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ニッケル粉末の多孔質焼結について
教 授 石 戊|ー 正
Tadashi Ishikawa:On the loose sintering characterist三cs of nickel powder and its atmosphere.
Porous plaques of high porosity as the supporter for the active masses are prepared by sintering carbonyl nickel powder and investigated the effect of sinter.
ing atmosphere upon the plaque properties.
1.は じ め に
多孔質の金属材料又は部品をつくるには,粉末冶金の手段によることが普通である。潤 滑油を充填した軸受合金,フィルターエレメント,銅や鉛をインフィルトレイトした鉄製 機械部品,燃料電池電極などはその例である1)2)3)。しかし之等は気孔率がせいぜい50%ま でであるが,本研究で問題とする多孔質ニッケル焼結材は,之等に比してはるかに多孔度 の高い(80%以上)ニッケル・カドミウム・アルカリ電池の電極基板等の用途を目的とし たものである。
ニッケル粉末の焼結については多くの報告がある4)5)6)7)。化学的につくった還元粉,電 解ニッケル粉,カルポニル・ニッケル粉等用いられているが,いつれも欠陥なき金属材料 を目的にしているので,加圧してCompactにする工程が含まれているか,或は粉末から 直接圧延する様な手段をとっている。
本研究では上述の如く80%以上の多孔度を必要とするので,この様な粉末の圧縮工程 は除外されなくてはならない。しかし又機械部品をつくる以上は,何等かの方法で成型し,
輸送又は焼結中にこの形が崩れてはならない。又焼結が進み過ぎると収縮して多孔度は低 下するから,可級的に低温度を用い短い時間で焼結を完了しなければならない。この様に この場合の焼結技術は粉末冶金の普通の方法から外れてくるので,適当なニッケル粉末の 粒形と粒径とを選択するとか,その他2〜3の技術的な手段を構ずる必要がある。
又ニッケル粉の焼結には,その雰囲気ガスとして我国では水素又はアンモニァの分解ガ スを用いているが,アメリカでは天然ガスを分解して用いている。勿論後者の方が経済的 に有利であるが,我国では自由に得られない。又市内ガスは組成が一定でない。・それで本 研究ではブタンのクラック・ガスを雰囲気ガスとして利用することを検討の上試みた。
2.焼結炉反応の基礎となる化学平衡 2−1)水素及一酸化炭素の還元平衡
鉄に対する水素及一酸化炭素の3成分平衡状態図はFig.1, Fig.2の如く完成して いる8)。Fig・1は一定の大気圧に於けるH2の還元平衡であり,Fig.2は同様にCOの還 元平衡である。ニッケル粉の焼結条件を考究する上に参考となるのは,約600°C以上の T−b線で表されるFeO!H2の還元平衡と, FeO!COの還元平衡である。従って次の(1)
式(2)式のみを考えればよい。
さミ 占
400 600 800 iOOO 1200・
Temperature ec Fig. 1
Oz
OO
0
20
40
δ 0
60
80
400 600 800 1000 1200 Ternperature ec Fig. 2 FeO十H2=Fe十H20 、 …(1)
FeO+CO=Fe+CO2 …(2)
ω式の平衡恒数をK,とするとKIは温度のみに関係する数値で(1)式で示される8)。
654.O log Ki=一
十〇.321 … (1 )
T
(1 )式から各温度の平衡恒数KIを計算してTable 1に示す。
Table l Equilibrium constant K1.
Temp.°C 600 800 1000 1200
K1
0.373 0.514 0.641 0.753
H20%
27.3 33.9 35.4 42.9
H2%
72.7 66.1 64.6 57.1
又(2)式の平衡恒数をK2とすると温度との関係は(2ノ)式で示される9」。
200
10g K2 ==
−0.3 … (2 )
4.58T
(2 )式から各温度のK2の値を計算してTable 2に示す。
Table 2 Equilibrium constant K2 Te皿P.℃
800 1000 1200
K2
0.550 0.542 0.536
CO2%
35.5 35.1 34.9
CO%
64.5 64.9 65.1
以上のFeについて考えたことと同様のことをNiにっいても考える。先づNiO−H,−
H20系については次の③式の平衡恒数K3と温度との関係は古く A. Skapskiと J.
