許諾 を受 けた者の差止請求
2)才 原 慶 道
1.問題の所在
特 許権 ,著作権等 によって保護 されてい る発 明,著作物等 を,権利者 でない 者 が利用 す るには,原則 と して,権利者か ら許諾 を得 なけれ ばな らない。 その 際, ほかの者 には許諾 しない こ とを権 利者 が特 に約す る ことがあ る。 その よう な独 占的 な利用が確 保 されれば,被許諾者 は,少 な くと も権 利者以外 の競争者 の参入 に気 を挟 む こ とな く,商 品 を市場へ投 入す ることがで きるはずであ る。
その ような見込みの下 に,被許諾者 は,相対 的 に高額 な利用料 の支払 い を約 し てい るか もしれ ない。 それ に もかか わ らず,侵害者が現 れ, それ に対 して権利 者 が何 ら手 を打 たない とす れば,被許諾者 の 目論 見 は脆 くも崩 れか ねない。独 占的な利用 の許諾 を受 けた者 固有 の損 害賠償請求権 を肯定す る見解 に拠 るな ら ば,侵害者 に対 して,損害賠償 を請求 し, 自 らが被 った損害 の填補 を図 ること も,損害額が正 しく評価 され るのであれば,可能 であろ う。 しか し,侵 害品の 流通 を 目の前 にす る被許諾者 と しては, よ り直裁 に, 自 らが侵害者 に対 して差
1
)各法律の条文に従えば,特許権,実用新案権,意匠権については実施 (特2
条3
項,実2
条3
項,意2
条3
項),商標権については使用 (標2
条3
項) と表現する べ きであるが,煩雑 を避けるために,本稿では,これ らも含めて 「利用」 と呼ぶことにする。
2
)損害賠償請求に関 しても,独 占的な利用の許諾を受けた者固有の損害賠償請求の 可否等の論点があるが,本稿での検討は,差止請求に絞ることにする。損害賠償請 求に関しては,最近の論考 として,金子敏哉 「特許権の侵害者に対する独占的通常 実施権者の損害賠償請求権」知的財産法政策学研究21 号 ( 2008 年) 203
頁がある。〔
14
1〕14 2 商 学 討 究 第61 巻 第 1 号
止 め を求 め る こ とが 許 され るの であれ ば, それ に越 した こ とはない。
法制上 特 許権 を始 め とす る産業財 産権 ( 工業 所有権 )3) の利用 につ い て は, 専 用 実 施権
4)と通 常実 施権
5)とい う 2 つ の制 度 が用 意 され て い る。専 用 実 施権 で は,実 施権 者 は,権 利者 か ら禁止権 を行 使 され ないのみ な らず, 固有 の禁止 権 を付 与 され る
6) 7) 8)。 しか し,専 用 実 施権 は, 登 録 が 効 力 発 生 要 件 と され て い る
9)た め に,手 間お よび費 用
10)が か か る とい う こ とだ け で は な く, 実 施 権 の範 囲1 1 ) 等 の内容 が公 示 され る
12)こ とが嫌 われ,あ ま り利 用 され て こなか っ た 1 3) 。 これ に対 し,通 常 実 施権 で は, 実 施権 者 は,権 利 者 に対 して禁 止権 を 行 使 しない こ とを求 め る不作 為 債権 を有 す る にす ぎない
14)。そ して,登録
15)は,
3 )産業財産権 とは分類 されないが,半導体集積 回路の回路配置 に関する法律 による 回路配置利用権,種苗法による育成者権があるが,本稿 では割愛する。
4)特7 7条,実1 8 条,意27 条,標30 条 ( 商標法では,専用使用権 と呼ばれる。) 5 )特7 8 条,実1 9 条,意28 条,標31 条 ( 商標法では,通常使用権 と呼ばれる。) 6 )特1 00 条,実27 条,意37 条,標36 条
7)専用実施権 を設定すると,権利者 といえ ども, 自己実施 をす ることはで きな くな る ( 特68 条但書,実1 6 条但書,意23 条但書,標25 条但書参照
。)。 もっとも,侵害者 に対 しては,権利者 自身 も差止請求権 を有する ( 特許権 について,最判平1 7.6. 1 7 民集59 巻 5 号1 07 4 頁。 )。
8 )権利者が 自己実施 をするには,専用実施権者か らあ らためて通常実施権の許諾 を 受けなければな らない。
9 )特9 8 条 1 項 2 号,実26 条,意36 条,標35 条
1 0)登録免許税法 2 条,別表第 1 の1 3 号( 21 ,1 4 号( 21 , 1 5 号( 21 ,1 6 号( 21
ll) 特許登録令44 条 1 項,45 条 1 項,実用新案登録令 7 条,意匠登録令 7 条,商標登 録令1 0条
1 2)平成20 年法律 1 6 号 によって,特許権及び実用新案権の通常実施権 については,過 常実施権者の氏名叉 は名称,通常実施権の範囲等 ( 特許法施行令1 8 条 1 項,実用新 案法施行令 4 条 4 項)の開示が制限されるようになった ( 特1 86 条 3 項,実55 条 1 項) が,専用実施権 については,制限されていない。福 田知子 ‑西 田英範 「 特許法等の 一 部 を改 正す る法律 につ い て‑ ラ イセ ンスの登 録制 度 見 直 しを中心 と して」
NBL884 号 ( 200 8 年)41 ‑43 頁 も参照。
1 3)例 えば,特許権では,専用実施権の設定登録 は,2004 年 に1 58 件,2005 年に1 60 件, 2006 年に265 件,2007 年に230 件,2008 年 に302 件 を,通常実施権の設定登録は,2004 年 に227 件,2005 年 に305 件,2006 年 に2 49 件,2007 年 に442 件,20 0 8 年 に56 0件 をそ れぞれ数える ( 特許行政年次報告書2009 年版 ( 統計 ・ 資料編) h
tt p: // www . j po. go.
