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14 章痛くない歯科治療

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Academic year: 2021

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はじめに

後藤 譲治

一般 に歯の治療 は,痛い,恐い,不安だ と思われ敬遠 されがちである。特に 小 さなお子 さんの場合ではなおさらである。歯科治療の受診 は必ず しも快いこ とばか りではないが,治療に関 して十分説明を受 け,内容を理解すれば,何を されるのかわか らないという不安や恐れは解決す る。また,痛い,恐いを軽減 す るための様 々な工夫や努力が行われてお り,新たな装置 も種々開発 されてい る。そ こで痛 くない歯科治療について最近の装置,術式等について記載す る。

1 節 噴射切削装置

歯科治療が痛い,恐いと嫌われ る理 由にムシ歯の切削がある。ガ リガ リと歯 を削 る振動が頭に響 いて痛 くで賄い。また ビュー ンと言 うエアーター ビン切削 装置の金属音 は恐怖以外の何物で もな く,寿命が縮まる思いがするのみか,少 なか らぬ痛みを伴 う

これでは歯科治療は痛い,怖いと嫌われるの も無理なか らぬところである。残念なが ら嚇蝕歯 ( ムシバ)の修復治療 にはどうして も歯 牙硬組織の切削を必要 とすることが少な くない。 ところで,従来歯科臨床 にお いて歯の切削には主 として回転切削装置が用い られている。すなわち一種の精 密な ドリルの回転 によって歯の硬組織を切削す る方法である 。 現在回転切削装 置は,非常に回転の早いエアーター ビン ( 空気の圧力で回転するター ビンで, 約 1 分間に 50 万回転) と低速の電気エ ンジン ( 電気モーター,数千か ら数万回 転)が主 として用い られてお り,両者 はいずれ も回転切削装置である。

回転切削装置による歯牙の切削には,

a. 加圧,

(2)

b. 振動,

C.

騒 音

,

d.臭気, e. 発熱, 仁 捧痛

等の不快事項を伴 う

振動や意や香 りにも快 いもの もあるが,残念なが ら回転 切削装置による歯牙切削時の ものはいずれ も不快な もので,痛みや心理的な恐 れを増幅す る種類の もので,決 して快い もの とはいえない。また,発熱は歯髄 ( 神経)を刺激 して痛み として知覚 される

歯の硬組織であるエナメル質,象 牙質 には神経 は到達 していないが,象牙質 は生 きた組織 と考え ることがで き

このように回転切削装置による歯の切削には樺 々の不快事項を伴 う。

それでは,上記のような不快事項を伴わない歯の切削方法はないものか と探 してみると,回転切 削 とは全 く切削原理の異 なる噴射切削 とい う方法がある

これはエアープ レー シブ,一種のサ ン ドブラス ト法で,酸化アル ミナの微粒子 を高速の空気で歯 に吹 き付 け, これで歯を切 削す る方法であ る。 この方法で は,

a.歯に無接触 ( 加圧がない) b. 振動がない

C. 発熱ない d. 無臭

e.捧痛少ない

f.回転切削以上の切削能率を有す る

g. 接着強度の向上が得 られ る

など種々の利点を有するとされている

この方法 は決 して新 しい方法ではな く,既 に1 9 45 年に歯科分野‑の応用が試 み られている。 しか し当時の技術 は不完全で,装置に欠点が多か った こと, 丁

度エアーター ビン切削装置が開発 されて実用化 された こと,また現在のよ うに レジン ( プラスチ ック)を歯に接着 させ る技術が開発 されていなか った こと, などの理 由で噴射切削の方法を歯科治療へ応用す る試みは挫折 し,その後顧み

られな くなった。

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しか し近年,‑イテク技術の発達によって新 しい噴射切削装置が開発 され, またムシ歯の修復に接着性の レジン応用の技術が開発 され広 まったこと等に よって,現在噴射切削の方法は再評価の機運にある。

ここで,噴射切削装置の例を示すと図 1は国産の噴射切削装置 KCP‑2 0 0 1 J 型である。 この装置は,回転切削装置が有する不快事項が少な く,痛 くない 切削装置 として今後小児歯科臨床はじめ歯科臨床の多 くの分野での応用が期待 されている。図 2は,噴射切削装置のハ ン ドピース先端のノズルの部分を示 す。 この直径 0 . 4 mm のノズルか ら酸化アル ミナの微粒子が高速の空気 と共に 噴出される。ノズルの先端は切削する歯面 と 1‑2mm の距離におき,酸化ア ル ミナの微粒子の噴流によって歯牙の切削が行える。

