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「流通プロセスのフロンティア」 - フェ

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論文

「 流通プロセスのフロンティア」

‑ フェデラル ・エクスプレス/花王/ セブン・イレブンにみる物流‑

畑 中 邦道

一 目 次‑

は じめに

1.流通 プロセス と物流

2.物流の経営戦略 か ら見 た発展段階 3.第一段階

a)第一段階の フロンテ ィア を決 める要 因 b)フェデラル ・エ クスプ レスの フロンテ ィア C)花王の フロンテ ィア

d)セ ブン ・イ レブンの フロンテ ィア 4.第二段階 か ら第三段階へ

a)第二段階の フロンテ ィア b)第三段階の フロンテ ィア 5.第四段階か ら第五段階へ

a)第四段階の フロンテ ィア b)第五段階の フロンテ ィア 6.第六段階 と第七段階

a)第六段階 での フロンテ ィア b)第七段階 での フロンテ ィア

さいごに

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は じめ に

ビジネス を日々展 開 し継続 させてゆ く上での永遠のテーマは、今 日の問題解決 と明 日 をどうす るか、である。経営 の全 ては、事業のフロンティアをいかにマネジメン トしう るか、にかかっていると言 って も過言ではない。

本論文では、ビジネスが保有 しているビジネス ・プロセス ・フローの各 プロセスの内、

情報化社会 を迎 えて、一段 とビジネス優位性 に差が出て きている流通 プロセスを取 り上 げ、そのプロセスの中で最 も経営環境 として難 しいフロンティアに直面 している 「物流」

に焦点 を合わせ論 旨を展開す る

流通 プロセスを構成す る要素 をビジネス的に区分 してみ ると、主 に三つの流れで見 る ことが出来 る。一つ は取引 (交換)の流 れか ら見 る 「商流」であ り、一つは物的な流れか ら見 る 「物流」である。 そ して三つ 目には、近年富 に流通 プロセス において重要性 を増 している情報の流れか ら見 る「情報流」があげ られる

ここでは、「物流」か ら見 た流通 プロセスを主 に、その発展段階にあった経営戦略 は何 であったか、 またこれか らの経営戦略 は どの様 な方向を目指すかを追求 している。

流通の内、物流その もの を事業 目的に している企業での事業の成功 のケースや、流通 のある部分 のプロセス を自事業の競争優位iとす ることによって事業 を成功 させている ケース、あるいは、販売 プロセスにコア‑ コンピタンスi.を構築 している企業での各 々 の事業の成功 ケースは、それぞれ、経営戦略 を実施す るに用い られる道具建てや仕組み に大 きな違いがある。

特 に、流通 のインフラス トラクチ ャーを自事業の経営展開の手段 としている企業での 成功 に於いては、道具建てや仕組み以上 にその企業の独 自性や ビジ ョンが経営 を引 っ張 ぼ り、結果 として経営 に戦略性 を兄 いだすケースが多い。

しか し、事業形態が異 なっていて も、それ らの経営が成功 した背景 として多 くの共通 しているファクターが兄いだせ る。

それ らには、

*顧客満足度iliを競合以上 に満た している

*時間が生み出す価値ivが他社 よ り突出 している

*的確 な情報 を入手することとそれによ り生みだ した価値 の創 出が業界‑である と言 った特徴 を兄いだせ る。

本論文では、 よ り特徴的な経営のフロンティアYを追求 してみるために、

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a)流通事業 を経営 目的に している企業の代表 として 「フェデラル ・エクスプ レス」

b)メーカーであ りなが ら流通 プロセスを経営戦略のおお きな柱 としている 「花王」

C)流通のインフラス トラクチ ャーを活用 し小売業で業界‑の収益 を上げている 「セ ブン ・イ レブン」

を取 り上げ、事業拡大が なされた背景 を段階的に比較 しなが ら追 ってゆ くことによって、

事業の経営 におけるフロンティアは どの辺 りにあるのか、それ を越 える経営戦略 はあ り 得 るのか、について言及 してみる。

ここでは、事業拡大が なされて きた背景 を段階的に捉 える為 に、すでに、「花王」につ いて研究 して きた結果か ら得 られている段 階区分 を取 り上 げ、 この区分 を軸 に、三つの 企業のフロンテ ィアについての比較研究 を試みてある。

「フェデラル ・エクスプレス」 については、世界規模 の拡大 を していった背景 にある 道具建てや仕組み について主 に見 てゆ くこととし、「花王」については、 日本 国内での競 争優位 を流通 プロセス を革新 したことによって確立 した超優良企業であ りなが ら、グロ ーバル化が極度 に遅れて しまった背景 を主 にみてゆ くこととす る。

また、「セブン ・イ レブン」においては、小売 り業が持つ ビジネスプロセスである流通 段階 をインフラス トラクチ ャーの中で経営 の手段 として うま く活用す ることによって、

戦略的に、選択的 に、競合 との差別化 をはかって業界‑の収益 を上 げ続ける背景 を主 に みてゆ くことにす る。

1.流通 プロセス と物流

流通 プロセスに事業の競争優位 を持 ち物流事業 を事業その もの としている経営の場合 と、流通 プロセスの物流部分 を事業の競争手段 としている経営の場合 と、平準化 された 物流 のインフラス トラクチ ャーの中で事業の差別化 をはかる経営の場合 とでは、企業の 発展段階で採 られる経営戦略は各 々大 きく異 なって くる。

これ らの経営戦略の違いを比較 してゆ くことによって、それぞれが抱 える今後の経営 課題 を摘出 し物流 プロセスに関わった事業経営の フロンテ ィアを見極 めるのが本論文の

目的 となっている。

ここで比較研究 を行 う為 に取 り上 げる企業 は、運輸業では 「フェデラル ・エ クスプ レ ス」、 メーカーでは 「花王」、小売業では 「セブ ン ・イ レブ ン」であるが、 どの企業 にお いて もその初期 には、戦略的ロジステ ィクスvlが物流 を制 し、その後、物流 は戦略的情 報 システムvliによって大 きく変化 し、結果 として流通 に関わる経営 的変革 を自社の強み

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とするにいたっている。

本来、流通 に関わる経営的変革 を強み と した企業の共通性や普遍性 を述べ るには、小 売 り流通、卸売 り流通、 メーカー流通、産業財流通 の業態分類か らまとめてゆ くことが 必要である。 また、その各 々に流通過程 と しての商流、物流、情報流、があ り、そこか

らの各 々の分析 も必要 となる。

本論文では、 どの様 な事業形態 において も、その事業 を構成 しているビジネス プロセ スにおいては、流通 プロセスに競争優位 を左右 させ られているケースが多 く、その流通 の過程 では、物流が最 もコス ト発生 メカニズムが複雑で、 コス ト削減の経営戦略的効果 が一番望めるプロセスで もあることか ら、物流 プロセスに焦点 をあて、運輸業、メーカ ー、小売 り業 を取 り上 げ、そのフロンティアは何 かに迫 ってみることによって、流通 に 関わる経営変革のプロセス を論 じることとする。

2.物流の経営戦略か ら見 た発展段階

経営 か らみた流通 プロセスにおける物流の発展段階 を、事業のスター ト時点である第 一段階か ら現在の段階 まで について、各 々の段階で課題解決が必要になったであろ うフ ロンティアを、その共通的特徴 や普遍的要因により、「花王」の研究か ら得 られた事業経 営の段階区分 を軸 に再編成 してまとめてみると、次 に述べ る様 に、a)、 b)、 C)、 d)、

e)の五段階でみてみることがで きそうである。

また、物流の将来的発展段階 を、物流その ものを事業 として業界 の最先端 を走 ってい るフェデラル ・エ クスプ レスの事業 目標 を例 にその骨子 を取 り上 げてみると、将来的発 展段階が直面す る各段階の フロンテ ィアが、仮説 として見 えて くる。

これ を、 f)、 g)と二段 階で提示 し、他 の業態の異 なる事業での物流の フロンティ アは戦略経営 としていかに展 開で きる可能性があるか、比較検討 してみ ることによって、

