長野工業高等専門学校紀要 ・第22号 (1990) 85
ティーム ・ティーチング と新英語教育課程
中 村 護 光
Team‑Teaching and the Aims of the Upper Secondary English Education in the Revised Course of Study
Morimitsu NAKAMURA
Thenew CourseofStudy,thenationalstandardofcu汀iculum designsforall schoolsforthenext10years,wasissuedandannouncedbytheMinistryofEducation in1989.Thoughitsactualimplementationisfrom 1994,theJapaneseuppersecondary schoolsarenowexpectedtocomiplethenewcu汀iculumontheirownbythen.Thenew Englisheducationcu汀iculum aimsatcultivating仇ecommunicativecompetenceof studentsandfosteringpositiveattitudestowardcom unicationwithpeopleofother countries.
Now,theJETprogramhasenteredme4thyearofitshistory.Sofarithasenabled bo也 Studentsandteachersnationwidetocom unicatedir∝tlywithnativespeakers nowinvitedasassistantEnglishteachers.Team・Teaching(instructionca汀iedoutbya JapaneseteacherofEnglishteachingjointlywithanativespeaker)mayvitalizelan‑ guageactivitiesintheclassroomandcompensateforweakpointsoりapaneseEnglish education.
HereisanoverallideaofTeam・Teaching,togetherwithaveiw ofitsfuture prospects.
1 新学習指導要領 とJETプログラム
(1) 中等教育における外国語 (英語)科の目標
平成元年3月15日小学校 ・中学校 ・高等学校の新学習指導要領が告示された.同一 日の告 示ははじめてのことである.高等学校については,平成6年4月1日から学年進行で実施 さ れる予定であるが,その総則の一部及び特別活動のすべてについては,同年3月27日にだ さ れた移行措置の特例の告示によって,平成2年4月1日から新学習指導要領により実施 され ている.
新学習指導要領のよりどころは,昭和62年12月にだされた教育課程審議会の答申であるが, 今回は昭和59年8月に設置された臨時教育審議会の答申も強 くその影響を与 えている.中で
も外国語科については第二次答申で
,
「現在の外国語教育 とくに英語琴青は,長期間の学習 にもかかわ らず極めて非効率であ り,改善する必要がある」 とされ,第三次答申では,具体 的に 「英語教育においては,広 くコミュニケーションを図るための国際通用語習得の側面 に 重点を置 く必要があ り,英語教育の在 り方について基本的な見直 しを行 う」 と提言 されている.
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従来,社会か らは学校 の英語教育に対 しては様々な批判 と意見があったが,大方は臨時教 育審議会の答 申にみ られる強い断定的 な批判 に集約できる.中学校の英語教育 に対 しては, 授業時間数の問題 もあ り,比較的 よくやっているとの評価があるが,それを引 き継 いで発展 させ る高等学校以降においては,指導にばらつ きがあ り,全体 としての成果が見えてこない との意見が強い.社会の急速 な国際化 の進展 にともない,英語教育の成果 に対するい らだち と不満がつのっている.
これを うけて改訂 されたものが今回の学習指導要領であるが,現行の学習指導要領 につけ られたキャチ フレーズが"DrasticChange"であるとすれば,"Communication能力"その ものをス トレー トに標ぼ うす るものである.新学習指導要領の高等学校外国語 (英語)科の 目標 はコミュニケーシ ョン能力の育成 と国際理解の基礎を培 うことである.では, この コミ ュニケーション能力 とは何か.そのとらえ方は様々であろ うが,文部省ではそれを構成す る 要素をこう説明 している.
① きちん とした文法能力・・‑・しっか りした文法能力を身 につけるための学校教育の役割 は大 きい. しか し,難 しい文法用語を駆使 した文法のための文法ではな く,実際の表現 において使 え,役立つものである.つま り生 きて働 く文法能力をい う.
(参 場面, 目的に応 じて英語を使える能力・・・‑人間関係,特 に国際化時代に生 きるため必 要 となる要素である.
③ 概要,要点を的確にとらえる能力・・・‑現行学習指導要領の主たる目標であるが,読む
・聞 くとい う能力を育てる上で特 に大切 な指導ポイン トである.
④ 話す とい う場面で,口 ごもった りしても,不完全 な部分を補い,それを乗 り越 えて自 分の言いたいことをつなげて伝える能力.
