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蛍光ランプの電極と放電現象に関する研究

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Academic year: 2021

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蛍光ランプの電極と放電現象に関する研究

著者 御園 勝秀

雑誌名 静岡大学大学院電子科学研究科研究報告

巻 22

ページ 136‑139

発行年 2001‑03‑30

出版者 静岡大学大学院電子科学研究科

URL http://hdl.handle.net/10297/1510

(2)

氏名・

(本

籍 )  御    園    勝    (鹿 児島県

)

学 位 の種 類    博    (工

)

学位 記 番 号    工博 甲第   196   号 学位授与の日付    平成 11年 9月 27日 学位授与の要件    学位規貝 1第 4条 第 1項 該当

研究科 ・ 専攻の名称    電子科学研究科   電子応用工学

学位論文題目    蛍光 ランプの電極 と放電現象に関する研究

論文審査委員

   畷 員

暑   窪   野   隆   能    教 授   中   西   洋一郎 教 授 岡 本 尚 道   教 授 神 藤 正 士 教 授   岡 村 静 致

論 文 内 容 の 要 旨

本論文 は、蛍光 ランプを高周波点灯 したときの電極 と放電現象に関す る研究を取 り扱 っている。

とりわけ、 ランプの寿命 を改善することを主 目的 として、始動時 と点灯時の最適な電極加熱条件 を 理論的に考察 し、実験 により検証 した。

1章

では本研究の工学的立脚点並びに重要性 を明 らかにすると共に、蛍光 ランプの電極 と放電現 象 に関する過去の研究 を調査検討 して課題 を明 らかにするとともに、本研究の方向付 けを行 った。

第2章 では簡便で新規なプラズマパラメータの計測方法 として、誘導結合サーチコイルを使 った方 法 を考案 した。 この測定方法はプラズマが反磁性体であることに基づいている。プラズマの径方向 電子密度分布が既知である場合、放電管 に巻いたサーチコイルのインピーダンス変化量か ら、電気 伝導率、衝突周波数、電子密度お よび電子温度が評価で きる。 ここでは、現実のプラズマで しば し

ば遭遇する種 類の電子密度分布 を仮定 して、コイルとプラズマの間の結合係数を考慮 しなが ら、密 度分布がプラズマパ ラメータの評価 に及ぼす影響 を考察 した。その結果、本測定方法でプラズマの パ ラメータを適切 に評価で きるのは、低気圧放電で見 られるような電子密度分布の半値幅が広いプ ラズマであるか、 もしくは大口径、高密度かつ低気圧のプラズマであることが明 らかにされた。ま た、測定周波数は高いほどサーチコイルによるインピーダンスの測定感度が高 くなることが理論的 に明 らかにされた。

本測定方法 を使 って、蛍光 ランプの水銀―アルゴン放電における負 グロー及び陽光柱の電子密度

と電子温度 を、ランプ電流密度の関数 として測定 した。その結果、負 グローは陽光柱 に比較 して電

(3)

子密度が高 く、電子温度は低いことが判明 した。また、両部位 とも電子密度はランプ電流密度に比例 して増加するが、電子温度はランプ電流密度 にあま り依存 しないことが判明 した。

3章

では、始動時の最適予熱条件 を取 り扱 っている。まず トリブルコイルを一次元の等価電極 に 置 き換 えてモデル化 した。このモデルでは、電極の設計データを入力することによって、予熱時にお ける電極温度の上昇並びに始動電圧の低下 を可能 とする予熱条件 を求めることがで きる。このモデル は電極の定常特性だけでな く過渡的な特性の解明にも応用することがで きる。

予熱時間と予熱電流 に対 して熱電子電流が一定 となる曲線は、 αとβをパ ラメータとして、

み″ =(ナ

2)0・5

で近似で きること力群

U明

した。上式は、IECで 規定 されている予熱条件 と同 じ関数形をしていること か ら、IEC規 定は熱電子電流が一定 となる予熱条件の下で、始動電圧の低下をもたらすために必要な 最小予熱条件 を表わ している、 と解釈す ることがで きる。

次 に始動時に電極付近で観測 されるバ リウムイオンの発光 に着 日して最適予熱条件 を検討 した結 果、電極温度カシ

00〜

900℃ の時、バ リウムイオンの発光強度が最小 になるごとが実験 により示 され た。この電極温度では、短期点滅試験で も電極近傍の黒化の発生が抑制 されたことから、ランプの点 灯 に最適 な条件であることが判明 した。

第4章 では、点灯周波数がバ リウムの消耗 に及ぼす影響 について、実験 を行い理論的な考察を加 え た。蛍光 ランプを矩形波電圧で点灯 した場合、点灯周波数力 %及 び60Hzで は陰極サイクルで輝点温度 が低下 しているにも拘わらずバ リウムの原子及びイオンの発光強度が共に増加することから、バ リウ ムは陰極サイクル時にスパ ッタで消粍 されていることが明らかになった。さらに、600Hz以 上ではバ リウムの原子及びイオンの発光強度は共に増大 した。この場合、低周波点灯時に比べて輝点温度は低 下 したが、陰極サイクルにおける輝点温度の時間変化率は大幅に増大 した。 さらに、低周波点灯で観 測 された陽極振動は600Hz以 上では消滅 した。第2章 で述べたサーチコイルによる測定法 を使 って電 子密度 と電子温度 を測定 した結果、陽極振動が消滅する600比 以上の点灯周波数では電子密度が上昇 することが判明 した。