フロンテ ィアにおける経営 を考察 してみる。

物流の発展段階 とそのフロンティアをその段階ごとに事業が把握 している ドメインと して捉 え、各段階が直面 したフロンティアを乗 り越 える次期的展 開では、 どの様 な環境 と ドメインが新 しく生 まれて きたのか、 また生 まれる可能性 を秘めているのか、そのフ ロンティアを各 々七段階のステージで経営戦略 として検討 を加 えてみる。

a)第一段階 ・・・目的 :事業機会の発掘 と市場参入

手段 :競争優位 を決めるプロセスの新 しい構築

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環境 :クローズ ドシステムvl.iでのニ ッチ

b)第二段階 ・ ・目的 :コス ト低減

手段 :安価 な最適ルー トの構築 環境 :規模 の経済 と差別化

C)第三段階 ‑ ・目的 :時間の価値

手段 :翌 日配送/JIT (ジャス ト ・イン ・タイム) 環境 :クローズ ドシステムでの充足

d)第四段階 ‑ ・目的 :事業のグローバル化 (地域拡大) 手段 :世界 の拠点化

環境 :事業の発展成熟

e)第五段階 ‑ ・目的 :受配送状況 オンタイム把捉 手段 :受配送者 と顧客 ネ ッ トワーク

環境 :インターネ ッ トによる情報革命 の兆 し (パラダイムが変 わる)

f)第六段階 ‑ ・目的 :顧客の投資/資産運用効率の改善 手段 :規模 の経済 と顧客の人材引 き受 け 環境 :アウ トソーシング

g)第七段階 ・ ・目的 :顧客が価値 を生 む商品の提供 手段 :バ リュー ・ポジシ ョンの発現 環境 :オープンシステムixでの共生

この発展段階で フェデラル ・エ クスプ レス、花王、セブ ン ・イ レブ ンの現在 を見 てみ ると、事業がス ター トした時代 や各段 階 に費や した年月 にはそれぞれ差が ある ものの、

フェデラル ・エ クスプ レスのケースでは第五段階 まで成功裏 に進 んで きてお り、現在で は第六段階 を新規事業経営のフロンティアとして取 り組 んでいることがわかる。

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また、同 じ様 に花王 を見 ると、花王は第五段階で業界 と競合の覇権争いのまっただ中 にあ り、セブン ・イ レブンは第五段階か ら第六段階へ と確実 に進 んでいることがわかる。

ここでは、特 に第一段階での フロンテ ィアの克服 を詳細 に見 てゆ くことによって、 フ ロンテ ィアが どんな領域 にあるのか、そ してそれはマネジメン ト可能範囲 として見 るこ とがで きるのか、 フロンティア‑の第一歩 にはどんな手 だてがあるのか、その目的や手 段、事業のおかれた環境 か ら、 とられた経営戦略の中身を論 じてお く。

第二段階以降については、その事業の フロンテ ィアの要因 となってい る背景 を述べ、

同時 に経営戦略 とフロンティアの接点 を探 ることによって、物流のフロンテ ィアを浮 き 彫 りに してゆ くこととす る。

3.第一段階

a)第一段階のフロンテ ィアを決める要因

第一段階のフロンテ ィアを決める要因 としては、前章で上げた、

第一段階 ‑ ・目的 :事業機会の発掘 と市場参入

手段 :競争優位 を決めるプロセスの新 しい構築 環境 :クローズ ドシステムでのニ ッチ

が上げ られる。

この第一段 階で、事業や企業がそのフロンティアを克服 して立 ち上が ると、事業や企 業の経営 は、発展 と拡大 と継続性 を自己のマネジメン トの中で育て、ある時期、ある市 場で、ある資源状態 にあって、あるインフラス トラクチ ャーを含 む環境 の中で、新 しい

フロンテ ィアに直面する。

この時点で、事業や企業の経営が フロンティアを新 しい段階 に直面 してい ると意識せ ず、過去の延長線上 に経営計画 を設定 し実行 した場合、その事業や企業は経営の規模 を 第一段階で止めて しまい、第二段階の フロンティアを克服 した競合や、第二段階か ら参 入 して きた競合 に、将来の自分の席 を譲 ることになる。

事業 をス ター トす るステージにある第一段階では、事業の置かれた環境 は、すでにイ ンフラス トラクチ ャー として存在 している仕組みや道具建 ての中での資源制約のない競 争状態 にあると言 える。

競争が存在 している環境 とは、資源制限のない競争が展 開 していることであ り、そこ への市場参入 は、代替製品を既存のインフラス トラクチ ャーが支 える市場 に、 ライフサ

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イクルを延命す るために導入 した り、既存で平準化 されている市場 ではニ ッチ分野の創 造や差別化 による顧客か らの リピー タビリティが主体 となるクローズ ドシステムの環境 にある

この様 な環境 にある第一段階での事業が持つべ き目的は、市場機会の発掘 と市場参入 の タイミングである。

また、 目的を達成 させるためには、競争優位 を決めるプロセスの新 しい構築が必要 に なる。

競争優位 を決めるプロセスの構築 は、ニ ッチ分野であれば開発費用や設備投資 もそれ 程大 きな額 を必要 とせずス ター トで きるが、既存のインフラス トラクチ ャーに挑戦す る 市場‑の代替 を参入戦略 とした場合 は、多額の開発 ・設備投資 をか き集めなければス タ ー ト出来 ない。

いずれにせ よ、第一段階を象徴す る事業 とそれを取 りま く市場環境の特性 は、

(∋ 視野の限界 (参 合理性の限界

③ 働 きかけの限界

と言 う、競争市場 での事業 の経営資源の大 きさに規定xされるであろう三つの限界か ら ス ター トしている と言 える。

視野の限界 については、 自社 の事業 ドメインを自社 が認識 で きる市場範 囲に定義 し、

その市場でのシェア‑設定が可能な範囲、 として見 ることがで きる

合理性 の限界 については、事業 における利益 の最大化は、 自社の経営資源 をどの様 に 最適 に組み合わせればはかれるか、 とか、 ビジネスの フローを構成す るプロセス連鎖の 再構築 をどの様 にすればはかれるか、 と言 ったことによる経営資源の合理的組み合わせ の範囲、 として見 ることがで きる。

働 きかけの限界 については、事業が市場 に対 して意識的 に行動 を起 こ し、需要励起や 市場創造 を行 った場合の市場が反応 して くれる範 囲 とか、事業が 自社 として認識 してい

なかった分野 に生 まれた需要 とか新 しい市場性の範囲、 として見 ることがで きる。

この様 な限界 を事業活動の範囲 として見 てお くことは、第一段階では特 にその影響度 が顕著であるため必要 な要件であるが、 この事業活動 の範囲の概念 は、第一段階にのみ に特有の ものではな く、事業が フロンテ ィアを克服 した時々で、かならず経営の壁 とし て現れる事象であることか ら、第二段階以降について も、 この視点で見 てお くこととす る。

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b) フェデラル ・エ クスプレスのフロンティア

フェデラル ・エクスプ レスの第一段階 におけるフロンテ ィア とは何 であったのであろ うか、最初 に採 られた経営戦略か らそのフロンティアを見てゆ くことにす る。

1973年 に操業 を開始 したフェデラル ・エ クスプ レスは、それ までの貨物空輸会社 が、

大 きさの混在 した荷物 を集荷 し、仕分 け後、 目的地‑定期 的に空輸、到着地か ら個別 に 目的場所 まで配送 していた市場 に対 し、仕組み を変 えて市場参入 を図った。

その方法 は、小荷物だけの配送 に絞 って、すべての小荷物 を一旦 自社 の飛行機でメン フィスに中央集荷 させ、そこで仕分 け、 また自社 の飛行機で 目的地へ運 び、 自社 の トラ ックで配達す る、 と言 う経営手段であった。

M.E.ポーターは、 これを、価値連鎖の再編成 によってコス ト優位 を生み出 した例 として、航空貨物の配送 とい う価値連鎖 を急配が必要な小荷物 に絞 った、 としているxi

第一段階で成功 したフ.ェデラル ・エクスプ レスを経営史的に結果 を分析すれば、その 成功要因は価値連鎖 の再編成であった と言われれば、説得性があ り、確か にその通 りで ある。

