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島津, 光明

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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

Beauveria属糸状菌によるマツノマダラカミキリの防 除に関する研究

島津, 光明

https://doi.org/10.11501/3110948

出版情報:Kyushu University, 1995, 博士(農学), 論文博士 バージョン:

権利関係:

(2)

第4章 天敵微生物によるマツノマダラカミキリの防除試験

第1章でマツノマダラカミキリ幼虫および成虫に対しては, Beauveria

baSSlana F-263が病原力が強いことが判明した。 また, B. baSSlanaは培養 も容易なので, 野外での防除試験には主としてこの株を用いた。 そこで本 章ではその試験結果を記述する。

マツノマダラカミキリの防除のために通常行われる化学殺虫剤の使用法 は, 大きく分けて駆除と予防の2通りがある。 前者は枯損木中の幼虫の殺 虫を目的とし , 後者は健全木への成虫の後食防止を目的としている。 天敵 微生物で本虫を防除するためにも, 化学殺虫剤と類似の使用法がまず考え

られる。 すなわち, 枯損木中の幼虫を標的にする場合と, 後食のため健全 木に飛来する成虫を対象にすることである。 しかし B. baSSlanaなどの天

敵微生物は, 材内の幼虫にはほとんど効果が期待できないので, ここでは 踊室完成前の秋に樹皮下の幼虫を対象に菌の分生子懸濁液を散布した。 ま た, 嫡室内幼虫期以後に枯損木表面に天敵微生物を有効に施用するために は, 対象を幼虫ではなく, 脱出成虫とする方が効果が期待できるため, 初 夏に脱出成虫を対象に枯損木の樹皮外から菌の分生子懸濁液を散布する実 験も行った。 次に, 後食する成虫を標的として, 健全マツの樹冠に分生子 懸濁液を散布し, 後食する成虫に接触させる実験を行った。 さらに, これ らの方法では死亡率に限界があったため, 枯損木の樹皮下に効率的に菌を 導入する方法として種駒状の培養物と不織布帯培養物を利用することを検 討し, その試験結果とこれに伴う菌の飛散調査の結果を示す。

第1節 被害丸太へのBeauveria bassiana分生子の散布による幼虫の防除

枯損マツ中のマツノマダラカミキリ幼虫の駆除には 通常スミパインな どのMEP乳剤や油剤の散布が行われる(遠田 1994)。 この駆除剤の代わりに 天敵微生物, とくにBeauveria bassianaが同様の方法で使用できるか否か

(3)

を調べるため, 野外散布試験を行った。 化学殺虫剤は材入孔から浸透し,

枯損木の材内にまで進入するので(田畑・ 大久保1974;田畑1976)冬期, 春 期でも蛸室内幼虫に作用する(林 1974;井戸 ・ 武田1974)。 このため, 被害 木の発見が容易で労働力も十分確保できる冬期に行われることが多い。 し かし, 天敵微生物は当然のことながら, ガスによる効果がないため木屑を 詰めた踊室内まで到達する可能性が少ないので, 枯損木の表面から施用す るという農薬的施用法を採るなら, 幼虫が踊室を完成させる前に施用する 必要がある。 また, 前章で述べたとおり, 低温では菌の成長は抑制される ため, 冬には殺虫効果は低いと考えられる。 これらの点を考慮、し, 試験は 秋期に行った。

材料と方法

これまでの実験にも供試した熊本県産マツノマダラカミキリ幼虫から分 離したBeauveria bassiana F-263を使用し, このほかに, 長野県産オオス ジコガネ幼虫から分離したコガネムシ寄生型Beauveria brongniarti i F- 77, および茨城県産マツノマダラカミキリ幼虫から分離したSerratia

marcescensを比較のため同様に施用した。 両糸状菌はそれぞれSDY培地によ り, プラスチック箱で250C3週間培養したのち, 同温で乾燥し, 毛筆を用い て分生子を収穫した。 これを水に懸濁して1.2x 107個/mlの濃度の散布液

とした。 S. marcescensは肉エキスブイヨン液で, 250C 2日間振渥培養した ものを水で5倍に希釈して散布液とした。 このときの菌濃度は8.8x 108/

mlであった。 各散布液には展着剤としてネオエステリンを100ppm加えた。

供試木は, 茨城県新治村(当時)の激害林のアカマツ枯損木で, マツノ マダラカミキリ幼虫の寄生が認められるものを選んで用いた。 供試木は,

1mの丸太に玉切ったものと立木のままのものの2とおりにした。 丸太は両 糸状菌区はそれぞれ9本ずつ, S. marcescens区は10本を供試し, また, 展 着剤jを加用した水を散布した丸太8本を対照区とした。 このうち, 各区3

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本は樹皮の一部を縦に剥皮して散布液のj参入を容易にした。 また, 立木は B. baSSlana区は3本, S. marcescens区は4本供試した。 丸太には1区あ たり3tの散布液を噴霧器を用いて散布した。 これはそれぞれの丸太が十 分に濡れてさらに液がしたたり落ちる程度の量である。 散布後の丸太は林 内の枕木上に並べ, 上を葉のついた枝で簡単におおった。 また, 立木は1 区あたり15 tの散布液を動力ポンプを用いて散布した。 散布は1979年10月 2日に行った。 丸太は散布の20日, 72日, 174日後に, 各区原則として3本 ずつ(内1本は剥皮したものを含むように)回収し, 割材して樹皮下と材 内の虫数を調べた。 また, 立木は散布177日後に伐倒し, 丸太と同様の調査 をした。 立木の伐倒時に対照区として無散布の枯れ木3本を採集し, 同様 の調査をした。 調査時に得た死亡虫は検鏡または培養により死因を調べ,

生存中は1頭ずつ管瓶に入れ室温で成虫になるまで飼育した。

同じ菌株を使用して, 1980年に同様の試験を各県でも行った。 供試菌は 農林水産省林業試験場天敵微生物研究室で前述の方法で培養し, 得られた

糸状菌の分生子とS. marcescensの培養物を, 宮城, 茨城, 兵庫, 岡山, 広 島, 島根, 徳島, 熊本, 鹿児島の各県の林業試験研究機関に送付し散布試 験を行ってもらった。 供試木は, マツノマダラカミキリに人工的に産卵さ せた丸太で, これに, 糸状菌は分生子の1X 106または107/mlの懸濁液, ま た,�marcescensは肉エキスブイヨン培養物の100倍希釈液を, 樹皮rrlあ たり1 t散布した。 散布時期は, 産卵前, 産卵後, 穿孔前, 穿孔後の4と おりで, 県による差はあるものの, だいたい6月, 7 "'-' 8月, 9月, 1 0 月にあたる。 調査は, 散布1カ月後, 穿入前, 越冬中の3回に分け, 丸太 を割材して行った。

結果および考察

林業試験場での実験における丸太中のマツノマダラカミキリ幼虫の, 散 布菌による死亡率は表-33のとおりであった。 割材時に材入孔のみで幼

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表-33 被害丸太へのBeauveria bassiana分生子散布による幼虫の駆除

散布後20日 散布後20日 散布後20日

樹皮下 材内 樹皮下 材内 樹皮下 材内

Beauveria bassiana 供試丸太数 3 3 3

丸太1本あたり虫数a 1.3 5.3 1.3 3.3 3.3 6.3 割材時の病死率 11.1 16.7 70 32.7 飼育後の病死率 33.4 29.3 100 42.9 20 33.7

病死率計 44.5 29.3 100 59.6 90 66.4

効果 32.3 71.0 74.5

Beauveria bronEniartii 供試丸太数 3 3 3

co 丸太1本あたり虫数a 2 4.7 4.7 2.7 G 12

-:]