jp/c
gi /l i nk. cgi ? ur l ‑ /s hi r you/t ouke i / nen npou̲t ou ke i 」i s t . h t m)。
1 4)当然,差止請求権 を根拠付 ける,特1 00 条,実27 条,意37 条,標36 条 には,通常
実施権者は挙げ られていない。
第 三者 対 抗 要 件 に と どまる
16)。 そ こで,実 務 で は,専 用 実 施権 に代 替 す る も の と して, 当該実施権 者 以外 の者 に許諾 しない こ とを権 利者 が特 に約 した,請 学 上 ,独 占的通常 実施権 と呼 ばれ る ものが利用 され て きた
17) 18)。 そ して, さ らに権 利 者 の 自己実 施 も禁 止 す る特 約 を付 せ ば,少 な くと も当事者 間 にお いて は,専 用 実施権 を設 定 した の と同様 の権 利 関係 を作 り出す こ とが で きるわけで あ る
。これ に対 して,著作権 法 で は,著作 権 者 が その著作 物 の利 用 を他 人 に許諾 す る こ とが で きるの ほ当然 で あ る ( 63 条) 1 9) ちの の,著作 権 が禁 止 し得 る多様 な 利用形態
20)の うち,出版 とい うご く限 られた利用形態 について,出版権 ( 79 条)
21)とい う制 度が用 意 されてい るほか には,利 用権 とい う構 成 す ら採 られて はい な い
22)。 ま して や,専 用 実 施 権 の よ うに差 止 請 求権 を付 与 す る一 般 的 な制 度 も 1 5)なお,特許権及び実用新案権の通常実施権については,平成1 9 年法律3 6 号による 特定通常実施権登録制度 ( 産業活力再生特別措置法 2 条2 7,2 8 号,5 8 条以下)の創 設によって,特許番号等ではな く,権利の種類 ・取得の時期,製品又は技術の種類 等 ( 特定通常実施権登録令施行規則1 3 条)によって,許諾の対象 となる特許権等 を 特定することが可能 となった。詳 しくは,波田野晴朗 ‑石川仙太朗 「 産業活力再生 特別措置法等の一部 を改正する法律 における特定通常実施権登録制度について ‑ ラ イセ ンシーの事業活動 を保護する新たな登録制度の概要」 NBL860 号 ( 200 7 年)1 8
‑29 頁を参照。
1 6)特9 9 条 1 項,実1 9 条 3 項,意2 8 条 3 項,標31 条 4 項
1 7) もっとも,この独 占性 を公示する手段 は,制度上,用意 されていない。
1 8)権利者が 自己実施 をすることがで きるか否かは, もちろん,個 々の契約の内容に よる。講挙上, 自己実施が禁止 されている もの を完全独 占的通常実施権,禁止 され ていない ものを不完全独 占的通常実施権 と呼ぶ ことがある。
1 9)同様に,著作 隣接権者 も,その実演叉は レコー ド,放送,有線放送の利用 を許諾 することがで きる ( 著1 0 3 条)が,本稿 では割愛する。
20)著21 条〜27 条。みな し侵害 を規定す る著11 3 条 1, 2, 3, 5 項 も含めることが で きよう。
2 1 )州版権者 には,差止請求権 も付与 される ( 著80 条 1 項,1 1 2 条)
。22) したがって,著作物の利用許諾一般についての登録制度 もない ( 州版権の登録に ついては,著88 条
。)。そ こで,第三者に対抗することがで きない とい う問題のほか, 侵害訴訟の提起可能性 とい う問題 を解決するために,実務では,利用許諾ではな く, 著作権の譲渡 という法形式が採 られることがあることを指摘す るもの として,松 田 俊治 「 著作権の利用許諾 をめ ぐる問題点」牧野利秋 ‑飯村敏明 ‑三村量‑ ‑末吉亙
‑大野聖二 『 知的財産法の理論 と実務 第4 巻 著作権法 ・意匠法』( 新 日本法規出版,
2 007 年)1 77 頁 ( 注 6 )。前者の問題 に関 して,著作権の ( 期限付 きない し一部の)
144 商 学 討 究 第 61 巻 第 1 号
ない。 もちろん,利用許諾契約 において,被利用許諾者以外 の者 に許諾 しない ことを著作権者が特 に約 した り23), さ らには著作権者 の 自己利用 を禁止す る 特約 を付 した りす るこ とは可能であ る24)。 とはい え,差止請求権 を根拠付 け る11
2
条 には,当然,利用許諾 を受 けた者 は挙 げ られていない。この ような産業財産権 と著作権 の両制度の差異 を踏 まえて,以下 では,産業 財産権 の うち,特許権 を取 り上 げ,特 許権 の独 占的通常実施権者 と著作権 の独 占的な利用許諾 を受 けた者 (以下, 「独 占的被利用許諾者」 とい う。 また,非 独 占的な利用許諾 を受 けた者 を,以下,「非独 占的被利用許諾者」 とい う。) に ついて, これ らの者が,侵害者 に対 し,差止めを請求す ることがで きるか を検 討す る。
2.
学説の状況まず,特許権 の非独 占的通常実施権者 と著作権 の非独 占的被利用許諾者 (以 下,両者 を併せて,便宜上,「非独 占的通常実施権者等」とい う。)については, た とえ侵 害者 が現 れ て も, 自 らが実 施 す る こ とが で きな くな るわ けで は な く25),非独 占的通常実施権者等 には,侵害 され るような法 的な地位が ない26)
ことか ら,固有の差止請求27) 28)ち, さ らに,非独 占的通常実施権者等 は,被
譲渡という便法を指摘する,田村善之 『知的財産法
』( 第 5
版,有斐閣,20 1 0 年 )51 0
頁も参照。2 3 )独占的利用許諾と呼ばれることがある。
2 4)これらの特約について,渋谷達紀 『
知的財産法講義Ⅱ 』( 第 2
版,有斐閣,20 0 7 年) 3 86
頁は,独占条項 と呼ぶ。2 5 )特許権につ き,高林龍 『
標準 特許法』 ( 第 3
版,有斐閣,20 0 8 年) 1 8 4‑1 85
頁。2 6 ) 前掲注 2 2 )田村3 4 0
頁,田村善之F著作権法概説』( 第 2
版,有斐閣,2 0 0 1 年) 4 8 4
頁.2 7 ) 注 2 5 )及び 2 6 )の文献のほか,特許権につ き,中山信弘 『
工業所有権法 (上)特 許法』 ( 第 2
版増補版,弘文堂,20 0 0 年 ) 4 4 9
頁,盛岡一夫 『知的財産法概説』 ( 第
5版,法学書院,20 0 9 年) 6 7
頁,著作権につ き,中山信弘 『著作権法』(有斐閣,20 0 7 年) 4 7 3
頁。2 8)これに対 し,山本桂一 『
著作権法』 (有斐閣,19 6 9 年) 1 46
頁は,旧著作権法下の 文献であるが,出版権以外の利用権について,占有訴権類似の権能として,固有の 差止請求を認める可能性に言及する。保 全 債権 た り得 る よ うな請 求権 を有 して い な い 29) こ とか ら,特 許権 者 叉 は著 作 権 者 の差止 請求権 の代 位 行使 ( 民法423条)
30) 31)も認 め られ ない。
