原油価格下落下でのカナダのオイ
ルサンド・LNG プロジェクトの現況
2011 年以降バレルあたり 100USドル程度で推移してきた原油価格が、2014 年半ば過ぎから急激に 下落した。 カナダの石油生産を牽けんいん引していくと考えられていたオイルサンドは、採油時に蒸気を圧入したり、改 質を行ったり、パイプライン輸送用に希釈する必要があることなどから、コストが高い。また、パイプ ラインの輸送能力が限られているために、価格の変動が大きいという問題も抱えている。British Columbia(BC)州のChristy Clark首相が2020年までに三つのプロジェクトを立ち上げ、雇用 を促進し、BC州の経済を支える柱とするとしていた LNG輸出プロジェクトも、これまで LNG事業が 行われていなかった地域での新規プロジェクトであるため多大な投資を必要とし、競争の激化、先住民 や環境保護団体による反対といった課題に直面している。 原油価格下落により、これらのプロジェクトの開発、生産に大きな影響が生じるのではないかと懸念 の声が上がっている。現状はどうなっているのか、原油価格が下落を始めてから1年半の状況をまとめ、 2015年に政権交代があっが連邦政府とAlberta州の石油・ガス関連の政策と併せて分析を行った。
は
じめに
1.
オイルサンドプロジェクトはどこまで進展したか
(1)油価下落による影響 2014年末のカナダの石油確認埋蔵量は1,729億bblで、 ベネズエラ、サウジアラビアに次いで世界第3位とされ ている* 1。この膨大な石油確認埋蔵量の 98 %がオイル サンドであるとされている*2。 このオイルサンドの生産量は、技術革新による開発費 や操業費の低減、原油価格の高騰による経済性の好転等 により、2004 年末の 90 万 b/dから 2014 年には 216 万 b/dにまで急激に増加した。 オイルサンドのプロジェクトは、砂ごと採取して熱湯 を注いでビチューメンを流動化させ、砂や水と分離する 露天掘り(mining)法によるものが主であったが、次第 に、水蒸気や有機溶剤により地下でビチューメンの粘性 を下げて流動化させ、坑井で回収する地層内回収(in-situ)法によるプロジェクトが増えてきている。特に、 同一オイルサンド油層内に水平坑井を上下平行に2坑掘 削し、上方の坑井から水蒸気を圧入し、その熱で流動化 したビチューメンを下方の坑井から回収する SAGD(Steam Assisted Gravity Drainage)法のプロジェクト が増加している。原油価格が現在のように下落する以前 の 2014 年前半時点では、新規の露天掘りプロジェクト には延期や棚上げされるものがあったが、SAGD法を用 いたオイルサンドの新規生産計画や拡張計画は多数存在 し、オイルサンドプロジェクトへの投資は、「露天掘り +アップグレーディング」から「SAGD法+希釈による輸 送」に移っていく傾向にあった。 ところが、原油価格が急落したことにより、設備の建 設等ばく大な立ち上げ費用を必要とする新規のオイルサ ンドプロジェクトは、資金の確保や投資決定が難しくな り、SAGD法のプロジェクトを含めて、相次いで延期、 保留されるようになっている。その一方で、Imperial Oilの Nabiyeや Kearl第 2 期、Huskyの Sunrise第 1 期、 ConocoPhillipsの Surmont第 2 期、Athabasca Oilの Hangingstoneフェーズ1等建設中のプロジェクトについ ては、既に多額の投資を行っていることから、原油価格 下落にもかかわらず、大部分のプロジェクトの建設が続
けられている。生産中のプロジェクトについても、同様 の理由から、コスト削減を進めながら生産が続けられて いる。
2015 年に入ると、破産を申請し、企業債権者調整法 Creditors Arrangement Act(Canada)(CCAA)に基づ く債権者保護を獲得して人員削減と生産性の改善に取り 組んできたものの、原油価格低迷が続いていることで生 産中の STP-McKayの操業を停止する Southern Pacific Resourceのような企業も出現するようになってきた。 また、ShellのCarmon Creekプロジェクト第1期のよう に、既に建設が開始されていたにもかかわらず、生産開 始が2年先送りされ、最終的には中止されるプロジェク ト も 出 て き た。 そ し て、Connacher Oil and Gasや Grizzly Oil Sands等資産売却を計画する企業や Suncor Energyのように企業買収により事業拡大を図るものも 現れるようになっている。
Canadian Energy Research Institute(CERI)は、2015 年8月に発表したCanadian Oil Sands Supply Costs and Development Projects(2015 ~ 2035)で、ROR10%を 確保した上で事業展開する場合を想定すると、輸送と希
釈コストを除いたビチューメンの供給コストは、SAGD 法が58.65カナダドル/bbl、露天掘りが70.18カナダドル /bbl、Cushingまでの輸送コストを加味した供給コストは、 SAGD法が 80.06USドル /bbl、露天掘りが 89.71USドル /bblであるとした。この供給価格からも、新たにオイル サンドプロジェクトに着手することが難しいことがうか がわれる。一方で、オイルサンドプロジェクトには比較 的埋蔵量が大きい案件が多い上、在来型に比べプロジェ クトの寿命が長いことから、より長期の見通しに基づい て多額の投資が行われているため、建設中、生産中のプ ロジェクトは継続されていると考えられる。 では、それぞれの企業は、この原油価格低迷にどのよ うに対処しているのだろうか。主要な企業の動向を見て みよう。 ①Suncor Energy Suncor Energyは、2015年の資本支出を、2014年秋 の時点では 68 億カナダドルから 72 億~ 78 億カナダド ルに引き上げるとしていたが、原油価格下落を受けて、 2015 年に入りこれを 62 億~ 68 億カナダドルに引き下 SAGD 法 図1 出所:Alberta 州ホームページ http://www.energy.alberta.ca/OilSands/pdfs/FS_SAGD.pdf
げるとした。資本支出は削減したものの、同社の 2015 年第 3 四半期のオイルサンド生産量は前年同期の 44 万 1,100b/dから4%増加し、45万8,400b/dとなった。 業界全体でプロジェクト向けの支出が削減される傾向 にあることからコストが下がり、ガス価格の下落やメン テ ナ ン ス を 最 低 限 に 抑 え た こ と も あ っ て、Suncor Energyの操業コストは 2014 年の 34 カナダドル /bblか ら2015年第3四半期には27カナダドル/bblに引き下げ られたという。同社のSteve Williams社長兼CEOは、「燃 料コストが下がった上に、近隣に住む質の高い労働力に よって生産性が高まり、遠くから労働者を呼びよせる必 要がなくなったお陰で、プロジェクトにデフレが起きて いる」*3としている。 2015年1月にMacKay River拡張プロジェクト(生産 能力2万b/d。以下プロジェクト名の後ろの( )は生産 能力)のFIDを延期することとし、生産開始は早くても 2018 年とした。一方で、会社全体としては 2017 年末 までにさらに 10 万 b/d増産する計画であり、Fort Hills プロジェクトは予算内で建設を続け、2017 年末に操業 開始予定とされている。また、9 月には、同プロジェク トの権益 10 %を Totalから 3 億 1,000 万カナダドルで買 収し、権益保有比率を50.8%に引き上げた。
Suncor Energyは10月に入ると、Canadian Oil Sands (COS)株主に対して、COS株式1株とSuncor Energy株 式0.25株を交換するという内容の敵対的買収提案を行っ た。買収額は43億カナダドルで、その他負債23億カナ ダドルを加えて、Suncor Energyにとっては総額 66 億 カナダドルの負担となる。Suncor Enerryは既に 2015 年春に2度、COSの買収を提案しており、COS経営側は これを拒否してきた。COS経営側は今回も、Suncor 2014 年央以降のオイルサンドプロジェクトの主な動向 表1 注:青字はプロジェクトの進展、赤字は保留、延期等を示す。 出所: 各種資料より作成 年月 プロジェクト オペレーター 生産法 生産量 動向
2 0 1 4/09 Corner Statoil SAGD 4 万 b/d 少なくとも 3 年延期
2 0 1 4/1 0 Firebag Suncor SAGD 1 8 万 b/d 生産開始
2 0 1 4/1 1 Hangingstone Athabasca Oil SAGD 1.2 万 b/d 第 1 フェーズ間もなく生産開始。は当面保留 第 2、3 フェーズ
2 0 1 4/1 2 Kinosos-1A Nexen SAGD 2 万 b/d 生産開始
2 0 1 4/1 2 Sunrise-1 Husky SAGD 6 万 b/d 水蒸気圧入開始
2 0 1 5/01 Sunrise-2 Husky SAGD 1 4 万 b/d 計画保留
2 0 1 5/01 Kirby North Canadian Natural Resources SAGD 1 0 万 b/d 油価が安定するまで第 1 フェーズを延期
2 0 1 5/01 Telephone LakeGrand Rapids
Narrows Lake Cenovus Energy
SAGD SAGD SAGD 9 万 b/d 1 8 万 b/d 9 万 b/d 2014年11月、Telephone Lake開発承認。投資ペー スを遅らせる。生産開始は 2 0 1 7 年以降
2 0 1 5/01 MacKay River 拡張 Suncor SAGD 2 万 b/d FID を延期。生産開始は 2 0 1 8 年以降
2 0 1 5/02 Pierre River Shell 露天掘り 2 0 万 b/d 棚上げする意向を表明
2 0 1 5/03 Sunrise-1 Husky SAGD 6 万 b/d 生産開始
