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第66回日本口腔外科学会総会・学術大会 2021-11-12~14 幕張メッセ

ミニレクチャーML30

臨床歯科栄養学からみる食べること

Eating from the perspective of clinical dental nutrition

海老名総合病院歯科口腔外科

Dentistry / Oral and Maxillofacial Surgery, EBINA General Hospital

石井良昌

YOSHIMASA ISHII

本発表の病態写真は患者または家族の同意を得ています

2021/11/12

ミニレクチャーML30 臨床歯科栄養学

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ミニレクチャーML30 臨床歯科栄養学

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第66回公益社団法人日本口腔外科学会 総会・学術大会

COI開示

筆頭発表者氏名:石井良昌

演題発表に関連し、

開示すべきCOI関係にある企業などはありません

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恒常性 疾病

不活発な生活習慣

口腔機能低下

低栄養

加齢

剛健

プレフレイル

フレイル

自立

加齢とともに恒常性が低下し、さまざまな疾病、生活習慣、口腔機能低下、低栄養などの 要因によりフレイルとなり、要介護状態となるフレイルとなると外的ストレスに対し、脆弱性を示す

葛谷雅文:老年医学におけるSarcopenia & Frailty の重要性.日老医誌 ; 46: 279―285, 2009. より改変

要介護状態

老年症候群

生物学的寿命(男80.98歳・女87.14歳) 健康寿命(男72.14歳・女74.79歳)

フレイルと加齢との関係

不健康寿命

(男8.84歳・女12.34歳)

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ミニレクチャーML30 臨床歯科栄養学

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「healthy aging;健康な老化」のためにも オーラルフレイルを早期予防することが不可欠

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3項目以上に該当:フレイル、1~2項目に該当:プレフレイル 該当なし:ロバスト(健常)

項目 評価基準

1 体重減少 6ヶ月で2kg以上の体重減少 2 筋力低下 握力:男<28kg 女<18kg

3 疲労感 (この2週間)わけもなく疲れたような感じがする

4 歩行速度 歩行速度:<1.0m/秒

5 身体活動 ①軽い運動・体操をしていますか?

②定期的な運動・スポーツをしていますか?

上記の2つのいずれも「週に1回もしていない」と回答

表1 フレイル診断基準

改定日本版CHS基準(改J-CHS基準)

10) Shosuke Satake, HidenoriArai; The revised Japanese version of the Cardiovascular Health Study criteria (revised J‐CHS criteria). October 2020 Geriatrics and Gerontology International 20(10):992-993 DOI:10.1111/ggi.14005

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ミニレクチャーML30 臨床歯科栄養学

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表2 フレイルの要因

サルコペニア

(関連要因) 食事の質の低下 微量栄養素の 血中濃度の低下 ビタミンD濃度の

低下

活動性の低い 生活習慣

テレビの鑑賞時間が 長い

社会的孤立 抑うつ・アパシー 周辺環境 難聴 ポリファーマシー 糖尿病

慢性腎臓病 肥満 心血管疾患

HIV感染 メタボリック

シンドローム 認知機能低下

日本サルコペニア・フレイル学会編

日本サルコペニア・フレイル学会認定 サルコペニア・フレイル指導士テキスト 新興医学出版社 東京

2020年より改変

食事との関連

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ミニレクチャーML30 臨床歯科栄養学

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健康長寿(フレイル予防)のための「3つの柱」

①食事(タンパク質、そしてバランス)

