岡大医短紀要, 5:37‑45,1994 Bull.Sch.Heal仏 Sci.OkayamaUniv.
(原 著)
看護課程志望 高校生 の看護職 に対す るイメー ジに関す る研究
前 田真紀子 高畑晴美 近藤益子 太 田武夫 喜 多嶋康 一
要 約
本研究では,看護課程志望 の高校生が看護職 に対 して どの ようなイメー ジを持 っているのか,看護教 育機関の希望や将来の看護職種 の希望 は看護職 に対す るイメー ジと関係があるのか を明 らかに したい と 考 えた。岡山県下の全 ての高校 に在学中の看護課程志望高校生 に対 して,質問紙調査 をお こなった。222 名か ら回答が得 られ,分析 を行 った結果,以下の ことが明 らかになった。
1)看護課程志望高校生 は看護職 に対 して非常に良いイメー ジを持 ってお り, 同時に労働条件の厳 しさ も理解 していたO その良いイメー ジとは,看護職 の持つ尊 さや献 身性 に由来す る自負心 と,資格の もつ 現実的利点であった。 しか し,看護職の専 門性 を表す,高度 な知識 ・判断 ・技術,生涯教育の必要性の 認識は低か った。
2)短大 ・大学 を志望す る高校生は,看護学校 ・准看護学校志望者 に比べ,看護職 は生涯教育 を必要 と す るとイメー ジしていた。
3)看護婦,保健婦,助産婦の どの職種 を希望す るかによって,看護職 に対す るイメー ジに違 いがあっ た。
キーワー ド :看護職 に対す るイメー ジ,高校生,看護課程,看護職種
は じ め に
看護労働 は, 白衣の天使 ・聖職 とい う美名の も とに,育児や家事 と同等の伝統的女性役割 として 扱われ,無償 の行為 とされて しまったために,社 会的評価が低 い とい う歴史的背景が あ る1)。 また, その従属的 ・女性的職業 とい う一般的なイメー ジ は,今 なお看護婦の 自律的な意志決定の 自由を制 限 していると指摘 されている2)。一方,職業選択の 初期段階である職業興味の形成期 においては,看 護婦 に対す るイメー ジが看護職 の選択 に影響 す る3)と言われてお り,この一般的・伝統的なイメー ジは高校生の看護婦 に対す るイメー ジ形成, ひい ては看護職 の選択に も影響 を及ぼ していると考 え られ る。
看護職の選択に当たって,高校生は基本的に 自 分 自身の意志 を尊重 して進路決定 を行 っているこ
岡山大学医療技術短期大学部看護学科
とは既 に指摘 されてい る4)。看護 の将来 問題 とし て,看護 を志す質 の高い人材 を確保す るこ との重 要性が強調 されている今 日5ト7),高校生が看護職 に対 して全般的に良いイメー ジを持つ ことによっ て,看護課程 を自分 の進路 として選択 で きるよう に働 きかけ ることが必要 になると考 えられ る。 そ こで, まず看護課程 を志望す る高校生が,現在看 護職 に対 して どの ようなイメー ジをもっているか
を知 る必要があると考 えた。
また現在4年制大学が増 え,看護職教育機関が よ り多様 にな り,高校生の教育機関の選択の幅が 広が っている。 そこで,高校生が看護職 に対 して どの ようなイメー ジを持つかによって,教育機関 の選択や将来 な りたい と希望す る看護職種が決定 され るのではないか と考 えられ る。
本研究 では,看護課程志望高校生 は看護婦 に対
前 EEE 真紀子他
して どのようなイメー ジを持 っているのか,看護 婦 に対す るイメー ジは,希望す る看護職教育機関 や将来な りたい と希望す る看護職種 と関連がある のか を明 らかに したい と考 えた。
研 究 方 法
1.対象 :岡山県下の全ての公私立高校計76校 に 在学 中の生徒 の うち,調査時に看護課程の進学 を 希望 している高校生 を対象 とした。
2.調査方法 :調査 は1993年11月に,無記名質問 紙 によって行 った。質問内容 は, 1)所属, 2) 将来希望す る看護職種, 3)将来就職 を希望す る 地域 と職場, 4)希望す る看護職教育機関及び最
