• 検索結果がありません。

情報化投資評価方法論 に関す る研究

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "情報化投資評価方法論 に関す る研究"

Copied!
27
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

情報化投資評価方法論 に関す る研究

出 川 淳

1.概 要

バブル崩壊以降,企業ではコンピュータな どに代表 され る情事 馴ヒ 投資の適切 性 を評価する必要が生 じてきた。 その背景は大 きく次の 4 点に集約 され る。

●かな り大規模 な投資 を必要 とす る情報通信 システムに対す る投資が,企業 の本来的な目的にどの程度寄与 しているか判 らないため。

●以前は,情報通信 システムを構築す る際の構成要素 としての選択肢 はメイ ンフレーム と呼ばれ る大型 コンピュータ しかなかったが,近年では安価で 高性能なワークステーシ ョンやパ ソコンな どの小型 コンピュータが登場 し たことによって,選択肢の幅が広が り,それぞれの 目的に最適な選択 を しな ければな らな くなったため。

●情報通信 システムの もた らす効果が,単なる自動化や業務の効率化だけで な く,業務品質の高度化や従業員のや る気 という定量的な計測が難 しい分 野にまで拡大 して きたため。

●バブル崩壊後の不況 によって, コス ト削減のため投資の規模 と内容 を見直 さざるをえな くなったため。

この様 な背景で,情報化投資評価の必要性が強 く認識 され るようになったが, 一般的 には新規投資 に対す る意思決定時の評価だ けが重要視 され る傾 向が あ

る。 しか し,評価の本質は PDCA サイクル と同様 に,事前評価 と事後評価の双 方が必要であることは言 うまで もない。また,評価 を正 しく行 うためには,情報

〔 1 8 9 〕

(2)

190 4 7 券 第 1 号

通信 システムの運営 に要 している費用の規模や 目的 を全て正 しく把捉 す ること も必要 となるが,実際には現状の把握す らで きていない場合が多い。

情報通信 システムの投資評価 を実施す るためには,情報 システム部門だけで な く,ユーザ部門の支援が必要 とな り,決 して情報 システム部門だけで実施で き るものではない。これは,情報通信 システムの支援機能の範囲が企業活動のほぼ 全域 に及んでいるためであ り,健全な情報通信 システムを構築 し,運営す るため には必須の要件である。

実際には,情報通信 システムに対す る投資評価 を実施 している企業は少ない。

特 に少ないのが,投資に対す る事後評価である 。1 993 年の調査では,定期的に事 後評価 を実施 している企業 はわずか7. 7% となっている。ところが,実際のシス テムの発展度合 との相関 をみてみ ると,評価 を実施 している企業ほ ど情報通信 システムが発展 しているという結果 もでている。なお,評価 を実施 していない最 大の理由は,評価の仕方が判 らないため となっている。 1)

本稿で述べ る内容は情報化投資評価のための方法論であ り,以下の項 目か ら 構成 され る。

●情報通信 システム関連費用お よび効果の把握手法

実際にかかっている情報通信 システム関連の全ての費用お よび効果 を把握 す るための費用分類の体系 を実施す るための運用手順である。

●情報通信 システム関連投資評価手法

経済性工学 に基づ く財務的な評価手法 と定性的効果 を定量的に評価す る 手法 ( AHP) を情報通信 システム分野に適用 した評価のための体系お よび 実施手順である。本手法 は,事前評価 と事後評価の双方に通用す る。

●費用削減/適正化のための管理体系

実際に収集 した費用や効果のデータを分析 し,具体的なアクシ ョンに移 るための検討時 に用いる体系である。なお,費用 を適正化す るための高 コス

ト要因を見極め る指針 について も示す。

(3)

情報化投資評価方法論に関する研究 19 1

2. 情報通信 システム関連費用および効果の把握手法 2. 1 費用の分類体系

情報通信 システム関連の費用 を把握 し適切 な分析 を行 うため には,費用 を 種 々の観点で分類 しなければな らない4 ) 。本稿 ではこれ を費用の分類体系 と呼 ぶ。情報通信 システムの費用 を分析す るためには, 6 種類の分類 ( 財務的分類,

システム機能別分類,運営機能別分類,主体別分類,発注先別分類,費用管理方 策別分類)が必要 となる。これ らの分類 は,情報通信 システム関連の費用が 6 種 類 に分類 され るのではな く,それぞれの費用 に対 して 6 つの観点か ら分類が行 なわれ,分析 に用 いられ るものである。以降の節で 6 種類の分類 について説明す る。

( 1) 財務的分類

当分類 は情報 システムが実際に収益 を生み出す場合,あるいは,情報 システム 部門をプ ロフィッ トセ ンター として管理す る場合 に必要 となる分類 である。分 類の基本的な考 え方は財務会計の費 目に基づ く。具体的には以下の通 りである。

( ∋売上高 ②売上原価 ( 卦一般管理費

④営業外利益 ⑤営業外費用 ⑥特別利益 ⑦特別損失 情報 システム部門 をプ ロフ ィッ トセ ンター として管理 していない場合 には, 上記分類 は当該企業の財務会計費 目と一致す るが,プ ロフ ィッ トセ ンター とし

て管理 している場合 には,財務会計費 目とは一致 しない。例 えば,情報 システム の提供す るサー ビスに対価 を設定 し,ユーザ部門か ら情報 システム部門‑振 り 替 えること等 によって,情報 システム部門の社内売上高 を把握 ・管理す る場合,

これは情報 システム部門 をプ ロフィッ トセ ンター として管理す るための管理会

計上の分類及び仕組みである。つ まり,情報 システム部門の社内売上高は,財務

会計科 目としての売上高ではな く,管理会計上の科 目となる。情報 システム運営

経費やサービスの内容 ・ 品質 を適正化するためには,この ようなプ ロフィッ トセ

ンター としての管理は有効である。当分類 における各科 目の意味は以下の通 り

である。

(4)

19 2 4 7 券 第 1 号 ( ∋ 売上高

情報 システム部門が情報 システムを通 じて提供す る各種サー ビスあるいは情 報 システム部門の要員が行 うユーザ支援 などの役務サー ビスである。

ユーザ部門‑のプ ライシング ( 費用賦課)の方法 は,原則的には「 受益者負担」

である。 したがって,サー ビスの利用量 とユーザが明確 に特定で きる場合 には, 従量制が望 ましい。例 えば,ユーザの特定 されるアプ リケーシ ョンシステムの費 用 ( 使用料)等である。 しか し,ユーザが厳密に特定で きない場合や,利用量が 正確 に測定で きない場合 には,固定費 としての賦課が妥当 となる。また,た とえ 正確 な計測が可能であってユーザの納得が得 られない もの もある。具体的には, 通信 トラフィックの様 にシステム的にはその量が厳密に測定で きるものであっ