②歯科口腔の定期的な管理

①お友達と一緒にご飯を

②前向きに社会参加を

①たっぷり歩こう

②ちょっと頑張って筋トレ

栄養

食・口腔機能

身体活動

運動、社会活動 など

社会参加

就労、余暇活動、

ボランティア

日本歯科医師会 歯科診療所におけるオーラルフレイル対応マニュアル2019年版

https://www.jda.or.jp/dentist/oral_flail/pdf/manual_all.pdf(2021年3月閲覧)より作図

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ミニレクチャーML30 臨床歯科栄養学

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フレイルへの影響度

日本歯科医師会 歯科診療所におけるオーラルフレイル対応マニュアル2019年版

https://www.jda.or.jp/dentist/oral_flail/pdf/manual_all.pdf(2021年3月閲覧)より作図

図14 オーラルフレイルの概念図

第1レベル 口の健康リテラシー

の低下

歯の喪失リスク の増加

不十分な 口腔健康への関心

ポピュレーション アプローチ

社会的フレイル 精神心理的フレイル

自発性の低下

地域保健事業 介護予防による対応

食品多様性の低下 噛めない食品の増加

滑舌低下 食べこぼし

食欲低下 むせ

第2レベル 口のささいな

トラブル

地域歯科診療所で 対応

口腔不潔・乾燥 咬合力低下 口唇・舌の機能低下

低栄養 咀嚼機能・

嚥下機能低下

専門知識を持つ 医師・歯科医師・

多職種連携による対応

運動障害 咀嚼障害 摂食嚥下障害

要介護

第4レベル

食べる機能の障がい

サルコペニア

第3レベル 口の機能低下

栄養障害

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ミニレクチャーML30 臨床歯科栄養学

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「食べること」

食べられないこと ≠ 摂食嚥下障害 食物が口に入り、

消化・吸収されるまでのプロセス

腸管機能障害・呼吸不全

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ミニレクチャーML30 臨床歯科栄養学

認知・捕食・咀嚼 摂食・嚥下

狭義

摂食嚥下

広義

消化吸収

摂食嚥下 障害

栄養 障害

8

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「臨床歯科栄養学」

「口腔の状態を考慮した栄養管理と、

栄養状態を考慮した『食べること』につながる 歯科臨床を提供する学問」

「歯科」と「栄養」のコラボレーション

「低栄養は歯科疾患がひとつの原因であり、結果である」

ことを踏まえ、歯科治療を必要としているひとに対して

「しっかり噛めていますか?」から「しっかり食べていますか?」

と歯科的ニーズに介入し、臨床的効果を得ることで 元気な世の中づくりに貢献する

元気に食べていますか?

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ミニレクチャーML30 臨床歯科栄養学

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ミニレクチャーML30 臨床歯科栄養学

消化のしくみ

唾液:1.5L

●アミラーゼ

炭水化物の消化を促す

胃液:2L

●胃酸

食物繊維を柔らかくする

●ペプシノーゲン

胃酸により蛋白質分解酵素の ペプシンに変化する

●胃粘液

胃酸などから胃を守る

胆汁:0.5L

●胆汁酸

脂肪の消化を促す

膵液:1.5L

●リパーゼ

脂肪の消化を促す

●アミラーゼ

炭水化物の消化を促す

●トリプシン

蛋白質の消化を促す

移動 時間

10秒

2-4

時間

15時間

歯・顎・口腔

10秒

咀嚼

嚥下

蠕動

運動 様式

唾液腺 舌・喉頭

食道

小腸

十二指腸 空腸 回腸

大腸

盲腸 結腸 直腸

腸液:1.5L

●ペプチターゼ

蛋白質分解酵素

●マルターゼ

糖質の消化を促す

2-4

時間

10

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2021/11/12

ミニレクチャーML30 臨床歯科栄養学

ビタミンB12欠乏症と薬物相互作用

薬剤名 プロトンポンプ阻害薬(オメプラゾール、

ランソプラゾールなど)

ヒスタミン2(H2)受容体拮抗薬

(シメチジン、ファモチジン、ラニチジンなど)

主な対象疾患 胃食道逆流疾患(GERD) 消化性潰瘍疾患 主な機序 食物からビタミンB12を遊離するのに

必要な胃酸の分泌を顕著に減らす 食物からのビタミンB12吸収を減らす 長期使用 血中ビタミンB12濃度を下げる 長期使用が明白なビタミンB12欠乏症を引

き起こすのかどうかは明らかでない(87, 88) ビタミンB12欠乏

症発症時期

少なくとも3年間の継続治療の後まで

は一般的に発症しない(85, 86) ーーーーー

対応策 吸収に胃酸を必要としないサプリメントの形態でビタミンB12を摂取する

85. Dharmarajan TS, Kanagala MR, Murakonda P, Lebelt AS, Norkus EP. Do acid-lowering agents affect vitamin B12 status in older adults? J Am Med Dir Assoc. 2008;9(3):162-167. (PubMed)

86. Wilhelm SM, Rjater RG, Kale-Pradhan PB. Perils and pitfalls of long-term effects of proton pump inhibitors. Expert Rev Clin Pharmacol. 2013;6(4):443-451. (PubMed)

87. Valuck RJ, Ruscin JM. A case-control study on adverse effects: H2 blocker or proton pump inhibitor use and risk of vitamin B12 deficiency in older adults. J Clin Epidemiol. 2004;57(4):422-428. (PubMed)

88. Termanini B, Gibril F, Sutliff VE, Yu F, Venzon DJ, Jensen RT. Effect of long-term gastric acid suppressive therapy on serum vitamin B12 levels in patients with Zollinger-Ellison syndrome. Am J Med. 1998;104(5):422-430. (PubMed)

11

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口腔

肛門 盲腸

十二指腸 膵臓 胆嚢 肝臓

胃 食道

上行結腸 横行結腸

S状結腸 下行結腸 回腸 空腸

栄養素が血液またはリンパ液中に 取り込まれる吸収部位

エタノール(胃30%・小腸70%)

十二指腸下部~近位空腸 Ca 2+ 、Fe 2+ 、単糖類

空腸

タンパク質、ビタミン類 脂肪・脂溶性ビタミン

(胆汁酸によるミセル化が必要)