図 1 KCP‑ 2 0 0 1 」型噴射切削装置

噴射切削による歯牙の切削法の原理は,従来の回転切削の原理 とは全 く異

なった ものであるため,噴射切削法による歯牙の切削面は従来の回転切削装置

による歯牙の切削面 とはかな り異なった特徴を有 している 1 ) .そこで,噴射切

削装置による切削面を示すと図 3 は乳歯の唇面に形成された 5 級窟洞 ( 歯牙肴

切削 してできた溝)の低倍率の走査電子顕微鏡写真である。 このような窟洞は

約 3 秒程度の短時間の噴射切削によって形成することができる。嵩洞の特徴 と

して,窟縁部が丸 く移行 してお り,回転切削装置によって形成された窟洞 と異

な り側壁部には切削傷がな く,比較的平坦な面を有する。次に嵩洞の断面を観

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1/A L l

図 2 ノズル先端部

図 3 噴射切削装置によって形成された窟洞

察す ると図 4 で,嵩壁部よ り窟底部への移行部 は丸味を持 ち,明瞭な点角,線 角 は認め られな い 。 また回転切削装置 による嵩洞で は, しば しば認め られ る窟 底部のスメア一層 ( 回転 と高温の加圧 によって溶解 し,お しつ け られた象牙質 の層)は見 られない等の特徴 を有 している

さ らに嵩渦形態の詳細を調査す る には,図 4 のよ うな窟洞断面 を多数調べ る必要があ るが,その代わ りに噴射切 削 によって形成 された嵩洞 に レジンを購入 し, レジン硬化後 に周囲の歯質を酸 で溶解 させ,得 られた レジンレプ リカを SEM 観察す る

2)

と図 5 で,噴射切 削 による嵩洞の形態の特徴 を よ り立体 的 に, また連続的 に把握す ることがで き た。 この よ うな嵩洞 の特徴 は,通常 の回転切 削装置 によ って形成 された嵩洞

( 図 6 ) と比較す るとその特徴が良 く理解で きる

図 6 では宿縁部はほぼ直角 に移行 し,嵩壁部 には回転切削によって形成 された多数の線条を認め る

嵩壁

一 23 8‑ ‑ ‑

(5)

よ り窟底部への移行部には明瞭な線角を認め,また嵩底部にはスメア一層が見 られる

図 4 噴射切削装置によって形成された罵洞の断面

図 5 噴射切削装置によって形成 された罵洞の レプ リカ

図 6 回転切削装置によって形成 された高洞

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2節 なぜ痛 くないのか

それでは噴射切削装置による歯の切削はなぜ痛 くないのか,その理 由を述べ ると以下の如 くである。

( 1) 熱の発生がない

回転切削装置では高速で回転す る ドリルの刃部が硬い歯を削 り,その際摩耗 で多量の熟を生ず る。発生 した熱 は歯質 ( エナメル質,象牙質)を介 して予成 象牙質付近に到達 している歯髄の神経 によって捧痛 として知覚 され る

なお, 歯髄内の神経で痛みを感 じるのは β繊維である。勿論, このよ うに歯髄の神経 を刺激す る発熱を抑制 し冷却す るために,回転切削装置には空気 と水のスプ レーによって切削部を冷却す る方式が とられているが,熱の発生を完全にコン トロールす ることは困難であ り, したが って回転切削装置による歯牙の切削時 の捧痛 はさけ られない。他方,回転切削 とは全 く原理の異なる噴射切

におい ては,殆 ど熱を発生す ることがな く,また多量の空気の噴射によって切削都が たえず冷却ほ れているため,温度の上昇は見 られないとされているO歯牙切削 時の捧痛を惹起す る主たる原因である発熱がないため,噴射切削は痛 くない。

噴射切削がなぜ痛 くないのかの理 由として最 もメイ ンな ものは熱の発生が起 こ らないためと考え られている

( 2) 振動がない

現在歯科臨床で歯牙の切削に用 い られている回転切削装置は,非常 に高速回 転で, 1 分間に5 0 万回転に達す る。そ こで回転時の振動が起 きないよ うに回転 軸は芯の偏位が少な く,超精密に作 られている

