山の子 171
2021年4月
― 目次 ―
愛でる渓を攀じ泳ぎ頂稜へ 愛でる道なき尾根を攀じ頂稜へ
愛でる岩を攀じり頂稜へ 凍てつく雪稜を攀じり頂稜へ 体、知、心を駆使して無事下山する
こんな山行を楽しんでいる
「山の子」
~ 表紙の写真 備中 2 ルンゼ ~
3 山行・行事記録 雪 猿ケ馬場山、壱枚壁 堺 5
雪 備中長屋坂 女王様 徳岡 9
山スキー 大山振子沢 下岡 10 徳岡 12
縦走 松山近郊の山 縦走 太田 13
雪 野田ヶ山スキー 堺 14
編集後記 徳岡
山行・行事計画
山の子日記
2021 年 山 行 ・ 行 事 計 画 表
2 月 3 月 4 月 5 月
1比婆山 1 1 1
2 2 2 2
3 3 3吉田の岩場 3
4 4 4↓ 4
5 5 5 5
6備中長屋坂 6 6 6
7伯耆大山、瓶ケ森、恐羅漢 7大山振子沢 7 7
8 8 8 8
9 9 9 9
10 10 10 10
11備中長屋坂、西赤石、三ヶ森 11 11 11
12↓ 12 12 12
13毛無山 13 13 13
14 14観音山、スギ立山 14 14
15 15 15 15
16 16 16 16
17 17 17 17
18 18 18 18
19 19 19 19
20二の森、猿ヶ馬場山 20 20 20
21壱枚壁 21 21 21
22 22野田ヶ山 22 22
23伯耆大山 23 23 23
24伯耆大山 24 24 24
25 25 25 25
26 26 26 26
27備中長屋坂、吉田の岩場 27 27 27
28↓ 28 28 28
1 29陰地谷 29 29
2 30備中2ルンゼ 30 30
3 31 1 31
場 所 種 類
3月 7 大山振子沢 山スキー 〇 〇
14 観音山、スギ立山 縦走 〇
18 二の森 縦走 〇
22 野田ヶ山 雪 〇 〇
29 陰地谷 沢 〇
30 備中 2ルンゼ 岩 〇 〇 〇
場 所 種 類
4月 3 ~ 4 吉田の岩場 岩 〇 〇 〇 〇
小 田
横 矢
山
日 時 口
下 岡
曽 我 部
田 中
徳 岡
大 島
渡 部
3~ 4月 の 計 画 ・ 行 事 太
田
高 須
賀 堺 梶 野
堅 田
小 田
横 矢
山
日 時 口
田 中
徳 岡
大 島
渡 部
下 岡
曽 我 部
3月 の 計 画 ・ 行 事 太 田
高 須 賀
堺 梶 野
堅 田
2月21-22日 メンバー: 下岡、堺
21日(快晴)みだしまP7:25 帰雲山15:10 猿ケ馬場山14:15 萩町八幡神社17:30 22日(晴)登山口7:20 壱枚壁10:35 登山口13:00
猿ケ馬場山、壱枚壁 堺秀司
地形図1/25000 平瀬、鳩谷、御母衣
雪
奥美濃、飛騨高地や両白山地には知名度は低くとも、いい山が数多くある。無 雪期はヤブが濃すぎてなかなか意欲がわかないけれど、季節が冬になり雪さえ積 もれば、一躍山スキーの対象に昇格する山々があるのだ。特に今シーズンはこの 地域に潤沢な降雪がもたらされたおかげで、いいタイミングで入山してパウダー スノーを堪能した山スキーヤーは多いに違いない。
「遠い」というハンデはあるが、あわよくば我々もおこぼれを頂けるんじゃな いかと期待して白川郷を目指した。初日は猿ケ馬場山、二日目は壱枚壁の2本立て を計画した。
21 日 猿ケ馬場山
庄川左岸の「みだしま駐車場」から出発。林道や谷伝いに 3時間弱で稜線に乗る。すると西方に裾を広く伸ばし懐深い白山が堂々とした山容 を現す。しかし素晴らしいロケーションとは裏腹に、雪面は春の陽気と日射しで 湿っぽく重かった。― 白山へのびる稜線が美しい ―
長い稜線歩きにげんなりしながらやっとこさで猿ヶ馬場山頂上台地に乗ると、
東方に薬師岳や黒部五郎岳が見えた。このGWに予定している北ノ俣岳の広大な 斜面もはっきり確認できて気分が盛り上がる。
展望が素晴らしくて時間がおしているのを忘れていた。「帰り道、急ごうや」。
シールを剥いで高度差1300mの滑走スタートだ。湿って重い雪を上手くいなして 滑走。途中で2回の軽い登り返しあり。夜行で睡眠不足の長い一日に、ラストの杉 植林帯まで下ってきたら両脚がヘロヘロにへばっていた。
22日 壱枚壁
国道156号の御母衣集落手前、深谷橋から出発。林道をショートカットして奥の作業小屋を通過、その流れで自然林の尾根に取り付く。高度が上が ると右手に三方崩山の大ノマ谷が子細に見え始める。ピークから一直線の急斜面に は幾筋ものデブリがあり生々しかった。
滑走する北東尾根のドロップポイント1198m標高点を通過して、四等三角点