2 0 1 5/04 Black Gold-1 KNOC(Harvest Energy) SAGD 1 万 b/d 油価が 6 0US ドル /bbl になるまで生産開始を延期
2 0 1 5/04 TaigaOrion Osum Oil Sands SAGDSAGD 3.5 万 b/d1 万 b/d 生産拡張計画を延期
2 0 1 5/05 Nabiye Imperial Oil CSS 4 万 b/d 生産開始
2 0 1 5/05 Carmon Creek-1 Shell VSD 4 万 b/d 2 0 1 9 年まで 2 年先送り
2 0 1 5/06 Surmont-2 ConocoPhillips SAGD 1 4.8 万 b/d 蒸気圧入開始
2 0 1 5/06 Kearl-2 Imperial Oil 露天掘り 1 1 万 b/d 予定より 5 カ月早く生産開始
2 0 1 5/07 STP-McKay Southern Pacific Resource SAGD 1 万 b/d 操業停止
2 0 1 5/07 Frontier Teck Resources 露天掘り 2 6 万 b/d 5 年延期
2 0 1 5/07 Hangingstone-1 Athabasca Oil SAGD 1.2 万 b/d 生産開始
2 0 1 5/09 Surmont-2 ConocoPhillips SAGD 1 4.8 万 b/d 生産開始
2 0 1 5/1 0 Carmon Creek-1 Shell VSD 4 万 b/d 中止
2 0 1 5/1 0 Meadow Creek East Suncor SAGD 8 万 b/d 建設を申請。2 0 1 7 年建設開始、2 0 2 0 年生産開始を計画
Energyによる買収提案は、両社が権益を保有するオイ ルサンドプロジェクト Syncrudeの両社を合わせた保有 権益の価値を過小評価しているとして、これを拒否する よう株主に求めている。
同 じ く 10 月 に Suncor Energyは、Alberta Energy RegulatorにFort Murrayの南45 ㎞に位置するMeadow Creek Eastプロジェクト(8万b/d)の建設を申請した。 2017年に建設を開始し、2020年に生産を開始する計画だ。 このように、Suncor Enenrgyは原油価格の低迷が長引 くなか、コストを低減させながら、国内原油生産最大手 としての地位をさらに強固にすることを目指している。 ②Imperial Oil Imperial Oilは、以前より、長期的に恵まれた資産を保 有していると言っており、開発計画は短期の原油価格変 動に大きな影響を受けないとしていたが、その方針を変 えず、長期的な視点に立ち投資額を削減せずにきた。 2015年5月にはCold LakeのNabiye拡張プロジェクト(4 万b/d)、6月にはKearlプロジェクト第2期(11万b/d)の 生産を開始した。プロジェクトの拡張や立ち上げにより、 2015年1 ~ 9月の生産量は、Cold Lakeが前年同期の14 万5,000b/dから16万b/dに、Kearlが7万3,000b/d(Imperial のシェア5万2,000b/d)から13万6,000b/d(同9万6,000b/ d)に増加、同社の生産量も30万8,000b/dから35万5,000b/ dに15 %増加した。ただし、同社はKearlプロジェクト 第 2 期の生産開始時に、同プロジェクト第 3 期について 2020年としていた生産開始予定年に執着しないとしてお り*4、今後の動向が注目される。 ③Shell
Shellは、2015 年 2 月に、Pierre Riverオイルサンド プロジェクト(20万b/d)を棚上げする意向を表明した。
ビチューメン供給コスト 図2
出所:CERI, Canadian Oil Sands Supply Costs and Development Projects(2015 ~ 2035)
Real 2014 CDN$/bbl 80 70 60 50 40 30 20 10 0 58.65 SAGD 10% ROR 70.18 Mining 10% ROR Fixed Capital (Initial & Sustaining) 22.91 32.12 Operating Working Capital 0.53 0.70 Fuel (Natural Gas) 6.90 3.07 Other Operating Costs (incl. Elec.) 13.74 16.57
Royalties 10.41 12.80
Income Taxes 3.80 4.74
Emissions Compliance Costs 0.31 0.13 Abandonment Costs 0.04 0.05
契約は継続し、将来改めて開発を申請する考えであると いう。5 月には、コスト削減のために、2017 年生産開 始予定だったPeace River のCarmon Creekオイルサン ドプロジェクト第1期(4万b/d)を2019年まで2年先送 りすることとした。代わりに、既存のオイルサンドプロ ジェクトの収益性引き上げに注力するとしていたが、 10月になると、Carmon Creekプロジェクト第1期を中 止すると発表した。 同プロジェクトのように、既に建設が行われているオ イルサンドプロジェクトの中止は現在の原油価格下落下 でこれまで例がなかった。Southern Pacific Resourceが 生産中の STP-McKayの生産を停止したという例はある ものの、同プロジェクトの生産量は 1,943b/dと少ない ものであった。これと比較しても、ShellによるCarmon Creekプロジェクト第 1 期中止決定の影響は大きいと考 えられる。 ④Cenovus Energy
Cenovus Energyは ConocoPhillipsと Foster Creek、 Christina Lakeで生産を行っている。
同社は、2014 年 12 月に 2015 年の資本支出を 2014 年比 15 %減の 25 億~ 27 億カナダドルとするとしてい たが、2015年1月末にこれをさらに7億カナダドル削減 す る と し た。 そ し て、Telephone Lake(9 万 b/d)、 Grand Rapids(18万b/d)、Narrows Lake(13万b/d)各 プロジェクトへの投資ペースを遅らせるとした。いずれ のプロジェクトも生産開始は 2017 年以降とされている が、詳細な時期は表明されていない。 その一方で、建設中でコストの低いChristina Lakeや Foster Creekのオイルサンド拡張プロジェクトは計画 どおりに進めるとしている。同社は、コストを 30 %削 減しながら、Christina Lake Phase Fと Foster Creek Phase Gの生産を開始することで 2016 年にオイルサン ド生産量を 10 万 b/d増加させる計画だ。2015 年第 3 四 半期の同社のオイルサンド生産量は、14万6,743b/dで、 前年同期の12万5,089b/dから17%増加した。
同社の操業コストは、ガス価格の下落もあって、 Christina Lakeが 前 年 同 期 比 38 %、Foster Creekが 24 %低減した。輸送コストも 2015 年は 8 カナダドル / bblを予定していたが、生産増により単位あたりの輸送 コストが下落したことと、Flanagan Southパイプライ ンが利用可能になり鉄道利用が減ったことで、6.5 カナ ダドル/bblに下がった。
Cenovus Energyは、2017 年末までは WTI価格がバ レ ル あ た り 50USド ル 程 度 で 推 移 す る と 見 て お り、 Alberta州の地層内回収法のプロジェクトの掘削コスト を現在の 1 坑あたり 900 万カナダドルから 18 %削減し 740万カナダドルとすることを計画している。同社は既 に掘削日数を30%削減したという。 Cenovus Energyは、新規プロジェクトへの投資を遅 らせ、コストを削減しながら生産増を図ろうとするオイ ルサンド生産者の代表格と言うことができよう。 ⑤Total Totalは、2015年5月にSinopecとジョイントベンチャー を組んでいる Alberta Northern Lightsオイルサンドプ ロ ジ ェ ク ト(10 万 b/d) を 先 送 り す る こ と と し、 ConocoPhillips、Suncor Energyと パ ー ト ナ ー を 組 む Surmont(14万8,000b/d)、Fort Hills(16万b/d)のオイ ルサンドプロジェクトに専念するとした。6 月には、 Totalと ConocoPhillipsが SAGD法による Surmontオイ ルサンドプロジェクト第2期の生産を予定どおり開始し たと報じられた。同プロジェクトの第 1 期は 2007 年に 生産を開始し、3万b/dを生産しており、2017年までに 生産量を 11 万 8,000b/dに増加させる計画だ。Totalは、 9 月には、Fort Hillsプロジェクトの権益 10 %を Suncor Energyに3億1,000カナダドルで売却し、同プロジェク トの権益保有比率を29.2%に引き下げた。
⑥Canadian Natural Resources
Canadian Natural Resourcesは、2015 年 1 月、2015 年の予算 86 億カナダドルを62 億カナダドルに削減する とした。同社は以前より、将来のプロジェクトについて は生産削減か遅らせる可能性があるが、進行中のプロジェ クトは継続し、生産中のプロジェクトの生産を即座に削 減することはないとしていたが、実際、建設に着手して いないKirby Northプロジェクトを油価が安定するまで 延期するとした。一方、Horizonプロジェクトは2016年 末までに4万5,000b/d、2017年末までに8万b/d生産能 力を拡張し、同プロジェクトの操業コストをバレルあた り25 ~ 27ドルに引き下げる計画であるとしている。 なお、同社の 2015 年第 2 四半期の地層内回収法によ るオイルサンド生産量は、後述する森林火災の影響等で、 10 万 5,019b/dと、2015 年第 1 四半期比 28 %、前年同 期比8%減少した。 ⑦Husky Energy Husky Energy/BPはSunriseオイルサンドプロジェク ト第1期(6万b/d)について2014年12月に蒸気圧入を 開始、2015 年 3 月に生産を開始した。同プロジェクト