て も,量 自身がシステムの実現方式な どに依存す る場合等である。この様 なサー ビスについては固定費的な賦課が無難である。

② 売上原価

情報 システム を通 じてサー ビスや役務 を提供 す るのに必要 とな る費用で あ る。これ らの費用は殆 どの場合,情報 システム部門で発生す るが,ユーザ部門で 発生す る場合 もある。要す るに,情報 システムの運用作業 をユーザ部門が行なっ ている場合である。したがって,費用 を正確 に把握す るためにはユーザ部門で発 生す る原価 ( 具体的には,ユーザ部門要員によるシステム運営作業時間)も正確

に把握 しなければな らない。

( 勤 一般管理費

情報 システムの運用や活用のいかんに係 らず,固定的に発生す る経費である。

例 えば,光熱費,地代,家賃等が該当す る。

④ 営業外利益

本来業務 ( 情報 システム部門の場合 には情報サービスの提供等)以外 によって

日常的に発生す る利益である。受け取 り利息などが該 当する。例 えば,それ まで

使 っていたメインフレーム等の高額大型装置 を売却 した場合,会社 としての資

金運用計画などに基づ いて発生す る場合がある。なお,発生の有無 に関 しては財

務部門の管理 となる。

(5)

情報化投資評価方法論に関する研究 19 3

⑤ 営業外費用

本来業務 ( 情報 システム部門の場合には情報サービスの提供等)以外によって 日常的に発生する経費である。支払い利息などが該当する。例 えば,情報 システ ムを構築するために導入 したメインフレーム等の高額大型装置の資金調達計画 などに基づいて発生す る場合がある。なお,発生の有無に関 しては財務部門の管 理 となる。

⑥ 特別利益

日常的な業務以外で発生す る利益である。例 えば,減価償却期間を経過 した装 置などを売却 した場合などに発生する。具体的には,コンピュータシステムの運 用をアウ トソーシングに切 り替 えた場合などである。

⑦ 特別損失

日常的な業務以外で発生す る特別な経費である。例 えば,減価償却 を開始 して 間 もない資産 ( 簿価が多 く残 っている資産) を売却 した場合などに発生する。

( 2) システム機能別分類

システム機能別分類 とは,情報通信 システムの機能的特徴 に基づ く分類であ る。この分類は,全体 を構成するそれぞれのシステム毎の効果や費用 を把握する 場合に必要 となる.一般的なシステムの場合,①インフラシステム費,( 卦アプ リ ケーシ ョンシステム費,③ OA 系システム費に分類す るのが適当と考 えられ る が,当分類 は,実際の情報通信 システムのアーキテクチャーや各企業固有の事情 に沿 うかたちで 自由に設定 して よい。例 えば,大規模 システムの場合であれば, インフラシステム費をさらに分類 して,ネ ットワークシステム費 ,LAN システ ム費, DBMS システム費の様 に細分化す ることが考えられ る。

( 彰 インフラシステム費

全社 あるいはある組織 ( これは複数の組織単位の集 まりで もよい)にとって基

盤的なシステムである。全社インフラ と特定の組織のインフラを別々に管理す

る必要のある場合には,補助 コー ドで分類する方法 もある 。DBMS 等の ミドル

ウェアがインフラシステムに分類 され るか,( 参のアプ リケーシ ョンシステム費

(6)

19 4 商 学 討 究 第 4 7 券 第 1 号

に分類 されるかは,当該 DBMS の使用 目的や実際のユーザが全社 に及ぶか,特 定の部門に限定 されるかなどの事情に依存する。

② アプ リケーションシステム費

特定の業務 を支援す るためのアプ リケーシ ョンシステムであるO原則的に' ,イ ンフラシステムの上で構築 されたシステム と言える。ただ し,全社員が共通的に 活用す る OA 的機能 ( ワープロ,表計算,メール等)が全社 ホス トのアプ リケー ションとして構築 されている場合には,アプ リケーシ ョンシステム費ではな く a) のインフラシステム費 として分類すべ きである.なお,アプ リケーシ ョン毎 に 分 ける場合 ( 例 えば,営業支援 システム,生産管理 システムなど)には,補助 コ ー ドで分類する。業務系 システムと情報系 システムを分類す る場合 も同様であ

る。

③ OA 系システム

一般的にユーザ部門主導で導入 され るパ ソコンや ワープ ロ等のいわゆる OA 系 システム ( 正確 にはオフィスインフォメーシ ョン系 システム 1 ) )である。

( 3) 運営機能別分類

運営機能別分類 とは,情報 システムの運営機能に基づ く分類である。この分類 は,情報 システムの運営に関わる人件費等 を把捉する場合 に必要 となる。分類項 目は,①統括,②企画,③開発,④運用,⑤その他 とするのが適当と考えられ る。

( ∋ 統括

情報 システムの運営 を統括す るための機能である。具体的には,情報 システム の提供す るサービスの対価設定や社内標準化活動,情報 システムの運用規則の 設定等である。原則的に,ほとんどの場合情報 システム統括部門で実施 される機 能である。

② 企画

情報 システムの企画機能である。通常は,情報 システム部門で実施 される機能

であるが,将来的には,ユーザ部門で一部実施 される可能性 もある。

(7)

情報化投資評価方法論に関す る研究 19 5

③ 開発

情報 システムの開発機能である。通常は,情報 システム部門で発生す るが,最 近ではエ ン ドユーサー コンピューテ ィング ( 以降, EUC) な どによってユーザ部 門で も一部実施 され るようになって きている。

④運用

日常的な情報 システムの運用 に要す る機能である。通常は,情報 システム部門 で実施 され るが, 最近 では EUC などによってユーザ部門で もかな りの運用 を実 施す るようになって きている。

( 9 その他

情報 システム関連費用 として発生す るもののなかで,地代 ・家賃等の ように, 人の作業 とはまった く関係のない,要す るに機 能的 に分類す るこ とので きない 費用のための便宜的な分類項 目である。

( 4 ) 主体別分類 ( 発注元分類)

主体別分類 とは,システム運営機能の実施主体 に基づ く分類である。この分類 は,費用が どの部門で発生 しているかを検討す る際 に活用 され る。実際の コー ド は,情報 システム部門 とユーザ部門 を大分類 としてわけ,ユーザ部門 については 実際の舶戯 構造 に応 じて補助 コー ドで細分化す る。 この分類 を用 い るこ とに よ