『壱枚壁』1338.4mへ向かう。三角点まで上がりきると南側に広いダム湖をもつ 御母衣ダムが見えた。ここから滑走開始だ。
1198m標高点までのブナ林斜面は雪質が良く快適に滑れた。日の当たらない北 東斜面にはまだ軽い雪が残っていた。
1198m標高点まで滑ったら、右折して北東尾根に入る。地図上では細めの尾根 かと想像していたがそれほどでもなかった。快適にターンできる横幅があった。
H=1000mから下100mはヤセ尾根、南側面をすくうように降りた。やがて杉林に変 わり傾斜が落ちる。左手の谷を渡渉できるポイントを探りながら谷沿いに。雪が 繋がったポイントでシールを使って向こう岸に登る。
送電線を目安に作業小屋跡にもどると、最後は林道を国道まで駆け下りた。今 日もケガなく無事に終了した。ブナ林では、白い冬毛のホンドオコジョがひょっ こり顔を出して、しばし見つめ合うというサプライズもあった。
― 調子こいてズッこけるなよ ―
今回2日間好天に恵まれた。ガスに煩わせることもなく視界良好でストレスはな かったし、山々の展望も素晴らしかった。不満といえば、暖かすぎて湿雪斜面が 多く滑走がいまひとつだったことだが、それはまた次回に期待しよう。
この山域には登ってみたい山がいくつもある。知識を蓄えて土地勘を肥やし滑 走力も底上げし、思い入れをたっぷり募らせて戻ってこようと誓った。
備中長屋坂 女王様
地形図1/25000 備中高松城
岩
徳岡幸人
昨秋から今年の2月頭まで長屋坂に通い、ストライクバック11b 、黒鳥の交差点 11c、フリッカー11C本を落としてきた。
その横で何人ものクライマーがMorisama12a/b、女王様12b、カウントダウン12aを落 としていた。彼らの姿をうらやましく思いながらクライミングを始めたころ、遠く て果てしないあこがれだった12台をどうしても触りたくなって挑戦を開始した。
選んだ課題は女王様12b。トライは途中怪我で中段した日も含め、計6日に及んだ。
下部はスラブで出だしの足が悪いが、よく見れば細かいフットホールドがあるの でそれらを拾ってムーブを起こす。
下部を抜けると核心部だが、手前でレストでき、キョンや浅い二ーバーを交互に 駆使することで5分ほどその場でとどまりフルレストできる。核心部は左回りと右回 りがあり、手数の少ない左回りを選択。12手続く核心部分をなるべくスタティック にこなせるムーブを見つけるのに計5日かかった。
核心部分の最後は、クリップをとばしてマントル返しからのガバへのデッド。失 敗すると体が横になった状態で5m以上の大墜落になるので怖いが、ハングドッグの 中で、エイや!と右手を出すと、思ったよりも簡単にガバとりできることに気づく。
R.Pした便では、下部でクリップ仕方を変えるなど消耗を少なく抜けて、レスト後 に核心部をこなす。最初から最後まで迷いなく手順をこなしていく。最後のマント ル返しからのデッドでの手出し。両手に意識を向けるとまだまだ保持力が残ってい る。ギャラリーのガンバの声援に背中を押されるのを感じながら ヤッ と手を出 し、ガバをつかんでニヤリ!
核心後をぬけたあとの上部はガバつなぎ だが、レストをしないとヨレおちする。確 認しておいたレストポイントできっちり息 を整えつつミスなくこなして終了点にク リップ。
やっほぅぅぅぅやったぜぇぇぇ。
初12ゲットがうれしくて、全力で叫んだ。
メンバー:堺・下岡
3月7日(晴れ) 7:25奥大山P(760m)---10:15キリン峠手前のテラス(1300m)--- 10:50振子沢(1050m)---12:40振子の頭(1636m)---13:45地獄谷---14:50テラス-- -16:40下山
大山振子沢 下岡久美香
地形図1/25000伯耆大山
山スキー
中国地方の山スキーでナンバーワンをつけるとしたら、やはり残雪期の大山 振子沢だ。ここはスイスアルプスか?と錯覚してしまうほど日本ばなれした谷 は圧巻で、華がある。春ここに来ずしてシーズンを終えるわけにはいかないの だ。側壁からのデブリも落ち着き、ザラメを堪能できる時期を狙って行ってき た。
奥大山スキー場からキリン峠まで、始めは緩やかなブナ林歩き。最後の急登 はガチガチアイスの上にうっすら新雪。シール登高では厳しくなったので板を 担いだ。テラスでシールを外してキリン沢方面に向かってトラバース。枝沢を 地獄谷に向けて滑ったが、北斜面は日当たりが悪くクラストしていて危険だっ た。振子沢出合まで下り、再びシール登高。振子山のカーブを曲がると待望の 景観が現れた。雪も緩んできて、ゆうことなしだ!