も希望す る教育機関, 5)看護職 に対す るイメー ジで構成 した。手続 きは以下のように行 った。県 下の公私立高校76校の進路指導担当教諭に対 して, 質問紙 を各10枚ずつ郵送 し,看護課程‑の進学 を 希望 している生徒 に,調査 の主 旨を説明 し協力 し て もらえるように依頼 した。同意の得 られた生徒 には質問紙に回答 して もらい,各校 よ り返送 して もらった。
3.分析方法 :回収 された質問紙は,統計パ ッケ ー ジHALBAU (現代数学社) を用 いて分析 した。
比率の比較はカイ2乗検定によって行 い,頻度が 10以下である場合 は直接確率計算法 を採用 した。
結 果
応答高校数 は34校 (44.7%), 回答者数 は222名 であった。
1.所属 :学科 は普通科178名 (80.2%), その他 42名 (18.9%)で, その他 には衛生看護科の生徒 10名 が含 まれていた。学年 は3年生188名 (84.7
%), 2年生17名 (7.7%), 1年生3名 (1.4%) であった。 匝l答者は普通科高校3年生が多数 を占 めていた。
2.将来希望す る看護職種 :種々の看護職種の う ち,何 にな りたいか とい う質尚につ いての回答 は 複数 回答で調べ た。結果 は表1に示 した通 りであ る。高校生 は看護婦 を最 も多 く希望 しているが, 保健婦,助産婦 を希望す るもの も多か った。
3.将来就職 を希望す る地域 と職場 :希望す る地
表1 将来の看護職 の希望
・‑看護職種 希望 人数 (%) 看護婦 162(73.0%) 保健婦 33(14.9%) 助産婦 20(9.0%) 養護教 諭 5(2.6%) 看護教育者 5(2.6%) 研究者 4(1.8%)
域 は単一 回答,希望す る職場 は複数 回答で調べ た。
結果 は表2, 3に示 した通 りである。希望す る地 域 は地元 ・県内がほぼ65%であった。希望す る職 場 は,病院 ・医院な どの医療施設が多かった。 し か し福祉施設 も約15%と比較的多 く,訪問看護施 設や教育機関,一般学校 な どを選択 した もの もい
表2 将来働 きたい地域 地 域 希望 人数 (%) 地 元 32(14.4%) 県 内 114(51.4%) 中国地方 ll(5.0%) 国 内 34(15.3%) 国 外 9(4.0%) そ の 他 10(4.5%)
表3 働 きたい施設 職 場 希望 人数 (%) 病 院 183(82.4%) 医院 .診療薪 44(19.8%) 官 公 庁 10(4.5%) 企 業 .工 場 ll(5.0%) 福 祉 旋 設 34(15.3%) 一 般 学 校 ll(5,0%) 看護教育機 関 13(5,9%) 訪問看護施設 20(9.0%)
4.看護職教育機関進学の希望 :入学 を最 も希望 す る教育機関は単一 回答,受験 を希望す る教育機 関は複数 回答で調査 した。結果 は表 4, 5に示 し た。入学 を最 も希望す る教育機関は看護学校,短
看護課程志望高校生の看護職に対するイメージに関する研究
大看護学科,大学看護学科 ともに大差 はな く,辛 数 の生徒 は大学又は短大 を希望 していた。受験予 定校 は看護学校 が最 も多か ったが,大学 ・短大受 験 を希望 しているもの も多 くいたO大学進学希望 者は70%以上が併願 を希望 してお り,短大 との併 磨 (大学 ・短大 の2併願,大学 ・短大 ・看護学校 の3併願)が多か った。大学のみ単願 す る もの も 約20%いた。短大希望者の約35%以上 は短大 の単 願 を希望 し,看護学校希望者の75%は看護学校 の
表4 教育機関の進路希望と受験予定 (受験予定は複数回 答可)
教 育 機 関 黄も希望(%) 受験予定(%) 大 学 看 護 学 科 53 (23.7%) 65 (29.3%) 短期大学看護学科 55 (24̲8%) 94(42,3%) 看 護 学 校 68 (30.6%) 124 (55.9%) 准 看 護 学 校 14 (6.3%) 28 (12.6%) そ の 他 17 (7.6%) 19 (8.6%)
