保 健 ・医 療 協 同 組 合 論 ノ ー ト そ の2
一 保 健 ・医療 ・福 祉 領 域 の協 同組 合 の役 割 に 関 す る 国連 の認 識 と社 会 ケ ア協 同組 合 の実 例 と して の
トリエ ス テ精 神 障 害者 社 会 復 帰 協 同組 合群 一
日 野 秀 逸
1本 稿 の 課 題
筆 者 は,「保 健 ・医療協 同組 合論 ノー トー その1」1)にお いて,1994年 段 階 まで の 国 際 的 動 向 を 跡 づ けた。 本 稿 で は,第1に,保 健 ・医療協 同組 合 の 国際 的 結 集 が 飛 躍 的 に前進 した1995年 の2つ の 国 際会 議 につ いて論 ず る。 第2に,国 連 が 保 健 ・医 療 に密 接 に関 連 す る領域 と して強 調 す る社 会 ケ ア協 同組 合 にっ いて 論 ず る。 そ の際 に,具体 的 な事例 と して,イ タ リアの トリエ ス テ にお いて 活 動 して い る精 神 障 害 者 社 会 復 帰 協 同 組 合群 を と りあ げ る。
2っ の課 題 は いず れ も,保健 ・医 療 協 同組 合 が従 来 に増 して,貧 困 との戦 い や社 会 開 発 に と って有 効,重 要 な存在 で あ り,かっ社会 ケ ア領域 で も協 同組 合 が な しう
る こ とは大 き い とい う論 点 に集 約 され る。
2国 連 世 界 社 会 開 発 サ ミ ッ トとCOPAC国 際 会 議i
(1)世 界 社 会 開 発 サ ミ ッ トとNGOフ ォ ー ラ ム に つ い て
1995年3月6日 か ら12日 ま で,デ ンマ ー クの コ ペ ンハ ー ゲ ン市 の べ ラ ・セ ン タ ー で,118力 国 の 首 脳 が 参 加 して 第1回 国 連 世 界 社 会 開 発 サ ミ ッ トが 開 催 さ れ た 。 正 確 に は,3月11日 と12日 に 社 会 開 発 サ ミ ッ トが 開 か れ,そ の 準 備 と して3月6日 か ら 10日 ま で 同 じ会 場 で 政 府 間 高 級 レベ ル 会 議 が 行 わ れ た 。 さ ら に,6Eiか ら12日 ま で,社 会 開 発 サ ミ ッ トと並 行 して,コ ペ ンハ ー ゲ ン市 内 の ホ ル メ ン海 軍 基 地 でNGO
フ ォ ー ラ ム が 開 か れ た 。 筆 者 は,日 本 生 活 協 同 組 合 連 合 会 医 療 部 会 の 代 表 団 の 助
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人 文 学 報No.272(社 会 福 祉 学12)1996,3言 者 と して,NGOフ ォ ー ラ ム に参 加 した 。 この フ ォー ラ ム に は,世 界 中 か ら2400余 りのNGOか ら約1万 が 参 加 した 。 こ こで は,社 会 開 発 サ ミ ッ ト・NGOフ ォー ラ ム の 概 要 を 紹 介 し,特 に社 会 開 発 に お け る協 同 組 合 の 役 割 を テ ー マ と した 独 自 の 会 議 で あ るCOPAC公 開 フ ォ ー ラ ム につ い て 述 べ る2}。
a社 会 開発 サ ミ ッ トの 意 義 と背 景3)
社 会開 発 サ ミッ トの意 義 と背景 につ いて は,す で に各 紙 で多 くの論評 や 報道 が な され て きた。 これ らに共 通 して いる論 調 の1つ は,日本政 府 の取 り組みが 弱 い と い うこ とで あ った 。例 え ば 『朝 日新 聞 』(1995年1月9日)は,「 国連 が主 催 して 三 月 に コペ ンハ ー ゲ ンで 開 く初 の 『社 会 開 発 サ ミッ ト』 に 向 け,政 府 は九 日,全 省庁 で構 成 す る 『社 会 開 発 サ ミ ッ ト関係 省庁 連 絡会 議 』 を設 置,第 一回 会合 を開 く。貧 困 や雇 用,人 権 な ど重 要 な テ ーマ を扱 うに もか か わ らず,い ま ひ とっ 知 名 度 に欠 けて い る同 サ ミッ トを,政 府 全体 で 支援,世 論 を もりあ げて い く方 針 だ」 と 報 じて い る。3月6日 か ら始 ま るに して は,政 府 の取 り組 み は非 常 に遅 い と言 わ ざ るを え な い。 ま た,『 日本 経 済 新 聞 』(1995年1月11日)で は,「 欧 州 や途 上 国 の 首 脳 の出席 が 予 定 さ れて い るなか で,日 本 は首 席 代表 も決 ま って い ない状 態 。 こ れ まで の二 回 の 準 備 会 合 で も日本 と して の積 極 的 な発 言 は なか った とい う」 と 評 され て い る。
わ が国 で は,1994年7月 に,各 種 協 同組合 やNGOや 市民 団 体 や労働 団 体 な どが 「国 連社 会 開発 サ ミッ トNGOフ ォー ラ ム 日本 準 備会 」(1995年 に社 会 発 展NGOフ ォー ラ ム と改称 し,4月22日 に第1号 ニ ュース を発 行 した)を 発 足 させ て,実 務 的準備 や, 日本 政 府 へ の働 きか けや,独 自の報 告 書 の作 成 な どを 行 った 。
さて,国 連 世界 社 会 開発 サ ミッ トの意 義 と背景 で あ るが,主 催者 で あ る国連 の ブ トロスeガ リ事 務総 長 が社 会 開 発 サ ミッ トに寄 せ た メ ッセ ー ジ と,世 界 社会 開 発 サ ミッ トの宣 言 に基 づ いて示 す ことにす る。 彼 は,「国 連 主催 に よ る このサ ミッ ト は人類 の歴 史上,世 界 の指導 者 が 会 す る もの と して は最大 級 の もの とな るで あろ
う。世 界 社 会 開発 サ ミッ トは開 発の ため の,開 発 に関す る会 議 で あ る。 サ ミッ ト は失 業,貧 困,社 会 的崩 壊 と い う,開 発 の3つ の緊 急 な地 球 的規 模 の 問題 に対 して 大 きな 関心 を 向 け させ る ことに な るで あ ろ う」(ブ トロス ーガ リ1995a,p.1)。
これ は,社 会 開 発 サ ミ ッ トの 意 義 を 端 的 に 示 して い る。
社 会 開 発 サ ミ ッ トに 至 る ま で の 経 過 に つ い て は,次 の よ う に述 べ て い る。 「世 界 社 会 開 発 サ ミ ッ トは,国 連 を 通 じた,開 発 に 関 す る一 連 の 会 議 に お い て 重 要 な か な め と な る で あ ろ う。 これ らの 会 議 に お いて は世 界 中 の 人 々 が 集 ま り,地 球 的 変 化 に っ いて 論 議 して き た 」(ブ トロス=ガ リ1995a,p.1)。 こ こ で 言 わ れ て い る0連 の 会 議 に は,社 会 開 発 サ ミ ッ ト以 後 に開 催 が 予 定 され て い る もの を 含 め て, 次 の よ うな もの が 含 ま れ る。
世 界 こ ど もサ ミ ッ ト(ニ ュ ー ヨ ー ク,1990年) 国 連 環 境 開 発 会 議(リ オ デ ジ ャネ イ ロ,1992年) 世 界 人 権 宣 言(ウ ィ ー ン,1993年)
小 島 喚 国 の 持 続 可 能 な 開 発 に 関 す る国 連 会 議(バ ル バ ドス,1994年4月) 国 連 防 災 会 議(横 浜,1994年5月)
国 際 人 口 会 議(カ イ ロ,1994年9月) 世 界 女 性 会 議(北 京,1995年9月)
国 連 人 間 居 住 会 議(イ ス タ ンブ ー ル,1996年)
ブ トロ ス=ガ リ氏 は,こ れ らの 会 議 を 総 合 す る と い う意 義 を社 会 開 発 サ ミ ッ ト に 与 え て い る 。 「国 連 創 設50周 年 の 今 年 開 催 され る世 界 社 会 開 発 サ ミ ッ トは,国 際 的 な 開 発 努 力 を 一 貫 した 行 動 ネ ッ トワ ー クへ と組 み 込 む た め の ユ ニ ー ク な 機 会 を 提 供 す るで あ ろ う。 そ れ は 開 発 に 関 す る地 球 的 対 話 を 深 め る機 会 で あ る」(ブ トロ ス=ガ リ1995a,p.2)。 最 後 に,彼 は,社 会 開 発 サ ミ ッ トが 単 に 意 見 交 換 に終 わ る の で は な く,行 動 を 強 調 して い る 。 す な わ ち,「 こ の サ ミ ッ トは 地 球 の 関 心 を 開 発 の 社 会 的 側 面 に 当 て る こ とが で き る。 ま た,行 動 の た め の 枠 組 み を つ く り, 目標 を 設 定 し,そ の 目標 に 対 す る公 約 を 手 に入 れ る こ とが で き る。 そ して サ ミ ッ
トを 今 後 の 実 質 的 な 進 展 を は か る た め の 基 点 とす る こ とが で き る」(ブ トロス=
ガ リ1995a,p.3)の で あ る 。
「国 連 世 界 社 会 開 発 サ ミ ッ ト 宣 言 ・行 動 計 画 」4)の第1部 「宣 言 」 は,29項 か ら
構 成 さ れ,1か ら12が 総 論 的 部 分,13か ら24ま で が 「A.現在 の 社 会 状 況 と本 サ ミ ッ
ト開 催 理 由 」 で あ り,25か ら29ま で が 「原 則 と 目標 」 で あ り,特 に29項 は 前 記 の