しか し、ス ター ト時点 にあったフェデラル ・エ クスプ レスのフロンティアは価値連鎖 の再編成が答 えにあって、それを実行すれば成功す ると言 う確信 をもって経営 にあたっ ていたであろうか、い ささか疑問である。

一般的には、業界 のマーケテイングを見直 してみると、航空運輸 の大部分 は小荷物で あ り、その配送 は急 を要 している物がほ とん どで、顧客 は現状 に満足 していない、 とい うことがわかった。では、顧客 に満足 して もらえ、かつ競合 に勝つためには弊社では ど んなことが出来 るか、 とい うことか らス ター トす る。

先 に述べ た、三つの限界 のなかでの経営資源の組み合わせ によ り、事業の成果 をあげ る ドメインを差別化 した分野 に置 き、 自社の所有 している小型貨物輸送機 の稼働 をメン フィスを軸 としてフルに動かす為 の最適解 を生み出す、 と言 うのが、第一段階での フェ デラル ・エクスプレスの フロンティアであったのではないか と推察 される。

その答 えが、 ビジネス を中心 に した急 を要す る書類配送 を主体 とした小荷物であ り、

メンフィスを軸 に乗 り継 ぎの起 きない小型貨物輸送機 の往復飛行最適範囲 を円周 の限度 とした、 自転車の車輪 を想像す るハ ブ ・アン ド ・スポークのシステムであった と考 えた ほうが 自然である。

この様 に、 フェデラル ・エクスプ レスは、小荷物 に限定す ることによ り視野の範囲 を 生みだ し、ハ ブ ・ア ン ド ・スポークによって活動 の範 囲が決め られ、メンフィス に集中

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集荷 を した自社所有小型貨物輸送機 による合理性 の追求 をお こなった故 に、クローズ ド システムでのニ ッチに近いス ター トが可能 とな り、新 しい ビジネス プロセスの構築 によ って、事業機会 を発掘 し、市場参入 を果た した、 と見 た方が実際の経営の実状 に近い と 思われる。

C)花王のフロンティア

花王が過去直面 して きた多 くのフロンテ ィアの中で、それを克服 したことによって飛 躍的に競争優位 を確立 した経営戦略 に、販社の設立がある。

花王 は、 この販社 の設立 を契機 に、 日本 の複雑怪奇 な流通 の一つであったサニ タリ ー/ トイレタリー業界 に、 メーカー として初めての流通革新 を起 こ し、物流では他 の業 界で さえうらやむ様 な競争優位 を確立することになる。

この1963年 に設立 された販社 と、その結果1971年 に物流三 力年計画 として物流の改革 を押 し進めなければな らな くなった状況 を、メーカーの物流のフロンテ ィアの第一段階 として捉 えてみる。

石鹸業界の産業保護政策の基、再販価格制度の維持が認 め られていなが ら、技術的に も大量生産 によるコス トについて も欧米の大企業 とは大幅 な差があ り、欧米企業の 日本 上陸 による市場参入 は、花王にとっては一大脅威であった時代 である0

そんな時代 に、米国か ら小売 り販売 の流通 に革新が起 き、スーパー と言 う新 しい小売 り形態 をもつ流通が勃興す る。

このスーパーは 日本 にも早速登場 し、安売 りを目玉 に急拡大 してゆ く。 この時、九州 地区のスーパーで花王の商品が 目玉商品 として安売 りの対象 になって しまう。

花王にとってのスーパーの安売 りの脅威 は、海外企業の市場参入 と同一以上の もの と なってゆ く。

花王は福 岡近辺 をテ リ トリー とす る卸問屋 と共同出資で、スーパ ーへの卸価格 をコン トロールすべ く、花王販社 を創 り、流通価格 をコン トロール しうる仕組み を生み出す。

しか し、スーパ ーは全国の卸問屋 を現金決済 によ り叩いて仕入れ、安売 りを継続 して しまう。 このことを防 ぐために、花王は販社の全国展開を余儀 な くさせ られる。

この花王販社 は、 もともとはスーパ ー勢力‑の対抗上つ くられた地域 の卸問屋 との協 業であったが、その流通 は花王の思 うようには動かなかった。

販社 は流通倉庫 の代役 とな り、 またマーケテイング機能が未熟であったため、大量 の 流通在庫 を抱 えることに陥る。

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このため、花王 は販社 の株 を買い取 り、 自社所有 の流通機能 とせ ざるを得 な くなって しまう。

しか し、 この販社戦略 は、スーパ ーの花王商品の安売 りの封 じ込み を成功 させ、地域 の小売店へのテリ トリーカバー化率 も向上 し、一気 に業界 トップシェア‑を確保、流通 を押 さえることによって再販価格 を堅持 させ、競合か らの参入障壁 を高 くさせた。

一方、メーカーが卸売 り機能 をビジネス ・プロセスの中に取 り込 むことは、価値 を生 み出 し利益向上が見込める ものであったはずであったが、同時 に経営合理化の遅 れてい る流通の内、特 に複雑怪寄 なコス ト発生 を伴 う物流 をも背負い込 むことになって しまう。

花王はメーカーであ りなが ら物流のフロンティアにぶつかることとなる。

この時、花王は経営の全勢力 をかけて物流近代化三力年計画 に取 り組 む。

フロンティアは、

*包装、梱包の標準化 とその組み合 わせ による輸送形態のモジュール化

*そのモジュール どうLをまた組み合 わせた大 口梱包のユニ ッ ト化

*配送手順 を前提 に して予め トラックに積み込 むシステム

*標準 ラックによる自動倉庫 のシステム化

*自動倉庫 と トラック積み込みのシステム化 (ユニ ッ ト・ロー ド ・システム)

*パ レッ トに積 んだまま移送す るパ レチゼーシ ョン によって、克服 されることになる。

花王の第一段階の フロンティア‑の経営取 り組みは、流通マージンの削減、流通在庫 の削減、輸送 コス トの削減 を実現 させ るもの となったのである。

既存のインフラス トラクチ ャーや専 門業者 に委ねない花王の、 自社 の経営資源への物 流 と言 うビジネスプロセスの取 り込みは、価値 を生み出す一つの事業機会 を捉 えた とし て良いであろう。

これは物流事業の競争 といった平面的なクローズ ドシステムの環境で起 きている もの ではな く、 ビジネス連鎖 を垂直統合 として見 たクローズ ドシステムの中で造 り上 げた特 異 なケースである

競争優位 を決めるプロセスを、花王独 自の方法で ものに し、そ して成功 させた、希有 な例 と言 える。

市場環境か ら花王の物流 を見てみ ると、海外大手 メーカーの市場参入脅威 とスーパー 台頭への牽制が視野の範囲を決め、販社設立 とその後の機 能改革部分が働 きかけの範囲 とな り、販社 の花王 自社所有化 による流通在庫削減や搬送部分のモ ジュール化 と一貫パ

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レチゼ‑シ ョンを軸 に したユニ ッ ト ・ロー ド ・システムが合理性 の範 囲 を設定 していた と見 ることが出来 そ うである。

d)セブン ・イ レブ ンのフロンテ ィア

ここで述べ るセブン ・イ レブ ンの第一段 階 におけるフロ ンテ ィアは、今 日のセブ ン ・ イ レブ ンを代表 してい る。

1973年 イ トー ヨーカ堂が、サ ウス ラン ド社 か らフランチ ャイズ方式 のノウハ ウのエ リ ア独 占使用権 を入手 、その後、セブ ン ・イ レブ ン ・ジ ャパ ンと して成功 の道 を歩 んでい る世界最大 の規模 を誇 るセブン ・イ レブ ンのグループを主体 に してい る。

サ ウス ラン ド社 のス ター トは、1920年サザ ン ・アイス社 と して40カ所 の製氷所 を経営 していた原点か ら始 まる。

夏 だけに需要が集 中す る非効率 な商売 に、冬 も安定的 な売上 げが見込 まれ る商 品 を店 頭 にな らべ たのが、1930年 に入 ってか らで、 これが大成功 を もた らし、店 の名称 を トー テム ・アイス ・ス トアー と統一 して、店舗数拡大 と自社製 による ミルク と乳製品の製造 販売 をお こなう垂直統合 をはた してゆ く。

