

B.研究方法

【対象者】

  東京都板橋区の東京都健康長寿医療センター研究所では、近隣地区在住の65歳以上を対象とした「板橋お 達者健診2011コホート調査」を平成23年より実施している。「板橋お達者健診2011コホート調査」は施設入 所者および過去に研究所主催の同様な健康調査事業に参加経験のある者を除外した老年症候群の早期発 見・早期対処を目的とした包括的健康調査事業である。お達者健診では、歯や口腔に関する健診のほか血液 検査、運動機能検査、認知機能検査、面接調査員による生活機能等の聞き取り調査等を実施している。各年 度で全く同じ調査項目を実施しているわけではなく、歯や口腔の部分でも若干変化しており、平成25年度報 告において差の見られた、発音機能や嚥下機能に特に着目し、平成23年から継続的に平成25年および26年の 3か年において健診を継続受診した404名を対象とした。

【質問項目】

1.普段の歯磨き習慣について

①歯磨き回数(1.1日3回以上  2.1日2回  3.1日1回  4.1日1回未満)

2.歯科医院の受診について    ①かかりつけの歯科医院の有無 

(5)

  ②過去1年以内の歯科医院の受診

  ③過去1年以内に、歯科医院で歯石除去や歯のクリーニングの受診の有無

3.自分の口の健康について(主観評価)

  (1.非常に健康だと思う  2.まあ健康な方だと思う  3.あまり健康ではない  4.健康ではない)

【測定項目】

1.機能歯数 2.残存歯数

3.筋触診左右側(平成25・26年のみ)(1.  強い  2.弱い  3.なし)

4.側頭筋触診左右側(平成25・26年のみ)(1.  強い  2.弱い  3.なし)

5.オーラルディアドコキネス(平成25・26年のみ)    タ  回数 6.反復嚥下テスト(平成25・26年のみ)

    1回目の秒数・30秒間での回数

7.ガム(平成25・26年のみ)(1〜5・拒否)

【分析方法】

平成26年度受診者の機能歯数および残存歯数について平成23年度受診時と比較して、残存歯数および機能 歯数が現状維持されているか減少しているかについて性・年齢階級別に割合を検討した。

次に、平成26年受診時に前期高齢者(74歳まで)であった者、平成23年受診時には前期高齢者であったが 平成26年受診時には後期高齢者となった者、そして両年とも後期高齢者であった者の3群に分類し、3群間の 比較を行った。平成26年時の測定データについて、3群の比較をKruskal-Wallis検定を用いて行った。次に、

質問項目について平成23年受診時と平成26年受診時との変化の有無についてカテゴリー化し、割合に差があ るかどうかををカイ二乗検定を用いて検討した。また、平成25年および平

成26年時のみ測定を実施した項目についても同様に3群に分けて比較をした。統計解析にはIBM SPSS Statistics 20を用いた。

(倫理面への配慮)

  調査対象者には、個別に文章による同意を得て調査を実施した。なお、本研究は、東京都健康長寿医療セ ンター研究所の倫理委員会の承認を得て実施した(承認番号23-1253)。

C.研究結果

  平成23年・平成25年および平成26年の3回すべて受診したものは404名(男性169名、女性235名)であった。

平成26年時の性別・年齢階級別分布を図1に示した。70-79歳で男性よりもは女性の参加者が多かったが、85 歳以上では男性が多かった。

  また、平成23年受診時と比較して平成26年時の残存歯数および機能歯数の変化を維持群と減少群に分け、

性・年齢群別の割合を図2、図3に示した。残存歯数が減少した者の割合は男性では70〜74歳、80〜84歳で多 く、女性では70〜74歳、85歳以上で多かった。機能歯数についても同様の傾向がみられた。

(6)

  表1〜3には、平成26年受診時に前期高齢者(74歳まで)であった者、平成23年受診時には前期高齢者であ ったが、平成26年受診時には後期高齢者となった者、また両方とも後期高齢者であった者の3群に着目して 分析した結果を示した。表1では、連続変数で示される測定項目についての基本統計量がこの3群で差がある かどうかを3群で比較した結果を示した。機能歯数以外の残存歯数、オーラルディアドコキネス回数、反復 嚥下テスト・1回目の秒数および30秒間での回数において、3群間で有意な差がみられた。つまり、高齢にな るほど残存歯数、オーラルディアドコキネス回数、反復嚥下テストの機能が低下していた。 

