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OntheConstructionofClassroomadoptedMathematicalActivities 数学的活動をとり入れた授業構成について

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(1)

BulletinofFacultyofEducation,NagasakiUniversiy :Curt riculum andTeachingNo.39(20()2)15124

数学 的活動 を と り入れた授 業構成 につ いて

平 岡 賢 治 * 古 瀬 光 弘 **

(平成14年 3月15日受理)

Ont h eCo n s t r u c t i o no f Cl a s s r o o ma d o p t e dMa t h e ma t i c a l Ac t i v i t i e s

Ke n j iHi r a oka * Mi t s uhi r oFur us e **

(receivedMarch 15,2002)

1 は じめ に

筆 者 の一 人 目は これ まで の勤務校 で 『豊かな心 と創造 力を身 につ けた くま しく生きる生 徒 の育成』,『一 人一 人が主体 的 に学 ぶ授 業 の創造, 実践』 な どを研 究 主題 として,学習過 程 開発 の実 践研 究 を行 って きた. 数学科 の授 業 を 『課 題 把握』 『自力解 決』 『検 証』 『一般 化』 の4段 階 で 設定 し, そ の授 業実践 お よび授 業効 果 の研 究 で ある. 『課題 把 握』 は, 坐 徒 自 らが提示 され た問題 か ら本時 の課題 を設定 し,興 味, 関心, 意欲 を高 め る段 階, 次 の

『自力解 決』 は, 設定 した課題 を生徒一 人ひ と りが 自分な りの方法で考 える段 階 と し, こ れ らは生徒 自 ら根 気 強 く調べ る習慣 をつ ける ことがね らいで ある. 『検 証』は,自力解 決 の 発表 を通 して 生徒 の予想や 見通 し及び 『課題』 の解 決がで きたか を確 か めた る段 階 と し, 自分 の考 え方 を深 めた り, 異な る考 え方や方法 を理解 す る ことを通 して, 新 しい ことに気 づ いた り,発 見 した り, わか った とい う体験 につな げる ことがね らいで ある. 最後 の 『一 般化』 は,解 決 した結果や規 則 ・法則 を用 いて, 別 の問題や活 動,操 作 等 によ って新 しい 法則や 自分 になか った考 え方 を取 り入れ,次時へ の関心 を高め る段 階 と して位 置づ けた.

この よ うな実践研 究 を学校 全体 で進 めて いる間 に, 生徒 た ちは以 前 よ り授 業 中の表情 が 明 る くな り,授 業 中の発表や 話 し合 いな どが活 発 にな り, 生徒 た ちの態度 も受動的な ものか ら能 動 的 に しだ いに変化 して きた.. この4段 階 の学習過程 の実践研 究 を通 して, 次 のよ う な課題 と常 に直面 して いた.

・『課題』 を引き出す ため の教材や 題材 の設定 の困難 さ

・『自力解 決』 の段 階で個 々の生徒 が取 り組 む ことがで き る課題 の設定

・『自力解 決』 か ら 『検 証』 の段 階への展 開 の方法

・『検 証』 の段 階で個 々の生徒へ の対応

これ らは授 業構 成 の本質 的な課 題で ある.本稿 で は問題解 決学習 の原点 に立 ち戻 り, 敬 学 的活 動 を と り入れ た授 業構 成 の方法 につ いて提 案 し, そ れ に もとづ いた授 業実践 を行 い, そ の授 業 につ いて考察 ・検 討 を行 う.

*長崎 大学教 育学 部数学教育講座 **長崎市 立小江原 中学校

(2)

16 長 崎 大学 教 育学 部紀 要 教科 教 育 No.39 (2002)

2.問題解 決学習

平成

1 0

( 1 9 9 8 ) 7

2 9

日の 「教育課程審議 会答 申」 では, 改善 の具体 的事項 と して 中 学校 数学 につ いて. 「生徒 が ゆ と りを もって, 数 量や 図形 な どに関す る基 礎 的 ・基本 的な 知識 を確実 に理解 で き るよ うにす る とともに, 自 ら課題 を見つ け考 える問題解 決的な学習 を積極 的 に進 め る ことがで き るよ うにす る.」とあ り,今 回の中学校学習指導要領解 説数学 編1)の中で は 「‑積極 的な 問題解決 的学習 の発展 とそ こで の数 学 的活 動の充実が求 め られ る・‑」 と述べ て いる.社 会が 大 き く変化 して いる現 在, このよ うに問題解 決学習 の必 要性 と数学 的活 動 を積極 的 に と り入れ た授 業が これ まで以 上 に数学科 に強 く求 め られて いる.

