中国上場企業 にお ける配 当 と株主利益
川 井 伸 一
は じめ に 課 題
中 国 で は1990年 代 に 国 有 企 業 の株 式 制 企 業 へ の 転 換 が 大 き な 政 策 課題 と され て お り,こ の い わ ば民 営 化 の 過 程 の な か で株 式 会 社 が 成 立 して い る。
株 式 会 社 は 会 社 法 に よ り最 低 資 本 金1,000万 元(1元14円 の レー トで約1 億4千 余 万 円)と 規 定 され て い る こ と に もみ られ る よ う に,大 規 模 な会 社 で あ る。 そ の な か で 株 式 を 証 券 取 引 所 に 公 開 上 場 して い る会 社(以 ド上 場 会 社)も1990年 代 に増 加 の一 途 を た ど って い る。 ヒ場 会 社 は2000年 末現 在 で1,088社(国 内A株 ・B株 発 行 の会 社)を 数 え て い る。
L場 会 社 は 中 国 国 有 企 業 を 中心 とす る企 業 改 革の な か で 出現 した近 代 的 な 大 規 模 企 業(最 低 資 本 金 は5,000万 元,同 上 レー トで7億 円)で あ り, 中 国 の さ ま ざ ま な 企 業 類 型 の な か で 最 も先 進 的 な 部 類 に属 す る。 上場 会 社 に代 表 され る株 式 会 社 で は旧 来 の 国 有 企 業 と は異 な り,資 本 所 有 の 分 散 化, 所 有 と経 営 の分 離 が政 策 的 に 図 られ て い る。 従 って,資 本 所 有 者(株 主)
と経 営 者 と の あ い だ の 委 託 一 代理 関 係 を どの よ うに 制 度 化 す るの か が,重 要 な政 策 課題 と さ れ て い る。 この よ うな政 策 的 課 題 を 背 景 に 中 国 学 界 の な か で は株 式 会社 に お け る コー ポ レー ト ・ガ バ ナ ン ス論 が ひ とつ の 流 行 で あ る。 コ ー ポ レー ト ・ガ バ ナ ンス論 の 中心 的 テ ー マ は,株 主 が そ の 利 益 目的 で あ る資 本 価 値 の 最 大 化 を達 成 す る た め に代 理 人 と して の経 営 者 の 意思 決
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定 と行 動 を コ ン トロー ル す る制 度 機 構 を どの よ うに 設 計 す るか,に あ る。
本 稿 は コー ポ レー ト ・ガ バ ナ ン スの 観 点 か ら中 国 の ヒ場 会 社 に お け る利 潤 分 配 を と りあ げ た い。 株 主 益権 の 観 点 に 立て ば,株1三 は 自 らの 利 益 最 大 化 す な わ ち株 式 価 値 の最 人 化 の た め に経 営 者 の意 思 決 定 を コ ン トロ ー ル す べ き で あ る。 中 国 会社 法 は こ の 、 γ場 か ら,株 主 に 対 して会 社 の最 高権 力機 関 と して の株 主総 会 に お け る議 決 権(共 益 権)と と もに残 余 利 潤 の分 配 請 求 権 お よ び残 余 財産 分 配 請求 権(自 益権)を 与 え て い る。 従 って,株 主 の 代理 人 と して の経 営 者 は残 余 利 潤 ま た は株 セ資 本価 値 を最 大化 す る 責 任 を 負 って お り,そ れ を とお して株1三に 対 す る リター ンを最 大 化 しな け れ ば な
らな い。
残 余 利 潤 を 最 大 化 す る こ とは 前述 した よ うに株}:の 利 益 で あ る が,残 余 利 潤 を どの よ うに 株}三に 配 当 と して 分 配 す る か は,い ろ い ろ な 要 因 に 影 響 され る。 仮 に 会 社 が一 定 期 間 の み 存 続 して そ の 後 解 散 され る こ とが 決 ま っ て い れ ば,期 末 の 株1資 本(純 資 産)を 最 大 化 し,そ れ を 全額 分 配 す る こ とが 株 垂 三 利 益 を 最 大 化 す る こ とに な る。 しか し,会 祉 は コー イ ン グ ・コ ン サ ー ン と して 無 期 限 の 存 在 して 経 営 され るの が 一 般 的 で あ る。 この 場 合, 株kの 利 益 最 人 化 とは 株 益資 本 の 長 期 的 な 価 値 最 大 化 の こ とで あ り,必 ず
しもあ る期 末 の 配 当を 最 大 化 す る こ とで は な い。 も し配 当最 大 化 を 追 求 し あ る期 末 の 利 潤 を 多 く配 当す れ ば,そ の 分 内 部 資 本 蓄 積 が 少 な くな り,企 業 の 拡 大 発 展 の た め の 投 資 資 金 を 制 約 す る こ とに な る。 また 逆 に も し期 末 の 配 当を ま った く実 施 しな くて も,そ れ は 必 ず しも株 主 利 益 を 損 ね る もの で は な い 。 な ぜ な ら,残 余 利 潤 を 全 額 留 保 して 成 長 の た め の 設 備 投 資 を 行 う こ とに よ り,無 配 の 不 利 益 を ヒ回 る株 主資 本 の 価 値 最 大 化 を 将 来 は か る こ と もで き るか らで あ る。
この 配'li政策 に関 連 して,モ ジ リアニ と ミラー(1961)は,利 潤 分 配 の 選 択 は 株k資 本(ま た は株 式)価 値 と無 関 係 で あ る こ と を 証 明 して い る (い わ ゆ るM‑M第 二定 理)中 。 こ れ に よ れ ば,配 当す るか ど うか,ど れ
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中国 ヒ場 企 業 に お け る 配 当 と株 」三 利 益
ほ どの 配 当額 とす るか は,企 業 価 値 す な わ ち株 主資 本 価 値 に影 響 しな い。
つ ま り配 当政 策 は,現 有 の 企 業 収 益 と い うパ イ を ど の よ うに分 割 す る か で あ って,パ イ の 大 小 とは 関 係 な くパ イの 増 大 や 縮 小 を もた らす もの で は な い とい う。 この 定理 は 完 全 資 本 市場,従 って 情 報 の非 対 称 性 や取 引 費 用 が な い こ とな どを 前提 に した 理 論 で あ り,ひ とつ の有 力 な 説 明枠 組 で あ る。
他 方,配 当政 策 が 株1三資 本(ま た は株 式 価 値)に 影 響 を及 ぼ す との 見 解 が あ る(Gordon,1962)。
