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正多角形に依る平面の被覆

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Academic year: 2021

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(1)

56

正多角形に依る平面の被覆

鈴木 正 毅,卒 岡   忠

1.(i)総べての正多角形はその辺の長さが相等しく,且つ(ii)各頂点(頂点のみ)で会

する正多角形の種類及び個数は皆相等しいものとする時,斯様な正多角形の組合せに依つ て平面を覆う方法は幾通りあるかと云うことについて考えて見る。

此の種の問題は既に何人かの者によつて考えられた。W. Ahrens〔1〕もこの問題を扱つ

ているが,その論述には幾分不完全な所が見られる。また伊藤,内藤両氏〔2〕及び一松氏

〔3〕も論じているが,前者は未だ或種の揚合について解答されてなく,後者は各頂点に於 ける正多角形の組合せの形がすべて合同な揚合に限つて述べている。更に中沢氏〔4〕の論

述の中にもこの問題との関連が見出される。

2. タイル張りの問題やモザイクの問題などと呼ばれて知られているこの問題は,平面 上の正π角形の一つの内角の大きさが

2(%−2)πノ =2(1/2−1/%)π      …・・・・・・・・・… 。・・。・・・・・…  (1)

で表わされることから出発する。     ・

そこで一頂点に会する正多角形の個数を%,夫々の正多角形の辺数を箱σ二1,2,3,…,%)

とする。更に予め順序を換えたものとして(3≦)%δ一1≦〃iとしても一一般性を失わないか

      ,鳩

轣C(DからΣ(1/2−1擁)2π=・2π即ち

乞コム

幌Σ1/〃F粥/2−1         …一・・……・一・…・(2)

乞=よ

を得る。正多角形の一内角の大きさは%の増加に伴つて大きくなるが,πの値に拘らず 常にπより小さいから,各頂点に会する正多角形は少くとも3個でなければならない。

更に最小の内角をもつ正三角形でも一内角の大きさはπ/3であるから,各頂点に会する正 多角形の個数は6を超えることはない。従つて3≦粥≦6なる関係が得られるから・この 範囲に於ける粥の個々の値について調ぺれはよい。先ず

甥=3の時,3≦鍋≦脇≦惣として(2)を用いると

1/2z「ト1/〃2→−1/π3=1/2       ・・・・・・・… 。・・・・・・… 。…   (3)

となるが,1/π1≧1/η2≧1/%:蓄であるから

3!π1≧1/%1−←1/%2→−1/η琴==1/2      ・・・・・・・・・・・・… 。・・… 。・…   (4)

日本数学教育会第34回総会(1952)発表とする(於東京学芸大)

(2)

従つて3≦π且≦6を得る。

今%・=3なる時,(4)により2/η2≧1〃52十1/%3=1/6>1/η2となり6〈%2≦12となる

から,%2=7,8,9,10,ll,12の夫々に対して惣の値を求めればπ3=42,24,18,15,66/5,12とな

るが整数値でない最後の66!5の揚合は除かなければならない。

%1=4の時も同様に(4)を用いて2/%2≧1/π2+1/惣=1/4>1/%2より4<η2≦8となり

π2=5,6,7,8に対する%窪の値は夫々%a=20,12,28/3,8となるが28/3の揚合は除く。

π1=5とすれば,2/%2≧1/〃2十1/π,,=3/10より%2≦20/3となるが%1・=5≦%2である

から,%2=5,6で対応する惣の値は%,FlO,15/2となるが後者は除く。

〃1=6の時は(4)に於て左辺こ1/2=右辺となり%1=嘔=η3=6が簡単に得られる。

以上により甥=3の場合が終了した。

粥=圭堕の揚合に対しても考え方は全く同様に進められるので省くことにする。

これらをまとめると次表の様になる。

L   (3,7,42);

II.  (3,8,24);

III. (3,9,18);

IV. (3,10,15);

V.  (3,12,12);……・…・・……第3図

VI. (4,5,20);

VII. (4,6」2); 一・…・……・第4図 VIII.(4,8,8);・・…一…・…・・第5図 IX. (5,5,10);

X.  (6,6,6); ・………一…第6図

XI. (3,3,4,12);

XII. (3,3,6,6); …………第9,10,11図 XIII.(3,4,4,6); …………第16,17,18,19,19a図

XIV.(4,4,4,4); …………第12図

XV. (3,3,3,3,6);…一…・・第14,15図

XVI.(3,3,3,4,4);・一一…第20,21,22,23,24,25,26図

XVII.(3,3,3,3,3,3);……第13図

一頂点の周りを正多角形の内角で埋める組合せは,上記十七通り以外にないことがわか つたが,之等十七通りのうち何れが吾々の問題に適するかを次に吟味する。

5 前表中1,II,III, IV, VI, IXの揚合はいずれも吾々の要求に適さない。何故なら,

(3)

