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イワガキ量産技術開発の現状と課題

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Academic year: 2021

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(1)

イワガキ量産技術開発の現状と課題

企画・栽培養殖部 研究員 小薗勇貴

【目的】

本試験は養殖業の多角化及び地域特産品の作出に有望であるイワガキの種苗生産を 行い,本県におけるイワガキ養殖の定着育成を図ることで,地域活性化と漁業者の所 得向上を目指している。平成 25年度から種苗生産試験に取り組み,平成 28 年度より 30 ㎜サイズ種苗の漁業者への配布を開始,平成 30 年度より量産試験に移行したが目 標の年度内に 30 ㎜以上,10 万個生産には達しておらず,生産量の向上・安定化が課 題となっている。

今回は,課題である採卵と幼生飼育および採苗の安定化を目的に行った令和元年度 の試験を中心に,イワガキ種苗量産技術開発の現状と課題を報告する。

【材料及び方法】

種 苗 生産 の 流 れに は ,1. 採 卵( 卵 と 精子を 取 り出 し て 授 精さ せ る ),2. 幼生 飼 育

(孵化した幼生を飼育する),3.採苗(幼生を基質に付着させ稚貝に変態させる),4.

剥離,中間育成(10 ㎜程度まで飼育した付着稚貝を剥離し,さらに 30 ㎜サイズまで 飼育して出荷する)の大きく4段階がある。

(1)採卵

志布志市産貝 ,長島町産貝および平成 29 年度に 生産した種苗を当センター海面施 設(以下,生簀)にて飼育し,これらを親貝(殻付き重量 190〜 733g)として切開法

(従来の静置滲出方式ではなく揉みほぐし方式を用いた)により採卵・採精し授精を 行った。採卵に用いる親貝は基準を設けて選別したものを使用した。得られた受精卵 は1tポ リ カー ボ ネイト水 槽 に収 容 し,翌 日 D 型 幼 生を 回 収し 計数 し た。

(2)幼生飼育

1 t ポリ カ ー ボネ イ ト 水槽 に D 型 幼 生を収 容 し, 飼 育 試験 を 行 っ た。換 水 方法の 違いによる飼育成績を確認するため,定量換水法(以下,定換法:一定量の飼育水を 排水し,その後排水分を補充する方法)と同量同時注排水法(以下,同注法:注水し ながら,同量を排出する方法)を試行した。定換法については従来型と一部の作業を 簡略化した簡易型の2種類を比較試験した。

(3)採苗

従来は付着器 を設置した水槽に,224 ㎛ のネット で選別した付着期幼生を収容して 採苗を行っていたが,採苗不調改善を目的に付着期幼生の選別を行わず,幼生飼育槽

同 量 同 時 注 排 水 法 収 容密度 130〜200万 個体 /槽

水温 23.0〜 27.7℃

餌料

Chaetoseros calcitrans Isochrysis 

sp.(Tahiti)

< 飼育条件 >

(2)

に付着器を直接設置する方法を試行した。

(4)剥離,中間育成

付着器の稚貝を屋内または生簀で飼育し,10 ㎜以上で剥離,提灯篭(3 ㎜目合い,

底面 35 × 35 ㎝)に収容後,当センター海面生簀で 30 ㎜サイズまで中間育成した。

【結果及び考察】

(1)採卵

令和元年度は 6 回の試験全てで孵化幼生は 400 万個体以上/回の水準で得ることが 出 来 た。 平 成 30 年 度 は途 中 ま で 静置 湿 潤 方 式を 用 い てい た が ,得ら れ た 幼生 は 0.5

〜 460 万 個 体/回 と安 定 し な かっ た為 ,昨 年 度 後 半か ら 揉みほ ぐ し 方式 を採 用し た。

そこで好感触が得られたため,今年度も同方式を採用したこと,さらに,基準を設け て使用する親貝を選別したことが獲得孵化幼生数の安定に繋がったと考えられる。

(2)幼生飼育

幼 生 飼育 の 結 果を 下 表 に 示す 。 換 水 方法 を 定 換 法簡 易 型 にし た 場 合が 27.9 % と 最 も付着期幼生の生残率が高くなった。今後は,定換法簡易型の再現性確認や同注法と の比較試験等を行い飼育成績の安定化・向上を図ることが必要である。

(3)採苗

採苗の状況を下表に示す。大量斃死対策として付着期幼生の選別を行わずに幼生飼 育槽に付着器を直接投入したところ大量斃死すること無く採苗できたが,採苗率を以 前の水準(平成 29〜30年度平均採苗率:22.3%)まで改善することは出来なかった。

大量斃死の原因については,従来の採苗方式によるネット選別の影響等が考えられた が,過去にそのような大量斃死は見られなかったことから,現段階では不明である。

また,大量斃死が見られなかったのにも関わらず,採苗率が大きく改善しなかったこ とからも,今後,採苗の安定化の為に原因究明と対策の検討が必要である。

表 幼生飼育及び採苗の状況

(4)剥離,中間育成

現在育成 中の稚 貝は問 題な く生育 しており ,8 月下旬 お よび 11 月上旬に沖 出しし た稚貝(2,4回次由来)は12月末時点で約1,200個が30 ㎜サイズに達している。

付着期幼生数(生残率

※1

) 採苗数(採苗率

※2

1

2 34.6(11.5)

簡易 2 83.9(27.9)

3

4 43.3(10.8) 0.2(0.5)

5

6 76

※ 3

(9.5

※ 3

) 1.6

※ 4

(2.1

※ 4

) 定換法 従来

0.5(0.4)

(万個体,%)

※4:6回次の稚貝採苗数等は未だ剥離していないため,簡易計数による推定値である。

※3:6回次は付着期幼生の選別を行っていない為,付着器設置時の生残数を付着期幼生数として記載,さらにそれを元にした回収率を記載した。

換水方式 回次 備考

※1:生残率=(付着期幼生数/飼育幼生数)×100 ※2:採苗率=(採苗数/付着期幼生数)×100

成長不良,減耗により中断(日齢6)

減耗により中断(日齢6)

成長不良,減耗により中断(日齢29)

採苗槽収容後に大量斃死

採苗槽収容後に大量斃死 大量斃死等無く採苗できた

同注法

参照

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