大野拓行先生を送る
経 済 学 部 長
佐 藤 忍
大野拓行先生は, 年(令和 年) 月 日をもって,本経済学部を定 年により退職されました。香川大学経済学会では,大野先生より賜った学恩に 対して,敬意と感謝の意を表するため,本号を大野先生の退職記念号とし,こ こに謹んで大野先生に献呈いたします。
大野拓行先生は,香川大学にご着任以来, 年間にわたり,統計学の研究 教育に携わってこられました。香川大学は,大野先生の在任中の多大なるご功 績に対し,本年 月に香川大学名誉教授の称号をお贈りしました。
大野先生は, 年(昭和 年) 月に岡山県玉野市でお生まれになり,
年(昭和 年) 月に香川大学経済学部に入学されました。その後,
年(昭和 年) 月に神戸大学大学院経済学研究科博士課程前期課程に入学 され, 年(昭和 年) 月に同大学院経済学研究科博士課程後期課程に 進学されました。そして, 年(昭和 年) 月に香川大学経済学部助手 に採用されました。経済学部において, 年(昭和 年)に講師, 年
(昭和 年)に助教授,そして 年(平成 年)に教授に昇任されました。
この間,教育活動においては,経済学教育において必要不可欠な統計学・情 報処理,そしてその応用科目を担当されました。とりわけ経済学の分野におい ては先進的な情報処理教育を行われました。学部・大学院の演習では多くの有 能な卒業生を世に送り出すことで,人材育成に貢献されました。
大野先生の研究活動は,以下のような 分野に大きく分類されます。
⑴ 消費構造に関する研究
先生の研究生活のスタートは「消費水準格差の要因分析−日米比較−」(『六 甲台論集』第 巻 号,昭和 年 月)でした。その後,先生は,しばら くの間,消費構造の研究から遠のいていましたが,「家計調査に見る支出行動 の変化」(『香川大学経済論叢』第 巻第 号,平成 年 月)で,消費関 連の研究を再開され, 年後半からの家計支出の構造の変化を家計調査デ ータに基づき分析されています。
⑵ 計量経済モデルによる研究
先生は,コンパクトな地方財政計量モデルに基づき,地方財政と日本経済の 関連についても研究されています。その成果は能勢哲也・川崎俊二編著『地方 財政政策の数量分析』多賀出版(昭和 年 月),および小川一夫・斎藤光雄・
二宮正司編著『多部門経済モデルの実証研究』創文社(平成 年 月)に収め られています。
⑶ パーソナル・コンピュータの利用に関連した研究
パーソナル・コンピュータ(以下,パソコンと略)の普及に合わせて,計量 経済モデルをパソコン上で効率的に動作させる手立てについて考察し,「新し い経済分析システムの提唱」(『香川大学経済論叢』第 巻第 号,昭和 年 月)を発表されています。その後,情報処理教育の必要性の高まりとともに 経済学部の同僚と,表計算ソフトを利用した経済学教育の刷新に取り組まれま した。その成果は,大藪和雄・安井修二・藤井宏史『経済学 − − 』日本評 論社(平成 年 月)に所収されています。
管理運営面においても,先生は多大な貢献がありました。経済学科長(平成
・ 年度),教務委員長(平成 年度),広報企画委員長(平成 〜 年度),
情報システム委員長(平成 年度),副学部長(平成 〜 年度),経済学研究 院副研究院長(平成 〜 年度),評議員(平成 〜 年度),学長特別補佐
(平成 〜 年度),経済学部長(平成 〜 年度)を歴任し,経済学部・経済 学研究科のために尽力されました。社会的活動においては,香川県立保健医療
−2− 香川大学経済論叢
大学(平成 〜 年度)において統計学の非常勤講師を務め,有為な人材の 育成に貢献されました。
本学の研究教育,管理運営,社会貢献のいずれの活動においても,上述して きたように多大なるご貢献をいただいた先生を,定年退職とはいえ,失うこと は経済学部にとって誠に大きな痛手です。在職中にそれぞれの分野であげてこ られた業績からすれば,退職されてからも先生には地域をはじめ様々な方面か ら要請があることはいうまでもありません。引き続きのご活躍,ご健勝を祈念 いたしますとともに,私ども後輩のために,今後とも,ご指導,ご鞭撻くださ いますよう宜しくお願い申し上げます。
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