割材時の病死率 20 4.8 2.8 飼育後の病死率 10 15.6 77.1 36.7 11.8

病死率計 30 15.6 81.9 36.7 14.6

効果 19.9 65.4 14.6

Serratia marcescens 供試丸太数 3 3 4

丸太1本あたり虫数a 2.7 4.3 0.7 5.7 11.8

割材時の病死率

飼育後の病死率 G 50 25 G

病死率計 50 25

効果 0.0 28.2 0.0

a:空の材入孔数を含む。

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虫がいなかったものもあったが, これは全虫数に含めた。 調査時に生存し ていた幼虫を飼育した際, 対照区にも若干の病死虫が見られた場合があっ たが(20日後, 174日後回収)この場合は同時に飼育した散布区の生存虫の 病死率から差しヲ|し、て補正した値で示した。 散布菌による病死率は調査時 の病死率と生存虫のその後の病死率の合計の値で表せるが, 実用上の有効 性は樹皮下と材内の虫数で重み付けした病死率の合計で判定した方がよい と考えられるので, それを「効果」として表中に示したo B. bassiana 区の 丸太では20日後の調査では病死虫は調査後の飼育も含めて半数以下であっ たが, 72日後, 174日後の調査では半数以上が散布菌により病死した。 コガ ネムシ寄生型B. b rongniarti i区の丸太でもB. baSSlana区には劣ったが,

毎回の調査で病死虫が見られた。 また,�!!!arcescens区の丸太では, 72日 後だけにしか効果が見られなかった。 実際には20日後調査の生存虫も飼育

中に1頭だけ本菌による病死が見られたが, 補正により消去された。 各区 の丸太では, 部分的に剥皮したものは剥皮しなかったものと比べ, 菌の効 果に差が見られなかったので, 表中では同等に扱った。

立木ではB. baSSlana区, S. marcescens区とも病死虫が見られたが, 後 者による死亡虫はごくわずかであった(表-34)o!L_ QaSSlanatま, 丸太 の約半分の効果であった。 立木の, 幼虫が見られた部位(高さ)と病死率

は関係が見られなかった。

このように, 調査時の病死率はあまり高くなかった。 飼育したものでは かなり高い死亡率が得られた。 これらの値は, 対照区の死亡率を用いて補 正しており, この補正で自然の擢病と, 飼育中の汚染は消去できる。 しか し当然のことながら, 対照区の樹皮表面に菌を散布していないことから,

処理区では施用した菌が樹皮表面に残存し, 割材時に生存虫を汚染する可 能性は, この補正では除去することはできない。 そこで, 以後の試験と県 に依頼した試験では, 調査時の病死率だけで効果を評価することにした。

県における1980年の散布試験は, 調査を3回に分けて行ったが, 表-

3 5には各施用時期についての3回の調査の中の最高値をのせである。 県

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表-34 立木に施用した菌によるマツノマダラカミキリの死亡率

Beauveria bassiana散布区 Serratia marcescens散布区

樹皮下 材内 樹皮下 材内

供試立木数 3 4

平均直径(cm) X長さ(m) 11.5x8.7 10.5x6.6

1本あたり虫数a 8.7 104.7 4.3 104.0 割材時の病死率 24.7 1.3 0.0 0.3 飼育後の病死率 43.0 31.0 0.0 2.1

病死率計 67.7 32.3 0.0 2.4

効果 35.0 2.3

a:空の材入孔数を含む。

- 99 -

(8)

処理菌・時期別の天敵微生物丸太処理によるマツノマダラカミキリの死亡率 表-35

鹿児島 徳島 熊本

島根 県 名

広島 散布濃度処理時期

菌 種

1.3 2.9

1.5

nunununU

13.3 3.2 0 1.4 0

20.2 21.4 1.6 17.6

10 28.6

0 0 0

18.2 0 0 8.3

0 4.8 8.3 4.3

産卵前 産卵後 穿孔前 穿孔後 9x 108

9x 108 9X 108 9X 108

S-s-s-s­n-n-n-n一

Qu-Qu-Qu-QM一

m一m一m一m-3一s.s.一s

.一

10 0

5.6

3.5

0 2.4 8.3 2 23.8

69.2 0

0 33.3 0 0 0 21.4

10.3

ρ0 ・EEA

岡山

3.8 9.1 13.3 10.7 10 10 3.4 4.5 兵庫

13.8 12.5 茨城

12.5 15.2 24

宮城

16 5.9 産卵前

産卵前 産卵後 産卵後 穿孔前 穿孔前 穿孔後 穿孔後 /ml

106 107 106 107 106 107 106 107 B. baSSlana

B. baSSlana B. baSSlana B. baSSlana B. baSSlana B. baSSlana B. baSSlana

B. baSSlana 12.5

4.8 10 6.3 8.3 23.1

0 14.8 4 0 産卵前

産卵後 穿孔前 穿孔後 107

107 107 107

日一B.一ni一B.

日{)O

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によりばらつきがあったが, 糸状菌では産卵後の施用が最も効果が高く,

穿孔前がこれに次いで高い傾向があった。 S. !!!arcescensの施用時期による 効果の違いには明瞭な 傾向は認められなかった。

散布した病原菌はその効果において糸状菌の2種が顕著であった。 また 菌は樹皮の外側から散布したものにもかかわらず, これによって樹皮下に 生息する幼虫が感染することも明らか になった。 これは散布された菌が樹 皮にある割れ目等から樹皮下に入り込んで感染したものと考えられる。 材 内の幼虫も散布菌によって死亡していたが, これは樹皮下で感染した幼虫 が材内に穿入してから発病したと考えられる。 実験で散布したB. b旦SSI- ana分生子の懸濁液の濃度は1.2x 107 /mlで, この菌株では実験室内で幼虫 を直接浸漬すると100%殺虫する濃度であ り, さらにこの1/100の濃度でも , ほぼ100%近い殺虫率が得られている。 丸太への散布は液が十分垂れるほど の量であ る。 これにもかかわらず大部分の実験結果で死亡率が50%以下の 値であるということは, 菌の樹皮下への到達が不十分だったためだと考え

られる。

S. marcescensは実験室で強制接種するとマツノマダラカミキリに病原性 を示すが(佐藤ら, 1979)今回の実験ではその効果は低かった。 この菌自体 の病原性の低 さのほか , その原因には本菌が経口感染性の菌であ るため,

今回の散布では時期的に幼虫が本菌を十分摂食しな いため感染が起こらな かったということが考えられる。

第2節 被害丸太へのBeauveria bassiana分生子の散布による脱出成虫の 防除

被害木に天敵微生物を散布してその中に生息するマツノマダラカミキリ を殺虫するためには 幼虫を対象とするなら材入前の秋期に行う必要があ ることは前に述べた。 しかし, 冬期以降に枯損木中のマツノマダラカミキ

リを天敵微生物を施用して防除する, すなわち幼虫の材入後に樹皮外から

101

(10)

施用するとすると, 感染する機会は成虫が脱出するまでないことになる。

このような必要性があるか否かは別として, 材入後のマツノマダラカミキ リに対して天敵微生物を散布して防除しようとすれば, 成虫脱出時しか機 会がないであろう。 換言すれば, 成虫の羽化脱出前に被害木の樹皮に菌を 散布すれば, 脱出してきた成虫が樹皮に付着した菌に接触し, 感染する可 能性はある。 そこで, この方法が実際に可能かどうかを検討するため, マ ツノマダラカミキリの寄生する丸太に, 病原菌を成虫の羽化脱出直前に散 布し, そこから 脱出した成虫を飼育して散布菌に対する,躍病率を調べた。

材料と方法

試験は1980年と1981年に行った。 供試した菌株は, 熊本県産マツノマダ ラカミキリ幼虫から分離したBeauveria bassiana F-263, 長野県産オオス ジコガネ幼虫から分離したコガネムシ寄生型Beauveria brongniarti i F- 77, および茨城県産マツノマダラカミキリ幼虫から分離したSerratia

marcescensである。 両糸状菌はそれぞれSDY培地により, プラスチック箱で 250C3週間培養したのち, 同温で乾燥し, 毛筆を用いて分生子を収穫した。