って,費用賦課制度の運用が容易かつ厳密 となる。

この分類のイメージを示す と次の通 りである。例 えば,あるユーザ部門の リク エス トに基づ いて実際の作業 は情報 システム部門で実施 した場合, 当分類 に該 当す るのは発注元つ ま りユーザ部門で ある。発注 された側 で ある情報 システム 部門は, 当分類 ではな く次の発注先別分類で計上 され る。

( 5) 発注先別分類

発注元の リクエス トに応 じて,情報 システム運営 に関連す る作業 を行 った場 合の実施部門あるいは実施 した外部業者が本分類 に該 当す る。具体的 に設定 さ

れ るコー ドは, (4) の発注元別分類 に設定 したコー ドに外部業者 を加 えた もの

(8)

1 9 6 商 学 討 究 第 47 券 第 1 号

とな る。一般的な企業では,複数の業者 との取 引があるので,業者毎 に補助 コー ドで分類 してお く必要がある。

( 6 ) 費用管理方策別分類

費用管理方策別分類 とは,具体的 に採用す る費用の削減 のための方策 に注 目 した分類である。換言す ると,発生 した費用の形態別の分類 とも言 える。具体的 には,( 丑人件費,( 卦設備費,③消耗 品お よびその他 とい う分類である.

なお,( 丑の人件費 については補助 コー ドとして社 内要員 と社外要員費用 に分 類 した方が,費用削減 の検討が しやす くなる。また,③の設備 にの場合 は補助 コ ー ドとして,ソフ トウェア費用,‑‑ ドウェア費用,通信サー ビス費用 に分類 し た方が削減方策の検討 に便利 である。

以上 の( 1 ) か ら ( 6) の分類体系 を図表 1 に示す。

図表 1 費用分類のための体 系

財務的分類 ・ システム機能別分類 運営機能別分類 主体別分類( 発注元) 発注先別分類 費用管理方策別分類 売 上 高 インフラシステム 統括 情報システム部門 情報システム部門 人件草

売上 原 価 アプリケーションシステム 企画 ユーザ部門 ユーザ部門 稚 慧およびその 他

2. 2 実績 データの収集方法

実績 データの収集 とは,情報 システム部門,ユーザ部門で情報 システムの運営 に関わる作業 を実施 した際の費用や時間 を収集す るこ とである。実績 デー タの 収集 は,図表 2 に示 した関連作業項 目毎 に分類で きる。 1)

以降で,実際の情報 システムの運営 に よって発生す る費用 と時間お よび,情報

システム部門 をプ ロフィッ トセ ンター として管理す る場合の社 内売上 な どのデ

ータを収集す るための方法 について説明す る。

(9)

情報化投資評価 方法論 に関す る研究 図表 2 情報通信 システムの運営 に関わ る作業の分類

1 97

Ⅰ.情報通信 システムの統括にかかわる業務

1.情報通信 システム自身およびシステム運営 に関 する長期計画の立案

①事業計画 ( 長期計画)の立案

②情報通信 システム基盤整備計画の立案 ( 卦業務系 システム基盤整備計画の立案

① 情報系システム基盤整備計画の立案

⑤ OA 系 システム基盤整備計画の立案 ( 砂EUC 推進計画の立案

⑦ 情報資源統括管理,整備計画の立案

2. 情報通信 システムの運営経費に関す る計画立案 および実績評価

①費用計画 ( 予算作成)

・インフラ系運営経費

・業務系運営経賛

・情報系運営経費

・ OA 系運営経費

②実績評価

3. 情報通信 システムの運営 にかかわる経営制度の 立案 ( 費用賦課制度など)

①費用賦課方式の導入検討

②費用および効果把握のための制度の検討

③効果把握指標に関する検討

⑳ 情報通信 システム運営組織 ・権限委譲などに 関する検討

・システム企画お よび開発の永認プ ロセス

・投資評価意志決定プ ロセス

( 釘情報資源管理のための全社的運営メカニズム の検討

・業務系データ資源 ( 定形データ)

・情報系データ資源 ( 定形データ)

・情報系データ資源 ( 不定形デ‑タ)

・情報系プ ログラム資源

・データアクセス権限 ( セキュ リティ) 4. 企業標準の設定

①最新情報技術標準の調査,技術動向の把握

②社内標準化境目の検討 と設定 ( データフォー マ ッ ト,通信プ ロ トコルなど)

③ システム構築方法論

④ EUC ガイ ドライン

5. 外部業者管理 ( アウ トソーシング管理)

①発注管理

②技能管理

6. 情報通信 システム部門の統括

①要員技能の把握

②要員技能向上策の立案

( 勤システム構築プ ロジェク ト管理 7. ユーザ部門の統括

①エ ン ドユーザ技能の把握

( 参エ ン ドユーザ技能向上施策の立案

Ⅰ Ⅰ . 情報通信 システムの企画にかかわる業務 1.計画立案

①短期計画立案 と長期計画 との整合性評価

2. システム関連調査,分析 ( 》ニーズ調査

② システム機能 と業務ニーズ ( 業務システム) の整合性分析

③ システム機能に対す るセキュリティ分析 3. 開発検討

①機種選定,製品選定 ( 開発言語なども含む)

②費用検討,見積 もり

③開発体制検討

④運用要件検計

HI . 情報 システムの開発にかかわる業務 1. システム設計 ( ビジネスデザイン)

G) ニーズの詳細調査

②業務フロー分析

③データフロー分析

( 参コンピュータ支援機能分析

⑤機種選定,製品選定,開発言語選定

⑥ ドキュメン ト整備

⑦費用見積 もり

2. システム設計 ( テクニカルデザイン) ( 9システムの詳細機能要件分析 ( 卦データ構造分析

③ ドキュメン ト整備

④費用見積 もり 3. プ ログラム設計

( 訂モジュール設計

②プ ログラム設計

③ ドキュメン ト整備 4. プログラム製作

①プ ログラム製作 ( 診モジュールテス ト ( 診ドキュメン ト整備 5. システムテス ト

( 丑システムテス ト

② ドキュメン ト整備 6.カ ットオーバ関連作業

( 丑ユーザテス ト ( 参システムインス トール

③ユーザ教育

④運用者教育

( 9ドキュメン ト整備 ( ユーザマニュアルなど)

Ⅰ Ⅴ. 情報 システムの運用にかかわる業務 1.ユーザ支援

Q) ‑ルプデスク

2 .オペ レーション (日常運用)

①バ ッチ運用 ( 参データ作成 ( 卦バ ックア ップ作業 3. システム保守

( 》システムのデバグ

( 9システム機能の拡張,保守開発 4. システム運用管理

G) システム起動

② システム終了

③ システム運転管理

④ネ ットワーク運転管理 5 .事故 ( 異常)発生時対応

①社内連絡

②復旧作業

③業者連絡

※ユーザ部門での実施作業は,上記詳細分類には含 ま

れない

(10)