す なわち, この①〜④ の要素の統合能力をコ ミュニケーシ ョン能力 ととらえ,学校教育の 中で育成 していこうとす るものである.
又,国際理解の基礎を培 うことについては, (∋ 外国のことを正確 に知 ること
② ① のことを通 して, 日本人 のidentity, 日本の文化,社会,歴史について知 る ことであ り, この二つの事 を通 して普遍的な価値観,行動の基準を生徒 に身につけさせ る ことを目標にしているわけである.
r英語 コミュニケーシ ョン論Jの中で橋本満弘氏 はこう記述 している.「社会生活 におけ るコ ミュニケーシ ョン活動の うち45%が聞 くことに費やされ,30%が話す ことに,そ して読 む ことに16%,書 くことには9%が費やされる・ ・・‑ 」1).国際化時代の到来 は通信や交通 の発 逮,緊密な政治 ・経済活動により物だけでな く,人物交流を活発化 させ,更 に進 んで,外国 人 と共住することをも常態化 した. このことか ら,上記の理論 にあるように,言語 の4技能 の中でも特に 「聞 くこと」,「話す こと」の能力育成がとりわけ強 く求め られることは当然で あ り,今回の改訂 におけるオーラル ・コミュニケーシ ョン3科 目の新設を正当化 してい る.
はじめてのカタカナ科 目の登場 と, この3科 目の うち1科 目は必ず履修をす るとした ところ に我が国の英語教育界 の これ までずっと引 きづ ってきている課題解決が緊急に迫 られている
ことを実感す る.中等教育における外国語 (英語)科のいわば背水の布陣である.
(2) JETプログラムの誕生か ら
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中学校 と高等学校の外国語科について現行学習指導要領か ら新学習指導要領‑の今回の主 な改訂点の中で,言語活動 をより活発化す るため言語材料の学年枠 をはず した事 と,中 ・高 校のいづれにおいてもその 「指導計画の作成 と内容 の取扱い」の記述のなかで,「ネイテ ィ ブ ・ス ピーカーの協力 を得 る」が加わっていることが注 目される.勿論 この背景 には言語活 動をよ り活発化 させることに加 え,そのよりどころとなる平成2年8月で4年 目に入 った語 学指導等を行 う外国青年招致事業 (JETプログラム‑THE JAPAN EXCHANGE AND TEACHINGPROGRAM)が念頭におかれているのである.
生 きた英語教育 の発想か ら外国人講師の活用の考 えは昔か らあ り,文部省 自体 も外 国人講 師導入案 を事業化 し,それ をMEF (MONBUSHO ENGLISH FELLOWS)制 度や, BETS(BRITISH ENGLISH TEACHER SCHEME)の制度 によ り実施 して きた. しか し,それ らの事業においてはあ くまで,英語担当教員の現職教育を中心にした り,英語を専 門教育 として施す学校,学科を対象 とした活用を主 としたnativespeakerの限定的活用で あって,一挙 に中等教育での全面的活用 まで広げたのがJETプログラムであった. この案 がはじめて県段階にあきらかにされたのは昭和61年5月の各都道府県の英語担当指導主事 を 集めたその年6月未 に来 日す るMEFの受入れ会議の席上であった.その時 の文部省高等学 校課長 は,臨教審 による国際化の提言にもみ られるように外国人英語講師招致を積極的に推 進す ることは時宜 にかなった こととまえおきして, 自治省では,地方の国際化を推進すべ く 国際交流プロジェク ト構想 を持ち,地方公共団体の単独事業 として具体化 してい く計画であ
ること,文部省 としても,外務省 と共同 して, この事業をバ ックア ップし,昭和62年度か ら 具体的配置を行いたい こと,当初500名程度か らはじめて,3000名程度の外国青年の招致 を 目標 としたいこと,財源は地方交付税措置で裏付けをしたいこと等の骨子を明 らかに した.
