• 検索結果がありません。

フッ素樹脂コーティング高力ボルトセット

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2022

シェア "フッ素樹脂コーティング高力ボルトセット"

Copied!
8
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)フッ素樹脂コートされた鋼製高力ボルトとアルミニウム合金板 の電食について 有住 康則 1 黒山 昭治 2 1. 正会員 琉球大学教授 工学部環境建設工学科(〒903-0213 沖縄県西原町字千原1番地) 2 ㈱竹中製作所 表面処理事業部(〒578-0984 大阪府東大阪市菱江 6 丁目 4 番 35 号). 要旨 アルミニウム合金板に鋼製摩擦接合高力ボルトを直接接合すると異種金属接触腐食が発生 する.これを防止するため,本研究ではフッ素樹脂コーティング高力ボルトを使用した接合 方式の実用化の可能性について調査を行った.まず初めに,アルミニウム合金板の摩擦接合 継手に用いるフッ素樹脂コーティング高力ボルトセットの組合せのうち,実用化の可能性が ある組合せについて,ボルト締め付け後に通電試験を行い,高力ボルトとアルミニウム合金 板の絶縁状態の有無を調べた.次に,通電試験により高力ボルトとアルミニウム合金板の絶 縁状態が確認されたフッ素樹脂高力ボルトセットについて、摩擦接合継手暴露試験体を製作 し、腐食環境の厳しい琉球大学構内で大気暴露試験を行った.その結果,アルミニウム合金 板をフッ素樹脂コーティング鋼製高力ボルトで接合した摩擦接合継手試験体全体の外観調 査,及びボルトを一部取り外し接合部の腐食状態を調査した結果,異種金属接触腐食は認め られなかった. キーワード:摩擦接合用鋼製ボルト,フッ素樹脂塗装,異種金属接触腐食,長期防食性. 1. はじめに アルミニウム合金板を鋼製摩擦接合高力ボルトで機械的に接合し両者が直接接触すると写真―1に示す ように異種金属接触腐食が生じる1).従来,これを防止するためアルミニウム構造物においては、機械的現 場接合として溶融亜鉛メッキ摩擦接合高力ボルトが用いられてきた2).しかし,溶融亜鉛メッキ摩擦接合高 力ボルトを使用した場合,耐用年数の長い橋梁など土木構造物では長期間過酷な腐食環境に曝されると白 錆が発生し,最終的に亜鉛が消耗し,鋼とアルミニウムの異種金属接触腐食が始まりアルミニウム合金の 添接板に孔食が生じる1).そこで本研究では,アルミニウム合金板を摩擦接合高力ボルトの異種金属接触腐 食を防止する一方策として,フッ素樹脂コーティング高力ボルトを使用した接合方式の実用化の可能性に ついて検討を行った.まず初めに,アルミニウム合金板の摩擦接合継手に用いるフッ素樹脂コーティング 高力ボルトセットの組合せのうち,実用化の可能性がある 組合せについて,ボルト締め付け後に通電試験(電気抵抗 値測定)を行った.次に,通電試験で高力ボルトセットと アルミニウム合金板の絶縁状態が確認されたフッ素樹脂コ ーティング鋼製高力ボルトセットの接合方式の耐久性を調 べる目的で、アルミニウム合金板をフッ素樹脂コーティン グ鋼製高力ボルトで接合した摩擦接合継手試験体を製作し、 写真-1 異種金属腐食例. - 168 -. - 168 -.