  表2には平成23年時の質問項目と同様の内容について平成26年の回答と比較して、改善がみられた者、変 化がなかった者、悪化した者の分布に差があるかどうかを確認した結果を示した。その結果、過去1年以内 に歯石除去やクリーニングを行ったかどうかの設問に対して、3群間で回答の分布に差がみられた。

  表3には咬筋および側頭筋の触診結果について平成25年と平成26年調査で改善した者、変化がなかった者、

悪化した者の分布を示した。側頭筋やガム咀嚼検査では分布に有意差がみられなかったが、咬筋の触診では 有意差がみられた。つまり、後期高齢者群では、他の年齢群よりも改善および悪化する者の割合が多かった。

D.考察

  平成23年・平成25年および平成26年に継続して「板橋お達者健診2011コホート調査」を受診している404 名について縦断データを用いてその変化に、年齢や前期高齢者と後期高齢者で差があるかどうかを比較した。

  現在歯数や機能歯数が減少したものは男女とも70〜74歳においてその割合が多く確認された。平成23年の 歯科疾患実態調査5)において、平均20歯以上の保有する者は69歳までであり、70-74歳での平均現在歯数は 17.3本と20本には達していない。つまり、前期高齢者から後期高齢者に移行する年齢において、歯数減少を 引き起こす者が多いことが推測される。本調査結果からも70-74歳において現在歯数を減少させた割合が多 かったことも一致していた。

  平成26年時における、73歳までの者(健診時前期高齢者)と74〜76歳(この間に新たに後期高齢者となっ た者)、および77歳以降(健診時後期高齢者)の3群比較では、残存歯数とオーラルディアドコキネス、反 復嚥下テストにおいて有意に差がみられた。つまり、年齢が上がるにつれて、現在歯数だけでなく、発音機 能および嚥下機能も低下することが明らかとなった。

  平成23年と平成26年における質問項目の回答に変化がみられるかどうか検討した結果からは、歯石除去や クリーニングのために受診したかどうかにおいて、77歳以降の分布に差がみられた。この結果は、高齢者に おいては、すでに歯を喪失しているものも多く、歯数減少とともに、歯石除去やクリーニングのために受診 する機会が減少したためではないかと推測された。

  平成26年時の測定項目の平均値では、やはり年齢の増加とともに、残存歯数の減少と、発音機能の低下お よび嚥下機能の低下が確認された。これは、前回(平成25年)の報告と同様の結果であった。

  また、平成25年および26年に測定した触診による咬筋・側頭筋の変化については、咬筋のみに左右とも分 布に差がみられた。結果からは、77歳以降の年齢で、悪化および改善となる割合が多かった。本結果だけで は、この変化がどのような原因によるかは不明であるが、後期高齢者群では、口腔機能が悪化にも改善にも 変化しやすい可能性が示唆された。残存歯数の減少した際の咀嚼機能の回復手段として、義歯等があるが、

義歯を入れるだけではなくその後の咀嚼機能の低下についても留意することが求められる。また、歯だけで なく周囲筋や嚥下機能、舌運動等の口腔機能の調和を総合的に診断できるような歯科健診を継続的に実施し ていくことも必要ではないかと思われた。 

(7)

  超高齢社会を迎えた日本では、今後団塊の世代が75歳以上となる2025年に向けての準備が喫緊の課題とな っている。都市部と地方では状況が違うが、急激に後期高齢者数の増加が予測されている地域も多い。要支 援者や要介護にできるだけならないような施策をより若い世代から講じていくことが必要となってくると 思われる。歯や口腔の健康についても、歯科口腔保健法の制定前後から、医療計画や医療費適正化計画等に 盛り込まれる都道府県も増えてきている。このように口腔機能の維持向上は、国の施策や診療報酬上にかな り明確に位置づけられてきている現状もあるが、これらの質の向上やエビデンスの収集も期待されていると ころである。本研究結果からも年齢とともに口腔機能の低下が明らかであることや、現在歯数の減少は依然 として前期高齢者から急激に増えてくることが分かった。このような研究結果も視野において、年齢やライ フステージごとに考慮された歯科健診の在り方が必要であると思われた。

E.結論

  平成25年報告と同様、前期高齢者と後期高齢者における歯や口腔の状況に差がみられるかどうかを「板橋 お達者健診2011コホート調査」に、平成23年・平成25年・平成26年の3回とも受診している継続受診者の縦 断データを用いて検討した。

自主的に健診に参加できる高齢者において前期高齢者と後期高齢者ではあらゆる口腔機能の低下が認め られたことより、75歳以降の後期高齢者健診においては、すでに歯を喪失している高齢者も多く、咀嚼機能 や発音機能および嚥下機能等を総合的に診断できる項目を歯科健診として取り入れる必要があると思われ た。

【参考文献】

1) 総務省統計局:人口推計.

http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/GL08020102.do?_toGL08020102_&tclassID=000001007604&cycleCode=7&

requestSender=dsearch(2015年5月7日アクセス).