は生産能力を 20 万 b/dまで拡張することについて既に 認可を得、第 2 フェーズは 2020 年以降に生産開始の予 定とされていた。しかし、同社は、新規プロジェクトへ の支出を遅らせ、リターンを多く期待できるプロジェク トに集中するとして、第2フェーズを保留することとし た。3 月には、Sunriseオイルサンドプロジェクトで働 いていたSaipemの労働者約1,000人が解雇されている。
⑧Canadian Oil Sands
Canadian Oil Sandsは、 原 油 価 格 下 落 を 受 け て、 2015年の資本支出を4億5,100万カナダドルから4億2,200 万カナダドルに削減した。また、2015 年 1 ~ 6 月の操 業コストを当初見込みよりも20%削減した。その一方で、 オペレーターを務める Syncrude Canadaの生産量を 34 万 b/dに増やした。Syncrude Canadaの損益分岐点は 55カナダドル/bblであるという。
⑨Penn Growth Energy
Penn Growth Energyが2014年12月に蒸気圧入を開 始したSAGD法の Lindberghプロジェクト第1フェーズ は、2015年6月には生産能力1万2,500b/dを超える1万 3,000b/dを生産した。2015 年末までに同プロジェクト の生産量を 1 万 6,000b/dに増やす計画である。しかし、 同プロジェクトの第2フェーズ(1万8,000b/d)について は、生産開始時期を少なくとも1年遅らせると発表した。 ⑩Athabasca Oil
Athabasca Oilは 2015 年 7 月 に SAGD法 の Hanging stoneプロジェクトの生産を開始した。9 月末時点で、 生産量は4,000b/dを超えている。
⑪Connacher Oil and Gas
Connacher Oil and Gasは、Great Divideの Pod1 で 2008年より、Algerで2010年よりオイルサンドの生産 を行っている。生産量は 2 万 b/d以下である。原油価格 下落を受けて、企業ごと、あるいは、オイルサンド資産 の売却手続きを開始したという。 オイルサンド企業の多くは、コストや資本投資を削減、 経済性を向上させると同時に、生産能力を増強させよう と努めている。そして、個別のプロジェクトの状況で見 たのと同様に、建設中、生産中のプロジェクトは継続す るが、新規プロジェクトは先送りする傾向にあることが 見てとれる。 カナダ の 投 資 銀 行 TD Securitiesの 推 定 によると、 2015年9月末時点で、オイルサンド生産量220万b/dの うち3/4は損失を出して売却されている。また、原油価 格が65 ~ 75USドル/bblとなっても、新規オイルサンド プロジェクトが利益を上げるためには20 %から40 %の コスト削減が必要とのCitigroupの見方もあり*5、原油価 格低迷が長引けば、その影響はさらに大きくなろう。 なお、2015年第2四半期から第3四半期にかけて、メ ンテナンスに加え、森林火災と流出事故によるパイプラ インの操業停止でオイルサンドの生産量が減退した。 5 月 22 日、乾 燥した 気 候と高 温、落 雷により Cold Lake近郊で山火事が発生した。その後も、Alberta州内 で落雷の影響により制御不能な山火事が続々と発生し た。Alberta州政府は、消防士 1,600 人、ヘリコプター 200 機を投入し、消火にあたったが、26日には8,000ha であった被害地域が、27日には1万 7,483haに拡大、山 火事は全体で70 件となり、このうち29 件は手が付けら れない状態となった。そこで、州政府は住民等に安全な 場 所 へ の 緊 急 避 難 を 求 め た。 そ の 結 果、Kirby、 Primrose/Wolf Lake、Foster Creek、Leismer、 Christina Lakeの5件のオイルサンドプロジェクトに影響 が生じ、生産量の1割に相当する23万3,000b/dの供給が 止まった。山火事自体は例年、頻発しており、2011年に はFortMcMurrayでの火災によりオイルサンド設備の建 設が遅れたことがあったが、今回は生産が止まってしまっ たことから、懸念が高まった。6月1日にはAlberta州政 府が、一部を除き、火災は収束に向かっていると発表し、 こ れ を 受 け、Cenovus Energyや Canadian Natural Resourcesが生産再開に向けての活動を開始、3 ~ 4日に は各プロジェクトの生産が再開された。 また、7月15日にCNOOC子会社NexenのLong Lake プロジェクトのパイプラインからビチューメン、排水、 砂等3万1,500bblの流出が見つかった。8月30日に規制 当局の指示で Nexenが同パイプラインの操業を停止、 同プロジェクトの生産も中止した。同プロジェクトは 2008 年に生産を開始し、生産量は 5 万 b/dまで増加し ていた。流出したビチューメン等の除去とアルバータ州 の環境規制局による調査が行われ、9 月には同オイルサ ンドプロジェクトの操業が再開されている。 (2)生産見通し カナダ石油生産者協会(CAPP:Canadian Association of Petroleum Producers)は、2015 年 6 月、Crude Oil Forecast, Markets & Transportationを公表し、このな かでカナダの原油生産量は、2014 年の 374 万 b/dから 2030年には533万b/dに増加するとの見通しを示した。
CAPPは 2014 年の見通しで は、同国の 2030 年の原油生 産量を 644 万 b/dと見ていた が、今回の見通しでは、原油 価格下落を受けて投資額が減 少し、増産のペースが鈍化す るとの予測を示している。ま た、CAPPは、2030年までに、 在来型の原油生産量が微減す るのに対し、オイルサンド生 産量は 180 万 b/d増加すると 見ており、原油生産量に占め る オ イ ル サ ン ド の 割 合 は 2014 年の 58 %から 2020 年 に 66 %、2030 年 に は 74 % に増加すると予測している。 オ イ ル サ ンド の 内 訳 は、 2014年は露天掘りが91万b/ d、地層内回収法が 124 万 b/ dであったのに対し、2030年 は露天掘りが 158 万 b/d、地 層内回収法が 238 万 b/dとな ると予測されている。2014 年の見通しでは、2030 年に は露天掘りが 160 万 b/d、地 層内回収法が 321万 b/dにな ると予測されていたので、地 層内回収法の生産量が大きく 下方修正されたことになる。 2014 年半ばより油価が大 き く 下 落 し た こ と か ら、 CAPPは、今回の見通しでは 特別にオイルサンドプロジェ クトについて操業中、建設中 のものだけを積み上げ、計画 されている新規のプロジェク トを算入しない生産見通しも 発表している。それによると、 カナダの石油生産量は 2019 年ごろにピークを迎え、数年 後 か ら な だ ら か に 減 少 し、 2030 年 に 430 万 b/dと な る とされている。 2015年8月には、Canadian Energy Research Institute
0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0 6.0 7.0 8.0 2030 ... .. 2027 2025 2023 2021 2019 2017 2015 2013 2011 2009 2007 2005 Pentanes/Condensate 百万b/d 年 Actual Forecast Eastern Canada Conventional Light June 2014 Forecast Conventional Heavy Oil Sands Growth
Oil Sands Operating & In Construction
CAPP によるカナダの石油生産見通し 図3
出所:CAPP, Crude Oil Forecast, Markets & Transportation June 2015
CAPP によるカナダの石油生産見通し 表2
万 b/d
出所: CAPP, Crude Oil Forecast, Markets & Transportation より作成 2 0 1 4 年 生産量 2 0 1 5 年発表見通し 2 0 1 4 年発表見通し 2 0 2 0 年 2 0 3 0 年 2 0 2 0 年 2 0 3 0 年 カナダ西部 在来型(コンデンセート含む) 1 3 7 1 3 0 1 2 8 1 4 5 1 5 4 オイルサンド 露天掘り 9 1 1 3 1 1 5 8 1 3 3 1 6 0 in-situ 1 2 4 1 7 7 2 3 8 1 8 7 3 2 1 計 2 1 6 3 0 8 3 9 5 3 2 0 4 8 1 カナダ西部生産量 3 5 2 4 3 8 5 2 3 4 6 5 6 3 5 カナダ東部生産量 2 2 2 6 9 2 6 9 カナダ生産量 3 7 4 4 6 4 5 3 3 4 9 1 6 4 4 0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0 6.0 7.0 8.0 2030 ... .. 2027 2025 2023 2021 2019 2017 2015 2013 2011 2009 2007 2005 Pentanes/Condensate 百万b/d 年 Actual Forecast Eastern Canada Conventional Light Conventional Heavy Oil Sands Operating &
In Construction
CAPP によるカナダの石油生産見通し(操業中、建設中のプロジェクトのみ) 図4
(CERI) が、Canadian Oil Sa nds Supply Cost s a nd Development Projects(2015 ~ 2035)を発表した。 CERIはこのなかで、①操 業中のプロジェクトはプロ ジェクト終了まで生産を継続 ( 新 規 フ ェ ー ズ の 追 加 は な い)、②建設中のプロジェク トはわずかに遅延しながらも 進展し、計画された生産能力 に達する、③認可済み、申請 済みのプロジェクトは遅延す るが、公表されている生産能 力に達する可能性が高い、④ 公表されているものの申請等 の手続きが行われていないプ 万 b/d オイルサンド生産見通し 表3