行 動 の 基 本 を 示 した10の 「公 約 」 部 分 で あ る。 こ の 第1項 に よ っ て,社 会 開 発 サ
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人 文 学 報Na272(社 会 福 祉 学12)1996,3ミッ トの意 義 を再確 認 して,次 に進 み た い。 「1国 連 の招請 に よ り,史 上初 めて世 界 各 国 の国 家元 首 お よび政 府首 脳 は,社 会 開発 お よび人類 の幸 福 の意義 を認識 し, 現 在 よ り21世 紀 に向 け て,そ の 目的 達 成 を 最 優 先 させ るた め に集 合 して い る」
(UnitedNations1995a,p,1)。 要 す る に,政 治的 サ ミッ トと経 済 的サ ミッ トが, 少 数 の大 国 のみ の参 加 に よ って 開か れ て きたの に対 し,今 回 は多数 の国 々の参 加 に よ って初 めて 社会 開 発 を 目的 とす るサ ミッ トが 開 か れ たの で あ る。 しか も,国 家 代 表 の み な らず,非 政府 組織 を通 じて,市 民 レベ ル の参 加 を伴 ったの が社 会 開 発 サ ミ ッ トの 特徴 で あ った。
b「 宣 言 」 と 「公 約 」 に っ い て 一 健 康 問 題 と協 同 組 合 の 重 視
サ ミ ッ ト開 催 の 趣 旨 と 目標 と社 会 開 発 の た め の 課 題 を 示 した 「 宣 言 」 と 「 公 約 」 に は,保 健 ・医 療 問 題 と協 同 組 合 に 直 接 か か わ る記 述 が 数 多 く盛 り込 ま れ て
い る。
「A.現在 の 社 会 状 況 と本 サ ミ ッ ト開 催 理 由 」
こ の 部 分 の 集 約 的 表 現 は,第13項 に 出 て い る。 そ れ は 貧 富 差 の 拡 大 が 放 置 で き な い状 態 に達 した と い う認 識 で あ る。 「世 界 各 国 で,繁 栄 が 一 部 の 人 々 に しか 享 受 さ れ て お らず,同 時 に不 幸 な こ と に は,残 りの 人 々 の 間 に 言 語 に絶 す る貧 困 が 拡 大 して い る こ とを わ れ わ れ は 目の 当 た り に して い る。 この 紛 れ もな い矛 盾 は 容 認 で き ず,緊 急 行 動 に よ り是 正 さ れ な け れ ば な らな い」(UnitedNations1995a,
P・2)o
第15項 で は,若 干 の 分 野 で の 前 進 を 示 して い るが,保 健 ・医 療 分 野 で の 前 進 に も言 及 して い る 。 「b平 均 余 命,識 字 ・初 等 教 育 お よ び 家 族 計 画 を 含 む 基 本 的 な遅 健 ・医 療 サ ー ビス(basichealthcare,準 備 会 訳 で は 基 本 的 な 健 康 管 理)へ の ア ク セ ス が 大 半 の 国 々 で 改 善 して きて お り,平 均UlnfantA量 は 酬 死 亡 率 は 途 上 国 を 含 め 減 少 し て き て い る 」(UnitedNations1995a,P.3)。 こ の 前 進 の 少 な か らぬ 部 分 が,1978年 の ア ル マ ・ア タ宣 言 以 来 の プ ラ イ マ リ ィ ・ケ ア 戦 略 の 実 践 に 由 来 して い る の で あ ろ う。
しか し,多 くの 困 難 が 増 大 して い る。 第16項 は 「しか し,あ ま りに も多 くの 人 々,
特 に女 性 や 子 供 が ス トレス に や 欠 乏 状 況 に お か れ や す い こ とを 認 識 す る。 貧 困 ・
失 業 ・社 会 的 崩 壊 の 結 果,孤 立 化,社 会 か ら取 り残 され る こ と,お よ び 暴 力 の 発 生 が 頻 繁 に み られ る。 多 くの 人 々,と りわ け社 会 的 弱 者 が 直 面 す る 将 来 に つ い て の 不 安 定 は,彼 らの み な らず そ の 子 供 た ち に っ い て も増 して い る」(UnitedNations
1995a,p.3)と 記 して い る 。 女 性 と障 害 者 に っ い て は,特 別 に 注 意 を 促 して い る。 そ れ は,「b世 界 で は10億 人 余 が 赤 貧 の 状 態 に あ り,そ の ほ とん どが 日々 飢 餓 状 態 に あ る 。 ま た,多 くの 人 々(そ の 大 半 は 女 性 で あ るが)は,所 得,資 源,教 育,保 健 ・医 療 サ ー ビ ス(healthcare,準 備 会 訳 は 健 康 管 理)な い しは 栄 養 を 得
る手 段 が 非 常 に 限 られ て お り,こ れ は 特 に ア フ リカ 諸 国 や 後 発 開 発 途 上 国 に い え る」(UnitedNations1995a,p.3)や,rg女 性 は,貧 困,社 会 の 崩 壊,失 業,環 境 悪 化,戦 争 の 影 響 に 対 処 す る うえ で 過 度 の 負 担 を 負 わ され て い る」(UnitedNations
1995a,p.3)や,「h世 界 最 大 の マ イ ノ リテ ィ集 団 の0っ は,10人 に1人 余 の 割 合 で 存 在 す る 障 害 者 で,貧 困 ・失 業 ・社 会 的 孤 立 を 余 儀 な く さ れ て い る こ とが 多 す ぎ る 。 あ ら ゆ る国 で 老 齢 者 は 特 に社 会 的 に排 除 さ れ,貧 困 に 陥 りや す く,社会 か ら取 り残 され や す い」(UnitedNations1995a,p.3)と い う記 述 に 示 され て い る 。
第20項 は,「 家 族 や 社 会 に社 会 的 な 苦 痛 や 不 安 を も た らす,主 要 な 元 凶 」 あ る い は 「条 件 」 を 特 定 し,そ の 排 除 を 呼 び か け て い る。 「これ ら の 条 件 とは,慢 性 的 飢 餓 栄 養 不 良,不 法 薬 物 問 題,組 織 的 犯 罪,腐 敗,外 国 に よ る 占 領,武 力 紛 争,非 合 法 な 武 器 取 引,テ ロ活 動,人 種 ・民 族 ・宗 教 ま た は そ の 他 の 憎 しみ を 理 由 とす る 不 寛 容 と扇 動,外 国 人 排 斥,購(endemic,準 備 会 訳 は 疫 病),伝 染 病 と 慢 性 疾 患 な ど で あ る」(UnitedNations1995a,p.4)。 第22項 は伝 染 病 を 挙 げ て い る。 「伝 染 病 は,あ らゆ る国 の 深 刻 な 保 健 問 題 の 一 っ で,世 界 で 主 要 な 死 因 の 一 つ に数 え られ,多 くの 場 合,そ の 発 生 率 は 増 加 して い る。 こ れ らの 疾 患 は 社 会 開 発 を 阻 害 し,貧 困 と社 会 的 排 除 の 原 因 に な る こ とが 往 々 に して あ る。 結 核 や マ ラ リ ア か らHIV/エ イ ズ に 至 る ま で,そ の 予 防,治 療 お よ び 抑 制 を 最 優 先 し な け れ ば な ら な い 」(UnitedNations1995a,p.4)。
「B.原則 と 目 標 」
第25項 か ら第27項 は,よ り具 体 的 な 「公 約 」 や 「 行 動 計 画 」 を 設 定 し実 施 す る
上 で の,基 本 的 立 場 や 戦 略 を や や 抽 象 的 に述 べ て い る。 この 部 分 で 確 認 し た い の
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人 文 学 報Na272(社 会 福 祉 学12)1996.3は,第25項 の政 府 首 脳 の責 任 と第27項 の国 家 の責 任 で あ る。 第25項 で は,「 国家 元首 お よ び政 府 首脳 は,社 会 開 発 の政 治 ・経 済 ・倫 理 ・精 神 の展 望 を実 現 す る こ
とを 公約 す る。 そ れ は,人 間 の尊 厳 人 権,尊 敬 の念,平 和,民 主主 義,相 互 の責 任 と協 力,多 様 な宗 教 的,倫 理 的 価 値観 お よび文 化 的 背 景 を あます と ころ な く尊 重 す る こ とに基 づ いた もの で あ る。 したが って,国 家,地 域 お よ び国 際 的 政策 ・行 動 にお いて,あ らゆ る人 々の完 全 な参 加 に よ る社 会進 歩,正 義 お よ び人 間 が 置か れ て い る状 態 の改善 の推 進 を最 優先 させ る」(UnitedNations1995a,P・4)と 述 べ,国 連 政 府 社 会 開 発 サ ミッ トの公 約 が,国 家元 首 ・政 府 首脳 の名 にお いて 世界 に公 表 され た もの で あ る ことを 明 示 して い る。 第27項 は,「 これ らの 目標 を達成 す る第一 義 的 責 任 は国 家 が負 うこ とに同意 す る。 同時 に,国 家 だ けで は達 成 で き
な い こ と も認 め る。一 われ わ れ はす べ て の人 々 に対 し,自 らの活 動 領域 で の具 体 的 な行 動 を通 じ,そ して 市 民 と して特 定 の責 任 を 引 き受 け る こ とで,人 間 が置
