長野工業高等専門学校紀要 ・第
2 4
号( 1 9 9
1)9 3
米国における教育の動向 と課題
― 日 米 の 教 育 事 情 比 較 か ら ― 中 村 護 光
Recent U.S. Educational Trends and Its Tasks
―From A Comparative Study of Educational Situations in the U.S. and Japan―
Morimitsu NAKAMURA
Re c e n t
ly, t h eno t i c e a bl ed e c l i n ei ne c o no mi cc o mpe t i t i ve n e s si nt heUni t e dSt a t e s h a sb e c o meama t t e ro fg r e a tc o n c e m no to n l ya mo n gp e o p l ei nl e a d i n gpo s i t i o ns , bu t a l s oa mo n ga ve r a g ec i t i z e n sa swe l l .No taf e w o ft h e m at t r i bu t et h ed e c l i n et o u n s a t i s f a c t o r ys c ho o lpe r f o r ma n c e . Fr o ma l ls i de swehe a rc a l l sf o re d u c a t i o na l r e f o r m.
W
h a ti st hea c t u a ls i t ua t i o n?I st he r es u c has i gni f i c a ntdi f fe r e n c ebe t we e nt hee d uc a ・ t i o na ls y s t e mso ft h eU. S.a n dJ a pa n,he rma i ne c o no mi cr iva l ?Ca ns u c hdi f fe r e nc e s a c t ua l l yl e a dt oe c o no mi cf a i l u r e?Ma nyc o mp a r a t i v es t u di e sha v eb e e ndo n e , mo s to f t he mf o c u s s i n go nur ba na r e a s . Bu ti no r d e rt oe xt r a c tac o mp l e t epi c t u r eo fAme r i c a n e d uc a t i o nf r o m c o nc r e t ee xa mp l e s ,i ti sn e c e s s a r yt oc o n s i d e re d u c a t i o ni nmr a la r e a s a swe l lasi nl a r gec i t i e s . Thi sa r t i c l ewi l l c o mpa r et hee d uc a t i o na lpo l i c i e so ft hes t a t e o fMi s s i s s i p piwi t ht ho s eo fNa ga noPr e f e c t u r ei nJ a pa n.
1 . は じ め に
教育の問題 は,その国の未来を占 うもりである.近年 日米の経済摩擦がよ り深刻 さを増す につれ, アメ リカ国内では,その経済力の低下 は,教育改革の遅れが原因であるとの意見が 聞かれる.
1 9 9 1
年1
月7
日のNe ws we e k
の" Spe c i alRe por t "
の中で,Tom Mor gant hau
氏 が,1 9 9 0
年1 0
月8
日付Tl ' me
の" Th eS e
condA
meri
ca
nC
entury"の中で
は,前の合衆国,
駐 オース トリア大使のHe nr yG
runwal d
氏 がこの関連 を指摘 してお り,また1 9 9 1
年2
月14
日の
Ma i n i c h iDa i l yNe u J s
は,その2
日前の大統領のTopEc ono mi cAdvi s e r
のRi c har d Sc hmal e ns e e
氏 の上院経済委員会での予算説明に関す る発言を取 り上げて,USNe e dsBe t ‑ t e rEduc a t i onToCompe t eWi t hJ apan
のhe adl i ne
で報 じている.いずれ もアメ リカの世界的経済競争力を取 り戻すためには, 自分達の教育の改革が必要で あるとい うものである.その背景 には学校独自の努力ではとうてい治癒できないほ ど多様 な 病魔 に犯 された大都市 の
s c hools ys t e ms
の現状 とともに,平均的 なアメ リカの労働者が変 化の著 しい産業環境 に十分に適応できない こと,その労働力を機能 させえな くなった こと, そのため新たに数学や,国語力 についての広汎 なbas i cknowl e dge
が再教育 されね はな ら原稿受付 平成3年 8月29日
9 4
中 村 護 光な くなった事態の悪化が前述 の危機感を一層つの らせているようである.
これ らの報道が都市 の,やや
s e n s at i o na l
な現象を取 り上 げた警告であるとしても, この ような発言の裏 にある問題 を含 んだ実態への対応を,彼 らがその経済競争の相手 と考 える日 本 の場合 と比較 しなが ら考察 してみることとす る.前述の教育改革必要論の中では,次の三点が取 り組 まれなければならない共通の課題 とし てあげられている.