出所: CERI, Canadian Oil Sands Supply Costs and Development Projects(2015 ~ 2035)より作成
2 0 1 4 年 2 0 2 0 年 2 0 3 0 年 2 0 3 5 年 ピーク時生産量(年) High Case 2 0 5 3 4 0 4 9 1 4 8 9 5 8 0(2 0 3 7 年) Reference Case 2 0 5 3 1 0 4 3 1 4 3 9 5 0 0(2 0 3 9 年) Low Case 2 0 5 2 8 2 3 9 4 4 1 0 4 4 0(2 0 4 1 年) 0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 6,000 7,000 2007 2009 2011 2013 2015 2017 2019 2021 2023 2025 2027 2029 2031 2033 2035 2037 2039 2041 2043 2045 2047 年 千b/d
(Production, High Case Scenario) (Production, Low Case Scenario) (Production, Reference Case Scenario)
ビチューメン生産見通し(2014 年時点) 図5
出所:CERI, Canadian Oil Sands Supply Costs and Development Projects(2014 ~ 2048)
千b/d 0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 6,000 2007 2009 2011 2013 2015 2017 2019 2021 2023 2025 2027 2029 2031 2033 2035 年 (Production, High Case Scenario)
(Production, Low Case Scenario) (Production, Reference Case Scenario)
ビチューメン生産見通し(2015 年時点) 図6
ロジェクトは生産見通しに算入しない、として三つの生 産シナリオを発表した。 CERIによると、オイルサンドの生産量は 2014 年の 205万b/dから、参考(Reference)ケースシナリオでは 2020 年に 310 万 b/d、2030 年に 431 万 b/d、ハイケー スシナリオでは 2020 年に340 万 b/d、2030 年に491 万 b/dに増加する見通しとされている。しかし、2014年に 発表された見通しと比較すると生産増は先送りにされ、 ピーク時の生産量も低い見通しとなっている(図5、図6)。 CERIは、このレポートのなかで、自らの発表したハイ ケースシナリオの生産見通しと、CAPPの生産見通し、 National Energy Board(NEB)が2013年11月に発表した 見通し、Alberta Energy Regulator(AER)が2015年6月 に発表した見通しを比較している。2020年までは、いず れの見通しも同様の増加傾向を示しているが、それ以降 は、CAPPの見通しがそのほかの見通しより若干低め(2020 年308万b/d、2030年395万b/d)となっている。いずれ にせよ、油価低迷が長期化すれば、これらの生産見通し はさらに下方修正される可能性があると考えられる。 (3)パイプライン 原油価格下落により、オイルサンド生産量増加のペー スは従来考えていたよりも鈍化する見通しとなったもの の、それでもCAPPの見通しによるとオイルサンド生産 量 は 2020 年 ま で は 年 に 15 万 5,000b/d増 加、 そ の 後 2030年までの10年間は年に8万7,000b/dの割合で増加 する。現在、カナダ西部のパイプラインの送油能力は約 400万b/dとなっており、オイルサンド生産量の増加によっ て、鉄道輸送を利用しても輸送能力が不足するようにな り、2018年までには新たなパイプラインが少なくとも一 つは稼働を始めることが必要になると見られている。 2014 年 末 に Enbridgeが、 米 国 Illinois州 Pontiacと Oklahoma州 Cushing間に Flanagan Southパイプライン (輸送能力58万5,000b/d)を稼働させたことで、パイプ ラインの送油能力が拡張され、オイルサンドの輸送コス トも削減されることとなった。Flanagan Southパイプ ラインのように、カナダ西部から離れた地点に敷設され たパイプラインであっても、オイルサンドの生産量、コ ストに大きな影響を与えることになる。 表4に、オイルサンドプロジェクト関連のパイプライ ンの建設、拡張計画を示した。 これら4プロジェクトのうち、最も早期に実現される 可 能 性 が 高 い と 見 ら れ て い る の が、 既 存 の Trans Mountainパイプラインの送油能力を拡張するプロジェ クトである。同パイプラインは、全長1,150㎞、口径24 ~ 36 イ ン チ、 送 油 能 力 30 万 b/dで、 ア ル バ ー タ 州 EdmontonからBC州Burnabyや米国Washington州に原 油、石油製品を輸送している。Kinder Morganは 54 億 カナダドルを投じ、このパイプラインに並走して全長 994 ㎞、口径 36 インチのパイプラインを敷設する計画 である。既存のパイプライン Line-1 は送油能力 35 万 b/ dに拡張され、石油製品、軽質原油、重質原油を輸送し、 各機関のビチューメン生産見通しの比較 図7 千b/d 年 0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 3,000 3,500 4,000 4,500 5,000 5,500
Actual/ Historical Outlook
Total Bitumen Extraction - CERI Total Bitumen Extraction - AER Total Bitumen Extraction - NEB Total Bitumen Extraction - CAPP
2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 2022 2023 2024 2025 2026 2027 2028 2029 2030 2031 2032 2033 2034 2035
新設される送油能力 54 万 b/dの Line-2 は、重質原油を 輸送、必要があれば軽質原油も輸送するという計画だ。 2016年第1四半期にはNational Energy Board(NEB)の 承認を得、2018 年第 3 四半期に稼働できるのではない かとの見方もあった。しかし、2015 年 8 月に NEBが、 同パイプライン拡張に関する公聴会を延期し、また、 Kinder Morganに追加のデータ提出を求めたことから、 数カ月の遅れが生じる模様となった。BC州、特にパイ プラインのターミナル Burnaby市ではいまだに強い反 対があるものの、乗り越えられない障害ではなく、 2016 年には進展が見られ、2018 年末か 2019 年初には 稼働できるのではないかとの見方がなされている。 Trans Mountainパイプラインと同様に、太平洋岸に 石 油 を 供 給 す る パ イ プ ラ イ ン と し て、Northern Gatewayパイプラインが計画されている。Enbridgeは、 65 億 USド ル を 投 じ、Alberta州 Bruderheimと BC州
Kitimat間に全長 1,177 ㎞、口径 36 インチのパイプライ ンを敷設する計画だ。このパイプラインの送油能力は 52 万 5,000b/dが 予 定 さ れ て い る。2013 年 12 月 に、 NEBが209項目の条件付きでNorthern Gatewayパイプ ライン計画を承認、2014 年 6 月 17 日には連邦政府が同 パイプライン計画を承認した。しかし、同パイプライン は、四つのプロジェクトのなかで最も先住民等の反対が 強いプロジェクトとなっている。また、Justin Trudeau 首相も同パイプラインに反対の意を表明している。 Trudeau首相は、就任直後の 2015 年 11 月 13 日には、 運輸大臣に BC州北部太平洋沖合での原油のタンカー輸 送を禁止するよう示唆した。
TransCanadaは Alberta州 Hardisty ~ Quebec州 Quebec City、New Brunswick州Saint John間全長3,000 ㎞の Mainline天然ガスパイプラインを石油パイプライ ンに転用し、MontrealからNew Brunswick州まで1,400
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2020
2018
2016
2014
百万b/d 年Western Canadian Refineries Express
Trans Mountain Enbridge Mainline
Keystone
Rangeland & Milk River
TransCanada Energy East
Rail Trans Mountain Expansion
Northern Gateway
Alberta Clipper Expansion Enbridge Line 3 capacity restored Keystone XL
Western Canadian supply + U.S. Bakken movements*
*Refers to the portion of U.S. Bakken production that is also transported on the Canadian pipeline network. Capacity shown can be reduced by temporary operating and physical constraints.