か れ て い る状 態 の 向上 に個 人 的 に関 与 す るよ う呼 びか け る」(UnitedNations 1995a,p.6)と 述 べ,第0義 的責 任 が 国 家 に あ る こ とを確 認 し,さ らに 「国 際責 任,国 連,多 国 籍 金 融 機 関,あ らゆ る地 域 機 関 ・地方 公 共 団体,そ して市 民社 会 の す べ て の構 成 員 」 に それ ぞ れの 活 動 領 域 で の行 動 を呼 びか け て い る。
「C.公約 」
「各 公 約 」 は,ま ず 課題 を示 し,そ の ため の国 内 レベ ルで なすべ き措 置 を 示 し, 次 いで 国 際 レベ ル で 取 るべ き措 置 を 示 す とい うス タイ ル で あ る。 健 康 問題 に直 接 的 に関 わ る部分 の み を提 示 す る。
「公 約1」
「人 々 に よ る社 会 開発 の達 成 を可 能 とす る経 済 ・政治 ・社 会 ・文 化 ・法 的環 境 を作 りだす こ とを 公 約 とす る」(1995a,p.6)。 「公 約1」 で は,こ の種 の資 本 主 義 大 国 が参 加 す る国 際会 議 の文 書 と して は珍 し く,市場 の失敗 に言 及 して い る こ
とが 注 目 され る。 「公約1」 の 「(e)必 要 な範 囲 で市 場 介 入 す る必 要性 を認 識 し て,市 場 の 失敗 を予 防 な い しはそ れ に対 処 し,経 済 の安 定 性 と長期 的 な投 資 を促 進 し,公 明 正大 な競 争 と倫 理 的 行動 を保 障 し,さ らに は経 済 開 発 と社 会 開 発 を調 和 させ る」(UnitedNations1995a,p.7)と い う記載 が それ で あ る。 また,世界 人 権 宣 言 等 の尊 重 を改 めて 呼 びか けて い る こ と も,生 存権 を含 む基 本 的人 権 に対 す
る不 感 症 が 目立 っ 昨 今 の わ が 国 の 保 健 ・医 療 ・福 祉 行 政 を 省 み て,感 慨 な し と し な い 。 す な わ ち,「(f)と りわ け 貧 しい 人 々 を 支 援 す る た め に,関 連 す る 国 際 協 定 文 書 や 宣 言 で 打 ち 出 さ れ た 諸 権 利 の 実 現 を 再 確 認 す る と と もに 推 進 し,さ らに は そ の 保 障 に努 め る。 この よ うな 国 際 協 定 文 書 や 宣 言 に は,『 世 界 人 権 宣 言 』,『経 済 社 会 お よ び 文 化 的 諸 権 利 にか ん す る規 約 』[国 際 入 権 規 約 の 内 容 一 筆 者],『 発 展 の 権 利 に 関 す る宣 言 』 な どが あ り,内 容 に つ いて は 教 育,食 糧,住 居,雇 用,保 健 お よ び 情 報 な ど に 関 連 す る もの で あ る」(1995a,p.7)が そ れ で あ る 。
「公 約2」
「断 固 た る国 家 行 動 な らび に 国 際 協 力 を 通 じて,人 類 の 道 義 的,社 会 的,政 治 的, 経 済 的 要 請 で あ る,世 界 の 貧 困 撲 滅 と い う 目標 を 果 た す こ と を 公 約 す る」(United
Nations1995a,p.7)。 こ の 部 分 は 保 健 ・医 療 協 同 組 合 の 運 動 と直 接 に関 わ る と こ ろ で あ り,「 この 目的 の た め,国 内 レベ ル で は,市 民 社 会 の 各 関 係 者 と提 携 し, 多 次 元 的 か っ 総 合 的 ア プ ロ ー チ を 背 景 と して,次 の よ う な 措 置 を 取 る」(United
Nations1995a,p,8)と 述 べ て い る 。 こ こ で 言 わ れ て い る 「市 民 社 会 の 各 関 係 者 」 の 重 要 な も の と して,協 同 組 合 が 位 置 づ け られ た こ と は,後 で 確 認 さ れ るで あ ろ う。 「公 約2」 の 国 内 レベ ル で 取 るべ き措 置 の(b)と(d)を 引 い て お く。
「(b)わ れ わ れ の努 力 や 政 策 を,貧 困 の 根 本 原 因 の 解 決,そ して す べ て の 人 々 に 基 本 ニ ー ズ を与 え る こ と に集 中 さ せ る。 これ らの 努 力 の対 象 に 含 む べ き は,飢 餓 ・ 栄 養 不 良 状 態 の 根 絶,食 糧 安 全 保 障 の 確 保,教 育,雇 用 ・生 計,リ プ ロ ダ ク テ ィブ ・ ヘ ル ス(性 と生 殖 に 関 す る保 健 ・医 療 サ ー ビス;準 備 会 訳 は健 康 管 理)を 含 む プ
ラ イ マ リー ・ヘ ル ス ケ ア,安 全 な 飲 料 水 ・衛 生 お よ び 十 分 な 住 居 の 供 与,さ らに は 社 会 的 ・文 化 的 生 活 へ の 参 加 で あ る 。 最 優 先 す る の は,往 々 に して 貧 困 の 最 大 の 負 担 者 で あ る女 性 と子 供 の ニ ー ズ や 権 利 と,社 会 的 弱 者 ・不 利 な境 遇 に あ る集 団 や 個 人 の ニ ー ズ で あ る 」(UnitedNations1995a,p.8)。 「(d)失 業,病 気,妊 娠,育 児,寡 婦,障 害 お よ び 老 齢 に あ る 時 に,す べ て の 人 々 が,十 分 な 経 済 的 ・社 会 的 保 護 を 受 け られ る こ と を 保 障 す る政 策 を 策 定 ・実 施 す る」(UnitedNations
1995a,p.8)o
「公 約4」
「 社 会 統 合 を 推 進 す る に あ た り,安 定 し,安 全 で,し か も公 明 正 大 な社 会,そ して,
100
人 文 学 報Na272(社 会 福 祉 学12)1996.3す べ て の 人 権 の 推 進 ・保 護,お よ び 非 差 別,寛 容,多 様 性 の 尊 重,機 会 均 等,連 帯, 安 全,お よ び 不 利 な 境 遇 に あ り社 会 的 弱 者 の 集 団 ・個 人 を 含 む 人 々 の 参 加 に基 づ
く社 会 を育 て て い く こ とを 公 約 す る」(UnitedNations1995a,p.9)。 こ こで は,
「 参 加 に基 づ く社 会 」 の 育 成 が 公 約 さ れ て い る。 そ の た め の 国 内 的 措 置 の(」)と して,自 主 的 組 織 を 重 視 す る こ と が 明 記 さ れ て い る。 「地 域 社 会 お よ び 共 通 の 関 心 を 持 つ 集 団 の 能 力 を 強 化 す る こ とで,彼 ら自 身 の 組 織 ・資 源 を 発 展 さ せ,ま た, 社 会 開 発 に 関 連 す る政 策 を 提 言 さ せ る。 これ に は,非 政 府 組 織(NGOs)の 活 動 を 通 じて 行 わ せ る場 合 もあ る」(UnitedNations1995a,p.10)。 国 際 協 同 組 合 同 盟 が 有 力 な 非 政 府 組 織 で あ る こ とは 言 う ま で もな い。
「公 約5」
「人 間 の 尊 厳 の 十 分 な尊 重 を 推 し進 め,男 女 間 の 平 等 ・公 正 を 達 成 し,さ ら に は 政 治 ・市 民 ・経 済 ・社 会 ・文 化 生 活 お よ び 開 発 へ の女 性 の 参 加 な らび に指 導 的 役 割 の 発 揮 を 促 進 す る こ と を 公 約 す る」(UnitedNations1995a,p.10)。 公 約 5は,女 性 の 地 位 の 向 上 が 軸 で あ り,保 健 ・医 療 に 関 わ る 細 目 は(d)と(f)で あ る。
「(d)適 切 な 手 段 を 取 る こ と に よ り,リ プ ロ ダ クテ ィ ブ ・ヘ ル ス ケ ア(性 と生 殖 に 関 す る保 健 ・医 療 サ ー ビス)を 含 む,最 も広 い意 味 で の 保 健 ・医 療 サ ー ビス へ の 普 遍 的 な ア クセ ス を 男 女 間 の 平 等 原 則 に沿 って 保 障 しる。 こ れ は,国 際 人 口 ・開 発 会 議 の 行 動 計 画 に 則 つ て 行 わ れ る」。 「(f)性 差 別 が 人 生 の 初 期 段 階 か ら始 ま る こ とを 認 識 し,女 子 の 地 位,福 祉 お よ び 機 会 均 等 を,特 に 保 健,栄 養r字 ・教 育 に 関 して 向上 さ せ る政 策,目 的 お よ び 目標 を確 立 す る」(UnitedNations1995a,A・
11)0
「公 約6」
「質 の高 い教 育 へ の 普 遍 的 か っ 平 等 な ア クセ ス,可 能 な か ぎ りの 最 高 水 準 の 心 身 の健 康,お よ び す べ て の 人 々 に と っ て の プ ラ イ マ リー ・ヘ ル ス ケ ア へ の ア ク セ ス と い う 目標 を 推 進 す る と と も に 達 成 す る こ と を 公 約 す る 」(UnitedNations1995a,
p.12)。 こ の 公 約 は,教 育 と保 健 ・医 療 と障 害 者 問 題 に 直 接 関 わ る もの で あ る。 そ
の た め に,紹 介 す べ き 内 容 が 多 い 。 国 内 レベ ル で 取 るべ き措 置(a)か ら(r)ま
で の うち,11の 細 目が 保 健 ・医 療 に 関 わ って い る。(b)は 生 涯 学 習 で あ る 。 「(b)
