している地域が所々に存在する.もし水害の危険性
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(2) する.本モデルでは住宅地が河川の付近にあり,生. 家計. 産施設が内陸部にあるような状況を想定する.水害. p. の生起確率を p (0 î p î 1) で表す.一方,地域 S に. N. 所得,レントはそれぞれ労働,土地の限界生産性に 家計の利得 政府の利得. fl (l; í) = a −í− bl. b R(l) = f(l; í) Ä fl (l; í) Ål = l2 2. V. B 1. SW. (2a) (2b). 政府. 政府. おいてíは常に 0 である.各地域の状況依存的な労働 一致し,次式で与えられる.. 0. V 1. N. 2. SW. V 2. B. 3. SW. V 3. 4. SW 4 :情 報 集 合. 図-1.. 家計と政府のゲーム. レントは地域人口のみにより決定する. 家計はリスク中立的であると仮定し,家計の期待. H に堤防を整備するので,地域 H のリスクは 0 とな. 効用(以下,誤解の恐れがない限り,効用と略記す. る」あるいは「堤防の整備は行わないため,地域 H の. る)を所得の期待値により定義する.税がない場合,. リスクは今後も p である」とアナウンスする.次に,. 地域 H ,地域 Sに居住する家計の期待効用はそれぞ. 家計は居住地選択を行う.全ての家計は政府により. れ次式で与えられる.. 提供された水害リスク情報と政府の防災政策の方針 について知っている.立地均衡が成立したのち(以. vH = a Ä bm Ä pé. vS = a Ä b(M Ä m). (3a). 下,この時点を「事後」と呼ぶ),政府は実現した人. (3b). 口配分を勘案して堤防整備について再検討する.政. 地主の限界効用も一定であると仮定し,効用 wH ; wS. 府は事後において最適な戦略àを実行する.. は税がない場合にはそれぞれレント R H; RS に一致. 以上のプロセスにおいて,家計は,政府が事前に. する.社会厚生関数を 2 地域の家計と地主の効用の. 「堤防の整備は行わないため,地域 H のリスクは今後. 総和により次式のように定義する.. SW = mvH + (M Ä m)vS + wH + wS. も p である」とアナウンスしたとしても, 「危険地域に. (4). 多くの家計が居住してしまえば,政府は堤防を整備 せざるをえなくなる」場合があることを合理的に予. 中央政府(以下,政府と呼ぶ)は堤防を整備するこ. 測できる.このとき家計は政府の目論見に反する居. とによって地域 H における水害生起確率を 0 にする. 住地選択を行う可能性がある.すなわち家計はあた. ことができる.すなわち堤防が整備されれば,地域. かも水害リスクが 0 であると認識している(水害リ. H でも p = 0 となる.堤防整備費用を c とする.堤防. スクがあるとは知らない)ふりをして立地行動をと. 整備費用は家計及び地主に課税することによって賄. ることができる.反対に政府が「地域 H に堤防を整. われる.防災整備費用の負担ルールについて,はじめ. 備するので,地域 H のリスクは 0 となる」とアナウ. に全ての家計と地主に均一に課税する場合 (Case.I). ンスしているにもかかわらず,堤防整備の予定につ. を考える.ついで地域 H に居住する家計と地主のみ. いて知らないふりをして,水害リスクが p のままだ. が費用を負担するルールを採用した場合 (Case.II) の. と想定した立地行動をとることができる.家計が立. 効果を検討する.. 地行動をとるときに想定する確率を立地戦略äと定. そして,各主体の意思決定プロセスについて以下. 義する.先の例では前者は戦略ä = 0,後者は戦略. のようなゲームを考える.初期時点(以下,この時. ä = p に相当する.政府が堤防整備をアナウンスし. 点を「事前」と呼ぶ)において政府は水害リスク p の. たときに家計が地域 H の水害リスクを 0 と想定した. 大きさを考慮して,社会厚生水準 SW が大きくなる. 立地行動をとる場合も立地戦略 0 であり,政府が堤. ように堤防を整備するか (à = B) しないか (à = N). 防を整備しないとアナウンスしたときに家計が地域. を決定する.このとき政府は両地域の家計の効用が. H の水害リスクを p と想定した立地行動をとる場合. 等しくなる立地均衡を考慮して,SW を大きくする. も立地戦略 p である.すなわち立地戦略における「0 」. 方のàを選択する.そして事前において政府は「地域. または「p」は,実現する立地均衡と整合的な(観察.