Cur r i c ul u
m の見直 しと充実,t e s t i n gs y s t e ms
の整備 と確立,教員 の資 質向上である.専 らそれ らについてま とを絞 り,実例 をMi s s i s s i ppi
州及 びその一都市,Me r i di a nCi t y
と隣接のLa ude r da l eCo u nt y
に求めた.またそれに対応す る日本の実例 を, 長野県の教育事情に求めて主に中等教育 レベルで比較考察 してみた.2. Cur ri c ul l l m
の見直しと充実今 日,アメ リカに必要なものは
,t o u g he ra ndmo r er i go r o usa c a d e mi cs t a n da r d s
であ り,具体的にはmor eEn gl i s h,mo r ema t h,mo r es c i e n c e ,mo r ehi s t o r ya n dge o gr a p hy
と いった伝統的な高校教育課程 のc o r es u b j e c t s
を充実す るとともに,知的でない科 目を排除 し,数学,科学を重視 した教育課程をめざす改革が提言 されている. また,科 目構成 と同時 に,年間1 8 0
日とい う授業 日数 が世界 の主た る工業国では最短であ り,その延長が具体的改 善の中で指摘 されている.アメ リカのあま りに多様化 したc ur r i c ul um
は,一部のエ リー トに とっては,上質 の教育 を提供 して きた として も,全体 を底上 げ してい く層 の厚 い
e du ・ c a t e dma npo we r
の育成 につながらず,今 日の‑イテクに対応で きる人材 の不足 をきた しているからである. これは, アメ リカの
hi ghs c ho o l
が,総合制高校 の原則 を尊重 しなが ら も,常 に主眼点を学問的才能 のある学生t hea c a de mi c a l l yt a l e nt e ds t ud e n t s
の英才教育 に 置いてきた過程 に生 じた落 し穴であった と言えるかもしれない.Mi s s i s s i p pi
では,1 9 8 2
年のt heEduc a t i o nRe f o r mAc t
が施行 されるまでは,州 の各学校 におけるc u r r i c ul um
は多種多様であったが最近 このような反省 をもとに,各教科での修得 に必要なba s i cs ki l l s
を明確 にしたc o r ec u r r i c ul u
m が開発 され実施 に向け着手された.1 2
年生 までの新
c ur r i c ul u m
の完全実施 は1 9 9 2
年 と予定 されている.同州では, これ に伴い単 位の増加 と必修科 目の増加がはかられている.つま り,1 9 9 2
年か らの高校の新入生 について 紘,卒業時 に必要 な単位 は現在 の1 8
か ら2 0
となる.現在 の1 8
単位 は,En gl i s h
が 4,ma t h
が2 ,s c i e n c e 2 ,s o c i a ls t udi e s
の2
が必修であ り,選択科 目は8
である.1 9 9 2
年の新入生 については,更 にもう二つの選択科目が増 え計1 0
単位を学習す ることになる.1 9 9 3
年には, もう1単位s o c i a ls t udi e s
の科 目が必修 とな り,逆に選択 は1 0
か ら‑ 9
単位 に減 る.1 9 9 4
年で は,1 / 2
単位のc o mp r e he n s i vehe a l t he d uc a t i o n
が必修 に加わ り,選択 は8
と1 / 2
単位 とな る. また,州 は,s c i e nc e
の必修2
単位の うち,1
単位 は生物 を指定す る予定であ る.1 9 9 5
年には, コンピューターの
1 / 2
単位,芸術 の1
単位,数学のさらに1
単位が必修 となる一方 で,選択科 目は6
単位 と大幅 に減 る. このa c a d e mi c al l yc o r es u b j e c t s
の必修を増加 させる ことにより,国際競争力のある学力を確保 したい との願いは,州住民の多数の支持 を得てい る.その半面Mi s s i s s i ppi
州では,皮肉にも,州 の5 0
万をこえる生徒 にこのgl o b a l
な競争力 をつけるため3
年で合計1
億8 2 0 0
万 ドルの教育投資をす る計画Be s tEduc a t i o nf o rSu c c e s s
To mo r r o w ( BEST)
を策定 したが,予算要求が議会を通過せず,教育予算 に関 しては各学米国における教育の動向 と課題
9 5
区の努力にまかせ られた格好 となった. しかし,州予算 自体が歳入の落ち込みで緊縮 を余儀 な くされている中で,学区の教育財政負担を軽減 し均等化す るための州のMi ni mum Fou n・
da t i o nPr o g r a m
まで も1 9 9 1
年1
月に1%
を, 2
月に3%
をカ ットせ ざるをえな くなってお り,1 9 8 2
年のEd u c a t i o nRe f o r mAc t
以来 ミシシ ッピー州が歩 んできた教育改革のステ ップ を大 きく後退 させはしないか との懸念が強まっている. また, この教育予算の問題 は各学校 の開設講座数にも影響 し,1 1 8
のc o u r s e s
を開設す る高校 もあれば,5 2
のc o ur s e s
で とどま る高校 もある.各々のs c ho o l di s t r i c t
は歳入 として様々な方法一個人寄付,交付金,PTA a n do t he rs p e c i a la c t i vi t i e s ,pr o p e r t yt a x
の値上 げ( c u r r e nty e a r ' st a x
の1 0%
をこえないこと)を工夫 しているが,そのことは,示えって学区間格差 を助長 し,新
c ur r i c ul u m
に よ り州全体 の学力の底上 げを狙 う州にとっては, こうした財政事情 は教育改革の大 きな足かせ となっている.一方,我が国では
,1 9 8 9
年3
月1 5
日に幼稚園教育要領,及 び小,中,高等学校 の学習指導 要領が全面的に改訂 された.高等学校についてみると,1 9 9 4
年4
月に入学す る第‑学年か ら 学年進行で実施 される予定 となっている.生徒の能力 ・適性,進路等の多様化 の実態 に則 し, 普通教育 に関す る教科 ・科 目は8教科4 5
科 目か ら, 9教科62科 目に,職業教育 に関す る教科・科 目は
6
教科1 5 7
科 目か ら同1 8 4
科 目に増加す る.昭和5 3
年8
月に告示 された これ までの高 等学校学習指導要領 は,高校進学率9 3 %
を超える生徒の実態にそ くし多様化,弾力化 を打 ち 出 し,ゆ とり教育をめざした.必修科目についてはそれまでの1 2
科 目4 7
単位か ら, 7
科 目3 2
単位へ,卒業 に必要な単位数は8 5
単位か ら8 0
単位に減 らし,かわ りに選択科 目を増や して生 徒の興味,関心に応 じて履修できるように配慮 しながらさまざまな教育課程の編成ができる ようにしたものである. この個性を生かす教育の精神 は科 目数の増加を通 して新学習指導要 領の中にも引 き継がれているが,今回の改訂では,その一方で必修科 目については, 8
教科l l ‑1 2
科 目以上 となってお り,従前 に比べ,科目数,単位数 ともに多 くなってお り,基礎 ・ 基本の重視がその基本方針 の中に新たに加わ ってい る. これ は,Mi s s i s s i p pi
州が, これ ま でのt o o mu c h di v e r s i f ie d
なc u r r ic ul u m
の反省の上 に立ち,昨年の秋にt he Pr q' e c t 9 5 Co mmi t t e e( pu bl i cs c hoo l s ,t wo ‑ ye a rc o l l e ge s ,f o ur ・ ye a ru ni ve r s i t i e s
によるj oi ntve n・
t ur e )
が提案 した州の公立学校 の履修科 目をすべてを選択 に しよ うとす る案 を し りぞけ,ba c kt ot h eba s i
cへの具体的方向転換をはかった姿勢にも通 じるものである.経済,技術 の 発展 に ともない, よ り高度化す る産業社会への適応 のため には一定 の基礎知識 を持 ったma npo we r
が不可欠であることや,中等教育において,個性尊重 を うたい,多様化 をあ ま りに先行拡大 したカ リキュラム編成がかえって大衆教育 を危 うくした反省か ら学ぶ とき,今 般の新学習指導要領に盛 られた基礎 ・基本の充実の基本方向は我が国公教育の歯止めの働 きとなるものである.