Dabrowski(1932)の報告があって(3 )式で与えられる。
13
Nio十H2=Ni十H20 4211 10gK3=
十〇.0578 4.571T
(3 )式から各温度のK3の値を計算してTable 3に示す。
Table 3 Equilibrium constant K3.
…(3)
…(3 )
Temp.°C 600 800 1000.
1200
K3
13.4 8.2 6.0 4.8
H20%
93.1 89.7 85.7 82.8
H2%
6.9 10.3 14.3 17.2
次にNio−CO−CO2系中の平衡に就いて,ゆ式の平衡恒数K,と温度との関係は・(4 ) 式で示されている9)。
Nio十CO=Ni十CO2 6300 10gK4= 4.58T−0・3
(4 )式から各温度のK4の値を計算してTable 4に示す。
Table 4 Equihbrium constant K4.
…(4)
…(4 )
T・m・・℃1
800 1000 1200 1400
K4
9.58 6.03 4.30 3.32
CO2% CO%
89 84 80 75
11 16 20 25
上記の結果から(1)(2)③④式の平衡図をまとめるとFig.3, Fig.4の様になる。これ等 の図からNiはFeに比してはるかに還元され易く,Feが酸化を受けない状態に於ては.
Niの光輝焼鈍も, Ni粉の焼結も可能なことは予測される。
(otH+cH︶ !e 100
80
60
40 20 0
Fe
1
FeO
Ni Nio
800 1000 1200 1 400
Temperature℃
Fig.3 Equilibrium in the case of the reactions (1)and (3).
100
80
60 40 20 o/e ︵CoO+oO︶\OO
0
Fe FeO
Ni NiO
800 1000 1200 Temperature℃
1400
Fig.4 Equilibrium in the case of the reactions (2)and (4).
2−2)水性ガスと鉄及ニッケルとの平衡
ブタン燃焼ガスの成分は中性成分のN2,酸化成分のCO2, H20,還元成分のCO,
H2を主成分とし,これ等の諸成分間には次の水性ガス反応の平衡が成立する。
H,十CO2=CO十H20 _ …(5)
この平衡恒数をK5とすると Pco, PH20 K5=
PH2, Pco2
或は P・・_K、P・・
…(5 ) Pco2
PH20
・な・て 監はtSPx−・・1・のもとに農きに比例するこ・にな…の雄ガスの平 衡図はよ≦知られているから9)10)・この平衡図からK5と温度との関係を求めるとTable 5の如くなる。(5 )式はこの関係を式で示したものである。
1000 10gK5=一
十1.62 … (5 )
0.57T
Table 5 Equilibrium constant K5.
Temp.°C K5
し
Table 5から水性ガスの平衡恒数は温度と共に大きくなり,(5)式の反応は右方にすすむこ とがわかる。
ぷ 声ぷ
ぷc
uO
\O OO
(NiO〕
600 700 800 900 1,000 1,200
0.394 0.650 0.95 1.31 1.69 2.90
6 b
i
! ! ! 、
!! 〔Fe〕一
4 ! 1S2
〔FeO〕
/!・
吟
! S1
!
2 !
. !、
m / a
^
,〈ぷ・
〔Fe304〕
T
㊥ずc
n 2 4 『6
H2/H20 : 一一 Fig.5 Equlibrium in the Case of the reactions Fe or Ni−water gas.
15
水性ガスとFeとの平衡はFig・5の如く提案されているが,詳細は未発表である9)10)。
Fig.5から一定の温度に於てPH2!PH20(又はPco!Pco2)が定まれば,之と平衡にある 固相も定る。即Feが光輝焼鈍される雰囲気ガスは全圧力に関係なく定まる。
次に水性ガスと酸化ニッケルとの化学平衡を考えたい。この系の反応は③式と(4)式とを 合した(6)式で表はされる。
2NiO十H2十COニ2Ni十H20十CO2 『 …(6)
(6)式の平衡恒tw K6は(6 )式の様になる。
K・−P離警一(PH20PH2)2量一K・×K・ ・一(ぴ)
(6・)式から各醍に於け・・k及驚を求めてT・bl・6に示・た・
Table 6 Equilibrium constant K6.