特 許権 の独 占的通 常実施権 者 と著作 権 の独 占的被利 用 許諾 者 ( 以 下 ,両者 を 併せ て,便 宜 上 , 「 独 占的通常実 施権 者等」 とい う。) に よる固有 の差止 請求 に っ いて も,現 在 で は
32) 33), これ を否定 す る見解 が 多数 であ る
34) 35) 36)。29)特許権につ き,前掲注22) 田村340頁,前掲注25)高林1 85 頁。著作権 につ き,前 掲注26) 円村484頁。
30)注29)の文献のほか,特許権 につ き,中山信弘編著 『 注解特許法 ( 上巻) 』 ( 第 3 版,青林書院,2000年)833頁 ( 中山信弘執筆)。同頁は,代位行使 を認めることは, 許諾者が有する,第三者の実施 を明示又は黙示 に新たに許諾す る自由を奪 うことを 理由 として挙げる。
3 1 ) これに対 し,特許権の非独 占的通常実施権について代位行使 を肯定す る見解 とし て,光石士郎 『 新訂特許法詳説』 ( 帝国地方行政学会,1 9 72年)2 84 頁が ( 独 占的通 常実施権 については,注33 ) 0) ,特許権の独 占的通常実施権のみな らず,非独 占的 通常実施権 について も代位行使 を肯定する見解 として,小島庸和 『 工業所有権 と差 止請求権』 ( 法学書院,1 9 86 年)96頁がある。 もっとも,同9 4 頁は,通常実施権 を, //
「 特許権者 に対 し,特許発明の完全 な実施 を請求 し,それに伴 ない,特許発明 を実 施で きる権利である」 と捉 えている。 また,有償の通常実施契約であれば,独 占的 通常実施権であるか非独 占的通常実施権であるかを問わず,代位行使 を肯定す る見 解 として,松井和彦 「 通常実施権の本質 と実施許諾者の侵害排 除義務」金沢法学49 巻 2号 ( 200 7 年)308‑31 0頁がある。有償の通常実施契約の場合 には,「当事者間 に明示的な合意がな くて も,実施契約における誠実義務のひとつ として,実施許諾 者には, 特許権侵害者 を排除すべ き義務が課せ られると解すべ きである。 」( 同 3 1 0頁) とい う。著作権の非独 占的な利用許諾について も代位行使 を肯定する見解 として, 半田正夫 『 著作権法概説』( 第1 4 版,法学書院,2009年)206頁があるが,これは,「 民 法上の通説 ・判例によれば,おそ らく B ( 筆者注 :利用許諾 を受けた者) 自身の権 利に基づ く妨害排除請求は否定 され ,B の救済はせいぜ い著作権者 A の有する請求 権の代位行使 とい う迂遠 な方法 による以外 にはない とい うことになろう。 」 と述べ るにとどまる。
そのほか,著作権の独 占的な利用許諾のみな らず,非独 占的な利用許諾について も,著作権者が侵害排除義務 を負っている場合には,代位行使 を認める見解 として, 松 田政行 「 著作権法六三条 による著作物の利用許諾契約 と民法債権法 ・破産法の交 叉‑ ライセ ンシーの地位 と第三者に対する効力」半 円正夫先生古稀記念論集 『 著作 権法 と民法の現代的課題』 ( 法学書院,2003年)470頁がある。
32) これに対 し,盛岡一夫 「 通常実施権者の差止請求権」 日本工業所有権法学会年報 8 号 ( 1 9 85 年)71 頁は,妨害排 除請求権 「を認める要件 としては,妨害排除を認め //
ることによって生ずべ き侵害者の犠牲の程度 と.被害者が妨害排除によって受ける
1 46 商 学 討 究 第 61 巻 第 1 号
利益 な どの比較 考慮 に よって決定すべ きであ り,被侵害利益 の種類性 質 と,侵 害行 為 の態様 との両面か らも相 関的 に考慮すべ きであ」 る と して,特 許権の独 占的通常 実施権 につ いて,固有 の差止請求 を肯 定す る。そ して,これ を認 めた として も
,「 実 施許諾者の権利 が弱 くなる もの で もな く」
,「 権 原 な しに実施 してい る者 は,‑‑・ 特 別の不利益 を受 け る こ とに もな らない。」 と付 け加 える。盛 岡一夫 「 通常実施権 に 基づ く訴権」鴻常夫 ‑紋谷暢男 ‑中 山信 弘編 『 特 許判例百選』( 第 2 版 ,1 9 85 年) 1 71 頁 も参照 されたい。 しか し, なぜ ,差止請求権 を認 める明文が ある専用実施権 とと
もに,その ような明文が ない独 占的通常実施権 に も固有 の差止請求 を認 めるこ とが で きるのか, につ いては明 らか ではない。
33) 豊崎光衛 『 工業所 有権法』 ( 新版 ・増補,有斐 閣 ,1 9 80 年 ) 299 頁 は,登録が され た独 占的通常実施権 につ いて, 固有 の差止請求 を肯 定す る。 また,前掲 注 3 1 )光石 2 83 頁 も
,「第三者 には不法行為 者 は含 まれ ない と一般的 に解 されているが,対 人的 権利 である債権 につ いて侵 害行為 を認 めるため には,その債権 の内容が公示 されて い る こ とが必要 であ る。」 と述べ る こ とか ら,登 録 が され た独 占的通常実施権 につ いて は, 固有 の差止請 求 を肯 定す る ようであ る。 その上 で , 「 独 占的通常実施権 に つ き差止請 求権 ,損 害賠償請求権の行使 をす るにあたっては,法 一〇 〇条,法 一〇
二条等 を類推適用すべ きであろ う。」 とす る。
しか し, 中山信 弘 「 通常実施権の侵害」故 中松澗 之助 先生追悼論文集 『 国際工莱 所 有権 の諸 問題 』 ( AI PPI 日本 部会 ,1 9 76 年 ) 493 頁,前掲 注 3 0) 注解特 許法 83 4 頁 ( 中 山信 弘執筆),前掲 注 25) 高林 1 85 頁 は,対抗要件の具備 に よって妨害排 除請求 権が認 め られ る不動 産賃借 権 と異 な り,独 占的通常実施権 には,その独 占性 を公示 す る手段 が存在 しない ことを指摘す る。 また,佐藤義彦 「 専用実施権 と通常実施権 とを説明 し,その相違 を述べ よ」紋谷暢男編 『 特 許法 50 講』 ( 第 4 版 ,有斐 閣 ,1 9 97 年) 206 頁 は,不動 産賃借権 とは異 な り
,「 通常実施権 を登 録 して も,新特 許権者 ( 専 用実施権者 を含 む) に対 して効力 を生ず るだけで,他 の通常実施権者 に対 して優先 的 な効力 はない ( 特 九九条一項 ) 。 」 とも指摘す る。 なお,旧特 許法下 で は,慣 行 と して,実施権の登録 につ いて,独 占的であ る とい う付記 が認 め られ ていた ( 前掲注 3 0) 注解特 許法 83 4 頁 ( 中山信 弘執筆))。
3 4) 特 許権 につ き,前掲 注 2 7) 中 山 ・工業所 有権法 449 頁 は,重畳 的利用 の可 能性 に 加 え,専 用実施権制度の存在 を理 由 とす る。前掲注 2 5) 高林 1 85 頁 は,理 由 として, 物権法定主義 ( 民法 1 75 条)を挙 げ る。著作権 につ き,前掲注 2 7) 中山 ・著作 権法 473 頁 は ,I L H版権 とは異 な り,条文上の根拠 が ない ことを理 由 とす る.