次 の 目的 を 持 つ 教 育 の 質 の 向 上 に努 め る こ と に よ って,生 涯 学 習 に力 を 入 れ る。 す
なわ ち,あ らゆ る年齢 層 に対 し,有用 な知 識 推 理力,技 能,さ らに は健 康 で,かっ 衿持 を持 って 自分 の能 力 を十 分 に発 達 させ る とと もに,開発 の社 会 的 経 済 的,政治 的経 過 に完 全 参 加 す るの に必 要 な倫 理 的 ・社 会 的 価 値観 を与 え る こ とで あ る。 これ
に関 して は,女性 ・女子 を主 要 対 象 とす る」(UnitedNations1995a,p.12)。
(C)は 子 供 の権 利 保 障 で あ る。 「(C)子 供,特 に少女 が 自分 た ちの諸 権 利 を 享受 し,行使 を 促進 す る。 これ は,『子供 の権利 条 約』 に則 り教 育,十 分 な栄 養 お よび遅 健 ・医 療 サ ー ビスが 子 供 た ち に行 き渡 る よ うに し,同時 に両 親 や その 他 の子 供 た ち に法 的 責 任 が あ る人 々 の 権 利,義 務 お よ び責 任 を 認 め て 行 わ れ る」(United Nations1995a,p.12)o
(e)は 女 性 に対 す る教育 が,健康水 準 の向上 につ なが る とい う認識 で あ る。 「(e) 婦女 子 に対 し,完全 か つ男 性 と同等 の教 育 へ の ア クセ スを 保 障す る。 また,女性 の 教育 へ の投 資 が 社会 的平 等,よ り高 い生 産性,お よ び保 健,乳 幼 児死 亡 率 の低 下 そ し て 高 い出生 率 の必 要 性が 減 少 す る とい う意 味 で の社 会 的利 益 を達 成 す る うえ で, 重 要 な役 割 を 果 たす こ とを認 め る」(UnitedNations1995a,p.12)。
(g)は 先 住 民 族 の 健康 保 障 と文化 の尊重 の結合 で あ る。 「(g)先 住 民 族 が 自分 た ち に固有 な ニ ー ズ,切望 お よび文 化 に適 った方 法 で 教育 を受 け られ る権利 を認 め る と と もに支 援 し,また,彼 らが保 健 ・医療 サ ー ビス に十 分 にア クセ スで き る こ とを保 障 す る」(UnitedNations1995a,p.12)。
(1)は 保 健 問題 が 社 会 開発 の必 要 条件 で あ る ことを明 示 して い る。 「(1)子 供, 若 年 層 お よ び成 人,特 に婦 女 子 に重 点 を置 く保 健 教 育 プ ログ ラム を,学 校 お よ び地 域 社 会 双 方 を基 盤 に して 各 々策 定 も し くは強 化 す る。 これ は,社会 開 発 の必 要条 件 の一 っ で あ る保健 問 題 全 般 にっ いて の プ ログ ラ ムで,両 親 や 法 的 に子 供 に責任 を持 っ 人 々 の権 利 義 務 お よび責 任 を認識 し,「子供 の権 利 条 約 」 に則 って 行 わ れ る」(UnitedNations1995a,P‑13)。
(m)は プラ イ マ リー ・ヘ ル ス ケ アの重 視 で あ る。 「(m)『プ ラ イ マ リー ・ヘル ス ケア に関 す る宣 言 』 に沿 った平 等 と社 会正 義 に基 づ き,すべ て の 人 々が健 康 で あ るた めの 国家 戦 略 目標 を達 成す る努力 を促 進 す る。 この ため,国 別 の行 動 計画/プ
ログラ ムを策 定,な い しは更 新 す る と と もに衛 生 や飲 料 水 な ど基礎 的保 健 サ ー ビ ス に対 す るア クセスが 普遍 的 か っ無差 別 で あ る こ とを保 障 し,また健 康 を守 り,栄
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人 文 学 報No.272(社 会 福 祉 学12)1996.3養 教 育 な ら び に予 防 的 な 保 健 計 画 を 推 進 す る 」(UnitedNations1995a,p.13)。
(n)は 障 害 者 の 自 立 支 援 で あ る 。 「(n)障 害 者 が,リ ハ ビ リそ の 他 の 自立 して 生 活 す る た め の サ ー ビス,な らび に彼 らが 満 足 の い く生 活,独 立,社 会 へ の完 全 参 加 を 最 大 限 に実 現 す る の を 助 け る技 能(skill:準 備 会 訳 は 技 術)に 対 し,ア ク セ ス で き る こ とが 保 障 さ れ る よ うに 努 力 す る」(UnitedNations1995a,p.13)。
(o)は 開 発 政 策 が 健 康 面 を 常 に 考 慮 す べ き こ と を指 摘 した もの で あ る。 「(o)
あ らゆ る分 野 の 政 策 で 保 健 面 を 考 慮 に 入 れ な が ら経 済 ・社 会 開 発 に お い て す べ て の 人 々 の 健 康 を 守 る と と も に増 進 で き る統 一 的 ・総 合 的 ア プ ロ ー チ を と る 」 (UnitedNations1995a,p.13)o
(p)は 母 子 保 健 で あ り 「(p)母 子 の 保 健 に関 す る 目 的,特 に1990年 の 世 界 子 供 サ ミ ッ ト,1992年 の 国 連 環 境 ・開 発 会 議 お よ び1994年 の 国 際 人 口 ・開 発 会 議 で 挙 げ られ た,子 供 お よ び 母 親 の 死 亡 率 減 少 に 関 わ る 目的 を 達 成 す る よ う に 努 め る 」 (UnitedNations1995a,p.13)と 述 べ て い る 。
(q)は エ イ ズ 対 策 で あ る。 「(q)HIV/エ イ ズ と い う世 界 的 に 蔓 延 しっ っ あ る 病 気 に 対 し,も っ と効 果 的 に 対 処 す るた め に,国 家 的 な 努 力 を さ らに促 進 す る。 こ の た め,必 要 な 教 育 ・予 防 サ ー ビス を提 供 す る と と も に 適 切 な 治 療 ・支 援 サ ー ビ ス がHIV/エ イ ズ に感 染 して る人 々 に と って 利 用 可 能 で,ア ク セ ス で き る こ とを 保 障 す る努 力 を 行 う。 ま た,彼 らに 対 す る あ らゆ る形 態 の 差 別 ・孤 立 化 を な くす の に 必 要 な,す べ て の 方 策 を 講 じ る」(UnitedNations1995a,p,13)。
(r)は 環 境 問 題 へ の 関 心 を 教 育 を 結 合 す る こ とで あ る 。 「(r)あ らゆ る 教 育 な らび に 保 健 に 関 す る政 策 ・計 画 に お い て,消 費 と生 産 の パ タ ー ンに つ いて の 意 識 を 含 む,環 境 に対 す る意 識 の 高 揚 を は か る」(UnitedNations1995a,p.13)。
以 上 の よ うに 「公 約6」 は,集 中 的 に保 健 ・医 療 問 題 を 扱 った 部 分 で あ る。 な お,
当 然 の こ と な が ら,「行 動 計 画 」 で は,よ り詳 細 な 記 述 が な さ れ て お り,国 際 保 健 活
動 領 域 に 関 心 の あ る 方 に は,行 動 計 画 も参 照 す る こ と を 勧 め た い 。 以 上 の よ う に
全 て の 「公 約 」 の う ち の 過 半 数 が 健 康 問 題 に 関 わ る内 容 を 含 ん で い る。
(2)協 同 組 合 促 進 振 興 委 員 会(COPAC)公 開 フ ォ ー ラ ム
世 界社 会開 発 サ ミッ トで は,協 同組 合 の役 割 が 重視 され た。 その具 体 的 な企 画 が,協 同組 合 促 進振 興 委 員 会公 開 フ ォー ラ ムで あ る。 協 同 組 合 に対 す る国連 の認 識 ・関心 は,ICAとCOPACが 準 備 した予 備文 書(COPAC1995a)に 示 されて い る(後 述)。
国連 と協 同組 合 運動ICA(国 際協 同組 合 同盟)と の 関係 にっ いて 簡単 にふ れ て お く。国 連 に は常 設機 関 と して 総会,安 全保 障理 事 会経 済 社 会理 事会,信 託 統 治理 事会,司 法裁 判 所 な どが あ る。NGO諸 組織 も,経済社 会理 事会 を構 成 して い る。 国連 総 会 へ の議 案 提 案権 と発 言権 を有 す るNGO組 織 が 国 際赤十 字 社 や 国 際労 連 な どカ
テ ゴ リー1と 称 され る組 織 で あ り,ICAは その一 つ で あ る。
保 健 ・医療 協 同組 合 の 国際 的 結集 の発端 にな った1992年 の第1回 国 際 保健 ・医 療 協 同 組 合 フ ォー ラ ム には,国 連 広報 部 か らメ ッセ ー ジが 寄 せ られ たが,そ の1年 後 の1993年9月 に,国連 の 政策 調 整 ・持続 的 開発 局 か ら,世界社 会 開 発 サ ミ ッ トの 準 備 の一 環 と して,政策 文 書(UnitedNations1993)が 発 表 され た。 それ は 日本 生 活協 同組合 連 合 会医 療部 会 に も送付 され,そ れ らにっ いて の意見 が 求 め られ た。