表5 第‑希望教育機関別受験予定状況 第 一 希 望 の 教 育 機 関
大学 (%) 短大 (%) 看護学校(%)准看護学校 (%)
早敬 大 学 10 (18.9%) 0 0 0 短 大 2(3.8%) 20(36.4%) 0 0 看 護 学 校 1(1.9%) 1(1.8%) 51(75.0%) 0
准看護学校 0 1(1.8%) 3 (4.4%) 13 (92.9%) 計 13 (24.5%) 22 (40.0%) 54 (79.4%) 13 (92.9%)
併願 大 . 短 15 (28.3%) 4 (7.3%) 0 0 大 . 看 5 (9.4%) 0 3(4⊥4%) 0
大 . 准 0 0 0 0
痩 . 香 0 21(38.2%) 3 (4.4%) 0 短 . 准 1(1.8%) 0 0 0
看 . 樵 0 0 6 (8.8%) 1(7.1%) 大 .痩 .香 18 (34.0%) 6 (10.9%) 1(1.5%) 0
そ の 他 1(1.9%) 1(1.8%) 0 0
計 40 (75.5%) 32 (58.2%) 13 (19.1%) 1(7.1%) N A 0
(
0%) 1(1.8%) 1(1.5%)0(
0%)単願 を希望 していた。少 ないなが ら准看護学校 を 第1希望 とす るものが6%いた。
5.看護職 に対す るイメー ジ :看護職 に対す るイ メー ジ調査 は, 33個 のイ メー ジ項 目か ら該 当す る 項 目を選択 させ,複数 回答可 とした。結果 は図1 に示 した通 りであ る。今 回対象 となった看護課程 を志望 す る高校生 は,看護婦 に対 して, 78.4%の
「人の役 に立つ」,以下 「誇 りを持 て る」,「一生続 け られ る」 といった良い イメー ジを高率 に持 って いた。一方, 「肉体労働」, 「時間的に厳 しい」とい った項 目も高率 で,現実 を冷静 に とらえてい るこ とも分 か る。 しか し, 「汚 い」, 「ス トレスが強
注
大:4年制大学看護学科 短 :短期大学看護学科 看 :看護学校 檀 :准看護学校
い」,「危険」 な どのネガテ ィブなイメー ジは比較 的下位 であった。看護職 の専 門性 を示す 「高度 な 知 識」, 「高度 な判断」 は約30%で, 「親 は賛成」,
「資格 が役 立つ」ほ ど高 くはなか った。 また社会 的評価 を 「低 い」とイメー ジ した者 は約10%,「高 い」 とイメー ジ した者 は約20%といずれ も低率 で あった。
6.看護職教育機関別の看護職 に対す るイメー ジ : 入学 を最 も希望 す る教育機 関の うち,看護学校 ま たは准看護学校 を希望す る者 (以下,看護 ・准看 学校群 とい う)82名,短期大学看護学科 を希望す る者 (以下,短大群 とい う)55名, 4年制大学看
前田 真紀子他
図 1 看護課程志望高校生の看護職 に対す るイメー ジ
護学科 を希望 す る者 (以下,大学群 とい う)53名 の3群 に分 け,看護職 のイメー ジを比戟 した。
33のイメー ジ項 目の うち,有意差が あったのは, 図2に示す様 に 「生涯教育が必要」 の項 目で,看 護 ・准看学校群 に比べ,短大群 と大学群 が有意 に 高か った。
また有意差 は見 られなか った ものの,短大群 と 大学群 は, 「社会的評価 が低 い」の項 目において, 看護 ・准看学校群 の6.1%に比べ,16.4%,13.2%
と高 い傾 向があった。 また,看護 ・准看学校群 は,
「汚い」 において,1.9%の大学群,1.8%の短大 群 に比べ,8.5%と高い傾 向が見 られ, 同様 に「ス トレスが強い」,「将来性 がある」は低 く, 「高度 な 知 識」,「一生続け られ る」の項 目につ いては高 い 傾 向が見 られた。短大群 は, 「給料 が良い」におい て,13.1%の看護 ・准看学校群,13.2%の大学群 に比べ,7.3%と低 い傾 向が見 られ, 同様 に, 「高