58       茨城大学教育学部紀要 第五号

1,II, III, IVに於ては何れも第]図に於ける如く,正3角形PqRの周りに正%、角形,

正η2角形@1>%2)を置くのだが例えばpqの外に正%1角形をおけばqR, RPの外 には共に正勉角形をおかなければならなくなりRの周囲を完全に埋めることは出来な くなり,Rの周囲の連結が吾々の要求と異なり不適なことがわかる。 VI,IXの揚合につ

第 1図

第 2図

       T A       れ2

れ2     P

S

   P

黷P

      Q

q/   れ薯 、、、

領2 R   γt己

Q

れ2

第    3

(4)

いても第2図(例えばVIの揚合)に於ける様に,正5角形pqRSTの周囲に正%、角 形,正鰯角形@1>%のをおくのであるがpqの外に正%角形をおけば次のqRの 外には当然正%2角形をおかなければならず,更にRSの外に正%1角形を, STの外に 正π・角形をとπ1と%・を交互におかなければならなくなり,最後のTPの外には正

%1角形をおくことも出来なくなり,正鈎角形をおくとしても間隙が出来て何れにしても 不適である。

第  4  図       次に前掲表のうち一個のみ

:奇数で,他の二個が等しい時

(Vの揚合),及び三個とも 偶然の時(VII, VIII, Xの揚

合)は条件を充して夫々第3,

4,5,6図の様になりそれらは

何れも唯一通りの揚合しか得

一』一

られない。

XIの揚合は不適なことが 次の様にわかる。頂点に於け る正多角形の組合せのうち二 個の正三角形a1,a2について

,それらが一辺を共有する時

(第7図)と然らざる時(第 8図)が考えられる。これら

5 の両方の揚合に左側の正十二

角形に対して二つの正三角形

一    LL・       、、

a1, a2及びbとなる。次に

0,4,θ,云9の位置には当然図 の様におかなけれはならなく

なるが,乃の位置にはPに於 ては正十二角形を要求し,ゴ の位置にはQでも正十二角

形を要求するが,斯様iにする

とRの周囲が吾々の要求に

(5)

60      茨城大学教育学部紀要第五号

第  6  図        反することになり不適なことがわかる。

XIIについても正三角形(正六角形)

が一辺を共有する揚合(第9図)と然ら ざる揚合(第10図)が考えられる。正三 角形aba2が夫々図の様におかれたとす ると,次の正六角形,正三角形は順次 馬,Qの位置におくことになり,XIIの 揚合平面を覆う仕方に二通りあることが わかる(夫々第9,10図)。然し実は第9 図と第10図を組み合せることにより墾

(countablc infinite)の揚合が可能であ ることがわかる。即ち第9,10図に於ける

横線(例えばX,Y,Z,……)の聞の部

分を仮りに 行 と呼ぶことにする。X,

Y,Z等の上下にある正三角形の連結状態

       が@:一辺を共有する揚合(第9図の様第   7  図

に)と,⑥:頂点を共有する揚合(第10 図の様に)があるが,ある行と行の間を

第   8  図

h         、

e d p

d    h

e 12

b    R      Pe       α1

α巳 Q

12   b R・

α2       α212      Q

9 f ↓      e  る

f

(6)

@型に連結し,その上の行を◎型に連結しても違つた揚合が得られ,一行おきに@と⑤を 組み合せても二行おきにしても又何行かおきに@と⑥を組み合せても,違つた揚合が得ら れ,斯る組合せは無限に出来るからXIIの揚合は無限にあることとなる。第11図は二行

おきに@,一行おきに⑥を組み合せたものである。

次にXIV・XVIIは夫々第12,13図の様に唯二通.ワの揚合しかないことは明らかであ

る。

 XVについても比較       第   9  図

@      x I簡単に第14,15図の       q

様に互いに鋤な二2       b8  ム3

の揚合が得られる。      αl       Y残るXIII・XVIに      (㎏

ついては共に(可算)       b2  わ4

無限個の揚合が可能で         c2

ある。先ずXIIIに就       Z

いては第16図が考えら

れるが正六角形の周囲

から出ている 手 が二

第    10   図

       ×

│       b3

el     C2      Y

α篭

bl   b2

   α2

早@   cら     Z

b奪

(7)