35) 前掲注 22) 田村 3 41 頁,前掲注 26) 田村 485 頁 も, これ らの者 の法 的地位が,特 許 権叉 は著作 権 の譲渡等 に よって
,「いつ何 時,覆 って もおか し くない地位」 で しか ない ことを理 由 に,差止請 求 を固有 の権利 として認 める ことにつ いて,慎重 な姿勢 を示す。 これ を,松村信夫 ‑三 山唆 司 『 著作権法要説』 ( 世 界思想社 ,20 09 年) 3 29 頁 ( 三 山唆 司執筆) は,否 定説 の付加 的 な理 由 として挙 げる。
36) 民法 ( 債権法)改正検 討委 員会 「 債権法改正の基本方針」は,債権者代位権の 「 転
用型」へ の評価 に関連 して,特 許権等の独 占的通常実施権 に基づ く差」 しめにつ いて,
当該権利の 内容 として導 くことが可 能であ る と指摘 す る ( NBL9 0 4 号 ( 2 009 年) 1 5 8
頁)。
そ こで,特 許権 者 叉 は著作権 者 の差 止 請 求権 の代 位 行使 の可 否が検 討 され る こ とにな る。 学 説 の 中 には懐 疑 的 な見解 3 7 )もあ るが ,代 位 行 使 を肯 定 す る見 解 が 多 数 で あ る
38)。 もっ と も,肯 定説 の 中で も,代 位 行 使 を認 め る要 件 は, 論 者 に よって異 な る。最大 の対 立 点 は,代 位行使 を認 め るには,特 許権 者 又 は 著作権 者 が,独 占的通常実 施権 者等 に対 して,第三者 の侵 害 を排 除す る義 務
39)を負 っ て い る場 合 に 限 る と解 す るか 否 か で あ る
40)41)。 侵 害 排 除 義 務 必 要
37)著作権につ き,作花文雄 『 詳解著作権法』( 第 4 版,ぎょうせい,20 1 0 年) 442 頁。
3 8)渋谷達紀 『 知的財産法講義 Ⅰ 』 ( 第 2 版,有斐閣,2 006 年)3 76 頁は
,「 解釈論 と して可能なのは,た とえば特許権者である会社の主宰者が個人会社 に独 占的通常実 施権 を許諾 しているような場合 に,人格の実質的同一性 を理由 として,会社 による 差止請求権の行使 を許容す るとい うような ものが限度である。 」 として,否定説 に 立つ。 もっとも,後掲東京地判平1 4. 1 0.3 [ 蕎麦麺の製造方法]がその ような事案 ではあるが,この ような場合に,代位行使 を認めなければならない必要性が どの程 度あるのか,は疑問である。
39)特許権者が通常実施権者 に対 して当然に侵害排除義務 を負 うかについては,野口 良光 「 特許実施契約」原増司判事退官記念 『 工業所有権の基本的課題 ( 下) 』 ( 有斐 閣,1 9 72 年)1 03 9
‑1 0 40 頁 を参照 されたい。 これを肯定 して,通常実施権者による 補助参加 を認めた判決 として,大阪地判昭39. 1 2. 26 下民集1 5 巻1 2 号31 21 頁 [ ポ リプ ロピレン]がある。
40)仙元隆一郎 『 特許法講義』 ( 第 4 版,悠 々社,2 003 年)206 頁は,独 占的通常実施 権者 による代位行使 を肯定す るが
,「 特許権者‑は,第三者 により独 占的実施の実 現が妨げ られないよう,適切 に管理することが法の要請するところである。その反 面 として独 占的通常実施権者‑は独 占的実施の実現 を求める請求権 を有す る。 」 と 述べ,独 占的通常実施権の場合 には,特許権者 は当然に侵害排 除義務 を負 うことを 前提 としているようである。 また,前掲注33 ) 中山492 頁 も
,「 独 占的通常実施権の 場合 は,特許権者等 は実施権者 に独 占的実施 を可能ならしめる義務があるため,特 許権者等 には侵害 を排 除す る義務がある もの と解 される。 」 と述べ る。 しか し,独 占的通常実施権 における独 占性が,他者に実施許諾 しないことをい うとすれば,特 許権者が当然に侵害排除義務 を負 うわけではないであろう。諏訪野大 「 独 占的通常 実施権について一独 占の性質な らびに差止請求の可否 ・条件 とその既判力」 日本工 業所有権法学会年報31 号 ( 200 8 年)30 頁 も
,「 侵害排 除 とい う作為義務が当然に導 かれるわけではない。 」 とす る。著作権の独 占的利用許諾 について,半 田正夫 ‑松 田政行編 『 著作権法 コンメンタール 2 』( 勤草書房,2 009 年) 9 05 頁 ( 諏訪野大執筆) も同旨。
4 1 ) もっとも
,「 今 日のライセ ンス実務においては,独 占的通常実施権の許諾 に際 し,
特許権者において侵害 を排 除す る義務 を負 う黙示的合意が一般 に成立す ると解 して
よい ように思われる
。」( 田村善之編著 『 論点解析 知的財産法』( 商事法務,200 9 年)
1 1 1 頁 ( 駒 田泰土執筆)) といえるのであれば,あえて侵害排除義務 を免れさせたよ
1 4 8 商 学 討 究 第61 巻 第 1 号
説42)43)
は , 転 用 とは い え, 債 権 者 代 位 で あ る以 上 は, 代 位 行 使 に よ っ て 保 全 され る債 権 が 存 在 しな け れ ば な らず , 侵 害 排 除 請 求権 で あ れ ば, 被 保 全 債 権 た
うな場合 を除けば, いずれの見解 に立 って も,結論 に差異 はほ とん どな くなる こと にはなる。増井和夫 ‑田村 善之 『 特 許判 例 ガイ ド』 ( 第 3 版,有斐 閣,20 05 年)477 頁 ( 田村 善之執筆) も
,「 独 占的通常実施権 の場 合 には,契約 の解釈 と してその よ うな義務 ( 筆者注 :侵害排 除義務) を認 め るべ き場 合が あろ う。」 と指摘す る。
42)特 許権 につ き,前掲注25)高林1 86‑1 87 頁。 明示 のみ な らず ,黙示の侵害排 除義 務 であって も,代位行使が認 め られ ることに言 及す る もの として,前掲 注30 )注解 特 許法83 3 頁 ( 中山信 弘執筆)。これ に対 して,竹 田稔 『 知 的財産権侵 害要論 〔 特 許 ・ 意 匠 ・商標編
〕』 ( 第 5版,発 明協 会,20 07 年)27 8 頁 は,侵 害排 除義務 を明示 的 に 負担 してい る場 合 に限る。