(2) 腐食環境の厳しい琉球大学構内で大気暴露を行い,継手の腐食についてフッ素樹脂コーティング高力ボル ト及びアルミ板の外観調査,及び暴露後に一部ボルトを取り外し接合部の状態を確認し,フッ素樹脂コー ティング高力ボルトを使用した場合の異種金属接触腐食の有無及びボルトの耐久性能について検討を行っ た.. 2.. フッ素樹脂コーティング高力ボルトセット. 本調査に使用した鋼製高力ボルトセットは,予備調査の結果,アルミニウム合金板の摩擦接合継手に用 いるフッ素樹脂コーティング高力ボルトセットの組合せのうち,実用化の可能性のある写真-2 に示すボル ト,ナット,座金及び絶縁スリーブより構成されているボルトセットを用いた.各構成要素の仕様は下記 の通りである. (1) ボルト:F10T,M22,フッ素樹脂コーティング六角ボルト(竹中製作所 タケコート・1000) (2) ナット:F10,M22,フッ素樹脂コーティング六角ナット(竹中製作所 タケコート・1000) . (3) 座金(2 枚座金使用) :ショットブラスト座金にフッ素樹脂コーティング処理した座金(竹中製作所 タ ケコート・1000)を 2 枚座金として使用した.なお,ナット接触面のみ通常仕上げとした. Type (a): F35,外径 44mm,内径 23mm,板厚 6mm ボルト. Type (b): F35,外径 48mm,内径 25mm,板厚 6mm (4) 絶縁スリーブ : フッ素樹脂,t =0.5mm,絶縁 スリーブの長さは 53.5mm とした. フッ素樹脂被膜処理は,ボルトナット素材を脱脂した のち、ホーニング加工にて素材表面に微細凹凸を形成 後,金属系下地被膜を2~5μm施し,加熱硬化型フッ 素樹脂コーティングを40μm±5μm程度塗布し,150° ~200°で20~30分の加熱硬化を加えた2層構造の被膜 を形成したものである.図-1にフッ素樹脂コーティン グの概要を示す3).. 座金(a). ナット. 座金(b). 写真-2 フッ素樹脂コーティング 高力ボルトセット. 通電試験. 第 1 層目:金属系下地被膜 2~5μm. A6061P-T6 及び A5083P-O で,母材の板厚は 15mm,添 接板の板厚は 8mm である.摩擦面の処理方法はアルミ ニウム建築構造製作要領 4)に準拠した。なお,今回の 調査では,予備調査でボルト締め付け時に供回りが生 じたため,座金と添接板の摩擦を確保するため摩擦処 理面(ブラスト面)を座金接触側(外側)に設置した.. 第 2 層目:加熱硬化型フッ素被膜 30~45μm. 図-1 フッ素樹脂コーティング. 31. 380 150. 150. 8. No.1. No.4. No.2. No.5. No.8. No.3. No.6. No.9. 15. No.7 75. (1) 試験体 本調査に用いた試験体は,添接板,母材,添接板を 想定して 3 枚重ねとし, 各試験体にはフッ素樹脂コー ティング高力ボルトを 9 本締付けた.試験体の形状を 図-2 に示す.なお,使用したアルミニウム合金板は,. 75. 試験体の種類を表-1 に示す.. 230. 3.. 絶縁スリーブ. (2) ボルト締付け法 ボルトの締付けは,トルク法により,導入軸力は設. - 169 -. - 169 -. 図-2 アルミニウム板試験体寸法. 8.