G.ポ リアは 『いか に して問題 を とくか』 2'の中で, 問題解 決 は,

「問題 を理解 す る こと」

「計画 をたて る こと」

「計画 を実行す る こと」

「振 り返 ってみ る こと

の4過程 を通 して行 うことを提案 して いる. この4過程 は, この順 で行われ るのが基本的 で あるが,そ れぞ れ の過程でつ まず いた場合 は,それ以 前 また は最 初の過程 に もどって考 察す る. これ は, 数学研 究で は 日常行われて いる過程で あ り. 数学 教育で も各過程で の可 逆性 を と り入れ る ことが大変重要で ある.

また,S.クルー リックは,数学教育 にお いて, 現実 的な 問題解 決学 習 を攻 い,

「現 実世界 の問題 に直面 して いる」

「そ の問題 を適 切で使用可能な数学的 モデル に翻訳す る

「そ の数学 的モデル を解 決す る」

「数学的 モデル にお ける解 決 を元 の問題 の用語 に翻訳 し直す」

の 4つ の問題解決過程 を提案 して いる.3)この問題解 決過程 は, G.ボ リアのそれ よ りも相対 的 に広 い範 囲 を と らえて いる. われわれ の数学的活 動 を と り入れ た授業構 成 を考察す る場 合 に, 問題 の理解 や検 討の過程で教材 の扱 い方や考 え方 につ いて, 大 きな示唆 を提 示 して いる.

3.授業展 開への適用

授 業展 開 は, 「導 入」. 「展 開」, 「ま とめ」 の流 れが 一般 的で ある. 筆 者 **は これ まで の 実践研 究 の 中で学習 過程 を, 『課題把握』, 『自力解 決』, 『検 証』, 『一般化』 の 4段 階 で実 践 して きた. われわれ は授業 をG.ポ リアの観点 に立 って 問題解 決学習 と対応 させ る と, こ れ らの3つ の授 業展 開の関係 は次 の表 のよ うに考 える ことがで きる.

一般 的展 開 「導 入」 「展 開」 「ま と め」

4 段 階 「課題把握」 「自 力 解 決」 「検 占止」 「一 般 化」

G.ポ リ ア 「問題 を理解す る こと」 「「計画 を実行す る こと」計画 をたて る こと」 「振 り返 ってみ る こと」

(3)

平 岡 ・古瀬 :数学 的活 動 を と り入れ た授 業構 成 につ いて 17

特 に,「振 り返 ってみ る こと」 は,4段 階 の 『検 証』 『一般化』 の段 階 に対応 して いる と 考え られ る. ここでG.ボ リアの4過程そ の もの を1単位 時 間 あた りの授 業 と して構 成 した が,G.ボ リアの4過 程 は, 数学 の問題 を考 え る ときの数学 的思 考 の過程 で あ り, これ をそ の ま ま1単位 時 間 の授 業 の流れ とす るには, 生徒個 々の理解 の度 合 いが 異な り,授 業構成 が 難 しい.そ こで, 「問題 を理解 す る こと」 と 「振 り返 って み る こ と」 の2過程 に重点 を お き授 業構 成 を考え る ことと した. われわれ はあ らためて,「問題 を理解 す る こと」.「計画 をた て る こ と」, 「計画 を実 行 す る こ と」 の3過 程 を 「理 解」, 「振 り返 って み る こ と」 を

「検 討」 と表現 し, これ ら 「理解 」 と 「検 討」 の2過程 を組み 合せ て授 業構 成 を試み る こ とに した.

「理解」 の過程 で は, 生徒 が解 決 の必要性 を実感す る問題 を設定す る ことが 重要 にな る.

授 業 の 当初 に示 され る間違副ま,教師が提示す る ことが 多 い.それ を生徒一 人ひ と りが数学 的活 動 を通 して 問題 を理解 す る. 問題解 決学 習 で は. 「理解」 の過程 が最 も重要で あ る.