しか し,自治省構想は地方の国際化 といっても,実際的には外国青年の活用 は教育分野が主 となることが予想 され,MEF,BETS制度の自治省版が新たに生 まれ,我が国の英語教育, 特 に学校現場 に大変な混乱 をおこしかねない とい う危機感が文部省 に働いていた ように思わ れた.JETプログラムで招致 される外国青年の職務 について も,募集段階か らタイプⅠ, タイプⅠⅠとしたのは, これに歯止めをかけるための方策であった.かな りの驚 きと当惑で迎 えられたこの自治省構想であるが, これまでの文部省補助事業 の拡大 には財源確保 の問題 も あ り,又MEF制度の場合,実質的にはCIEE2)に事務手続 きを委託 したかたち となってい たが,大規模 に外 国青年 を リクルー トす る面 で の困難 性 もあ って, ここでMEF制度, BETS制度を発展的に解消 し, この構想 に乗せてい くJETプ ログラムへの移行 が文部省内 部で決定 されていた.まさに,実際の教室における活用については走 りなが ら考 え,整理 し てい くといった慌ただ しい事業のスター トであった. しか し,社会の国際化が英語教育界 の 自己変革をまちきれな くなったあ らわれでもあったか もしれない.Edwin,0.Reishauer氏 紘,その著書THEJAPANESE3)で見事 にこの事業 と同趣 旨の提言をお こなって,次 の よ うに書いている‑Japancouldafford‑tobringyoungnativespeakersofEnglishtoJapan toworkatspecialEnglishlanguageinstitutesandperhapstoparticipateintheactual teachinginschools.ThousandsofyoungAmericansorBritisherswouldbehappytogo toJapanforthesepurposes‑.この年 (昭和52年度)の我が国のMEFの招致数は9名で あ り, これに比べ ると平成元年のAETの招致数は1886名 と飛躍的な伸びを示 している.
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2 NativeSpeakerの活用 (1) NativeSpeaker活用方法の模索
教育委員会 に配属 して,現職教育を主 とす るMEF制度か ら直 に学校 を外国青年 の活動の 場 とす るJETプログラムへの転換 は実際の授業でのその活用方法を どうす るかといった研 究 テーマを差 し迫 った問題 とした.多数の外国人が招致 され,それぞれの場所で,英語教育 がそれぞれ勝手 にお こなわれて大 きな混乱を起 こす恐れは十分 にあ り,文部省及び都道府県 教育委員会 は活用の原則 を整備 してお く必要があった.JETプログラムの進行 と当初 どの
ような展開でテ ィーム ・テ ィーチングの原則が固まってい ったかを振 り返 ってみたい.
1986年 (昭和61)年度の話題 はまだMEF制度におけるnative speakerの活用である.
MEF活用の基本的考 え方は. 日本の英語教育 の改善 に役立 てること, 日本 の国際理解教育 の推進 に役立てることであ り,英語教員のIistening,speakingの能力を高めることを主 とし ていたが,授業での活用では,「日本 の英語教育 は日本人教師が責任 を持っが, コ ミュニケ ーシ ョン能力育成 にnativespeakerのassistが必要 とす る場合,教室で は, この手段 とし
、てTeam・Teachingによること」が確認 され,テ ィーム ・テ ィーチングとい う言葉が関係者 の間で認知 され るようになっていた. しか し,・日本人英語教師が一人で行 っていた授業 に MEFが加わ ることによ り, 日本の教師の果たすべ き役割 がなんであるかが明確 とな り;英 語教育 におけるpracticalなlevelで変化が起 こり授業が改善 されて くる.そ うした期待が 託 された試行的な色彩を帯びていた.
長野県の場合,学校での活用方法 は4つの教育事務所 か らのMEFを派遣するone‑shot visit(単発訪問)によるものであったが,学校 によっては, この機会を最大限に生かす授業
の工夫がなされ,Team・Teachingでの授業 とい うテーマが研究授業でも取 り上げ られ るよ うになって きた.導入,展開,まとめの段 階で必要 にお うじて 日本人教師 とMEFのdia・
logueを入れ,そ こに生徒 を巻込 んでpracticeさせ るもの,MEFによるtext本文 のsum・
mary,paraphraseによるQ & A活動などの言語活動により,Team・Teachingを授業の中 に積極的に位置付けようとの試みもはじまっていた.その頃の研究授業の反省会では,次の ような感想が出されている.
ア.聞 く ・話す領域での授業改善
未習,既習内容のsummaryのlisteningcomprehensiondrill等での言語活動により, 特 に聞 くinputの量が増大 し,生徒 のspokenEnglishへの反応,理解力 も良 くなって
きた.
ィ.生徒の学習態度の変化
一定のsentencepattern,や文法事項 に沿いなが らであるが,MEFとのや りとりの 中で, 自分のこと,興味,経験 など発話 させることにより,受動的学習か ら能動的学習 へ と変化 してきた.
