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表1 実施した課金政策

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Academic year: 2022

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(1)PP 調査データに基づく自動車利用課金後の行動変化分析 愛媛大学大学院 学生員 ○青木俊介. 愛媛大学大学院 正会員 倉内慎也. 名古屋大学大学院 正会員. 愛媛大学大学院 正会員 吉井稔雄. 佐藤仁美. 表1 実施した課金政策. 1.はじめに 期間 第 1 週目 第 2 週目 第 3 週目 第 4 週目. 我が国における運輸部門での CO2 排出量は近年減 少傾向にあるものの,2009 年度の排出量は 1990 年度 比で約 6%増加している.特に,運輸部門の排出量の. 課金政策詳細 何も課金政策を実施しない 自動車利用時の出発時間帯別の課金政策(150 円・300 円) 自動車を 1 分利用するごとに 10 円 第 3 週目に実施した政策+公共交通運賃 3 割引. 表2 課金対象となる出発時間帯. 約半分を占める自家用乗用車については約 36%増加 しており,過度な自動車利用の削減が低炭素社会の実. 自動車利用 1 回 150 円 6:30-7:00,8:00-8:30,17:30-19:30. 平日 休日. 現に向けて急務となっている.CO2 排出量の削減方策. 自動車利用 1 回 300 円 7:00-8:00 9:30-11:00,16:30-18:30. 3.トリップ数に着目した分析. としては様々な方法が考えられるが,昨今,即効性の. (1)1 日の平均トリップ数の変化. ある政策としてロードプライシングや環境税等の経. 自動車利用に対する課金によりトリップの取り止. 済的政策が諸外国で実施されつつあり,自動車交通量. めが生じたか否かを把握するために,まず 1 日の平均. の削減効果が報告されている.しかしながら,経済的. トリップ数を政策別,平休日別に算出し,それに有意. 政策は,所得逆進性の問題やモビリティを著しく変化. 差があるかどうかについて統計的検定を行った(図. させる可能性があるため,実施に伴う影響を事前に把. 1).平日は出勤等の取り止められないトリップが主と. 握することが不可欠となる.そこで本研究では,経済. なるため,平均トリップ数は減少しているものの,有. 的政策が交通行動に及ぼす影響を把握するために社. 意差は見られなかった.一方,休日は買い物等の自由. 会実験を実施し, プローブパーソン調査(以下 PP 調査). 意思によるトリップが多いため,すべての課金政策に. によって観測した交通行動データの分析を通じて,行. おいてトリップ数が有意に減少する結果となった.. 動変化に関する基礎的知見を得ることを目的とする.. 6.0. 6.0 (σ=1.69). 2.社会実験の概要. (σ=2.03). 5.0. (σ=1.62). (σ=1.48). 4.0. 3.68. 自動車利用を削減することを目的として,名古屋都. p=0.21. p=0.25. 3.28. 3.0. 市圏において 1 週間ごとに異なる経済的政策を実施. 3.25. p=0.07. (σ=1.82) (σ=1.80). 4.0. 3.07 3.0. p=0.62. 2.0. (σ=2.07). 5.0. (σ=1.64). 3.49. p=0.02. p=0.03 p=0.00. 2.68. 2.69. 2.12. 2.0 p=0.15. 1.0. し,合計 4 週間に渡り PP 調査によって交通行動を観. 0.0. 1.0. 平日. 測した.実施した政策を表1に示す.第 1 週目は政策. 第2週目. 図1. 実施前,すなわち現状の交通行動を把握するために,. 休日. 0.0. 第1週目. 第3週目. 第4週目. 第1週目. 第2週目. 第3週目. 