2) 厚生労働省:第2回健康日本21(第二次)の推進専門委員会参考資料(平成26年10月1日).

http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000059796.html(2015年5月7日アクセス).

3) 厚生労働省:保険局高齢者医療課説明資料(平成26年2月17日).

http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000037380.pdf(2015年5月7日アクセ ス).

4) 厚生労働科学研究費補助金(長寿科学総合研究事業)要介護高齢者等の口腔機能および口腔の健康状態 の改善ならびに食生活の質の向上に関する研究(H25-長寿‐一般―005)平成25年度  分担研究報告書,

恒石美登里:地域在住高齢者における歯・口腔の状況について前期高齢者と後期高齢者の2群に着目し た比較検討

5) 厚生労働省:平成23年度  歯科疾患実態調査

http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/62-17c.html(2015年5月7日アクセス).

F. 健康危険情報 なし

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G. 研究発表 1. 論文発表

なし 2. 学会発表

なし

H. 知的財産権の出願,登録状況 1. 特許取得

なし

2. 実用新案登録 なし

3. その他

なし

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(12)

(13)

研究要旨: 

近年,高齢者の現在歯数は増加傾向にあり,それに伴い歯周疾患罹患のリスクも高くなることが 考えられるが,成人を対象とした歯周疾患に関する調査は数多くあるものの,地域在住高齢者を対 象とした歯周疾患実態調査は少ない.また,歯周疾患のスクリーニングとして Community Periodontal  Index(CPI)が広く使われているが,高齢者において,CPI はリスクのあるスクリーニングといえる.

そこで,地域在住高齢者を対象とした歯周疾患の実態を把握し,侵襲性の少ない簡易的な歯周疾患 のスクリーニング法(PMA Index)の有用性を CPI との比較により検討することを目的として本調査 を実施した.対象は,平成 26 年 10 月に東京都健康長寿医療センター研究所にて実施された「板橋 お達者健診 2011 コホート  2014 年追跡調査」を受診した 65 歳以上の地域在住高齢者のうち欠損デ ータのない 206 名(男性 76 名,女性 130 名,平均年齢 72.7±5.4 歳)とした.調査項目は,CPI,PMA  Index,歯周病細菌検査,歯数,咬合力,プラークと舌苔の付着状況,歯磨き習慣,歯科医院受診歴 などの口腔に関する情報,全身疾患及び服薬状況,喫煙習慣,うつ尺度(SDS),認知機能の評価(MMSE) であった.調査の結果,前歯部歯肉の炎症所見を有する者が 62.1%,歯周ポケットの深さが 4mm 以 上を有する者が 74.8%であった.現在歯数を 20 歯で 2 群に分けて歯周疾患が悪化する要因について,

多重ロジスティック回帰分析を用いて検討を行ったところ,20 歯未満群では,糖尿病,舌苔の付着,

舌苔中の Red Complex の存在が,20 歯以上群では,高血圧,プラーク中の Red Complex の存在,認 知機能の低下,前歯部の歯肉炎症が独立した関連要因として挙げられた.以上の結果から,現在歯 を 20 歯以上有する場合には,歯周疾患の簡易的なスクリーニング法として,PMA Index は有用では ないかと示唆された.また,現在歯数によって歯周疾患を悪化させる要因が異なり,20 歯未満の者 に対しては,糖尿病のコントロールと良好な口腔衛生状態維持の重要性,20 歯以上の者に対しては,

年齢や認知機能低下に配慮した歯周疾患のアプローチが必要であると示唆された.   