「理解」の過 程 で は問題 を解 決す る中で いろ い ろな試行 錯 誤 を行 い, 「検 討」 す る過 程 に な る.授 業 とい う場で は個 々に理解 され た ものが統 一 され, 一般化 され, そ こか ら拡 張 さ れた新 たな問題 を発 生 させ, そ の解 決 にむけて 「理解」 の過程 に入 る. この よ うに実 際 の 授 業で は, 問題 の 「理解 を し.解 決 してそ れ を 「検 討」 し, 新 たな課題 を発 生 させ, そ の課題 に対 して の理解 が始 まる. このよ うな繰 り返 しを通 して生徒 た ちの問題 を考 える視 点 を少 しずつ変化 させ て い くことが で きる. この繰 り返 しが授業 の導 入, 展 開, ま とめ の 中で交互 に作用す る ことによ って, 問題解 決学習 が行われ て いる. われわれ は この過程 の 中で 「外 的」 お よび 「内的」活動な どの具体 的な活 動が誘 発 され, そ れ を授 業 の 中で表現 す る ことで問題解 決学 習が行 われ る と考 えて いる.

Hフ ロイ デ ンター ル は, 「数学化 のな い数学 はな い. ‑ 中略 ‑ これ は, 人間 の活 動 か ら 創 られ た もので ある とい う事実か ら導かれ る当然 の帰結で ある.」と,数学化 の重要性 を述 べ て いる.4)す なわ ち, 数学 の知識や概 念 を想起 し, それ らを生み だ し, 発展 させ る数学 的 活 動 の ことを,H.フ ロイデ ンター ル は 「数学化」 (Mathematization)と呼 び, このプ ロセ ス を学習 者が経験 す る ことの重要性 を指摘 して いる. そ れ を もとに した, 授 業 の段 階 は,

「理解 の表現化 による数学化」, 「数学化 (モデル化) によ る数学」,「数学 の結 果 による一 般 化」 とな って い くと考 え られ る. さ らに各段 階 にお いて, 「理解」か ら 「検 討」へ, そ して次 の段 階の 「理解」 へ と展 開 して いき, これ らを三段 階展 開 させ る ことを通 して, 問 題 を考 える視点 が変化 して いき, 問題や 数学 的 内容 の水準 が 上が って い くと考 えた. これ を 『三段 階 論法』 と呼ぶ ことにす る. この 『三段 階 論法』 を図で表す と,次 のよ うにな る.

[垂 可 ‑ [車重可 「数学 の結 果 によ る一般化 (ま とめ)」 I

[重奏亘]‑ 匝 可 「数字化 (モデル化 ) によ る数学 (展 開)」

T

(4)

18 長崎大学教育学部紀要 教科教 育 No.39(2002)

この授 業構 成 を も とに,授 業 目標 に応 じた いろいろな展 開の可能性 を追求 し, よ り生徒 の実態 にあ った授 業構成が で き るよ うにな る. 『三段 階論法』の各段 階 とそ の過程 で は,具 体 的 に次 のよ うな活 動が行 われ る.

理解 1 :問題 の意 味 を,そ れぞれが既 習 の知識 と対応 させ る ことによ って理解 す る.

検 討 1 :見通 しを持 って条件 を変 え考察 す る.

理解

2

:検 討

1

で 出て きた 問題 につ いて, 数学 的な考 え方 を通 して議 論 し,理解 を深 め る.

検討2:さ らに条件 を変 えてみ る ことで考 え る視 点が変わ る.

理解3:数学的な視 点 で再度 問題 を理解 す る.

検 討3:全体 を再確 認 し, 他 の問題 にそ の結果や 方法 を応 用す る.

これ ら理解 1か ら検 討3のそ れぞ れ の過程 にお いて, 作 業 的 ・体験 的活 動や観察 ・操作 な どの外 的活 動, 直観 ・帰納 ・類推 ・演梓 な どの内的活 動 な ど生徒 一 人ひ と りが 「数学的 活動」 を行 うと考 え る. 5)

4.数 学 的活動

平成14年度 か ら小学校 ・中学校 で, 平成15年度 か ら高等学校 で実施 され る新学 習指導要 領 で は, 算 数科 ・数学 科 の 目標 に, 新 た に 「算 数 的活 動