学習指導要領 を構成するものは,大 きく総則,各教科,特別活動である. この点 に照 らし てみると,目下の ところ
Mi s s i s s i ppi
州 のc u r r i c ul um gu i da nc e
の中に特別活動 に関す る部 分のr e qu i r e me nt s
が目立たない ことに気が付 く. 日本 の場合 は,その内容 は,ホームルー ム活動,生徒会活動, クラブ活動,学校行事にわたっている. またホームルーム活動 の一環 としての生徒指導,進路指導等の諸指導がそこに入 って くる.教育改革でまず最優先課題 と してカ リキュラムの改善があげられてい るとき,特 に1軌 中等教育 においてこの分野への関9 6
中 村 護 光心が際立たないことはアメ リカに於ける学校 に対す る伝統的な考 えが支配 しているか らであ ろ うか.学校教育を,心豊かな人間育成の場 としてとらえる時,その教育活動 は,各教科 ・ 科 目の学習にとどまらず,特別活動にも及 び,それ らの教育活動全体を通 した指導の在 り方 が模索 されてよいのではないか.ただ, この特別活動が無制限に肥大化 し,学校が生徒指導 のすべてを請け負 うような錯覚を持たせた り,教師のオーバーワークにつなが りかねない危 険 には十分配慮すべ きであるが.
Mi s s i s s i ppi
州の1 2
年生 (高校3
年生) までの義務教育 と日本 の高校 を同様 に比べ ること はできないが,長野県の場合でも高校進学率が9 7 %
にのぼることを考 えると,比較はまった く無謀 なことではないだろ う.同州の全公立学校在籍者数に対す る中退率 は,1 9 8 8 ‑1 9 9 0
年 において,
10学年生が,6. 0 6 %,
11学年生 は5. 1 5 %,1 2
学年生 は3. 8 1 %
であった.一方長野 県の全高校の場合 は1. 5 3 %
である.生涯教育が充実 し,中途で学ぶ機会が整備 されたアメ リ カ的事情を割 り引いた としても, このd r o po u t s
の率の差 はなんであろうか.この点で 日本 の初 中等教育 における
ho me r o o m t e a c he r
を中心 とした生徒指導を見逃す ことはできない.教科 ・科 目の指導についても,大方の高校では,少な くとも学年担当者が, チームを組み,年間の指導の歩調をそろえ,同一テス トを実施 して学年指導の体制を組 んで い るが,特別活動においても同様,学級,学年,学校全体 の集団 としての体制が整備 され有 機 的に機能 している.Cur r i c ul u m
の内容 だけでな く,その取 り扱いについても共通 の認識 を持ち,集団指導が指向されている. アメ リカのhi g hs c ho o l
において, この面で個々の教 師 の創意工夫 と力量が優先 され専門的,分業的指導形態が進め られているとすれば,c ur r i c ・ ul um
の改革の効率に差が出て くるのほ当然ではなかろ うか.3. St andar dAchi evmentTe s t s
を求める声Cu r r i c u l u
m の充実改善 に続いて,冒頭 のレポー トは 「合衆国におけるt e s t i ngs ys t e ms
は でた らめなmi xo fo ve r l a ppi n g, a n ds o me t i me sc o n f li c t i ngt e s t i n gs y s t e ms
である」 と指摘 し, よ り厳正 なa c ad e mi cs t a n da r d s
が必要であ り,そのため,生徒の到達度をはかる全国 的試験制度の創設を考えるべ きであると主張 している.全国的試験制度が果た して どれだけの教育的な意味があ り,効果を上 げ うるか,また一般 市 民 に どの よ うに受 け入れ られ るかの議論 は別 として,そ こにはなん とか児童,生徒 の
a c a d e mi cs t a nda r d s
を維持 し,国際的経済競争力を失 うまい とす る焦そ う感, と同時 に公 教育 に対す る一般市民の不信, といらだちの声が聞 こえて くる.Mi s s i s s i p pi
州では,1 9 8 2
年以降,t h eDe pa r t me n to fEdu c a t i o n
は年額 $1mi l l i o n
を費 や してt heSt at e wi d eTe s t i n gPr o gr am
を組織 し,三つの試験を実施 している.1 9 8 2
年のTheEdu c a t i o nRe f o m Ac t
は,Mi s s i s s i ppi
のs c hoo lpr o gr a ms
の質の向上を目指 したも のであ り,pe r f o r ma n c e d・ ba s e ds c ho ola c c r e di t a t i o n
と呼ばれるように,学校の認可基準 の主眼を教育の成果,特 に生徒の成績 に関連 した成果 にお き,その統計 と情報に関 して州教 育委員会 に報告す ることに よ り,各学 区の努力 がチ ェックされ る仕組 み になってい る.Te s t s
の目的は,すべての学区が達成 しなくてはならないmi ni mu m pe r f o r ma nc e
を確立す ることであ り, この法によりこれ らt e s t s
はp u bl i cs c ho o l s
に義務づけられた もの となって・いる.次の三つの うち
Mi s s i s s i pp i
州が独 自で用意す るものは最初の二つである.米国における教育の動向 と課題
9 7 O BSAP( t heBa s i cSki l l sAs s e s s me ntPr o g r a m) ‑1 9 8 6
年か ら実施 され,州の3
,5 ,8
年生が対象 とな り
,r e adi n g,mat
九,wr i t i n gs ki l l s
に関 してmul t i p l e ‑ c hoi c eque s t i o ns
に より行 なわれている.ただ し,8
年生 の場合 はここに作文が加わってい る.OFLE( t h eFu n c t i o nalLi t e r a c yExam) ‑1 9 8 8
年か ら実施 され,
11年生 を対象 に,r e a d‑
i ng,ma t h,wr i t i n gs ki l l s
をはかるためmul t i pl e ‑ c ho i c e
及 び記述式で行われている.同 州では, このテス トの合格 が高校の卒業資格を得 るための必須 となってお り, これに失 敗 した者は,r e me di at i o n
を受 け,再度テス トを受 けることになってい る (合計3
回ま で受験可).1 9 9 0
年4
月Fと受験 した11年生 の場合,受験者2 5, 5 4 9
人 の うち,1, 5 2 7
人 がf
i r s tt r y
で不合格 になっている.1 9 91
年度では,州 は, このFLE
のr e me di a t i o n
の指 導について,2, 2 6 6
人分, $4 9 0, 0 0 0
を支出 している. しか し,次年度について州 の教育 局 は, この倍額を要求 したが,結局 これよ り$3, 5 0 0
少ない $4 8 6, 5 0 0
に査定 され, ここ にもまた財政赤字が教育改革の歩調をペースダ ウンさせている様子が伺 える.△SAT ( t h eSt a nf o r dAc hi e v e me n tTe s
t) はSa nAnt o ni o
のt h ePs yc ho l o gi c alCor p.