厚生労働科学研究費補助金(長寿科学総合研究事業)

要介護高齢者等の口腔機能および口腔の健康状態の改善ならびに 食生活の質の向上に関する研究(H25-長寿‐一般‐005)

分担研究報告書  

地域在住高齢者を対象とした歯周疾患実態調査

   

研究代表者  平野浩彦  東京都健康長寿医療センター研究所  研究協力者  白部麻樹  東京都健康長寿医療センター研究所  研究協力者  小原由紀  東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科  研究分担者  大渕修一  東京都健康長寿医療センター研究所 

   

                                           

A. 研究目的

近年,高齢者の現在歯数は増加傾向にある.平成 23 年歯科疾患事態調査によると,80 歳で 20 本以上の 歯を有する 8020 達成者は 38.3%であり,平成 17 年の調査結果 24.1%から増加している1).現在歯数が多

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いことは,それだけ歯周疾患にかかるリスクも高くなることが考えられる.以上の状況にもかかわらず,成 人を対象とした歯周疾患に関する調査は数多くある2‑5)ものの,地域在住高齢者を対象とした歯周疾患実態 調査は少ない6‑7).また,歯周疾患のスクリーニングとして Community Periodontal Index(地域歯周疾患歯 数,以下 CPI と記す)が広く使われており,歯周組織検査を用いた歯周疾患罹患に関する調査は数多く報告 されている 4‑7).しかしながら,高齢期になると,抗血栓療法を受けている者も多く,CPI はリスクのある スクリーニングといえる.以上から,より非侵襲的な簡易スクリーニング法が集団健診の場において特に必 要である. 

そこで,CPI を含めた複数の歯周疾患のスクリーニングを採用して,地域在住高齢者を対象とした歯周疾 患の実態を把握し,簡易的な歯周疾患のスクリーニング法(以下 PMA Index と記す)の有用性を CPI との比 較により検討することを目的として本調査を実施した. 

 

B. 研究方法

<対象者> 

住民基本台帳からランダムサンプリングされた地域在住高齢者を対象とし,平成 26 年 10 月に東京都健康 長寿医療センター研究所にて実施された老年症候群の早期発見・早期対処を目的とした包括的健康調査事業 である「板橋お達者健診 2011 コホート  2014 年追跡調査」を受診した 65 歳以上の地域在住高齢者のうち 欠損データのない 206 名(男性 76 名,女性 130 名,平均年齢 72.7±5.4 歳)を対象とした. 

 

<検討項目> 

口腔に関連した項目の調査は,歯科医師および歯科衛生士が実施した.歯周疾患のスクリーニングとして,

CPI,PMA Index,バナペリオ®(BANAMetLLC 社,ミシガン,USA)による歯周病原生細菌の評価を行った.

CPI は,WHO プローブを用いて診査した.対象歯は上下額の第 1,第 2 大臼歯および上顎右側中切歯,下顎 左側中切歯の計 10 歯とした.ただし,同顎同側の第 1,第 2 大臼歯については最高点を採用した.コード は,0:歯肉に炎症の所見が認められない,1:プロービング時に出血あり,2:歯石の沈着ありまたはポケ ットの深さが 4mm 以下,3:ポケットの深さが 4mm 以上 6mm 以下,4:ポケットの深さが 6mm 以上の 5 段階で 評価し,6 部位の中で最高コード値を CPI コードとした.PMA Index は上下顎前歯部の唇側歯肉を,それぞ れ歯間乳頭,辺縁歯肉,付着歯肉の部位に分けて炎症の有無を視診により評価した.炎症があれば 1 点,炎 症がなければ 0 点とし,合計点を PMA Index 値とした.バナペリオ®は,縁下プラークをプローブにて採取,

また舌苔を綿棒にて 3 回擦過して,それぞれ検体を採取した.バナプロセッサー®にて 5 分程度で測定が終 了し,歯周病原生細菌のうち,重度の歯周病に影響があるとされる Porphyromonas  gingivalis,Treponema  denticola,Tannerella forsythia の 3 菌種(Red Complex)の有無を検出できる.バナペリオ判定早見表 に基づき,1:陰性,2:弱陽性,3:陽性とした.他に,現在歯数,機能歯数(残根や咬合に関わらない歯を 含まず,現在歯数とインプラントやポンティック,義歯などの欠損補綴されている数の総和),デンタルプレス ケール®(株式会社ジーシー,東京)による咬合力,プラークと舌苔の付着状況(1:なし,2:中等度,3:

高度)を評価した. 

歯磨き習慣については,1日の歯磨き回数,1回の歯磨き時間(分),また歯科医院の受診については,か かりつけ歯科医院の有無,1年以内の歯科医院受診歴,1年以内の歯石除去及びクリーニング経験の有無,歯 みがき指導経験の有無を聞き取りにて調査した. 