今日のピークは振子の頭(1636m)、これまでの苦労が吹っ飛ぶ素晴らしい眺め。
お待ちかねの滑降は滑り出しで硬いところもあったが、後はザラメ快走となった。
キリン峠までの登り返しで下岡のビンディングにアクシデント発生。シール登 高はもちろん滑降も不能となり、スキーも人間もただのお荷物になってしまった。
日が長いのと雪も締まってツボ足で歩けたので助かったが、これが厳冬期だと考 えるとぞっとした。
今回の山行では、スキーの機動力を改めて実感した。山スキーは最高に楽しい 遊びだが、一歩間違えば大事故につながる。特に春山は雪面状況が目まぐるしく 変化するので、滑走の判断や技術も重要だ。気を緩めることなく、これからも楽 しんでいきたいと思う。
数年前のことだが、岩場でトップロープを仕掛ける際、
何も考えずにロワーダウン用のカラビナに直掛けしてい た。
ある人気ルートを登り終えたあと、残置カラビナを チェックすると、半分以上摩耗いることに気が付き、慌 てて手持ちのビナと交換した。
降りてきてそれまでの自分の行為を振り返り、トップ ロープの残置への直掛けが、残置ビナを消耗させる行為 であり、他のクライマーの安全を脅かすことに思い至っ て大反省した。
おまけで後日、別のクライマーからトップロープの残置 ビナ直掛けを注意され、火の出るほど恥ずかしい思いを した。
その後は岩場に行く際、必ず数枚、交換用ビナを携帯。
すり減った残置ビナがあれば交換するようにしている。
過去の行いの罪滅ぼしになればいいのだが・・・・
徳岡
岩場での恥ずかしい経験
メンバー:太田 3月14日(日)晴れ
松山近郊の山 縦走 太田正博
1/25000地形図 松山北部、松山南部
縦走
松山と今治を結ぶ県道317号線を走ると、石手川ダムの東に連なる山が見える。
足柄山、杉立山である。湯の山の交差点から平井に通じる道沿いに榎ケ峠を境に南に関が森、
観音山がある。最高点でもⒽ600Mそこそこの連山である。
この界隈の山も冬の眠りから覚めたばかり、木々の芽吹きの頃、地を這う動物、飛び交う虫 などもおらず、快適な縦走ができると出かけた。
稜線が石手川に没する日浦トンネル近くに、自転車デポする。良き日と思われる早朝、湯の 山から平井に向かう。稜線の末端、明星院参拝者用駐車場にデポ、地図ではここから農道(林 道)が観音山近くまで伸びている。早朝の平井丘陵は、のどかな田舎のたたずまいである。
農道を行くが(ぷっり)と消え、藪になるが尾根に上がるとまた農道があり、安心する。
ここからは東温アルプス、石鎚山塊の山並みが一望である。石鎚山から日の出も拝むことが できた。過ってミカン畑が広がっていたであろう丘陵地帯,今は猪の住処となっている。
ますます展望良し、重信川を中心に田園風景と山並みがマッチしいい景色である。
すでに雑木林、植林地に延びる道に変化、道も狭まり、行く人なしか❓行く手をシダに遮ら れるが往時踏み跡は残っており前進することができた。(このシダを刈れば観音山へのハイキ ングコースが整うのだが?)抜けると観音山は近かった。
30年も前に相棒と旧松山市の産廃処理場峠からこの山、杉立山に行った記憶がよぎる。
ここから榎ケ峠までは稜線に農道あり、ハイキングコースでよく整備せれている。
この稜線の東側はマツタケの産地であった。監視搭の櫓がその盛況時の面影を残している。
峠の手前には農家も一軒、廃屋のようだが住める状態である。
杉立山の中腹には奥道後からロープウエーが運行されていたが、40数年前にはすでに廃止、
その施設が残るのみである。夏は松山の夜景を見ながら、ビヤガーデンが開かれたと聞く。峠 から杉立山へは竹藪に延びる廃道を進み、アンテナ中継所脇に出ることができた。
頂上まではすぐ先であった。ここまでは登山者も多く訪れているようだ。