株i三と経 営 者 の 利 害 関 係 を 委 託 一代 理 関 係 か らみ る場 合 に 両 者 の あ い だ に は,情 報 の非 対 称,取 引 コ ス ト,イ ンセ ンテ ィブ(効 用 関 数)の 不 一 致 な どM=M定 理 が 排 除 した 要 因 が 影 響 を 及 ぼ す と考 え られ る。 この よ う な実 際 的 な要 因 を 考 慮 す るな らば,利 潤 分 配 の あ り方 は利 害 当 事 者 の利 益 日標 や 当 事者 の 関係 に よ って 多 少 と も影 響 を う け る と考 え られ る。 本 稿 は この よ うな 問題 意 識 に も とつ い て,中 国 の1:f会 社 にお け る配 当政 策 の実 施 状 況 とそ の 要 因,お よ び株 主 が 配 当政 策 に どの 程 度 影 響 力 を 行 使 して い るの か,に つ い て検 討す る こ とを 課題 とす る。 中 国 の 配 当政 策 と実 施 に関 す る研 究 は ま だ始 ま って 日が 浅 く蓄積 は薄 い。 そ の な か で近 年 い くつ か の 研 究 成 果 が 公 表 され て き た(参 考 文 献 を 参 照)。 本 稿 で は これ らを 参 考 に しつ つ,第 一 節 で は 上場 会 社 の配 当状 況 につ い て の動 向 を概 観 し,第 二節 で は 経 営 者 の 配 当政 策 に影 響 して い る 要因 につ い て検 討 し,第 三節 で は 経 営 者 の 配 当政 策 に対 す る株 主 の 対 応 と影 響 力,お よ び最 近 の 新 しい動 向 に つ い て 検 討 す る。
第 一節 利 潤 分 配 の 動 向
1配 当 分 配 の動 向
中 国 の 株 式 会 社 に お け る利 潤 分 配 の 方 法 は会 社 法 お よ び企 業 会 計準 則 な どの 規定 に よ れ ば以 ドの 順 序 で な され る。
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1)税 引 後 利 潤(純 利 潤)か ら前 期 未 分 配 利 潤 を 追 加 また は前 期 欠 損 を 補 填 す る
2)分 配 可能 利 潤 か ら法 定 資 本 準 備 金(利 潤 の10%)と 法 定 公 益 金 (利 潤 の5‑10%)を 控 除 す る 。 た だ し法 定 準 備 金 の 累 計額 が 登 録 資 本 の50%以 上 の 場 合 は,控 除 しな くて も よ い。
3)株 主分 配 可能 利 潤
控 除 の 順 序 は,1優 先株 配 当,2任 意 積 立金,3普 通 株 配 当。
4)未 分 配 利 潤(次 期 繰 越)
配 当 の 分 配 方 式 は 現 金 配 当(「 現 金 股 利 」 ま た は 「 紅 利 」),株 式 配 当 (「 股 票 股 利 」 また は 「紅 股 」),両 者 の 併 用,お よび 無 配 当 に分 け られ る。
現 金 配 当 は10株 あ た り配 当 金額(元)で 表示 さ れ,株 式 配 当 は10株 あ た りの 配 当株(株 数)で 表 示 され る。 そ の 他,法 定 準 備 金 を 資 本 金 に組 み 入 れ これ と 見合 いの 新 株 を 発 行 す る こ と も株 主 へ の 利 益 分 配 と考 え られ る。
株 式 配 当 お よ び法 定 準 備 金 の 資 本 金 組 み 入 れ(無 償 交 付)は 日本 で は株 式 分 割 の 名 称 の も とに 一 本 化 され て い る(91年 商 法 改iL)が,中 国 で は 区 別 され て い る 〔$10
まず こ の間 の ヒ場 会 社 の配 当 につ い て の動 向 を配 当形 式 の 面か らみ る と 表1‑1の とお りで あ る。 こ れ に よれ ば,第 一 に 無 配 当の 会 社 が 年 々増 加 して お り,全 体 に 占 め る 比 率 も大 幅 に増 加 して い る こ とで あ る。1997年 度 以 降 は実 に過 半数 の 上場 会 社 が 無 配 当 を選 択 して い る。 証 券取 引所 が 開 設 さ れ た1990年 以 来 現 在 ま で に,配 当 を ま った く して い な い ヒ場 会 社 は 実 に448社 に の ぼ る とい う(『 北 京 青 年 報 』2001年3月31日)。 これ に 対
してCl本 のL場 会 社 に お け る無 配 会 社 の 比 率 は ほ ぼ10%台 後 半 か ら20%
前後 で あ る。 日本 に比 べ て 中 国 に お け る無 配 会 社 の比 率 の 高 さ が顕 著 で あ る。
第 二に,現 金 配 当 を選 択 す る 会 社 は絶 対 数 で は年 々増 加傾 向 を 示 して い る もの の,時 期 的 な変 動 が み られ る こ とが あ る。 現 金 配 当が 全 体 に 占 め る
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4中国 ヒ場 企 業 に お け る配 当 と株}三利 益
表1‑1上 場 会 社 の配 当形 式 の動 向
(社 数,%)
1993年
社 数%
1994年 社 数%
1995年 社 数%
1996年 社 数%
1997年 社 数%
1998年 社 数%
1999年 社 数%
現金配 当 3217 11940 11636 13624 16923 21926 24327 株式配 当 6636
6121 7323 19234 1331811213 546
併 用 7340 9532
6721 417335
32.4313 無配会社
127227 6520 20135 39754 48557
57164合 計 183
297 321570
732848
899日 本 の
無 配 会 社 35316
3761736916 34215 39016 51922
50221(1993〜97年 は 李常 青(1999),1998年 は 『中 国 証 券 報 』1999.5.1,1999年 は 『中 国 証 券 報 』2000.4.29よ り作 成,た だ し,98,99年 は と も に分 配 案,日 本 の 数 字 は 上場 会 社 を 対 象 。 全 国 証 券 取 引 所 協 議 会 資 料 『平 成11年 度 企 業 業 績 及 び配 当の 状 況 』2000年9月 よ り)