これを水に懸濁して1X 107個/mlおよび1X 108個/mlの濃度の散布液とし た。 S. marcescensは肉エキスブイヨン液で, 250C 2日間振渥培養したもの を水で5倍に希釈して8.8x 108/rnlの濃度にした。 各散布液には展着剤と

して'80年はTween 40を, '81年はTween 80を100pprn加えた。

供試した丸太は, '80年は茨城県新治村(当時)産の自然枯損のアカマツ のマツノマダラカミキリの寄生するものを1mに玉切ったものを1区あたり 4本, '81年は岡県千代田村(当時)で, アカマツの生木を1mに切って誘引 産卵させたものを1区あたり6本用いた。

散布は1980年5月30日と1981年5月27日に行った。 噴霧器を用い, 樹皮1rrl あたり'80年は600ml, '81年は1000rnlの菌液を散布した。 また, 対照区には Tweenを溶かした水を同量散布した。 散布後の丸太は, 風乾後, サラン防虫

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網で作った袋に1本ずつ入れ, 屋外の建物北側に立てかけた。 これを毎日 観察して脱出した成虫はプラスチックカップに入れアカマツの枝を与えて お℃の室内で個体飼育した。 飼育中死亡したものは保湿後, すべて検鏡ま たは培養により死因を同定した。 また, 脱出の終わった丸太は割材して死 亡虫の有無とその原因を調査した。

結果と考察

脱出成虫の散布菌による病死率を表-36. 37に示す。 羽化脱出後30 日までの飼育ではB. baSSlana 以外はほとんど効果が見られなかった。 それ 以後の飼育ではB. baSSlana区とB. b rongniarti i区で効果が見られた。 と

くにB. baSSlana108/mlを散布した区では60%近い死亡率が得られた。 s.

marcescens区では擢病虫は見られなかった。 両市場菌を同濃度で比較する

と前者の方が病死率が高く, 死亡までの日数も短かった。 また, それぞれ の菌で分生子濃度が高い方が病死率が高く, 死亡までの日数も短かった。

成虫の脱出率は散布区によって差があるとは思われなかった。

成虫の脱出してから死亡までの日数(成虫の寿命とする)は, 処理区に よる有意差はなかった(表-3 8)

成虫の脱出が終わったあとの丸太に残された病死虫数を表-39に示す。

丸太には幼虫, 成虫のB. bassiana, S. marcescensによる病死虫がみられ たが, これらはその菌を散布していない区にもみられた。 このことから,

これらの病死虫は散布菌による感染ではなく, 自然感染による病死と考え られる。

この実験の結果から 脱出直前散布でそこから脱出してきた成虫に感染

をひきおこすことが可能なことが判明した。 供試した菌の中ではB. b亘豆ニ 豆盟主が最も効果が大きくコガネムシ寄生型B. b rongniarti iがこれに次ぎ,

�marcescensは効果がみられなかった。 とくにB. baSSlana 1 x 108区では かなり高い死亡率が得られた。 しかし, この死亡率を得るには平均で40日

103

(12)

表-36 脱出成虫の散布菌による病死率 (反復1)

処 理

30日まで 無期限

死亡まで病死率(先)同補正値(児) 死亡まで病死率(児)同補正値(児)

の日数 の日数

成虫 丸太1本 脱出率a あたりの 脱出成虫数

日{)品

対 照 0.0 0.0 78 (br) 2.5(br) 0.0 0.50 12.0

65 (b) 8.4 (b)

S. marcescens 0.0 0.0 0.0 0.0 0.49 11.5

!L. brongniartii 23.0 2.3 2.3 45.0 4.6 2.2 0.35 5.5

B. bassiana 6.3 20.3 20.3 29.8 33.8 27.7 0.58 5.0

a:脱出孔数/材入孔数

br: B. bronEniartiiによる病死。

b: B. bassianaによる病死。

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表-37 脱出成虫の散布菌による病死率 (反復2)

処 理

30日まで

死亡まで病死率(先)同補正値(児) の日数

無期限

死亡まで病死率(先)同補正値(見) の回数

成虫 丸太1本 脱出率a あたりの 脱出成虫数

日cm

13.4(b) 19.6(b) 0.0 23.2(b) 25 (b) 0.0 0.45 1.9

B. brongn i art i i 107 0.0 0.0 73.0 8.9 8.9 0.55 6.0

B. brongn i art i i 108 28.0 2.0 2.0 65.1 29.0 29.0 0.52 5.2

B. bassiana 107 21.5 14.7 0.0 55.8 33.4 11.2 0.56 6.0

B. bass iana 108 18.1 26.5 8.6 40.8 69.6 59.5 0.74 10

a:脱出孔数/材入孔数 b: B. bassiané!による病死。

(14)

表-38 脱出した成虫の寿命a

処 理

対 照

Serratia marcescens Beauveria brongniarti i 107

Beauveria brongniarti i 108

Beauveria bassiana 107

Beauveria bassiana 108 a:日数, 平均±標準誤差

反復1

42.2=1=5.7 41.4=1=5.5 33.4=1=8.6 40.1=1=10.6

反復2

82.1 =1=30.3

80.1士18.8 81.4::1: 18.0 63.1士18.9 49.8士9.0

(15)

表-39 材内の死亡虫数(病死虫数/全死亡虫数)

処 理 反復1 反復2

幼虫 嫡 成虫 幼虫 嫡 成虫

2(S?)/4 0/1 0/5 0/1 0/0 lb/2

Serratia marcescens 2b, 1 (S?) /7 0/0 (S?) 1 /5

Beauveria brongniartii 107 lb/l0 0/0 (S?) /7 1 lb/4 0/2 0/2

Beauveria bronEn i art i i 108 0/2 0/0 0/4

ヤ・・‘ Beauveria bassiana 107 0/ 3 0/1 IS/4 0/4 0/0 0/ 9

o

『司 Beauveria bassiana 108 0/1 0/ 1 lb/4

S: Serratia marcescens, (S?): Serratia marcescensの赤色素非産生系?, b: Beauveria bassiana

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以上を要し, 30日以内の死亡率では8.6%にすぎない。 網室におけるマツノ マダラカミキリの成虫の寿命は約1カ月から2カ月で(岸, 1988 ), 野外で の実際の寿命はこれより短いと推察される。 これを考えるとB. baSSlanaが

40日以上かけて成虫を殺しでも, 自然の寿命と差がないことが考えられる。

さらに, マツノマダラカミキリの後食はほぼ脱出直後から始まり, 1週間 後から多くなり 20日前後に最も盛んとなる(遠田, 1972;奥田, 1974;竹下,

1978)。 また, 産卵前日数は早いもので1週間後から 平均で14から30日で ある(片桐, 1964;越智, 1969;遠因 ・ 野淵, 1970;岩崎 ・ 森本, 1973;永 井・ 遠田, 1974;奥田ら, 1974;井戸 ・ 武田, 1975;在原, 1979;滝沢,

1980)。 これは, B. baSSlanaが長い日数をかけて殺すまでの聞に, 成虫の 後食とこれに伴う線虫の媒介, および産卵を許すことを示しており, この ままでは, 実際の防除にはほとんど効果がないと考えられる。 また, 60%

という死亡率は, 防除効果からはまだ不十分であろうが, これでさえ108/

mlという高濃度の分生子液を散布しての結果であり, この点からも実用的 ではない。 ただ, この試験で, 脱出後最も短いものでは5日で病死してお り, すべての成虫がこの程度の日数で死亡するなら実用上の効果が期待で きる。