50% P<0̲05
l
P<0̲05 32.7% 32 1%15.9%
香
学准 短大 大学
図2 教育機 関希望別 イメー ジ
皮 な判断」,「専 門職」 は,短大群 で高 い傾 向が見 られた。大学群 は, 「自分 に役立つ」の項 目におい
看護課程志望高校生の看護職に対す るイメー ジに関す る研究
て,37.8%の看護 ・准看学校群,35.4%の短大群 に比べ,45.3%と高い傾 向があ り,同様 に,「人生 の ドラマ」,「親 は賛成」は高い傾 向にあった。 ま た 「親 は反対」とす るものは皆無であった。「高度 な知識」は,看護 ・准看学校群36.6%,短大群29.1
%,大学群22.6%と学歴が高 くなる程,低 くイメ ー ジす る傾 向があった。
7.将来希望す る看護職種別の看護職 に対す るイ メー ジ :将来希望す る看護職種の うち,看護婦の み を希望す る者 (以下,看護婦群 とい う)139名,
保健婦のみ希望す るか,看護婦 と保健婦 を希望す る者 (以下,保健婦群 とい う)27名,助産婦のみ 希望す るか,看護婦 と助産婦 を希望す る者 (以下, 助産婦群 とい う)14名 を3群 に分 け,看護職 に対 す るイメー ジを比較 した。
助産婦群は,看護婦群 ・保健婦群 に比べ,図3 に示す ように 「女性に向いている」の項 目で有意 に高か った。 また助産婦群 は,保健婦群 に比べ,
「性格 に合 う」の項 目で有意に高か った。
また有意差 は見 られなか った ものの,保健婦
50%70% p<0‑05
3 5 ̲ 7
1% 100%50% 43̲2% 29̲P
6%< 0
6̲
4ー0 5
3%12‑2% 11 1%・ 0
香 保 助 香 保 助
護 健 産 護 健 産
蘇 蘇 蘇 棉 婦 蘇
図3 職種希望別 イメー ジ
群 ・助産婦群 は,「どこで も働 け る」の項 目で,29.5
%の看護婦群 に比べ,48.1%,50.0%と高い傾 向 があ り,同様 に,「生涯教育が必要」の項 目で も, 高い傾 向にあった。 また保健婦群 は,「親 は賛成」
の項 目で,63.3%の看護婦群,64.3%の助産婦群 よ りも,74.1%と高い傾 向が あ り,「誇 りを もて る」,「人 に役 立つ」, 「高度 な判 断」, 「技術 が あ る」,「知的」の項 目では,看護婦群,助産婦群に
比べ低 い傾 向にあった。助産婦群 は,ほ とん どの イメー ジが他 の群 に比べ比較的高か った。「つ らい 職業」だけが他 の2群 に比べ,低 い傾 向にあった。
考 察
看護課程 を志望す る高校生 は看護職 に対 して非 常に良いイメー ジを持 ってお り, しか も現実の厳 しさを理解 した上 で,看護職 を選択 しようとして
前 田 真紀子他
いる。また,マスメディアで言われ る3Kといった ネガティブな認識は低 い。 これ ら上位 に上が った 良いイメー ジは,看護職 の持つ尊 さや献身的側面 に由来す る自負心,資格 の持つ現実的利点に由来 す るもの といえる。そ して,看護職 を専 門職 と考 えるものが約半数 いるものの,看護職の専 門性 を 示す高度 な知識 ・判断 ・技術や,専 門職 として当 然すべ き生涯教育 (自己研鎮 ・継続教育) を必要 とす る仕事 であるとい う位 置づ けは低 い。社会的 評価が高い と認識す るものが約20%に過 ぎないこ と,職業 に対す る社会 の評価 を表す客観的指標 の 一つである給料が高い とイメー ジす るものが13% に過 ぎないことと考 え合 わせ ると,高校生の考 え る専 門職 としての看護職 とは,歴史的に女性 の技 術職 として位置づ け られて きた職業 で, ライセン スを持 ち,一定の給与 と資格が保証 されていると いった意味 を持 ってお り,明確 に規定 された高度 な知識 と技術 を持 った生涯教育 を必要 とす るエキ スパー トで,社会的に も高 く評価 された集団であ るとい う考 えは強 くない。特に短大 ・大学群 は, 看護 ・准看学校群 に比べ,看護職 の社会的評価が 低 い と認識 してお り,他学部の卒業者が持つであ ろ う高等教育 を受けた とい う自己肯定的な位置づ けは低 い。