ここから先は獣道、数少ない兵が踏査した跡があるだけ稜線歩きとはいえ,竹藪にさいなま される始末である。過ってこの湯山一帯はタケノコの産地、竹を植林したほどのところであっ た。しかし,時代は変わりその竹が厄介者になってしまった。森林組合が森林再生の援助を受 け広範囲に伐採を行い、その跡地にクヌギの植林を行っている。ここは石手川の水源保全地域 でもある。
開けた伐採地稜線からは東に福見山、明神ケ森?大月山、西には奧之城山,ヌタノサコ、勝 岡山が望めた。林道が伸びており、気をよくして下ると間違いに気付く、獣道をたどり急な稜
平井から観音山~関ケ森~榎ケ峠~杉立山~足柄山~日浦トンネル
足柄山への登りはめっぽうきつめ、登り終えるとクヌギの樹林が癒してくれた。
意外と二次林に覆われ足柄山は癒される頂であった。
ここからは長い尾根を下るのみである。杉の植林変化し、いくつか枝尾根があるが先行者の テープと地図頼りに日浦トンネルの日浦側に下山できた
最近は山の歌を口ずさむことが無くなった。
山仲間と心行くまで歌ったあの頃が懐かしい。
この詩を歌うとあの友のことが思い出される。
山の友
1緑が淡く野にもえて、残雪白き山肌に、友よ登らん信濃の山に、友よ忘れじ信濃の山を 2可憐な花が咲きいずる、黒い岩壁青い空、友よ攀じらん北アの峰に友よ忘れじ北アの峰を 3秋の時雨にぬれている、落ち葉を友に一人行く、友よ歩まん峠の道を友よ忘れじ峠の道を 4粉雪の峰滑り行く、山の思い出遠い日よ、友よ語らん灯の下、友よわすれじ灯火の下
3月22日(雪) メンバー: 下岡、堺
香取登山口8:20 P1176m10:00 12:00野田ヶ山12:30 香取登山口14:20
野田ヶ山スキー 堺秀司
地形図1/25000伯耆大山
雪
今回の行き先は、春が早くやって来ても遅くまで雪が残るという大山山域の野 田ヶ山。「滑れる」と太鼓判を押す下岡を頼って、山が決まった。当日は寒冷前 線が過ぎた直後の等圧線が縦に並んだ冬型気圧配置で、山陰は不安定な天気にな るだろうと想像した。
早朝うっすら凍ったアスファルト道を、香取の登山口まですんなり車で乗り入 れできた。ここからスタートできると楽だ。想定したよりも早く、灰色の空から は雪がしんしんと降りはじめ、出だしからアウターを羽織る羽目になった。
しかし下岡の予言通り、山には雪が融けずにしっかり残っていた! 緩傾斜の潅 木の森をシールで歩き、中国自然歩道を横切る。傾斜が出てきたら1176mピーク に上がった。雪の着きが薄くて、下の氷に足元を取られそうだったので、シート ラで大谷を渡る。それから斜面を少し回り込み、野田ヶ山から北東方向に伸びる3 本尾根の真ん中を登る。スキークランポンをセットしたら歩きやすくなった。
スクっとそびえるブナの大木たちにかしこまりながら、急斜面をあえぐ。最後 はヤブを避けて大休峠の尾根に乗りかえ野田ヶ山に上がった。
- 野田ヶ山ピーク、支度できたらドロップだ -
ガスが切れることはなく野田ヶ山からの展望はなかった。よければ三鈷峰や大 山北面がきっと間近に迫ってくるのだろう。しかし晴れを待つことはなく、早く 滑ろうぜと長居はしなかった。
幅のある一番右の谷に決める。トップはカリカリかなと緊張したが、雪面は滑 り出しから悪くなかった。気持ちよく一気に200m滑走した。
進路を北に変えて、大小の谷を何度も越えながら帰路を急ぐ。途中で現在地が あいまいになりGPSの世話になる。やがて緩斜面で自分たちの上りトレースを見 つけて安心する。スタート地点はそこから遠くなかった。
できるなら、下りの滑走ラインを考えて、上りのトレースをつけておくのがよい 方策だという事が、実地で理解できた。山スキーの下りは方向に繊細さが求めら れるし、油断すると高度がアッという間に下がってしまう。毎度のことだが、つ いつい滑走に夢中になってしまいがちな自分。けっして気を抜きっぱなしではい けない。
それにしても、山スキーに行くたびに経験を積み増すのが嬉しい。ちゃんと記憶 して消化して、これから先に活かせるようにしないと。そう、まだ今シーズンは 終わっていないのだよ。
― 谷のコンディション、イイね―