第3節 健全マツ樹冠へのBeauveria bassiana分生子の散布による後食成 虫の防除

ここまでに述べたのはマツノマダラカミキリに対する天敵微生物の駆除 的使用法であるが, 本虫に対する農薬のもう一つの使用法である予防的使 用法についても, 天敵微生物の利用の可能性について調査しておく必要が ある。 そこで, 健全マツの樹幹に散布した天敵微生物に, 後食する成虫が どの程度感染するかを調べた。 化学農薬の予防散布は成木を対象に行われ るが, 実験的に行うため, 鉢植えの苗木に天敵微生物を散布して網掛けを 行い, 飼育虫を放飼して感染率を調査した。

(17)

材料と方法

供試菌としてマツノマダラカミキリから分離したB. baSSlana F-263とオ

オスジコガネから分離したB. b rongniarti i F-77を数回マツノマダラカミ キリに接種再分離したF-264, およびs. marcescen S B-302を供試した。 B.

baSSlanaとB. b rongniarti iはそれぞれSSY培地により プラスチック箱で

250C 3週間培養, 乾燥, 収穫した分生子をTween 80 を100ppm加えた水に懸

濁した。 分生子濃度は, 1 X 107および, 1x 108/mlになるよう 調整した。 これら分生子浮遊液, およびこれらにS. marcescensの肉エキスブイヨン培 地による振渥培養物(250C 2日)を20先になるよう加えたものを散布液とし た。 対照区には, Tween 80の100ppm溶液を用いた。

供試木には, 1981年にはアカマツ 1982年にはクロマツの, それぞれ樹

高1mの苗を30cmの鉢植えにしたものを用いた。 マツノマダラカミキリの放 飼虫は1981年は茨城県新治村(当時) , 1982年は岡県牛久町(当時)にお いて得た枯損木を網室に置き 羽化したものを用 い た。

菌の施用は1981年7月7日および1982年6月15日に, 前述の散布液を供試木 1本あたり, '81年は100ml, '82年は50ml散布して行った。 散布された供試 木は風 乾後, 当日放虫, 2週間後放虫, 4週間後放虫の3グルー プに分け た。 放虫にあたっては供試木にサラン防虫網の袋をかけ, その中に, 1本 あたり'81年は2♂3平または3♂2平, '82年には2♂2平のマツノマダラカミ キリ成虫を放飼した。 なお, 1区あたりのマツ苗木は'81年には2本, '82年 には5本を供試した。

供試木は散布後は, 林業試験場(当時)構内の芝生の上で, 直射日光を 避 けるため, よしずで日光を弱めた場所に置 いた。 観察は毎日行い , 死亡 虫は取り出し 湿した鴻紙を敷いたペトリ皿に入れて保湿して菌を外生さ せ, 死因を調査した。

109

(18)

結果と考察

表-40は1981年の放飼虫の累積死亡率である。 表中各区の上段は総死

亡率, ( )内は補正死亡率を示す。 対照区でも死亡虫が多く30日までに 100出死亡したo B. b rongniarti iを散布した区では散布菌による病死はみら れず総死亡率も対照区と差がみられなかった。 B. baSSlanaを散布した区で はいずれの濃度でも病死虫が得られ 放虫後3週間まで対照区よりやや高い 死亡率を示した。 B. baSSlanaによる病死虫は菌散布の2週間後に放虫した 区でも認められた。 B. baSSlanaの107/ml散布2週間後放虫区と同108/ml 散布4週間後放虫区では防虫網の中にアリが多数入り, この影響と思われ る放虫直後からの高率の死亡がみられた。 表-41に1982年の放飼虫の累 積死亡率を示す。 この年は対照区の病死率が低く, またいずれの散布区か らも病死虫が得られた。 とくにB. baSSlana 108/mlを使用した区では両散 布区とも放虫後3週間までで25児以上, 45日までで45見以上の病死率が得られ た。 しかし, 散布2週間以降に放虫をした区での,薩病率は非常に低く, と

くに散布4週間後の放虫ではほとんど病死はみられなかった。 また, S.

marcescensとの混用の効果は107/ml区では少しあるように思われたが,

108/ml区では認められなかった。

放虫から病死までの日数を表-42に示す。 最短値は1981年も'8 2年も6 日であった。 散布後放虫までの期間と放虫から病死までの日数との聞には 何らの相関関係もなかった。

これらの結果から 夏期に枝にB. baSSlana等の病原菌を散布しておけば,

後食に来た成虫に感染し, ある程度の死亡率を得られることが分かった。

しかし本研究の結果では, 前節と同様成虫の死亡率が低く, さらに死亡ま での時間がかかりすぎる欠点がある。 前節で述べたので, ここでは詳しく

述べないが, 低死亡率と長い潜伏期間はマツノザイセンチュウの媒介と産 卵を十分許すことになる。 よって, 実際の防除にはこの方法による成虫の 防除は不十分であると考えられた。

(19)

表-40 放飼成虫の累積死亡率く反復1) a

散布から

処 理 放虫まで 放 虫 後 の

の週数 0-7 0-14 0-21 0-30 0-45

対 照 0.0 12.5 47.5 100.0 100.0

0.0 0.0 12.5 (b) 12.5 (b) 12.5(b)

2 10.0 10.0 20.0 100.0 100.0

0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

Beauveria brongn i art i i 107 0.0 (0) 20.0 (8.6) 30.0 (0) 100.0 (0) 100.0 (0) 0.0 (0) 0.0 (0) 0.0 (0) 0.0 (0) 0.0 (0) 2 20.0 (11.1) 40.3 (33.3) 40.0 (25.0) 80.0 (0) 90.0 (0) 0.0 (0) 0.0 (0) 0.0 (0) 0.0 (0) 0.0 (0)

トー Beauveria bronzn i art i i 108 0.0 (0) 20.0 (8.6) 50.0 (4.8) 100.0 (0) 100.0 (0)

ドー・

ド.... 0.0 (0) 0.0 (0) 0.0 (0) 0.0 (0) 0.0 (0)

2 10.0 (0) 20.0 (11.1) 30.0 (12.5) 100.0 (0) 100.0 (0) 0.0 (0) 0.0 (0) 0.0 (0) 0.0 (0) 0.0 (0) Beauveria bassiana 107 33.3 (33.3) 37.5 (28.6) 58.3 (20.1) 79.2 (0) 100.0 (0) 0.0 (0) 0.0 (0) 12.5 (0) 12.5 (0) 12.5 (0) 2 72.3 (69.2) 78.6 (76.2) 78.6 (73.3) 100.0 (0) 100.0 (0) 12.5 (12.5) 12.5 (12.5) 12.5 (12.5) 12.5 (12.5) 12.5 (12.5) Beauveria bassian� 108 G 30.0 (30.0) 40.0 (31.4) 60.0 (23.8) 70.0 (0) 100.0 (0) 10.0 (10.0) 20.0 (20.0) 30.0 (20.0) 30.0 (20.0) 40.0 (31.4) 2 10.0 (0) 10.0 (0) 20.0 (0) 70.0 (0) 100.0 (0) 0.0 (0) 0.0 (0) 10.0 (10.0) 20.0 (20.0) 20.0 (20.0)

4 66.7 100.0 100.0 100.0 100.0

0.0 8.3 8.3 8.3 8.3

a:上段:総死亡率, 下段:純死亡率,()内:補正値。

(20)

の 数 放 虫 後

0-14

放飼成虫の累積死亡率(反復2) a

散布から 放虫までの週数

理処

表一41

0-45

40.0

0.0 30.0 5.0 100.0 10.。

0-30

25.0 0.0 25.0 0.0 20.0 10.。

0-21

25.0 0.0 15.0 0.0 10.0 10.。

20.0 0.0 15.0 0.0 5.0 5.0 0-7

15.0 0.0 10.0 0.0 0.0 0.0

2

4

45.0 (8.3) 10.0 (10.0) 80.0 (71.4) 5.0 (0) 95.0 (91. 7) 5.0 (0) 30.0 (6.7) 30.0 (6.7)