19 8 4 7 券 第 1 号 ( 1 ) 情報 システム運営費用

実際に社外の業者‑支払 った費用の把握 方法 は,財務部門か らの情報収集 と な る.ただ し,通常財務部門か ら提供 され るデータ ( 支払データ)では,情報 シ ステムの運営の用途が把握 で きない場合が多い。つ ま り,前節で説明 した費用分 類体系の どれに相 当す るかが 判 らな くなって しまうのである。

一般的 に社外‑の支払 は, 日常的 に発生す るもの ( 例 えば,消耗品費用や通信 サービス料金 など)と非 日常的な支払 ( 例 えば, コンピュータやパ ッケージソフ トを購入 した り,あるいはシステムの開発 を外部業者 に委託 した場合な ど)に分 類 で きる。この うち,日常的 に発生 しているものについては,予め情報通信 シス テム運営費用分類体系の分類の仕方 を決めた うえで,定例 的に( 一般的 には毎月 が妥当) 財務部門か ら発生費用の連絡 を受けるべ きである。この連絡 を受けるの は,情報 システム部門の中の統括セクシ ョン ( 情報 システム統括部門)である。

非 日常的な支払 に関 しては,当該支 出に該 当す る製品やサービスの活用,導入 に関 して,導入の現場部門か ら事前 に菓議書や 申請書な どによって決裁 が行わ れているはずである。その際用いた資料や書類 を添 えて,財務部門 に一旦送 り, 財務部門で財務的な期間に対す る金額確定 を してか ら,再 度情報 シス テム統括 部門 に回送 して もらう方式が適 当である。財務部門 に一度送 らなければな らな いのは,情報 システム部門では金額的な確定がで きない場合が多いか らである0 典型的な例 としては,減価償却 によって経 費が数年間にわたって発生す る場合 な どである。減価償却の方式 ( 定率法,定額法)は,財務部門でなければ最終的 な決定はで きないことが多い。

なお,申請時 に現場で添付す る資料 には,費用分類 を可能 とす るための情報が 盛 り込 まれていなければな らないが,具体 的には以下の様 な情報である。

・支払部門 ・支払先 ・製品名,モデル,サービス名

・システムの システム機能別分類 ・費用財務的分類

図表 3 に経費データの流れ を示す。

(11)

情報化投資評価方法論に関する研究 19 9

図表 3 経費データ収集時の流れ

( 2) 情報システム運営に費や した作業時間

情報 システムの運営 に関わる作業 を実施 した場合の,社内要員が費や した作 業時間 を把握す るための方法である。具体的な作業項 目は図表 2 に示 した通 り である。

作業時間を収集す る場合 に注意 しなければな らない点は,ユーザ部門の要員 が 自らの業務のために情報通信 システム ( コンピュータ)を活用あるいは振作す るのに要 した時間は含めない点である。仮 に,システムの支援機能やマ ンマ シン インターフェース機能が不適切なために,人が手作業で業務 を遂行す るのに要 す る時間以上 に時間がかかって しまった場合で も含 め ることは しない。 このシ ステムの不具合 に関 しては,次章で述べ る情報 システムの もた らす効果 として 把握すべ き事柄だか らである。 システムに不具合がある場合 にはマイナスの効 果 として把握 される。

情報 システム運営 に要する要員の作業時間は,①情報 システム部門要員の作

業時間 と②ユーザ部門要員の作業時間に分類 して把接 しなければな らない。以

降で,それぞれの作業時間を把握す るための方法 について説明す る。

(12)

2 0 0 47 1 ( ∋ 情報 システム部門要員の作業時間

情報 システム部門要員の時間は,月次の定例報告帳票 を用 いて行 えばよい。た だ し,どの ような業務にどの程度の時間を要 したか,把握で きるように しなけれ ばならない。

情報通信 システムの運営機能は,統括,企画,開発,運用 に分類で きるが,実 際の組織が どの様 に編成 されているかは,情報通信 システムの規模や要員数,外 部業者の利用度合,要員技能などによって様 々である。

一般 に規模の小 さなシステムの場合 には,組織 自身が明確 に統括,企画,開発, 運用に分 かれていない場合が多い。この ような場合 には,同 じ要員が色々な作業

を実施せ ざるをえず,作業の種類 は多岐に渡 る。したがって,月次の定例報告帳 票の体裁 は,作業内容 自身 を記述す るスタイルの帳票の方が適 している。逆 に,

システムが大 きく組職 が明確 に,統括,企画,開発,運用 に分かれている場合 に は,それぞれの組織 の要員が果たすべ き作業項 目も限定 され るので,作業項 目自 身 を最初か ら印刷 してある帳票の方が使 い易い と言える。

② ユーザ部門要員の作業時間

既 に述べ た様 に,ユーザ部門要員 による情報通信 システム運営作業 には,ユー ザ部門業務遂行のために情報通信 システムを操作 ・活用 している時間は含 まれ ない。要す るに,ア ドホックに発生 した情報 システムの運営作業のみが対象 とな る。この ような作業 に要す る時間を把握す るためには,定例的な報告書 ( 例 えば 月次の定例報告)ではな く,発生の都度,報告書 を作成 ・ 提 出す るスタイルが適 切である。

( 3) 社内売上

情報通信 システムの費用賦課 として発生 す る社 内売上情報 を収集す るために

は,情報 システム部門 ( 統括部門)でシステム活用やユーザ部門 に対 して提供 さ

れた役務の量 を集計 し,予め定め られた単価や賦課方式に基づ いて,社 内振 り替

えをユーザ部門 との間で行 う必要がある。この類の処理手順 は一般的 に,情報 シ

ステム部門か ら課金 当該部門に対 して請求書 ( 社内振替通知書)を発行 し,ユー

(13)

情報化投 資評価方法論 に関す る研究 20 1 ザ部門お よび財務部門の承認 を経てか ら,管理会計データ として集計 され る。

なお,雪用賦課対象 となるのは,情報 システム部門か ら支払が行 われた経費及 び情報 システム部門要員が実施 した役務サー ビスで ある。ユーザ部門か ら直接 支払われた経費やユーザ部門要員の実施 した作業時間に関 しては,元 々「 受益者 負担」 となっているので費用賦課対象 とはな らない。

図表 4 社 内売上処理の手順

2. 3 収集データの仕訳ルール

前節で収集 した実績データは 1章で述べ た分類体系 に仕訳 して,色々な分析 に用いることが可能 となる。本節では,標準的な仕訳 の考 え方や基準 を説 明す る。

( 1) 情報 システムの運営費用

財務部門か ら送 られて くる費用情事鋸ま,おおむね以下の様 に分類で きる.