43)侵 害排 除義務 のほか,特 許権 につ き,前掲注40 )諏訪野29 頁 は,代位行使 を認 め るには,専 用実施権 に限 りな く近づ いた状態 で なければ な らない と して,完全独 占 的通常実施権 である ことを要求す る。 しか し,専用実施権者が特 許権者 に通常実施 権 を許諾 していた と して も,侵 害者 に対す る,専用実施権者の差止請求権が否 定 さ れ るわけで はないか ら,特 許権者の 自己実施 も禁止 され ている とい う完全独 占性 を 要求 しなければ な らない もので はない。 同様 に,著作権 につ き,前掲注40)著作権 法 コ ンメ ンター ル603‑6 0 4 頁 ( 諏訪野大執筆) は, 州版権 に限 りな く近づ いた状態 でなければ な らない として,完全独 占的利用許諾 である ことを要求す る。 しか し, 著作 権法 には,特 許法77条 4 項 の ような規定が な く,か えって80 条 3 項 とい う規定 があ る ものの, 州版権者 は,その範 囲において,その著作物 の利用 を他 人に許諾す るこ とがで きる と解 す るべ きである ( 前掲注2 6) 田村497‑49 8 頁,前掲注27) 中 山 ・ 著作 権法3 36 頁) か ら,著作 権者 が, 州版権者 か ら,利用 許諾 を受 け る こ とが で き る ( 前掲 注26) 田村489 頁,前掲 注2 7) 中 山 ・著作 権法336 頁参照。) の は,専 用実 施権 の場合 と同様 である。
また,前掲注40)諏訪野 33 頁 は,代位行使の権利保護 資格要件 と して,通常実施 権の設定登 録 を要求す る。 しか し,通常実施権 には,登 録請求権が 当然 には認 め ら れ てい ない ( 最判 昭48.4. 20 民集27 巻 3号5 80 頁) こ とか ら, これ を要 求す る と, 代位行使が認 め られ る場合 がか な り少 な くなるであ ろ う。 また, この考 えを著作権 に も及ぼす とす れば,利用 許諾一般 につ いては登録制度が ない ことか ら,代位行使 が一切認 め られ ない ことになる。 もちろん,著作権 につ いて,前掲 注40)著作 権法 コ ンメ ンタール6 03‑606 頁 ( 諏訪野大執筆)が権利保護 資格要件 を要求 してい るわ けで はない。
さ らに,前掲 注40)諏訪野36 頁 は,実体 的審査が され ていない こ とを理 由に,実
用新案権 につ いては,独 占的通常実施権 であ って も,代位行使 を否定す る。これ は,
代位行使 を認 め る場 合 を限定 しようとい う趣 旨ではあろ うが,実用新案権者の権利
行使 自体 は認 め られ てい る ( 実29 条 の 2参照。) の であ るか ら,実体 的審理 が され
てい ないために,無効理 由 を含 む実用新案権が少 な くないであ ろ うとい う事情 につ
いて は,権利行使制 限の抗 弁 ( 実3 0 条,特 1 0 4 条 の 3 ) に よって対処す るべ き問題
であ ろ う。
り得 る とい うの に対 して, 侵 害排 除義 務 不 要 説
44)は,他 者 に実 施 ・利 用 許諾 しない とい う不作 為 請求権 であ って も,被保 全債権 た り得 る とい うわけで あ る
。もっ と も,近 年 , 「 契約 書 に侵 害排 除義 務 の記 載 が あ るか 否 か で は な く, む し ろ現実 的 に市場 を独 占 して いたか否か を問題 とすべ きで あ ろ う。」 と し, 「 独 占 的利用 契約 に よ り利 用権 者 が市場 で独 占的地位 を有 してお り,かつ現実 に独 占 的状 態 にあ った場 合 」 に,著作 権 者 の差止 請求権 の代 位行使 を認 め る見解 が主 張 され て い る
45)。 しか し, この 見解 が,何 を債 権 者代 位 の被 保 全 債権 と して 捉 えてい るのか は,必 ず し も判 然 と しない。
4 4 ) 「 著作権者が被許諾者に債権者代位に基づ く差止請求が可能であることを前提 と しつつ,それゆえに自らが侵害排除義務 を免れるという形の契約 をなす ことがで き な くなる
。」 ( 前掲注 2 6 ) 田村 4 8 5 頁) ということも理由に,前掲注 2 2 ) 田村 3 41 頁, 前掲注 2 6 ) 田村 4 8 5 頁は,他者 に実施 ・利用許諾 しないこととい う債権 を被保全債 権 として位置づける。もっとも,前掲注 4 1 )増井 ‑田村 4 7 0 ‑4 71 頁 ( 田村善之執筆) は,「 独 占的通常実施権者一般 について債権者代位 に基づ く差止請求権の行使 を許 容す ることがで きるか どうかはともか くとして」 と留保 し,少 な くとも侵害排 除義 務がある場合には,代位行使が認め られるとい う見解 を示すにとどまる。著作権に つ き,加戸守行 『 著作権法逐条講義』( 五訂新版,著作権情報セ ンター ,2 0 0 6 年) 3 8 3 , 4 4 4 頁。 このほか,浜 円治雄 ‑福 円栄司 「 独 占的通常実施権者の差止請求権の代位 行使の可否」 日本大学法学部知財 ジャーナル創刊号 ( 2 0 0 8 年) 2 0 9 頁は,「 独 占的通 常実施権者の許諾者 ( ライセ ンサー)に対する ( 他 には実施許諾 をしないとい う契 約 を締結 した)実施権 を価値的に捉 え,被保全債権 として,債権者代位権の転用事 例 と考えることがで きる」 とい う。
4 5 ) 前掲注 2 7 ) 中山 ・著作権法 4 7 3 ‑4 7 4 頁。島並良 ‑上野達弘 ‑横 山久芳 『 著作権法
入門』 ( 有斐閣 ,2 0 0 9 年) 2 1 8 頁 ( 横 山久芳執筆) も同旨。 この ような見解の背後に
は,商標権の独 占的通常使用権者について,同許諾 「 契約による許諾期間において,
実際には本件登録商標は競業他社 に対 して も使用許諾 され,同社 により本件登録商
標 を付 した商品が市場 において販売 されていた」 ことを理由に,その固有の損害賠
償請求を否定 した,東京地判平 1 5.6. 2 7 判時 1 8 4 0 号 9 2 頁 [ 花粉の ど飴]の影響があ
るように思われる。 もっとも,独 占的被利用許諾者固有の損害賠償請求について,
前掲注 2 7 ) 中山 ・著作権法 § 9 2 頁は,「 契約上は独 占的な利用許諾であって も,著作
権者が契約 を破 り他の第三名に利用許諾 をしているような場合 には,著作権者 に損
害賠償で きることはあって も,第三者には損害賠償で きない と解すべ きであろう。 」
と述べ ることか ら,差止請求権の代位行使の場合 とは異 な り,固有の損害賠償請求
が否定されるのは,著作権者が特約 に遠反 して独 占的被利用許諾者以外の者に利用
許諾 を与えているようなときに限 られると解 しているように読める。
150 商 学 討 究 第 61 巻 第 1 号
3.
裁 判 例公刊 された裁判例 は多 くはない。
まず,実用新案権 の非独 占的通常実施権 について代 位行使 を否定 した もの と して,大 阪地判昭59.4.