10.0 (10.0) 10.0 (10.0) 25.0 (11.8) 30.0 (6.7) 0.0 (0) 0.0 (0) 35.0 (27.8) 41.7 (27.1) 0.0 (0) 0.8 (0) 25.0 (6.3)

5.0 (5.0) 20.0 (5.8) 0.0 (0) 21.7 (17.6) 0.0 (0) 20.0 (5.8)

0.0 (0) 5.0 (0) 0.0 (0) 7.5 (7.5) 0.0 (0)

2

4 Beauve r i a bass i ana 107

93.3 (88.8) 50.0 (50.0) 90.0 (85.7) 5.0 (0) 98.7 (0) 11.7 (1.9) 53.3 (37.7) 73.3 (64.4)

25.0 (25.0) 45.0 (45.0) 31.7 (19.6) 31.7 (8.9) 0.0 (0) 0.0 (0) 35.0 (27.8) 45.0 (31.3) 0.0 (0) 0.0 (0) 23.3 (4.1)

0.0 (0) 21. 7 (7.9) 0.0 (0) 25.0 (21.1) 0.0 (0) 5.0 (0)

0.0 (0) 5.0 (0) 0.0 (0) 5.0 (5.0) 0.0 (0)

2

4 Beauveria bassiana108

51.7 (19.5) 26.7 (26.7) 55.0 (35.7) 10.0 (5.3) 93.3 (0) 5.0 (0) 15.0 (0) 15.0 (0) 36.7 (15.6) 51.7 (35.6)

0.0 (0) 0.0 (0) 16.7 (16.7) 26.7 (26.7) 25.0 (16.7) 30.0 (17.6) 30.0 (17.6) 35.0 (13.3) 10.0 (10.0) 10.0 (10.0) 10.0 (10.0) 10.0 (10.0) 5.0 (5.0) 15.0 (10.5) 25.0 (16.7) 30.0 (12.5) 0.0 (0) 0.0 (0) 0.0 (0) 0.0 (0)

2

4

円刊U町一'Biv-­ea

氾一 加一日一・IA-

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一 QU「且­ 一 一

、3-

a一出一m-LU-­

.9

u一a.

iJ一

・l--­raervr一1aa-pu- 剖一

nb一住+

76.7 (61.7) 45.0 (45.0) 80.0 (71.4) 5.0 (0) 95.0 (0) 5.0 (0) 56.7 (42.3)

40.0 (40.0) 25.0 (0) 5.0 (5.0) 40.0 (25.0) 0.0 (0) 25.0 (0)

25.0 (25.0) 5.0 (0) 0.0 (0) 20.0 (11.1) 0.0 (0) 5.0 (0)

5.0 (5.0) 5.0 (0) 0.0 (0) 5.0 (5.0) 0.0 (0) 0.0 (0)

0.0 (0) 5.0 (0) 0.0 (0) 5.0 (5.0) 0.0 (0)

2

4 Beauveria bassiana 108

+ serratia marcescens

a:上段:総死亡率 下段:純死亡率, 0内:補正値。

(21)

放飼から病死までの日数 表-42

散布から 放虫まで

の週数 反復1 反復2

なし なし 0

2 Beauveria brongniarti i 107

なし なし 0

2 Beauveria brongniarti i 108

15.0 45.0 35.。

20.0 6.0

nunL吊川1

Beauveria bassiana 107

15.0 45.0 25.。

20.0 21.5 9.。

nunL品店τ

Beauveria bassiana 108

22.2 6.5 35.。

nunL局はI

司tnUQU一

1 日一S一 a-C一 ρu­ n

月三p u--1且一puS一r一S一a­a一m一Enu一a­a一・1一-Ea-4lu­r一a­e一rV一r一u-e­a-pe一RU+

21.7 22.0 35.。

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n-s­a-e一.,a-pS一r一S一a­a一m-LU-3u­a一l一・1-4lu­ra-3uρurzV一r一u一e一a一pb­e一RE+

113 -

(22)

第4節 種駒に培養したBeauveria bassianaによる幼虫の防除

枯損木虫の幼虫を対象とした樹皮外からのB. baSSlanaの散布では, 実験 室で100%の幼虫を殺せる濃度よりはるかに濃い分生子懸濁液を用いたにも かかわらず, 十分な死亡率は得られなかった。 これは, 被害木の樹皮表面 への分生子懸濁液散布では, 樹皮下に生息する標的昆虫への分生子遭遇の 機会が少ないためと考えられる。 それで, 幼虫への接触の機会を増加する ためには, 分生子を樹皮下に積極的にもち込むことが必要だと考えられた。

遠田ら(1989)はキイロコキクムシをB. baSSlanaの分生子を被害木樹皮下 への運搬者として使用することを試み, マツノマダラカミキリ幼虫の感染 に成功した。 しかし, この方法では運搬者となる キイロコキクイムシを大 田に飼育する必要がある。 また, B. baSSlanaはキイロコキクイムシに運ば れて間接的に施用されるため, 必ずしもすべてが樹皮下に到達するわけで はなく, また, 意図しない菌の分散の可能性もある。 そこで, 菌をより積 極的に, 確実に樹皮下に導入するため, 樹皮下に直接B. baSSlanaの分生子 を導入する別の方法を研究した。 そのーっとしてふすまぺレットに菌を培 養してシイタケの種駒のように枯損木樹皮下に直接施用する実験を行った。

材料と方法

日商電材(株)製のふすまぺレット, キノプラン100gを50mlの水ととも に1リットルのフラスコに入れオートクレープで50分滅菌した。 熊本県の マツノマダラカミキリから分離したB. bassiana F-263をSSY液体培地で 250C 4日間培養し, 得られたhyphal bodyをオートクレープしたぺレットに

5 ml植えた。 菌はぺレット上で11から21日培養した。 この培養法で, 約

1 X 109個の分生子が1個のペレットに形成された。

丸太へのふすまペレットの施用は以下のように行った。 1989年は茨城県 友部で, アカマツの被害木の樹幹を1.3mの丸太に切った。 1990年は, 東京

(23)

都大島で被害林にあらかじめ置いて産卵させたクロマツの2mの丸太を用 い た。 丸太には直径8mm長さ20mmの穴をドリルであけ, B. baSSlanaを培養し たふすまぺレ ツトを挿入した。 穴の数は, 1989年には1.3mあたり2, 5,

10個, 1990年には2mあたり3, 6, 12個とした。 穴の配置は1990年の12個 /2m区で2重螺旋状にした以外は螺旋状にした。 すべての穴は等間隔に配 置した。 ふすまぺレ ットの施用は1989年は10月3日, 1990年は8月21日と9 月12日にした。 各区5本の丸太を使用した。 1989年の丸太は茨城県茎崎町 のマツ林の中に置き, 1990年は東京都大島岡田のスギ林に置いた。

ふすまぺレ ットは1990年には枯死した立木にも施用した。 東京都大島岡 田の自然枯死してマツノマダラカミキリが産卵したクロマツを試験木とし て使用した。 穴は試験木の地上1から3mの2mの部分に丸太と同じようにあげ た。 立木には6から12ペレット/2mの割で施用した。 対照区には菌なしのぺ