・ウ.校内の活性化
生徒 も教師 も他民族を意識す るようにな り,一種の国際現象を呈す る.授業, クラブ 活動,教員研修等で校内の活性化に役立 っている.
しか しこの一方で,言語活動,特 にオーラル ・コミ・ユニケーシ ョソ,表現力養成 にかかわ
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る授業 は現在のクラスサイズでは大変であることか ら,その解決策 としてMEFと日本人教 師のクラス及 び授業の分割分担論 も提案 されている.
1987(昭和62)年度 は,その年 の8月か らのJETプログラムの開始 をひかえて,文部省 主催 の教育課程運営改善講座,研究大会のテーマは 「英語指導助手 (AET)とのテ ィーム
・テ ィーチング」 に絞 られ,英語教育界の一大関心事 になると同時 に,教育行政の面で もこ のプログラムが各都道府県の外国語担当指導主事の最大の課題 となってきた. このブ pグ ラ ムには早 くか ら,各方面か らの関心が寄せ られたが,基本原則が定 まらないまま,第三者 の 参入 による混乱を招 く恐れ もあ り,文部省 と各都道府県教育委員会が中心 とな り,中間期研 修等を通 じて, ここ数年の間に基礎の確立 を図 ることが確認 された.また,AETへの過剰 なまでの期待 は,中等教育 における英語教育改善の目的を跳 び越 し,社会教育,小学校 な ど での初等教育 における活用 まで拡大す る気配があ り,あ くまで も原則の維持 に努め, プログ ラムの性格があいまいにならぬよう共通の認識をもって事業の推進 に臨む必要があった.
(2)JETプログラムの問題点
1988(昭和63)年度 は,JETプ ログラムも開始1年 目を迎 えた ところで,全 国的 に次 の ような課題がでていた.
ア.Infom ationgapによる混乱
.同一のプログラムで来 日しているAET‑の対応が,事業の量的 ・面的拡大 により, 各人 各所 に よ り差が大 き く日本人 の間の様々,ffレベルでの コ ミュニケ〜シ ョソ, AETと日本人の間の十分なコミュニケーシ ョンを欠いていることが指摘 された.
ィ.研修体制の確立
日本人だけ,AETだけで行 う研修か ら,共 に参加 しTeam‑Teachingを作 り上 げて い くdiscussionす る場‑jointmeeting‑が求め られ るようになってきた.
ウ.平等主義 と重点主義 との兼ね合い
招致数 の増加 に伴 って,AETの配置形態 も異 なって くる と,AETか らも従来 の one‑shotvisitから,regularvisit,base・schoo1‑の要望が強 くな り,自分が置かれてい る勤務形態についてfair,unfairの声 も起 こり,one・shot形態での活用 においては,そ の意義 と必要性を理解 ・納得 させ る必要がでてきた.
‑.教科書の使用
外国青年の母国での教育体験か らの教科書に対す る考 え方にずれがあ り,我 が国にお ける教科書の存在意味を理解 させ,同時に彼 らのvolunteer意欲 をそがず に創造的な使 用を求める必要が大 きくなってきた.
この前年に教育課程審議会から新学習指導要領の骨組み となる答申が出され
,
「聞 くこと」,「話す こと」のcom unication能力 の育成 の中で,AETの活用 を考 えてい く.つ ま り, AETの招致事業 を改善の大 きな柱の一つ として考 えている国の方向が示 され,事業 の英語 教育 に占める位置が確固たるもの となってきた.
1989(平成 元)年度 で は, この時 まで に過 去 2回 の中間期 研 修 等 を通 して,Team‑
Teachingの定義が定 まって くる.同時 に3月に告示 された新学習指導要領では,言語活動 をよ り活発化 させ るため,中学校では言語材料の学年枠が外 され,高等学校 においてはオー ラル ・コ ミュニケ‑シ ョソA,B,Cの3科 目が新設 されて,その取扱いの中でAETを念
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頭 においたnativespeakerの活用が うたわれる.AETを英語教育全体 の枠の中で考えてい く必要がよ り明確 にな り,AETの招致事業 とTeam・Teachingの重みが一層増 してきたの である.
