資料
鯨締粕の蒐集組織
服
部
政一
一︑配給機能と配給組織
経濟生活の焚展につれて我々の生活に必要なる物財の生産と消費とが分離して行く傾向がある︒試みに︑原
始時代の人類の経濟生活を見るならば︑浩費をなさんとする者は自ら物財の生産をなしたのであつて︑生産と
消費とは人格的に統一されてゐた︒同時に生産の場所も消費の場所と同じか︑又は飴り遠からざる領域であ
・り︑生産の時期も消費の時期と相接近するを常とした︒然るに経濟生活の嚢展につれ周商品の生産者は其の商
品の消費者と人格的に分離し︑同時に生産地と消費地も遠く隔り︑生産の時期と浩費の時期も亦長き期間を隔
る様になつた︒だから此の意味に於ては︑今日までの経濟生活の稜展は生産と消費の人格的︑場所的︑時闇的分
錬締粕の蒐集組織︑︼一=
棘締粕の蒐集組織一二二
離であつたとも言ひ得られよう︒然るに生産は共の目的が生産共れ自膿ではなくして︑結局消費でなければな
らない︒是に生産と消費の分離を克服し︑人格的にも︑場所的にも︑時間的にも爾者を蓮絡させる働らきの存
在が︑分離の度が強ければ強い程︑必要となるのである︒他面に於ては︑此の蓮絡の働らきが存在するが故
に︑又此の働らきが振大すればする程︑生産と浩費とがより一暦分離し得らる玉こと玉なる︒斯くの如き生産
と清費の人格的分離を連絡させる働らきが︑配給(竃碧冨け冒嬉の本質的機能である︒①人格的分離と並んで場所
的︑時聞的分離が起るが︑此れらは各々軍に共のもの︑みとして起つたのではなくして︑人格的分離と相互に
密接に關聯して起つたのである︒即ち︑人格的分離は場所的分離の原因となり︑或ひは反封に共の結果ともな
ることが多い︒もし軍なる場所的並びに時闇的分離が存在するとして見ると︑それが分離の克服は軍に物財の
輸逡及貯藏を意味するに止るのであつて︑此れのみでは配給の本質には何らの關聯もない︒所が前蓮の如く人
格的分離と場所的分離は相互に相關聯して起るのであるから︑人格的分離を克服した物財の人格的流通は必ら
す物財の輸邊をも生ぜしめ︑反封に場所的分離を克服した物財の輸逡が同時に物財の人格的流通を生む原因と
もなる︒だから物財の人格的流通は常に場所的移動︑叉は貯藏を伴ふとも言ひ得られるのであつて︑前者は配
給の本質的機能であるに封して︑後者は配給の補助的機能をなす︒か曳る配給機能をクラーク教授は次の如く
に分つ︒①配給機能(冒岱時・け言鵬聞きa︒量
A交換の機能(国毒a§ω亀国×6冨お・)
一︑需要の創造(販費)Uo目曽aO誘註o昌(oo巴ぎσq)
二︑買集(購買)﹀ψ︒・§ぴな(じごξ言σQ)
B實質的配給司きa︒房o{男ξω凶色o︒鎧"筥鴇
三︑蓮逡目冨蕊宕昌註8
四︑保管︒⇔8冨鴨
C補助的或は助成的機能︾黄豪9蔓oH国碧購冨ユ昌㈹司毒臼ご話
五︑金融団昌碧∩ぎ鵬
六︑危瞼の員憺⁝衷㎝﹃雷賦昌σq
七︑標準化︒⇔雷巳舞集墨ユ8
ラクラーク教授のA交換の機能は我々の所謂人格的流通を意味し︑配給の本質的機能であり︑8實質的配給は人((
格的流通に伴ふ場所的移動及び貯藏であつて︑我々のもつて補助的機能となすところのものである︒C補助的(或は助成的機能としてクラーク敏授の學げられる金融︑危瞼の員捲︑標準化の機能は︑我々の配給の本質的叉
は補助的機能を容易ならしむる爲めにのみ存在し︑時に存在せざる︑二次的の働らきにしか過ぎない︒⑧
然らばか玉る配給機能を現在憺ふてゐる者は誰か︒彼等は如何なる肚會的關係に入り組んで︑言ひ替へれば
如何なる組⁝織の下に此の機能を行ふか︒現在配給機能を專門に捲當してゐる者は商人である︒だがかく言へば