レツトを施用した。 ペレットは1990年9月12日に施用した。 試験木は調査ま でそのまま立毛状態にした。

施用 の効果は次のように評価した。 冬に一部の丸太を割材した。 残りは 脱出成虫を捕らえるためサラン網の袋に入れ, 夏, 成虫脱出後に割材した。

割材時に, 樹皮下と材内の幼虫の数と死亡率を調査した。 1989年の割材時 の生存虫はガラスパイアルに個別にとって感染をチェックしたが, 1990年 は丸太の割材時の死亡幼虫数によってのみ計算した。 脱出成虫はプラスチ ックカップで250C長日下で, 後食用にマツの枝を与えて飼育し, 菌に感染 しているかどうかをチェックした。 立木はすべて冬に割材し, 幼虫の数と 死亡率を調べた。

結果と考察

表-43は1989年処理の丸太中のマツノマダラカミキリの数と死亡率を 示す。 対照区の丸太中の幼虫は調査時にはほとんど生きていたが, 処理区 の丸太では樹皮下と材内で, 主としてB. baSSlanaで死亡した幼虫が見つか

115

(24)

表-43 Beauveria bassianaを培養した種駒を施用した丸太中のマツノマダラカミキリの数と死亡率(1989) a

種駒数/1.3m 調査時期 供試 脱出 幼虫数 成虫数Bb感染虫全虫数 Bb感染率 丸太数 孔数Bbに感染その他 Bbに感染 合計

3 0(0) 40 0(0) 40 0.0(0.0)

夏 2 3 4 0.0

2 3 2 (6) 20 2 (6) 22 9.1(27.3)

2 夏 2 2 2 5 8 62.5

ー-‘

ドー‘

o':l

5 主主 3 7(15) 15 7 (15) 22 31.8(68.2)

5 夏 2 5 5 6 83.3

10 3 4(8) 6 4(8) 10 40.0(80.0)

10 夏 2 100.0

a: ( )内は飼育後の数値。

(25)

った。 調査時に生存していた対照区丸太の生存虫は 室内飼育時にはほと んど死なず, またその死因は糸状菌ではなかったが, 処理区丸太の幼虫は 飼育中に多数がB. baSSlanaで死亡した。 感染率は大きくばらついてはいる が, 多数のペレ ツトを施用した区は感染率も大きい傾向があった。 脱出成 虫は, 対照区と2コ/1.3m区だけから得られ, それらは菌に感染していなか

っfこ。

1990年でも処理区の丸太からB. baSSlanaに感染した幼虫がかなりの数見 つかった(表-44)。 その効果はとくに8月処理で大きかった。 前年と 異なって, 死亡率と施用ぺレット数の間に相関はなかった。 夏調査の感染 率は冬調査の感染率よりも低かった。 夏調査では, 樹皮の痛みや, 残存死 体の崩壊などの問題により虫数や死亡率を調査するのは困難である。 推定 虫数として脱出孔数と死亡個体数の合計を使用すると計算上の死亡率は冬 調査のものを越える。 他の要因で死亡したが残存していない幼虫もあるだ ろう。 それで, 真の死亡率は推定値より少ないと考えられる。

B. bassianaにより感染した幼虫は処理した立木にも発見された(表-

4 5) 0 O. 5mごとの樹幹中の平均幼虫死亡率を図- 1 0に示し, ペレット

処理部位からの菌の移動を示す。 大部分の感染幼虫は, 地上1から3m, すな わちペレット処理部位に分布していた。 地上旬以上に感染幼虫が見いださ れた試験木は2本あった。 感染虫は, ほとんどぺレット処理部位に限って 発見されたので, 全木の幼虫死亡率は平均で約20%であった。 しかし, ぺ レット処理部位の平均幼虫死亡率は約45%であった。 この値は, 同時に行 った丸太での実験の値よりなお低かった, それは, 多分立木の立っていた

環境によるものだろう。 立木は被害を受けたマツ林にあり, そこは実験丸 太を

置いていたスギ林に比べ, 日光がよく射し込み, 空気の湿度がより低かっ た。

施用された種駒は 丸太や立木を割材したときに表面だけに分生子を形 成しており, 肉眼で観察した限りでは, 樹皮下や材内には菌は見えなかっ

117

(26)

Beauveria bassianaを培養した種駒を施用した丸太中のマツノマダラカミキリの数と死亡率(1990) 表-44

Bb感染率 成虫数Bb感染虫全虫数

Bbに感染 合計 幼虫数

Bbに感染その他 脱出

孔数 調査時期 供試

丸太数 施用日

種駒数/2m

3.3 5.0 0.0 25.。

nunuqunu nd つ副 司I

唱lA'tinHU

nHU nLnU

13 0

84.4 56.3 44.4 42.9

n〆臼ρhu、,,咽'A

3 1

【2、 5

9 4

9

73.6 57.1 11.5 33.3

ηδ7po'I Fhu,つ臼nL

犯437

3

80.9 70.0 44.4 100.0

ヴinuウt7A当1iη/“pi

38 7 12

7 1inununL

20 qδ

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9臼円ぺU

冬夏冬夏

8/21 8/21 9/12 9/12

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3

AA34qut' ttA,・4

n/臼

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39 3 3 6 13

2

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0 5 2

8 4

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8

nJnLnLnδ

冬夏冬夏

8/21 8/21 9/12 9/12

n/臼n/“n/“n/“

日目∞ qδnLnLqδ 冬夏冬夏

8/21 8/21 9/12 9/12 5

5 5 5

92日0 38 7ロ6

12

。δ nL

qLnd

冬夏冬夏

8/21 8/21 9/12 9/12 10

10 10 10

(27)

表-45 Beauveria bassianaを培養した種駒を施用した枯損立木中の マツノマダラカミキリの数と死亡率

樹 幹全体 樹幹の処理部位のみ

種駒数/m 施用日 幼虫数 Bb感染率 幼虫数 Bb感染率

全虫数 Bb感染虫数 全虫数 Bb感染虫数

8/21 144 2 1.4 56 1.8

6 8/21 84 16 19.0 37 16 43.2

6 9/12 114 26 22.8 50 21 42.0

12 8/21 208 51 24.5 98 33 33.7

12 9/12 107 21 19.6 47 21 44.7

119 -

(28)

11 10 9

8

〆-、、E 7

1代EEj RW

トー・・ Q

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。 10 20 30 40 50

感染率(%)

図- 1 0 Beauveria bassianaを培養した種駒を施用した枯損立木におけ るマツノマダラカミキリ幼虫の部位別の死亡率(全処理の平均)

60

(29)

た。 マツノマダラカミキリの加害を受けた木の樹皮下には, 通常大きな空 間があり, 幼虫は種駒からの分生子にいろいろな道筋から来た分生子と接 触し, 感染したと考えられる。 しかし, 正確な感染経路を調査するには別 の実験を行う必要がある。 立木の実験で, 施用した種駒より上の部分にも

B. baSSlana 感染虫が発見された例があるので, 樹皮下に生息する微小動物

のような分生子の運搬者があるに違いない。 導入された菌による死亡幼虫 は, 樹皮下だけでなく, 材内にも発見されたが, 幼虫は樹皮下で感染し,

材入してから死亡したと考えられる。

害虫防除に硬化病菌類を施用する方法の中では, 分生子の噴霧あるいは 散粉, または純粋の菌糸か培地付きの菌糸を植物体や土壊にまく事が最も

一般的である。 硬化病菌のその他の施用法として 感染虫を置くこと(日高,

1933) , 菌のついた培養物を置くこと(柏尾 ・ 氏家, 1988;橋元ら, 1989),

あるいは, 菌で汚染した媒介者を放飼すること(遠田ら, 1989), などが知 られている。 今回の実験で, 被害木中のマツノマダラカミキリ幼虫を菌を 培養したペレ ットの挿入で感染させられることが証明された。 この糸状菌 導入法は, 化学的防除に比べた微生物的防除の一般的な利点に加えて, 目

標樹の樹皮下に直接導入するので, 菌の広がりが少ない, 遠回ら(1989)の 報告した汚染虫放飼法より大量生産が容易 生産費が安い 化学殺虫剤よ り産地に運ぶのが容易, そして ほかの樹皮下昆虫に対しでもほかの菌で も応用できる, などの特長があるといえよう。