しか しなが ら回転切削装置に 装着され るバー ( 切削刀)はその断面が真円では切削に役立たないので,表面 に凹凸のある刃をっ けることになる

刃部にはタングステ ンカーバイ ド等の硬 い金属や工業用 ダイアモ ン ドを埋 め込んだ ものが用い られているが,いずれに せよ切削刃の表面には凹凸があ り, この凹凸を有す る切削刃で歯牙を 切削すれ ば当然振動の発生 は避 け られない。 このよ うに回転切削時 に歯牙に生ず る振

一 一2 4 0‑ ‑ ‑

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動 は残念なが ら痛みとして知覚 され る種類の もので,決 Lで 映い振動ではな い。なかで も電気エ ンジンによる歯牙切削時のガ リガ リと頭にまで響 く振動は 耐え難いものである。

一方,回転切削とは全 く原理の異なる噴射切削装置による切削時には,全 く といっていい程振動の発生 は見 られない。従 って振動 による捧痛 は感 じられ ず,痛 くない。

( 3 ) 加圧がない

回転切削装置においては,回転する切削刃部が歯牙に接触 して切削が行われ る。従 って装置の歯牙への接触が必要な条件 となる。装置が歯牙へ接触す る と,歯面への加圧 となり,歯牙を支持 している歯根膜に分布 している神経に感 知 され, これが一種の捧痛 として知覚 されることが多い。

噴射切削装置においては,噴射ノズルの先端は切削す る歯面より 1‑ 2mm の距離にあり,ノズル先端が直接歯面に接触することがない。そのため歯牙は 加圧による捧痛を知覚せず,痛 くない。

( 4) 騒音がない

現在歯科臨床で,歯を切削す る回転切削装置の うちで も主流 となっているエ アータービンは,切削時にビューンという甲高い騒音を発生する。 この騒音は 患者にとっては恐怖感を高め,捧痛の閥値を増大 させ ることに役立っ ことあ れ,決 して痛みを和 らげる種類の音ではない。また,ガ リガ リと頭に響 く電気 エ ンジンの騒音 とて同様である。騒音などと馬鹿にしてはいけない。映画館で の音響効果を思い出せば理解できることであるが,恐ろ しい場面にはいかにも 恐ろしげな音響を用いて恐怖感を高める心理的効果が用いられている。人の心 を和ませ,楽 しくさせる音響効果 もあるが,残念なが らエアータービン,電気 エ ンジン等で歯牙を切削する時の音響 は歯の切削に対す る恐怖心を高め,痛み を増加 させるものである。

他方,噴射切削による歯牙切削時には,わずかにシューという低い空気の噴

射音のみであり,痛みを増大させるた ぐいの音ではない。従 って痛 くない。

(8)

( 5) 短時間

噴射切削による歯牙の切削能率 は高 く,切削時間は極 めて短時間である

歯 牙の切削処置は,処置時間が良い程切削に対す る不快感,恐怖感 さらに掛 副 ま 増大す る

噴射切削のよ うに,数秒間の切削であ ると痛 みを感ず ることが な

く,従 って痛 くない。

( 6) 悪臭がない

回転切削装置による歯牙の切削時には,歯牙が切削の高熱によって焦げて異 臭を発生 し, この悪臭が患者 に不快感,恐怖感を高め, さらに捧痛を増大 させ る効果がある。そこで通常真空装置の吸引によって切削時の悪臭を吸い取 り, 患者の不快感,恐怖感をな くす努力がなされている。 しか し,悪臭の吸引が必 ず しも完全 に行われているとは限 らない。

他方,切削原理の全 く異 なる噴射切削による歯牙の切 削 においては,異臭を 発す ることがな く,従 って患者に不快感,恐怖感,ひいては捧痛を感 じさせ る

ことが少ない。

( 7) 歯髄反応が少ない

通常,回転切削による歯牙の切削は,象牙質を介 して以 下一 にある歯髄組織 に 対 して刺激を及ぼ し,歯髄組織に炎症性の反応を惹起 させ ることが知 られてい る

このよ うに歯髄組織 に刺激が伝達 され,歯髄組織の反応が見 られ ること は, とりもなおさず歯髄中の神経を刺激 して捧痛を もた らす ことになるoそ こ で,なるべ く歯髄組織の反応を少 な くす るため,加圧を減 らし,間欠的な切削 法や,空気 と水 のスプ レーの併用などの努力がな されている。噴射切削法で は,歯牙切削時の歯髄反応が回転切削時の歯髄反応 に比較 して非常に少ないこ とが報告 されている。切削時の歯髄反応が少ないことは,歯髄 に対す る刺激が 少ない事を意味 し,従 って切削時の捧痛が少ない ものと考え られ る