(3) 計軸力の 10%増しとした.なお,ボルト締め付けは,写真-3 に示すように電動トルクレンチ(ナットラン ナー)を用いて,平置き又は縦置き状態 表-1 試験体の種類 で行った. 試験体 母 材 添 接 板 高力ボルト 高力ボルト締 (3). 調査項目. 試験体 試験体 試験体 試験体. Ⅰ-1 Ⅰ-2 Ⅱ-1 Ⅱ-2. A6061P-T6. A6061P-T6. セット 2 枚座金 標準孔 2 枚座金 標準孔. め付け方法 縦置き締め 平置き締め 縦置き締め 平置き締め. A5083P-O A5083P-O a) ボルト締め付後,塗膜を研磨しボルト セットとアルミニウム部材間の通電試 験(電気抵抗値の測定)を行い,ボルト セットとアルミニウム部材間の絶縁状態の有無を調査した. b) 通電試験終了後にボルトを取り外し,座金接触部の添接板表面の凹凸及びボルトの塗膜状態を観察した.. (4) 調査結果 ボルトの締め付前とボルトの締め付直後の試験体 の状態の一例を写真-4 に示す.なお,ボルト締め 付け時に一部のボルトセットで供回りが見られた. 次に,通電試験実施状況の一例を写真-5 に示す. 通電試験の結果の一例を表-2 に示す.これらの表 から明らかなように,すべての組み合わせにおいて, ボルトとアルミニウム部材間,及びナット側の座金 とアルミニウム部材間で通電は認められず,絶縁状 態が確認された.なお,他の試験体についても同様 であった.これより,アルミニウム部材接触面の高 力ボルトセットの塗膜がボルト締め付後も健全であ ることを示していると考えられる.次に,ボルト締 め付け時に供回り発生個数の多かった試験体 II-2 (A5083P-O,2枚座金標準孔,横置き締め)につい て,高力ボルトセットの全構成部品間について通電 試験を行った.調査結果を表-3 に示す.表から明 らかなように,ボルトとナット間については軸力導 入時のねじ部の接触損傷により通電状態が確認され たが,それ以外は,構成部品間は絶縁状態にあり, アルミニウム板に接触している高力ボルトセットの 塗膜が健全であることを示している. 通電試験終了後にボルトを取り外し,フッ素樹脂 コーティング高力ボルトセットの状態調べた結果,. 表-2 試験結果(アルミ板と各ボルトセット間) (a) 試験体 I-1 No. 供回り ボルト 座金(外) 座金(内). 1 有 ○ ○ ○. 2 無 ○ ○ ○. 3 無 ○ ○ ○. 4 無 ○ ○ ○. 5 無 ○ ○ ○. 6 有 ○ ○ ○. 7 無 ○ ○ ○. 8 無 ○ ○ ○. 9 有 ○ ○ ○. 3 無 ○ ○ ○. 4 無 ○ ○ ○. 5 有 ○ ○ ○. 6 無 ○ ○ ○. 7 有 ○ ○ ○. 8 無 ○ ○ ○. 9 有 ○ ○ ○. (b) 試験体 II-2 No. 供回り ボルト 座金(外) 座金(内). 1 有 ○ ○ ○. 2 有 ○ ○ ○. 注:絶縁状態:○,通電状態:×(ボルト又は座金とアルミ 板との通電状態を示す) .. 表-3 通電試験結果(各ボルトセット間) No.. 1. 2. 3. 4. 5. 6. 7. 8. 9. ナットとボルト. ×. ×. ×. ×. ×. ×. ×. ×. ×. ボルトと座金小. ○. ○. ○. ○. ○. ○. ○. ○. ○. ボルトと座金大. ○. ○. ○. ○. ○. ○. ○. ○. ○. 座金大と座金小. ○. ○. ○. ○. ○. ○. ○. ○. ○. ナットと座金小. ○. ○. ○. ○. ○. ○. ○. ○. ○. ナットと座金大. ○. ○. ○. ○. ○. ○. ○. ○. ○. 注:絶縁状態:○,通電状態:×. ボルトとナットのねじ部の接触面以外に塗膜の破損 は見られなかった.. 写真-3 ボルト締付状況. (a)締付前 (b)締付後 写真-4 ボルト締付前と締付後の状況. - 170 -. - 170 -. 写真-5 通電試験状況.