Temp.°C K6 PH20/PH2 Pco2!Pco 800
1000 1200
78.6 36.2 20.6
8.62 7.82 7.73
9.07 4.63 2.66
Table 6の結果をFig.5に記載するとmn線で示される。之から明にFeが酸化さ れないガス組成ならばNi粉は還元状態にあって焼結出来ることは推測出来る。
3.焼結炉の雰囲気ガス 3−1) ガス発生炉
ニッケル粉の焼結或は純鉄部品の光輝焼鈍には発熱反応性・ガス発生炉(DXガス)
で充分であると考える。Fig・6にこの種の炉の概略図を示した。
Flow Meter
ATr ぷ
By_pass Line for Starting
Regurator Burner o
一
By−
Fil
=コ ψoθρo゜1灘
Carburettor
蕊,縣,
1三一
Catalyst
一 、 ・,a,
←
← To
Surface Condenser R。w↑Gas
Automatic Furnace
To Drain
By−pass
Filter
Fire Check
Fig.6 Exothermic gas generator.
Fig.6に示す如く原料ガスとしてブタンガスを用い,空気を混合して燃焼し,高温の触 媒の上を通して分解させる。触媒としては一般にニッケルが用いられる。分解ガスは濾過,
冷却して水分を除去し,最後に冷凍機に送って露点を4℃に調整して焼燃炉に送るので ある。原料ブタンは硫黄分の少いもの(0.001%以下)を用いる必要がある。
3−2)発生炉ガスの組成
原料ブタン1容に対し空気10容を混合し,次式の反応を起すのが正常変成である。
C4Hlo十2(02十4N2)=4CO十5H2十8N2
このガス組成は体積率でH2(29.4%), CO(23.5%),N2(47.1%)である。実際発生炉に ついて空気混入量と発生したブタン分解ガスとの関係を試験した結果はFig.7の様にな った。それで実際操業では未分解の炭化水素の残ることをきらって空気約20容を混合し て得たTable 7のNo.1の如き組成を用いた。
20§
§.15
B老
5・100甘
ぎ 5
9 旨
896182。222426283。32
Air/Buthane(mbくe(1 ratio)
Fig.7 Composion of cracked gas
Table 7 The Composition of generator gases.
(in vol.%)
No. H2
1(Rich)
2(Lean)
8.8〜9.4 1
C・{H・・
8.6〜8.8 1
<0.8
<0.8
CO2
6.6〜6.8
12
CH・lN・
<0.5
Bal.
Ba1.
No.1は所謂リッチ・ガスで爆発性であるので,空気と置換する場合は一度中間媒体とし てNo.2(リーン・ガス)に置換してから空気と置き換えた。リーン・ガスは空気約30 容を混合したものである。水分は露点4℃以下に相当する。
このガス組成は厳密には常温の平衡状態ではないが,リッチ・ガスの組成が作業温度 900°Cになったときの組成の変化を計算して見た。900℃のK5を1.31として計算する
と水分は3.2%となり,pH2/pH20は2.1となる。之をFig.5に示すとSI点となる。
S1点の組成はニッケル及鉄の焼鈍或は焼結には安全な領域である。なほ900℃の水分は 露点27℃に相当するから発生炉ガスが常温から900°Cに上昇すると露点は約23℃上昇 することがわかる。
3−3) 焼結炉内のガス雰囲気
前述の如く発生炉ガスでニッケル焼結に必要なガス組成は得られたが,実際には露点 4℃の確保が出来ない場合もあらうし,ニッケル粒子が吸着酸素を持込むことも考えられ
17 るので・鉄部品の光輝焼鈍には幾分水素濃度の不足すると思はれるので,之に一部アンモ ニァ分解ガスを添加して焼結炉ガス雰囲気とした。なほアンモニア分解ガスは未分解のア ンモニアの検定後混合する様にした。
かくして得た焼結炉の雰囲気ガスの組成はTable 8の如きものである。
Table 8 The Composition of atmosphere gas.
(in vol.%)
H・lC・
12〜16
H20 CO2 CH, N2 1…一・…【・…1…一… <0.02 Ba1.