( 8) 噴射切削法の欠点

噴射切削法は,歯牙形成時の痛みが少な く一見良 いことず くめのよ うに思わ

れ るが,欠点 もあり,現在の回転切削に全て取 ってかわ るものではない。例え

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ば,ア ンダーカッ トがあってはな らない精密なイ ンレー窟洞の形成等には本法 は不向きである。

また,切削能率が非常に高いので,形成中に露髄 ( 歯髄組織まで到達す るこ と) もありうる。形成が極めて歯髄に接近 したり,あるいは露髄すれば当然捧 痛 も起 こるであろう

また通常の回転切削装置では,回転する刃部が接触 した 部位のみが切削されるが,噴射切削装置においては,形成部周囲の健康歯質に も切削の影響が及ぶ欠点がある。また酸化アル ミナ微粒子の飛散の問題 も欠点 としてあげ られる。 しか しこのような欠点に対応する種々の対策がたて られて いる。例えば微粉末の飛散に対 しては強力なバキューム装置,ラバーダムの使 用,ゴーグル,マスクの使用が行われている。また窟洞周囲の健康歯質の保護 法にも,興味深い新たな対策が開発 されている。 このように,噴射切削法の欠 点を解消する種々の工夫や対策が開発 されっっあるので,近い将来回転切削の 多 くの部分に取 って代わる,痛 くない歯科治療の実現の 日が近づきつつある。

3 節 レーザーの応用

レーザー装置の進歩発展は目覚ましく,歯科臨床にも種々の レーザーが応用 されていることは他章にも記載 されている通 りである。 しか しこれ らの多 く は,疹痛の緩和,口腔軟組織‑の応用,歯内療法の目的等で使用されている。

歯牙硬組織‑の応用 として覇蝕予防には有効であるが,歯牙硬組織の切削には 必ず しも有効ではな く,麟蝕の治療すなわち歯質の切削に適 した レーザー装置 はあまり存在 しなか った。 しか し近年エル ビューム ・ヤグ ・レーザーが開発さ れ,繭蝕治療にもレーザー装置が使用可能 となった。

レーザーによる歯質の切削は, これまた現在の回転切削とは全 く原理が異な

り,それ自体捧痛緩和の効果を有 し,嵩洞形成時の捧痛 も極めて少な く,振動

はな く,騒音 も極めて低いなど,痛 くない歯科治療の実現に適 した方法 と考え

られる。 しか しなが ら,エル ビューム レーザーの歯科臨床への応用は,開発さ

れてか ら日が浅 く, ここで十分な詳細を述べ られないが,将来性のある方法 と

考え られている。

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4 節 電気麻酔

心理的誘導等 によって恐怖感を減退 させ,ある程度痛みを和 らげることは可 能であるが,歯科的処置には抜歯 は じめどうして も痛みを伴 う処置 もある。そ こで,捧痛を伴 う歯科的処置にはあ らか じめ除痛法 として麻酔が用い られてい る。近代的麻酔法の晴夫 は ,1 8 4 6 年 アメ リカの歯科医師 Mor t on とされて い ることはご存 じの方 もあろ う

この ことは同時にそれだけ歯科治療の痛みは耐 え難い ものであることを物語 っている。歯科的処置 にあたって行われ る麻酔法 に も全身麻酔 は じめ種 々の ものがあるが,なかで も最 も一般的な ものは注射 に よる局所麻酔の方法である。注射 による局所麻酔 ( 浸潤麻酔)法 は簡便で効果 的である等の利点 も多いが,他方以下のような欠点 もある

a. 注射時の捧痛

b.軟組織の注射による侵襲 C.