(15)

Mean±SDMeaSDMeaSD 72.8±5.220672.8±5.2715172.5±5.90550.431 7636.95335.12341.8 13063.19864.93258.2 7737.45133.82647.30.076 尿125.874.659.10.188 199.2138.6610.90.614 0.81.050.87±1.090.93±0.940.426 209.7106.61018.20.013* SDS35.0±8.4934.5±8.6136.2±8.100.136 MMSE28.3±2.3328.4±2.4928.2±1.800.058 19192.713992.15294.50.395 115575.211978.83665.50.049* 1Sc・14068.010670.23461.80.254 14871.811072.83869.10.596 1 38943.26744.42240.0 28842.76341.72545.5 12813.62013.2814.5 110.510.700.0 4.74.464.62±4.054.98±5.600.452 22.9±6.4523.2±6.4322.2±6.480.128 27.1±2.7627.2±2.2226.8±3.890.901 PMA Index値4.05.283.25±4.006.36±7.360.036* P2.62.992.28±2.633.55±3.680.069 M1.32.460.97±1.892.38±3.400.008** A0.10.780.00±0.000.44±1.460.001** N34216355±218333±2110.629 11455.39160.32341.8 9144.25939.13258.2 10.510.700.0 8742.26643.72138.2 11455.38254.33258.2 52.432.023.6 8541.36945.71629.1 3918.92919.21018.2 8239.85335.12952.7 17484.513287.44276.4 2713.11711.31018.2 2713.121.335.5

0.377

total *p<0.05**p<0.01

0.868 0.046* 0.653 0.053 0.087

1 歯2 p‐valueCPIコ4CPIコ03

年齢や性別などの基本情報のほかに,糖尿病,高血圧,心臓病の既往,服薬状況(抗炎症・鎮痛薬,ステ ロイド薬,骨粗鬆症の薬,催眠導入剤,抗不安剤,血圧降下剤,消化器用薬,抗うつ剤,認知症の薬),喫 煙習慣について看護師による聞き取り調査を行った.喫煙習慣については,「すっている」,「やめた(1 年 以上やめた場合)」,「以前からすったことがない」の 3 つの選択肢の中から回答を求め,「すっている」と回 答した者を喫煙習慣あり,「やめた(1 年以上やめた場合)」,「以前からすったことがない」と回答した者を 喫煙習慣なしとした. 

うつ傾向の評価指標には,Zung Self‑rating Depression Scale (SDS)を用い,認知機能の評価には,

Mini‑Mental State Examination(MMSE)を用いた. 

 

<統計分析> 

Spearman の相関係数を用いて,CPI コードと PMA Index の相関関係を調べた.歯周疾患重症度(CPI コー ド4群と CPI コード 0〜3 群に分類)を従属変数として,カテゴリ変数にはカイ二乗検定,連続変数には Mann‑Whitney U 検定を用いて 2 群間比較を行った.多量共変性を排除するために,相関係数が 0.8 以上の 独立変数については一方を取り除き,多重ロジスティック回帰分析を用いて,歯周疾患のリスク因子の検討 を行った.統計分析には,SPSS Statistics20 を用いて,有意水準 5%を有意差ありとした. 

 

<倫理的配慮> 

本研究は,東京都健康長寿医療センター研究部門倫理審査委員会の承認を得て実施した. 

  C. 結果

対象者 206 名のうち,CPI コード 3 が最も多く 99 名(48.1%),次いで CPI コード 4 が 55 名(26.7%)

であった.CPI コードと PMA Index 値との間には有意差はあったものの相関関係は認められなかった(p=

0.002,r=0.214). 

CPI コード 4 群と CPI コード 0〜3 群で,2 群間比較を行ったところ,CPI コード 4 群の方が有意に喫煙習 慣のある者の割合が高く(p=0.013),1 年以内に歯科医院を受診している者の割合が低く(p=0.049),PMA  Index 値が大きく(p=0.036),プラーク付着が顕著である者の割合が高い(p=0.046)傾向を示した(表 1). 

現在歯数によって 20 歯未満の群と 20 歯以上の群に分けて同様の検討を行ったところ,20 歯未満群では,

CPI コード 4 群の方が有意に糖尿病である者の割合が高く(p=0.015),喫煙者の割合が高い(p=0.020)

傾向を示した(表 2).20 歯以上群では,高血圧である者の割合が高く(p=0.021),認知機能が低下してい る(p=0.018)傾向が示された(表 3). 