26
無体集16
巻1
号271頁 [架構 材 の取付 金具]46)
があ る。この判決 は,実用新 案権者 の侵 害排 除義務 の存 否 については, 「(‑‑本件 にお いて も
,A
(筆者注 :実用新案権者) が原告 に対 し,第三者 の侵害行為 を差止 め るべ き作為義務 を特約 した こ とを認 め しめ る証拠 はない)」と判示 してい る。次 に,特 許権 の独 占的通常実 施権
47)
につ いて代 位行 使 を肯 定 し,差 止 請求 を認容 した もの と して,東京地判昭40.8.31
判夕1 85
号209頁 [カム装置]48)が あ る。 この判 決 は, 「原告 は,A (筆者 注 :特 許権 者) に対 し, ‑‑本件特 許 発 明 を独 占排他 的, かつ,全面 的実施 に積極 的 に協力すべ きことを請求す る債 権 を有」 す る と判示 して, この債権 を被保全債権 とす る代位行使 を認 めた。 ま た,傍論 で はあ るが,特 許権 の独 占的通 常実施権49)につ い て代 位行使 を肯 定 した もの と して,東 京 地判 平1 4. 1 0.3
平1 2
(ワ)1 7 29 8
[蕎 麦麺 の製造 方法]50)が あ る。 しか し, この判 決 は,単 に, 「独 占的通常実施権 者 につ いて は固有 の 差止請求権 は認 め られないが,特 許権 者 (共有持分権者 を含 む) の有す る差止
46 )損害賠償請求についても,非独占的通常実施権であることを理由に,棄却 した。
その控訴審である大阪高判昭5
9. 1 2. 21 無体 集 1 6 巻 3 号 8 43
頁 も,これ らの判断を是 認 した。47 )特許権者の自己実施が禁止されていたか否かは,必ず しも明確ではない。
4 8)評釈 として,山上和則 「
独占的通常実施権者による差止請求権の代位行使」中山 信弘 ‑相揮英孝 ‑大胡哲也編 『特許判例百選』 ( 第 3
版,20 0 4
年)210頁がある.同2
11頁は,「ライセンス契約の締結は昭和27
年であるか ら,旧法下における事件であ り,判決 日は新法下 というものの,判例 としての価値は低いものと言わざるを得な い。」 と評する。なお,旧特許法における 「実施権」が,現行特許法では,「通常実 施権」 とされた (許諾によるものは,特許法施行法12
条。)。49 )特許権の共有者の 1
名が,独 占的通常実施権者の代表者であったという事案では あるが,特許権者の 自己実施が禁止 されていたか否かは,明 らかではない。5 0 )被告 ら製品の間接侵害該当性が否定され,さらに,進歩性欠如による権利濫用の
抗弁 も認め られたことか ら,差止請求は棄却されている。請求権 ( 特 許法 1 0 0 条) を代位行使 ( 民法 42 3 条) す るこ とが で きる と解 す るの が相 当であ る」 と述べ るのみであ り,特 許権者 の侵害排 除義務 の存 否 について
ら,触 れていない。
また,著作権 の独 占的被利用 許諾者 につ いて,代 位行使 の可能性 に言 及す る もの と して,東京 地判 平 1 4.1. 31 判 時 1 81 8
号1 65 頁 [トン トウぬ い ぐるみ] 51 ) が あ る。この判 決 は,「 著作物 の独 占的使用許諾 を得 てい る使用権 者 であれば, 特 許権 にお ける独 占的通常実施権者 と同様 に,当該著作物 の模倣 品の販 売等 の 侵 害行為 によ り直接 自己の営業上 の利益 を害 され ることか ら,独 占的使用権 に 基づ く自 らの利益 を守 るため に,著作権者 に代位 して侵 害者 に対 して著作権 に 基づ く差止 請求権 を行使 す る こ とを認 め る余地 が ない とはい えない。」 と述べ てい る
。これ に対 し,意 匠権 の完全独 占的通 常実 施権
52)につ いて, 固有 の差 止 請求 のみ な らず,代位行使 も否定 した判決 として,大 阪地判昭 5 9. 1 2. 20 無体集 1 6 巻 3
号8 0 3 頁 [ ヘ アー ブ ラシ] 53)5 4) が あ る。 この判 決 は, その理 由 と して, 「 債
5 1 ) もっとも,原告は,「 単にライセ ンシーに対する許諾付与業務及びライセ ンシー か らのロイヤ リティの徴収業務 を委任 されているというだけであ」 るとされた。な お,評釈 として,諏訪野大 「『トントウぬい ぐるみ』事件」著作権研究 3 0
号( 2 0 0 4 年)
2 3 2 頁,岡邦俊 「ライセ ンシーによる侵害差止請求の可否」 『 最新判例 6 2 を読む 著 作権の事件簿 』 (日経 BP 社 ,2 0 0 7 年) 1 5 4 頁がある。
5 2 ) もっとも,この事件は,専用実施権設定契約は締結されたものの,その登録がさ れていなかったことか ら,専用実施権 とともに,予備的に完全独占的通常実施権が 主張 されたという事案である。登録がされていない専用実施権設定契約の効力につ いては,前掲注 2 7 ) 中山 ・工業所有権法 4 3 3 ‑4 3 4 頁を参照。
5 3 ) 損害賠償請求については,完全独 占的通常実施権者固有の権利 として,認容 した。
なお,評釈 として,雨宮正彦 「 完全独占的通常実施権に基づ く差止請求権 ・損害賠 償請求権の有無」特許管理 3 6 巻 4 号 ( 1 9 8 6 年) 4 61 頁,盛岡一夫 「 完全独 占的通常 実施権者の有する請求権」前掲注 4 8 ) 特許判例百選 2 0 4 頁がある。この判決の後に, 専用実施権の設定登録がされたことか ら,その控訴審である大阪高判昭61 . 6 . 2 0 無 体集 1 8 巻 2 号 2 1 0頁は,差止請求 も認容 した。 この控訴審判決の評釈 として,長谷 川俊明 「 意匠権の完全独占的通常実施権者による差止請求,損害賠償請求の可否」
山上和則先生還暦記念論文集 『 判例 ライセ ンス法』 ( 発明協会 ,2 0 0 0 年) 3 31 頁があ る。
5 4 ) 茶園成樹 「 知的財産法の重要論点 特許法編⑲ 実施権 ( 2 1 」法学教室 3 5 4 号 ( 2 0 1 0
15 2 商 学 討 究 第 61 巻 第 1 号
権 者代位制度 は元来債務者 の一般財産保全 の ものであ り,特 定債権 保全 のため に判例上登記 請求権 及 び賃借権 の保全 の場 合 に例外 的 に債務者 の無 資力 を要す る ことな く右制度 を転用す るこ とが許 されてい るが,右 はいずれ も重畳 的な権 利 の行使 が許 されず,権利救 済 のための現実 的な必要性 のあ る場合 であ る とこ ろ,完全独 占的通常実施権 は第三者 の利用 に よって独 占性 は妨 げ られ る ものの, 実施 それ 自体 には何 らの支 障 も生ず る ことな く当該意匠権 を第三者 と同時 に重 畳 的 に利用 で きるのであ り,重畳 的な利用 の不可 能 な前記二 つの例外 的 な場合 とは性 質 を異 に し,代 位制度 を転用 す る現実 的必要性 に乏 し」い と述べ る
55)
が, 意 匠権者 が侵 害排 除義務 を負 っていなか った とい う事案 であ る。4. 私 見
まず,独 占的通常実施権者等 に固有 の差止請求 は認 め るべ きではない。特 許 権 者又 は著作権者以外 の者 に とっては,特 許発 明叉 は著作物 を利用 す るには, 誰 の許諾 を要 す るのかが, 明確 であ る必要 があ る。独 占的通常実施権者等 に固 有 の差止 請求 を認 め ることは, それ らを適法 に利用す るの に,特 許権者 叉 は著 作権者 の許諾 の ほか に,独 占的通常実施権 者等 の許諾 も要す る とい うことを意