Table 8のガス組成が炉内温度に上昇すると,上述の如く水性ガス反応(5)は右方に移動 して露点が上昇する。今露点が4°Cから30°Cに昇った場合をTable 8の中間組成につ いて計算すると,水分は3.79%となり,pH2/pH20は2.90となる。之をFig.5に示す とS2点となり,明に純鉄についても安定な領域となる,従って必然的にニッケルの焼結 に適するものと考えられる。
4.ニッケル粉末の焼結とその結果
焼結板(Plaque)は機械組立中巻いたり,絞ったりなど変形する場合も考えられる。
ニッケル粉末を加圧しないでそのまま焼結する場合にはこの変形加工に耐えないので金鋼 を心金として用いることが提案されている11)。本研究に於ても金網を用い,その上下両面 にニッケル粉末を敷き,その状態で焼結炉に送り焼結した。
4−1) ニジケル粉末とニッケル金銅
ニッケル粉末としては一般に還元粉,電解粉,Sherritt Goldon社製粉,カルポニル 粉などが用いられているが,本研究の様なルーヅなPlaque用には一般にカルポニル粉が 用いられているので,The Mond Nickel Co.のCarbonyl Nickel powder, Type 287 を用いた,その特性をTable 9に示す。
Table 9 Powder characteristics
︳N3 Bulk density (g/c.c.)
Particle size (μ)
Composition(%)
O l
… 0.8〜LO
… 2.3 〜3.6
C l S Ni Fe
・.・5−・.・5i・.・5….・51・・.… 99.・・
ト
4.Surfabe area(M2!g)… 0.63〜0.70 Nitrogen・adsorption method.
〈0.01
カルポニル・ニッケル粉の形状については,その代表的な笛子顕微鏡写真(×6000)を photo 1に示した。粒子の形状は不規則で表面にトゲが多く,且鎖状に房になる性質が著 しいことがうかがわれる。参考的にSherritt−Golden社のニッケル粉(G−09)を試用し たが,カルポニル・ニッケル粉と同一の作業方法では焼結板をつくることは困難であった。
之はPhoto 2の如く,カルポニル・ニッケル粉に比して粗く,且表面積(0.43M2!9)の 相違にも1原因があると思はれる。
竃灘議鐸き適、
(a)×50 Photo 2.
a:
b:
×6000 Photo 1. Electron microscopic photograph.
Inco Carbonyl nickel powder, Type 287.
讐翼1謙懸}
(b)×50 Nickel powder.
Carbonyl nickel powder, grade B
Sherrite・Golden nickel powder, grade G−09
心金材としてのニッケル金銅は線径0.18mm,20meshのものを用いた。寸法は236×
264mmである。金網は予め焼鈍し整直して歪のないものを用いた。金網は両側のニッケ ル粉の焼結を容易にするために20mesh以上の粗い方が有利であるといわれている10)。
4−2) 焼結方法
金網を心材として用い予め厚さ方向の収縮を予想してニッケル粉末を上下両側に敷き,
焼結後板厚が約0.80mmに仕上がる様に調整した。之を耐火板上において焼結炉に送っ た。炉内の雰囲気ガスはTable 8に記載したものである。
用いた焼結炉は普通の水素炉と同じ型式のもので,全長約20M,焼結材料の投入口の フレーム・カーテンから予熱ゾーン,加熱ゾーン及冷却ゾーンに別れている。加熱ゾーン は約2.5Mである。加熱ゾーンの標準温度は900°Cである。
加熱源は電熱で発熱体としてはキャスト・レジスターを用いた。炉内の運撮は耐熱性金 網帯を用いた。運搬の速度の調節は可能であるが,本研究では約35cm/minとした。従
って焼結されるニッケル粉体の加熱ゾーンにある時間は約7min間である。
この焼結を終えた板は圧縮型に入れて周辺部分のみを加圧し厚さを約1/3に圧縮した。
之は機種に応じて作用面積を限定するのが主目的である。かく縁取りされたplaqueは再 度同一条件で再焼結して仕上げた。(この焼結板は後の工程で活物質を充填し,周辺コイ
ン部に配線用の耳が溶接されるのである)。
4−3)焼結ニッケル板の性質
上述の如く焼結して得た2ロットから各20枚の試料をとり,各板について厚さ,重
19
量及電気抵抗を測り,比重,気孔率を計算した平均結果をTable 10に示す。
Table 10 Properties of plaques
t
S・mpl・W・ight(9)iThickneps(mm)
1
r⊥ワ匂 91.0
98.0
0.838 0.824
D,n、・,yl・。r。、・、y(96)2㌶鶴 1 、(μΩ一cm)
1.74 1.91
2つり
08
ΩU7 182 188Table 10に於てNo.1は同じ粉末のgradeでも比較的粒度の細い粉を用いたもので あり,No.2は粗い方の粉を用いたものである。
気孔率としては上述の如く80%以上を目標にし,電気抵抗は200μΩ・cmを設計規準 にしているので結果は大体所期の成績を収めている。細粉を用いた方が気孔率のよいこと はこの実験からもうかがえるが,この点は更に粉度の細いカルポニル255を用いてよく確
めた。
又焼結材の顕微鏡組織はPhoto 3の如くで,(a)は気孔率80%のものであり,.(b)は 周辺のコイン部である。明にコイン部の多孔度は減少し焼結炉の進んでいることがわかる。
(a)×580 (b)×580
Photo 3 The pore structure.