遠位空腸~回腸 胆汁酸、Mg 2+

ビタミンB12(胃の内因子および 塩酸存在下が必要)

小腸 ビタミンB1

小腸・大腸 水分・電解質

直腸

咽頭

吸収のしくみ

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ミニレクチャーML30 臨床歯科栄養学

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新規発症の危険度

(約4年間追跡) 正常群 オーラルフレイル群 身体的フレイル 1.0 2.41倍

サルコペニア 1.0 2.13倍 要介護認定 1.0 2.35倍 総死亡リスク 1.0 2.09倍

Tanaka T et al: J Gerontol A Biol Sci Med Sci. 2018;73(12):1661-7. をもとに講師作成

オーラルフレイル:3項目以上該当

残っている歯が 20本未満

咀嚼(かむ)

力が弱い

舌の力が 弱い 滑舌の低下

(舌の巧みさ)

固い食品が 食べづらい

むせが 増えてきた

図15 オーラルフレイル該当者における新規発症の危険度(柏スタディー)

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ミニレクチャーML30 臨床歯科栄養学

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EAT-10: The 10-item Eating Assessment Tool

日本歯科医学会: 口腔機能低下症に関する基本的な考え方. 平成30年3月.をもとに講師作成

①口腔衛生状態不良 舌苔の付着程度

②口腔乾燥 口腔粘膜湿潤度(口腔水分計)

または唾液量(サクソンテスト)

③咬合力低下 ①咬合圧検査(感圧フィルム)130点 または残存歯数で評価(20歯未満)

④舌口唇運動機能低下 オーラルディアドコキネシス

⑤低舌圧 舌圧測定器140点

⑥咀嚼機能低下 咀嚼能力検査(グルコース含有グミゼリー咀嚼 時のグルコース溶出量を測定するもの) 140点 または咀嚼能力率スコア法

⑦嚥下機能低下 嚥下スクリーニング検査(EAT-10)

または自記式質問票(聖隷式嚥下質問紙)

2021/11/12 ミニレクチャーML30 臨床歯科栄養学 14

「口腔機能低下症」の診断基準

7項目のうち3項目以上該当→口腔機能低下症

(15)

神奈川県・口腔ケアによる健康寿命延伸事業

未病改善のためのオーラルフレイル改善んプログラム より転載

図10

2021/11/12 ミニレクチャーML30 臨床歯科栄養学 15

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① 準備相:

食塊を包む

② ねじれ相:

歯の上にのせる

③ 保持相:

歯の上に保持

2021/11/12 ミニレクチャーML30 臨床歯科栄養学 16

咀嚼中の舌の動き

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2021/11/12

ミニレクチャーML30 臨床歯科栄養学

Cederholm T, Jägrén C, Hellström K. Outcome of protein-energy malnutrition in elderly medical patients. Am J Med 1995; 98: 67–74.

東口髙志 急性期医療から在宅介護・生活支援を結ぶ栄養管理 日補綴会誌

8 : 113-118, 2016

より引用

17

(18)

2021/11/12 ミニレクチャーML30 臨床歯科栄養学 18

10 20

28

42 70

1日のエネルギー消費量の割合

食事誘発性熱産生など 身体活動量 筋肉 脳/消化器など

基礎代謝

必要摂取カロリー=基礎代謝✕10/7 (1.43)

脳・消化器

筋肉

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ミニレクチャーML30 臨床歯科栄養学

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食事誘発性熱産生 (DIT; Diet Induced Thermogenesis ) 食事をした後、安静にしていても代謝量が増大すること

食事を摂ると体内に吸収された栄養素が分解され、その一部が体熱となって 消費されるため、代謝量が増える

この代謝を食事誘発性熱産生または特異動的作用 (SDA;Specific Dynamic Action) という

エネルギー消費量

たんぱく質のみを摂取した時 摂取エネルギーの約30%

糖質のみを摂取した時 摂取エネルギーの約6%

脂肪のみを摂取した時 摂取エネルギーの約4%

通常の食事を摂取した時 摂取エネルギーの約10%

加齢や運動不足で筋肉減少により 基礎代謝が低下するだけではなく 食事誘発性熱産生も低下する

トレーニングで筋肉増加により、食事誘発性熱産生も高くなる

食事の摂り方として よく噛まずに飲み込んだり、流動食を摂る場合に比べて、

よく噛んで食べるほうが、食事誘発性熱産生は高くなる

(20)

Nutrition Care 2021 vol.14 no.5

より引用

2021/11/12

ミニレクチャーML30 臨床歯科栄養学

20

臨床歯科栄養学からみる食べること

ご清聴ありがとうございました

結果への介入から 原因への介入へ:にっぽんの未来を創る

参照

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