オイルサンド関連・パイプライン建設、拡張計画 表4
出所: 各種資料より作成
パイプライン 企業 拡張される送油能力 総延長 投資額
太平洋岸 Trans Mountain 拡張 Kinder Morgan 5 9 万 b/d 9 5 0 ㎞ 5 4 億カナダドル
Northern Gateway Enbridge 5 2.5 万 b/d 1,1 7 2 ㎞ 6 5 億カナダドル
東部 Energy East TransCanada 1 1 0 万 b/d 4,4 0 0 ㎞ 1 2 0 億カナダドル
米国メキシコ湾岸 Keystone XL TransCanada 8 3 万 b/d 1,8 9 7 ㎞ 7 0 億~ 8 0 億 US ドル
カナダ西部のパイプライン送油能力と供給量の見通し 図8
㎞のパイプラインを追加で敷設するEnergy Eastパイプ ラインプロジェクトを計画している。送油能力は110万 b/dとされている。2018年第4四半期からの稼働開始を 目指していたが、シロイルカを保護する必要から、 Quebec州に予定していた石油輸出ターミナルの建設を 取 り や め、 現 在、 石 油 輸 出 タ ー ミ ナ ル を New Brunswick州Saint Johnのみに建設することで計画を見 直 し て い る。TransCanadaは 既 に Irving Oilと Saint Johnにターミナルを建設することについてジョイント ベンチャーを組んでおり、Irving Oilの既存のCanaport 輸入ターミナルに隣り合わせてこれを建設する計画であ る。Northern Gatewayパイプラインに比べると同パイ プラインの敷設に対する反対は少なく、2020 年以降に 稼働できると見られている。 TransCanadaのKeystone XLパイプラインはAlberta 州Hardistyと米国Nebraska州Steele City間をつなぐ送 油能力83万b/dのパイプラインで、Alberta州で生産さ れる重質油と Bakkenシェールで生産されるシェールオ イルを米国中西部とメキシコ湾岸に供給する計画であ る。米国との国境をまたぐパイプラインなので、米国の 承認を得なくてはならないが、当初の申請は環境保全が 完全には保証できないとして、2012年1月に拒否され、 パイプラインルートを変更し、プロジェクトを2分割し て進められている。 分割された南部部分は、Gulf Coastパイプラインとし て2014年1月より操業が開始された。 ルートが変更された北部部分については、米国国務省 が 2014 年 1 月に、Keystone XLパイプラインの建設が あろうとなかろうと、カナダにおけるオイルサンドの開 発ペースは変わらず、同パイプラインの建設が環境に著 しい影響を与えないとの環境影響評価書を発表した。そ の後紆う よ余曲折を経て、2015年1月29日に米国上院で62 対 36、2 月 11 日に下院で 270 対 152 をもって、同パイ プラインの建設計画を承認する法案が可決された。しか し、Obama大統領はこの法案に拒否権を行使した。上 院は Obama大統領の拒否権を覆すための採決を行った が、十分な賛成票を得られず、下院での採決は行われな いこととなった。 さらに、Obama大統領は 11 月 6 日、KeystoneXLパ イプラインを建設しても、長期的な経済貢献は期待でき Portland Montréal
Québec City Saint John
Sarnia
Cushing St. Paul Salt Lake City
Houston St. James New Orleans Crane Freeport Edmonton Anacortes Burnaby TransCanada Keystone
Alberta Clipper Expansion
Trans Mountain BP Ozark Enbridge Mid V alley Hardisty Shell Ho-Ho Express Platte Spearhead South Spearhead North
+ Spearhead North Twin
Superior Wood River Cromer Clearbrook Guernsey TransCanada Keystone XL Kinder Morgan TM Expansion
Kitimat Enbridge Gateway
Mustang
S. Access Extension
Patoka
Seaway & Seaway Twin
TransCanada Gulf Coast
Enbridge Line 9 Reversal Lima
Warren Westover
Southern Access Expansion
TransCanada Energy East
Flanagan South
Bakken Expansion
Pony Express Flanagan Chicago
Capline Minnesota
N. Dakota System
KOCH Rangeland Bow River
Line 5 Pegasus Basin Centurion Portland-Montréal Port Arthur
Canadian and U.S. Oil Pipelines
Enbridge Pipelines and connections to the U.S. Midwest
Spectra Express/Platte Kinder Morgan Trans Mountain TransCanada Keystone
Proposed pipelines to the West Coast
Existing / Proposed pipelines to the E. Canada Existing / Proposed pipelines to PADD III Expansion/Reversal to existing pipeline Sandpiper El Paso Longhorn Midland カナダと米国の石油パイプライン 図9
ず、石油価格引き下げ効果もなく、エネルギー安全保障 にもつながらない等を理由とし、同パイプライン建設計 画を却下する方針を表明した。これに先立って、米国国 務省は4日、同パイプライン建設計画の審査手続きを一 時停止するよう求めた TransCanadaの申し入れを正式 に拒否しており、この決定に基づき、Obama政権は建 設許可申請を却下すると予想されていた。TransCanada の国務省に対する審査手続きの延期要請の狙いについて は、Obama大統領の退任後に計画を支持する大統領が 就任するまで判断を先送りさせようという試みと見られ ていた。民主党の有力な大統領候補者はいずれも計画に 反対、一方、共和党の候補者の大半は計画を支持してお り、計画の有力支持者ジョン・ホーベン上院議員は、 2017 年に共和党が政権を取れば直ちに計画が承認され ると見ているという。TransCanadaは、国務省の決定 を尊重した上で引き続き承認を強く求めていく方針であ るとしている。 このように環境問題への配慮等からいずれのパイプラ インプロジェクトも進展は遅い。 状況を打開しようと、2015 年 7 月 17 日には、カナダ 各州の首相が、Canadian Energy Strategyに合意した。 石油、ガス輸出を促進するためにパイプライン、インフ ラの承認を合理化するという内容だ。州のエネルギー大 臣が率いる四つの委員会が設置され、2016 年に各州首 相に勧告を行うという。ただし、現在進行中のパイプラ インの承認を加速するような明白なアクションは提案さ れていない。また、連邦政府の規制についても触れるこ とはないという。したがって、オイルサンド生産者にとっ てパイプライン経由での市場へのアクセスを劇的に変え るものではないが、Energy Eastパイプラインプロジェ クトに関する州レベルでの調整を容易にする可能性はあ ると見られている。 一 方 で、 先 に 述 べ た と お り、7 月 15 日 に は Fort McMurrayの南を走るパイプラインで油流出事故が発覚 した。この 1980 年以降 Alberta州で起きた最大の油流 出事故については、Nexenの油流出探知システムが十分 に働かず、発覚するまで数週間にわたり油流出が続いて いた可能性もあるとされ、パイプラインへの信頼感を喪 失させる出来事となった。 10 月 19 日に実施された連邦総選挙で単独で過半数を 確保し圧勝した自由党は、一般的に保守党に比べるとオ イルサンド関連のパイプラインに対しては厳しい態度を とっているものの、市場へのアクセスの重要性を理解し て い る と 見 ら れ て い る。 後 述 す る よ う に、Justin Trudeau首相は、オイルサンド関連のパイプラインに関 して、プロジェクトごとに態度を異にしている。また、 パイプラインに関する環境規制のプロセス強化を主張し ており、動向が注目される。 オイルサンドの生産量を増加させることが可能であっ ても、これを輸送する手段が確保されていなければ、生 産量を増やすことはできず、引き続きパイプラインの敷 設状況を注意深く見守っていくことが必要となろう。 なお、CAPPによると、2014 年の石油の鉄道輸送量 は平均で 18 万 5,000b/dとなっている。鉄道による石油 輸送は今後も 2018 年まではパイプラインの送油能力を 補う形で増加することが見込まれ、その後は、パイプラ インの稼働状況に影響を受けることになるだろうと、 CAPPは見ている。
2.
LNGプロジェクトの状況
BC州の Christy Clark首相は、2020 年までに三つの LNG輸出プロジェクトを立ち上げ、10 万人の雇用を確 保、今後 30 年間に BC州の歳入を 1,000 億カナダドル増 やすとしてきた。豊富な天然ガス可採埋蔵量(BC政府に よる調査では、BC州全体では 600Tcf超)、気温が低い ために液化や貯蔵のコストを抑えられること、パナマ運 河経由の米国や中東に比べアジア市場への距離が短く輸 送コストを抑えられること等を背景に、BC州のLNG輸 出プロジェクト計画は短期間のうちに次々と数を増やし てきた。現在、計画中のプロジェクトが 20 件、NEBが 輸出を承認したものが 13 件となっている。そして、こ れまでにLNGプロジェクト推進のためにBC州で125億 USドルが投じられてきたとされている。 これらのプロジェクトは新規プロジェクトであり経済 性が懸念されること、先住民の反対が強いこと、環境審 査に時間がかかること、いくつものプロジェクトが同時 に立ち上がる可能性があり労働力の確保が難しいこと、 さらに、ここ1年ほどは、中国をはじめとする需要の伸び悩み、原油・ガス価格の低迷等の課題はあるものの、実 現を目指して推し進められている。