「数 学 的活 動」 とい う文 言が 加 わ った. この 「数学 的活 動」は, これか らの国際化 ・情 報化 社 会 を生 き る子 ども達 に, 自 ら学 び, 自 ら考 え る力 を育成 し,個性 を生かす教育 の充実 を積 極的 に学校 教育 に と り入れ る ことを 目標 として いる. 小学校 算 数科 で は 「‑・算 数的活 動 を通 して, ‑, 活 動 の楽 しさ や 数理 的な処 よ さに気 づ き,‑」と述 べ られ6), 中学校 数学科 で は 「・‑数学 的活 動 の楽 し さ,数学 的な見方や 考 え方 のよ さを知 り,それ らを進 んで活用す る態度 を育て る」,高等学 校 数学科 にお いて は 「‑数学 的活 動 を通 して創造性 の基礎 を培 うとともに, 数学 的な見方 や 考 え方 の よ さ を認 識 し, そ れ らを積 極 的 に活 用 す る態 度 を育 て る」7)な ど, 「算 数 的活 動」・「数学的活 動」 の重要性 とそ の楽 しさ, そ して創造性 の基礎 を培 うことが今 回の改訂 のキー ワー ドとな って いる. そ の 「数学 的活 動」 の具体 的 内容 は, 高等学校 の学習指 導要 領解 説数学編 に, 「数学 的活 動 につ いて は, 観察, 操作,実験 ・実習な どの外 的な活 動 と, 直観, 類推, 帰納,演梓 な どの内的な活 動が考 え られ る. 小学校 で は, 主 と して作業的 ・ 体験 的な活 動な どの算 数的活 動 と し, 中学校 で は, 数学 的活 動 と して観 察,操 作,実験 を 通 した数理 的な考察な どをあげて いる. ‑高等学校 にお ける数学 的活 動で は, 内的な活 動 が 中心 とな るが数学化 の場 面や数学 的考察 ・処理 の過程 で は,観 察,操作, 実験 な どの外 的な活 動 も含 まれて いる.」と説 明 して いる. 小学校 か ら中学校,高等学校 へ と進学す るに つれて

,

「数学 的活 動」は外 的活 動か ら内的活 動へ と変化 す る.授 業実践 の観点 か ら見 る と,

「数学 的活 動」 は単 に操 作 な どの活 動 を取 り入れ るので はな く, 生徒 た ちが数学 的な考察 を行 う. そ こで 「数学 的活 動」を授 業 の 中で積 極 的 に取 り扱 うた め には, 「数学 的活 動」 を誘 発 して い く要 因 を生徒 た ちの立場 に立 って分析す る. また, 中学 校学 習指 導要領解 説 数学編 には

,

「数学 的活 動」を と り入れて い く中で の問題解 決学 習 の必 要性 とそ の重要性 に つ いて言 及 し, 「数 学 的活 動」 にお け る情意性 ・知識性 ・発 見 的態度 ・数学 の応用 な どの 要 因 につ いて分析 してお り

,

「数学 的活 動」の視 点 を含 めた授 業 を構成 して い く ことが必 要

(5)

平岡 ・古瀬 :数学的活動をとり入れた授業構成について 19

とな る.

5.数学的活動の4要因

中学校学習指導要領 の数学科 の 目標 に 「数学的活動 の楽 しさ」 とい う文言が新た につ け 加え られた. これ は,数学 を学習す る ことの楽 しさ, 自ら意欲的 に学習 を進め,理解 を深 め る ことを授業で実現 させ る ことが重要な課題 とな る.われわれ は学習者 に適 した問題状 況 を提 示 し, これ を解 決す るための考 えを深めて い く中で,数学 的事実や事柄 に行 きつ く 過程で現 れ るのが,数学 的活 動で ある と考 えて いる. 問題解 決学習 にお いて, 「理解」か ら 「検 討」 に行 く過程で 「数学 的活動」を生徒一人ひ と りが行 うことにな る.G.ポ リアの 問題解 決学習 の観点 で考える とそれぞれ の過程で 「数学 的活動」 を授業 の中に と り入れ 具体化 した もの と考 えて いる. 問題解決学習が,学級 全体 で展開 されて い く中で, 生徒一 人ひ と りの活動が 「数学的活動」で あ り, この 「数学的活 動」 を とり入れた授 業 を実践 し, 分析研究す る ことで,授業 の中で既習 の数学 の内容や考 え方 を, 自ら使お うとす る態度 を 育成す る ことがで きる. 数学 の授 業の中では,解 釈 の仕方 によ って いろいろな活動が考 え られ るため,数学的活動そ の もの よ り,そ の活 動 を誘発す る要因を考察す る. 中学校学習 指導要領解 説数学編 には, 問題解 決学習 の重要性 と,数学的活動 にお ける情意性 ・知識性 ・ 発見的態度 ・数学 の応用な どの要因につ いて述べて いる.