(3)なぜTeam・Teachingか
オーラル ・コミュニケーシ ョン3科 目の新設 により,聞 くこと,話す ことの言語活動 に重 点が置かれることとなるが, これらの科 目を同趣 旨の現行 の英語ⅠIAの二の舞 としないため にも,その具体的な方途 を探 り,各学校の教育課程の中にしっか り位置付ける必要があ り, AETの活用はその推進 の中心的テーマとなってきている.奈良教育大学の佐藤秀志教授が 書いているようにまさに 「軌道 にのれは日本の英語教育 の体質 を一変 させ るもの」̀)とい う 期待 の中で,次の点 に見 られ るような現実的な効果が上がっていた.
7.授業内容の改善‑ 言語材料の知識詰め込み型か ら,特 に 「聞 く ・話す」領域の言語 活動を中心 とした授業展開を工夫で きる.
ィ. コ ミュニケ‑シ ョソの幅 の拡大‑ native speakerの存在 に よ り,場面 に応 じた nexibleな言語活動が可能 になった こと.
ウ.生徒の学習意欲の高揚‑ 英語を伝達手段 として認識 し, よ り身近かなもの として感 じさせるとともに,外国人に英語で通 じた喜びと自信 を持たせていること.
エ.国際理解に貢献‑ 外国人を特別視 しな くなる.外国人 のものの見方,習慣 を知 ると ともに,逆に場面に応 じて日本文化, 日本語を紹介す る必要 も生 じ,異文化の相互理解 に役立つ.
オ.教師の英語運用能力を養 う‑ Team・Teachingの準備,実施,評価 を通 じ, 日本人 英語教師がcommunicativecompetenceを身につけてきた こと.
中で もオ. は各学校で英語教員の間で行 う研修‑inseⅣice・mini‑を通 じてこの招致事業 の最大の利点 となっている.
しか しなが ら, この一方で次の点で外国青年 はassistantEnglishteacherでなくてほなら ない し,実際の授業でpartnerとはなっても,専門家である日本人英語教師 にとってかわ る ことはないのである.
ア.教員免許状 を持 っていないし,又教職の経験 もない.(一部該当す るAETもいるが 例外)
ィ. 日本の教育のシステム,教育法規 に精通 してお らず,まして生徒,学校の実態 はわか らない.
ウ.対象生徒の母国語である日本語を話 さず, 日本及び地域 の文化 ・習慣 になれていない.
‑.契約 は原則 として1年の短期滞在者であ る.
ここに,彼 らの欠点を補 って,外国青年招致 のメ リットを最大限に生かす方法 として, 日 本人英語教師 (JTE=JapaneseTeacherofEnglish)と英語指導助手 (AET‑Assistarit EnglishTeacher)として招致 される外国青年 とのTeam・Teacbingが成立す るわけである.
(4)Team・Teachingとは
「コミュニケーシ ョン能力 (特に,聞 く ・話す領域 における)の育成」 とい う今 回の学習 指導要領外国語 (英語)科のね らいは,現実の学校現場における指導 とはまだかな り隔た り がある. しか し,国際化 された社会 は,その事実をただ黙視す るほど寛容ではな く, 日増 し
ティーム・ティーチングと新英語教育課程 91 に強 く英語教育の改善を求めている. この隔た りをAETの力を借 り,埋 め よ うとす るのが 外国青年招致事業であ り,具体的授業形態がTeam・Teachingである.ここで文部省 の見解 を中心 に私見 を加 えJETプログラム開始以後の体制 におけるTeam・Teachingの理解 を整 理 してみることとす る.
Team・Teachingとは①指導の立案 ②授業の実施 ③評価 と反省 の一連 のプロセスに より成立す る生徒, 日本人英語教師,AETの3者がお互 いに共同 して作 り出すcommuni・ cativeな言語活動をめざした英語の授業である.
文部省の定義の中には,①〜③ のプロセスの部分 は入 らず,別途取 り上 げられてい るが, Team・Teachingの成否がこのプロセスに大 きくかか っていることや,授業分担論 にみ られ るTeam・Teachingの広義 の解釈 もあるので入れておいた. このプロセスの各段階の留意事 項 については次の とお りである.
①でのポイソ トはco・operativeplanningであ り,
7. 日本人教師がTeachingPlanを作成 し,あ らか じめAETに渡 し,検討を依頼 して お くこと
ィ.Teachingplanにより, 日本人教師 とAETは具体的な指導内容 を打 ち合わせ るこ と
り.授業 に向けて生徒 にあらか じめ必要 な準備を指示 してお くこと
② のIn・classlnteractionでは,3者が共同して行 う言語活動,つ ま りAETと日本人教 師,AETと生徒等の2者間のや りとりの間の第三者 の動 きを十分考慮 したinteraction triangleを作 り出す ことが大切 となる.