備 考:『 上 市 公 司』2000年6期 の 沈 正 欣 論 文 に よれ ば,1998年 度 は848社 中 現 金 配 当 が230社,株 式 配 当 が172社,1999年 度 は948社 中現 金 配 当 が286社,株 式 配 当が116社 で あ った とい う(す べ てA株 上場 会社 の み)。 た だ し,こ の 場 合 現 金 配 当 と株 式 配 当を 併 用 す る会 社 数 を重 複 計算 して い る。
比 率 は94年 に ピ ー ク(72%,株 式 配 当 と の 併 用 を 含 む)を 迎 え,95年 か ら96年 に か け て 急 減 し(31%),そ の 後 は30%前 後 で 安 定 して い る 。 魏 剛 に よ れ ば,現 金 配 当 政 策 に は 明 ら か な 時 期 的 特 徴 が あ る と い う(魏 剛, 2000)。 す な わ ち,第 一 期(1992〜1994年 度)は 現 金 配 当 の 会 社 が 年 々 増 加 す る 時 期 。 こ の 時 期 の 経 営 者 は 「科 学 的 な 投 資 戦 略 が 欠 け て い て,多 額 の 資 金 を 募 集 し て も そ れ を ど の よ う に 使 う の か 分 か ら ず,結 局 株 主 に 分 配 し た 」 と い う 。 第 二 期(1995〜1996年 度)は 現 金 配 当 の 会 社 が 急 激 に 減 少 し た 時 期 。1993〜4年 に か け て 進 行 し た イ ン フ レ 対 策 と し て1995年 〜
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96年 に 中 央銀 行 で あ るlllll1人 民 銀 行 は 金 融 引 締 め政 策 を 採 用 し貨 幣 供 給 を 不 断 に縮 小 した 。 そ の 結 果,大 部 分 のL場 企 業 は外 部 の 金 融 市場 か ら多 額 の 資 金 を 調 達 す るの が 困 難 に な り,会 社 の 丁元 の 現 金 が 不 足 した 。 この 情 況 の も と で 多 くの 会 社 は現 金 配 当 を 減 少 ま た は取 りや め た 。 第 三期 (1997〜1999年 度)は 現 金 配'」1す る会 社 が次 第 に増 加 また は 安 定 す る時 期。
1996年 と1997年 の 「経 済 軟 着 陸 」 を 経 て 中 国 は比 較 的 長 い経 済 調 整 期 に 入 り,中 央 銀 行 も 「貨 幣 縮 小 」 か ら 「貨 幣 緩 和 」 へ 転 換 した 。1998年 か ら内 需 拡 大 の た め に7度 に わ た り利rを ドげ,銀 行 の 企 業 に対 す る融 資 を 奨 励 した 。 従 って,こ の 時 期 に 多 くの ヒ場 会 社 は 銀 行 か らの 借 人 れ を も利 用 して 現 金 配 当を 出 す よ うに な る。
第 三 に,株 式 配',iを選 択 す る会 社 は93年 で 全 体 の76%と 極 め て 多 か っ た が,そ の 後 漸 減 し(94年53%,95年41%),特 に96年 以 降 は急 減 して
い る(97年23%,98年17%,99年9%)。 従 って,株 式 配 当 の 会 社 の 比 率 は通 期 で み れ ば 大 幅 に減 少 して い る。 従 って,有 配 会 社 の 配 当形 式 は全 体 と して 当初 の 株 式 配 当か ら現 金 配 当へ とそ の 重点 を 変 え て きて い る。
以 ヒの よ うな 配 当の 動 向 は,中 国 のL場 会 社 が 毎 年 の 経 済 環 境 に応 じて 配 当形 態 を絶 え ず 変 え て い る こ と(「 波 動 現 象」),そ こ に お い て 無 配 当が 最 も1三要な 分 配 形 式 とな って きて い る こ とを 示 して い る と いえ よ う。
2配 当性 向 の動 向
次 に,有 配 会 社 の 配 当性 向 につ いて み て み よ う。 配 当性 向 と は会 計 年 度 に お け る配 当金 額 を 当年 度 の 利 益 で 割 った もの で あ り,会 社 の 株kに 対 す る配 当 水 準 を 示 す ひ と つ の 指 標 で あ る。 表1‑2は 現 金 配 当 の 配 当性 向 に つ いて 各 年 の 動 向 を示 した もの で あ る(現 金 配 当 と株 式 配w1を 併 用 して い る ケ ー ス に お いて 株 式 配 当部 分 に現 金配 当が 適 用 され る場 合 に は これ も含 め るべ き で あ るが,そ の ケー スは極 めて わず か で あ り,こ こで は 省 略す る)。
これ に よ れ ば,ヒ 場 企 業の 現 金 配 当額 は 一 株 あ た り0.2元 程 度 で推 移 し
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6中国上場 企業における配当 と株主利益
表1‑2中 国上場 会社 の配 当性向の推移 と比較 平 均 一 株 当 り
現 金 配 当 額 (元)
平 均 一 株 当 り 収 益
平均配 当性 向 (%)
平 均 配 当 性 向 (%)(日 本)
投資者の現金 配 当 収 益 率
(%)
1992年
o.ii
0.47元23.4 82.1
1993年
0.18 0.47 38.2 80.4 0.88
1994年
0.21 0.38 55.2 81.6 5.50
1995年
0.16 0.27 59.2 84.2 6.21
1996年
o.is 0.29 55.2 87.0 1.60
1997年
0.19 0.27 70.4 78.5 1.59
1998年 o.is 0.27 67.6 69.4 2.94
1999年 0.17 0.24 70.3 76.7
1.74通年平均 0.17 0.32 53.1
:1!2.92
出 典:魏 剛 「中 国 上 市 公 司現 金 分紅 比 例 偏 低 」 『証 券 時 報 』2000年12月20日 。 中 国,日 本 の 統 計 は い ず れ も 有配 会 社 の 配 当 性 向 。 だ だ し,1998年 と99 年 の 中 国 数 字 は 筆 者 の 集計 に よ る。98年 の サ ン プ ル数 は234社,99年 の サ ン プ ル 数 は242社 。97年 以 前 は サ ン プ ル 数 不 明 。 日本 の 数 字 は 金 融 ・ 保 険 業 を 除 く各 年 の 平 均 配 当 性 向(全 国 証 券 取 引所 協 議 会 資 料 『平 成11 年 度 企 業 業 績 及 び配 当の 状 況 』2000年9月)
て お り,比 較 的 に安 定 して い る。 ま た 平 均 配 当 性 向 は こ の 間23%か ら70