(a): The loose structure (b): The resintered structure
5.Iooseなニッケル粉末の焼結機構
焼結は表面張力がdriving forceとなって物質の移動が行はれる固体反応である。
Kuczynskyi2)は焼結するにつれて変化する接触部の肥大(X)を測定して,数百μ以上の 球状銀の粒子については体積拡散が本質的なものであることを確認した。そして10μ以 下の球状銀では表面拡散の機構が支配的であることを確めた。即一定温度に於て表面拡散 について接触部の肥大の大きさ(X)と時間(t)大との関係を理論的に導入して
X70ct …(1)
(1)なる式を得,次で数10μの径の銀粒子で実験的にX6 5。こtを得て,表面拡散の機構が 支配的であることを実証している。
従って本研究の場合も粒子は1〜3μであるから之と同様の焼結機構が考えられる。即 80%以上の多孔度を得るカルポニル・ニッケル粉の焼結は表面拡散が支配的であって,体 積拡散は極く1部に過ぎない段階であると推測出来る。
又焼結時間が短いのでF.Rhines13)のpore sizeの分布から見ても極く少さい1μ程 度以下のporeが消失する程度であると思はれる。又実際に顕微鏡組織からも粒子の
round offの状態で, densificationの段階に1部入った程度の様に見える。
藤田14)は最近微粒子中の点欠陥とくに原子空孔の濃度を研究し大きな結晶体の中の原子 空孔の熱平衡濃度と球状の微粒子中の原子空孔濃度の比は,銅の1μ程度の微粒子につ いては300°C付近で大きな結晶にくらべ200倍程度大きい原子空孔濃度をもっていると計 算している。本研究の場合も使用したニッケル粉末はその粒径から低い温度範囲できはめ て高い原子空孔の熱平衡濃度をもっていると推定される。従ってこの原子空孔を媒介とし て拡散されて初期焼結速度は促進されることも考へられることである。
上述の様に100seな80%以上の多孔度を得るuncompact状態での焼結は,焼結の 初期機構を利用することになるので,使用するニッケル粉末はそれに応じた適当な粒形及 粒{を選択することが重要な点であると考える。又この焼結の段階で起る収縮を受けとめ
る技術的な工夫もまた一つの課題であらう。
6.結 び
6−1) 気孔率80%以上のlooseなニッケル粉末の焼結体は,焼結機構の初期段階の 利用即表面拡散が支配的であって,1部体積拡散する程度に焼結すれば製作は可能である。
そのためにはその目的並に製作々業に合ったニッケル粉末の粒形及粒径の選択とか,或は この焼結中におこる収縮を受けとめる手段などの技術的な考慮が必要である。本報告には その2〜3について論及した。
6−2)焼結作業を経済的に行ふには水素雰囲気又はアンモニア分解ガスは高価である のでブタン・クラックガスを主雰囲気ガスとして使用し得るか否かを検討した。
鉄の光輝焼鈍をかねた雰囲気ガスを用いることは焼結炉の利用率を高めるが,そのため には発生炉ガスでは幾分不安定なので,別にアンモニア分解ガスを1部添加して用い実際 操業の結果も所期の成績を収め得た。しかし発生炉ガスの脱水目標は露点4℃であるが 之が故障のためなどで確保出来ないことがある。露点が6°〜7℃になってもニッケルの 焼結は安全に出来るが10℃を越えると焼結したニッケル粒子は脆くなり容易に離脱する 危険がある。勿論Plaqueは実用にならない。
参 考 文 献
1︶2︶3︶4︶5︶6︶7︶8︶9︶
10)
11)
ユ2)
13)
14)
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