以上の結果から、高周波点灯では商用周波点灯に比べてスパ ッタが増加 してエ ミッタの消粍が加速 される恐れがある。エ ミッタの消粍を抑制 して電極寿命 を改善するには、電極からの熱電子電流を増 や して陰極降下電圧及び電極近傍のプラズマ密度 を低下 させることが有効 と考えられることが判明 し た。

第5章 では第4章 の結果を受け、 40鹿 の正弦波 という実用化 されている高周波点灯の条件で蛍光ラ ンプを点灯 させ、ランプ電流 と電極補助加熱の最適条件 を検討 した。また、本章でも、実験結果を考 察す るにあた り、電極の特性 を評価するための数値計算モデルを開発 した。

まず、第3章 と同様 に トリブルコイルを一次元の等価電極 に置 き換えて、点灯時の電極特性 を予測

するモデルを開発 した。このモデルによって、点灯時の電極特性が定性的に説明できた。 さらに、補

助加熱を適正な条件 に制御すると、輝点温度並びに陰極降下電圧が低下するため、バ リウムの蒸発 と

(4)

スパ ッタも同時に抑 えられることが判 つた。

モデルによる上記の予測を検証するために、電極近傍の放電からのバ リウムイオンの発光強度をラ ンプ電流 と補助加熱電流 をパ ラメータとして測定 した結果、バ リウムイオンの発光強度が最小 となる 補助加熱条件が存在することが確認 された。また、バ リウムイオンの発光が著 しいランプ電流一補助 加熱電流空間における領域は、モデルで予測されたスパ ッタ損 と蒸発損のそれと類似 していることが 確認で きた。 このことか ら本モデルはエ ミッタの消耗を定性的に説明 していることが明 らかになっ た。

以上の研究成果は、高周波点灯専用の新 しい蛍光 ランプシステムの実用化 に多大な貢献 をしてい

る。

(5)

論 文 審 査 結 果 の 要 旨

本論文は、高周波点灯時の蛍光ランプの電極 と放電現象に関する研究を取 り扱 つている 3研 究の主 目的はランプの発光効率 と寿命の改善であ り、始動時 と点灯時の最適な電極加熱条件 を理論的に考察 したのち、 これを実験 により検証 した。

1章

では、本研究の工学的立脚点を明確 にするために、過去の研究を調査検討 して課題 を明らか に した。

第2章 では放電管に巻いたサーチコイルのインピーダンス変化量から、電気伝導率、衝突周波数、

電子密度および電子温度を評価する簡便で新規な測定法を提案 し、実験 によりその有用性を示 した。

第3章 では、始動時における電極の最適予熱条件 を取 り扱 っている。複雑な形状の トリブルコイル を一次元の等価電極に近似する計算方法を考案 して予熱時の電極温度の上昇並びに電極温度 と始動電 圧 との関係等 を求め、ランプの長寿命化 に役立つ電極の予熱条件を明らかにした。次いで電極付近の 放電からのバ リウムイオンの発光強度 を測定 した。予熱時の電極温度が、

700〜 900℃

の時、バ リウム イオンの発光強度が最小 になると同時に電極近傍の黒化が大幅に抑制 されることが明らかにされた。

商用周波点灯 に比べて高周波点灯ではスパ ッタが増加 して電極に塗布 したエ ミッタの消耗力功口 速 さ れる恐れがある。第4章 では、エ ミッタの消耗 を抑制 して電極寿命 を改善するには、電極からの熱電 子電流 を増や して陰極降下電圧及び電極近傍のプラズマ密度を低下 させることが有効であることを明

らかにした。

第5章 では第4章 の結果を受け、実用化 されている 馳 正弦波 により点灯 されている蛍光 ランプの ランプ電流 と電極の最適な加熱条件を検討 した。第

3章

と同様 に トリブルコイルを一次元の等価電極 に置 き換えて、点灯時の電極特性を予測するモデルを開発 した。このモデルによって点灯時の電極特 性が定性的に説明できることを明らかにしたのち、電極の補助加熱を適正に制御すると、輝点温度並 びに陰極降下電圧が低下 してバ リウムの蒸発 とスパ ッタが同時に抑えられることが予測 された。これ を検証するために、電極近傍の放電から発生するバ リウムイオンの発光強度をランプ電流 と補助加熱 電流 をパ ラメータとして測定 した結果、バ リウムイオンの発光強度を最小 とする補助加熱条件の存在 が確認 された。また、バ リウムイオンの発光が著 しいランプ電流―補助加熱電流の関係 は、モデルで 予測 されたバ リウムのスパ ッタ損 と蒸発損のそれ と類似 していることが確認できた。このことから本 モデルによってエ ミッタの消耗機構が定性的に説明で きることが明 らかにされた。

以上の研究成果は、高周波点灯専用の新 しい蛍光 ランプシステムの実用化 に多大な貢献 をしてい

る。 よって、本論文は博士

(工

)を

授与するに十分 な内容 を有 していることを認める。

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