国 連 文書 に は,日本 の医 療生 協 に関す る叙述 が10頁 以 上 も含 まれ,保健 ・医療 協 同組 合 の分 類 な どの提 起 が あ り,日本 の 医療生 協 へ の評 価 が高 い もの の,一部 には 誤 解 もあ り,筆者 も参 加 して 医療 部 会 で は慎 重 に検 討 し,94年1月 には意 見 書 を送
った。 コペ ンハ ー ゲ ンでCOPACが 提 供 した8っ のBackgroundInformationNotes の うち の保 健 ・医療 関 連 部 分 には,こ の よ うな準 備作 業 が 反 映 され て い た。
aCOPACに つ い て
筆 者 はCOPACOpenForumCooperatives,Farmers'Organizationsand
SustainableDevelopmentに 出 席 し た 。COPAC(CommitteeforthePromotionand
AdvancementofC60peratives)は1971年 に 設 立 さ れ た 協 同 組 合 の 振 興 と 発 達 を 目 的 に し た 調 査 機 関 で あ る 。 構 成 は,3っ の 国 連 の 機 関 と4っ の 国 際 的 非 政 府 組 織(NGO)で あ る 。 前 者 に 属 す る の が,国 連 食 糧 農 業 機 関(TheFoodand
AgricultureOrganizationoftheUnitedNations,FAO)と 国 際 労 働 機 関(The
InternationalLabourOrganization,ILO)と 国 際 連 合(UnitedNations,UN)
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人 文 学 報No.272(社 会 福 祉 学12)1996.3で あ る 。 後 者 に 属 す る の は,国 際 協 同 組 合 同 盟(TheInternationalCo‑
operativeAlliance,ICA)と 国 際 農 業 生 産 者 連 盟(TheInternational
FederationofAgriculturalProducers,IFAP)と 食 料,農 業,ホ テ ル,レ ス トラ ン, 給 食 タ バ コ お よ び 関 連 労 働 者 組 織 国 際 同 盟(TheInternationalUnionofFood,
Agriculture,Hotel,Restaurant,Catering,TobaccoandAlliedWorkers'
Associations,IUF),そ して 世 界 信 用 組 合 協 議 会(TheWorldCouncilofCredit Unions,WOCCU)で あ る 。
COPACは,発 展 途 上 国 の 協 同 組 合 運 動 を 促 進 す る た め に 構 成 組 織 の 諸 活 動 を 調 整 す る こ と を 目 的 に し て い る 。 事 務 局 の 活 動 資 金 は,構 成 組 織 か ら の 分 担 金 で ま か な わ れ る が,情 報 サ ー ビ ス や 調 査 サ ー ビ ス や シ ン ポ ジ ウ ム 開 催 な ど の 費 用 は,そ れ ぞ れ の 課 題 に 関 わ る さ ま ざ ま な 組 織 も 分 担 し て い る 。 資 金 を 提 供 し て い る 主 な 組 織 に は,カ ナ ダ 協 同 組 合 連 合 や ス ウ ェ ー デ ン 協 同 組 合 セ ン タ ー や 国 連 トラ ス ト 基 金 や 国 連 女 性 基 金 さ ら に は 産 油 国 国 際 開 発 基 金 な ど が 含 ま れ て い る 。
b協 同 組 合 の 位 置 づ け を象 徴 す る 会 議
国 連 世界 社 会 開 発 サ ミ ッ トと並 行 して,NGOフ ォ ー ラ ム も開 催 さ れ た 。 サ ミッ ト の 会 場 は べ ラ ・セ ン タ ー と い う一 種 の メ ッセ 会 場 で あ った 。NGOフ ォ ー ラ ム は,元 の 海 軍 基 地 で あ る ホ ル メ ンで あ った 。 サ ミ ッ ト会 場 の べ ラ ・セ ン タ ー は 警 戒 が 厳 し く,一 方NGOフ ォ ー ラ ム は 例 え ば 小 学 生 や 中 学 生 が,教 師 に 引 率 さ れ て 集 団 で や って きた り,住民 が 大 勢 参 加 して き た り運 営 は ヴ ォ ラ ンテ ィ ア が 行 う と い う状 況 で 非 常 に オ ー プ ン で あ っ た 。
COPAC公 開 フ ォー ラ ム は,両 者 の 中 間 的 性 格 の 会 議 で あ った 。 ま ず,会 場 が ベ ラ ・ セ ン タ ー で あ り,参 加 者 は 相 当 に厳 格 な 登 録 手 続 き を 求 め られ,一 般 のNGOフ ォ ー ラ ム 参 加 証 で は 入 る こ とが 出 来 な か っ た 。 ま た,COPAC公 開 フ ォ ー ラ ム の 冒頭 で, 社 会 開 発 担 当 国 連 事 務 次 長 が 挨 拶 を か ね た 基 調 報 告 的 問 題 提 起 を 行 っ た 。 こ れ
も,一 般 のNGOフ ォ ー ラ ム の 行 事 で は 見 られ な い こ と だ っ た 。COPACの 構i成組 織 の
性 格 とi雪い,会 場 と言 い,事 務 次 長 の 問 題 提 起 と言 い,COPAL公 開 フ ォ ー ラ ム は 政 府
首 脳 が 参 加 す るサ ミ ッ トと,一般 のNGO組 織 の 集 会 との 中 間 的 位 置 に あ った 。 これ
は,貧 困 を は じめ とす る社 会 問 題 に取 り組 み,社 会 開 発 を 進 あ て い く上 で,国 連 が 協
同 組 合 と い う組 織 形 態 を非 常 に重視 して い る こ とを示 した もの で あ る。
cCOPAC公 開 フ ォー ラム の概 要
COPAC公 開 フ ォー ラ ムで は国 連事 務 次長 か ら問 題 提 起 が な され,ICAの 事 務 局 長 の ソー ダー ソ ン氏 が それ に答 え る内容 の総 括 的 発 言 を 行 った。 そ の他 の報 告 も 2っ な され たが,保 健 ・医療 に関 わ るの は この2っ で あ る。
dニ テ ィ ン ・デサ イ国 連 事 務次 長 の報 告
イ ン ド出身 の デサ イ は政 策調 整 ・持 続 可能 開 発 担 当 で あ り,「協 同組 合 農 業 組 織 と持 続 可 能 な 開発 」 と題 す る報告 を行 った。以 下 に,特徴 的 な論 点 を示 す 。 な お,dとeの 報 告 の 日本 訳 は筆 者 が テ ー プか ら行 った もの で あ る。
デ サ イ はイ ン ド南 部 の 出 身 で,出 身地 に は協 同組 合 が数 多 く存 在 して い る。 彼 は 「今 回 のサ ミ ッ トお よ びNGOフ ォー ラム の1っ の 焦点 に協 同組 合 を置 いた の に は そ れ な りの理 由が あ ります 。 ここ10年 間 に国 家 の失 敗 と市 場 の失 敗 が 明 らか にな りま した。 しか し,私た ち は,も う1つ の方 向性,っ ま り協 同組 合 や農 業 組 織 の よ うな非 営 利組 織 を思 い起 こ さな けれ ば な りま せ ん。 これ れ は,市 場 と国 家 をっ な ぐ もの です 。 それ は,小生 産 者 や 小規 模 消 費者 を組 織 します 。 大 規 模 な 国 際化 した経 済 とい う環 境 の も とで,生 産 者 の協 同組 合 も消 費 者 の協 同組 合 も大 きな貢 献 が可 能 で す。 これ が 今 回,ベ ラ ・セ ンターで も,他の 会場 で も協 同組 合 に関 わ る
フ ォー ラム や ワ ー ク シ ョ ップ を開 催 す る理 由 です 」 と述 べ た 。
ま た 「国 際化 とい う文脈 の も とで の公共 部 門(PublicEntities)と 協 同組 合 部 門 の 関係 を考 えれ ば,協 同組 合 は ローカ ル な展 開 だ けで は な く,広域 的 さ らには 国 際 的 な レヴ ェルで,公 共 セ クター にサ ー ビス を提 供す る こ とが課 題 に な って い ま す 。 そ の た め の 組 織 がCOPACで す 。 国 連 も そ の 構 成 員 で す 。 社 会 的 結 合 (Cohesion)を 地 域(Community)か ら進 め る上 で,協 同 組 合 や 農業 組 織 は大 きな 可能 性 を持 って い ます 。 信頼 性 と能 力 を 持 って い ます 。社 会 開発 サ ミ ッ トが 提 起 す る社 会統合 の1つ の枠 組 み は,多 くの人 々が共 同で 問題 に 目を向 け る こ とです。
もう1っ は,市場 経 済 の大規 模 化,民営 化(Privatization)が 進 行 す る中で,そ れ と は違 う方 向性,枠 組 み を 考 慮 す る こ とで す 」 と述 べ た 。
見 られ るよ うに,国連 と して の協 同組 合 に対 す る期 待 が,一 般 的 に言 え ば,「非 営
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人 文 学 報Na272(社 会 福 祉 学12)1996.3利 民 間 部 門 」 の重 要 な要素 と して,地 域 的,全 国 的,国 際 的 に,特 に小 規模 自営 業者 や 消費 者 の利益 を守 り,かっ経 済活 動 主体 と して積 極 的役 割 を 果 た しうる,とい う 点 に あ る こ とは確 か で あ る。