の開発 によるものであるが
,mul t i p l e ‑ c hoi c e
によ り,mat h,r e a d i n gs ki l l s
をはかるた め諸州で用 いられてい る.1 9 7 8
年か ら,Mi s s i s s i p pi
州の多 くの学校 で使用 され始め,1 9 8 7
年から州は,全国的な レベルでの学力実態把握 のため,4 ,6
年生に義務づ けてい る.BSAP
及 びFLE
の場合 は,絶対評価のテス トであ り,SAT
は相対評価 のテス トであ る.BSAP
では,1 9 8 6
年 にこのテス トが必須になってか ら, 3
年生 の得点が飛躍的 に伸 びてい るが,5 ,8
年生については目立 った変化はない.州では,BSAP
とFLE
のr e a di ng,mat h‑
e ma t i c sa ndwr i t i n gt e s t s
については,長期目標 として正答率8 0 %
また,SAT
のgoa l
は全 国的 に見 て,4 2%
の出来 に目標 をおいている. しか し,1 9 9 1
年 の見直 しまで は,当面 はBSAP
とFLE
については,7 0 %
の正答率,SAT
については3 2 %
と設定 されてい る.毎 年 春4
月に行われるs t a nd a r di z e dt e s t s
における結果 に応 じて学区は,l e ve l1( a tr i s k di s ‑ t r i c t s )
か らLe ve 13( a d e q ua t ep e r f o m a nc eo no ut c omeme a s ur e s )
に区分 され る.基準 を下 回 るs c ho oldi s t r i c t s
はpr o ba t i o na r ys t a t us
(認定 猶予) とな り,r e me di a t i o npl a n
(改善計画)を
t heSt a t eBo a r do fEdu c at i o n
に提出 し,その指導を受けることになってい る.1 9 8 6
年の開始当初 は,1 7
の学区がp r o ba t i o n
の対象 となったが,1 9 9 1
年では3
校 までに 減少 している. この際,欠陥を是正できなかった学区はs t a t e a c c r e d i t a t i o n
を失い,S t at e f un ds
が受けられな くなるのだが,過去には例がない.この
s t a nda r di z e dt e s t s
については,Apr i l7 ,' 9 1
の地元t heCl an' o n・ Le d ge r
紙 は次の よ うな不満や,批判があることを指摘 している.①通常テス トの得点 の低い人種的少数派や貧 困家庭の生徒 に対す る差別である.1 9 9 0
年のAme r i c a nCo l l e geTe s t s
の受験者 は,81 7, 0 9 6
人であ り,その平均点 は3 6
点満点中,2 0. 8
点であったが,mi no r i t i e s
の場合 は1 8. 8
点であ っ た こと.また同様の傾向が別のc o l l e gee nt r a nc et e s t
であるt heSc ho l a s t i cApt i t udeTe s t
にも見 られることを例示 している.② テス トにより,子供達にs l o w, a ve r a ge , gi f t e d
とい う ようなレッテルを貼 っていること.③教師にいかに思考す るかでな く,テス トに出て くる知 識を専 ら教えさせ るようになった こと.④ テス トでは教室で習 った ことを分析 し,統合 し, 応用す る能力 は計れないこと.⑤ テス トの得点 が,s c hoo lc hi l d r e n
のグループ分 けに使用9 8
中 村 吉 光されていること等である.① であげられている
r a c i almi no r i t y
の問題 は,1 9 6 4
年の公民権 法制定以来,常 にアメ リカ社会が解決 を迫 られて きた ものであ り,教育 の平等化 はその後1 9 7 0
年代の諸政策を通 して大 きく前進 し,bl a c kc hi l dr e n,mi nor i t y
に配慮 した教育政策 は アメ リカの教育 の基調 となってお り,取 り扱い次第でテス ト実施 に大 きな障害 とな りかねな い ものであ る. しか し,そ うした意見 を乗 り越 えて1 9 8 2
年 のMi s s i s s i pp i
州 のEdu c at i o n Re f o r m Ac t
は承認 されてい る.そして,学校 の生徒 のpe r f o r ma nc e
に対す る責任 が求められ,その方法 としてこれ ら
s t a nd a r di z e dt e s t s
が行われ ることとなった.Co mmu ni t y
に 対 して開かれた アメ リカの公立学校がその学力問題に対す る責任 について出 した答え方である.教育関係者の中には, このテス トに頼 りすぎる危険を警告す る意見 もある.