第4週目. 1 日の平均トリップ数の変化(N=50). (2)交通手段別 1 日の平均トリップ数の変化. 普段通りの行動を要請した.第 2 週目は,ピークロー. 前節の結果がどの交通手段によるものか把握する. ドプライシングを想定し,自動車利用に対して表2に. ために,交通手段別トリップ数に着目し,同様の分析. 示す出発時刻に応じた課金政策を実施した.第 3 週目. を行った.図2は自動車利用トリップの分析結果であ. は炭素税型の環境税を想定し,自動車利用時間に比例. り,平休日ともに前節と同じ傾向を示していることが. した課金政策を実施した.第 4 週目は課金によって得. わかる.紙面の都合上,結果は省略するが,自動車以. た税収を公共交通の利用促進に充当することで手段. 外の交通手段については,課金政策の実施に伴うトリ. 転換を促すことを意図し,第 3 週目の政策に加えて公. 4.5. 共交通運賃の割引を実施した.対象者は,名古屋市お. 3.5. 4.5 (σ=1.77). (σ=1.43). 3.0. よびその近郊に住む男性 24 名,女性 26 名の計 50 名. (σ=1.91) (σ=1.59). 3.0 2.5. 2.0. 2.0. であり,課金や割引金額に応じて調査協力謝礼を変動. 1.0. させることにより,政策の影響が実行動に反映される. 0.0. 0.5. 1.59. p=0.56. 1.40. 平日 第1週目. p=0.21. p=0.33. 1.23. 第3週目. (σ=1.39). p=0.00. p=0.00. p=0.01. 1.57. 1.5 0.5. (σ=1.89). 2.60. 1.17 1.0. p=0.86. 第2週目. (σ=1.75). 3.5. 2.5 1.5. (σ=1.59). 4.0. 4.0. 1.73 p=0.10. 1.19. 休日. 0.0. 第4週目. 第1週目. 第2週目. 第3週目. 第4週目. 図2 自動車の 1 日の平均トリップ数の変化(N=50). よう努めた. 233.

(2) ップ数の変化に有意差は見られなかった.以上のこと. 際に多くの場所に立ち寄ることで自動車の総移動時. から,課金により特に休日の自動車利用トリップは減. 間を減少させる傾向にあることが伺える.以上より,. 少するが,交通手段の転換は生じず,移動自体を取り. 従量制の課金は,自動車の効率的利用を促す効果があ. 止めることで出費を避ける傾向にあると言えよう.. るものと考えられる.. 4.トリップチェインに着目した分析. (3)買い物目的の平均ストップ数の変化. 前章の分析ではトリップ単位で集計しているため,. 前節の結果がどのトリップ目的によるものである. 例えば,会社から自宅に直帰したのち再度外出して自. か把握するために,1 ツアー中の平均ストップ数の差. 宅に戻る場合と,会社からの帰宅途中に 2 か所への立. の検定をトリップ目的ごとに行った.有意差が観測さ. ち寄りを行って自宅に戻る場合の行動パターンの差. れた買い物目的の分析結果を図5に示す.平日の第 2. 異を識別できない.そこで,本章ではトリップチェイ. 週目は会社からの帰宅途中に買い物を行う際,課金対. ンの概念に基づき,ツアー数,ストップ数に着目して. 象時間に該当するケースが多く,その結果,買い物目. 分析を行う.. 的のストップ数が減少したものと考えられる.逆に,. (1)自宅ベースの 1 週間の総ツアー数の変化. 休日の第 3 週目については,ストップ数が有意に増加. まず,自宅ベースの 1 週間の総ツアー数について前. している.これは,PP 調査データを個別に見たとこ. 章と同様の分析を行った(図3).平日は通勤等の,到. ろ,政策実施前は自動車を利用して郊外の大型店舗で. 着時刻やトリップ順序に制約がある移動が多いため,. 買い物を行っていた人が,従量制の課金を避けるため. ツアー数に変化は無かった.一方,休日ではツアー数. に,自転車や徒歩等で自宅近辺の複数の店舗で買い物. が有意に減少している.これは,自由目的のトリップ. を行うような対応行動によるものと思われる.. がほとんどであることによるものと考えられる.