(4) 4. 暴露試験 フッ素樹脂コーティング鋼製高力ボルトセットを用いた接合方式の耐久性を調べる目的で、アルミニウ ム合金板をフッ素樹脂コーティング鋼製高力ボルトで接合した摩擦接合継手試験体を製作し、琉球大学構 内で大気暴露を行った.. 表-4 暴露試験体の種類 試験 項目. 試験体. (1). 試験体 Ⅰ-1. 母. 材. A6061P-T6. 添 接 板. A6061P-T6. 高力ボルトセット 種類. 高力ボルト締 め付け方法. 暴露試験体 設置方法. フッ素樹脂コーティング 高力ボルトセット. 縦置き締め. 縦置き. (1). 試験体 Ⅰ-2. 平置き締め. 平置き. (2). 試験体 Ⅰ-5. 亜鉛メッキボルトセット. 縦置き締め. 平置き. (3). 試験体 Ⅰ-6. 縦置き締め. 平置き. (1). 試験体 Ⅱ-1. 無塗装普通高力ボルトセ ット フッ素樹脂コーティング 高力ボルトセット. 縦置き締め. 縦置き. 平置き締め. 平置き. (1). 試験体 Ⅱ-2. A5083P-O. A5083P-O. (1) 暴露試験体 暴露試験に使用したフッ素樹脂コーティング鋼製高力ボルトセットは,前節に示したボルト,ナット, 座金及び絶縁スリーブより構成されている.暴露に用いた試験体は,図-2 に示すように添接板,母材,添 接板を想定して 3 枚重ねとし, 各試験体にはボルトを 9 本締付けた.ボルトの締め付け法は前節の通電試験 と同様とした.暴露試験体の種類を表-4 に示す.なお,暴露試験では,フッ素樹脂コーティング鋼製高力 ボルトセット以外に比較のため高力ボルトセットすべてに亜鉛メッキボルトを使用した場合及び裸仕様の 普通高力ボルトセットを使用した場合についても行った. (2) 暴露場所 暴露は,写真-6 に示す琉球大学構内暴露試験場に暴露供試体を南側に向け設置し,2006 年 7 月 31 日よ り暴露を開始した.暴露試験体設置状況を写真-7 に示す.琉球大学構内暴露試験場における温度及び湿度 の測定結果の一例を図-3 に,土木研究所方式飛来塩分捕集器を用いた飛来塩分測定結果の一例を図-4 に 示す.本暴露試験場では最大で 0.3mdd の飛来塩分量が観測されている.. 写真-6 琉球大学暴露試験場全景. 写真-7 暴露試験体設置状況. - 171 -. - 171 -.

(5) 図-3 平均気温及び湿度. 図-4 飛来塩分量測定結果. (3) 暴露試験結果 暴露後 49 ヶ月経過した時点のフッ素樹脂コーティング高力ボルトセット試験体の暴露状態の一例をアル ミニウム板に A6061P-T6 材を使用した試験体 I-1(縦置)について写真-8 に,A5083P-O を使用した試験 体 I-2(横置)について写真-9 に示す.写真 -8 から明らかなように,縦置きに暴露した 試験体 I-1 ではナット側最上段及びボルト先 端部の上面に腐食が見られた.しかし、ボル ト頭部側には一部を除き腐食は殆ど見られ なかった.一方,写真-9 から明らかなよう に,横置きに暴露した試験体 I-2 では暴露上 面に位置しているボルト先端部及びナット 上面部に赤錆が発生している。しかし、裏面 側のボルト頭部側には腐食が殆どなく、光沢 も残存も確認された.この腐食の原因は,紫 外線の当たらない裏面に腐食が見られない ことから,フッ素樹脂コーティングの紫外線 劣化に起因していると考えられる.なお,ア. (a)暴露初期状態(南面) (b)暴露初期状態(北面). (c)暴露 49 ケ月後(南面) (d) 暴露 49 ケ月後(北面) 写真-8 暴露後の状況(試験体Ⅰ-1,フッ素樹脂縦置). ルミニウム板に A5083P-O を使用した試験体 II の腐食状況は,アルミニウム板に A6061P-T6 材を使用した試験体 I と同様であ った. 次に,亜鉛メッキ高力ボルトを使用した場 合の暴露状態を写真-10 に、裸仕様の普通高 力ボルトを使用した場合の暴露状態を写真 (a)暴露初期状態(表面) -11 に示す. 写真-10 から明らかなように, 亜鉛メッキ高力ボルトを使用した試験体 I-5 では,亜鉛の酸化物である白さびの発生が見 られ,アルミニウム板全面が白くなっており, 亜鉛がかなり消耗している様子が伺える.一 方,普通高力ボルト(無塗装)を使用した試 験体 I-6 では,写真-11 から明らかなように ボルト,ナット及び座金が裸仕様のため激し く腐食している.. (b)暴露初期状態(裏面). (c)暴露 49 ケ月後(表面) (d) 暴露 49 ケ月後(裏面) 写真-9 暴露後の状況(試験体Ⅰ-2,フッ素樹脂横置). - 172 -. - 172 -.