長野県においても,学力低下が問題 になってい る.国公立大学,有名私大‑の現役合格率 不振 が話題 とな り,経済界を中心に危機感が広が り, ここ数年県議会でも幾度 とな く取 りあ げられている.
1 9 9 1
年1
月2 4
日に県経営者協会の教育問題研究委員会 は 「学力低下の原因 と その改善」について 「小中学校 について,学力水準の実態を把握するため統一学力テス トを 実施するよう県教育委員会へ提言 している.学力低下が問題 とされる時,その実態の分析 と その レベルア ップの活性策 として,よ くテス トによる効率的解決案が浮上 して くる.市民の 公教育 に対す る不満 とい らだちに答えて明快 な答 が求 め られ るか らである.前述のMi s s i s ・ s i ppi
のように大胆 にs t an da r di z e dt e s t s
を制度化 してい くのか,それ とも他の説得力 のある解決策をもってあたるかの選択をせねばならない.
しか し教育 の成果 はテス トによってのみ測れないし,測 るべ きでもない.特 に日本 のよう にテス トの発想そのものが, ほとんどすべて競争 テス トであ り,学歴社会形成の手段化 して お り,そこにテス トの大 きな存在意味がある現状 を考慮す ると
,s t anda r dt e s t s
の成果 が公 立学校が果た さねばならない義務 の履行にたいす る尺度 としてとらえるアメ リカ的認識 が日 本で も通用す るか との不安がある.学習指導要領 の流れをた どると, これまでに教材 は精選 され,基礎 ・基本をきちんと押 さえることに重点が置かれ,公立学校 はこの学習指導要領 に 沿 ってc u r r i c ul um
を組み,授業 を展開 して きている.同学年の児童,生徒であっても時代 が違 えは,その教材 の内容や取 り扱いにも変化がある.以前 と比べ学力が低下 した とい う比 較 は相当正確 なデータに基づいて,慎重でな くてはな らない.また,学力問題 の発想が,大 学合格率等の成績であるとすれば,職業高校や,進学校でない高校の生徒の学力はどうはかるのかの疑問が残 る.
実施 されるテス トは生徒の学習指導要領 に盛 られた学習の到達度を測 るべ きであ り,公立 学校 はそれに対 して責任を持つべ きであると考える.高校の入学者選抜学力検査を とっても, 中学校での学習事項 にたいす る到達度 をはかることができても,競争試験であるか ら,定員 枠 に入 っていれば学習の到達度が相当悪 くとも入学が出来 る.反対 に
9 0 %
以上の理解度 をも ってしても不合格 とな り,入学できない生徒 もでているのが現実である. また,高校入学を はた してしまえば, よほどのことがないかぎり進級 と卒業が可能である.基本 となるフィロ ソフィーの確立がないため,その学力 の実態を表現す る際に大学の合格率をもって学力が低 下 した とい う功利的学力論 が先行 して しまっている. この点Mi s s i s s i p pi
州のFLE
の卒業 資格試験の方が理 にかな う. また不合格者 に対す るr e me di a lhe l p
とそのためのt ut o r i n g
は 州 の教育局が責任 を持 っている.入学 を許可 した生徒の学力は卒業の時点で もしっか りチ ェ米国における教育 の動向 と課題
9 9
ックされ,社会に向かって保証 され るべ きものであろ う.進学率 は全国でも9 5 %
を超 える状 況ですでに義務教育機関化 した高校 の生徒 に対 し,学校 は学力 についての責任をどのように 果た してい るか,それを どのよ うに県民 に報告 してい くか求め られ るのは,Mi s s i s s i p pi
州 の例をまつまで もないことだろ うが,公立学校 はいたず らに功利的学力論に振 り回 されず に, 学力の定義を明確 にし県民の理解を得て,そ うした学力 に対す る責任を果た していけはよい のではないか.4.
教員の資質向上一般 に低い給与体系及 び雇用形態の不安定か らくるアメ リカ社会 に於 ける教員の地位 の低 さと,更 に加 えて若者を引 きつけ改革を推進 してい く教育界 のエネルギーの欠如が よ く指摘 されるところである.アメ リカにおける教育改革への提言の多 くは教職 はもっと創造性豊か で,高い経済的,社会的水準を与 えられるべきであるとしている.ただ, この点については,
1 9 9 0
年7
月1 6
日のTl ' me
に1 8 ‑1 9
歳 までの,いわゆる第一次,第二次ベ ビーブームにはさま れた世代 に関す る面 白い記述がある.彼 らをdr u gs ,di vo r c e ,e c o no mi cs t r ai n
の中で育 った 世代であ り,r a c i a ls t r i f e ,ho me l e s s n e s s ,AI DS ,f r a c t ur e df a mi l i e s ,f e d e r alde 丘c i t s
等の社 会問題 にたいして感覚の麻 ひした世代,危険や苦痛をさけ,急進的改革を好 まない世代 と特 徴づけている.2 0
代の4 0 %
が離婚家庭 の子であ り,両親共稼 ぎの家庭 に育 ったこの世代 は, 自己の成長過程の経験か ら,子供達 と過 ごす時間を望んでお り,一方で自分たちは見捨て ら れてきた もの との気持 ちか らa bs e nt e epa r e n t s
‑の憤 りは大 きい. しか し,その補償作用 として,教師や友人 との第二次的人間関係への依存度 は高 く,職業の充実感 を求めていると 報告 している.また同時に, このため教職 は長い間,und e r pa i d,und e r a p pr e c i a t e dpr o f e s ‑ s i o n
として社会的に低 く見 られてきたが, この世代 の間ではかな り前途 があ るとも記述 され,その裏付 けにな る数字 として
,1 9 8 5
年か ら,1 9 8 9
年 にか けての,ア メ リカに於 け るt e a c hi ng p r o gr a ms
の在籍者の増加 をあげている. この傾向は,その理由はともあれMi s ‑ s i s s i p pi
においても現実である.1 9 9 1
年3
月11日付のTheMe y i di a nSt a r
紙 は教育 はこれまで
,f e we rc o l l e ges t u de nt sa r ee n t e r i ngt het e ac hi n g丘e l ds
であったが, この2
年,t he Uni ve r s i t yo fMi s s i s s i pp i
では,教育専攻 の学生が増加 していると報 じてい る.1 9 9 0
年の秋 の入学者 は7 5 4
人で前年比1 9
人増,1 9 8 8
年秋 と比べ ると8 3
人の増 となってい る.同 じく
Ma r c h
ll ,' 9 1
のTh eMe n‑ d i a nSt ar
紙 は,Te a c he r sr a pl a c ko fs u ppo r t
とのHe a d l i ne