( 9‑‑ ドウェア取得費 ②‑‑ ドウェアの リース/ レンタル費用

(14)

202 商 学 討 究 第 47 券 第 1 号

③付帯設備工事費 ④ ソフ トウェア開発委託費

⑤ ソフ トウェア購入費 ⑥ ソフ トウェア使用料 ⑦通信回線使用料

⑧ データ入力費 ⑨外部要員人件費 ⑲光熱費

⑪消耗品費 ⑲‑‑ ドウェア保守費

⑲ ソフ トウェア保守費 ⑲情報 システム部門要員人件費 ⑮研修費

⑲資金調達費 ⑩地代 ・家賃 ⑲‑‑ ドウェア売却費 これ らの費用 をどの ように分類の仕訳の仕方 を図表 5 に示す。

図表 5 費用の仕訳のパ ター ン

費用分類 財務的分類 システム棟能 運営機能別 主体別分類 発注先別分類 費用管理方策別

費用の種類 別分類 分類 分類

①‑‑ ドウエアの取得 # #1 一般管理費 原価 ※ 2 ※ 4 運用 #8 外部業者 設備費

②ハ‑ ドウエアの リー ス/レンタル費用 原価 一般管理賛 媒2 ※ 4 運用 ※ 8 外部業者 設備費

③付帯設備工事費 1 ※ 原価 一般管理費 ※ 2 ※ 4 運用 ※ 8 外部業者 設備費

④ソフ トウェア開発委 託費 ※ 1 原価 一般管理費 ※ 2 ※ 4 開発 ※ 8 外部業者 設備費

⑤ソフ トウエア購入曹 ※ 1 原価 一般管理費 繋2 凝4 開発 #8 外部業者 設備費

⑥ソフ トウエア使用料 原価 一般管理費 繋2 ※ 4 運用 ※ 8 外部業者

.

設備費

⑦通信回線使用料 原価 一般管理費 ※ 2 ※ 4 運用 ※ 5 ※ 8 外部業者 設備費

⑧データ入力費 原価 一般管理費 ※ 2 ※ 4 運用 ※ 6 ※ 8 外部業者 人件曹

⑨外部要員人件費 原価 一般管理費 1 米2 ‑ ※ 4 ※ 7 ※ 8 外部業者 人件曹

⑩光熱費 一般管理費 ※ 4 運用 ※ 8 外部業者 消耗品及びその他

⑩ハー ドウエア保守聾 原価 一般管理費 ※ 2 ※ 4 運用 ※ 8 外部業者 設備費

⑬ソフ トウエア保守費 原価 一般管理費 米2 ※ 4 運用 ※ 8 外部業者 設備費

⑭情報システム部門要 員人件費 一般管理費 ※ 4 ※ 7 ※ 8 情報システム部門 人件草

⑯研修費 原価 一般管理費 ※ 2 ※ 4 ※ 7 #8 外部業者 人件費

⑯資金調達費 営業外費用 発4 その他 #8 ユーザ部門 ( 患理) 消耗品及びその他

⑳地代 .家賃 一般管理費 ※ 4 その他 ※ 8 外部業者 消耗品及びその他

( 図表 5 の補足説明)

潔 1:金額が大 きな場合 は,減価償却 され ることによって償却期間 に費用が配

(15)

情報化投資評価方法論に関する研究 20 3 布 される。 したがって,当該費用はその後数年間の費用 となる。

莱2 :当該費用のかかった製品やサービスの導入 目的が明確 な場合 には原価 と なる。全社共通的な場合 には,一般管理費 となる。

※ 3 :特別利益 になるか特別損失 になるかは,売却 した物件の残存簿価 と売却 費の大小関係 に依存す る。

※ 4 :システム機能別分類 は当該‑‑ ド,ソフ ト,サービスな どが構築/実現す るシステムの分類 に依存す る。

※ 5:厳密に機能別分類す ると必ず しも運用 と言 えない場合 もあるが,当該費 用 ( 通信回線使用料,消耗品費用)は殆 どの場合毎月の定例的な請求 とな

るので,運用 に分類す るのが妥当 と思われ る。

※ 6 :ここでは,システム開発時のテス トデータの入力などは含めていない。開 発時のテス トデータの入力は,外部要員人件費 とみな している.

※ 7 :当該費用のサービスの内容 によって定 まる。

※ 8 :当該費用の発生 した部署 によって定 まる。

( 2) 情報システム運営 に費や した作業時間

情報 システム運営 に費や した作業時間を費用 に換算す るためには,社 内標準 人工単価 による換算が必要 となる。 これによって求め られ る費用 は社 内人件費

なので,分類 は図表 6 の様 になる。

図表 6 情報システム運営 に費や した作業時間の費用分類の方法

費用分類 費用分類の方法

①財務的分類 一般管理費あるいは原価となる○どちらになるかは,作業内容の目的に依存するo

②システム機能別分類 当該作業の目的が特定のシステムに限定される場合は,システムに応じて設定されるo

③運営機能別分類 当該作業の作業項目分類によって定まるo

④主体別分類 当該作業が他部門からの依頼に基づいている場合は,依頼元の部門,部署となるo

⑤発注先別分類 当該作業を実際に実施した部門,部署となる○

(16)

2 0 4 商 学 討 究 第 4 7 券 第 1 号 ( 3) 社内売上

社内売上 は,情報 システム部門 をプ ロフ ィッ トセ ンター として管理す る場合 に必要 となるものである。対象 となる費用は,次の 2 種類である。

●情報 システム部門で発生 した費用の受益者がユーザ部門の場合の もの ( 例 えば,情報 システム部門が開発 したアプ リケーシ ョンシステム等)

●ユーザ部門か らの依頼 に基づ いて情報 システム部門要員が実施 した作業 を 換算 した人件費

社 内売上の費用分類の仕方は,図表 7の通 りである。

図表 7 社内売上の費用分類の方法

費用分類 費用分類の方法

①財務的分類 全て売上となるo

②システム機能別分類 合はそのサービス内容に依存する○ システム支援機能の場合は,当該システムの領域に応じて設定されるoまた,役務サービスの場

③運営機能別分類 情報通信システムによる情報処理機能や情報提供棟能に対する売上の場合は全て運用となるoま た,役務サービスの場合は,作業分類に応じて仕訳けるo

④主体別分類 費用を賦課する先の部署が設定される○

⑤発注先別分類 全て情報システム部門となるo

⑥費用管理方策別分類 情報通信システムによる情報処理機能や情報提供機能に対する売上の場合は全て設備費となるo

3. 情報通信システム関連投資の経済的評価手法

本章では,情報通信 システム関連投資に関す る経済的な評価手法 を紹介す る。

これ らの手法 は,既 に経済性工学の手法 として成熟 してお り,経済的に合理的な 判断 をするために非常に有用である。しか し,お金 に換算で きない効果や 目にみ えない効果などに関 しては殆ん ど無力 とな る。 この様 な効果の評価 に関 しては 次の第 4 章で説明す る。