入点の潰癌形成

d. 口唇,頼,吉等の麻捧 e. 術後の唆傷

f .ア レルギー g. 心理的圧迫

なかで も,歯科的処置の捧痛や恐怖を軽減す るための麻酔に捧痛がある,す なわち,痛 くな くす るための麻酔が痛 くで 怖い とい うの は問題であ る。 そ こ で, もっと痛 くも怖 くもな い麻酔 はない ものか と考えてみ ると,先 に述べた

レーザーによる捧痛の緩和 と言 う方法 もあるが, これは装置が非常 に高価であ る

もっと簡便 な ものはないか と探 してみると電気麻酔 ( El ec t r o nl C Anes t ‑ hes i a) の方法があ る。 この方法 は微弱 な電気刺激を応用 して捧痛 を コ ン ト

ロールす るもので,組織的侵襲や心理的圧迫が少ない利点を有す る

電気麻酔 法の歯科的処置への応用 はかな り以前か ら研究 されてお り, 目新 しい ものでは

ないが,近年新たな装置が開発 されて 目下再評価の機運にある

歯科用電気麻酔処置の 1 例を示す と図 7で,極 めて小型で簡便 な装置であ る。

‑‑

2 4 4‑ ‑

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この装置の応用は,下顎歯の処置であれば下顎のオ トガイ孔相当部の皮膚に 電極パ ッ トを貼付 し,通電 させ徐 々に出力を上昇させる。当教室で行 った予備 実験では,効果的な捧痛管理が行える可能性が示唆されている3 ) .

図 7 歯科用電気麻酔装置 (3M86 70 )

5 節 針な し注射器

麻酔の注射が痛い怖いの原因は,先の鋭い注射針を刺入されることにある。

そこで針のない注射器があり,その 1 例を図 8 に示す。 この注射器には針はな く,代わ りにノズルがある。ノズル先端か ら高圧の麻酔液を高速で噴射させ, 皮膚あるいは粘膜を通過 して,歯槽骨まで麻酔液を注入するものである。元来 針な し注射器は,アメリカの軍隊で多数の兵隊に短時間内に予防接種等を行 う

目的で開発されたものであり,針がないことか らエイズ対策 という意味で も利 用価値のあるであろう

針がない,昔 も低 い,また一瞬であり,痛 くない,怖 くないとい うことか

ら,小児歯科臨床には適 していると考え られるが,本法は刺入点の麻酔には効

果的であるが,目下のところこの注射器による麻酔のみでは歯科的処置を行 う

のに十分ではない。刺入点の麻痔の後,通常の注射器による麻酔液の追加が必

要である。

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図 8 針のない注射器 ( Syr l ] e t )

おわ リに

以上, " 痛 くない歯科治療 "に関 して,最近 の装 置,術式等 につ いて記載 し た。上記 の もの は多 くは開発 途 上 にあ り,必 ず しも完 成 した もの とは言 え な

い 。

しか し,今後 も引 き続 き装置 や術式 の開発 ,改良が行 われてお り, いず れ

" 痛 くな い歯科治療 "が達 成 され るもの と思 われ る。

特 に小児歯科 臨床 にたず さわ る立場 か ら " 痛 くない歯科治療 "の完成 を期待 す る もので あ る

参考文献

1 ) 後藤譲治他 : Kl ne t l CEne rgy の小児歯科領域‑の応用に関する研究

第 1報 形成 窟 洞の SEM による観察,小児歯誌 ,3 3:1 29 ‑1 37 ,1 9 9 5 . 2) 後藤譲治他 : Kl ne t l CEne rgy の小児歯科領域‑の応用に関する研究

第 2 報 形成窟洞 レプ リカの SEM 観察,小児歯誌 ,3 3:7ユ 9 ‑7 9 7 ,1 9 9 5 . 3) 後藤譲治他 : De nt alEl e c t r

o

nl C Anes t hes l aの小児歯科診療における臨床的評

価について 第 1報 効果判定の成人における予備実験,小児歯誌 ,3 3:53 6 ‑ 5 42 ,1 9 95 .

4 ) Ben l V Ct tC. R.andMonhel m L.M.・ Pr oduc t l OnOfl oca l ancs t he s l abyj e t l n] e

Ct

ユ On,OralSurg. ,32: 52 6 ‑‑ 5 30, 1 97 1.

一一24 6

図 5 噴射切削装置によって形成 された罵洞の レプ リカ
図 8 針のない注射器 ( Syr l ] e t ) おわ リに 以上, " 痛 くない歯科治療 "に関 して,最近 の装 置,術式等 につ いて記載 し た。上記 の もの は多 くは開発 途 上 にあ り,必 ず しも完 成 した もの とは言 え な い 。 しか し,今後 も引 き続 き装置 や術式 の開発 ,改良が行 われてお り, いず れ " 痛 くな い歯科治療 "が達 成 され るもの と思 われ る。 特 に小児歯科 臨床 にたず さわ る立場 か ら

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