(3) される立地均衡から推定される)家計の主観的確率 に相当するものとして定義する.図-1. は,1 人の代. (i). bM 2 のとき 4. cï. (p; N ). 表的家計と政府の逐次的な行動を展開形ゲームで表 したものである.各戦略の組 j に対応する両プレイヤ j. j. j. (0; B) 2c Mé. 0. ーの利得を (V ; SW ) と表現する.家計の利得 V は 均衡における代表的家計の期待効用に相当する.. (ii) éM 2. Ä. é2 4b. (p; N ). îc<. 3. 堤防整備の費用負担ルールとゲームの均衡 家計が 防災投資 費用を 均等に 負担す る場 合 (Case.I) について考える.堤防整備が行われる場 合 (j =2; 4),各家計はòc=M ,各地主は (1 −ò)c=2 を. (iii). c<. 0. の期待効用は次式で与えられる.. òc j vH = a Ä bm Ä M òc j vS = a Ä b(M Ä m) Ä M b 2 (1 −ò)c j wH = m Ä 2 2 b (1 −ò)c j 2 wS = (M Ä m) Ä 2 2. p1 ; p2 =. (5a). (0; B). p1. é2 のとき 4b. 2c Mé. p1. 1 (bM é. 図-2.. bM 2 のとき 4. Ä. éM 2. (p; N ). 負担するとする.ò(0 î òî 1) は家計 M 人と地主 2 人の間の費用負担割合を示す.このとき家計,地主. 2c Mé. 0. 1. p2. 1. (0; B ). Ü. p. 1. b 2 M 2 Ä 4bc); (p 1 < p2 ). ゲームの均衡解 (Case.I). (5b) (5c) (5d). 想定する.以上より,戦略の組 2 に対応するゲームの 利得は次式に決まる.. 立地均衡とプレイヤーの利得を導出しよう.戦略. 1 òc V 2 = a Ä (bM + pé) Ä 2 M bM p2é2 2 SW = (a Ä )M Ä Äc 4 4b. の組 1((ä; à)=(p;N )) について,家計の立地均衡は. 同様に戦略の組 3((0; N )) において,立地均衡は「. これより各戦略の組 j(=1;ÅÅÅ ; 4) における家計の. v1H =v1S で与えられる.地域 H の家計数,家計の効用,. (8a) (8b). 見せ掛けの効用」. 社会厚生水準は次式のように決まる.. 1 m1 = mp ë (bM Ä pé) 2b 1 1 1 V = vH = vS1 = a Ä (bM + pé) 2 bM pé p 2é2 1 SW = (a Ä Ä )M + 4 2 4b. 0. (6a). vH3 = a Ä bm. (6b). を用いて,vH3 = vS3 により与えられる.地域 H の家. スされているにも関わらず,家計はリスクを p と考 えて立地行動をとる.このときの立地均衡は,地域. H に居住する家計の「見せ掛けの効用」 òc vH = a Ä bm Ä péÄ M. 0. 計数,家計と政府の利得は以下のように決まる.. (6c). また戦略の組 2((p; B)) では,堤防整備がアナウン. 02. (9). 1 (10a) 2 bM V 3 = min[v3H ; vS3 ] = v3H = a Ä Ä pé (10b) 2 bM pé SW 3 = (a Ä Ä )M (10c) 4 2 m3 = m0 ë. 最後に戦略の組 4((0; B)) において,立地均衡条件. (7). 0. に対して,vH2 = vS2 を満足するように与えられると. は v4H =v4S であり,地域 H の均衡家計数は m4 = m0 となる.利得は以下のように決まる.. らに代表的家計が政府とのゲームの利得として認識. bM òc 4 V 4 = vH = vS4 = a Ä Ä 2 M bM SW 4 = (a Ä )M Ä c 4. する効用を V 2 = min[v2H; v2S ] = vS2 と考える.すな. 以上の 4 組のゲームの枝において mp < m0が成立し,. わち家計の立地戦略にある種のマックスミニ戦略を. これらは家計の戦略ä = p; 0 に対応している.. 考える.このとき地域 H の家計数は m2 = mpに決ま 2 り,真の効用との関係は vH. 02. > vH =. vS2 となる.さ. (11a) (11b).