主なプロジェクトの状況を見てみよう。
Pacific NorthWest LNGプロジェクトはPetronasが主 導、JAPEX Montney Ltd.、Sinopec/Huadian、Indian Oil、PetroleumBruneiが 参 画、Prince Rupert近 郊 の
Lelu島に当初液化能力 600 万トン/年のトレイン2 基を 建設、その後同規模のトレインをさらに1基建設するこ とが計画されている。 同プロジェクトは、2014年12月に最終投資決定を予 定していたが、建設費用のさらなる削減を図るべく協議 を継続するためこれを延期した。そして、2015 年 6 月 BC 州で計画されている LNG 輸出プロジェクト 表5 プロジェクト名 関係企業 概要 その他
① Kitimat LNG Chevron Canada(5 0 %)
Woodside(5 0 %) ・ 建設予定地:Kitimat 港近郊 Bish Cove・ 規模:当初LNG 500万トン/年(将来は1,000万トン/年(15 億 cf/d)まで拡張予定)
・ 環境アセスメント認可済み(BC 州:2 0 0 9/1, 連邦: 2 0 0 8/1 2)
・ National Energy Board(NEB)輸出許可承認:2 0 1 1/1 0 (LNG 1,0 0 0 万トン / 年、2 0 年間)
・ 2 0 1 3/1/2 3、連邦政府は先住民居留区における同プラン ト建設許可を承認(これを以て所要の全ての許可取得済み) ・ 2 0 1 4/1、液化プラントの設計 / 資材調達 / 建設(EPC)役
務を、JGC/ Fluor に発注、現在基本設計(FEED)実施中
※ 2 0 1 2/1 2/2 4、Chevron が EOG および Encana の持ち分 を買収(両社は撤退)。Apache と Chevron は LNG/ パイプ ライン / 上流アセット全てにおいて 5 0/5 0 の JV 設立 ※ 2 0 1 4/1 2、Woodside は Apache より Wheatstone LNG お
よび Kitimat LNG の権益と豪州関連資産を取得することに つき合意。2 0 1 5/4/1 0 までに取引完了。発効日は 2014/7/1にさかのぼる。Kitimat資産の取引額は、8億5,400 万 US ドル ※ LNG Plant オペレーター:Chevron ※輸出規制緩和 1 9 8 5 年以降初の輸出許可案件 Pacific Trail Pipeline(PTP)
(Kitimat LNG 専用パイプラ イン)
Chevron Canada(5 0 %)
Woodside(5 0 %) ・ 総延長 4 8 0 ㎞(Kitimat 近郊 Bish Cove – Summit Lake 間)・ Summit Lakeは既存のSpectra Energy Westcoast Pipeline との結節点(Spectra Energy Westcoast Pipeline:BC 州二 大ガス生産地である Horn River および Montney と Vancouver を直結) ・ キャパシティ:1 0 億 cf/d ・ BC 州環境アセスメント認可済み(2 0 0 8) ※ Pipeline オペレーター:Chevron ※先住民 1 6 部族と Benefits agreement 締結 上流アセット ・Liard Basin ・Horn River Basin
Chevron Canada(5 0 %)
Woodside(5 0 %) ・ 総面積 6 4 万 4,0 0 0 エーカー(Liard3 9 万 5,0 0 0 エーカー、Horn River 2 2 万エーカー) ※上流オペレーター: Woodside 移行期間終了後 Chevron がオペレーターを引き継ぐ ② Douglas Channel LNG Douglas Channel LNG コン
ソーシアム
AIJVLP(AltaGas/ 出光興 産)
EDFT Trading EXMAR
・ 建設予定地:Kitimat 港近郊 Douglas Channel 西岸 District Lot 9 9
・ 規模:5 5 万トン / 年 ・ 浮体式液化設備(FLNG)を設置
FLNG(液化能力 6 0 万トン / 年、貯蔵能力 2 万㎥)は Wison Offshore & Marine に発注、完工 2 0 1 7 年、引き渡し 2 0 1 8 年を予定 ・ NEB 輸出承認申請:2 0 1 5/6/1 (LNG 7 8 0 万トン / 年、2 5 年間) プロジェクト実施企業変更により、2 0 1 5/3 に輸出許可取 り消し、2 0 1 5/6 に再申請 ・ 2 0 1 5/9、EXMAR は FEED を完了したと発表 ・ FID:2 0 1 5 年末 ・ 輸出開始予定:2 0 1 8 年 ※ 先住民 Haisla 族が自ら出資、参画するプロジェクトであり、 輸出許可も Kitimat LNG についで 2 番目に取得したが、財 政難により、2 0 1 3 /1 0、企業債権者調整法による保護の 適用を申請 ※ 2 0 1 5/1/2 8、AIJVLP(出光興産 / AltaGas)/EDF/ EXMAR の 3 社から成る Douglas Channel LNG コンソーシ アムはDouglas Channel LNGプロジェクトの全所有権を取 得したと発表
※先住民 Haisla 族と建設用地や水使用の長期リースに合意 ※ EXMAR が FLNG の開発・操業を担当
パイプライン 保有せず ・ 既存の Pacific Northern Gas(PNG) Pipeline を利用予定
上流アセット 保有せず ・ Pacific Northern Gas(PNG)の既存パイプラインの輸送能
力について 2 0 年間の合意締結 ③ LNG Canada LNG Canada Shell (5 0 %) 三菱商事(1 5 %) KOGAS (1 5 %) PetroChina (2 0 %) ・ 建設予定地:Kitimat 港 ・ 規模:1,2 0 0 万トン / 年(2 0 億 cf/d)(将来的には 2,4 0 0 万トンまで拡張予定)
・ 2 0 1 5/6/1 7、CEAA から Environmental Assessment に関 する条件付き承認を、BCEAO から Environmental Assessment Certificate を取得 ・ NEB 輸出承認:2 0 1 3/2/4 (LNG2,4 0 0 万トン / 年、2 5 年間) ・ 2 0 1 5/7、NEB に輸出期間延長申請 ※ LNG Canada 参加 4 社の取り組みは、①原料ガス供給、② ガスパイプライン輸送、③ LNG プラント、④ LNG 引き取 りまでの全体を視野 ※ 2 0 1 4/2/1 2、Rio Tint と港湾施設および土地利用につい て契約締結 ※ 2 0 1 4/5/1、LNG Canada 参加 4 社は合弁事業契約締結、 プロジェクト開発に本格着手 ※ LNG Plant オペレーター:LNG Canada Coastal GasLink Pipeline
(LNG Canada 専用パイプ ライン)
TransCanada ・ 総延長 6 7 0 ㎞(Kitimat – Dawson Creek〈Montney〉間) ・ キャパシティ:2 0 億~ 3 0 億 cf/d ・ パイプライン口径:4 8 ” ・ BC 州条件付き環境アセスメント認可済み(2 0 1 4/1 0) ※ 2 0 1 2/6/5、発表 ※ Pipeline オペレーター:TransCanada 上流アセット JV 構成会社 ・ JV 構成 4 社がそれぞれの保有上流権益 / アセットを活用見 込み ※上流オペレーター:JV 各社 ④ Cedar1,2,3
LNG Export Cedar LNG Export Development(Haisla 族) ・ 建設予定地:Kitimat 近郊 Douglas Channel・ 規模:1,4 5 0 万トン / 年 ・ 浮体式液化設備(FLNG)を設置 ・ NEB 輸出承認(Cedar1):2 0 1 5/1 2/1 (LNG1,4 5 0 万トン / 年、2 5 年) ・ 輸出開始予定: 2 0 2 0 年 ⑤ Pacific NorthWest LNG Progress Energy Canada
(Petronas)6 2 % JAPEX Montney Ltd. 1 0 % Petroleum Brunei 3 % Indian Oil Corp 1 0 % Sinopec/Huadian 1 5 %
・ 建設予定地:Prince Rupert 港 Lelu 島
・ 規模:1,2 0 0 万トン / 年(6 0 0 万トン / 年× 2 トレイン) ・ 環境アセスメント認可:2 0 1 3/2
・ NEB 輸出承認:2 0 1 3/1 2/1 6 (LNG1,9 6 8 万トン / 年、2 5 年間)
・ 2 0 1 4/2、Environmental Impact Statement (EIS)を環境 規制機関 Canadian Environmental Assessment Agency (CEAA)と British Columbia Environmental Assessment
Office(BC EAO)に提出
・ 2 0 1 4/1 1/2 5、BC EAO より Environmental Assessment Certificate 取得 ・ 条件付き FID:2 0 1 5/6/1 1 ・ 2 0 1 5/7、BC 州議会がプロジェクト開発契約 (Project Development Agreement)承認 ・ 設備基本設計を実施中 ・ 輸出開始予定:2 0 1 9 年 ※ 2 0 1 2/1 2/7、連邦政府は Petronas による Progress Energy Canada 買収(6 0 億カナダドル)を許可 ※ 2 0 1 3/3、JAPEX が 1 0 %権益を取得することを発表 ※ LNG Plant オペレーター:Progress Energy
Prince Rupert Gas
Transmission Project Trans Canada ・ 総延長:9 0 0 ㎞見込み(Prince Rupert- Fort St. John 間) (NOVA Inventory Transfer Trading Hub に直結) ・ キャパシティ:2 0 億 cf/d
・ パイプライン口径:4 8 ” ・ 供用開始:2 0 1 9 ~ 2 0 2 0 年見込み
※ 2 0 1 3/1/9、発表
※ Trans Canada は併せて既存の NOVA Gas Transmission System(BC 州北東部)の能力増強(1 5 億カナダドル)も発 表