一方, この方法では, 効果はほとんど施用部位だけにしか及ばないので,

立木には施用が困難である。 そこでこの方法は, 野外でのマツノマダラカ ミキリの実用的防除に利用するためには, 被害木を伐倒した後に使用する のが最も効果的だろう。 ただし, その場合でも, 枝の処理は別の方法を考

える必要がある。

121

(30)

第5節 不織布帯に培養したBeauveria bassianaの利用

1 . 不織布帯に培養したBeauveria bassianaによる幼虫の防除

枯損木中のマツノマダラカミキリに対しB. bassianaを施用して高い死亡 率を得るため, 前節で樹皮下に積極的に菌を持ち込む方法として種駒によ

り導入する方法を開発した。 しかし, この方法は, 効果が施用部位に限定 される。 また, マツノマダラカミキリ幼虫は枝にも生息しているので, 枝 も防除する必要があるが, 種駒ではそれが困難である。 このため, 死亡率 を高めるには別の対策を考える必要がある。 樹皮下に菌を直接持ち込まな いで樹皮下の菌密度を高めるには, 樹皮外から施用する菌量を増やしてや ればよい。 しかし, 濃度の高い分生子懸濁液を散布することには限界があ る。 そこで, 散布によらずに樹皮外に大量の分生子を施用するために, 液 ではなく固形状態の分生子を施用し, 産卵痕や樹皮の割れ目から枯損木の 樹皮下に分生子が入り込んでマツノマダラカミキリを殺すことができるか どうかを実験した。 分生子の担体としては 固形培地やふすまぺレットな どのような材料も考えられるが, これらは枯損木への施用が困難である。

かつて, 片桐ら(1983)はB. basslanaを培養した藁や段ボールをマツの樹幹 に巻き付け, そこで越冬するマツカレハに感染させた。 類似の方法では,

カミキリムシ寄生型B. b rongniarti iでは, ウレタンフォーム(柏尾 ・ 氏家,

1988) や不織布 (橋元ら, 1991) に培養してクワや果樹に懸ける方法が行 われており, この材料が枯損木への施用でも応用可能と考えられたので,

B. basslanaを不織布で培養して施用することを試み, この方法による幼虫 の防除効果を調査した。

材料と方法

実験には, マツノマダラカミキリ幼虫から分離したB. basslana F-263を

(31)

用いた。 実験に用いた43x 5cmの不織布帯は, 日東電工(株) から供給を受 けた。 供試菌をl%SSY液体培地で250C 5日間振温培養した。 l%SSY寒天培地の 寒天をとかしておき, 450Cまで冷まし, 培地の1/5容の接種源を混合した。

オートクレーブにかけた不織布帯をこの混合物に浸漬し, プラスチック製 脱衣簡に広げ, 新聞紙で覆った上から全体をポリエチレン袋でカバーし,

250Cで3週間培養して十分に分生子を 形成させた。 この方法では種菌の量 が多いため, 培養用培地の滅菌を行わなくても雑菌汚染はなかった。 培養 後の不織布帯には1cm2あたり約1.8x 108個の分生子が形成されていた。 こ れらのB. baSSlanaのついた不織布帯は1992年と1993年に東京都大島でクロ

マツに施用した。

1992年には, マツノマダラカミキリの寄生する自然枯死木を実験に用い た。 枯死木を伐倒し, 約2mの丸太に切り 地面に横倒しにおいた。 2枚ま たは3枚の菌付き不織布帯を各丸太の表面に丸太軸に平行に置き, ガンタ ッカーで固定した (図- 1 1 A)。 いくつかの丸太の樹皮は詑で切れ目をい

れ, 分生子が樹皮下に容易に侵入できるようにした。 試験木の枝も約150 cmに切り, 積み上げた。 その山の上に2枚または5枚の不織布帯を置き,

ガンタッカーで固定した(図- 1 1 B)。 不織布帯の施用は8月19日と9月 17日に行い, それらの丸太と枝は, 向島内の雑木林に置いた。

1993年には, 大島内の被害林でマツノマダラカミキリにあらかじめ産卵 させた丸太と, 自然枯死したマツの丸太と枝を用いた。 丸太への施用は 1992年に用いた方法のほか 以下の2つの方法で行った。 積み上げた丸太 の山の上に丸太の軸に直角に置く (図- 1 1 C) , 垂直に立てた丸太の最 上部に巻き付ける (図- 1 1 D) 。 自然枯死木の枝は, 約150cmに切り, 積 み上げた。 その上に不織布帯は1992年と同様に置いた。 いずれの実験でも 丸太や枝にガンタッカーで固定した。 無処理の産卵木と自然枯死木を対照 区とした。 大部分の試験 丸太と枝は向島内の別の雑木林に置いた。 その他 の何本かの丸太は, 直射日光の影響を調べるため, 日向に置いた。 施用は,

1993年7月21日と8月19日に行った。

123

(32)

図- 1 1 Beauveria bassianaを培養した不織布 の施用方法。 A:丸太上 面に軸に平行に置くコ B:積み上げた枝の上に置く。 C:積み上げた丸太 の上に軸に直角に置くo D :垂直に立てた丸太 の最上部に巻き付ける。

(33)

また, 1993年には,

!L_ Q

aSSlanaを培養したふすまぺレツトを同様の丸太 に施用し, 不織布帯施用と効果を比較した。 種駒は, 前節の方法で製造し,

丸太にランダムにあげた穴に施用した。 丸太にあげた穴の数は, その丸太 の中央径によって決めた。 x 1は中央径のcmと同じ数, x 2は中央径のcm の2倍の数をあげた。 種駒の施用は, 不織布帯施用と同日に行った。 防除 効果は, 1992年は12月15日に, 1993年は12月13�17日に調査した。 すべて の実験丸太と枝は割材し, 樹皮下と材内のマツノマダラカミキリ幼虫の数 と死亡率を計数した。

結果と考察。

両年ともすべての施用区で, かなり多数のマツノマダラカミキリがB.

baSSlanaに感染していた(表-46, 47, 48) 。 対照区にも自然の汚 染と見られるB. baSSlanaによる死亡があったので, 処理区の死亡率は,

Abbott(1925)の式で補正した。 汚染はとくに1993の8月処理区で多かった。

全般に不織布帯では種駒のものよりも高い死亡率が得られた, しかし, 不 織布帯の施用法の違い(詑による樹皮の傷付けを含む) による死亡率への 影響は明確ではなかった。 枝への不織布帯処理でも満足すべき死亡率が得 られた。 直射日光のもとに置いた丸太中の死亡率は林内に置いたものより

劣った。

本報の不織布帯施用で得られた死亡率はふすまペレットの施用と同等ま たはそれ以上のものであった。 これらの死亡率は糸状菌の野外施用として は満足すべき高いもので, 上記の目的にもかなっていた。 そこで, 不織布 帯の施用は, 単に取り扱いの容易さと農薬的効果の面から評価すると, 野 外での実用にはふすまぺレットの施用よりまさっていると考えられた。

キボシカミキリ成虫(吉井, 1991;米山 ・ 渡辺, 1992, 1993), ゴマダ ラカミキリ成虫(橋元ら 1991) ,スギカミキリ成虫 (Shi ba ta et a 1 .