(6) 次に,暴露後 25 ヶ月経過した時点にお いて,フッ素樹脂高力ボルトセット,亜鉛 メッキ高力ボルト及び普通高力ボルト試 験体から高力ボルトを 1 本取り外し,①外 観観察(目視),②ボルトねじ山、ナット 側面、座金の拡大投影機器を用いた腐食減 肉量計測,③被膜の密着性確認(フッ素樹 脂高力ボルトセットのみ),④腐食生成物 除去後のボルトセットの腐食状態確認,及 び⑤ボルト取り外し後のアルミ板の座金 接触痕の調査を行った.ボルト取り外し後 の一例をアルミニウム板に A6061P-T6 材 を使用した試験体 I-1(縦置)について写真 -12 に示す.写真-12 から明らかなよう に,フッ素樹脂コーティング高力ボルトセ ットを用いた試験体のアルミ板には接合 部及びボルト穴の内部に腐食等の変状は. (a)暴露初期状態(表面) (b) 暴露 49 ケ月後(表面) 写真-10 暴露後の状況(試験体Ⅰ-5,亜鉛メッキ横置). (a)暴露初期状態(表面) (b) 暴露 49 ケ月後(表面) 写真-11 暴露後の状況(試験体Ⅰ-6,普通ボルト横置). 見られなかった.また,座金についてもアル ミ板との接触部においてフッ素樹脂の剥が れ等は見られなかった.一方,フッ素樹脂ボ ルトについて密着性確認の測定を行った結 果,初期の状態を保っていることが確認され た.以上の結果より,フッ素樹脂コーティン グ高力ボルトセットを用いた試験体では異 種金属接触腐食の発生は見られない.しかし ながら,ナットの側面に点錆が確認された. これは,前に示したように紫外線劣化の影響 によると考えられる.次に,亜鉛メッキ高力 ボルトを使用した場合のボルト取り外し後 の状況を写真-13 に、普通高力ボルトを使用 した場合のボルト取り外し後の状況を写真 -14 に示す. 写真-13 から明らかなように, 亜鉛メッキ高力ボルトを使用した試験体で は,アルミ板のボルト穴周辺に亜鉛の酸化物 である腐食生成物の凝固が見られた.また,. (a)アルミニウム板 (b)ボルトセット(腐食除去後) 写真-12 取り外し後の状況(試験体Ⅰ-1,フッ素樹脂). (a)アルミニウム板 (b)ボルトセット(腐食除去後) 写真-13 取り外し後の状況(試験体Ⅰ-5,亜鉛メッキ). 取り外し腐食除去後の亜鉛メッキボルトセ ットを目視観測した結果,亜鉛がかなり消耗 している様子が伺えた.一方,普通高力ボル ト(無塗装)を使用した試験体 I-6 では,写 真-14 から明らかなように,アルミ板に異種 金属接触腐食の発生が見られ,座金接触部に おいてかなり腐食減耗している様子が伺え る.. (a)アルミニウム板 (b) ボルトセット(腐食除去後) 写真-14 取り外し後の状況(試験体Ⅰ-1,普通ボルト). - 173 -. - 173 -.