我が国の急速な人 口の高齢化 によって,今後看 護職 の需要は益々高 まるが, 出生率 の低下 による 若年労働力の不足,女性の職業選択の 自由によっ て,看護職 の需要 を満 たす ことはよ り難 しくなる もの と思われ る6)。それに対 して,国 として も教育 機関の増設や待遇改善,離職防止や再就職 の促進 な どを考 えた施策 をとってお り, それ らの施策に よって看護職 に対す る社会的評価が上が る事が期 待 されている8)。また,女性の高等教育‑の進学が 増 え,男女雇用均等の考 えか ら,種種 の専 門職 に 女性が 目覚 ましく進出 している現代社会 の潮流の 中で,歴史的に女性の職業 とい う性役割 として と らえられたために社会的評価 の低 い看護職の地位 ち,看護教育の高等教育化 を背景 として相対的に 向上す ると思われ る。
看護職 の需要 を満 たすためには, この ような看 護職 の社会的評価の向上 を目指す一方,看護課程
へ の進学 を志望す る資質の高い高校生の増加 を計 るこ とが重要 であると考 えられ る。 そのために, 最終的な進路決定の時期 である高校生において, 看護課程 の希望 の有無 を問わず,で きるだけ多 く
の生徒 に看護職へ の期待や イメー ジを高 く持 たせ ることが重要 であろ う。 そ してそれは単に看護職 の もつ尊 さや献 身性 に由来す る自負心 と現実的有 利性だけではな く,看護の高い専 門性 と看護職 の 将来的発展性 を知 ること, また自らが看護学 を推 進 させ る原動力にな り得 る事 を理解 で きる機会 を 作 ってい くことが必要 である。厚生省健康政策局 長の諮問機関である看護制度検討会の出 した リポ ー ト「21世 紀へ むけての看護制 度 の あ り方」9)で は,看護職 のあるべ き姿 とは,専 門職 として誇 り うる社会的評価 を受け るものであるこ とが第一で あ り, そのためには専 門職 としての 自己研鎖 と, 教育体制の改善が必要であると報告 されている。
専 門職 とは明確 に規定 された一連の技能 と知識 を 持 った一団で,技能や知識 を活用す ることによっ て クライアン トと一線 を画 し,技能や知識 を根拠 として 自律 を果 た してい る と定義 されてい る2)。 また,専 門性 を高め るための 自己研費 は欠かす こ とがで きない。 日本の看護教育において も4年制 大学化,大学院の設置,専 門看護婦制度の導入な どなされているが,一方で旧態依然の教育機関 も 存続 したままである。 この点に関 して,他 国の場 令,例 えばオー ス トラ リアにおいては,看護職者 が 自分 たちの地位 と役割 を向上 させ るために積極 的に活動 した結果,全ての看護職月が大学教育 を 受け ることを可能 に した と報告 されてい る10)。全 ての看護職が近 い将来において,社会 のニー ドに 答 え得 る専 門性 を獲得 し,社会 の高い評価 と承認 を得 るこ とがで きるようにす るためには,全体的 な看護教育 レベルの向上,特 に大学教育の充実が 図 られ るべ きであろう。 また回答者の半数が短大 または大学 を志望 しているこ とか ら,高学歴志向 の高校生のニー ドを満 た してい く上 で も大学化 を 推 し進めてい く必要がある。
さらに,看護職 に対す るイメー ジは2極 に分か れてお り,人に役立つ,誇 りを持て る,一生続け られ るとす る一方, 肉体的 ・時間的に厳 しい とす
看護課程志望高校生の看護職に対するイメ‑ジに関する研究