1947年 にはアイスク リームの生産 を開始 し、その一年前 に トーテム ・ス トアーか らセ ブ ン ・イ レブ ンに名称 を変 えてい る。

その後 ガソリンを販売す るようにな り、セブ ン ・イ レブ ンはアメ リカ市民 の生活のイ ンフラス トラクチ ャーに組み込 まれたチェー ン展 開 となった。

そ して1971年 、 フロ リダ州、 ヴァージニ ア州、テキサス州の3カ所 に流通倉庫 を設置 したが、その後 もアメ リカ国内の配送流通 の為 に、 自社 の流通 セ ンターを次 々 と設置 し てゆ く。

この ころか らアメ リカのセブン ・イ レブ ンの海外展 開戦略が なされは じめ、 日本への 地域展 開戦略 は、イ トー ヨーカ堂 とエ リア ・フランチ ャイズ契約 を結ぶ ことによ りス タ ー トす る。

サ ウス ラン ド社 は、スーパ ーの経営 を本業 と していたイ トー ヨーカ堂 との契約 は、 ア メ リカでのスーパ ーが コンビニエ ンスス トア一事業 に参入 し、 こ とご と く失敗 してい る 実状か ら、あま り積極 的ではなかった。

イ トー ヨーカ堂か らすれば、アメ リカ国内で起 きた失敗 は許 され ない状況であ ったた め、チ ェー ン経営 の ノウハ ウは導入す るが、店舗経営 は全 く異 なった管理 コンセプ トを 採用 した。

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サ ウスラン ド社 の生い立 ちか ら、 日本のイ トー ヨーカ堂 と契約 を行 った時期 までの物 流のフロンテ ィアを分析 してお くことも、世界地域‑の拡大展 開の段階 を知 る上で必要 なことではあるが、 ここでは、提携後、 日本 におけるセブン ・イレブンは独 自の経営 ノ ウハ ウを蓄積 し、サ ウスラン ド社 を逆買収 し、その後、順次セブン ・イ レブ ン ・ジャパ ンの経営 ノウハ ウを世界 に移植 していることか ら、セブン ・イ レブ ンの経営の重要な部 分 を しめる物流のフロンテ ィアを、セブン ・イ レブ ン ・ジャパ ンのス ター トの時期か ら 見 てゆ くことにす る。

日本の新 しい展 開をみた大型小売業であるスーパーは、1975年 に施行 された大規模小 売店舗法 による規制や、店舗の進出撤退 を容易 にす るスクラップ ・アン ド ・ビル ドが 日 本的風土 にあわなかったことか ら、チェー ン展開による新 しい小売業形態であるコンビ ニエ ンスに一斉 に参入 しは じめ、そ して急成長す る。

イ トー ヨーカ堂 もサ ウスラン ド社 との提携 の実現 によって、セブン ・イレブンと言 う コンビニエ ンスのチェー ン経営 ノウハ ウを修得 し、スーパー事業 に付 け加 わる事業機会 を得、市場参入 をはたす。

イ トー ヨーカ堂は、 コンビニエ ンスの事業 をスーパー事業の範噂 とか、スーパ ー事業 の系統 として考 えず、狭 い地域 の顧客への コンビニエ ンスの提供 は何 が充足 されていな ければならないか、か ら競争優位 を決めるプロセス を構築す る。

店舗経営 をスーパ ーの延長線上 に事業経営 をおかず、独立 した経営組織体 として管理 す る、と言 ったことや、チェー ン店 に実施す る前 に自社直営店 による実験 を くりかえ し、

売れ筋商品の絞 り込み を行 い、単品管理 を して も経済的に見合 うシステム創 りを競争優 位 の生 まれるプロセス として構築 した。

顧客へのコンビニエ ンスの提供 は、 自販品の内、飲料 や加工食品の提供の充実度合い にあったことか ら、 コンビニエ ンスの出店 は、地域 ドミナン トの集 中化 による商品供給 の効率が得 られる優位性 をビジネスプロセスのなかに組み込 むことと、テリ トリーのカ バー率が極端 に高い地域 クローズ ドシステムの覇者 を狙 うことになった。

セブ ンイ レブ ンの第一段階におけるフロンティアは、スーパー との違い、米国式セブ ン ・イ レブ ンとの違いをどう現実の もの とす るか、であった と思われる。

この為の戦略が、車社会ではないセグメン トでスーパ ー とは明確 に異 なるコンセプ ト である、駅 に近 く、駅か ら住宅地‑の路線 の線上 にあるロケーシ ョンと言 う、事業視野 の範囲を選 んだ。

店舗 は既存の地域密着型の酒屋や米屋 の店舗転用 による、地域社会‑の働 きかけの強

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い店舗展 開を行 い、商品配送 は 自社 ロジステ ィックス、店舗内の商品管理 は単 品 ごとの 売れ筋管理 と言 う合理性 の追求が な された。

4.第二段階 か ら第三段階へ a)第二段階の フロンティア

第一段 階で詳細 に述べ て きた様 に、事業 ス ター トにおける物流 の フロ ンテ ィアは何処 にあ り、 またその事業経営が事業 を取 りま く環境 とのせ め ぎ合いの接線上で どう戦略的 行動 を起 こ したか、 について明確 に して きた。

この事業経営がその事業 を取 りま く環境 とのせめ ぎ合 いの接線 を拡大 してゆ くと、そ れ まで優位性 を確保 していた経営手段 は、その企業独 自の もの と して差別化 が継続 で き な くな り、業界 内部 で平準化 して しまった り、 イ ンフラス トラクチ ャーの機 能の一つ と

して組み込 まれて しまった りして くる。

事業経営 として競合他社 との競争優位差 はほ とん どな くな り、新 しい フロンテ ィアに ぶつかる

第二段 階 におけるフロンテ ィアを決める要因は、

第二段 階 ・ ・目的 :コス ト低減

手段 :安価 な最適 ルー トの構築 環境 :規模 の経済 と差別化 である。

競争優位 に持 ち込 む経営戦略 としては、 コス トに集中す る。変動 コス トとしての経費 の観点か らは、顧 客満足度 を損 なわない範 囲でのルー トの最 も安価 な最適化 をめ ざす。

固定費 としての設備投資の償却 の観点か らは、設備 の フル稼働 をめ ざす。

コス ト低減 を可能 とす る大 きな要素 は、規模 の経済の有効性 をいか に発揮 で きるか に ある。

この時点での流通 のキイワー ドは 「いか に量 をま とめ、いか に効 率 よ く運 ぶか」であ る。

セブ ン ・イ レブ ンは店舗 の地域集 中化 と売 れ筋 商 品一括仕入 れ を戦略 のス ター トと し、流通 の規模 の効率 を最大化 してい る

フェデラル ・エ クスプ レス は車輪 のイメージを流通 に適用 した、ハ ブ ・ア ン ド ・スポ ークによる大量処理 を可能 とす る設備 の稼働効率 を上 げる、集 中化 と再 配送 の最適化 を はかってい る。

(14)

花王は地域卸業者 をまとめることによ り販社 をつ くり、量の確保 と流通段階カ ッ トに よってコス トを下げ、商 品を自動倉庫 によって運搬 を標準化 し、受発注の まとめによる 規模 の経済 を最適化す る配送 を行 っている。

b)第三段階のフロンティア

第三段階 に至 った事業 とそれを取 りま く市場環境 との間には、第一段階 と第二段 階で はおお きな三つの限界の事象 として規定 されていた、視野の限界、合理性の限界、働 き かけの限界、があったが、これ に加 え、第三段 階では新 しい事象 として、時間の限界が 入 って くる。

時間の限界 は、主 に時間の単位 による効率が範囲 として規定 されて くると言 って良い であろう。

第三段階のフロンティアを決める要因は、

第三段階 ‑ ・目的 :時間の価値

手段 :翌 日配送/JIT(ジャス ト・イン ・タイム) 環境 :クローズ ドシステムでの充足

として見 ることがで きる。

第三段階に入 ると、物 の移動 の追跡 と最適移動 を図るための事前情報入手が物流効率 を上げて行 く手段 となって くる。

状況 を把握 してお くことが手段 の最適組み合わせ を生み出せ ることとな り、 コス ト優 位 と顧客サービスにもフィー ドバ ックされる様 になる。

状況把鐘の レベルやデータ量が競争優位性 を決める要素 とな り、その分析結果で得 ら れた統計 的確度 をいかにフォーキ ャス トとして実務 に生かせ るかが、価値 を生み出す こ