で教員の現状を紹介 している.その抱 えている問題点 として,増加す るr e s po ns i ・ bi l i t i e s
‑すなわちal o to fpa pe r wo r k,l o ws al a r i e s ,s t a t el a ws
の欠陥 (教員の解雇 について
s c ho o ldi s t r i c t s
にその正当な理由の提出を求めていない点を指摘),親か らのs up po r t
の 不足 (教員が抱 える最大 の問題 はdi s c i pl i n epr o bl e ms
であるが,親の実質的協力が得 られ ない)等をあげている.教員は常に社会,時代 の変化‑t e c hno l o gy, t heme di a, t hegr o wi n g dr u gp r o bl e ms
一 に応 じた指導が必要 とされるが,その中でl oc a l ,s t a t eo rf e d e r a lgo ve r n・
me n t
が求める生徒の行動/活動 に関す る諸表薄 の記録,採点/宿題,指導案作成,テス トの 実施 ・補習,出席の確認,標準 テス トの為の学力づ くり,その外,c he e r l e a di n g s q ua ds
,ba l lga me s
の指導,s c hoo le ve n t s
等の日常の仕事に追われるとの不満がレポー トされている.それ らの労働条件下の彼 らの給与等での待遇は具体的にどうなっているのだろ うか.
1 0 0
中 村 護 光The
Of f ic eo fEdu c a t i o nalRe s e a r c ha ndI mpr o ve me n toft heUn i t e dSt a t e sDe pa r t ‑ me nto fEd uc a t i o n
がスポンサーとなったアメ リカのSo u t he a s t
の諸州の教職 の案内用パ ソフレットには
,Co mpe t i t i veSa l a r i e s
との見 出 しで,初任給 の比較表が載 っている. これ に よ る と,年 間$1 6, 8 0 0
でt axa udi t o r
の$1 7, 6 4 1
に つ づ い て ラ ン ク さ れ,n e ws pa p e r r e po r t e r
の$1 5 , 0 0 0 , r e gi s t e r e dn ur s e
の$1 4 , 5 0 0 , s o c i a lc a s e wo r ke r
の$1 3, 4 0 4
を引 き離 し, 他 の同様 な準備 を要す る職業 と比較 して もかな りよい初任給 とうたっている. しか し,その 初任給 も伸 び率 は低い よ うで,Ma r c h
ll ,' 91
のTh eMe n‑ di a nSh Z r
紙 は,Me r i d i a ns c ho o l t e a c he r
の平均的給与 は1 9 9 0
年 で年間 $2 5, 4 5 3
であ り, これ はベテ ランの自動車工,電気工,デパ ー トの仕入れ係 と同 じ額 であ ると書 いている.
Ap r i l5 ,' 91
の時点で州の教員の平均給 与 は $2 4, 4 4 3
,全国平均 は $3 3, 01 5
であ る.また,教員 の身分 は州公務員 であるが
,Mi s s i s s i p pi
州 の場合,i n s ur a nc e
(健康保険) に 関 しては州政府機関の公務員 と扱いが違 っている.He al t hi ns ur a nc ec o v e r a ge
を全額州が 持つs t a t ee mpl o ye e
に比べ,教員 はs t a t ei ns u r an c epl a n s
の中に組み込 まれず,州か らこ の分 の支出はな く, 自己負担 によ り所属す るs c ho o ldi s t r i c t
のhe al t hi ns u r a nc e
に加入 して い るの が現状 で あ る.Th eMm' d i a nSt ar
紙 に よ る と, 1ケ月 あ た り,単 身 の場 合 は$1 0 8 ‑1 4 5
,家族加入 の場合 は $2 6 8 ‑3 3 8
を個人 が負担 し,歯科医療 はオプシ ョンに よ り,1
ケ月単身でお よそ$1 6
,家族 で $4 6 ‑4 8
となるので,Me r i di a n
市 で は,保 険費用 の支払 い助成金 として,年額 $4 5 0
を,隣 のLa u d e r da l e
では $2 5 0
を支給 してい る.教貞の資質向 上 のために,教員養成機関の充実,i n‑ s e r vi c et r ai ni n g
の確立 は確か に大切 な ことであるが, まず もって優秀 な人材 を確保で きな くてはその効果 はあや しくなって くる.この点, 日本 の場合 は,教育への人材 の確保のために
1 9 7 4
年 に義務教育諸学校 の教職員 の 人材確保 に関す る特別措置法 が成立 し優遇措置が はか られてい る. また同法第3
条 では,「義務教育諸学校 の給与 については,一般の公務員 の給与水準 に比較 して必要 な優遇措置が 講 じられなければならない」 と明記 している. この法 は,高校,幼稚園並 びに特殊学校 の教 職員 にも適用 され, これによ り給与改善 が実施 されている. また,特別活動の時間外勤務 に たい しては,その勤務 の性格上,時間外勤務手当の支給が困難 であることか ら,一律 に教職 調整額 が支給 されている. この特別活動への指導 は,前述 のアメ リカの教員の任務 を含む 日 本 の初 中等教育 の教員 の任務全体 の中では大 きな比重 を占め る. しか し,それがまた生徒 と の結 びつ きを深め,父母 の信頼 や教職の社会 的評価 を維持 している. アメ リカに於 ける教職 の魅力 について,教職 を選択す る者 の本音 に
,s umme ro p t i o n s
がまずあが って くる.同時 に当局 もMa nyt e a c he r su s et hes u mme r t i met owo r ka n de a r na dd i t i o na li nc o meo rf o r pr o f e s s i o na lde v e l o p me nt .Ot he r ss p e ndt hi st i mewi t hf a mi l yo rf o rt r a ve
l.とその メ リットをア ピール しているが, アメ リカ諸州 が教育改革で教員 の資質向上 を柱 にした時,教員 の 待遇 については,現状 の枠 (権利 を保持 して) の中で, なお納税者 を納得 させ漸次給与 の改 善 を進 めていけるだろ うか.それ とも, カ リキュラムの改善 の中で特別活動等の教科外指導 を深め充実 させ,教育全般 に専念 させ る代償 として,それに見合 う抜本的な給与改善,教員 の優遇措置を考 えてい くのか.特 に初,中等教育 において必要 とされ る教員像 はいづれかを 見極めて選択 してい くこととなろ う.望 ましい教員像 とその労働条件 は当然それにともな う 結果を教育 の成果の中でみせて くれるはずである.