1991)に対しては不織布に培養したB. b ro ngniarti i の野外施用で防除に成

125

(34)

表-46 1992年の自然枯死木(丸太)中のマツノマダラカミキリの数と死亡率a

処理 処理月 供試丸太 幼虫数 感染率(先)

と (または枝)

方法b 数 生存 Bb感染死 その他死 合計 実測値 補正値

対照 8 3 24.0 (6.2) 2.0 (1.5) 1.3 (1.3) 27.3 (5.9) 7.64 (4.86) 0.00 対照 9 4 18.0 (7.5) 3.5 (1.3) 0.0 (0.0) 21.5 (7.3) 25.38 (11.35) 0.00

不織布貼り付け 8 6 2.0 (0.8) 9.7 (2.7) 0.3 (0.3) 12.0 (3.2) 83.80 (4.58) 82.46 不織布貼り付け 9 8 2.1 (0.6) 9.0 (2.0) 0.3 (0.2) 11.4 (2.6) 79.33 (3.63) 72.30

ドー‘

c:n 不織布 枝 2枚 9 15 1.0 (0.2) 4.1 (0.9) 0.3 (0.2) 5.5 (0.9) 70.37 (5.93) 60.30

不織布 枝 5枚 9 14 1.3 (0.3) 5.4 (0.8) 0.3 (0.2) 7.0 (0.8) 75.25 (4.23) 66.83 a:平均値, 0内は標準誤差

b:本文参照

(35)

表-47 1993年の餌木丸太中のマツノマダラカミキリの数と死亡率a

処理 処理月 供試丸太 幼虫数 感染率(児)

方法b 生存 Bb感染死 その他死 合計 実測値 補正値

対照 7 4 6.8 (1.4) 1.0 (1.0) 0.5 (0.3) 8.3 (2.0) 7.69 (7.69) 0.00

対照 8 8 5.4 (1.1) 0.9 (0.5) 0.1 (0.1) 6.4 (1.4) 12.02 (4.96) 0.00

種駒標準量 7 4 5.5 (3.2) 6.3 (1.8) 0.3 (0.3) 12.0 (3.0) 58.74 (16.46) 55.31

種駒倍量 7 4 0.8 (0.5) 7.8 (2.1) 0.0 (0.0) 8.5 (1.7) 87.50 (7.98) 86.46

種駒標準量 8 8 1.5 (0.5) 4.9 (1.0) 0.0 (0.0) 6.4 (1.2) 78.23 (6.99) 75.25

ド圃品 種駒倍量 8 8 1.1 (0.5) 7.0 (1.8) 0.1 (0.1) 8.3 (2.1) 87.52 (4.80) 85.81

N -::J

種駒倍量, 日光 8 5 2.6 (1. 6) 5.0 (1.0) 0.0 (0.0) 7.6 (1. 7) 76.33 (14.50) 73.10 不織布巻き付け 7 7 O. 1 (0.1) 2.7 (0.9) 0.0 (0.0) 2.9 (1.0) 96.00 (3.38) 95.67 不織布積み上げ 7 8 2.8 (1.0) 3.5 (0.8) 0.1 (0.1) 6.4 (1.6) 66.14 (8.77) 63.32 不織布巻き付け 8 8 O. 1 (0.1) 7.1 (2.5) 0.0 (0.0) 7.3 (2.5) 96.43 (3.34) 95.94 不織布積み上げ 8 8 0.4 (0.3) 8.5 (2.0) 0.1 (0.1) 9.0 (2.0) 94.60 (3.59) 93.86 不織布積み上げ, 直射 8 5 1.2 (0.7) 4.8 (2.5) 0.0 (0.0) 6.0 (3.2) 78.84 (9.61) 75.95 a:平均値, 0内は標準誤差

b:本文参照

(36)

表-48 1993年の自然枯死木(丸太)中のマツノマダラカミキリの数と死亡率a

処理 処理月 供試丸太 幼虫数 感染率(児)

と (または枝)

方法b 数 生存 Bb感染死 その他死 合計 実測値 補正値

対照 7 5 4.2 (2.2) 1.0 (0.6) 0.2 (0.2) 5.4 (2.0) 24.86 (12.68) 0.00 対照 8 5 1.8 (1.0) 4.2 (1.7) 0.0 (0.0) 6.0 (1. 5) 62.22 (18.79) 0.00 種駒半量 7 5 1.8 (1.0) 6.8 (3.1) 1.0 (0.6) 9.6 (4.2) 75.69 (11. 05) 67.64 種駒倍量 7 5 1. 8 (1.4) 3.8 (1.3) 0.4 (0.4) 6.0 (2.2) 76.25 (15.85) 68.39 種駒半量 8 4 3.0 (1.2) 8.5 (1.2) 0.0 (0.0) 11.5 (2.3) 78.61 (7.82) 43.37 種駒倍量 8 5 0.8 (0.4) 4.4 (2.5) 0.0 (0.0) 5.2 (2.5) 68 . 67 (19. 54) 17.06

ト圃d‘

E、コ 不織布貼り付け 7 5 0.8 (0.6) 5.2 (2.1) 0.0 (0.0) 6.0 (2.5) 86.00 (9.80) 81.37

00

不織布巻き付け 7 3 0.7 (0.7) 5.0 (4.5) 0.0 (0.0) 5.7 (4.3) 66.67 (27.22) 55.64 不織布貼り付け 8 5 1.0 (0.5) 3.6 (1.6) 0.0 (0.0) 4.6 (1.9) 76.67 (11.30) 38.24 不織布巻き付け 8 4 0.3 (0.3) 3.3 (1.3) 0.0 (0.0) 3.5 (1.3) 91.67 (8.33) 77.94 不織布, 枝 7 10 0.8 (0.3) 2.6 (0.8) 0.1 (0.1) 3.5 (1. 2) 76.45 (10.21) 68.66 不織布, 枝 7 9 0.9 (0.5) 1.6 (0.5) 0.0 (0.0) 2.4 (0.9) 68.33 (6.92) 57.86 不織布, 枝 8 6 0.3 (0.2) 3.3 (1.0) 0.0 (0.0) 3.7 (1.0) 91.00 (5.08) 76.18 不織布, 枝 8 10 0.1 (0.1) 5.2 (1.4) 0.0 (0.0) 5.3 (1.5) 99.38 (0.63) 98.35 a:平均値, 0内は標準誤差

b:本文参照

(37)

功している。 これらの実験の対象ステージは成虫で, 成虫は不織布帯を直 接歩行または接触することにより感染する。 本研究のマツノマダラカミキ リに対する実験では大量の分生子を表面にもつ不織布帯を樹皮表面に施用 することにより樹皮下に分生子を持ち込むことにより, 幼虫の高死亡率を 得た, その意味では糸状菌付きの不織布帯の新しい利用法が開発された。

さらに, 直立丸太に巻いた実験で示されたように, 丸太の丈夫に帯を巻く ことで幼虫を殺すことができた。 このことで, この方法を立木に適用する

見込みが得られた。

施用する不織布帯の数はもっと減らしても有効かもしれない, そのため 少量の帯による実験も必要だろう。 実用の前には他の動物 とくにカイコ など有用昆虫への影響にも注意する必要があり, 帯からの分生子の飛散を 明らかにする必要がある。 今後この方法による更なるデータの蓄積をする 必要があり, マツ材線虫病の流行を防止するという最終目標を実証するた めの大規模試験をすべきだろう。

2. 不織布帯からのBeauveria bassiana分生子の飛散状況

他の方法と異なり不織布帯施用による枯損木の処理では, 林内に導入さ れるBeauveria bassianaの分生子数が多く, また不織布が露出しているの で, 分生子が周囲の環境へ飛散する可能性がある。 そこで, 施用した不織 布帯からどの程度の量のB. basslanaの分生子がどの程度の距離まで飛散す るのかを調査した。 養蚕への影響を明らかにするには, クワとカイコを用 いた生物検定が実用的であろうが, 培地を用いて落下する分生子数を計数 する方が感度が高く, また検出結果を定量的に表すことが可能なので, 第 3章で開発した選択培地を用いて不織布帯からの分生子飛散のモデル実験 を行った。

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参照

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