とになる。

フェデラル ・エクスプ レスにおける情報 ネ ッ トワークや、花王 におけるオンライン ・ サ プライ ・システムが これにあたる。

花王 においては、販社 を含 めた物流の 自社化 と、銀行 と組 んでのオンライン決済 シス テムの実現 に向かわ させ、また、 フェデラル ・エクスプ レスにおいては、会社 としての ポ リシー となる 「世界 どこへで も翌 日配送」を現実の もの としさせてゆ く。

状況把握が情報 ネ ッ トワークを促進 させ、 自社独 自の統括 的な情報把握が、物流のみ ならずマネジメン トや商品開発 にまでお よぶ、 ビジネスプロセスの全体の最適化 を生み 出 させ ることになる。

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情報 を戦略 ツール として活用することによって、時間が生み出す

C

S‑の便益 の差 や、

自社 の強み としての競争優位の差 として、時間が価値 を生み出す手段 となって くる。

セブン ・イ レブンにおいては、 コンビニエ ンス としての顧客満足度 の充足 を目的 に し たJIT対応 システムを目指 している。

顧客の時間単位 の需要 にたい して、商品供給 システムは どうすべ きか、 を情報 システ ムと物流 システムによ り構築 し、「ほ しい時 に、ほ しい物が、ほ しいだけ」が提供 される システムを組 むことになる。

「物の存在」と、「時間の正確 さ」と、「量の確保」が物流のキーワー ドとなる。

そ して、現在のセブン ・イ レブンは、 コンビニエ ンス を売 るだけではな く、時間を価 値 として売 る 「鮮度」の提供がポ リシー となるまで にいたっている。

この段階までに、どんな事業であれ、「時間」の生み出す価値 を競争優位 とする為 には、

事業が 「時間」の生み出す経済効果 を数値 として把握 出来 るビジネス プロセス になって いなければ、い くら情報 システムを後付 けで組み込 んで も、経済効果 は情報収集の為の コス トに見合 わないこととなる。

時間の限界が、事業経営 と事業 を取 りま く環境 との接線のせめ ぎ合い を繰 りひろげる。

5.第四段階か ら第五段階へ a)第四段階のフロンティア

第四段階のフロンテ ィアを決める要因は、

第四段階 ・‑ 目的 :事業のグローバル化 (地域拡大) 手段 :世界の拠点化

環境 :事業の発展成熟 で見てみることがで きる。

「時間」の生み出す経済効果 は、その事業が存在 し継続 してい るイ ンフラス トラクチ ャーのあ り方 に大 きく依存 している。

特 に物の移動 を主題 と した物流の場合、インフラス トラクチ ャーは地域限定が原則 に なる。

小 さな範囲で言 えば、経済的密度 の濃い 「都市」の地域 、経済 の法的規制 の範囲で言 えば 「国」の範囲が インフラス トラクチ ャーの地域限定 となる。

地域内での事業の成功 は、競合 による参入障壁 を高めることによって も、地域の トッ プシェア‑を維持で き、事業利益 を享受で きる。

(16)

第四段階では、経営 は事業の継続的拡大 を問われる段階にいたる。

流通 において 「時間」の経済効果が一番大 き く出て くるのは、 テ リ トリー とテ リ トリ ーの間の物 の移動 にある。事業 テ リ トリーが 自国の枠か ら国際化 をめ ざし外部‑踏み出 す時期が第四段階 となる。

第四段階 を目指 さなければ、事業 の継続的拡大 はなされない。テ リ トリーが国際化 さ れると、貿易の概念が事業経営 を動かすマーケテイングに入 って くる。

国際化 と言 うレベルでは、物の移動 におけるマーケテイングには、貿易 と言 う概念が い まだに大 き く影響 しているが、情報のや りと りにおいては、すでに、ボーダレス、シ ーム レスがマーケテ イングの根幹 を貫いている環境が現出 している。

花王の様 な商品を持つ メーカーが、地域の特異性 によ り流通の競争優位 を情報 システ ムによ り構築 していたに して も、国際的環境か ら見れば、国際的な競合の参入障壁 を高 めてきたに過 ぎず、 日本国内での事業 としての競争優位 は、国際的には通用 しないこと となる。

この為、花王 は商品輸 出や現地生産の可能な発展途上国への進出 と、 フロ ッピーディ スクと言 う多角化 の商品によ り、国際的な海外進出をはかる。 どちらの場合 も、情報 シ ステムを駆使 した流通 の競争優位 は全 くな く、商品輸 出や現地生産 はブラン ド維持戦略 であ り、 フロ ッピーは顧客 ブラン ドのOEM生産か ら、品質 による自社 ブラン ドへの切

り替 えを行いつつあ り、流通 は他社 まかせ となっている。

フェデラル ・エクスプ レスにおいては、情報のや りとりで起 きているボーダレスやシ ーム レスの環境 と、物 の移動 をともな う物流が、同 じライ ンに乗 るべ く、ハ ブ ・ア ン

ド・スポークを世界の各地 に拠点化 させている。

情報 ネ ッ トワークでなされたデ イジーチェー ンのごとく、ハ ブ ・アン ド ・スポークの 拠点 どうLを、 自社 の投資 と自社独 自のシステム構築で次々繋いでいる。 この結果、貨 物航空 を自社で持つ国際物流では世界最大の規模 となった。

国際物流 になって も、 フェデラル ・エ クスプ レスのポ リシーは 自社貨物航空 による、

情報 システムを駆使 しての 「翌 日配送」システム と配送物 の トレーサ ビリテ ィのサ ー ビ スにある。

セブ ン ・イ レブ ン ・ジャパ ンは、 もとの親会社 であるサ ウスラン ド社 を逆買収 して、

米国進 出をはかっている。現在の米国におけるセブン ・イ レブ ンでは、全 てを第一段階 か らのシステムにもどし、 日本で生 まれた単品管理の思想教育か らは じめ、やっと第二 段階に入った レベルにある。セブン ・イ レブンが扱 う商品の流通やサービスが国際化す

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るまで には、 まだ数年かかる と思 われる。

b)第五段 階の フロ ンティア

第五段 階では事業経営 とその事業 を取 りま く環境 とのせめ ぎ合 いの接線 は、情報 の限 界 に規定 されて くる。

本論文では、情報 の限界 については、情報革命 の時代 の幕 開けが は じまったばか りの ため、その枠組や広 が りを明確 な範 囲 として定義で きてい ない。

情報の限界 は、あ らゆる分野で不確実性 と揺 らぎをうみだ してお り、い ままでの線上 での フロンティアではない、複雑系 を含 めた新 しいパ ラダイムでの フロ ンテ ィアを論 じ る必要性がある と思 われる。

しか し、 ここでは、現在 の環境 で活用 され うる経営 ツールの範 囲での、 フロ ンテ ィア の追求 を してお きたい。

第五段階の フロンテ ィアを決める要因は、

第五段階 ‑ ・目的 :受配送状況 オ ンタイム把握 手段 :受配送者 と顧 客 ネ ッ トワーク

環境 :イ ンターネ ッ トによる情報革命 の兆 し (パ ラダイムが変 わる)

として見 ることがで きる。

第五段 階では、情報の ネ ッ トワークが イ ンターネ ッ トを中心 に、パ ソコンベ ースの コ ミュニケーシ ョンツールが一般化 しつつある環境 の もと、流通事業 の取 りうる戦略 は ど の様 な もの となるのであろうか。

フェデラル ・エ クスプ レスでは、受配送担当者 はモバ イルパ ソコンを所有 し、 自社 の 受配送セ ンター と繋が ってい る。顧客 はこのモバ イルパ ソコンとアクセス をす れば繋が るようになってお り、顧 客は 自宅のパ ソコンか ら発 送 を したい物 の引 き取 り依頼 を発信 し、何時 ごろ引 き取 りにこれ るか を確認 で きる。 また、運送中は物が何処 を移動 中であ るか、 自宅のパ ソコンで トレースで きる様 になってい る。