(4) 表-1.. 図-2. に水害の真の生起確率 p と堤防整備費用 c に 対応したゲームの均衡解 (ä; à) を示す.水害生起確 率 p が大きな範囲で (0; B) の均衡が生起することが. リスク不認知が生じる範囲. Case.I. ò; ë. Ç(c). わかる.また陰影部Ç(c) は,均衡 (0; B) の領域の中 で,社会的最適解が (p; N) である p の領域を示して いる.すなわち領域Ç(c) は,家計が政府の「堤防整. Case.II Ç(c). Ç(c). の幅. Ç(c) の幅. 0. 0.7500<p<0.8014. 0.0514. 0.7500<p<0.8014. 0.0514. 0.5. 0.7500<p<0.8014. 0.0514. 0.7628<p<0.8161. 0.0533. 1. 0.7500<p<0.8014. 0.0514. 0.8715<p<0.8715. 1.0×10 -15. 備は費用がかかるため行わないが,水害リスクは p であるので住まないように. 」というアナウンスを無 視する環境に対応する.図-2. より,p が大きいとき. 生水準は大きくなる.人口配分が (M=2; M=2) であ. に,社会的最適解が「堤防整備をせずに,少数の家計. るときに 2 地域の労働所得の和とレントの和が最大. しか地域 H に住まない」であるにもかかわらず,家. となるからである.従って,図-2.(iii) の p1 <p <. 計がリスクを無視して半数の家計が地域 H に立地し,. 1 のような環境では Case.I の負担ルールが望ましい.. その結果政府が堤防を整備せざるを得ないという非. 一方,2c=Mé < p< p1のような環境においては,. 効率的な均衡が実現する.水害リスク p が大きくな. Case.I で無駄な堤防整備を行うときの社会厚生水準. るほど政府の堤防整備の効果が上昇し,堤防整備が. と,Case.II で (p; N) が実現するときの社会厚生水準. 実施されやすくなることを家計が合理的に予測する. を比較して費用負担ルールを選択する局面が発生す. ためである.また,技術進歩等により堤防整備費用 c. る.防災投資水準と効果が離散的である場合,単純. が小さくなると均衡解 (0; B) が実現する p の領域が. なピグー課税を通じて財政的外部経済性を内部化す. 大きくなることがわかる.費用が小さくなることに. ることはできない.費用負担ルールと均衡に関する. より費用対効果が改善されるからである.以上より,. 詳細な分析結果については発表時に報告する.. リスクが小さいとき,すなわち大して危険ではない ときに家計がリスクを無視するのではないことがわ かる.より危険であることや防災技術の向上が家計 のリスク不認知を誘発することになる.. 5. おわりに 本研究では家計の災害リスク不認知の問題に関し て,家計がリスク情報を知りながらも合理的にそれ らを無視して危険地域に立地し,結果的に政府が余. 4. 危険地域による費用負担と均衡解 危険地域の主体のみが堤防整備費用を負担するケ ース (Case.II) について考えよう.堤防整備が行われ る場合 (j =2; 4),地域 H に居住する家計はëc=m,地 域 H の地主は (1 −ë)c を負担するとする.ëは家計 m 人と地主の間の費用負担割合を示す.ここでは M =. 1:0,a = 1:0,b =2:5,é= 0:4,c =0:15 と設定して数 値計算を行った.表-1. より,Case.II の費用負担ルー ルのもとで,地域 H に居住する家計への堤防整備費 用の負担割合を1に近づければ,家計のリスク不認 知を伴う均衡 (0; B) が実現する p の範囲Ç(c) を狭く できることが確認できる.家計に堤防整備費用の負 担を回避して地域 S に居住する動機が生じるためで ある.Case.II では地域 H に居住する家計数は減少す る.一方,堤防を整備することが望ましい環境にお いては,Case.I の負担ルール,すなわち全ての家計 が均等に堤防整備費用を負担することにより社会厚. 分な防災投資費用を支出せざるをえない状況につい て記述した.リスク情報の公開のみでは家計を望ま しい立地選択に導けない場合がある.そしてこのと き危険地域に居住する家計に防災投資費用を負担さ せるルールを導入することにより危険地域への立地 を抑制することができる場合がある.一方,防災投 資費用を全ての家計が均等に負担した方が効率的で ある場合もある.家計のリスク不認知を許容して,社 会全体で防災投資費用を負担すべきかいなかは,リ スクコミュニケーションにおける責任の問題にも関 係する.今後は規制等の都市計画的手法が必要とな る場合なども考慮して,より詳細な分析を行う. 参考文献 1) 山口健太郎,多々納裕一,岡田憲夫:リスク認知のバ イアスが災害危険度情報の提供効果に与える影響に 関する分析,土木計画学研究・論文集,No17,pp.327336, 2000. 2) 岡田章:ゲーム理論,有斐閣,1996..
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