るネガティブなイメー ジも高い。 また給料 が良い とイメ‑ ジした ものが少 なか ったことも,ネガテ ィブなイメー ジといえる。看護 を志望す る高校生 においては, このネガティブなイメー ジも自己昇 華的に肯定へ と方向づ け られてい るが, よ り広範 に良い人材 を求め る上 では,障害 として作用す る であろう。 また,高位 に挙 げ られたネガティブな イメー ジは,高校生が看護職の労働条件の中で も 特に厳 しい と感 じ,改善 を望 んでいる項 目と考 え られ る。高度医療化 は夜勤の仕事量 を増加 させ, 3交替制 による不規則 な生活は生活 リズム を乱す ため, 肉体的精神的疲労は大 き く, さらに一般人 の生活パ ター ンと大 き く異なるため,普通の社会 生活 を営むことを困難に していると指摘 されてお り6), これは看護職 が従来か ら改善 を求めて きた 事 で もある。 また看護職 の労働 に見合 った報酬 を 得 ていないことも,看護職 の労働条件の厳 しいこ とと合 わせて,看護職者の離職の原因になってい るこ とは指摘6)されて きた通 りであ る。看護職 の 社会的評価 を高め るためには,教育制度の変革 を 通 じた看護職 の地位の向上 と合 わせて,労働条件 の改善,特に看護職の人月確保 による夜勤 回数 の 減少 と夜勤人数の増員,専 門性 と労働 に見合 う報 酬 を確保 される÷とが必要 であろう。
次に,短大 ・大学希望者が看護 ・准看学校希望 者に比べ,生涯教育の必要性 を認識 していたこと は,今後の看護教育の方向性 を示唆 していると言 える。看護学教育の 目的は,看護学に基づ いて判 断 し,主体的に創造的に質の良い看護ので きる看 護婦 を養成す ることであ り, そのためには知識学 習だけではな く卒業後 も絶 えず 自己学習 してい く 能力 を育てること,つ ま り学び方 を学ぶ ことが重 要 であると考 えられている11)。今 回の結果 は,継続 して主体的に学習す る能力の素地 を既 に獲得 して いるものが,看護教育制度の改革に伴 う教育 レベ ルの向上によって,看護職 を選択す る傾 向にある ことを示 してい ると思われ る。
一方,看護 ・准看学校希望者は,他群 に比べ,
「社会的評価が低 い」 と思 っているものが少 ない 傾 向にあ り, また「高度 な知識」,「一生続け らる」
が比較的高い ものの,「将来性がある」,「汚い」,
「ス トレスが高い」が比較的低 い傾 向にあった。
生涯教育の必要性 の理解が,短大 ・大学希望者に 比べ,低 いこ とと考 え合 わせ ると,看護 ・准看学 校群 は,短大 ・大学希望者に比べ,看護職 のおか れてい る現在 の状況 を比較的肯定的に受け入れて いたため,現状 に満足的であ り,向上心 ・生涯教 育の必要性 を高 く認識 していないのではないか と 思われ る。 また短大希望者 は,生涯教育の必要性 を高 く認識す る と共 に,他 の群 に比べ て 「専 門 職」,「高度 な判断」が比較的高率 で,現時点での 看護職 の専 門性 を肯定的に評価 していると考 えら れ る0‑万大学群 は,短大群 と比べ る と,「専 門 職」,「高度 な知識」,「高度 な判断」は低 く,現時 点での看護職 の専 門性が高い とは評価 していない。
しか し大学群 は,他群 と比べて 「自分 に役立つ」,
「人生の ドラマ」が比較的高 く,生涯教育の必要 性 を高 く認識 しているこ とを考 え合 わせれば,現 在の看護職 の専 門性 を一定程度否定的に見 ること
を通 じて, 自分が主体的に取 り組んでいこうとい う意欲 につなが るもの をもっているのではないか と思われ,看護 の専門性 をよ り高め る原動力 とし て期待 で きる。 また,荒川 らは,短大看護学生が, 短大進学決定時に, 4年制大学 でないことと一般 に看護婦 は きつい仕事 である事 を主たる理由に, 保護者や高校教 師か ら反対 にあってお り, 自分 の 意志で進路決定 を行 っているが,母親 と高校 の担 任教 師の影響 も大 きい と指摘 してい る4)。本調査 では,大学群が他 の2群 に比べ 「親が賛成」が高 い傾 向にあ り,「親が反対」 は皆無であった。4年 制大学へ の志望 は,短大,看護学校 に比べ,周囲 か らの反対や干渉 を緩和 しやす く,4年制化 は進 路決定 に際 して周囲の影響 も受け易 い高校生が看 護職 をよ り選択 しやす くなるもの と思われ る。以 上の如 く,看護教育制度の改革は進学 を志望す る 生徒 の考 え方の多様化 に対応 してお り,女性の専 門的職種への進出 とい う時代背景の中で, さらに 推進 してい く意義 は大 きい と考 える。