ア. 日本人教師 とAETの役割を明確にしてお くこと
ィ.授業 は原則 として英語で行い,AETの英語 も極力訳 さないで生徒に理解 させ るこ と
り.生徒への訂正 は,最小必要限度のものとし, リラックスした雰囲気を作 ること
③ のevaluationofthelessonは日本人教師は多忙 も手伝 ってあま り積極的でないのが覗 実であ るが,AETは彼 らの慣習か ら,feed backとい うものを重視す る.constmc・ tivefeedbackはTeam‑Teachingをより効果的なものにす るだけでな く, より良好 な 人間関係をも作 ってい く.
先の定義 におけるcommunicativeな言語活動 とは,mechanicalactivities(pattem prac・
ticeなど),meaningfulactivities(practicedoneinthecontext),pseudo‑communication activities(role‑play,dialogueactivitiesなど)をこえたrealcommunicationを意識 した も のであ り, また作 り出す とは, これまで未経験のTeam・Teachingを実践 し,研究開発 して いこうとい うものである.
又,訪問形態か らの指導のポイン トについては次のように考 えられ る.
① One・shotVisitの場合
ア.外国人でなければできないことをplanningす る ィ.活用の目的をどこに置 くか,焦点を絞る
a.生徒の学習のmotivationのため,英語への興味,関心を喚起 させ る
b.文化的背景 に関す る情報の提供を中心 にお く
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C.教材 に関す る指導を工夫す る ウ. どの場面での活用かを明確にしてお く
a.IntroductionかReviewか
b.Modelpresentationか,生徒の英語力のcheckか,informationを求めてか C.正確 さに主眼を置 く指導,8uencyに主眼を置 く指導 となるか
② Regular,BaseSchoolにおいて
ア.普段 の授業の基本的な姿勢を くずきず,生徒に余計 な緊張感 を与 えない
ィ.長期 (年間 ・学期)の指導計画の中に位置付 け,その中でAETの役割を明確にし てお く
ウ.日本人教師;AET共 に負担 にならないこと,指導の一定 のprocedureを確立 して お く
AETのもつ新 しいアイデアをどの ように日本の英語教育 に入れてい くか, 日本人教師 の 持 ってし、る考 えとAETのアイデアをどうcompromiseさせ るかが,今後の授業改革のポイ
ン トとなってこよう.
3 NativeSpeaker活用事業の展望
AETの招致,活用 については賛否様々な意見がある.その代表的なもの として東京外国 語大学 の若林俊輔教授のAET導入反対の弁5)を借 りて考 えてみたい.
その一つは外国青年 の選考体制への疑問であ り,「英語教育 に関す る非専門家が選考 して お り, 日本 または現地 の外国語 としての英語教育の専門家の協力を得ていない.」 とい うも のであ る. これは,AETは英語 の専門家であ るべ きとす る理論 に もつ なが るが,現在 の
AETと同数 の専門家 を招致 し,学校 等‑配置す ることは不可能であるし,その必要 もない と思 う.日本 の英語教育の責任者はあ くまでプロの日本人英語教師があたればよいのであ っ て,その改善 のため外国青年 の力を借 り,生徒のコミュニケーシ ョン能力の育成を図かれ は よい. はじめか ら招致のね らいが違 っている.AETは,英語 を母国語 とし,その言語を使 い,その英語社会 の中で生活 していると同時に,その英語文化の背景を持 った存在 として十 分 モデルた りえ,大いに活用で きると考 える.実際の現場では,AETに発音の指導を頼 ん でいる場合 もあるが,本来の目的 とはならないであろ う.発音指導は日本人教師で十分であ り,視聴覚機器 の助 けを得 ることもで きる.要 はその指導 を受 けた生徒 の発音 がnative speakerに通 じるか否 かが問題 であ る.彼 らにAETとcommunicationさせ ることこそ本 来 のね らいLc・はなかろ うか.「7マチ ュアを専門家扱い してはならない」 との意見で もあ る が,それはあ くまで日本人側 の問題である.
第二 に「AETとして来 日した外国青年の専門性 が生か されていない」 とある.彼 らを専 門性が故に招致 してい るわけでなく,専門性が生か され るか どうかは,AETとしての職務 を全 うする中での副次的なことである.