Kデ ブ リンは, 「数学 には次 の4つの側 面

1. 計算, 形式的な証明, 問題解 決 と しての数学

2.

知 るための方法 として の数学 3.創造の手段 と しての数学 4.数学の応用

が あ り,数学教育 は これ ら

4

つ の側面 を示 さな ければな らな い」

と, これか らの数学教育のあ り方 を提案 して いる.8)しか し,数学教育で は1, 2の指導が 大半で あ り,3,4はほ とん ど言 及されて いな いのが実態で ある.われわれは授業 の中で これ ら4つ の側 面が, 「数学 的活 動」 を誘 発 させ る要 因で ある と考 えて いる.そ して, こ れ ら4つ の側面 を,

1. 計算, 形式的な証明, 問題解 決 としての数学 ‑ 「② 数学 的な考 え方」

2.知 るための方法 と しての数学 ‑ 「(彰 知識 の獲得」

3.創造 の手段 として の数学 ‑ 「③ 創造性 の基礎」

4.数学 の応用 ‑ 「④ 応用」

と対応 させ,これ ら4要 因によって具体 的な 「数学 的活 動」が誘発 され る もの と考 えた.撹 業では, 生徒一人ひ と りの活 動 と して これ ら4要因が相互作用 し,作業的 ・体験 的活 動や 観察 ・操作な どの外的活動,直観 ・帰納 ・類推 ・演梓な どの内的活動が誘発 され る と考 え, それ を 『三段 階論法』 で の各過程 にお いて,4要 因の具体 的な活 動 内容 をま とめ, 「数学 的活動」 を と り入れた授 業構成 を行 う. 9)

理解 1:問題 の意味 を,それぞれが既習 の知識 と対応 させ る ことによって理解す る.

① わか って いる ことや, これか ら学習す る内容,授業 のね らいをお さえる.

② 知 って いる ことは何か.似 た ものを学習 して いるか.

③ ①,② を適用 して い く.

(6)

20 長崎大学教 育学部紀 要 教科教 育 No.39(2002)

④ 自分 の言葉で表現 し,数学化す る.

検 討 1 :見通 しを持 って条件 を変 えてみ る.

(彰 知 って いる ことか ら何が分か るか.

② 似た ものか ら利用で きる ものは何か.

③ 別 の表現 は可能か.

理解2:検 討1で出て きた問題 につ いて,数学的な考 え方 を通 して議論 し,理解 を深 め る.

① 未習の知識 を獲得す る.

② これ まで の考 え方が適用で きるか,帰納,類推な どの推論 をす る.

③ これ まで の知識が使 えな い場合, 見方 を変 えて考 える ことはで きな いか.

検 討 2:さ らに条件 を変 えてみ る ことで考 える視点 を変 えて い く.

既習の知識 を活用 して い く.

② 結果 を求 めて いたのが.変化 の様子 を考 え るよ うにな る.

③ これ まで と問題 を見 る視点が変わ る.

理解3:数学 的な視点で再度 問題 の理解 を して い く.

① 未習 の知識 を獲得す る.

② これ までの考え方 を適用 してみ る ことで,一般化 された もの を考 える.

③ これ まで の知識や考 え方で は解決で きな い場合,そ の間題 をず らして見てみ る.

検 討3:全体 を再確認 し,新 たな問題 にそ の結果や方法 を応用す る.

① 獲得 され た知識 を活用 してみ る.

② これ まで使 って きた考 え方で全体 を再確認 して い く.

③ 問題 を統一的に とらえ られ る方法で説 明す る.

④ 一般化 された ものを他 の問題 に応用 してみ る.

具体 的な授業 を構成 して い くときには,必ず しもこれ らの要 因がすべて誘発 され る とは 限 らな いが,基本的 には, これ らの観点か ら授業 を構成 した.そ して, この観点で生徒 た ちの 「数学的活 動」 を分析 し, 問題解 決学習 としての授 業 を考察 した.

6. 2つの授業 実践

「数学的活 動」 を誘発す る4要因が関わ る問題解決学習 の授業実践 として第1学年で の

「正負 の数 の乗法」,「文字 と式」 の授業 をそれぞれ行 った. これ らの授業 は, 計算練習 を 重視す る授業展 開が行われやす い. 生徒 たちに とって もわか りに くい内容で あ り, どち ら も教 え込 む授業 にな りが ちで ある.われわれ は 「数学的活 動」 を念頭 にお いた授業構成 を 行 い, 問題解 決学 習 にお け る 『三段 階論法』 と, 「数学 的活 動」を誘発す る

4

要 因の視 点 か ら授業構成 の分析 を行 った.事前 ア ンケー トを行 い,そ の結果 を考慮 して,授業構成 の 分析 を行 うとい う手順で進 めて いった.