( 1 ) 評価時状況の整理

情報通信 システム関連投資の評価が必要 になる場面 は,大 き く次の 2 つ に分

(17)

情報化投資評価方法論に関する研究 205 類 され る。

( 訂 投資実績 に対す る事後評価

期末 あるいは期首において,過去 1 年間の投資実績 が期 待通 りの効果 を もた らしたか否 か,いわゆる,予実評価 をす る場合 に,過去 の投資実績 に対す る評価 が必要 とな る。この場合 には,他の案件 との相対的比較 ではな く,当該案件 に当 初期待 された効果 と実際の効果の比較 とな る。この事後評価結果 は,次の 1年間 の予算や費用賦課立, あるいは思 い通 りの効果が発揮 されていない場合 には具 体的なシステム改善案な どに反映 され ることにな る。

② 新規投資案件 に対す る評価 ( 投資の意思決定)

限 られた予算の中でその案件 に対す る投資 を行 うか とい う評価である。評価 の対象 は,評価対象案件の もた らす将来の効果である。したが って,効果 はまだ 実現 していないので予測 しなければな らない。

新規投資案件 を評価す る場合 は,評価対象案件が 1 つなのか,複数なのか,あ るいはそれぞれの案件が 目的 を同一 に しているか膏 か,等の条件 によって評価 の仕方が異なる。具体的には,経済性工学でいうところの,独立案,排反案,混 合案である。 2)

( 2 ) 従来の財務的評価手法 2) , 3)

従来か ら財務的な評価手法 として よく用 い られているのは, NPV,I RR お よ び回収期間法である 。NPV と I RR は,前節で紹介 した独立案,排反案,混合案 のそれぞれの状況下で適切 に使 える。しか し,情報通信 システムの分野 は技術進 歩が現在 なお激 しく,新規投資評価時での判断や予測が陳腐化 して しまう場合 も多 い。従来か らの研究成果 には,この ような要因を財務的 に評価す るための手 法 ( 経済寿命 を財務的 に想定す る手法)も開発 されている。 さらに, 2 つの案の 比較 が初期投資 コス トとランニ ングコス トの比較 にな る場合 も実際には多 くあ るが,この場合 には各種金利 の値 に大 きな影響 を受 けるが,この様 な状況下で も

I RR のオプ シ ョンとして意思決定のための有効 な情報 を提供す る手法 が既 に開

発 されている。

(18)

206 商 学 討 究 第 4 7 券 第 1 号

4. 情報通信 システム関連投資 によるインタンジブル効果の評価手法 本章では,情報通信 システムの もた らす 目にみ えない定性 的な効果や リスク を評価す るための手法 を提案す る。なお,この様 な効果 お よび リスクを総称 して 本稿 では 「 インタンジブル効果 」 5) と呼ぶ。

様 々なイ ンタンジブル効果 を発揮す る情報通信 システムの色々な投資案件 を 評価 し,意思決定す るためには,経営 に係 る主要 なメ ンバ ー間での コンセ ンサス の確保が必要 となる。 このための効果的な手法 として最近注 目を集めているの が AHP( Anal y t i cHi e r a r c hyPr oc e s s ) である。

4. 1 AHPによる評価手法 と評価項 目リス ト

AHP は定性的な評価項 目に基づいて,複数の代替案の中か ら選択 を行 う場合 に,意思決定者の価値観 を集約す る形で,最終的な選択指標 を総合評価点で与 え る手法 である。

AHP は以下の素材か ら出発す る 。

・代替案

本稿 の場合 は投 資評価対象 となってい る様 々な情報通信 システムの案 で あ る。

・評価項 目 リス ト

情報通信 システムの もた らす 目に見 えないイ ンタ ンジブル効果 が該 当す る。

具体的 には,以下の様 な整理が適 当 と考 え られ る。

●顧客満足向上効果 ( CS)

●企業戦略支援効果 ( MS)

●業務環境 向上効果 ( 省力化効果,業務品質向上効果 : ES)

● システム基盤整備効果

● システム構築 リスク

●情報通信技術の進歩 に伴 う陳腐化 リスク

(19)

情報化投資評価方法論に関する研究 2 07 これ らに基づいて複数の意思決定者の総意 として,以下の様 な情報 を策定す る。

①各代替案の評価項 目に対す る評点 ( 評価検討対象案のそれぞれが,各評価指標 をどの程度満足 しているか)

( 塾評価項 目間の重要性の比重

図表 8 投資評価する際に重要視する項 目 業務処理速度の向上 ( ES) 6 8. 5%

業務品質の向上 ( ES) 5 7. 2%

企業活動上 の基盤整備 ( MS) 5 6. 9%

人員効率の向上 ( ES) 5 2. 5%

企業戦 略の支援 ( MS) 5 0. 3%

なお,ア ンケ‑ ト結果 1) に よる と,投資評価 として半数以上 の企 業で重要視 している項 目は以下の 通 りで,企 業業務 環境 向上 効果 ( ES) と企業戦略支援効果 ( MS) が特 に重要視 されているこ とが伺

える ( 図表 8 参照) 0

4. 2 投資評価の実施手順 図表 9 に投資評価手順 を示す。

以降では,実際に上記手順でインタンジ7) レ効果 の評価 を実施す る場合の留 意点等 を説明す る。具体的にな項 目は以下の通 りである。

●評価項 目間の重要性評価のためのアンケー ト票

●評価項 目間の重要性評価のためのアンケー ト対象者

●評価項 目間の重要性評価の実施主体

●各評価検討対象案件の評価項 目毎の評価の実施

(20)

20 8 商 学 討 究 第 4 7 1 号

図表 9 AHP を用 いた投 資評価 手順

( 1) 評価 項 目間の重要性評価 の ための ア ンケー ト票

図表 1 0 に示す様 なイメー ジの個票 を用 いて,評価項 目間の‑対比較 を実施 す る。なお,評価検 討実施者 には,それぞれの項 目をわか りやす く解説す る資料 を 添付 す る必要が あ る。

( 2) 評価項 目間の重要性評価 の ための ア ンケー ト対象者

評価項 目として抽 出 され た項 目は,情報 通信 システム に よって全社 に もた ら され る効果 を網羅 してい る ( CS , MS , ES) ので,全社 的 な合意が必要 とな る。