第三 に 「外国青年招致事業 は中曽根前首相 の思い付 き」 と書いてお られるが,英語 の教育 史が示すように,夏目淑石の時代か らnativespeaker活用の構想6)はある.また同 じく日本 の国際収支の赤字 によるJETプログラム中止 の懸念 は,授業の責任者が日本人教師であ る 限 り,JETプログラム以後 の英語教育界 は一層運用力 と自信 をつけた日本人教師が支 えて
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い くもの と思 う.ただ し, この間Team‑Teachingの原則 か ら外れ,AETに授業 をまかせ た り,一人歩 きをさせ,それに日本人教師が慣れて しま う場合 のことを心配 されての意見で あろ う.
第四に 「AETの受け入れにあたっても,one・shotvisitといった異常 なシステムを うむ」
と書いてお られるが,one・shotはone・shotな りに幾多の不備 があっても,公教育 の立場 か ら必要な一つの活用形態であ り,彼 らの訪問によりnativespeakerの存在 が生 きた言語 と しての英語の魅力を増 し, どれだけ大 きな学習の動機 を生徒に与 えているかを見逃 している.
このone・shotもAETの増加 と共 に,最近では,semi・re釘llarやbase・schoolタイプの訪問
・配置形態に変わ りつつある.計画的な,焦点化 した活用方法 によ り,授業 にしっか り組み 込 まれたTeam‑Teachingが出来 るようになってきている.
第五は 「外国青年 は,反 日感情 を抱いて帰国 していないか」 との氏の感想であるが,外国 人を招致す る事業の初期 においては,関係者がそれぞれ不慣れなため,誤解があった り,若
く社会経験の少 ない青年が多いことか ら,生活の上での トラブルもな くはなか った. しか し, その時です ら,問題の大部分 は個人 に帰す るものであ り, マス コミが一部の出来事 をsensa・
tionalに取 り上 げ,そのことで全体 のimageとして とらえられ るのは残念 であ る.外国青 年及 び日本人関係者の間 にはどの都道府県でも彼 らをsupportす るnetworkがで きてい る はずである.
では,■すべて順調であ り,問題 はないのか とい うことになるが,それほど楽観的ではない.
早 くもJETプログラム3年 目のあた りか ら表面化 してきた招致 目標人数の確保 の問題 が ある.地方自治体のAET招致の希望 は年々強 くなってきてい るが,現在の応募資格 をク リ アす るAETの質を維持 しなが ら,その必要な人数を確保 できるかである.青年 の本国 にお いては,事業の当初 の人気 による応募者の波がひいて,更 に人材の掘 り起 こしが必要の よう である.対応策が考慮 されているが,応募年令の制限をいま一度見直す ことも提案 してお き たい.JETプログラムの‑年 目はこの制限事項 はなかったはずである.年相応 に社会経験 があ り,それが他人への配慮,生徒への愛情,仕事 に対す る責任感, 日本の生活慣習の尊重 等につながっているベテランAETも少な くない.
も う一つはTeam・Teachingの とらえ方である.責任分担論 があ る. 日本人教師,AET がそれぞれ責任を分担 して個々に授業 を行 うのである.上智大学の渡部昇一教授 もこうした 意見7)を書いておられる.一つの授業計画 の流れの中で行われ るものであれは,た とえ一緒 に授業を行わな くとも広義 にTeam・Teachingと解釈 して進めてよいか との疑問である. こ のタイプのTeam:Teachingも語学教育の歴史の中に登場 して くる.学校教育 とは掛 け離れ ているが,ひとつの成功例 として記録 されている戦時中の米国における陸軍,海軍関係 の語 学要員養成 のための戦略語学集中 プ ログラム8)において行われた ものであ る. ここで は, nativespeakerが授業 の1cycleの中でseniorinstructorの教授 した言語材料 をpractice
させ るdrill・masterとして‑ コマを受 け持 っている. このnativespeakerには 「専門家で あること」 とい う条件はついていない.
しかし, この広義のTeam・Teachingの解釈 と実践 は現在の高専 におけるnativespeaker の活用9)に近 く,今後十分研究 に侶す るが,中等教育 における現状 においては当面,先 の課 題 として,現在の狭義のTeam・Teachingの研究を更 に深め,普及 させ ることこそ緊急性が