%の 間 で 推 移 し(a),や や 増 加 傾 向 を示 して い る。 中 国 と 日本 の 上 場 会 社 (と もに 有 配 会 社)を あ え て 比 較 す れ ば,中 国 の 会 社 の 平 均 配 当性 向 は 日 本 の 会 社 よ り も概 して 低 い。92年 か ら99年 ま で の 通 年 平 均 で み れ ば 中 国 側 の 平 均 値 は53.1%で あ るの に対 して,日 本 側 の 平 均 値 は80.0%で あ る。
次 に,無 配 会 社 も含 め た上 場 会 社 の平 均 配 当性 向 を み て み よ う。 中 国 の 平 均 配 当 性 向 は1998年 度841社 の 平 均 で18.4%(現 金 配 当 の み),1999 年 度 の576社 の 平 均 は29.7%(現 金 配 当 の み)で あ る。 李 常 青(1999,22 頁)も 中 国 の 上 場 会 社 の平 均 配 当率 が 約30%と 推 計 して い る。 そ れ に 対
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一7一表1‑3株 主 資 本 配 当 率(DOE)の 動 向 中 国
全 社
日 本 全会社集計
年度 DOE
ROE DOEROE
1992 14.28 1.85 3.19
1993 13.97 1.71 2.58
1994
13.971.68 2.03
1995 11.03
1.71一 〇 .40
1996
10.14 1.77 2.90
1997 10.05 1.77
一1 .201998 1.83
7.62 1.63
一2 .041999 2.76 .. 1.58
1.20
出 典:中 国 の 数 字 は 『中国1.市 公 司 基 本 分 析』 各 年 版 か ら計 算 。 ただ し,中 国 の ROEは 全 上 場 企 業 の 平 均 。 中 国 の98年DOEは842社 。99年DOEは 571社 の 平 均 値(現 金 配 当 の み)。 日本 の 数 字 は 全 国 証 券 取 引所 協 議 会 資 料 『平成11年 度 企 業業 績 及 び配 当の 状 況 』2000年9月 よ り。
して 日本 の 全 止場 会 社 の}%均 配 当性 向 は1980年 代 に28%か ら37%の 間 を 推 移 して い たが,バ ブ ル経 済 の 崩 壊 後 の長 期 の不 況 ドで連 年 利 潤 が低 ドす る一 方 で 安 定 した配 当金 を払 い続 け て い る結 果,配 当性 向 は大 幅 に増 大 し 94年 に は83%にL昇 した 。1997年 と1998年 は 当期 利 益 が マ イ ナ ス の た め配 当性 向 は 算 出 不 可 能 にな り,1999年 に は131.8%ま でr.昇 した。 配 当 性 向 が100%以 止で あ る こ とは 当期 利 益 以 上 の 配 当 金 を 支 払 って い る 異常
な状 態 で あ る。 こ の よ うに配 当性 向 は景 気 動 向 に か な り影 響 され や す い。
一一 般 に 好況 時 に は 当期 利 潤 額 が増 大 す る た め に 配 当性 向 は 低Fし ,逆 に不 況 時 に は 配 当性 向 がf昇 す る傾 向 が あ る。 従 って,単 純 に は 比 較 困 難 で あ るが,上 場 会社 全体 を と って も中 国 の 会 社 は 日本 の 会 社 よ り も さ ら に低 い 配 当性 向 で あ った とい え る。
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8中国 上 場 企 業 にお け る配 当 と株 主利 益
3株 主 資 本 配 当 率
次 に 株 主 資 本 配 当 率 の 点 か ら こ の 間 の 動 向 を み て み よ う(表1‑3)。 株 i三 資 本 配 当 率(DOE)と は 毎 期 の 配 当 金 額 を 当 期 の 平 均 株 主 資 本 額 で 割 っ た 値 で,株 主 資 本(純 資 産 額)に 対 す る 利 益 還 元 の 水 準 を 示 す 。 株 主 資 本 額 が 利 潤 額 に 比 べ 安 定 的 で あ る た め に,DOEは 配 当 性 向 よ り も 安 定 的 な 数 値 動 向 を 示 す 。
中 国 のr̲̲会 社 のDOEは98年 度 で1.83%,99年 度 で2.76%で あ る1"。
こ の 両 年 で 比 較 す れ ば,日 本 の 上 場 会 社 のDOE1.63%,1.58%よ り わ ず か な が ら 高 い 。 た だ し,中 国 の 上 場 会 社 の 純 資 産 収 益 率(ROE)が 日 本 よ り も か な り高 い こ と を 考 え る と,収 益 額 か ら の 配 当 額 の 比 率(配 当 性 向) は や は り 中 国 の ほ う が 明 ら か に 低 い と い え る 。 ち な み に ア メ リ カ の 上 場 会 社 で は1999年 でROEが17.8%,DOEが6.1%で あ る(全 国 証 券 取 引 所 協 議 会 資 料,2000)。 い ず れ も 日本 や 中 国 よ り も か な り 高 い 水 準 に あ る 。
第 二 節 経 営 者 の配 当政 策
1株 主 利 益 に関 す る経 営 者 の 意 識
ヒ場 会 社経 営 者 は 株 主 利 益 に 対 して どの よ うな 認 識 を も って い る のか 。 この 点 に つ い て 株 主 セ権 に 立つ コー ポ レー ト ・ガバ ナ ン スか らす れ ば,株 主 の 代 理 人 で あ る経 営 者 は 株 主 利 益 の 最 大 化 に努 め な けれ ば な らな い こ と に な る。 最 近 のL海 証 券 取 引 所(2000)の 経 営 者 に対 す る意 識 調 査 に よ れ ば(:;,第 一 に企 業 が 利 潤 を 追 求 す る 目的 と して,株 主 へ の 配 当61%,割 当 増 資 権 獲 得16%,企 業 余 剰 の 増 加11%,従 業 員賃 金 福 利 の 向1;10%と な って お り,株 主 へ の 配 当 が 圧 倒 的 に大 きな 回 答 比 率 を 占 め て い る。 第 二 に,会 社 取締 役 と して 最 も セ要 に は 誰 に責 任 を 負 うべ きか に関 して,株 主 全 体77.5%,取 締 役 会11.2%,派 遣 した 株 主 単 位10.5%と な って い る。
株 主 に 対 して 責 任 を 負 う意 識 が 広 くみ られ る。 第 三 に利 益 が 衝 突 した と き