1) 中 1 「正負の数

「正負 の数」 の単元で は, 正の数 の乗法 の確認か ら導入 し, 乗法 の意 味を理解 させ る こ とをね らい とした. また,東西の移動 を数直線で表 し,そ の変化 の様子か ら乗法 を定義 し た. この時間で の 目標 と 『三段階論法』 による授業 は次 のよ うに構成 した.

(7)

平岡 ・占瀬 :数学的活動をとり入れた授業構成について

〇 〇

正負 の数 の乗法 の意味 を理解 す る.

(速 さ)

×

(時 間) の式 にお いて,速 さや 時 間 を負 の数 に まで拡 張 し, 乗法 を 定義す る.

理解 1:「自然数 にお ける乗法の定義 を確認 し, 正負 の数 の乗法 につ いて考 え る.」

・正の数 の乗法 の約束 (定 義) を確認す る. (4× 3を加法で表す)

・負 の数 の学習 内容 を確 認す る.

・乗法 を負 の数 へ拡 張す る ことを理解 す る.

① 正の数 の乗法 の定義 を確 認す る.

② 乗法 を負 の数 に拡張す る ことを類推 的な考 え方 を用 いて考 える.

検 討 1 :「負 ×正‑負 とな る ことを理解 し, 正 ×負 の計算 につ いて考 え る.」

・(‑ 4)× 3は どうな るのか, また,4 × (‑ 3)は同 じルールで約 束 で きるか, 正の数での性 質 を維持 して いるかな ど考 え る.

・4× 3と3×4で は乗法 の定 義 は異な る ことを理解 す る.

① 既習 の知識が使 え るか. 正 の数で は交換 法則 が適用 で きる.

② 交換 法則 が適用 で きるな ら, 知識 を利用 して類推的な考 え方 で推 測す る.

理解 2 :「負 ×正, 正 ×負 の計算 につ いて, 類推 な どの考 え を 中心 に生徒 た ちの考 え を発表 させ, そ の方法 につ いて理解 を深 め る.」

・(‑ 4)× 3は同様 に定 義で きるが,4 × (‑ 3)は加法 に直 して考 え るのは難 しい.

・正 ×負 の性 質 を理解 す る.

① 知識 (交換 法則) を活 用す る. 正 ×負 ‑負 にな る ことを理解 す る.

② 帰 納 的な 考え方 を用 いる. (か け る数 を変化 させ る ことで値 の変化 の様 子 に 視点 を置 く)

③ 見方 を変 えて, 結果 で はな く乗法 の値 の変化 を見る.

変化 を数直線 上の座標 で と らえよ うとす る.

検 討 2 :「負 の数 の乗法 も計算 で きるか 考 える.」

・(‑ 4)× (‑ 3)は どう考 え られ るか.

・‑4を1 3回加 え る とは, 何 を意 味 して いるのか.

・負 はベ ク トルで は反対 向 き を意 味 して いる.

・数直線 で の説 明が 可能 か.

① 既 習 の知識 を用 いる工夫 をす る.

② 帰納 的な考 え方 で説 明 しよ うと試み る.

数 直線 上で説 明 しよ うと試み る.

理解3 :「負 ×負 の計算 も,これ までの考 え方 で説 明がで きる ことで,理解 を深 め る.」

・(‑ 4)× (‑ 3)につ いて の説 明が 同様 に可能で ある.

(丑負 ×負 ‑正にな る ことを理解 す る.

② 帰納 的な考 え方で説明で き る.

数直線 上で説 明で き る.

正 ×正 ‑正で あ ったか ら, 負 ×負 ‑負 にな る とい う類推 も可能 で ある. この 21

(8)

22 長崎大学教育学部紀要 教科教 育 No.39 (2002)

考 え方 に対 しては,検 討3で の展 開で解決 して い く.

検 討3 :「正 負 の数 の乗法 の考 え方 を数 直線 上の点 の移動 で考 え る ことで,統 一的 に 説明 して い く」

・数直線 を利用 して統一的 に説明 を考 える.

・答 え とい う視点か らでな く,状況 が変化 して いる とい う視点で演算 を見る.