頻度 の高い顧 客 デー タや時間帯、物 の種類 は、全 てデー タベ ース として フォーキ ャス トと顧客サー ビス に活用 され、顧客 との連続 的物流 の把握 や、集 中す る時間帯 のサ ービ スをパ ー ト管理で処理、各 プロセスで従事す る従業員 と顧 客が、あたか も同一情報 を共 有 しているが如 くの システムを組み始 めてい る。

花王 においては、ある時期 における特異 な地域制 を持 った 自社 のみの競争優位 であっ

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た物流の情報 システムは、次の時代 では平準化 された当た り前 の業界特有 のインフラス トラクチ ャー となって しまい、差別化す るためには膨大 な継続投資 を余儀 な くされるは めに陥 る。地域拡大や販路拡大 を伴 わない、一社のみの商品の品揃 えだけによる流通独 占は、規模 の経済か ら言って も、維持費用が商品の価値 に見合 わな くなる。

花王の提供す る商品では、「時間」の生み出す経済効果 を差別化 として流通 プロセス に 膨大 な資金 を投 じて組み込 んでみて も投資回収 は見合 わない。セブン ・イ レブ ンで扱 わ れる食材である 「お に ぎり」の様 に、限 られたスペースに鮮度 の良い物 を時間帯 の需要 に合 った適量 を常 に供給 しておけば、差別化への投資 に見合 う、 と言 といった ものでは ないか らである。

花王 は自社 の流通 システムを、競合他社 の商品の流通 に使 わせ ることによって、 自社 の流通 コス トを低下 させ る手段 しか持 ち合 わせ な くなる。

物流 を専 門に している事業者が、グローバルな商品をバーチ ャルシ ョッピングで扱 え ることまで可能 とす る様 な物流 システムを組める時代 に、競合の参入障壁 を高 くするた め に自社のみの流通 を競争優位 として堅持するのは、小売店か らして も、エ ン ドユーザ ーか らして も、顧客満足度 を満た している もの とはな らない。

花王 は自社 で造 り上げた競争優位 を、競合や他社 に も使 わせ ることを模索 し始め、イ トー ヨーカ堂が 「花王」のシステムに乗 ることになっている。

「花王」の競 合 は、売れ筋等 のデー タベースが花王 に漏れ ることの懸念 と、 アメリカ ン航空の予約チケ ッ ト販売の情報 システムで とられた、情報の 自社優先扱 いの戦略 と同 様 、独 占禁止法 に触 れない範囲での流通独 占網 による花王の商品優先受注配送、値引 き 対抗、等が起 きる懸念 を表明 している。

6.第六段階 と第七段階 a)第六段階での フロンテ ィア

第六段階以降の物流 に関わるフロンテ ィアについては、物流経営 の最先端 を走 ってお り、かつ、すでにその分野で手 を付 け始めているフェデラル ・エクスプ レスの事業機会 への取 り組み を例 に、次 に示 してお く。

第六段階のフロンティアへの経営挑戦は、

第六段階 ・・・目的 :顧客の投資 コンサルティング/資産運用効率の提供 手段 :規模 の経済効果 と顧客の人材引 き受け

環境 :アウ トソーシング

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を経営方針 として打 ち出 し、チ ャレンジが始 まってい る。

第六段 階での事業環境 は、流通事業 の事業の拡大継続が グローバ ルな市場環境 におい で も事業のポテ ンシャルを充足 させ ていって しまうことによ り、「時間」の経済効果 の発 現 も減少 して くる。

フェデラル ・エ クスプ レス としては、情報 システムをノウハ ウと した流通 プロセスの 代行業務が、経営 の継続的拡大 に結 びつ くと見 てい る

顧 客の投資や資金運用 の よ り効率的 な活用 について、流通 プロセスやロジステ ィクス をフェデラル ・エ クスプ レス にアウ トソーシング させ ることを勧 め させ てい る。

このことによ り顧客 も優位性 を得、 フェデラル ・エ クス プ レス も経営 の継続的拡大 を 実現 出来 る と言 うのが、第六段階のシナ リオの様 である

この場合、顧客 の持つ ロジステ ィクス と流通 システム を人材 ごとフェデラル ・エ クス プ レスが引 き受 け吸収 し運用 してゆ くと言 う経営戦略が見込 まれ る。

この経営展 開によ り、物流 プロセスの ビジネスその ものが収穫逓減 に向か って成熟 し て しまうフロンテ ィアを乗 り越 えようとしてい る。

情報 システムのグローバルな優位性 を、一単位 ごとの顧客へ の時間の効率 を提供す る サー ビスや価値 の事業ではな く、顧客物流 プロセス全 てのアウ トソー シングの引 き受 け 業 を事業 として付加 で きる経営戦略の ツール として活用 しようと してい る。

このことは、結果 として 自社事業の情報 システムのネ ッ トワー クの単位 コス トを下 げ ることがで き、かつ、次世代 の物流 を担 うネ ッ トワークのプロセス ライ ンのパ イプを太 くさせス ピー ドを上 げ させ る為 の投資 を可能 にさせ ることになるはずである。

ネ ッ トワークが、 自社 の合理性 か ら生み出せ る領域 を越 え、顧 客 の持 つ ネ ッ トワーク も働 きかけの領域 に組み込 まれ、結果 と して事業視野の領域が、新 しく加 わった顧客 の ネ ッ トワークによ り変容 し、思い もよらない事業機会 を兄 いだす こ とになることが期待 される。

b)第七段階での フロンテ ィア

第六段 階で、物流 のアウ トソーシングの引受先 と して位置付 け られた事業 は、顧客の 持つ物流 プロセスのネ ッ トワークの抱 え込 み とな り、経営 的 に次世代 の フロ ンテ ィアを 想定 し、その 目的や手段 に経営資源 の集中投資 を行 い、その為 のマ ネジメン トの質の向 上 をはか らない と、抱 え込 みのネ ッ トワークが経営損失 を発生 させ、破綻 におい こまれ る。

(20)

花王が販社制度で優位性 をほ しい ままに したかに見 えた時、個 々の販社 のマーケテイ ング能力の不足 と物流管理の未熟 さの為、流通在庫 を大量 に持 って しまい苦戦 に追い込 まれた と同様 なことが起 きて しまう。

第七段階への フロンティアの想定 は、

第七段階 ・‑ 目的 :顧客が価値 を生 む商品の提供 手段 :バ リュー ・ポジシ ョンの発現 環境 :オープン ・システムでの共生 が洞察 しうる仮説 として上げ られる。

第七段階では、第六段階で新 たに加わったネ ッ トワークを含 め、 自社 ネ ッ トワーク情 報 システムの活用 による、顧客の価値創造 を生み出すために自社 のマネジメン トノウハ ウの提供や、 日本の商社が過去 に日本の中小企業の製造業の輸 出やマーケテイングを代 行 し、そ して現地生産への支援 をお こなって きた と同様、 自社 の ビジネスプロセスのマ ネジメン トツールが生み出す全 てのバ リュー ・ポジシ ョンを顧客 に提供 し、 ともにその バ リュー ・ポジシ ョンを共有す ることによって、顧客の事業成長が、即、 自社の事業の 継続的拡大 と成長 に結 びついてゆ くような、収穫逓増 を際限な く継続 させ る経営戦略が 想定 される。

物流事業か ら始 まった経営が、あたか も買収 によ り多角化 を果 た した企業の ような様 相 を呈することにな りそうである。

しか し、ここで述べ ている想定が、今 までの企業買収 による多角化 と基本的に異 なる 点 は、 自社 に無いバ リュー ・ポジシ ョンを得 る為であるとか、事業 シナジーが引 き出 さ れる為であるとか、 によってなされる多角化ではない ことである。

自社 内に構築 されたネ ッ トワーク上 にあるバ リュー ・ポジシ ョンに、個 々の異 なった 企業や事業が相乗 りして経営 され ることによ り、顧客 も自社 もよりバ リューを上げるこ