eソ ー ダー ソン 国際 協 同組 合 同盟 事 務 局 長報 告
ブル ー ス ・ソー ダー ソ ンは,最 も古 い民間 ボ ラ ンタ リー組 織 で,89力 国 の多様 な 協同 組 合 を組 織 して い る国 際協 同組 合 同 盟(ICA)の 事務 局 長 で あ る。 。氏 の報 告 は,「持 続可 能 な開発 にお け る現 在 お よび将来 の協 同 組合 の役割;地 球規 模 の様 相 」 で あ った。 冒頭 で 氏 は,「デ サ イ氏 が 示 した メ ッセ ー ジは,こ の社 会 開発 サ ミ
ッ トは,人 々 のサ ミッ トだ とい うこ とで あ り,本当 に将 来 にわ た って持 続的 に開発 で き るの は,政府 の事 業 で は な く,営利的 事業 体 の事 業 で もな く,人々が行 う事業 だ とい う こ とで す 。協 同組 合 は,人 々 の能力 を動 員 す るの にほ ぼ最 適 な組 織 形態 で す。 この こ とは,協 同組合 の100年 に及 ぶ 実践 の成 功 に よ って示 され て います 。 し か し,協同組 合 は正 確 には理解 され て いませ ん。 それ どこ ろか,協 同組 合が 厳密 に は何 で あ るか と い う疑 問 や混 乱 が相 当 にあ ります 。 各 人 の理 解 は,そ の人が 関 わ った協 同組 合 にっ いて の イ メ ー ジによ って異 な って い ます 」 と述 べ たが,こ れ は ICAの 自負 と現 在 進 行 中 の協 同組 合 原 則 に関 す る長 期 的 ・全 面 的検 討 の必要 性 と を反 映 した もの で あ る。
氏 は,協 同組 合 の特 性 と社会 開発 に関わ る可能 性 お よ び実績 を次 の よ うに述 べ た 。 「協 同組 合 の基 本 的 な構 想(Concept)は 単純 で す 。利 用 す る者 が 自 ら管 理 す る とい う こ とで す。 これが,国 営 を含 む 公共 企業 と も,営利 企業 と も異 な る点 で す 。 基本 的 には,協 同 組合 は人 々の組 織 です 。 人 々 のニ ー ドが あ って他 の形態 の 組織 で は適 切 に対 応 で きな い場 合 には,協 同組合 が 組織 され ます。 例 え ば,信用 で もそ うで す し,マーケ ッテ ィ ングの便 益 を得 る こ とが で きな い場 合 や 農 業機 械 を 手 に入 れ られ な いよ うな場 合 に,人 々 は協 同組 合 を作 ります。 ま た消費 協 同組 合 も経 済的 ニ ー ドに応 え る ものです 。経 済 的ニ ー ドだ けで は あ りませ ん 。社会 サ ー ビス の分 野 で も同様 です 。 この分 野 には,全 く新 しい協 同組 合 の波(Wave)を 認 め る こ とが で き ます 。失 業 に対 す る協 同組 合 もあ りま す。 政 府 が 社 会 サ ー ビス か ら手 を 引 き出 して い る状 況 の も とで,社会 サ ー ビスの協 同組 合 には,強 い関心 が
寄 せ られ て い ます 。 例 え ば,女 性 の デ イ ・ケ アの要 求 に応 え る協 同 組合 もあ りま す 」。 新 たな可能 性 が期 待 されて い る社 会 サ ー ビス分野 には,当然 なが ら保 健 ・医 療 協 同組 合 も含 まれ る。
氏 は,「国 連 が 協 同 組合 の役 割 を認 め,具 体 的 に検 討 し始 め て い るの は興 味 深 い ことです 。国 連 は国連総 会 で2年 に1度 協 同組合 運動 の あ りか たにっ いて の レポ ー トを す る こと にな って お り,94年 に は最 新 の レポ ー トが 出 され ま した。 ガ リ事 務 総 長 が 出 した レポ ー トは貧 困,社 会 的統 合 に果 たす協 同組 合 の 役割 は大 き い こ と を確 認 しま した。 行 動計 画 が 出て くるの は喜 ば しい こ とです 。 この報 告 で は,9っ の ポ イ ン トにつ いて 協 同組 合 に言及 して います 。 協 同組 合 が 果 た す こ とが で き る こ とにっ いて の提 案 が5つ 。 その ほか に4つ の 提 案 が あ り,それ は協 同 組 合が 計 画 した こ とを実 施 す るた めの提 案 です 」 と して,国 連 が 協 同組 合 に強 い関心 を抱 いて い る ことに触 れ た。 後 述 す るが,国連 は特 に1995年 には保 健 ・医療 そ して社 会 サ ー ビス分 野 の協 同組 合 に対 して,一 段 と深 い関心 を 表 明 した。
f「 国 際協 同組 合 運 動 と世 界 社 会 開発 サ ミ ッ ト」 につ いて
ICAとCOPACは 「国 際 協 同 組 合 運 動 と世 界 開 発 サ ミ ッ ト」 と題 す る予 備 文 書 (BackgroundInformationNote)を8号 まで 発行 した。各 号 の 中 には,国連 が 協 同 組 合 に注 目 して い るこ とを確 認 して い る項 目が,ほ ぼ同文 で置 かれ て いる。 「1950 年以 来,国 際 社 会 で の最 高 の政 策 決定 機構 で あ る国 際 連 合総 会 は,国連 の 目標 を達 成 す る こ とと協 同 組 合 との関 連 を認 め,そ の発展 を支 援 し,国際 協 同組 合運 動 との 連 帯 を 呼 び か け る12の 決 議 を採 択 して い る。 さ らに1951年 か ら1992年 の 間 に経 済 社 会 理事 会 は13の 決議 を採 用 し,同様 の 目的 の た め に4っ の決 定 を行 った。
国連 の事 務 総 長 もまた協 同組 合 の国 際 連 合 の 目的 へ の貢 献 を検 討 した一 連 の 総 会,理事 会報 告 を行 って きた。49回総 会 で通達 され た最近 の報 告(A/49/213,1994 年7月1日)で は}『生 産 的雇 用 を創 出 し,貧困 を克服 し,社会統 合 を成 し遂 げ る とい
う課 題 を,無視 し得 な い ほ ど多 くの 人類 が 自 らの 手 で行 う上 で,協 同組 合 企業 は組 織 上 の 方 法 を与 えて い る』 と結 論 づ け た。 総 会 は この結 論 が 時宜 を得 た もの で あ る こ とを認 め,最 近 の 決議(決 議49/155,1994年12月)で,『 す べ て の形 態 の協 同 組 合 の世 界 サ ミ ッ トの準 備 とその後 の継 続 的 活 動 へ の 重 要 な貢献 と潜 在 力 』 を
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人 文 学 報No.272(社 会 福 祉 学12)1996.3認 め た。 そ して,『戦 略 と行 動 ・・中略 ・・を形 成 す る上 で,協 同組 合 の役 割 と貢 献 に適 切 な考 慮 を行 う こ と』 を提 起 した。
世 界 サ ミ ッ トの準 備 委 員 会 は最 終 宣 言 ・行 動計 画 案 で この提 起 に応 え た。 宣 言 で はサ ミッ トは 『社 会 開発 に充 当 され る資源 を意 味 の あ るよ うに増 加 し,また /あ る いは,よ り効 率 的 に用 い る こと』 を 採 択 す る。 そ れ は,『社 会 開 発 目標 の達 成 の ため,特 に,貧 困 の根 絶,完 全 で生 産 的 な雇 用 の創 出,社会 統 合 の促 進 の ため,協 同組 合 の潜 在 力 と貢 献 を最 大 限 に利 用 し発 展 させ る こと』 を提 案 して い る。 行 動 計 画 は協 同組 合 の 役割 に関 す る5つ の特 別 な提 案 とサ ミ ッ トの実 践 と継 続 的活 動 につ い て の協 同組 合 の 参加 にっ いて,4つ の提 案 を含 ん で い る」(COPAC1995a, PP・2‑3)o
第6号 は直接 に保 健 ・医療 を あつ か う 『保 健 ・医療 部 門 に お け る協 同組合 』で あ り,口本 生 活 協 同組 合 連 合会 医療 部 会 につ いて も触 れ られ て い る。
「協 同組 合 と健 康 に関 す る 目標 の 到 達 点
健 康 を改 善 す るため に,男女 を問 わ ず保 健 ・医 療 協 同 組合 の設 立 を 企 図す る国 が増 え て い る。 公 的 な保 健 ・医療 制 度 に よ るサ ー ビス供 給 が不 適 切 で あ った り, 協 同組 合 以 外 の組 織 に よ る民 間 医療 は利 用 で きな いか,ま た は高 価 す ぎ る場合 に
この よ うな試 みが な され て い る。