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誰 の 利 益 を 優 先 す る か に 関 して は,会 社 の 利 益69%,取 締 役 が 代 表 す る 株 主の 利 益31%と 回 答 して い る。 これ は 利 益 が 衝 突 す る場 合 に株 」 三 の 利 益 よ り も会 社 の利 益 を優 先 す る こ と が あ る こ と を示 して い る。
以 上 の調 査 は会 社 経 営 者 の株1三利 益 に 対す る意 識 を 明 らか に して い る 点 で 興味 深 い。L一 会 社 の経 営 者(取 締 役 を含 む)の 圧 倒 的 多 数 は会 社 の 企 業 目的 と して の利 潤 追 求 を株 主へ の利 益還 元(配'1)の た め で あ る と し, 株 セに 対 して最 も責 任 を 負 うべ き だ と考 え て い る の で あ る。 これ は 中 国 の
上場 会 社 経 営 者 が株i三主権 の コ ー ポ レー ト ・ガ バ ナ ンス の 考 え(株 主 の 代 理 人 と して の経 営 者)を 少 な くと も表 向 き で は 基 本 的 に受 け 入 れ て い る こ
とを示 して い る よ うで あ る。
こ の よ うな意 識 を大 多数 の経 営 者 が も って い る とす れ ば,実 際 の 配 当政 策,と りわ け 前述 の よ うに 人 多 数 の 会 社 が 無 配 当 を選 択 した こ とは どの よ
うな理 由 か らな の で あ ろ うか。
2配 当 分 配 を め ぐる 考 察 1)配 当選 択 に 影響 す る 要 因
配 当選 択 は どの よ うな 要 因 に よ って 影響 を受 け る の で あ ろ うか。 一 般 論 と して以rの 諸 要 因 が考 え られ る。(何 志 勇等,1998,358‑369頁)
(1)会 社 の成 長性 と投 資機 会
会社 が成 長 期 に あれ ば投 資機 会 を 多 くもち企 業 業績 の 伸 びが 高 く,従 っ て 資本 を拡 張 す る需 要 が 高 い。 この場 合 は 利 潤 を で き る だ け 内 部 留 保 に 回 して 配 当性 向 を で き る か ぎ り低 くす る,す な わ ち 無 配 当 か 株 式 配 当を 選 択 す る だ ろ う。 反 対 に 会 社 が 成熟 期 に あ り効 率 的 な投 資 機 会 が 少 な く 成 長率 が 低 い場 合 に は,投 資拡 大 の た めの 内 部留 保 を相 対 的 に 低 ドさせ, 配 当性 向 を 高 め,よ り多 く現 金 配 当 を 行 う こ とが 合 理 的 で あ ろ う。
(2)資 金 コ ス ト
新 株 募 集 や 負 債 の 資 金 調 達 コ ス トが 相 対 的 に 低 い 時 には 一 般 に借 人 れ
一10一
10中 国r.企 業 に お け る 配 当 と株 主 利 益
を 含 む 現 金 配 当を 利 川 し,逆 に資 金 調 達 コ ス トが 高 い 時 に は現 金 配 当よ りも低 コ ス トの 株 式 配 当 ま た は無 配 当 を選 択 す る こ とに よ り,利 潤 を 再 投 資 に利 用 す る こ とが 合 理 的 で あ ろ う。
(3)現 金 保 有 量
企 業 の手 持 ち現 金 量 の 多少 は 配'̀i択,特 に現 金 配 当を 制 約 す る ひ と つ の 要 因 と な る。 も し現 金 が 不足 す る な らば 無 配 当 や 株 式 配 当を 選 択 す るか,現 金 配 当 を選 択 す る な らば借 入 れ に よ り現 金 を 手 当て しな けれ ば な らな い。
(4)税 金 対 策
国 家 の税 収 政 策 は株 主 の収 益 に影 響 を 与え る。 も し現 金 配 当を 選 択 す れ ば 株 霊 は20%の 個 人 所 得 税 を 負 担 しな け れ ば な らな い。 他 方 で 無 配 当政 策 に よ り企 業 に留 保 す るか,ま た は株 式 配 当 を選 択 す れ ば,株 一1三 は 税 金 負担 を免 れ る こ とが で き る。 こ の よ うな観 点 か らす れ ば,現 金 配 当 は少 な く し,無 配 当か 株 式 配 当 を選 択 す る の が 合理 的 で あ ろ う。
⑤ 負債 水 準 と負 債 契 約
資 本 構 成 に 占 め る負 債 比率 が 高す ぎ る場 合 に は財 務 の 健 全 性 が 弱 ま り, 高 配 当政 策 を選 択 す るの は適 当 で は な い。 他 方,長 期 の 負 債 契 約 の場 合, 債 権 者 の 利 益 を保 護 す る た め に配 当 に対 す る 制 限 的 条項 をi辱き込 む 場 合 が あ る。 それ らの 制 限 的 条 項 に は例 え ば,将 来 の 配 当 は 貸 付契 約 後 の 利 潤 の み を源 泉 とす る,営 業 資 金 に一 定 金額 を保 持 しそ れ をF回 って は な
らな い な どが 含 まれ る。
⑥ 株 価
株 価 も実 際 に は配 当政 策 に影 響 を 与え る。 例 え ば 株 価 が ド落 す るな ら ば,企 業 の 乗 っ取 りを防1止す る た あ に,多 くの 配 当の 提 供 に よ り株 価 の 上昇 を刺 激 す る こ と も考 え られ る。 ま た転 換 社債 の株 式 へ の 転 換 を 促 進 す る た め に,多 くの配 当 を 出す こ と に よ り株 価 のh昇 を 促進 す る こ と も 考 え られ る。 他 方 で 株 価 が 高 く株 式 の 市場 流 動 性 が低 下す る の を 防 ぐた
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一11一
め に,株 式 配 当 を実 施 して株 式 数 を増 加 さ せ,単 位 あ た りの 株 価 を ドげ る こ と もあ りう る。
実 際 に 中 国 の 会 社 の 配 当選 択 で は どの よ う な要 閃 が 作 用 す る の で あ ろ う か。 以 ド,中 国 の 上場 会 社 に お け る配 当政 策 の 要因 を 検 討 した い。
2)無 配 当 政 策 とそ の 要 因