・ベ ク トル とスカ ラーの乗法 として積 を と らえて い く.

・加法 を利用す る.

・いろいろな場面が 同 じ方法で説 明が 可能 にな る.

① 数直線 による置き換 えを活用す る.

加法 を利用す る.

② 数直線 を利用 して統 一的 に説 明を考 える.

状況が変化 して いる とい う視点 で演算 を見 る.

④ 正負 の数 の乗法が応用 された場 面で見 る.

2)

中 1 「文字 と式」

「文字 と式」 の単元で は, 文字 を使 うことの意義 を気づかせ る ことをね らい とした.

・法則, 公式等 を簡潔, 明瞭, 一般 的 に表現す る ことがで きる.

・計算 による簡略化,文字 の 自由な解 釈,式変形 による形式的な処理や考察な どが しや す い.

・思考過程 を明確 に表現 した り伝達が しやす い.

授業 は, 文字式 の最初 の時間で あ り,文字 のよ さを実感 させ る ことはなかなか難 しい, これ は, 今後使 い続 けて い くうちに実感 して い く.今 回は,規則性 を文字式で表す ことに 目標 を置 いた.

目標

規則性 を文字 を使 って式で表現す る

文字 を使 うことや文字 を使 うよ さを感 じる

サイ コ ロを使 った操作活動 を通 して意欲 的 に取 り組 む態度 を育成す る 理解 1 :「2つ重ね たサイ コロの見 えな い 3つ面 の 日の和 につ いて考 える.」

・どこか ら見て も見 えな い面 の 目の和 を考 える.

・5

つ の問題 を考 える.

(丑サ イコ ロを考 える.

平行 な面の 目の和が7とい う規則 を全体 で理解す る.

② 平行 な面 の 目の和が7を活用 して い く.

検討 1 :「サ イ コロが2個 の場合 を理解 し,4個 の場合 を考 える.」

・サイコ ロを2個 か ら4個 に増やす ことで条件 を変 えてみ る.

① サイ コ ロの 目の和 の規則 を用 いる.

②類推 的な考 え方 を行 うとともに, 帰納 的考 え方 を行 う.

理解

2 :「4

個 の場合 に適用 し, 生徒た ちの考 えを発表 させ,理解 を深 め る.」

・2個 の考 え方 を もとに して, 4個 の求め方 を考 える.

(9)

ド岡 ・古瀬 :数学 的活 動 を と り入れ た授 業構 成 につ いて 23

・ここでは,式 を使 って求めるが,規則性 まで には至 らな い

①サ イコロの 目の和の規則 を用 いる.

用 い方 と しては,∠1個 を4個 として とらえる場合 と,3

+

1個 として とらえ る場 合の2通 りが考え られ る (和が7ということの定着‑知識 の活用)

②2個 の場 合 と同様 に類推的な考え方 を適用す る.

③他 の方法 を考察す る.

検 討2 :「サ イコ ロの数 を20個 に した場 合の 臼の和 の合計 を考え る.」

・2個か ら4個, さ らに20個 と数 を変化 させ てい くことで,サ イコロの変化 に 視点が向 いて い く.

① 数が増 えて も.

と 下の面の和が7は変わ らな い.

② 変化 して いる もの, 変化 して いな いもの に視点が行 く.

理解3 :「サ イコロの数が分か る と求め られ る方法 を式で表現す る.」

・サ イコロの数で値が決 まる とい うことを実際 に 予想す る.

・出 し方が分か らな い と答えが見えな い ことか ら, 式で表現す る.

・一般的な個数 と和の関係 に視点が行 く

① これ まで に獲得 した知識 (サイコロの規則) を活用 して い く.

② 帰納的 に推論す る.

③ 結果で はな くサ イコロの数 を 言葉で表現 した式 をつ くる.

検 討3 :「規則作 を文字 を使 った式で表現す る ことで,簡 単にす る.」

・規則作 を文字 を使 った式で表 し.サ イコロの数が決 まる とどの場合で も求 め られ る ことを, 全体 として振 り返 ってみ る.

③ 数学的な考え方の確認をす る.

④ 文字で表示す る事で一般化 された式 を文字 を使 って表示す る.

これ らの授業では 「数学的活動」 の4要 因の観点か ら考える と,それぞれ の相互作用 に よ り具体的な活動が表れた. この結 果か ら,『三段階論法』による授業展開は 「数学的活動」

の4要因の視点 を取 り入れ る ことで, よ り活発な問題解決学習 の授業 を構成できた と考え て いる.