(7) (4)改良型フッ素樹脂コーティング鋼製高力ボルトセット 前節で示した暴露試験の結果,特に紫外線が照射される部位においてフッ素樹脂コーティング鋼製高力 ボルトに腐食の発生が見られた.一方,平置き試験体の裏面では、裏側という乾燥しにくい部位にも関わ らず,紫外線が直接照射することがなく、被膜の劣化は観察されなかった.以上の結果から,フッ素樹脂 コーティング鋼製高力ボルトの腐食の原因として,①沖縄特有の強い紫外線照射,②飛来塩分の影響,及 び③ボルト締付け時の微細な傷等が影響したと推察される.これらの腐食因子の存在により,特に紫外線 照射を浴びる暴露試験体上面に位置するフッ素樹脂コーティング鋼製高力ボルトでは,先ず初めに紫外線 により被膜劣化が進行することによって被膜中に微細なボルト素材に達するピンホールのような欠陥が多 数発生し,次に,被膜欠陥部に飛来塩分を含んだ水分が付着して素材が腐食し,湿潤―乾燥が繰り返され た結果,ボルト上面部に腐食が進行したと想 定される。そこで,強い紫外線に被膜が耐え 劣化を抑制し、長期に安定した防食性能を付 与できる新たに開発された図-5 に示す改良 型フッ素樹脂コーティング鋼製高力ボルト セット 5)について追加暴露試験を行った.な お,改良型フッ素樹脂コーティング鋼製高力 ボルトセットは,通電試験で高力ボルトとア. 図-5 改良型フッ素樹脂コーティング. ルミニウム合金板の絶縁状態が確認されて いる.また,1000 時間の塩水噴霧試験で腐食 発生は見られず,6000 時間の紫外線耐久性試 験でもフッ素樹脂の白亜化は見られなかっ た.また,今回の暴露試験では,前回の暴露 試験においてボルトを一部取り外し接合部 の状態を調査した結果,座金とアルミ板との 接触部においてフッ素樹脂の剥がれ等は見 られなかったため,改良型フッ素樹脂コーテ ィング鋼製高力ボルトセットの座金は,ボルト 及びナットとアルミ板間に各一枚の座金を使用 することにした.改良型フッ素樹脂コーティン. (a)暴露初期状態(表面) (b) 暴露 12 ケ月後(表面) 写真-15 改良型フッ素樹脂ボルト暴露試験(横置). グ鋼製高力ボルトセットを使用した場合の暴露 状態を写真-15 に示す.写真-15 から明らかな ように,暴露後 12 ヶ月経過時点では,高力ボル トに多少色落ちが見られるものの,目視観測で は腐食は見られない. 一方,前節に示した摩擦接合継手試験体製作. 写真-16 供回り防止改良型ボルトセット. 時のボルト締め付け時において,一部のボルトセットで供回りが見られた.この原因として,フッ素樹脂 コーティング鋼製高力ボルトセットでは,ボルトとナットのねじ間の摩擦抵抗が樹脂コーティングの影響 で高く,更に,固定側に設置した座金の摩擦係数が逆に低いことに起因していると考えられる.そこで固 定側に設置する座金の面粗度を荒くし摩擦係数値を高くするために、ブラスト処理後全面に亜鉛-アルミ溶射 を行い,その後フッ素樹脂塗装(黒色)を約 15μm 程度塗布した座金を製作し,更に,締め付け側のナッ トには全面にワックス処理を施した.ボルトの供回り防止対策を施した改良型ボルトセットを写真-16 に 示す.なお,本ボルトセットについてボルト締め付け後に通電試験を行った結果,高力ボルトとアルミニ ウム合金板の絶縁状態を確認した.今後,ボルトの供回り防止対策を施したボルトセットについても暴露 試験を行い,耐候性能についても確認を行う予定である.. - 174 -. - 174 -.