したが って,トップ ダウ ン的 な企業 であれ ば,トノブ お よび経営層が 自ら実施

(21)

情報化投資評価方法論に関する研究

絶 対 的 に 重 要 ‑

か な り 重 責 ‑

重 要 ‑

や や 重 要 ‑

同 程 度 ‑

や や 重 要 ‑

重 要 ‑

か な り 重 苦 ‑

絶 対 的 に 重 要 ‑

原審満足効果 取客満足効 果 額客満足効 果 収容満足効 果

顧客満足効果 企業戦略支嬢効果 企業戦略支援効果 企業戦略支横効果 企業戦略支援効果 業務環境向上効果 業務環境向上効果 美穂碩境向上効果 システム基盤並備効果 システム基盤兼備効果 システム構築 リスク

A I I l l L I l I I l l A I L ‑ l I

I I E l l l l I I I l I E I I E l l E J 1 I J a I J I

企業戦略支援効果 業務環境向上効果 システム基盤麦価効果 システム構築 リスク 技術進歩による陳応化 リス ク 業務環境向上効果

システム基盤並備効果 システム構築 リスク 技術進歩 による軌跡化 リスク システム基盤斬 効果 システム構築 リスク 技術進歩 による陳応化 リスク システム構築 リスク 技術進歩 による陳併化 リスク 技術進歩 による陳腐化 リスク

図表1 0 AHP投資評価のための個票イメージ

209

すべ きで あ る。ボ トムア ップ的 な企 業 で あれば,現場 の長で ある部長 ク ラス (ミ ドルマ ネ ー ジメ ン ト) レベ ルでの合意形 成が 必要 と考 えられ る

( 3) 評価項 目間 の重要性評価 の実 施主体

評価 に参 加す る メンバーは (2) で 述べ た通 りであるが,実施の主体 は情報 システム部門あるいは企画部門,情報統 括部門になることが多い と思われ る。ただ し,情報通信 システムの投資評価項 目 の重要度評価 を他のセクシ ョンの部長クラスに依頼す る場合 には, トソプ ある いは経営層か らの業務命令 として実施す ることが必要である。要す るに,検討依 頼先の上席者 による指示 に基づ いて実施 しなければな らない。

( 4 ) 評価検討対象案件の評価項 目毎の評価の実施主体

各評価検討対象案件の,それぞれの評価項 目に対す る貢献度の評価である。こ れは,当該評価項 目毎 に,社内の専門家や専門セクシ ョンで実施す る必要があ る。担 当部署 内で,大勢の合意形成が必要な場合 には,ここで も AHP を適用す ることがで きるが,通常は AHP を用いな くて も大 きな問題 は発生 しない と考 えられ る。

各評価項 目毎の,評価実施部署 はおおむね図表 1 1に示 した案が妥当 と考 え ら

れ る。なお,図表 1 1 には 1 9 9 3 年における某プ ロジェク トでの実施結果 も参考のた

(22)

210 商 学 討 究 第 4 7 券 第 1 号

め合わせて示 している。なお,それぞれの評価項 目を検討す る際の主な詳細検討 事項 を図表 1 2 に示す。

図表1 1 各評価項 目の評価実施主体

評価項 目 実施主体 実魔例

顧客満足 向上効果 ( CS) 営業部門 あるいはマーケテ イング部門 0. 1 7 企業戦略支援効果 ( MS) 企画部門 あるいは社長室 0. 3 4 業務環境 向上効果 ( ES) 評価対象案件 ( システム)の全ユーザ部門 0. 1 7‑

システム基盤整備効果 情報 システム部門 0. 1 4

システム構 築 リスク 情報 システム部門 0. 0 9

図表 1 2 各評価項 目の主 な詳細検討事項

顧客満 効果 足 企業戦略支援効果 務環境向 効果 システム基盤整備効果 システム構築リスク 技術進歩に伴う 陳腐化リスク

・システム ・顧客ロイヤリティの向 ・業務支援 ・通信基盤整備 ・仕様の不明瞭さ ・コストパフオ に対する 上 機能 ・データ資源環境整備 ・システム要求仕様の複 ‑マンスに優 信頼性 ・顧客囲い込み ・省人化効 ・社内標準化効果 雑さ れた製品が登

・顧客に対 ・コンペティタへの参入 莱 ・システム的拡張性 ・ 構築要員の技術レベル 場する可能性 する情報 障壁 ・自動化機 ・セキュリティ機能 ・外注会社の技術レベル ( 当該製品技 提供機能 ・コンペティタとの差別 舵 ・機密保持 ・外注会社の信用度 術の技術進歩

・クレーム 化 ・業務牽制 ・異常発生時の対応機 ・ベンダーサボ‑トレペ スピード)

・ 処理機能 ・市場情報の収集 .分析 機能 舵 ル ・技術標準にな

・納期短縮 ・コンペティタ情報の収 ・業務管理 ・システム管理機能 ・システム移行に伴う不 らか ー 可能性

・顧客ニー 隻 ,分析 機能 ・ネットワーク管理機 都合

ズ の 収 ・マーケテイング分析機 ・管理資料 ・プロジェクト管理に伴

隻 .分析 能 の削減 う不都合

4. 3 インタンジブル効果の実績評価手法

過去の投資案件のインタンジブル効果の実績評価 は,原則的には新規投資評 価時 と同 じフレームである。異なるのは,評価検討体操案の評価項 目に対す る評 価が事後的な評価 に変わる点である。

なお,ある期間 ( 例 えば 1年)経過す ることによって,評価項 目に対す る重要

度 自身が変化 して しまう場合 もあると予想 され るが,実績評価時 に用い る評価

項 目の重要度 ( 重み)は,新規投資評価時の値 を用いるのが妥当である。 さもな

いと,実績 として素晴 らしい投資の評価が不必要 に悪 く評価 されて しまう可能

性があるか らである。

(23)

情報化投資評価方法論に関する研究 2 11

5. 情報通信 システム関連費用の管理体系

集計 された費用情報や イ ンタ ンジブル効果の実績評価 データに基づ いて, 色々な分析 目的に合わせ た集計が可能 となるが,最 も重要性の高い と思われ る 2 つについて説明す る。具体的には,情報通信 システムの損益管理体系 と費用削 減のための費用管理体系である。

( 1 ) 情報通信システム運営の損益管理体系

情報 システム部門をプ ロフィッ トセ ンター として管理 している場合の,年度 毎 あるいは半期毎等の実績 を管理す るための体系である。これによって,当該期 の収支 を把揺す ることがで きる。また,部門毎 に集計す ることによって,当外期 の活動の内容 を鳥轍す ることも可能 となる。さらに,情報 システムのインタンジ フソレ効果の実績評価結果 を突 き合わせれば,費用賦課の妥当性 を確認す ること