利 用 者 所 有 あ る いは顧客 所 有 協 同組 合 は,同一 の地 域 社会 の個 々人 によ って設 立 され,彼 らが 自分 の保健 ・医療 要求 を満 たす のを補 助 す るた めの もの であ る。 利 用 組 合 員 が協 同組 合 の 目的 と実 際 の業 務 を決 め るの で,普通 の市 民 が 保 健 ・医療 に関 す る権 限 を もつ こ とが 可 能 とな る。利 用 組 合員 と所有 組 合 員 は,通 常前 払 い 制 で,そ れ ぞれ が 出資 し,引き続 き運 営 費用 を分 担 し,管理 者 を任 命 して 医療 保険 や 保 健 ・医 療 サ ー ビス供 給者 と契 約交 渉 を行 う。 しば しば,これ らの協 同組 合 は病 院 や他 の施設 を買 い取 り運営 し,専門 家 と他 の職 員 を雇 用 す る。 サ ー ビス は,単純 な予 防処 置 と基 礎 的保 健 保証 か ら,高度 な治療 や リハ ビ リテ ー シ ョンまで にお よ ぶ。 最 も包 括 的 な利 用者 所 有保 健 ・医療 協 同組 合 システ ムが 日本 で活動 して い る。1っ は,日本 生 活 協 同組 合連 合 会 に よ り設 立 され た もので あ り(そ の 医 療部 会 に よ って 組織 され て い る),2つ め は農業 協 同組 合 組織 に よ り設立 され た も の で あ る(全 国厚 生 農業 協 同 組合 連 合会 に よ って組 織 されて い る)。 いず れ も同
様 に,公的 サ ー ビスが 適切 で な く私 的 医療 サ ー ビスが,ほ とん どの組合 員 の 支払 い 能 力 を越 え て いた時 代 と,地域 で展 開 され た。 治 療 サ ー ビス と リハ ビ リテ ー シ ョ ン ・サ ー ビスを提 供 す る一 方 で,両 者 は健 康 的 な生 活 に 向 け た包括 的 で生 涯 にわ た る取 り組 み を含 む予 防 サ ー ビス に力 を入 れ て い る。 それ は,日 本 の 人 口 の急 速 な高 齢 化 とます ます 関 連 を強 め て い る。[こ こか ら以 下 は 日本 生 活 協 同組 合 連 合 会 医療部 会 につ いて の話 で あ る一 筆 者]組 合員 は,特別 な研 修 を受 け,地域社 会 で は健 康 的 な生 活 に関 す る知 識 を 広 あ るた め に雇 わ れ た亜 専 門 家 の よ うに活 動 す る。 保 健 ・医療 協 同組 合 は,医療 専 門家 と患者 との 葛 藤 か ら生 ず る問題 を解 決 す る うえ で も指 導 的 で あ り,1987年 以来 治 療 にか か わ る決定 に患者 が 参 加 す る権 利 を支 援 して い る。1992年3月 に は,保健 ・医療 消費 協 同組 合 組 織 は150万 世 帯 の組 合 員 を持 ち,医師1704人 とその他 の職員18912人 を雇 用 し,12916の 病 床 を持 っ81の 病 院 と207の 診療 所 を運 営 して い る」(COPAC1995b,pp.1‑2)。 以 上 は,利用 者 所 有 保 健 ・医療 協 同組 合 につ いて の 記述 で あ る。続 いて,供 給 者所 有 保健 ・医療 協 同 組 合 が 説 明 され て い る。
「供給 者 所有 保 健 ・医療協 同組 合 も,途上 国 で も先進 国 で も普通 は医 師 に よ って 設 立 され て い る。 ベ ニ ンfブラ ジル,イ ン ド,マレー シア,イ ギ リス に存 在 す る。 こ の形 態 の協 同組 合 の利 点 は,一括 購 入 と管理 お よび技 術 的 サ ー ビスを共 有 す る こ と,多様 な専 門家 を一 っ の ネ ッ トワー クに ま とめ る こ とで あ り,後者 は地域 社 会 で い っ し ょに提 供 され て い るサ ー ビス の守 備 範 囲 を拡 大 す る。 協 同 組 合 は同 一 地 域 社 会 内で 開業 して い る医 師 の小 集 団 に よ って も,病院 の よ うな共 同所 有 施 設 を 運 営 す る協 同組 合 に よ って も設 立 す る ことが 可 能 で あ りi国中 に広 が る こ とが で き る。 利用 者 所有 共 同組 合 が供 給 者所 有協 同 組 合 と融 合 す る こ とが で き る の は,専門 家集 団 が協 同組 合組 織 へ と,公的部 門 や私 的 営利 部 門 か らと り残 され て い る保 健 ・医療 サ ー ビス の溝 を埋 め る必 要 へ との双 方 に特 別 な 関 心 を持 った場 合 で あ る」(COPAC1995b,p.3)。
筆 者 は,日本 の 医療生 協 は組 合員 が利 用者 と医療 労働 者 の双方 か ら形 成 され,医 療 サ ー ビス生 産 過程 内 の或 る局 面 にお いて は,い ず れ か の 側 が主 導 的 な役割 を 果 た しっ っ も,全体 と して は患者 の権利 の尊 重 と実 現 を基 礎 理念 と して,医 療 労働,院
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人 文 学 報No.272(社 会 福 祉 学12)1996.3所 運 営 の両 面 で協 同 を実 現 ・志 向 して い る点 で,こ の タ イプ に分 類 され るべ き存 在 と考 えて い る。
わ れ われ が 注 目 しな けれ ば な らな いの は,こ の段 階 で は所 有 形態 に よ る保 健 ・ 医療協 同組 合 の類 型 論が,利用 者 所有 と供給 者 所有 の2分 類 だ った こ とで あ る。 し か し1995年11月 に発 表 され た 国連 の最 新 の調査 資 料 で は,こ れ らの他 に利 用 者 ・ 供 給 者 共 同所 有 を明 確 に独 自の カ テ ゴ リー と位 置 づ けて い る(UnitedNations
1995,pp.17‑18)。 この国 連文 書 は,1996年 に国連 事 務 総 長 が総 会 で 協 同組合 に 関す る報告 を 行 う こ とに な って い るが,そ の ため の準 備 と してICAの 協力 の もとに 作 成 され た。 これ は225ペ ー ジに及ぶ 極 め て詳 細 な調 査 で あ り,保健 ・社会 ケ ァ協 同組 合 の類 型 論 や定 義 を含 む 新 た な理 論 的 問 題 提 起 を行 って い る重 要 な文 書 で あ る。
3国 際 協 同組 合 同盟 設 立100周 年 大 会 と
第2回 保 健 ・社 会 ケ ア協 同組 合 フ ォー ラ ム
第2回 国 際保 健 ・社 会 ケ ア協 同組合 フ ォー ラム は,ICA大 会 の 関連 行事 と して1995 年9月18日 に,70ヶ 国120人 が 参 加 して マ ンチ ェス ター にお いて行 わ れ た。 会議 に は,保健 ・医療 サ ー ビス と社 会 ケ アサ ー ビスを 組 合 員 に提 供 して い る協 同組 合 と 共 済組 織 が招 かれ た。 フ ォーラ ムの 目的 は,経験 交流 参 加者 闇 の 国際協 力 の促進, 保健 ・医療 ・社 会 ケ ア部 門 に お け るICAの 特 別 機 構 の 創設 条 件 を定 め るこ とで あ
った。
内容 と して は議 長 報告,地 域報 告 ・討 論 が行 わ れ,最 後 に,全体 テ ーマ にっ いて のパ ネ ル ・デ ィス カ ッシ ョンを 受 け て9月23日 のICA総 会 に提 出す べ き報 告 ・勧 告 が ま とめ られ た。ICA総 会 へ の勧 告 で は,ICA内 に保 健 ・社会 ケ ア協 同組 合 の専 門 機構 を創 設 す る こ とが盛 り込 まれ,これ はICA大 会最 終 日に代 議 員 によ って承 認 され た。現 在,専 門 機 構 を設立 す るた めの準 備 委 員 会が 作 業 を進 め て お り,1997年 には専 門機構 の第1回 総 会 が予 定 され て い る。 なお,日本 生 活協 同組 合 連 合会 医療 部 会,ブ ラ ジル の医 師協 同組合,ス ペ イ ンの医 師協 同組合 か ら準備 委員 が 出て いる。
以 下 で は,フ ォー ラ ムでの 発表 と配布 資 料 に基 づ き本 稿 に関 わ る論 点,問 題点 を
述 べ る 。
aICAか らの期 待表 明
ラ スル ・マ ル カ スICA会 長(当 時)の あ い さつ で は,保健 ・医療 を誰 もが 受 け る 権 利 と して強 調 し,しか し実 際 に は民営 化 な ど に よ って政 府 の役 割 が 低 下 して い る点 を指摘,そ の上 で国 家 で もな く営利 的企 業 で もな い協 同組 合 の役 割 を強調 し た。
次 に英 国下 院 議 員 で イ ギ リス協 同組 合 会議 会 長,前 国連 国 際 障害 者 人 権 委員 会 議 長(ChairmanofUNCommissionofDisabledPeoples'Rights)で あ った ア ル フ ・モ リスが あ いさっ した。彼 は,英国政 府 が,保 健 ・医療 社 会 ケ アの分 野 か ら 撤 退 して い る事 態 を厳 しく批 判 し,ナシ ョナ ル ・ヘ ル ス ・サ ー ビスが 崩 壊 の危 機
に瀕 して る こ とを指 摘 した。 そ の上で,保 健 ・医療 高 齢者 の ケ アの分 野 にお け る 協 同 組 合 の役 割 が 増大 して お り,高齢者 の支援 な どの活 動 を す す め て い く必要 性
を述 べ た。 そ して,実 際 に英国 国 内 で多様 な活 動が 始 ま って い る こ とを紹介 し,協 同組 合 の今 後 の 活動 に期 待 を表 明 した。
b社 会 的 経 済 ・社 会 ケ ア ー ヨ ー ロ ッパ に お い て 定 着 しっ っ あ る 概 念