年) 1 31
頁は,独 占的通常実施権者による代位行使について,裁判例は否定説を採っ ているとして,この判決を挙げる。 これに対 して,前掲注4 8 ) 山上 2
11頁は,判決 文中の 「(
本件において も前記認定の とお り権利者の‑に第三者の侵害行為 を差止 めるべ き作為義務は認め られない)
」 という記載に注 目し,この 「判決をもって, 独占的通常実施権者の代位行使 を否定するリーディング ・ケースとするのには疑問 が残 る。」 と指摘する。 また,前掲注5 3 ) 長谷川 3 3 8,3 4 0
頁 も,「判例の大勢は,差 止請求権を否定 しているものとみ られる。」 としつつ,「実施契約の内容次第では, 判例の立場 によって も債権者代位権制度の転用による差止請求が認められる可能性 が州て くる。」 と指摘する。5 5 )
他方で,保全の必要性 を否定する理由として// ,「完全独 占的通常実施権の権利者 に対する請求権は,無承諾実施権者の行為の排除等 を権利者に求める請求権ではな く,当該意匠の実施 を容認すべ きことを請求する権利にす ぎず (本件において も前 記認定のとお り権利者の‑に第三者の侵害行為 を差止めるべ き作為義務は認め られ ない),通常実施権者が権利者の有する侵害者に対する妨害排除請求権を代位行使 することによって権利者の実施権者 に対する債務の履行が確保 される関係にはな い」 とも述べる。味するが,通常実施権 について独 占性 を公示することがで きない特許法,利用 許諾一般 についてそ もそ も登録制度がない著作権法の下では,当事者間の債権 債務関係 にす ぎない独 占的通常実施権等 に固有の差止請求を認めるわけにはい かない。それゆえ,注
12)
記載の とお り,特許法1 86 条 3
項の開示制限におい て も,固有の差止請求が認め られている専用実施権 は,その対象 とはされてい ない。しか し,代位行使であれば,そこで行使 されるのは,あ くまで も特許権者又 は著作権者の権利であるか ら,特許発明又は著作物 を利用 しようとする第三者 は,特許権者叉は著作権者の許諾 を得てさえいれば足 りるわけである。
もっとも,利用が低調であるとはいえ,特許法 は,専用実施権 とい う制度を 用意 しているのであるか ら,実施許諾 を受 けようとする者が 自ら差止請求を欲 す るときは,あ くまで も専用実施権 によるべ きであるといえるか もしれない。
また,著作権法は,専用実施権 のような制度を用意 していないのであるか ら, 出版権 を除けば,被利用許諾者 による差止請求 とい うものをそ もそ も予定 して いない とい うこともで きな くはない。あるいは,著作権の期限付 き譲渡等 とい う手段があるのであるか ら,利用許諾 を受 けようとする者が 自ら差止請求を欲 す るときは,そのような手段 を採ればよい といっていえない ことはない。 この ように考 えるのであれば,独 占的通常実施権者等 にわざわざ債権者代位権の転 用 を認める必要はない とい うことになる。
しか し,著作権の期限付 き譲渡等 とい う便法があることのみを理 由に,独 占 的被利用許諾者は自らは侵害者 を排除することはで きない, とい う結論 を正当 化することはで きないであろう。 また,利用許諾の活用 による,著作物の利用 の促進 を図る必要があるとい うのであれば,出版権 はともか く,被利用許諾者 による差止請求というものを一切否定 して しまうということはできないであろう。
そのようなことか ら,著作権 の独 占的被利用許諾者 について,債権者代位権 の転用 を考慮す る意味 は小 さ くない56)。 もっ とも,独 占的被利用許諾者 にお
56)
於保不二雄 『債権総論』 (新版,有斐閣,1 97 2 年)1 66
頁注 (五)は,「特定債権154 商 学 討 究 第61 巻 第 1 号
い て は, 当該 著作 物 の利用 につ いて,著作 権 者 か ら差 止 め及 び損 害賠償 等 を請 求 され る こ とな く, かつ,著作 権 者 が ほか の者 に許諾 しない 限 りは, た とえ侵 害者 が現 れた と して も,独 占的被利用 許諾 者 が有 す る債権 は満足 してい るはず で あ る。 す なわ ち, この場 合 ,独 占的被利 用 許諾 者 には,保 全 しな けれ ばな ら ない債権 はない とい うこ とにな る
。と ころで, 「 民 法 四二 三 条 の法 意」 とい う表 現 を用 い なが ら も,抵 当権 者 に よる所有 者 の妨 害排 除請求権 の代 位行 使 を認 めた,最大 判平 11. ll. 24 民 集53
巻8
号1 899 頁
57 ) が,被保 全 債権 と して, 「 抵 当不 動 産 を適切 に維 持 叉 は保存 す る よ う求 め る請 求権
」58)とい う もの を敢 えて持 ち 出 してい る こ とか らす れ ば,倭 権 者代 位 権 の転用 には,被 保全 債権 と して,少 な くと も,代 位行使 され る権利 の実現 に よって満足 す る よ うな関係 に立 つ ,何 らか の作 為 請 求権 が存 在 す る こ とが必 要 で あ る とい う考 えが根 底 には あ るはず で あ る
59)。 この よ うな考 え に
の保全 といって も,それは,物権的効力が社会的に要請 されなが らそれが不十分で ある場合に,その不十分な物権的効力 を補充す るというところに, 自ら限界がある
ものの ように思われる。 」 と指摘す る。
57)この判決は,加 えて,抵当権 に基づ く妨害排 除請求 も許されることを明言 し,そ して,それが最判平1 7.3. 1 0民集59 巻 2 号35 6 頁によって現実 にも認め られたこと か ら,担保物権法の分野 においては,判例 としての価値 は減 じているのか もしれな
い。
5 8)内田貴 『 民法 Ⅲ 債権総論 ・担保物権』 ( 第 3 版,東京大学 出版会,2005 年)439 頁は,「 本判決で初めて登場 した未知の概念である。 」 という。そ して,中野貞一郎
『 民事執行法』 ( 増補新訂五版,青林書院,200 6 年)466 頁注 ( 2 4) は,「 債権者代 位権 によって保全 される請求権 は,法廷意見では,第三者の不法占有により抵 当権 に対する侵害があるときに,抵 当不動産の所有者に対 し,その侵害 『 状態 を是正 し 抵当不動産 を適切 に維持又 は保存す るよう求める請求権』 とされるのに対 し,奥田 補足意見では,抵当権設定時 よ りその実行 ( 換価)に至るまで恒常的に存続する 『 担 保価値維持請求権』だとされ,一致 しない.この ような 『 侵害是正請求権』な り 『 担 保価値維持請求権』が抵当権設定契約の効力 として生ず るのか どうか,設定契約の 外に立つ抵当不動産の第三取得者に対 して も主張で きるのであろうか。 また,それ らの 『 権利』 は,そ もそ も独立の権利 として債権者代位権によ り保全 され うる性質 の ものなのであろうか も,疑わ しい。 」 と指摘す る。
59)我妻柴 『 新訂 債権絶論 ( 民法講義 Ⅳ)』( 岩波書店,1 96 4 年) 1 6 5 頁は,代位によっ
て保全するに適 しない もの として,不作為債権 を挙げる。なお,八木‑洋 [ 判解 ( 前
掲最大判平11. l l. 2 4 に対するもの)]『 最高裁判所判例解説民事篇 平成11 年度 ( 下) 』