上場 会 社 の 経 営 者 が 配 当 政 策 にお け る第 一 の 選 択 肢 は株 主 へ の 利 益還 元 (配 当)を す るか,ま た は利 潤 を 内 部 留 保 す る か,と い う点 で あ る。 前述 の ア ンケ ー ト調 査 結 果 は 大 部 分 の 経 営 者 が 利 潤 目的 と して 株 主へ の配 当 を 重 視 して い る こ とを 示 して い るが,実 際 に は毎 期 に株 主 へ の 配 当が 優 先 さ れ て い る わ け で は 必 ず し もな い。 す で に 表1‑1で 示 した よ うに,多 くの ヒ場 会 社 は 無 配 当政 策 を 選 択 し,か つ そ れ を 選 択 す る会 社 の 数 と比 率 は と も に近 年 増 加 して い るの で あ る。
こ こで 無 配 当 を選 択 した会 社 の収 益状 況(当 期)を み たの が 表2‑1で あ る。 表 に よ る と,第 一 に 無 配 当政 策 を 選 択 した 会 社 の80%以 ヒが 当期 利 益 を あ げ て い る こ とで あ る。 日本 の ヒ場 会 社 の 場 合 で は無 配 会 社 の な か で 当期 利 益 を あ げ て い る もの の 比 率 は こ の 間30%台 で 推 移 して い る(た だ
し98年 は26%,全 国 証 券 取 引 所 協 議 会 資 料,2000)。
第 二 に 無 配 会 社 の 一 株 当 り収 益 水 準 は さ ま ざ まで あ るが,比 較 的 高 い水 準 の もの も少 な くな い こ と。 第:三に無 配 当を 選 択 しつ つ 同時 に株 主 へ の割 当 増 資 とい う資 金 調 達 策 を 実 施 して い る会 社 も少 な くな い こ と,で あ る。
従 って,欠 損 の 故 に 無 配 当 とな る会 社 は わ ず か で あ り,圧 倒 的 大 部分 の会 社 は 配 当 可能 な 利 潤 が あ る に もか か わ らず,無 配 当政 策 を 選 択 した の で あ る。
そ れ で は 多 くの 会 社 はな ぜ 無 配 政 策 を 選 択 した の で あ ろ うか 。
第 一 に,基 本 的 に は 中国 上 場 会 社 の 歴 史 的 位 置 と そ こ で の強 い拡 張 願 望 を指 摘 で き る。 中国 のt場 会 社 は株 式 会 社 と して の歴 史が まだ極 め て浅 く, 多 くが 国 有 企 業 の優 良 資 産 を継 承 改 組 して成 立 した と は い え,ま だ 規 模 は
一12一
12中国上場企業にお ける配 当と株主利益
表2‑1無 配 会 社 の 収 益 状 況
(社数,%)
1998年 度 1999年 度
損 益 情 況
欠損の会社 75社 16.7 77社 14.0
収益0の 会社 s 1.3 0 0
収益 ある会社 369 82.0 473 86.0
一 株 あ た り 収 益 額(元)
0.4元 以 上
17 3.8 43 7.8
0.3〜0.4元 34 7.6 59 10.7
0.2〜0.3元 45 10.0 148 26.9
0.1〜0.2元 94 20.9 113 21.3
0.0〜0.1元 34 7.6 118 21.4
株 主 割 当 増 資 の 計 画 案
無配 当だが割 当増資 を実施 111 24.7 72 13.1 無配当で割 当増資 もしない 339 75.3 478
:.・無配当会社総数 450 100% 550 100%
(1998年 度 は 『上 海 証 券 報 』1999年5月11日, 4月29日 よ り作 成)
1999年 度 は 『中 国 証 券 報』2000年
比 較 的 に小 さ く一 般 的 に は成 長 段 階 に あ る と い え る。 大 多 数 の 経 営 者 は会 社 の 「資 本 を拡 張 す る強 烈 な 願 望 を も っ て い る」(周 慶 正,1998)。 経 営 者 は急 速 に成 長 拡 大 す るた め の 投 資 資 金 を確 保 す る た め に,利 潤 を で き るか ぎ り内 部留 保 して 資 金 を 蓄 積 す るか,ま た は外 部 か らの 積 極 的 な 借 入 れ に よ って 手 当 て しよ う とす る指 向 が 強 い。 つ ま りで き る か ぎ り配 当 性 向 を 低 くす る動 機 を もつ。 無 配 当政 策 はそ の 論 理 的 帰 結 で あ る と考 え られ る。 さ らに 多 くの経 営 者 が 単 に 無 配 政 策 だ けで な く同時 に株 主 へ の 割 当 増 資 を 計 画 して い る こ と も,成 長 へ の 「強 烈 な 願 望 」 を よ く示 して い る。 董 柏 明 が
13
一13一、 すうよ うに,無 配政 策 は,会 社 の将 来 の 株 式 価 値 を 増 大 させ 配sl.」 を 行 う潜 在 能 力 を 大 幅 に 高 め る こ とに 対 す る経 営 者 の 自信 と結 び つ い て い る(董 柏
明,2000)。
無 配 政 策 は会 社 の 将 来の 成 長 性 に基 づ く獲 得 利 益 が無 配 の 不利 益 を ヒ回 る と い う確 実 な 見通 しの もと に選 択 され る の で あ れ ば,株 主 に 対 す る 説 得 力 を もつ だ ろ う。 しか し,も し将 来 の成 長 の 見通 しに 不確 実 性 と不安 が あ り無 配 の不 利 益 をt回 る利 益 を期 待 で き る 可能 性 が低 け れ ば,無 配政 策 は 株 主 の 支持 を 失 う だ ろ う。
3)株 式 配 当 と現 金 配 当
配 当 の実 施 を選 択 す る と なれ ば,経 営 者 は株 式 配 当 か そ れ と も現 金 配 当 か を選 択 しな けれ ば な らな い。 まず 株 式 配 当 を選 択 した場 合 に は 会 社 の 資 産,負 債,純 資 産 の 総 額 お よ び構 造 は変 化 しな い。 他 方 株 式 総 数 は増 大 し, そ の増 加 比 率 に反 比 例 して一 株 当 た りの純 資産 額 が低 一 ドす る。 も し利 潤 を 一 定 とす れ ば一 株 当 た り収 益 も低 ドす る こ とに な る 。 株 式配 当 の メ リッ ト
は第 一 に株 式 発行 に と もな う資 金 コ ス トが ほ とん どか か らな い こ とで あ る。
ま た第:に 一 株 当 りの純 資産 額 を ドげ る こ とに よ り株 式 流動 性 の 低 ドを 防 止 す る,ま た は流 動 性 を 高 め る 手段 と して役 立つ。 た だ し第 一 の メ リ ッ ト
は企 業 が次 期 以 降 に現 金配 当 を据 え1置く場 合 は株 式 数 の増 加 に お う じて 増 配 を意 味 し,そ の分 資金 需 要 も増 大 す る。 従 って,企 業 が 資 本拡 張 の な か で追 加 利益 を もた らす こ と が で き る,つ ま り比 較 的 高 い成 長性 を確 実 に 見 込 め る こ と が必 要 で あ る。
