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九州大学学術情報リポジトリ

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Academic year: 2021

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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

日本産Polysphincta属群(ヒラタヒメバチ亜科、ヒメ バチ科、ハチ目) : 系統・体系学および寄生様式の 進化

松本, 吏樹郎

http://hdl.handle.net/2324/1807135

出版情報:Kyushu University, 2016, 博士(理学), 論文博士 バージョン:

権利関係:Public access to the fulltext file is restricted for unavoidable reason (4)

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氏 名 松本 吏樹郎

The Polysphincta-group of Japan Phylogeny, systematics and evolution of mode of parasitism (Pimplinae, Ichneumonidae, Hymenoptera)

(日本産Polysphincta属群(ヒラタヒメバチ亜科、ヒメバチ科、ハチ目)

―系統・体系学および寄生様式の進化―)

論文調査委員 査 九州大学 教 授 阿部 芳久 九州大学 教 授 荒谷 邦雄 査 九州大学 准教授 卓司 査 九州大学 准教授 楠見 淳子 査 神戸大学 教 授 前藤

論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨

本論文はクモヒメバチ属群(Polysphincta-group of genera)の寄生習性の多様性がどのよう に獲得されてきたのかを考察するために、ミトコンドリアの遺伝子COIと核の二つの遺伝子28S と EF1αのDNAの塩基配列解析をおこなうことによりその系統関係を推定した。先行研究では形 態形質に基づき系統関係が推定されていたが、それとは異なった結果が得られた。すなわちクモ ヒメバチ属群は単系統であり、さらに3つの単系統群:Schizopyga subgroupAcrodactyla subgroup、Polysphincta subgroupから構成されることが推定された。Schizopyga subgroup は産卵室や漏斗網を作るフクログモやタナグモ類の寄生蜂が含まれる。Acrodactyla subgroup Polysphincta subgroupには空中に網を張るクモを利用する寄生蜂が含まれ、前者はアシナガ グモ科およびサラグモ科を主に利用し、後者はコガネグモ科とヒメグモを主に利用する。

ところで、クモヒメバチ属群の幼虫は寄主操作をおこなうことが知られている。すなわち、ク モヒメバチに寄生されたクモは終齢になる直前に行動が変化し、寄生されていない健全なクモと は異なった網を張るようになる。Schizopyga subgroupではクサグモを利用する寄生蜂がクモに 棚網のトンネル部分に薄い膜で覆われた空間を作らせて、その中で寄生蜂は摂食の最終段階とマ ユつくりをおこなう。Acrodactyla subgroupPolysphincta subgroupは、クモの網から粘着 糸を消失させる。前者のうちで最も極端な例は、クモの網が2点間を結ぶ一本の水平な直線にな り、その真中にマユを作る。前者の他の種の寄主操作でもそこまで極端ではないものの、クモに 糸を水平に張らせてその途中にマユを作る傾向が見られる。一方、後者ではクモに小型化した丈 夫な網を作らせる。

加えて、日本産のクモヒメバチ相を明らかにする目的で日本産のクモヒメバチ属群の分類学的 再検討をおこない、2151種を認めた。4新属(Magnigalea gen. nov., Asperiterga gen. nov., Pseudozatypota gen. nov., Toyoheia gen. nov.)と11新種(Acrodactyla menosirae sp. nov., Longitibia kusumi sp. nov., Magnigalea sapporensis sp. nov., Pterinopus minor sp. nov., Pterinopusnakaminei sp. nov., Sinarachnakonishii sp. nov., Sinarachnaokinawana sp. nov., Toyoheia lycorinoformis sp. nov., Zabrachypus carinatus sp. nov., Zatypota striata sp.

nov., Zatypota yunohamellae sp. nov.)の記載をおこなうとともに、6 属(Chablisea Gauld &

Dubois, Longitibia He & Ye, Oxyrrhexis Förster, Pterinopus Townes, Sinarachna Townes, Zabrachypus Cushman)と9種(Acrodactylacarinator (Aubert), Acrodactyladegener (Haliday), Acrodactyla quadrisculpta Gravenhorst, Asperiterga shaanxiensis (Liu, He & Chen), Chablisea varicolor Liu, He & Chen, Polysphincta rufipes Gravenhorst, Polysphincta tuberosa Gravenhorst, Schizopyga varipes Holmgren, Sinarachna nigricornis (Holmgren)) を新たに日本から記録した。既知種についても再記載をおこなうとともに、各種の寄生習性や幼

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生期についての記録をまとめ、新たに22の寄主記録を明らかにした。

以上をまとめると本論文は伝統的な形態学的蓄積と最先端の分子遺伝学的手法を統合するこ とによって、極めて特異な寄生習性をもつクモヒメバチ属群の多様性と系統進化について解明を 進めたものであり、博士(理学)の学位に値すると調査委員全員が判断した。

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