※ Pipeline オペレーター:TransCanada
11 日に、同プロジェクトの条件付き最終投資決定が決 議されたことが明らかにされた。同プロジェクトは、 BC州との間におけるプロジェクト開発契約(Project Development Agreement)がBC州議会により承認され、 また、カナダ連邦政府による環境影響評価の承認が得ら れた後、パートナー間において最終投資決定されること となった。7 月には、同州議会がプロジェクト開発契約 を承認し、現在、カナダ連邦政府による環境影響評価の 承認を待っている状態である。10 月には、マレーシア 地 元 紙 が、 石 油、 ガ ス 価 格 の 下 落 を 背 景 に 同 国 の Petronasが同プロジェクトの稼働を先送りする可能性 があると報じたが、これに対して Petronasは、原油、 上流アセット
・BC 州 Northwest Montney (Petronas)6 2 %Progress Energy Canada JAPEX Montney Ltd. 1 0 % Petroleum Brunei 3 % Indian Oil Corp 1 0 % Sinopec/Huadian1 5 %
・ 生産中(AECO 市場に販売) ※上流オペレーター:Progress Energy
⑥ Prince Rupert LNG BG Group ・ 建設予定地:Prince Rupert 港 Ridley 島
・ 規模:2,1 0 0 万トン / 年(当初 7 0 0 万トン / 年× 2 トレイン) ・ NEB 輸出承認:2 0 1 3/1 2/1 6
(LNG2,1 0 0 万トン、2 5 年間) ・ 輸出開始時期: 2 0 1 9 年
※ Prince Rupert Port Authority が BG Group との F/S 開始を 公式に表明
※ 2 0 1 4/4、CNOOC は BG と Prince Rupert LNG に 4 0 億 US ドルを投じ参入することで初期合意 ※ 2 0 1 4/1 0、ガス価格が弱含みであること、米国からの LNG 輸出が積み上がっていること、コストの上昇等から、 LNG 市場が供給過剰となるリスクがあると見て、同プロ ジェクトを休止 ※ 2 0 1 5/4/8、Shell が BG を約 7 0 0 億 US ドルで買収するこ とで合意 ※ LNG Plant オペレーター:BG Westcoast Connector Gas
Transmission Spectra Energy Corp ・ 投資規模:6 0 億~ 8 0 億カナダドル・ 建設開始:2 0 1 7 年 ・ 総延長 8 5 0 ㎞(Prince Rupert – Northeast BC) ・ キャパシティ:4 2 億 cf/d ・ パイプライン口径:4 8 ” ※ 2 0 1 2/9/1 0、発表。 ※本プロジェクトは Spectra と BG で 5 0/5 0。 ※ BG は自社専用と発表したものの、Spectra は他社供給の余 地ありとコメント
※ Pipeline オペレーター:Spectra Energy
上流アセット 未定
⑦ Triton LNG
(Western Canada LNG) AIJVLP(Alta Gas、出光興産) ・ 建設予定地:Prince Rupert または Kitimat 近郊・ 両社で LNG と LPG のアジア向け輸出に関する JV(5 0/5 0) を設立 ・ LNG 関連 - 操業開始:2 0 1 9 年見込み -2 3 0 万トン / 年 -NEB 輸出承認:2 0 1 4/4/1 6 (LNG2 4 7 万トン / 年、2 5 年間) ・ LPG 関連 - 操業開始 2 0 1 6 年見込み -7 0 万トン / 年
※ Alta Gas は、既存の PNG Pipeline を有する Pacific Northern Gas Ltd の親会社
※ LNG Plant オペレーター:Alta Gas
Pacific Northern Gas
(PNG) Pipeline 拡充 同上 ・ 既存の PNG Pipeline を拡充予定(輸送能力 4 倍〈P〉に)・ 総延長:5 2 5 ㎞ ・ 供用開始:2 0 1 6 年めど ※ PNG は 2 0 0 5 年の Methanex 社メタノールプラント閉鎖以 降未使用状態 ※ BC LNG にも供給予定 ⑧ Aurora LNG Nexen(CNOOC)6 0 % IGBC(INPEX、日揮) 4 0 % ・ 総工費:1 7 0 億~ 2 0 0 億カナダドル ・ 建設予定地:Prince Rupert 港 Digby 島 ・ 規模:5 0 0 万~ 6 0 0 万トン / 年× 2 トレイン ・ NEB 輸出承認:2 0 1 4/5/1 (LNG2,4 0 0 万トン / 年、2 5 年間) ・ FID:2 0 1 7 年予定 ・ 操業開始:2 0 2 3 年予定 ※ 2 0 1 3/4、BC 州政府は Prince Rupert 北 4 0 ㎞の公有地 Grassy Point での LNG プラント等に関する公募に関し 4 グ ループの応募を認めた旨発表 ※ 2 0 1 3/1 1、土地利用に関する合意(BC 州政府に 2,4 0 0 万 US ドルを支払い、土地 6 1 4.9ha、沖合 1 5 8.7ha を確保) ※ 2 0 1 5/1/1 2、BCEAO はプロジェクト仕様書の改訂版を
公表。建設候補地は Prince Rupert 近郊 Digby 島 上流アセット
・ BC 州 Horn River/ Cordova /Liard
同上 ・ 2 0 1 3/1 1 時点で Horn River は生産中 ※ 2 0 1 3/1 1、INPEX、日揮は Nexen が HornRiver/ Cordova /Liard に保有するシェールガス鉱区の権益の 4 0 %を取得 ⑨ WCC LNG Imperial Oil(5 0 %)
ExxonMobil Canada(50%)・ 建設予定地:Prince Rupert Tuck Inlet・ NEB 輸出承認:2 0 1 3/1 2/1 6 (LNG3,0 0 0 万トン、2 5 年間) ・ 生産開始:2 0 2 3 年 ・ FID:2 0 1 8 年 上流アセット ・ Horn River、Montney、 Duvernay
⑩ Grassy Point LNG Woodside Energy
(Woodside Petroleum) ・ 建設予定地:Grassy Point Crown Land ・ 規模:2,0 0 0 万トン / 年 ・ 2 0 1 4/1/1 6、土地利用に関する合意 ・ NEB 輸出承認:2 0 1 5/1/2 9 (LNG2,0 0 0 万トン / 年、2 5 年間) ・ 生産開始:2 0 2 1 年
※主な天然ガス供給源はカナダ西部堆積盆(WCSB)を予定
⑪ Kitsault LNG Kitsault Energy ・ 建設予定地:Kitsault ・ 規模:2,0 0 0 万トン / 年 ・ NEB 輸出承認申請:2 0 1 5/1/2 9 (LNG2,0 0 0 万トン / 年、2 0 年間) ・ 輸出開始時期:2 0 1 8 年 ⑫ Discovery LNG
(Campbell River LNG) Quicksilver Resources Canada Inc. ・ 建設予定地:Vancouver 島 Campbell River・ 規模:2,0 0 0 万トン / 年(生産能力各 5 0 0 万トン / 年× 4 ト レイン) ・ 生産開始:2 0 2 1 年 ・ NEB 輸出承認:2 0 1 5/6/3 0 (LNG2,0 0 0 万トン / 年、2 5 年間) 上流アセット ・ BC 州北東部 Horn River Basin Quicksilver Resources Canada Inc.
⑬ Woodfibre LNG Woodfibre LNG Export Pte.
Ltd(Pacific Oil & Gas) ・ 建設予定地:Squamish・ 規模:2 1 0 万トン / 年 ・ FID:2 0 1 5 年 ・ 輸出開始時期: 2 0 1 7 年 ・ NEB 輸出承認:2 0 1 3/1 2/1 6 (LNG2 1 0 万トン、2 5 年間) ・ 環境アセスメント認可:2 0 1 5/1 0 ※ 同社の親会社は Pacific Oil&Gas(インドネシア財閥系)。中 国沿岸に LNG 受入基地を保有 ※ バンクーバー北方約 3 0 0 ㎞、Squamish の木材工場跡地に 建設予定
※ EDF Trading および Tenaska に対して供給合意
Eagle Mountain-Woodfibre
Gas Pipeline Fortis BC Energy ・ 総延長:4 7 ㎞・ 共用開始:2 0 1 6 年
LNGの価格が低迷しているなかでも、引き続き計画を 継続していく方針であることを強調している。 時間の経過とともに、プロジェクトのメンバーに変化 が生じるプロジェクトが増えてきた。 Kitimat LNGプ ロ ジ ェ ク ト は も と も と、Apache (40%)、EOG Resources(30%)、Encana(30%)から
⑭ WesPac Midstream WesPac Midstream
Vancouver ・ 建設予定地:Delta、Tilbury Island・ 規模:3 0 0 万トン / 年 ・ NEB 輸出承認:2 0 1 5/5/7 (LNG3 0 0 万トン、2 5 年間) ・ 生産開始:2 0 1 6 年 ⑮ Canada Stewart Energy
LNG Canada Stewart Energy ・ 建設予定地:Stewart・ 規模:3,0 0 0 万トン ・ 浮体式液化設備(FLNG)を設置 ・ 2,5 0 0 万トン / 年は陸上施設 ・ NEB 輸出承認申請:2 0 1 4/3/5 (LNG3,0 0 0 万トン、2 5 年間) (うち陸上 2,5 0 0 万トン / 年、FLNG が 5 0 0 万トン / 年) ・ 輸出開始:2 0 1 7 年 ⑯ Steelhead LNG Steelhead LNG
Huu-ay-aht 先住民部族 ・ 建設コスト:3 0 0 億 US ドル・ 建設予定地:Vancouver 島 Sarita 湾 ・ 浮体式液化設備(FLNG)を設置 ・ NEB 輸出承認:2 0 1 5/1 0/1 (LNG3,0 0 0 万トン / 年、2 5 年間)
(うち陸上 2,4 0 0 万トン / 年、FLNG が 6 0 0 万トン / 年) ・ 輸出開始:2 0 2 2 年