次 に現 金配 当 を選 択 した場 合 に は,会 社 の純 資産 と株 式 権 益 の総 額 お よ び構 成 を変 化 させ る。 現 金配 当 は 手持 ち 資 金 の流 出 を と もな うの で 会 社 の 純 資 産 額 を低 ドさせ る。 従 っ て 純 資 産 収 益 率(ROE)を 増 大 させ る こ と に な る。 他 方 で一 株 あ た り純 資産 を減 少 させ る。 現 金 配 当の メ リ ッ トと し て 第一 に株 主(特 に短 期 指 向 の)に 具体 的 利 益 を還 元 し,株1三 利 益 を 重 視 して い る との メ ッセ ー ジを 明確 に 伝 え る こ とが で き る。 第 二 に,現 金 配 当
一14一
14中 国上 場 企 業 に お け る配 当 と株 藍利 益
は 純 資 産 の 一 部 を現 金 と して株 主 に 与え る こ とに よ り,株 主の 経 営 者 へ の 圧 力 を 減 らす 。 第 三 に現 金 配'1衝 は純 資産 収 益 率 を 引 ヒげ る効 果 を もつ 。 こ の メ リ ッ トは特 に株 主割 当増 資 を実 施 す る 資 格 条 件 を ク リアー す る う え で
重 要な 意 味 を もつ 。 なぜ な ら,そ の 資 格 条 件 の ひ とつ が 一 定 水 準(10%) 以Lの 純 資 産 収 益 率(ROE)を 達 成 す る こ と にあ るか らで あ る。
中国 の株 式 市場(流 通 株 主)の 反 応 に つ い て は,す で に配 当政 策 が 市場 動 向 に多 少 と も影 響 を与 え て い る こ とが指 摘 され て い る。一 般 的 に い え ば, 市場 は株 式 配 当 ま た は混 合 配 当政 策(株 式 配 当 と現 金 配 当 の併 用)に 対 し て は 歓 迎 し,現 金 配 当 に 対 して は 冷 淡 な い し無 関 心 で あ った と い わ れ る (魏 剛1998,C<喬 ・程 灌,2001)。 なぜ な ら株 式 配'11は常 に流 通 株 主 の値 上 り益 追 求 の 手段 に な って い た の に 対 して,単 な る現 金 配 当 は実 際 の利 益 が 微 々 た る もの で あ った か らで あ る。 例 え ば 現 金 配 当の 収 益 率 は極 め て低 く,そ れ は銀 行 の定 期 預 金(三 ヶ月)利'よ り もか な り低 い水 準 で あ った (表1‑2を 参 照,魏 剛,1998,2000)
表1‑1に み られ る よ うに,株 式 配 当 と現 金 配 当 を そ れ ぞ れ実 施 した会 社 の 比 率(併 用 会 社 も含 む)を み る と,全 般 的 に は い ず れ の 比 率 も低 一 ド傾 向 を 示 して い るが,注 目さ れ る の は 時 期 に よ り株 式 配 当 と現 金 配 当 を実 施 す る 会 社 数 が 入 れ 替 わ って い る こ とで あ る。 す な わ ち,92〜93年 は 株 式 配 当,94〜95年 は 現 金 配 当,96年 は株 式 配 当,97〜99年 は現 金 配 当が そ れ ぞ れ よ り多 くの 会 社 で選 択 さ れ た。 この 配 当政 策 の 推 移 の 背 景 に は金 融 政 策 の 変 更が み られ る こ と はす で に第 一 節 で み た。 そ れ で は 配 当選 択 に お
いて 実 際 どの よ う な 要因 が影 響 して い る の で あ ろ うか 。 4)現 金 配 当の 要因 分 析
こ こで は い くつ か の研 究 成 果 に依 拠 して現 金 配 当 の 選 択 要 因 を 考 え て み た い。 この点 につ いて か な り包 括 的 な実 証 分 析 を お こな った もの に 呂長 江, 王 克敏 の研 究(1999)が あ る。 こ れ は1996,1997年,1998年 末 に 現 金 配 当 を 実 施 した372社 の デ ー タ を使 っ て,現 金 配 当政 策(一 株 当 りの 現 金 配
15
一15一
当額)に 関 す る8つ の 因 子 を統 計 的 に解 明 した。8つ の 因 ヂと は① 会 社 規 模 と利潤 能 力,② 代理 コ ス トと配 当情 報 の開 示,③ 代理 コ ス トと株 式 規 模 ・ 流 動 性,④ 内 部 者 支 配 と株 主 権 益 集 中度,⑤ 資 金 調 達 序 列,⑥ コ ス トと利 潤能 力 ・株 式 配 当額,⑦ 株 式 配 当額 と長期 負 債,⑧ 会 社 の 独 立性 と成 長性, で あ る。 か れ らは,現 金配 当水 準 と各 因 子 との あ い だ に は 有 意 な 相 関 関 係 が あ る こ とを実 証 した。
具 体 的 に は,現 金 配 当 水 準 と因 チ① とは 明 瞭 な 正 の 相 関 関 係 を 示 す,つ ま り会 社 規 模 と利 潤能 力 が 高 い ほ ど現 金 配 当 水 準 は 大 き くな る。 因 子 ② と は 明 瞭 な 正 の 相 関 関 係 を 示 す,つ ま り会 社 の 代 理 コ ス トが 高 くな る ほ ど現 金 配 当水 準 は 低 くな る。 た だ しそ の 影 響 程 度 は 利 潤 能 力 の 制 約 を 受 け る。
因r③ とは顕 著 な正 の 相 関 関 係 を 示 す,つ ま り代 理 コ ス トと現 金 配 当水 準 との 関 係 は 前述 と同 様 で あ るが,株 式 規 模,株 式 権 益 が 高 く,流 動 性 が 高 い ほ ど,代 理 コ ス トの現 金 配 当 水 準 へ の 影 響 は 弱 くな る。 因{④ とは 顕 著 な 正 の 相 関 関 係 を 示 す。 つ ま り国 有 株 と法 人 株 の 占 有 比 率 が 高 い ほ ど,会 社 の 内 部 者 支 配 程 度 が 強 くな り,現 金 配 当率 は 低 くな る。 他 面 で 株 主 の 権 益 が 大 き く,会 社 に 配 当 を 要 求 す るほ ど,現 金 配 当 水 準 が 高 くな る。 因F