とが出来 ると言 うシナ リオである。

この様 なことが可能 となるため には、インフラス トラクチ ャー としての情報のネッ ト ワークが、最小単位 までオープンに共有可能 となる様 なシステムが構築 されていなけれ ば実現 しないであろう。

フロンティアをクローズ ドシステムで見 るか、オープンシステムで見 るかで、 この第 七段階の想定 は大 きく変わるであろう。

また、その見方 によって、視野の限界 も異 なるであろうし、合理性 や働 きかけの限界 も異 なるであろ う。

(21)

特 に、時間の経済効果 を規定す る物理的 な時間の限界 と、情報 の伝搬 や共鳴 による時 間の限界 とは、全 く異 なる次元 の環境 を洞察 しなければな らな くなるであろ う。

時間の限界 と同様 、情報 の限界 は、物理的ネ ッ トワークに規定 され る限界 と、共生が な され る様 な環境 での相互が創発 を して暗黙知 か ら形 式知 の創 出が な され る限界 とで は、全 く異 なる想定 を しなければな らないであろ う。

さいごに

流通 プロセスの物流部分で、顧 客満足度 、時間が生み出す価値 、情報入手 と価値 の創 出、が競合他社 よ り秀でてい る と思 われ る企業 の中か ら、 フェデ ラル ・エ クス プ レス、

花王、セブ ン ・イ レブンを選び、各企業 の事業 フロンテ ィアを、その発展段階 を事業が 取 りま く環境 の背景 を見 なが ら論 じてみた。

どの企業 において も、本論文で考察 した様 に、流通 の発展段 階か らみた第一段 階か ら 第三段 階 まででは、事業がおかれたそれぞれの環境 の中で、経営 はクローズ ドシステム の枠 の中で規模 の経済 を最大 限発揮 させ、事業成長や競争優位 を手 にす るこ とが な され ていた。

第三段 階の最終局面 では、事業 のおかれた経営環境 は、 イ ンフラス トラクチ ャー とし ての クローズ ドシステムの成熟 した環境 として考 えておか なければな らず、 そ こでは、

「時間」 の経済がその有効性 をフルに発揮 していた と言 える

第四段階では、自由経済圏での経営 は国際化 に向か って行 ったが、多 くの事業経営 は、

この段階で、経営環境 をオープ ンシステム と して捉 えた戦略 を取 り始 めてい る

国 と国 との経済バ ラ ンスや資本流 出による自国内の雇用 の機会減少 に関わる諸問題や その影響 な どは、 ここで取 り上 げた企業のみ な らず どんな企業で も、オープ ンシステム のフロ ンテ ィアに突入 した とたん、個 々の企業 にとっては関係 な くなって しまい、その 活動 はイ ンターナシ ョナルであった り、マ ルチナシ ョナルであった り、 グローバルであ った りす ることになる。

この オープ ンシス テム も「情報」のボー ダ レス、 シーム レス、同時性 、共有性 の環境 が インフラス トラクチ ャーに組み込 まれた もの と して整備 されてい ない と、特定業種や 特定地域 内で起 きるクローズ システムその もの と、 なん ら変 わ らない ことになって しま

う。

その様 なクローズ ドシス テムの中で は、特異 な分野 のみ に有効性 を発揮 す る 「情 報」

の優位性 だけに終 わって しまい、経営 の継続的拡大 はな されない ことがわか る。

(22)

この様 に見 て くると、流通 の事業あるいはそのプロセス を競争優位 とす るビジネスで は、経営 として事業の生業 は、第五段階を境 に大 きく変化することが考 えられる。

「時間」の経済や、「情報」の経済が、再度、「規模」による経済効果 を生み出す ことが あるようである。複雑系で見 てみる様 な経済で現れる収穫逓増の様 なパ ター ンが、 この 第五段階で出現する可能性 を感 じる。

フェデラル ・エクスプレスにおける将来の可能性 を見 てみ ることは、第六段階 と第七 段階で述べ てあるように、「情報」のインフラス トラクチ ャーが どの様 にグローバルベー スで整備 され、発展拡大 してゆ くかで、その経営戦略の実現性 を見極 めることが出来そ うである。

花王 は物流 の優位性 を一旦保持 したが、その展 開をグローバル ・ス タンダー ドの波 の なかで、 これ以上展 開出来 な くな りつつあ りそ うで、メーカーである原点 に戻 る可能性 を感 じる。

セブ ン ・イ レブンは、 フェデラル ・エ クスプレスが模索 している経営戦略の一部、例 えば銀行 と同様 な機能 を持つ24時間の振 り込み事業 を、すでにネッ トワーク化 している。

流通の軸である物流のプロセスか ら、事業経営 のフロンテ ィアについて 「花王」の研 究か ら得 られた成果 を基 に、段階的な観点か らフロンティアの持つ課題 に迫 ってみた

しか し、今 日、現在、 この時点での経営課題 を解決 しなが ら、次世代‑の経営発展 と 経営継続 を果 たさねばならない と言 う、二兎 を同時 に追 うことを要求 される経営の立場 か らは、その フロンテ ィアが待 ち構 える領域や境界では、 フロンティアを如何 に した ら マネジメン トしうるか と言 う学問的な整理は、かならず Lもきれい に出来 る ものでは無 い ことが本論文の課題 として残 って しまった。

この ことについては、事業の フロンティアがオープン ・システムにある場合 とクロー ズ ド ・システムにある場合、 また、その領域 と境界 の接線 にネ ッ トワーク外部性が働 い てい る場合、 あるい は、競争優位 の ダイヤモ ン ドの クラス ター レベ ルが異 なる場合 、 等 々か ら見直す必要があ り、今後 の研究の課題 としてお きたい。

以上

(23)

‑参考資料‑

1)花王 :常盤社長講演 於 :幕張 メ ッセ国際会議場 1997年6月12日 2)(樵)花王 「花王百年史」原稿 1994年

3)FEDEX :H.E.ハ リッ ト/マ ネジメ ン ト ・デ ィレクター講演 於 :東京 ビックサ イ ト 1997年7月16日

4)http:〟www・FEDEX・com・

5)川辺信雄 「セブ ン ・イ レブ ンの経営史」 有斐 閣 1994年 6) P ・クルーグマ ン 「ACountryisNotACompanyJ

1996年 HarvardCollege

7)中田信哉 「物流戦略の実際」 日本経済新 聞社 1992年 8)矢作敏行 「現代 流通」 有斐 閣アルマ 1996年

9)今井賢一 ・金子郁容 「ネ ッ トワーク組織論」 岩波書店 1988年 10)野中郁次郎 ・竹内弘高 「知的創造企業

東洋経済新報社 1996午 ll)喰代 栄一 「なぜ それは起 こるのか

サ ンマーク出版 1996年 12)P.F.ドラ ッカー 「新 しい現実」 ダイヤモ ン ド社 1989年 13)「国際経営 フォーラム」 (共生 のマ ネジメ ン ト) No.8/1996

神奈川大学経営学部 ・国際経営研究所

14)畑 中邦道 神奈川大学国際経営学研究科修士論文 1995年3月 (後注)

Ⅰ)本論文で用 い られる 「競争優位」 はM.E.ポー ター著 「競争優位 の戦略」(1985 年 ダイヤモ ン ド社刊)で述べ られてい る、規模 の経済 を基盤 と した経営戦略 か ら 出て くる競 争優位 で あ る 「コス ト優位

「差 別化 優位

「フ ォー カス」 や、 同著

「戦略 の本質

(1997年2・3月号ハ ーバ ー ド ・ビシネス)で述べ てい る 「価値連 鎖」 か ら 「独 自性 のあ る価値 を生 むポ ジ シ ョンの創 造」 へ の フロ ンテ ィアでの

「競争優位」 の使 い方が主 であ るが、一部 「時 間」 や 「情 報」 の 「優位性」 を新 しい 「競争優位」 の発現要因 と して設定 、定義 してお く。

Ⅱ)「コア ・コンピタンス」 はG・ハ メル著 「コア ・コンピタンス経営」(1995年 日本

(24)