7.ま とめ

「数学 的活動」を とり入れた授業構成の観点 に立 って2つの授業実践 を行 ったが,教師 巨導で展開す る場面 も多 く見 られた.教師 自身が,数学 的活動 を誘発す る4要因を意識 し て取 り組 む ことは授業 を問題解決学習 としての展 開を可能 にす る. 生徒た ちも授業での議 論や, いろいろな見方,誤答な どを通 して問題 を考察 し,積極的 に解 決 しよ うとす る場 面 が増 えて きた. 生徒 の中 には, 自分 な りの考 え を他 の人 に説明す る とい う ことが 自然 に な って きた 子もいる. 数学的活動 を と り入れた 『三段階論法』 による授業構成は, これ ま での授 業形態か ら生徒たちが活動的な授 業形態 に変化 させ る ものであると実感 した. 口々 の実践 を通 して,数学 的活動 を誘発 させ る4要因を, 生徒の中に芽生えさせ る ことが ます ます大事で ある と考えて いる.

これ までの授 業構成 とそ の実践分析 を通 しての今後 の課題 として,次のよ うな点が挙 げ られ る.

(10)

24 長 崎大学教 育学 部紀 要 教科教 育 No.39 (2002)

1. 今 回,第 1学 年 の 「A 数 と式」の商域 の2単位 時 間 だ けで,授 業 の分 析 を行 って い っ たが,

「 B

図形

」「 C

数 量 関係」 にお いて も, この

4

つ の要 因 によ って 誘 発 され た数 学 的活 動 が な され る 『三 段 階 論 法』 によ る授 業実践 を行 い, 継 続 的 な, 実践 によ る分 析, 研 究 が必 要 で あ る.

2. 1に関連 して,この授 業構 成 を継続 し,系統 的な学 習 の活 動 計 画 を作 成 し,『三段 階 論 法』 の検 討 3で の 「③ 創 造性 の基 礎」 と 「④ 応 用」 が次 の時 間 の理解 1を示 唆す る

もの と して, 位 置 づ けが必 要 で あ る.

3. 2回 の授 業 実 践 は, 教 師 誘 導 の場 面 が 多 か った. 「検 討 」 か ら次 の段 階 の 「理 解 」 へ の授 業 の流 れ が, 生徒 か ら発 生 させ る には, 日頃か ら教 師 自身が 「数学 的活 動」 を誘発 す る4要 因 と 『三段 階論法』 を意 識す る ことが大 切 で あ る. 導 入場 面や, 検 討3にお い て統 一 的 に と らえ る方 法 が含 まれ た教 材 の工夫 によ って も4要 因 を 引き出す こ とは可能 で あ る.

4.実践 した授 業 を 『三段 階 論 法』 の観 点 か ら分析 す る こ とで, 教 師 自身 によ る授 業 評価 をす る ことが で き る. これ か らの授 業実 践 を等 して, 授 業構 成 の改 善 と具体 的な授 業 評 価 の方 法 を研 究す る ことが 今後 の課題 で あ る.

これ らが 今後 の課 題 で あ り授 業構 成 の あ り方 を研 究 して い くことで, 教 育現 場 にお け る 日々の授 業 改 善 に役 立 て て いきた い.

1) 文部省 中学校学 習指導 要領解 説数学編」 平成11年 大阪書籍 2)G.ボ リア (柿 内賢信訳) 「いか に して 問題 を と くか」 1954 丸善 3)S.Knllik 「Problems,Problem Solving,andStrategyGames」

MathematicsTeaching1977November 4)H.Freudenthal 「MathematicsasanEducationalTaskJ D.ReidelPublishing1973 5)平 岡賢治、福 島わ かな 数学 的活動 を取 り入 れた授 業構 成 の研究

長崎 大学 教育学部紀 要 教科教 育学 Na38 61‑67 6)文部省 小学校学 習指 導 要衝解 説算数編 」 平成11年 東洋館 出版

7)文部省 高等学校 学習指 導 要嶺解 説数学編理 数編 平成11年 実教 出版 8)K.Devlin TheFourFacesofMathematics」 NCTM 2000YearBook 16‑27 9)平 岡賢治 授 業 にお ける数学 的活動 の研 究 (Ⅰ) 一創造性 の基礎 につ いて ‑」

長崎 大学 教 育学部紀要 教科教 育学 No.38 53‑60

参照

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