日本 生 活 協 同 組 合 連 合 会 医 療 部 会 が 行 っ た 基 調 報 告 を 受 け て,ま ず,ヨ ー ロ ッパ の 地 域 報 告,国 別 事 例 報 告 が あ っ た 。 特 に,本 稿 の 課 題 の1つ で あ る社 会 ケ ア 協 同 組 合 に 関 わ りの 深 い 社 会 的 経 済 を 論 じた い 。
地 域 報 告 は 「協 同 組 合 的 視 点 か らみ た ヨ ー ロ ッパ に お け る 医 療 サ ー ビス と社 会 ケ ァ 」 と題 して,ペ ー ル ー オ ロ フ ・ヨ ン ソ ン が 行 っ た 。 彼 は ス ウ ェ ー デ ン協 同 組 合 研 究 所(KOOPI)の ス タ ッフ で あ る。 彼 は,ヨ ー ロ ッパ の 福 祉 シ ス テ ム の 中 で, 医 療 と社 会 サ ー ビ ス は 重 要 な 位 置 を 占 め て き た こ と,ベ ヴ ァ リ ッ ジ ・モ デ ル と ビ ス マ ル ク ・モ デ ル と に 大 別 さ れ る よ う な 形 態 の 差 異 は あ る も の の,国 家 が 大 き な 役 割 を 果 た して き た こ と,そ して そ の 中 で 狭 い意 味 で の 協 同 組 合 は 発 達 して こ な か った が,協 同 組 合(Co‑operative),協 会(Association),互 助 組 合(MutualSociety)
な ど呼 び方 の 問 題 は と もあ れ,社 会 的 経 済(SocialEconomy)と 呼 ば れ て い る もの
の 中 に は 協 同 組 合 に 類 似 した もの が あ り,そ れ らは 公 共 部 門 に な ん らか の 形 で 依
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人 文 学 報Na272(社 会 福 祉 学12)1996.3存 して い る,と 述 べ た 。
彼 に よれ ば,互 助 組 合 の 主 な 活 動 は,医 療 の 財 源 を 賄 う こ とで あ るが,ベ ル ギ ー や フ ラ ン ス で は 医 療 ・社 会 サ ー ビス の 供 給 も行 っ て い る。 ヨ ー ロ ッパ の 互 助 組 合 は5千 ほ ど存 在 して い る。 彼 は,ヨ ー ロ ッパ の 福 祉 モ デ ル が 変 貌 しっ っ あ り,医療 ・ 福 祉 ケ ア へ の 公 的 支 出 が 削 られ,私 的 部 門 の 役 割 が 財 政 的 に も供 給 の 上 で も大 き
くな って い る中 で,協 同 組 合 の 新 しい形 態 が 発 達 しつ つ あ り,イ タ リア,ス ペ イ ン, ス ウ ェ ー デ ン な どで の 事 業 が 注 目 さ れ る と述 べ た 。
今 後 の 見 通 し と して,彼 は,協 同 組 合,互 助 組 合,ボ ラ ンテ ィ ア が 協 力 を 強 め る こ と に よ って,EU(欧 州 連 合)の レベ ル も含 め た 政 治 的 活 動 の 展 開 な どが 可 能 と な り,公共 部 門 と私 的 部 門 の新 し関 係 が 生 ま れ て い くだ ろ う し,EUは 市 民 の 二〇 ドを 満 た す 上 で も ま た 雇 用 の 創 出 の 上 で も協 同 組 合 を 促 進 す る こ とは で き るで あ ろ う し,社会 正 義 と健 康 状 態 の 改 善 を 促 す た め に,公 共 部 門 と私 的 部 門 の 問 に存 在 す る強 力 な第3の 部 門 に な ろ う とす る と い う大 き な 課 題 に 直 面 して い る,と 語 っ た 。
社 会 的 経 済 に つ い て は 次 章 で 改 め て 論 ず る が,ヨ ー ロ ッパ で は 近 年 しば しば 用 い られ る よ う に な っ た 概 念 で あ る。5》 こ の 概 念 自体 が 成 熟 して い る と は言 い難 い が 概 念 そ の もの の 検 討 は他 の 機 会 に 譲 る と して,社 会 的 経 済 が 含 む 領 域 と社 会 ケ ア とが 相 当 に重 な る こ と,国 際 保 健 協 同 組 合 運 動 の 中 で,社 会 ケ ア を 巡 って は 容 易 に 合 意 で き な い意 見 の 相 違 あ る い は 対 立 が あ る こ と に 注 意 を 促 して お く。
上 記 の 論 点 に 関 わ る の が,イ ギ リス の チ ャー リー ・カ ッテ ル 報 告 で あ っ た。 彼 は,産 業 共 同 所 有 運 動(IndustrialCommonOwnnershipMovementLimited=ICOM)
か ら参 加 した 。ICOMは,1971年 に企 業 内 で 働 く労 働 者 に よ る民 主 的 企 業 管 理 を 促 進 す る た め に結 成 され た組 織 で あ る。1976年 に 制 定 さ れ た 産 業 共 同 所 有 法(Indus
‑trialCommonOwnershipAct)が 法 的 基 礎 で あ る
。 ヨー ロ ッパ 社 会 基 金 の協 同 組 合 ・地 域 経 済 促 進 の コ ー デ ィ ネ ー タ ー で もあ り協 同 組 合,地 域 企 業 関 連 の研 修
な ど も 行 っ て い る 。
彼 は,最 近 の イ ギ リス で の 保 健 ・医 療 ・社 会 ケ ア分 野 で の 協 同 組 合 の 動 向 に っ い て,地 域 ケ ア 協 同 組 合(communitycareco‑operatives),社 会 雇 用 協 同 組 合 (socialemploymentco‑operatives),児 童 ケ ア 協 同 組 合(childcareco‑
operatives),一 般 医 協 同 組 合(generalpractitioner'sco‑operatives),複 数 基
金協 同組 合(multi‑fundco‑operatives)の5っ の 分 野 にっ いて報 告 した。
地 域 ケ ア協 同組 合 は治療 を行 う もの で は な く,高齢 者 や 障害 者 に地 域 社 会 で の ケ ア を提供 す る もので あ り,政府 が 施設 ケ ア で は な く地域 ケ ア を推進 す るな か で, 民 間部 門 と自治 体 との契 約 べ 一 スで ケ アが提 供 され る よ うに な り,これ に よ って
この協 同組 合 は増 加 した 。
社 会 雇 用協 同 組合 は,学 習 障害 者,身 体 障 害 者,感 覚 障 害 者,精 神 病 か らの 回 復途 上 者 に対 して,雇 用 と研 修 の 機会 を提供 す る民 主 的 自主 的 企業 の こ とで あ る。 時
に,「特 別 ニ ー ド協 同組 合 」 といわ れ る こ と もあ る。
児 童 ケ ア協 同組 合 には,労働 者協 同組 合 と利 用 者(保 護者)協 同組 合 の2つ の類 型 が あ る。ICOM加 盟 協 同組 合 で 言 え ば,両者 の割 合 は ほ ぼ同 じで あ る。
一 般 医協 同組 合 は,休暇 や夜 間 にお け る診療 を行 うため の もので,互 い に出資 と 労働 の提 供 を 行 い,労働 時 間 の長短 に よ って費 用 の 負担 額 な い し支払 額 を決 め る と い う もの で あ る。構 成 員 は,ナ シ ョナ ル ・ヘ ルス ・サ0ビ ス と契 約 して い る家 庭 医 で あ る。 これ は,か な り以 前 か らあ った。
複 数 基 金 協 同 組 合 は,最 近 で きた もの で あ る。1990年 の 「国 民 保 健 事 業 お よ び 地 域 ケア法 」に基 づ いて制 度 化 され た もの に,基金 保有 一 般 医 とい う もの が あ る。
医療 サ ー ビス を購 入 す るた め に基 金 を保 有 す る一 般 医 グル ー プ に対 して,家 庭 医 療 サ ー ビス部(FamilyHealthServiceAgency)か ら毎 年 運 営 費 の補 助 が な さ れ るが 複 数 基金 協 同組 合 とい うのは,基金 保 有開 業 医 の 出資 に よ る協 同組 合 を通 じて,契約,管 理 運 営,情 報 シス テ ム を共 同で 所 有,利 用,管 理 調 整 す る もの で あ る。
ヨー ロ ッパ 社 会 薬 局 同 盟(EuropeanUnionoftheSocialPharmacies)の
マ ル ク ・ア ン リ ・コーニ ーの発 言 も,社会的 経 済 に関 わ る もの で あ る。 彼 は,ベ ル ギ ーの 社会薬 局(SocialPharmacies)の 代表 で もあ る。社 会薬 局 とは,患者 の利 益 とな る医薬 品 の 提 供 を行 う もので あ り,フラ ンス,イギ リス,ベ ル ギ ー,オ ラ ンダ, ス イ ス な どで広 が って お り,スェー デ ンで も同様 な ものが 生 まれ て い る。 会 員 数 は お よそ7千 で あ る。社 会 薬局 はEU内 で注 目 されて お り,その指 針 も作 成 され て き て い る。 その 目的 は,医薬 品 に対 す る人 々の ア クセ ス の保 障 と効 率性 の確 保,予 防 活動 の強化 な どで あ る。EUの社 会 ・経 済 計画 の一 環 と して この社 会薬 局 が検 討 さ れ て い る。