経済新聞社刊) よ り引用 してある。 ただ し、本論文での使用 では、同氏が1997919日東京 ビックサ イ ト国際会議場 にて講演時定義 し直 した、Hindsightであっ た 「コア ・コンピタンス」 はForesightに置 き換 えて戦略 を くむべ きである、 とし た主 旨に、ほぼ近い使 い方 を している。

例 えば、Accuracyの概念 はvalue、Controlの概念 はEnporment、Periodicの概念 はcontenious、PhisicaLassetの概念 はKnowledgeassetに、 と言 ったパ ラダイムの 変化 を含 んだ概念 となっている。

Ⅲ )本論文での 「顧客満足度」 (C S‑カス トマ一 ・サティス フアクシ ョン)の概念 は、

米国で経営品質優秀賞 として表彰 されるマル コム ・ボル ドリッジ賞の審査項 目に ある評価基準 としてのCSの概念 に立 ってお り、 日本科学技術連盟が提唱 したT Q Cの基本概念 を一部継承 してい る、社会経済生産性本部編 「日本経営 品質賞」

(19963月生産性 出版刊)で定義 しているCSとは部分 的 に異 なる。サ プライ サ イ ドが、 よ りユ ーザーサ イ ドと情報共有 された環境でのCSを主 に概念 の基盤

としている。

Ⅳ )本論文の論 旨の基本 となっている 「時間が生み出す価値」 の経営概念 は、その指 標化可能な初期 的段階においては、∫.ス トークJr著 「タイムベース競争戦略」

(1989年 ダイヤモ ン ド社刊)で述べ てい るPiriodicalspanを基準 とした効率 を主 体 の概念 によ り論 旨を展 開 している。 また、それ以降 に出て くる次期 的段 階 にお いて 「情報 の共有」が な され る環境 では 「時間が生み出す価値」 の経営概念 は、

ジ ョン・L・キヤステ イ著 「複雑系 とパ ラ ドックス」(1996年 白楊社刊)やM ・ ミッチェル ・ワール ドロ ツプ著 「複雑系」(1996年新潮社刊)や ダイヤモ ン ド ・ ハ ーバ ー ド ・ビジネス編 「複雑系 の経済学」(1997年 ダイヤモ ン ド社刊)等で提 唱 されてい る収穫逓増 のパ ラダイムをビジネスプロセスに付加 した概念 として採 用 し論 旨を展 開 してある。

Ⅴ )本論文で述べ るフロンテ ィア とは、事業が発展 してゆ く各 々の段階で、事業定義 が なされる範 囲 (事業 ドメインと言い換 えて もよいが) を包括 しているクローズ ド ・システム と、次 の段階‑事業が発展 しようとす る時 に遭遇す るオープ ン ・シ ステム、 とを仕切 ってい る最前線か ら先 の未知 の世界 を指 している。一般 的に事

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業が フロ ンテ ィアを目指 して進 む場面 では、何 を乗 り越 えなければな らないのか、

どんな戦略 をとらなければな らないのか、そ してその 新 しい場の ビジネス を支配 す るルールはなんであるか、がテーマ になる。

P.F.ドラ ッカーは 「マ ネジ メ ン ト ・フロンテ ィア」(1986年 ダイヤモ ン ド 社刊) で新 しい経 済環境の変貌 を捉 え、マ ネジメン トの フロ ンテ ィア は どうあ る べ きか を説いて いる。 また、M.E.ポータ ーは 「戦略の 本質」(1997年2・3

月号ハーバー ド ・ビジネス)で 「生産性 の フロ ンテ ィア」 の概念 を提 唱 している。

情 報 革命 の 時 代 を迎 え て は、D.タブ ス コ ッ トは 「デ ジ タル ・エ コ ノ ミー」

(1996年野村 総合研究 所刊)の中で デジタル社会の フ ロンテ ィ アについて 述べ て いる。

Ⅵ )戦略的 ロジステ ィクスにつ いて、 湾岸戦 争 を舞台 に した軍の ロジステ ィ クス と、

それ を民 間部 門に置 き換 えた 時のロジステ ィクス について、当時 、現役陸畢 中将 であった、W.G.パ ゴニスは 「山動 く」(1992年同文書 院 刊)の中で (p310‑

p316)、軍の ロジス ティクス については、 戦争 につ き ものの敵 の行動 に伴 う不確 実性 に対処 で きる意図的な仕 組み、 を上 げ、 民 間部 門で は動機付 けを強調 してい る。 どち らも、後方支援 に おける、輸送、補給 、貯蔵、整備 、 調達 、契約、作業 の 自動化 を単一機能化 に統合 し、そのいか な る分野 において も最適状態 に及 ばな い ことが ない ように図 って個 々の戦略、 目的 、使命 の全般 的 な達成 を可能 とす る もの 、 と定義 している。本論文 では、W .G.パ ゴニ スが上 げ た各要因 に加 え 、 それ らの ビジネスプロセス を情報 システムによ って、 ネ ッ トワー ク上で最適状態 へのマ ネジメ ン トを可能 な らしめる仕組み を も含 めている。

Ⅶ ) ここに上げている戦略的情報 システム (Stra厄giclnfcrTTlationSystem)は、 C.ワ イズマ ンが 「戦略的 情報 シス テム」(1989年 ダイ ヤモ ン ド社刊)の著書 で述べ て いる (p138‑p144)、A.チ ャン ドラーの 組織 の成 長 に関す る研究や、M.ポ ーターの コス ト ・差別化 ・フ ォーカス とい った競争分析 を、情報技術 を もちいた 戦略的パ ースペ クテ ィブ によって 支 える概 念 であ り理論 であ る、 とす る立場 を、

情報 システムの初期段 階 であった その時代 の背景か ら取 り上 げてい る。 しか し、

インターネ ッ トの出現 とその 商業的活用 の可能 な時代 に入 ってか らの戦略的な情 報 システム は、戦略的パ ー スペ クテ ィブでは な く、 イ ンフラス トラクチ ャー と し

(26)

ての構造 のなかでの競争優位 を生み出 してい る ビジネス プロセスへ、 よ り優位性 を増す ため に導入 してい る情報 システム として捉 えてお く。

Ⅷ )本論文 に用 い られているオープ ンシステム とは、経済主体 は資源制約が課せ られ てい る状態 にある系 を指 してい る

Ⅸ ) クローズ ドシス テム とは、 オープ ンシステムの脚注で述べ てい る と反対 で資源制 約が課せ られてい ない系 を指 している。P.クルーグマ ンは 「ACountrylsNotA company」 (1996年1‑2月号 ハ ーバ ー ド ・ビジネス ・レビュー : 「複雑系 の経 済学」1997年 ダイヤモ ン ド社刊 ) の著述 の なかで (p167‑p168)、 オー プ ンシ ステムで はポジテ ィブ ・フィー ドバ ックを受 けやす く、 クローズ ドシステムで は ネガテ ィブ ・フィー ドバ ックを受 けやすい、 と してい る。 また、そ もそ も、 フィ ー ドバ ック とは、ある (経済)主体 の行動 に対す る、他 の (経 済)主体 か らの反 応 に よる "跳 ね返 え り" を意味 してお り跳 ね返 りが ポ ジテ ィブ (正) であれ ば、

両者 の関係 は補完 的あるいは共働 的であ り、 ネガテ ィブ (負)であれば、代 替 的 あ るいは競合 的である、 と してい る。本論文 で もクローズ ドシス テム とオープン システムにお けるフロ ンテ ィアのマ ネジメ ン トを扱 うことか ら、P.クルーグマ ンが述べ てい る様 に複雑系 を考慮 に入れた範晴 で定義 してお く。

Ⅹ ) この論文 では、企業経営 による利益 の最大化へ の決定 は、塩沢 由典が 「複雑 さの 帰結」(1997年NTT出版刊)で述べ てい る様 に (p32‑p37)、複雑す ぎてパ ラ メー ターが多す ぎるが、人間個 人の能力 は様 々な意味で限 られてい る と同様 、三 つの限界 (視野の限界、合理性 の限界、働 きかけの限界) によって制約 をうける、

と大 きな枠 で くくって しまう考 え方 を、 ここでは同様 に採 っている。

刀 )M.E.ポー ター著 「競争優位 の戦略」(1985年 ダイヤモ ン ド社刊 p137‑

p140)

参照

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