従 えば,独 占的被利用許諾 につ いて も,独 占的被利用許諾者 と著作権 者 の間 に, 代 位行使 され る著作権者 の差止 請求権 の実現 によって満足 す るような関係 に立 つ債権 が存 在 しなければな らない ことになる。そのため には,た とえ黙示 であ っ た と して も,著作権 者 の侵 害排 除義務 が存 在す る必要が あ る とい え よう。 した が って,独 占的被利用許諾者 について は,著作権 者が侵 害排 除義務 を負 ってい る場合 に限 り,著作権者の差止請求権 の代位行使 を認めるべ きであると解す る60)。
そ して,専 用実施権 の よ うな,利用権者一般 に禁止権 を付 与す る制度 の存 否 とい う点 を除けば,代位行使 の可否 を論 じる場面 においては,著作権 と特 許権 の 間に, その結論 を違 えなけれ ばな らない よ うな本質的 な差異 はないはずであ る61)。 その上,近 年, 多少 は増加 の傾 向が あ る とはい え,専 用実 施権制 度 の 利用が低 調 であ る とい う現実 も踏 まえれば,独 占的通常実施権者 について も, 著作権 の独 占的被利用許諾者 と同様 に,特 許権者 の差止請求権 の代 位行使 を認 め るべ きであろ う。 この よ うに,侵害者 を排 除す る手段 を 自己 に確 保 しつつ, 第一次 的 な役 割 をいずれが担 うか とい うことにつ いて, その選択肢 が増 えるこ
とは, これか ら許諾 を受 け ようとす る者 に とって も,魅力 的であろ う。
ところで,独 占的被利用 許諾者 による代 位行使 を認 め るに当た って,現実 の 独 占的状 態 を要求す る見解 が,何 を被保全債権 と して捉 えてい るのか は,前述
( 200 2
年)85 7
頁は,「従来の学説等には,抵当権その ものを代位の原因とする見解 もあったが (‑),民法四二三条の規定の内容に照 らし,代位債権者の債務者に対 する具体的請求権の存在を全 く介さずに転用を認めることについては,理論上大 き な問題が存 したところである。」 と指摘する。60)
独 占的利用許諾について,代位行使を認める見解 に対 しては,当事者間の契約に よって代位権を与えることにな り,訴訟信託を禁止する信託法10条等の脱法行為 を 許す ことにもな りかねないという懸念が示 されることがある (前掲注5
1)岡1 57
頁 参照。)。 しか し,便法 として利用される,著作権の期限付 き譲渡等であっても,同 様の懸念は生 じるわけであ り,この ような問題は,代位行使を一切否定するという 方策によってではな く,独 占的利用許諾 といい得る実質を有するか否かを審理する ことによって回避するべ きものではないだろうか。6
1)侵害の成立に依拠 を要するか否か という意味において,著作権は相対的禁止権で あ り,特許権は絶対的禁止権であるともいわれるが,特許権叉は著作権 を侵害 して いる者に対 して,特許権者又は著作権者の差止請求権を代位行使することがで きる かという問題においては,この ような相違は結論に影響 を及ぼさないはずである。156 商 学 討 究 第 61 巻 第 1 号
の とお り,必 ず しも判然 としない
62)。現実 の独 占的状態 を要求す る背景 には, た とえ独 占的な利用 許諾が与 え られていた と して も,著作権 者がその ような特 約 に違反 して複数の者 に独 占的 な利用 許諾 を与 えていた ような場合 に,すべ て の独 占的被利用 許諾者 に代 位権 を与 え る こ とは適 当 で はない
63), とい う判 断 が あ るのか もしれない。 しか し,例 えば, 当該侵 害者 の ほか に,既 に単 数又 は 複 数の侵 害者 がい る ような ときには, この現実 の独 占的状態 とい うのはない と され るのであろ うか。 また,独 占的被利用 許諾者 ではあ って も, これか ら事業 を展 開 しようとい う段 階で は,現実 に独 占的状態 が築か れてい る とはい えそ う にはないが,その一方 で, その ような者 も保護 に値す る ように見 えるが, この ような場 合 には, どの ように評価 す るのであろ うか。独 占的被利用 許諾者 によ る代位行使 を認 め るに当た って は,現実 の独 占的状態 とい う もの まで を も要求 す るべ きではない と解す る
。以上 に よれば,特 許権 については,実施 許諾 を受 け よ うとす る者 が, 自 ら差
62) また,この見解が,独占的通常実施権者による代位行使について も,同様に,現 実の独占的状態 を要求するのか も,明 らかではない。
63)確かに,債権者代位訴訟の判決の効力が他の独占的被利用許諾者に及ばないとす れば,被疑侵害者は繰 り返 し応訴を余儀な くされかねない。 もっとも,代位債権者 勝訴判決について,提訴による時効中断効を認めた ものではあるが,判例 ( 大判昭 1 5.3. 1 5 民集1 9 巻5 86 頁)は,債権者代位訴訟において,債務者は旧民事訴訟法2 01 条 2 項 ( 現行法11 5 条 1 項 2 号)の法定訴訟担当の被担当者に当たると解 している( 倭 務者への訴訟告知を要求する見解 ( 新堂幸司 『 新民事訴訟法』( 第 4 版,弘文堂,20 0 8 年)2 81 頁注( 1 X j)等の有力 な反対説 もある ( それ らについては,高橋宏志 『 重点 講義 民事訴訟法 上』( 有斐閣,2 005 年) 2 22 頁以下を参照されたい.)が,伊藤異 『 民 事訴訟法』 ( 第 3 版 3 訂版,有斐閣,2 00 8 年 ) 5 81 頁は
,「 代位債権者 を当事者 とす る確定判決の即判力は,その内容は請求認容であれ,請求棄却であれ,1 1 5 条 1 項 にもとづいて本人たる債務者に対 して拡張される」とする。学説の変遷については, 池田辰夫 『 債権者代位訴訟の構造』 ( 信 山社 ,1 99 5 年)2 8 頁以下 を参照 されたい。 )。
この ように代位債権者の請求を棄却する判決の既判力 も債務者に及ぶと解すること
がで きれば,反射効 と呼ぶかはともか く( 判例 ( 最判昭31.7. 20 民集10巻 8 号96 5 頁,
最判昭53.3. 23 裁判集民事1 2 3 号273 頁)は,反射効 を否定 している。 ),他の債権者
にもその判決の効力が及ぶことになろう ( 前掲伊藤5 29 頁は
,「 訴訟担当者が訴訟物
たる権利関係についての当事者適格 を本人に代わって行使するものである以上,本
人が当該権利関係について もはやなしえない主張は,担当者 もなしえないという,
訴訟担当にもとづ く訴訟法上の効果であ」るという。 )。
止請求 を欲す るのであれば,専用実施権 の設定 を受 けるか,特許権者 に侵害排 除義務 を負 わせた上 で,独 占的通常実施権 の許諾 を受 けるか,そのいずれか に よることになる。特許権者が侵害排 除義務 を負いた くない ときには専用実施権 が,侵害排 除義務 を負 って も構 わない ときには独 占的通常実施権がそれぞれ選 択 されることになる。 これ に対 して,著作権 については,利用許諾 を受 けよう とす る者が, 自ら差止請求 を欲す るのであれば,著作権者 に侵害排 除義務 を負 わせた上 で,独 占的利用許諾 を受 ける しか ない。注
44)
において,前掲注26)
田村485
頁が指摘 す るように,著作権者が 「自らが侵害排 除義務 を免 れ る とい う形 の契約 をなす ことがで きな くなる。」が,著作権法 に専 用実施権 に相 当す る一般的な制度がない以上 はや むを得 ない。本稿は,本学地域研究会地域研究部門 (法制度分野)及び法制研究会の共催に係る,