なお, 業務や昼食等での移動が多い職場ベースのツアーに. (σ=1.96). (σ=1.40). 6.0. 5.0. p=0.95. p=0.72. 4.62. p=0.29. 4.76. 5.02. 4.64. 4.0 p=0.73. 6.0. 1.0. 3.0. 3.0. 2.0. 2.0. 1.0. 平日. 1.0. 第1週目. 第2週目. 第3週目. (σ=1.62) p=0.00. p=0.00. 2.32. 1.08. 1.20. 1.12. (σ=0.33). (σ=0.28). p=0.41. p=0.02. 1.5. 1.27. p=0.64. 1.32. 1.55. 1.36. p=0.15. 1.0. 0.5 0.0. 第2週目. 第3週目. 第4週目. 休日 第1週目. 第2週目. 第3週目. 第4週目. 図5 買い物目的のストップ数の変化(N=50). (σ=2.05). 5.おわりに. (σ=1.45). p=0.00. 2.10. 休日 第1週目. 第4週目. p=0.56. 平日 第1週目. (σ=2.11). 今回の実験では自動車利用に対する課金水準が高. 1.84. p=0.47. かったため,移動自体の取り止めが多く,公共交通運. 0.0. 0.0. (σ=0.11) p=0.13. (σ=0.07) p=0.04. (σ=0.65) (σ=0.44). p=0.31. 0.0. 3.82. (σ=0.32). 0.5. 5.0 4.0. 2.0. 1.27. 7.0. (σ=2.03). 2.0 1.5. ても有意差は見られなかった. (σ=1.81). 2.5. (σ=0.24). ついても同様の分析を行ったが,いずれの政策におい 7.0. 2.5. 第2週目. 第3週目. 第4週目. 賃の割引を行った場合でも手段転換はほとんど見受. 図3 自宅ベースの 1 週間の総ツアー数(N=50). (2)自宅ベースの 1 ツアー中のストップ数の変化. けられなかった.また,買い物行動については,特に. 前節の分析のみでは,立ち寄り場所数の変化が把握. 自動車利用時間に応じた課金時に有意な変化があり,. できないため,次に 1 ツアー中のストップ数(立ち寄. これは従量制の課金政策は,普段の自動車利用を見直. り場所数)について同様の分析を行った(図4).平日. し効率的な移動を促す効果があることを示唆してい. は自由目的の移動が僅かであるため,課金政策の影響. ると考えられる.一方で,今回は短期間の実験であっ. を受けず,ストップ数は変化しなかった.有意差が確. たため,出勤や業務等での移動が多い平日では効果が. 認できたのは,休日の第 3 週目であり,一旦外出した. 見られず,ゆえに今後は事業所の協力のもと,通勤手. 4.0. 4.0. 3.5 3.0. (σ=1.47) (σ=1.20). (σ=1.54). (σ=1.06). 3.0. 2.5. 2.0 1.5. 1.77. p=0.50. 1.70. p=0.95. 1.80. 1.76. p=0.77. 1.0 0.5. (σ=1.06). (σ=1.18). 2.0 1.5. p=0.09. 1.79. p=0.36. 1.66. p=0.21. 2.06. 平日. 0.5. 謝辞 本研究は,環境省「平成 22 年度環境研究総合推進費」(革 新型研究開発領域,課題番号:RF-1012)の支援により実施さ れた.ここに記して感謝の意を表します.. 1.63. p=0.01. 1.0. 0.0. 施するなどして,効果を検証する必要があろう.. (σ=0.91). 2.5 p=0.80. 当やフレックスタイム制等と連動して課金政策を実. (σ=1.43). 3.5. 休日. 0.0. 第1週目. 図4. 第2週目. 第3週目. 第4週目. 第1週目. 第2週目. 第3週目. 第4週目. 1ツアー中の平均ストップ数の変化(N=50). 234.

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