とて決して商人以外に配給を行ふもの玉あることを否定するのではない︒今日に至るまでの経濟生活に於て︑
叉今日でも生産者叉は浩費者が自ら直接配給に從事してゐたし︑共の傾向は今後釜々盛んとなりつ製あること
は明らかである︒問題は此の申現在いつれがより支配的であるかと言ふにある︒此の意昧に於て︑商人は現在
配給機能を澹ふ肚會的存在であると言ひ得らる曳︒ところが現實に商人は各自が彼等の肚會的存在の意味を意
錬締粕の蒐集組織一二三
錬締粕の蒐集組織=一四
識して︑日々の活動をなしつ玉あるであらうかと言ふに決してそうではない︒彼等が活動をなす唯一の目的
は︑彼等の商業資本を運用して商業利潤を得んとするにある︒即ち生産地の相場と消費地の相場とを比較し︑
爾地間の蓮絡に要する経費を計算し︑其の間の差釜を得ようとして活動するのである︒けれども各商人が行ふ
か﹂る活動の綜合的な結果として︑彼等の意識から離れて︑肚會的に配給組織が成立する︒斯くの如く杜會的
な現象として︑個々の商人から無意識的に成立する配給組織は叉各個人の活動に或る程度の拘束を與へるので
ある︒此の意味の配給組織は分れて蒐集組織と分散組織の二つとなる︒もともと商人は総べて各自それん\︑
一方には物財の購買を行ひ︑他方には此れが販費を行ふのであつて︑此の意味に於て商人の活動から直接に蒐
集(購買)及び分散(販費)の現象は起らない︒然るに各商人の活動の綜合として枇會的に成立つ配給組織よ
り見れば︑明らかに一方鴻費者に物財を分散する前に一慮個々の生産者より買集める組織と︑此の買集められ
たる物財が個々の漕費者へ分散する組織とが生すること﹂なる︒蒐集組織は消費者へ物財が分散される以前に
一慮買集められる組⁝織として配給組⁝織の一面をなすのである︒
本稿は本邦魚肥の中最大の生産額を有する練締粕に就て︑以上の如き意味に於ける蒐集組織の現實の姿を精
密に雷き出さんとするにある︒
H.憎日O冨三お齢8℃固①ヨ︒算︒・o{寓鴇ぎ酔冒σqM剛鷺♂"いφ︾.頃Ω賛5津貯︒即℃︼窪oh寓騨井︒帥貯単おおモ﹄7緒方清・緒方豊喜課﹃蜜買組織論﹄上巻一四1一五頁︒谷口吉彦著﹃商業組織の特殊研究﹄一=ー二三頁︒(谷口教授は﹁商業の本質﹂
と言はれうが︑私の言ふ﹁配給の本質﹂にこれと全く同意義.てあろo)
ド〃ラーク著・緒方課・前掲書︑一四1一五頁︒
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=︑蒐集組織に於ける場所的移動
配給組織の機能は生産と滑費との人格的︑場所的︑時間的分離を克服するにあることは前述したが︑配給の
目的となる商品の生産される仕方①にょつて︑時には︑其の商品の場所的分離が︑か玉る機能を生ぜしむる主
因となることがあり︑又時間的分離が此れに換ることがある︒例へば︑自然的生産物の配給は︑主として其の
場所的分離によつて起るが如き是れである︒②殊に︑是に問題とする練締粕の如く︑極めて限られた地方にの
み生産されるものに於ては︑配給の主たる機能は如何にして此れが生産地と消費地との分離を克服するかに存
せねばならない︒と言ふのは生産地より消費地への場所的移動が同時に人格的流通を結果すること﹂なるから
である︒かくて︑練締粕の生産と消費との場所的分離は︑我々が問題とする練締粕の配給組織を考察する出稜
鮎をなす︒先づ鯨締粕の生産地として樺太︑北海道がある︒而して爾地方の生産高はもつて全國の生産高とな