⑰ Watson Island LNG Watson Island LNG ・ 建設予定地:Prince Rupert
⑱ Nisga’a LNG Nisga’a Nation ・ 建設予定地:Nasoga Gulf
⑲ NewTimes Energy NewTimes Energy ・ 建設予定地:Prince Rupert ・ 規模:1,2 0 0 万トン / 年 ・ NEB 輸出承認申請:2 0 1 5/2/1 1 (LNG1,2 0 0 万トン、2 5 年間) ・ 輸出開始時期: 2 0 1 9 年
⑳ Orca LNG Orca LNG ・ 建設予定地:Prince Rupert
・ 浮体式液化設備(FLNG)を設置 ・ 規模:2,4 0 0 万トン / 年 ・ NEB 輸出承認:2 0 1 5/7/2 7 (LNG2,4 0 0 万トン / 年、2 5 年間) ・ 輸出開始時期: 2 0 1 9 年 出所: 各社発表資料、BC 州資料等より作成
Grassy Point-North Site
●▲ Grassy Point LNG
Prince Rupert/Port Edward
●▲ Prince Rupert LNG
●▲ Pacific Northwest LNG
●▲ WCC LNG
●▲ Aurora LNG Watson Island LNG
● New Times Energy
● Orca LNG Kitimat ●▲ Kitimat LNG ●▲ LNG Canada ● Cedar 1LNG Export ● Cedar 2,3 LNG Export ●▲ Douglas Channel ● Triron LNG Stewart
● Canada Stewart Energy
Kitsault ● Kitsault Energy Nasoga Gulf Nisga’a LNG Squamish ●▲ Woodfibre LNG Campbell River ● Discovery LNG Dawson Creek AltaGas (国内供給用) Delta ●▲ WesPac Alberni Inlet ● Steelhead LNG NEB 輸出申請 ● 審査中 ● 承認 British Columbia 州環境評価プロセス ▲ 審査中 ▲ 承認 ▲ 評価不要 BC 州で計画されている LNG 輸出プロジェクト 図10 出所:LNG in British Columbia に加筆
成るジョイントベンチャーにより、Kitimat近郊に液化 能力1,000万トン/年(当初500万トン/年)の液化設備 を建設することが検討されていた。しかし、2012年12 月に、ChevronがEOGおよびEncanaの持ち分を買収し ApacheとChevronが50%ずつを保有するジョイントベ ンチャーが設立され、同プロジェクトはこの2社により 進められることとなった。 2014 年 1 月には日揮 /Fluorコンソーシアムと LNG施 設について EPC契約が締結された。ところが、同年 12 月15日、Apacheは、Kitimat LNGプロジェクトと豪州 のWheatstone LNGプロジェクトの権益を上流資産とと もに Woodside Petroleumに 27 億 5,000 万 USドルで売 却することで合意したと発表、2015 年 4 月 10 日までに
売買を完了した。Woodsideは、Kitimat LNGプロジェ クトの50 %とHorn River、Liard basinの上流資産とと も に、Wheatstone LNGプ ロ ジ ェ ク ト の 権 益 13 %、 WA-49-L Block(Julimar/Brunelloガス田、Balnaves油田) の権益の65 %を取得した。調整額を含む取引額は36億 7,100 万 USドル(うち Kitimat関連資産は 8 億 5,400 万 USドル)となった。 同 じ く Kitimat近 郊 に 計 画 さ れ て い る Douglas Channel LNGプロジェクトは、先住民 Haisla族が自ら 出資、参画することや、バージを用いた液化能力 55 万 トン/年の小規模プロジェクトであることから、早期の 操業開始が見込まれていた。しかし、関連企業間で争議 が発生し、また、財政難から2013年10月には企業債権 KITIMAT KITIMAT PRINCE PRINCE RUPERT RUPERT KITSAULT KITSAULT GRASSY GRASSY POINT POINT
Prince Rupert Gas Transmission Project
Pacific Trail Pipeline
Coastal Gaslink Pipeline Pacific Northern Gas Pipeline
PRINCE PRINCE GEORGE GEORGE SUMMIT SUMMIT LAKE LAKE DAWSON DAWSON CREEK CREEK Westcoast Connector Gas Transmission BC 州の LNG 輸出プロジェクト供給用のパイプラインプロジェクト 図11 出所:各種資料より作成
者調整法による保護の適用を申請することとなり、プロ ジェクトは停止に追い込まれた。2015 年 1 月 28 日に、 AIJVLP(出光興産/AltaGasのJV)/EDF/EXMARの3 社から成る Douglas Channel LNGコンソーシアムが、 Douglas Channel LNGプロジェクトの全所有権を取得 したと発表、同プロジェクトは再び進展を見せている。 Kitimat LNGに次いで 2 番目に早く NEBより輸出許可 を取得していたが、参画企業が変更になったため、これ が取り消され、現在、輸出許可を再申請している。 Prince Rupert LNGプロジェクトは、Prince Rupert 近郊の Ridley島に液化能力 2,100 万トン /年の液化設備 を建設し、LNG輸出を行うというBGのプロジェクトで ある。しかし、BGは、2014 年 10 月に、ガス価格が弱 含みであること、米国からの LNG輸出が積み上がって いること、コストの上昇等から、LNG市場が供給過剰 となるリスクがあると見て、同プロジェクトを休止する こととした。米国からの LNG輸出プロジェクトの動向 を注視しながら、作業を継続するとしていたが、2015 年4月8日には、ShellがBGを約700億USドルで買収す ることで合意した。 CNOOC子会社の Nexenが主導し、INPEX、日揮か ら成る IGBCが参画する Aurora LNGプロジェクトは、 2013 年 4 月に、Prince Rupert北 40 ㎞の公有地 Grassy Pointでの LNGプラント等に関する BC州政府実施の公 募に応募し、同年 11 月に、土地利用に関し合意してい たが、その後、建設候補地が Prince Rupert近郊 Digby 島に変更された。
この他にも三菱商事が参加するLNG Canada、出光興 産が参加する Triton LNG、ExxonMobilと Imperial Oil が推進する WCC LNG等合計で 20 のプロジェクトが計 画されている。
ExxonMobilと Imperial Oilは WCC LNGについてコ スト削減が成功の鍵を握るとしているが、2014 年半ば 以降の原油、ガス価格低迷により、各プロジェクトを成 立させるためには、パイプラインや一部の設備、インフ ラストラクチャーを共用する等の措置をとり、コストを 削減することが必要との考えが生まれている。 2015 年 10 月 14 ~ 16 日 に BC州 が 開 催 し た 2015 International LNG in BC Conferenceに お い て、 WoodsideのPeter Coleman CEOは、次のような趣旨の 発言をしている。 「LNG事業の立ち上げで重要なのは合理的に現状を分 析していくことで、場合によっては、状況を見極めるた めに、先行するプロジェクトに後からついていくという 判断も必要になる。現在、上流事業地から Kitimatに独 自のパイプラインを通すことを三つの LNG事業がそれ ぞれ計画している。これらパイプラインはロッキー山脈 を越えてカナダ西海岸に達するもので、地理的条件だけ を考えても、パイプラインを通せるところは限られ、さ らに先住民との継続的な調整も要する。このような状況 にもかかわらず各事業者がそれぞれパイプラインを引く 作業を行うことは、合理的ではなく、費用対効果が低い。 同じ地域で LNG事業を行う者同士が、パイプラインを 共有するなり、一部施設を共有するなりの議論を行うこ とが必要ではないか。豪州での失敗は繰り返すべきでは ない」 連邦政府、BC州政府にも、カナダのLNGプロジェク トの競争力を高めようとする動きが見られている。 環境影響評価の手続きに関しては、プロジェクトを迅 速に進めるために、連邦政府と BC州政府で二重に審査 することを避けようと、1 プロジェクト 1 審査方針が導 入され、BC州環境評価局 BCEAOの環境影響評価・審 査作業をカナダ環境評価局 CEAAの環境影響評価に一 部代用できる制度がとられている。 また、BC州は LNG税を 2014 年 2 月に発表した当初 案に比べてプロジェクトの経済性に配慮した内容に変更 した。 連邦政府も2015年2月19日、LNGプロジェクトに対 する投資を促進しようと、減価償却に加速償却を認め、 液化設備については通常 8 %の減価償却率を 30 %とし、 その他関連設備については通常 6 %の減価償却率を 10%とする税制上のインセンティブを導入した。 さらに、6 月 29 日には、NEBが許可する天然ガス輸 出の最長期間をこれまでの25年から40年に変更すると 発表した。 一方で、東海岸の LNG輸出プロジェクトも進展を見 せている。現在、東海岸には NEBの輸出許可を取得し たプロジェクトが5件、申請中のプロジェクトが1件ある。 LNG Ltd.が Nova Scotia州 Richmond郡 Cape Breton 島 Hawkesbury港近郊に計画する Bear Head LNGプロ ジェクトは、もともとAnadarkoが計画していたLNG受 入基地(受け入れ能力1,130万トン/年)を、2014年7月 に LNG Ltd.が買収し、LNG輸出プロジェクトへ転換し たものである。Anadarkoは1億USドル以上を投じ、エ ンジニアリング作業やサイトの開発を終わらせている。 2014 年 11 月に NEBに輸出許可承認を申請、2015 年 8 月 13 日に LNG1,200 万トン /年を 25 年にわたって輸出 する許可を取得した。原料ガスの供給源は米国とカナダ とする計画で、米国から最大142億㎥ /年の天然ガスを 輸入する許可も取得している。KBRに FEEDを依頼し