米国における教育 の動向 と課題
1 0 1
長野県の経営者協会 は,県教育委員会への要望 として教員の資質向上 の項 目の中で 「研修 制度の実態を県民に知 らせ る.再教育機関を充実,強化 させ る」 ことを提言 してい る. しか し,地方公務員法及 び教育公務員特例法の改正 によ り長野県でも2
年間の試行 のあ と,8 9
年 度か ら1
年間にわたる初任者研修が小学校教員 に,9 0
年度 には中学校教員 に,高校教員 には9 1
年度か ら本格実施 となっている.だが,あえてこの提案がなされた背景 は,初任研後 の教 員の研修体制が自主研修 とい う形をとってお り,個人差が大 きいことに対す る県民 の一部 の 不満を代弁 した ものと解釈できる.Mi s s i s s i p pi
州の場合t h eEd uc a t i o nRe f o r mAc
tによ り,1 9 8 4 ‑1 9 8 5
のs c ho o l y e a r
を初年度 として,‑各学区毎に総合教員開発計画をt he Co mmi s ・ s i o nofSc ho olAc c r e d i t a t i o n
に提出す る義務が課せ られている. このs t a庁 de v e l o pme nt t r ai ni n g
‑の参加 は必須であ り, この修了をもって教員 は免許 の再証明を受けている. また,1 9 8 2
年か らは,学校経営の重要性 に鑑み,学校長 に向けたma n a ge me ntt r ai ni n g
が開始 さ れ,t heSc ho o lExe c ut i veMa na g e me ntl n s t i t ut e
が設立 され,毎年2 , 5 0 0
名を こえる参加者 を数えている.日本の初任研 は高学歴社会が進み,様々な教育論 が様々な方面か ら持 ち出され る中で,敬 員が力量を高め, プロとしての教職が確立することが期待 されて生 まれた.長野県の場合, 初任研以降の研修 は教育センター,産業教育センターにおける講座,県教育委員会 による生 徒指導等の研修 プログラムなどが用意 されてお り, また
ma na ge me n tt r ai ni ng
も行われて いるが,教員 としてのl i f e l o n g
の研修が, どう体系的に継続 され うるかのg ui d e l i ne
が明確 でないまま,用意 された研修 も多忙 な日常 の任務がわざわいす る場合 も多 く,受講状況 に個 人差 も出ている.余裕ある充実 した自主研修が望まれる一方,他者から見て,教員 自身の意 識 と自覚の高ま りが判断で きるわか り易い尺度がない ことも確かである.教育公務員特例法 の第19条では,教員 自身の,第2 0
条では任命権者の研修の機会提供 の義務を うた ってしこる.しか し研修の制度化 は,教員の独創性を阻害 し,形骸化を招 く恐れ もある.必ず しも 「制度 的研修 ‑教育の充実」 とならない場合 もあることも承知 しておかな くてはならない.長野県 の経営者協会が提言 した よ うに,公立学校 の研修義務 の履行 が求 め られた時
,Mi s s i s s i ppi
州的な方法 もあろ うが,長野県の場合,義務教育諸学校を中心 として,校内研修 の長 い歴史 がある.高校 においても同様 に校内研修が活発化 した時,生 きた研修 としてそれが立派 な回 答 とな りうるのではないか.5.
日米比較か らMi s s i s s i ppi
州,長野県の両者 とも,住民 の教育 に対す る関心 は高いが,教育改革 の声 が 経済界を中心 とす る教育界以外か らあがっている.原因は前者 では新 しいTe c hnol o g
yを駆 使 し高い経済競争力を支えてい く若年労働力のba s i
cな学力の低下 に対す る危機感であ り, 後者では,学歴社会の中で,その トップを占める大学への競争力を失った受験学力の低下 に 対す る危機感である.カ リキュラムは,学校における教育の支柱であるが,前者では
t oomuc hdi ve r s i f ie d
な選 択科 目の反省 の上 にたち,選択を減 らし,必修を増加 させ ることによる基礎 ・基本 に戻 る流 れがあ り,後者では,新学習指導要領で必修科 目を増加 させているものの,依然 これ まで前 者が指向 した選択制,類型制の拡大をめざし,県の事業化 により奨励 ・促進 している.1 0 2
中 村 護 光前者では教科指導 に重点を置 き,必須化 された研修 により教員一人一人の力量を高め,専 門的,分業的 な
t e a c he r ・ c e nt e r e d
な考 えがあ り,生徒 についても個性重視で,才能 の開発 に積極的である.後者では,個々の生徒の才能,特に英才教育 については制度的なプt,グラ ムを持たないが,学校教育 を人間形成 の場 ととらえ,e xt r ac u r r i c ul a rac t i vi t i e s
の充実を 図 りなが ら,全人教育 と生徒全体の学力の レベルア ップをめざし,教科,教科外いずれの指 導 においても集団による指導体制がとられている.前者にとっては,学力の考 え方は社会人 としての必要な資質を身につけることであ り,そ のために公立学校は責任 を負 う.それはさらに社会で応用,発展 させ る合理的なものと考 え る.後者 においては,本来,長野県教育の目標 とする 「全人教育の営みの中か ら獲得 された 能力」 と考えられてきたが,近年の議論の中では競争社会の関門をク リアす る手段, ク リア す ること自体 に大いに意味のある功利的,権威的 なものが考えられている傾向がある.
