アファイン空間の代数的研究 : アファイン代数幾 何学
著者 増田 佳代
雑誌名 K.G.TODAY
発行年 2011‑06
URL http://hdl.handle.net/10236/10281
11 2011.06
たとえば、平面について考えて見ま しょう。平面はなめらか(特異点がな い曲面)ですが、では逆に、なめらか な代数曲面は平面といえるでしょう か?この問いに答えるためには、なめ らかな代数曲面の中における平面の 特 徴 づけを知らなければなりませ ん。そのような手段のひとつとして、
代数曲面上の群の作用を調べるとい うことがあります。平面上には、平行 移 動という作用が考えられます 。 平面上のx軸方向への平行移動に ついて、aだけ平行移動したのちbだ け平行移動するのは、最初からa+b だけ平行移動するのと同じという性 質があります。これにより、複素数 全体の集合に演算として和を考えた もの(これを加法群といいます)が、
平行移動という形で平面上に作用し ているとみなせます。したがって、平 面 上には 、加 法 群 の 作用がx 軸 方 向、y軸方向と2方向にあるといえま す 。もし 、考えている
代数曲面上には加法 群の作用がある1方向 にしかないとしたら 、 それは、平面とは異な る代数曲面だというこ とがいえます。このよ うに加法群の 作用を 調べることは、代数曲 面を研 究する上で 大 変有効であるというこ
研究室通信
理工学部 増田佳代研究室
アファイン空間の 代数的研究
―アファイン代数幾何学―
K.G.RESEARCH
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増田 佳代 ɘȳȺ!ȥɢ 大阪府生まれ。京都大学理学部卒 業後、1995年3月大阪市立大学 大学院 理学 研究科博士課 程 修 了。博士(理学)。明石工業高等専 門学校講師、姫路工業大学(現 兵庫県立大学)理学部講師、準教 授を経て2009年4月より現職。
専門は代数幾何学、変換群論。
とが知られています。代数曲面につ い て は 、宮 西 正 宜( 関 西 学 院 大学数理科学センター客員教授)、
杉江徹 、藤田隆 夫 、飯 高 茂ら代 数 幾 何 学 研 究 者 によるこれまで の 研究により解明されました。しかしな がら、高次元のアファイン空間につ いては、その特徴づけはいまだ知ら れていません 。増 田 研 究 室 では 、 代数多様体上の加法群などの群の 作用を調べることにより、高次元の 代数多様体の構造について研究して います。また、毎年9月と3月に、大 阪梅田キャンパスにおいて国内外か ら代数幾何学、可換環論の研究者を 招 いて 、ア フィン 代 数 幾 何 学 研 究集会を開催しています。2011年 3月には 、宮 西 正 宜 教 授が70歳 を迎えられたのを機 に 、第7回の アフィン 代 数 幾 何 学 研 究 集 会を Conference on Affine Algebraic Geometry として海外から11名の 研究者を招聘して開催しました。
アファイン空間上の群の作用
代数多様体とは、いくつかの(複 素数係数の)多項式の零点集合とし て表される集合のことです。1次元 の代数 多様体は代数曲線、2次元 の代数多様体は代数曲面とよばれ ます。代数幾何学とは、代数多様体 について研究する数 学の1分野で す。日本は、世界的に見ても代数幾 何学の研究が大変活発な国で、多く の優秀な数学者が活躍しています。
数 学 のノー ベ ル 賞 版とい わ れる フィールズ賞を受賞した日本人は、小 平邦彦氏、広中平祐氏、森重文氏の 3名がおられますが、いずれも代数 幾何学分野の研究者です。
アファイン代数幾何学は代数幾何 学の1分野で、主としてアファイン空 間とよばれる空間を研究します。n次 元アファイン空間は、その各点がn個 の複素数の座標の組で表される空間 です。したがって、1次元アファイン 空間なら(複素)直線、2次元アファ イン 空 間なら( 複 素 )平 面となりま す。こういうと、このようなよくわかっ ている空間をあらためて研究する必 要などあるのかと思われる方もあるか もしれません。しかし、n次元アファイ ン空間については、n=2のときでもそ んなに簡単ではなく、nが3以上のと きはその構造はいまもってよくわかっ ていないのです。