も可能 となる ( 図表 1 3 参照) 0

図表 1 3 損益管理体系の集計表の様式イメージ ( 部門毎)

情報システム部門 営業部 生 産部

売上 高 人件費 ハ ー ド 通信 サ ー ビス ソフ ト

原価 通信 サ ー ビス 人件 費 ハ ー ド ソフ ト ( 売上総利益 )

一般管理費 人件費 ‑ ‑ ド 通信 サ ー ビス ソ̲ フ ト ( 営業利益 )

営業外利益 営業外 費用

( 経 常利益) 特 別利益 特 別損失

( 当期利益)

(24)

2 12 4 7 券 第 1 号

( 2 ) 情報通信 システムの費用管理体系

費用財務的分類 をベースに した集計 である。費用お よび効果 を把握 す ること によって,具体的な削減方策 を検討す るための基礎資料 となる。換言す ると,こ れによってかか りす ぎている費用の原因 ( 高 コス ト要因)及び削減方策の指針 を 明 らかにす ることがで きる。

図表 1 4 に集計表 の様式 イメー ジを示す。

図表 1 4 費用管理体系の集計 イメージ ( システム毎)

インフラシステム プリケ‑シヨンシステム OA 系 シス テム 合 計

人件費 情報 システム部門 統括 営業部 生産部 企画 企 画 運用 統括 企 画 運用 統括 開発 開発

設備 費‑ ‑ ドメ イ ンフ レー ム 通 信 サ ー ビス ソフ ト 通信 制御 装置 サ ー パ ソ コ ン バ

消耗 品お よびその他 直接 的効果 売上

6. 高 コス ト要因を識別するための指針

前章で示 した費用管理体系 に示 した中のある費 目が高す ぎる場合, その費 目 が費用削減対象 となるが,高 くなってい る要因については色々な可能性がある。

適切な削減方策 をとるためには,個 々につ いて事情 を調査 し,判断す ることが必

(25)

情報化投資評価方法論に関する研究 2 1 3 要 となる。 どの高 コス ト要因が該当 しているかを示す一般的な指針 は以下の通

りである。高 コス ト要因毎 に説明す る。

( 1) 不適切 な運営手順, メカニズム,統制機能

本要因が該 当す る場合,人件費が高 くなる傾向が出る。特 に,意思決定の伴 う 業務が該当す る。具体的には,機能別分類 における 「 統括 」 「 企画」等である。

( 2 ) 非効率な業務遂行,未熟 な情報 システム関連技能

この項 目が該当す る場合 には,特定部門 ( 技能が相対的に低 い部門)に対す る 人件費,特 に 「 運用」のための費用が高 くなる傾向が出ると考 えられる。

( 3) 不適切 な調達方式

業者 に対す る支払や設備費が高 くなっている場合である。ただ し,ある業者 に 対す る支払が突出 していて もインタンジ7ル効果の実績評価が悪 くなければ, 調達内容 に大 きな問題 はない と判断すべ きである。

( 4) 不適切 な設計

システムの開発や運用のための人件費が高 くなった として も,一概 に設計が 悪い と決定付 けることはで きない。そ もそ も開発や保守の量が多い( ニーズが多 い)可能性 もあるか らである。 したがって,不適切 な設計 になっているか否か判 断す るためには,業務運用において 「 バ グの種類」や 「 保守開発の理由」等のデ ータを収集す る必要がある。

( 5) 不適切 な情報技術,製品,サー ビスの採用および不要 な情報システム機能

この場合の削減対象 は,設備費 となるのが一般的 と思われるが,本当に不適切

か否かは,実績評価結果か ら見極めなければな らない。

(26)

2 1 4

究 第 4 7 券 第 1号

7. 情報システム関連投資評価方法論 としての体系

本稿では,情報 システム関連の投資評価のための手法 として,現状 システムの 効果把握,投資評価のための財務的手法お よび 目にみえない走性的な効果 を評 価す るための手法,さらに,現状の把握結果や各種評価結果の集計 に基づ く費用 削減のための指針等 を示 した。本稿で説明 した各手法 を適用する手順,つ まり, 情報 システム関連投資評価方法論 としての体系はおおむね図表 1 5 に示す通 りと

なる。

し ‑ 〜 / ノ

図表 1 5 投資評価手法の適用手順

( 情報 システム関連投資評価方法論の体系)

(27)

情報化投資評価 方法論に関す る研究 2 16

なお,本稿で提案 した方法論 を実際の企業や組織 で適用す る場合 には,費用分 類体系の費 目 ( 特 に補助 コー ド)等 をそれぞれの企業の状況 に合わせて設定す る 事や,職務分掌の変更,企業の制度 として運用す るための権 限移譲や帳票 レイア

ウ トの作成な どが必要 となる。

[ 参考文献]

1 )出川 淳,「 企業情報通信 システムの運営指針」 ,商学討究第4 6 巻第 4 号,小 樽商科大学 ,1 9 9 6

2) 千住鎮雄,伏見多美雄,『 経済性工学の基礎』 , 日本能率協会 ,1 9 8 5 3) 千住鎮雄,伏見多美雄,『 経済性工学の応用』 , 日本能率協会 ,1 9 91

4) 通商産業省産業政策局流通産業課編,『 物流 コス ト算定活用マニュアル』 ,逮 商産業調査会 ,1 9 9 2

5) Ma r i l yn M. Par ke r , H. EdgarTr ai nor , Ro be r t∫. Be ns o n , I NFORMA‑

TI ON STRATEGY AND ECONOMI CS, Pr e nt i c e ‑ Hal ll nt e r nat i o na l

Edi t i o ns , 1 9 8 9

参照

関連したドキュメント

5.本サービスにおける各回のロトの購入は、当社が購入申込に係る情報を受託銀行の指定するシステム(以

文献資料リポジトリとの連携および横断検索の 実現である.複数の機関に分散している多様な

テキストマイニング は,大量の構 造化されていないテキスト情報を様々な観点から

当社は、お客様が本サイトを通じて取得された個人情報(個人情報とは、個人に関する情報

「系統情報の公開」に関する留意事項

本文書の目的は、 Allbirds の製品におけるカーボンフットプリントの計算方法、前提条件、デー タソース、および今後の改善点の概要を提供し、より詳細な情報を共有することです。

生活のしづらさを抱えている方に対し、 それ らを解決するために活用する各種の 制度・施 設・機関・設備・資金・物質・

Google マップ上で誰もがその情報を閲覧することが可能となる。Google マイマップは、Google マップの情報を基に作成されるため、Google