アメ リカ
,Mi s s i s s i ppi
州を例 にとると,経済競争力 の低下の原因 と指摘 され る教育 の問 題 は,その改革を妨 げているのが財政難 とい う経済の問題 に帰す る.Sc hoo ldi s t r i c t
によるSc ho o lbo n d
の発行( Mi s s i s s i p pi
州で は有権者 の有効投票数 の6 0 %
の賛成 で可能),PTA
及 び民間団体 の援助 はC o mmu ni t y
の教育‑の参加 を促 している.また,それが公立学校に 対 し住民への各校 のpe r f o r ma n c e
の成果 をs t a nd a r di z e dt e s t s
によ り報告 させ ることを義 務付け,学校がより市民 に開かれたものになっている反面,地方依存 の教育財政は学区間の 格差 を助長 させている. また,再 び本論冒頭 で引用 したHe nr yGr un wa l d
氏 の言葉 を借 り ると,
「学校はe f fe c t i vee d uc a t i o n
より,C o mmun i t yr ig ht s
やm ino r it yc ul t ur al t r a d i t i o ns
により興味のある教育のアマチ ュアや革新教育論 の束縛を うけ,教育 の混乱」 も予期 しなく てはならない状況 も発生 している.アメ リカにおける公教育への財政負担の方法 は,教職員 の給与待遇 と共 に,今後 に見直 しと改善の余地が残 されている分野ではなかろ うか.一方, 日本の公立学校であるが,安定 した公的財政措置 によってお り,市民の直接参加の機会 は少 な く,その実態や成果について市民か らの提言や,批判を受けることも少 ない. しか し,市 民 の意識 の高 ま りとともに,市民が積極的に参加 し,発言 し, よ りo p e n
なpu bl i cs c ho ol
‑の変革 と,各校 の
pe r f o r ma n c e
に関す る情報 の提供 をより厳 しく求め られ る日がやがて くると思われる.そのために徐々に学校 をop e n
なものにしてい く努力が必要である.その ような声があがってこない とすれば,住民が公立学校 を見限 り,私立学校 を選択 した場合で あ ろ う.アメ リカMi s s i s s i ppi
州 の場合 は,私立学校 は,白人,黒人別学 の二重 のs c ho oI s ys t e ms
の撤廃が法 によ り命ぜ られ,i n t e g r at i o n
をきらう白人子弟のためのs he l t e r
として 設立 された歴史的弱点を持ち,当面積極的に公立学校 に代わってい く可能性 は少ない.日本の経済競争力がアメ リカを凌 ぐ勢いであ り,その原因がアメ リカとは逆の立場で 日本 の教育 に よる ところが大 きい との見かたが可能 であれば,あま り細分化 されず,一定 の
c or es u b j e c t s
を留保 し,学校 を人間形成 の場 として とらえ,特別活動を重視 した カ リキュ ラム編成 と, きめ細かい集団指導体制,それを可能にす る今回は特に触れる機会を とらなか ったが教員の給与 ・待遇面での優遇策 に裏付 けられた教員の職業意識 の違いがその要因 とし て見 えて くるのである.米国における教育 の動向 と課題
1 0 3
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Edu c a t i o ni nMi s s i s s 妙 iI7 協eFut uT l eZ sNo w ,Mi s s i s s i ppiDe pa r t me ntofEduc at i o n
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TEACHER AND ADMI NI STM 7 1 0R EDUCATI
ON, CERTZ FI CAT
ION, AND DEl qLOPMENT ,Bu r e a uofSc hoo lI mp r o ve me nt ,Mi s s i s s i p p iSt a t eDe par t me ntof Educ a t i o n,May,1 9 9 0
ANNt L ALREm RT OF THE STATE SUPERI NTENDENT OF PUBLI C EDUCA.
TI ON ,Mi s s i s s i ppiDe par t me ntofEd uc at i o n Bur e au o fMa na ge me ntI nf o r mat i on Sy s t e ms ,J a m. 2 ,1 9 9 1
Fi v e ‑ Ye a rPk mf o rEd u c a t i o n a l
lmPT l D V e me nt 1 9
5V‑ 1 994, t heSt a t eBoar dofEduc a t i o n ofMi s s i s s i ppi
Th eMi s s i s s 妙 iEdu c a t i o nRe f o mtAc t ‑ Fi v eYe a n Lat e r .A Re po y ii ot hePe o pl eo f Mi s
siss妙 t ,Dr .Ri c ha r dA.Bo yd ,St a t eSupe r i nt e nd e ntofEd uc a t i o n,No v. 1 9 8 7 Me r r
yW h i t e ,Th eJ a pa ne s eEd u c a t i o n a lCh al l e n ge ,TheFr e epr e s s ,1 9 8 7
Wi l l i a m K.Cum m i n gs ,Ed u c a t i o na ndEq u al i & i nJ a pa n ,Pr in c e t o nUn i v e r s i t yPr e s s ,1 9 8 0
「特集 初任者研修 の実践 か ら」 r教育指 導時報J長野 県教育 指導時報 刊 行 会