して差支えない︒鯨締粕の蒐集活動に從事する商人は毎年の爾地方の生産高を大凡そ七十萬石ー百萬石と見積
る︒今︑爾生産地と生産高を正確に現はさんが爲めに︑最近五ヶ年間に於ける爾地方の生産高及び其の割合を
藪字的に示せば次の第一表の如くになる︒
第一表最近五ケ年間鯨締粕生産高及生産地
髪 一
錬締粕の蒐集組織
寡 携 醗
一二五
錬締粕の蒐集組織一三ハ
昭和二年{ 三 .六九
四 ︑ 杢三
貫(五 四二 ︑三七 〇石)
不明
昭和三年{ 一三 ︑五五
四 ︑七五六
貫(三三八 ︑
八六九石)
三七% 二
三 ︑
三八八 ︑〇三七
貫(五八 四 ︑七〇〇石)
六三% 三六 ︑九四二 ︑七九三
貫(九二三 ︑ 五六 九石)
言○%
昭和四主 七 ︑六八一 ︑九哩八
貫(一九二 ︑〇四九石)
二八%
充 ︑七一
二〇 ︑
六 〇
貫(四九
二 ︑七
五 七
石)七二% 二七 ︑三九二 .二〇八
貫(六八四 ︑ 八 〇五石)
δ○%
昭和五よ 一〇 ︑九六
西〇 ︑一○
貫(二七四 ︑
○〇六石)三五% 一一
〇 ︑
五三
八 ︑
六
四 四 貫(互三 ︑
四六五石)六五% 三一 ︑四九
八 ︑ 八八四 貫(七八七 ︑
四七一石)
δ ○%
鴨 近三ク堕 "○ ﹁七ゴ三 ︑一三五
質(二六八 ︑ 三 〇八石 ︑
三四% 三 ︑二三 ︑三一四貫(五三
杢ハ% 三石〇 ︑〇八) 冒﹃九四
四 ︑
六一充貫(七九八 ︑六一六石)言○%
北海遣廃統計書第二巻(勧業之部)︑昭溜五年︒樺太蘇統計書(昭和五年)にようo
ω北海溢撫統計書︑樺太鷹統計書共生産額に﹁貫﹂箪位で示されてゐうが錬粕の蒐集組織に於けろ一般の取引阜位に﹁石﹂
な普通とするから筆者は﹁石﹂に換算した産額たも示し六︒(百石‑四千貫)
㈲昭和元年︑昭和二年には樺乗廃統計書なき爲め生産額不明であるの為遺憾とすうが︑雨年に於けろ錬漁獲高が例年と大
差ないから錬締粕生産額も例年と似六ものであらうo
右の表に擦れば︑爾地方を通じての練締粕の年生産高は凡そ六十八萬石‑九十二萬石であり︑最近三ケ年李
均は七十九萬絵石に達する︒其の内北海道の年生産高は凡そ十九萬石i五十四萬石︑最近三ケ年干均二十六萬
飴石︑樺太のそれは凡そ四十九萬石‑五十八萬石︑最近三ケ年李均五十三萬石を示す︒而して北海道と樺太の
年生産高を比較して見れば︑前者の年生産高は︑共の年々によつて著しき攣動あるに反して︑樺太は大禮年生
産高一定し凡そ五十萬石前後である︒最近三ケ年平均生産高に就て︑全生産高に封する北海道及樺太の割合
は︑前者は三四%︑後者は六六%︑即ち樺太は全生産高の六割六分を︑北海道は三割四分を生産してゐるので
ある︒次に︑北海道︑樺太の生産高が雨地方の各地によつて如何に分捲されてゐるかをより詳細に示せば第二
表の如くである︒
第二表鯨締粕樺太︑北海道の各地別生産高(昭和三︑四︑五年亭均)
道 海 北 太 樺
三三 奏囚
『許 竺九 〇
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計
(北海道縢統計書(勧業之部)︑・樺太廃統計書にふる)
即ち樺太に於ては全生産高の七四%が大泊支廉管内に於て︑地理的に見れば亜庭灘一帯の海岸から生産され
るのである︒次いで東海岸と西海岸との眞岡支廃管内と豊原支廃管内とで=一%が生産される︒北海道に於て
は留萌支廉管内と宗谷支臆管内とが主産地であつて︑爾⁝支晦恥管内に於ける生産額は全生産高の約六五%を占
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