また高校生が看護職 としての活躍 を希望す る領 域 は,病院だけではな く,福祉施設 ・地域 などに 拡がっていた。種種の看護職 に対す るイメー ジも, 将来看護婦 ・助産婦 ・保健婦 の何れ を希望す るか
前 田 真紀子他
によって違いが見 られた。助産婦 を志す生徒 は, 看護職が女性 として 自分 の性格 に合 うと明確 にイ メー ジしてお り,看護職 に対す るイメー ジは全体 的に良か った。 これは助産婦 とい うイメー ジが出 産の場面 を通 して具体 的に とらえられ るため, 自 分 の資質 と結びつけやす いことによるのであろ う。
一方保健婦 を希望す る者は,性格 に合 うとイメー ジす るものが低 く,親 は賛成 しているが,看護職 に対す るイメー ジは他 の群 に比べ,必ず しも良 く はない。 これは 自分の性格 にはそれ程合 うもので はないが,看護職の安定性や周囲の勧めによって 志望す るとともに,一定の高学歴志向 も満 たされ ていると考 えられ る。両親 をは じめ周囲の者に と って も,看護職の うち夜勤のない保健婦 は,比較 的勧めやすいのではないか と思われ る。 また,保 健婦 に対す るイメー ジが助産婦 ほ ど鮮 明でないの は,一般 の高校生が保健婦活動 にふれ る機会 は少 ないため,地域 での地道 な活動の多い保健婦業務 をよ り具体的にイメー ジす ることが難 しいため と 思われ る。 また,保健婦 ・助産婦 を希望す る者は 看護職 のみ を希望す るものに比べ,「どこで も働け る」が共に高い傾 向にあ り,看護職 に対 して付加 的価値 を求めているとともに,活動範囲の広 さを 求めていると思われ る。一方看護婦のみ希望す る 者は,保健婦 ・助産婦希望者に比べ,「生涯教育が 必要」の項 目が低 い傾 向にあった。 これは一般的 経験やマスメディアを通 して得 られた看護職 に対 す るイメー ジが固定化 されているためであ り,今 後 はこれ ら以外の情報源 として,例 えば高校生一 日入学や ボランティア活動 など,看護実践に触れ る機会 をもっ と提供す ることが重要 であると考 え る。
以上の如 く,高校性 は,看護職 に対す るイメー ジによって志望す る教育機関や将来の看護職種 の 希望が異なる傾 向があ り,看護教育制度の変革は, 看護課程 を志望す る学生の多様化 と一致 しているO この ように広が りのあるイメー ジを持 って入学 し て くる学生の能力 を如何 に伸 ば してい くことがで きるかは,受け入れ機関の今後の課題 であろう。
また,小 島12)や若林,水野,佐野13)は,世俗的なイ メー ジを持 った入学生が,入学後の看護教育 を通
して, よ り現実的なイメー ジを形成 していること を明 らかに している。多様 な期待 をもって入学 し て くる学生が, それぞれ どの ように成長 してい く のか を追跡 してい くことも必要 であろう。 さらに, 看護職種が病院内だけではな く,地域や施設で も 活躍 しているこ とが理解 されつつあることは望 ま しいこ とであるが,職種 に よっては高校生に とっ てイメー ジの難 しい ものがあることも認め られた。
今後は高校生が病院内だけではな く,地域や施設, 企業,学校 な どいろいろな方面で活躍す る看護職 につ いて も具体的に理解 で きるよう働 きかけてい
くこ とが必要 であると考 える。
お わ り に