62      茨城大学教育学部紀要 第五号

第  11  図        つずっ三つずつの揚合夫々第17,

18図が得られる。第16,17.18図に

ついい見る時,何れも或る正六角

④      形に関して上下左畝韻状

的に対称になつているが,第16図

と第17図を組合せることにより恰

も前述のXIIに於けると同様な

考えの下に,正方形の手が二つず

つ三つずつの行を何行かおきに置

くことにより無限の仕方が可能な

ことがわかる。第19図もその一例

@         であり・叉第鯛の様に手が三      っずつの間に,手が二つずつのを

入れることも可能であるから,列 状的,或は環状的に任意個の手が

第  12 図       第   13  図

(8)

第   14  図 第   15  図

16   図 第   17

(9)

64      茨城大学教育学部紀要 第五号

二つずつのを入れることも可能であ        第  18  図 る最後はXVIの揚合であるが,

之もXIIIについて述ぺたと同様 な考えの下に無限の方法が可能であ

る。第20,21,22,23函は明らかであ

るが,このうち後の三者を組み合せ て無限に異つた揚合が得られる。例 えば第24,25図に於ける斜線で示さ れた正方形は一般に%個つ9きのも のでよく,第26図の点線部分の正方 形は一般に〃Z,η,」,…個ずつでよい

第   19  第

第  19a 図

一一

R

一晶鱒2

一一一

Q

一一一

R

一一一 R

とがわかる。 第26図にては左から順に点線部を横切る正方形は粥=3,%=4,』2の揚合 を示してある。

4.結局計算により,前掲表の十七通りの揚合が得られたが,全平面を被覆し得る組み       〜一

(10)

第   20  図 21  図

   、

諱@  22  図 合せは其の中の十通りとなり,V,

VII, VIII, X, XIV, XVIIは夫々      「

唯一通り,XVは二通りの方法に て,またXII,XIII,XVIは何れも 無限の仕方にて平面全体をcover 出来ることがわかる。始めの仮定通 り,之等は各の正多角形の辺の長 さは凡て相等しく,それらは頂点の みで会し,且つ各頂点に於て会する 正多角形の種類及び個数は皆相等し

いと云う条件の下で得られた。 次元 論の敷石定理(Bclegungssatz)で見

られる第27図の如きものは此処の対 象としては適当でない。上記の条件 に更に一つの条件:「各頂点に於け

る形はいずれも合同である」を附加

すれば夫々第3,4,5,6,9,12,13,

(11)

66 茨城大学教育学部紀要 第五号

←  第  23 図

第  24 図  →

←  第  25  図

(12)

鈴木,平岡:正多角形に依る平面の被覆         67 第   26  図

第  27 図 1

 8

@      虞

ォ 41㊥}2を勧

Im)

14,16,20図が条件を満足することになり,第14図と対称な15図を除いては一松氏の結果と

同じである。省条件を変えて大小さまざまな正多角形,特に正方形を用いて同様なことが 考えられるが此の種の問題についてはRI・.Brooks等〔5〕の研究が詳しいことを附記して

おく。

〔追記〕最近到着のM.Kraitchikの〔6〕にもこの種の問題が扱われていることを知

つたが,無限の組合せについては触れていない。

参 考 文 献

〔1〕W.Ahrens, Mathematishe Unterhaltungen und Spiele, Leipzig,(1901)

〔2〕伊藤誠・内藤実,正多角形で平面を蔽ふ問題,日本中等教育数学会雑誌,20雀,4号(1938)

〔3〕一松信,正多角形のタイル張り,自然10月号(1950),中央公論社

〔4〕 中沢貞治,或る不定方程式の解法について,日本数学教育会々誌,数学教育6巻4号(1952)

〔5〕R。LBroQks, C.A.B.Smith, A王LStone and W.T.Tuttle,7 乃61万s386 励o/R60 砺g醜ゴ〃 o 59獺プθs,Duke Mathematical Journal, voL 7(1940), PP.312−340.

〔6〕M・Kraltchik孔a Mathるmatigue des Jeux ou R6cr6ations Math6matigues, Paris(1953).

参照

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