平成 25 年度 岡山市埋蔵文化財センター講座第 8 回
平成 25 年 12 月 21 日
器財形埴輪
三浦 由美子 【講座の概要】
1.器財形埴輪とは
埴 輪 に は 様 々 な 種 類 が あ り、 こ の う ち 武 具 や 威 儀 具 の 形 を し た も の を 器 財 形 埴 輪 と 呼 び ま す。 実物の武具・威儀具が数多くある中で器財形埴輪のモデルとして選ばれるのは特定の器種に限ら れており、製作には一定のルールが存在したようです。
2.器財形埴輪の移り変わり
器財形埴輪は出現当初は実物を写実的に表現していましたが、時期が下るにつれ写実性を失い、 小型化や線刻表現などの省略が進みます。 また、配置場所については当初は古墳墳頂の主体部を 取り囲むために用いられていましたが、時期が下ると墳頂部に加えて造り出しや墳丘裾に並ぶよ う に な り ま す。 そ し て6世 紀 頃 に は 器 財 形 埴 輪 の 代 わ り に 人 物・ 動 物 埴 輪 を 用 い る よ う に な り、 次第に墳丘上での祭祀の内容が変化していったことを読み取ることができます。
3.岡山県の様相
金蔵山古墳では盾・靫・甲冑・蓋形埴輪が円筒埴輪とともに主体部の上を方形に取り囲みます。 その後は月の輪古墳、造山古墳、西山 26 号墳など金蔵山古墳と同様に多種を揃えた古墳が点在す る一方で、1~2種のみの器財形埴輪を置く古墳もみられます。5 世紀後半以降は器財形埴輪を置 く古墳はさらに増えますが地域ごとに使用する埴輪の種類は異なり、器財形埴輪も小型で線刻表 現の簡素なものへと変化します。6 世紀には吉井川流域で石見型埴輪が盛んに使用される一方、備 中地域では全く見られないという地域差も見られます。
4.まとめ
古墳時代を通しての器財形埴輪の形状・製作方法や配列場所の変化は畿内を中心とした地域か らの強い影響があったと考えられますが、その一方で吉備地域のように古墳ごとに使用する埴輪 の種類や表現方法に表れる差からは生産体制の複雑さや地域間の結びつきの差を読み取ることが できます。
【参考文献】
高橋克壽 1996 年『埴輪の世紀』歴史発掘 9 講談社
尾上元規 2000「吉備の形象埴輪-石見型埴輪を中心に-」
埴輪
形象埴輪
器財形埴輪 家形埴輪
動物埴輪……馬・猪・鹿・鶏・水鳥など
人物埴輪……貴人・巫女・武人・力士など
その他…………船・椅子・高杯など
威儀具形………蓋・翳・(石見型)など
武具・武器形…盾・靫・甲冑・太刀・鞆など
ゆき
きぬがささしば いわみ
とも
図 1 埴輪の種類
図2 盾形埴輪の変化 小型化
文様表現の省略
図2 埴輪配列の変化 円筒埴輪で主体部を囲む
家・器財形埴輪で主体部を囲む
主体部上に加えて
家・器財形埴輪が造り出しに並ぶ
方形区画の衰退
墳裾・周堤に人物・動物埴輪とともに並ぶ
図4 造山古墳出土の器財形埴輪 図5 造山 2 号墳出土の器財形埴輪 図3 金蔵山古墳出土の器財形埴輪
南石室出土
0 20cm
(1/10) 0 20cm
(1/10)
0 20km (1/150,000)
図6 石見型埴輪の広がり 日上畝山古墳群出土
前内池 1 号墳出土 図5 十六夜山古墳出土の器財形埴輪
0 20cm (1/10)