(8) 5. まとめ 本研究では,アルミニウム合金板と摩擦接合高力ボルトの異種金属接触腐食を防止する一方策として, フッ素樹脂コーティング高力ボルトを使用した接合方式の実用化の可能性について検討を行った.まず初 めに,アルミニウム合金板の摩擦接合継手に用いるフッ素樹脂コーティング高力ボルトセットの組合せの うち,実用化の可能性がある組合せについて,ボルト締め付け後に通電試験(電気抵抗値測定)を行った. 次に、フッ素樹脂コーティング鋼製高力ボルトセットを用いた接合方式の耐久性を調べる目的で、アルミ ニウム合金板をフッ素樹脂コーティング鋼製高力ボルトで接合した摩擦接合継手試験体を製作し、腐食環 境の厳しい琉球大学構内で大気暴露を行い,継手の腐食状態について外観調査を行い,フッ素樹脂コーテ ィング高力ボルトを使用した場合の異種金属接触腐食の有無及びボルトの耐久性能について検討を行った. 本研究で得られた主な結論を次に示す. (1) (2). 図-1 及び写真-2 に示すフッ素樹脂コーティング高力ボルトセットについて,ボルト締め付け後 に通電試験を行った結果,高力ボルトとアルミニウム合金板の絶縁状態が確認された. 暴露試験の結果,フッ素樹脂コーティング高力ボルトセットを用いた試験体のアルミ板には接合部 及びボルト穴の内部に腐食等の変状は見られなかった.また,座金についてもアルミ板との接触部 においてフッ素樹脂の剥がれ等は見られなかった.一方,フッ素樹脂ボルトについて密着性確認試 験を行った結果,フッ素樹脂コートの密着性は初期の状態を保っていることが確認された.以上の. 結果より,フッ素樹脂コーティング高力ボルトセットを用いた試験体では異種金属接触腐食の発生 は見られない. しかしながら,暴露試験の結果,特に紫外線が直接照射される部位においてフッ素樹脂コーティング鋼製 高力ボルトに腐食が見られた.そこで,図-4 に示す改良型フッ素樹脂コーティング鋼製高力ボルトセット について追加暴露試験を行っている.暴露後 12 ヶ月経過時点では,改良型フッ素樹脂コーティング鋼製高 力ボルトには目視観測では紫外線が直接照射される部位も含めて腐食は見られない. 参考文献 1) 大倉一郎,萩澤亘保,花崎昌幸:アルミニウム構造学入門,pp.69-71,東洋書店,2006. 2) 日本アルミニウム協会:アルミニウム合金土木構造物設計・製作指針案,1998. 3) 土木学会:高力ボルト摩擦接合継手の設計・施工・維持管理指針(案) ,鋼構造シリーズ 15,2009. 4) アルミ建築構造協議会:アルミニウム建築構造製作要領,2003. 5) 日本アルミニウム協会:道路橋用アルミニウム床版を用いた鋼桁橋設計・製作・施工ガイドライン, 2011.. - 175 -. - 175 -.

(9)

参照

関連したドキュメント

ついて、その時点での上岡氏の見解を聞いた ものである。上岡氏の応答に、筆者が自験例

実験には,板厚方向に分極された PZT 分極材(5×5×1mm) を試験片として用いた.試験片の板厚中央部に長さ約

ベバシズマブを使用した場合 25.1%、ラニビズマブを使用した場合 37.1%であり、ラニビズマブを 使用した TREX-AMD

The HorRat values, 0.63 and 0.70 for raw materials, 0.28, 0.58 and 0.39 for spiked materials, show that measuring re- sults of this collaborative trial were satisfying, and these

After Takamatsuzuka Tumulus was excavated in 1972, some materials such as synthetic resins were used for the consolidation of the mural paintings or for the renovation of the

Title Navier-Stokes方程式の定常解について (流体力学における 非線型問題研究会報告集) Author(s) 池部, 晃生 Citation 数理解析研究所講究録 (1967), 24: 1-12 Issue Date 1967-05

試験体 A モデルについては,鋼板は板厚 0.5 ㎜で,前述の材料試験より算出したヤング係数 171kN/㎜ 2 および降伏強度 328.2N/㎜ 2 を用いて完全弾塑性の材料特性を設定した。鋼板は 1

Jにおいて,エ ポキ シ樹 脂 自体 の力 プルー ス接 軒試験体 について, 前項 と同様 に破項 試.. 〔に対 して プラスに作用 した と思