看護課程 を志望す る高校生は,看護職の現実の 厳 しさは知 りつつ も,看護職 の尊 さや献身性 に由 来す る自負心,社会‑の貢献度, ライセンス と安 定性 といった点で,良いイメー ジを持 っている。
しか し看護職 は専 門性が高 く,社会的評価 を有 し ているとは認識 していない0‑万,短大 ・大学 を 希望す る高校生は看護 ・准看学校希望者に比べ, 看護職 は生涯教育が必要だ と位置づ け るようにな って きている。看護職 を希望す る資質の高い高校 生 を確保す るためには,高校生の看護職 に対す る 期待や イメー ジを高め ることが必要 であるが, そ のためには看護職が専 門職 として妥当を社会的評 価 を受け られ るよう,看護職 自らの 自己研鎖 と教 育制度の変革,及び労働条件 の改善が必要である。
四年制大学化 はその主要 な教育制度改革の一つで あると考 える。 また高校生が看護職 に対 して現実 的なイメー ジを持つ ことので きる機会 を提供す る こと,医療機関以外 での活躍領域の紹介 をすすめ てい くことに よって,高校生の看護職 に対す るイ メー ジは高め られ ると思われ る。
文 献
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I mage sofnur s e sbys e ni orhi ghs c hools t ude nt swi s hi ngt ogoo nt o t henur s i ngc our s e
MakikoMAEDA,HarumiTAKABATAKE,MasukoKoNDO,TakeoOHTA,
KoichiKITAJIMA
Abstract
A qusetionnairesurveywasdonebyseniorhighschoolstudentswishingtogoontothenursing courseinOkayamaPrefecture,toknow whatimagesofnursestheyhad,whatcoursefornursing educationtheywishedtobestforandwhattheywouldlikenursingprofessiontobe.Resultsof analysingdataobtainedfrom 222studentswereasfollows;
1.Theyhadfavorableimagesofnursesinhigh rates,although theyalsorecognizedtheharsh workingconditions.Thoseimageswerethoughttobederivedfrom thepreciousnessofnursing, devotiontopeople,andadvantageofthelicense.Butrecognitionofspecialtyofnursingindicated byitemssuchasknowledge,judgement,Skillandcontinuingeducationwaslow.
2.Necessityofcontinuingeducationwasrecognizedbystudentswishingtogoontouniversityor juniorcollegebetterthanstudentsofvocationalschoolofregisteredandassistantnurses. 3.Imagesofnursesweredifferentbytheirchoiceofprofessionsuchasclinicalnurses,publichealth nursesandmidwiveswhichtheywouldliketobeinthefuture.
Keywords:imagesofnurses,nursingcourse,seniorhighschoolstudents,nursingprofessions SchoolofHealthSciencesOkayamaUniversity