歯周疾患の悪化,つまりCPIコード4と判定される要因について多重ロジスティック回帰分析を用いて検討 した.現在歯数が20歯未満の群では,糖尿病(オッズ比[OR]=34.8,95%信頼区間[CI]=1.76‑688),舌苔 の付着(OR=21.9,CI=1.50‑318),舌苔中のRed Complexの存在(OR=6.59,CI=1.23‑35.5)が独立した 関連要因として挙げられた(表4).また,20歯以上群では,高血圧(OR=2.24,CI=1.03‑4.87),プラー ク中のRed Complexの存在(OR=1.63,CI=1.06‑2.52),認知機能の低下(OR=0.727,CI=0.57‑0.94),

前歯部の歯肉炎症(OR=1.12,CI=1.04‑1.19)が独立した関連要因として挙げられた(表5).

 

(16)

Mean±SDMean±SD 75.8±5.873272.5±5.90130.047* 1753.123176.9 1546.932246.2 1546.926200.00.607 尿26.3538.50.015* 412.5646.20.547 1.25±1.370.93±0.940.430 13.11076.90.020* SDS37.4±8.8136.2±8.100.183 MMSE26.8±4.5028.2±1.800.683 3093.81292.30.650 12887.536276.90.153 1Sc1959.434261.50.893 1959.438292.30.893 1 131340.6430.8 12721.9753.8 111134.4215.4 1113.100.0 3.75±3.504.98±5.600.643 12.5±4.7322.2±6.480.970 25.9±2.7524.5±6.740.633 PMA Index3.72±3.906.77±6.380.168 P2.19±2.323.08±2.400.236 M1.53±2.162.77±3.240.260 A0.00±0.000.92±1.890.005** N218±158162±1800.115 2062.5430.8 1237.5969.2 00.000.0 1856.3215.4 1443.81184.6 00.000.0 1031.3323.1 618.8215.4 1650.0861.5 2990.6969.2 26.3323.1 10.717.7 *p0.05**p0.01

pvalue 0.672 0.184 0.053 0.012*

CPIコ03CPIコ4220 20 0.777 0.193

(17)

Mean±SDMean±SD 72.1±4.8311972.7±5.94420.873 3630.31740.5 8369.72559.5 3630.32150.00.021* 尿54.200.00.216 97.6511.90.285 0.77±0.980.95±0.940.182 97.6614.30.163 SDS33.7±8.4237.2±8.110.018* MMSE28.8±1.3028.2±1.830.018* 3025.21228.60.349 12823.53685.70.125 1Sc1916.03481.00.172 1916.03890.50.516 1 135445.41842.9 125647.11842.9 1197.6614.3 1100.000.0 4.85±4.175.50±6180.602 26.1±2.7125.1±3.140.065 27.6±1.9327.5±2.130.671 PMA Index3.13±4.046.24±7.700.105 P2.30±2.723.69±4.010.141 M0.82±1.792.26±3.480.018* A0.00±0.000.29±1.290.017* N392±218386±1920.843 7159.71945.2 4739.52354.8 10.800.0 0.616 4840.31945.2 6857.12150.0 32.524.8 5949.61331.0 2319.3819.0 3731.12150.0 10386.63378.6 1512.6716.7 10.724.8 *p0.05**p0.01

320 0.434 0.205 0.012* 0.064 0.205

CPIコ03CPIコ4 pvalue 0.225

20

図 6  咀嚼機能評価の人数分布  6.  主観的咀嚼機能と主観的咀嚼機能の人数分布(表 2)  主観的咀嚼機能が良好で客観的咀嚼機能が不良である割合は 9.0%であった.また,主観的咀嚼機能 が不良で客観的咀嚼機能が良好である割合は 14.8%であった.  表 2  主観的咀嚼機能と主観的咀嚼機能の人数分布  7
表 4 主観的咀嚼機能評価と客観的咀嚼機能評価の乖離に関わる因子の検討  D.  考察    高齢者にとって食事は日常の大きな楽しみである 12) .口腔の健康を維持することは,食事の楽しみの 享受,栄養改善とともに QOL の向上に大きく寄与している 13-15) ことが示されている.たのしく食べる為n=752主観的咀嚼機能:良好主観的咀嚼機能:不良客観的咀嚼機能:良好客観的咀嚼機能:良好Total (536)Total (111)
図  各口腔関連項目の比較 各口腔関連項目の比較  各口腔関連項目の比較
Table 1  基本属性
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