⑤ とは 正 の 相 関 関係 を 示 す。 つ ま り前 二期 の 流動 性,前 一 期 の 負 債 率 と1 期 の 株 式 配 当 が 高 くな る ほ ど現 金 配 当 水 準 は 高 くな る。 一 部 の 会 社 で は 現 金 配 当水 準 と会 社 の 利 潤能 力 とは 相 関 しな い。 ま た 会 社 の 負 債 比 率 が 高 く な る ほ ど株 式 配 当 と現 金 配 当 の 支 払 い 水 準 も高 くな る。 因r⑥ とは 負 の 相 関 関係 を 示 す。 つ ま り一 面 で は 会 社 負債 率 と代 理 コ ス トが 高 い ほ ど現 金 配 当水 準 は低 くな る。 他 方 で 前:者 の現 金 配 当水 準 へ の 影響 は 会 社 の 利 潤 能 力 と株 式 配 当額 が高 くな る ほ ど,弱 ま る傾 向 に あ る。 閃 子⑦ とは 顕著 は 負 の相 関 関係 を 示 す。 つ ま り負債 比 率 が 高 く,流 動 性 が 高 く,株 式 配 当額 が 大 き い ほ ど,現 金 配 当 水準 は低 くな る。 流 動 性 が 高 い の は 負債 比 率 が 高 い こ との結 果 で あ る。 因 チ⑧ とは顕 著 な 負 の相 関 関係 を 示 す。 つ ま り国 有 株 と法 人株 比 率 が 低 い ほ ど会 社 の 独 立発 展 意 識 が 強 く,利 潤 を将 来 の 発 展 の
一16一
16中国 ヒ場 企 業 に お け る配 当 と株 主利 益
た め に留 保 しよ う とす る ほ ど,現 金 配 当 に代 え て 株 式 配 当 の分 配政 策 を採 用 しや す くな る。
以 止や や 詳 細 に紹 介 した が,こ の よ う に会 社 の現 金 配 当政 策 は い くつ か の 要 因 に よ って か な り影 響 を う けて い る こ と が分 か る。
こ こで は特 に純 資 産 収 益 率(ROE)の 要 因 につ いて 補 足 して お き た い。
純 資 産 収 益 率 が 注 目 され る理 由 は 前述 した よ うに,そ れ が 株 益へ の 割 当 増 資(配 股)の 政 策 的 条 件 と され て い る か らで あ る。 中 国 証 券 監 督 管 理 委 員 会(CSRC)は 株 主割 当増 資 に つ い て この 間 政 策 調 整 を 進 め て き た。 証 券 監 督 管 理 委 員 会 は割 当増 資 の 必 要 条件 を 直 前3年 間 のROEを 平均10%以
ヒと規 定 して い た 。 と こ ろが,1996年1月241{か らROEの 必 要 条 件 を 3年'r均10%か ら3年 問 毎 年10%以tに 改 定 し厳 格 化 した(た だ しエ ネ ル ギ ー,原 材 料,イ ンフ ラ関 係 の会 祉 は9%以 ヒ)。 株 主割 当増 資 は拡 張 指 向 の 強 い 会 社 が[‑E3̲した の ちの 重要 な 資本 調達 手段 で あ る。 この た め に ROEが10%に 満 た な い会 社 は,そ の 条 件 を ク リア ー す る た め に現 金 配 当 性 向 を 高 め る政 策 を と り,10%のROEを 毎 年 達 成 す る こ とが 必 須 とな っ た。97年 度 以 降 に 現 金 配 当 を 選 択 す る企 業 が 増 加 した の は この 要因 が 大 きい と い わ れ る。 そ の後,証 券 監 督 管 理 委 員 会 は1999年1月 に こ の政 策 を 変 更 し,直 前3年 間 のROEが 平 均10%以hで あ る こ と,た だ し どの 年 も6%を ド回 って は な らな い と した。 つ ま り,割 当増 資 の 資 格 条 件 を緩 和 した の で あ る(李 衛 民,2000)。
この 政 策 調 整 が 会 社 のROEに い か に大 きな 影 響 を 与 え た か は97年 以 降 のROEの 分 布 状 況 とそ の変 化 を み る と明 らか で あ る。 図1は1997〜99 年 度 の1一場 会 社 に お け るROEの 分 布状 況 を 示 した もの で あ るが,97年 と 98年 に お い てROEが10%以 上11%未 満 の 区 域 に 特 に集 中 して い る こ と が わ か る。 しか し,99年 度 で は6%以 上 か ら10%未 満 の 区 間 に 分 散 して い る こ と,そ して6〜7%の 区 間 と10〜11%の 区 間 に 比 較 的 集 中 して い る こ とが わ か る。 これ か ら推 定 され る こ と は,経 営 者 が 株 主割 当増 資 の 条件
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一17一
図1上 場 会 社 のROE分 布 250社
200
150
100
50
0
一
「 「
一
一
1 岬
「層コ 、「
1'1 n 一 1重
[コ1997rl三 囲1998年 []1999{署 三
56789101112%
「}:市 公 司:6%ROE現 象 透 視 」 『上 市 公 司』2000年 第6期)
で あ るROE10%ま た は6%の 基 準 を ク リア ー す るた め にROEを 操 作 して い る の で は な い か と い う こ と で あ る。 つ ま りROEが 基 準 を 満 た す よ うに 現 金 配 当 政 策 を 利 用 して い る の で あ る。1997年 以 降 に 現 金 配 当 を 選 択 す る会 社 の数 が顕 著 に増 加 した 要 因 は こ う した点 に あ る と考 え られ る(万 青 ・ 斬 賢 明,1998。 「98年 ヒ市 公 司利 潤 分 配 統 計 分 析 」『中 国 証 券 報 』1998年5 月15日)。
第 三 節 株 主 の 対 応 お よび 所 有 との 関 連
1株 主 総 会 に お け る表 決
中国 の 上 場 会 社 の 株 式 所 有 構 成 に お け る最 大 の特 徴 は,株 式 所 有 の集 中 度 の 高 さ,つ ま り少 数 の大 株 主 に よ る株 式 所 有比 率 が 高 い こ とで あ る。 例 え ば,筆 頭 株 主 の 持 株 所 有 比 率 は1998年 度 の 平 均 値 で45.5%に 達 して い
一18一 18
中国k場 企 業 に お け る 配 当 と株1三利 益
る。 筆 頭 株kが 会 社 株 式 の 絶 対 過 半数 を 占 あて い る 事例 は354社 もあ り, そ れ は 全 ヒ場 会 社 の42.0%を 占 あ て い る。 ま た 筆 頭 株 主 の 大 半 は 国 家 株 で あ る(比 率 は約60%)こ とか ら も分 か る よ う に,国 家 政 府 が 支配 的 な 人株1三に な って い る状 況 が あ る(こ れ につ い て は 川 井,2000を 参 照)。
従 って,株 主 総 会 に 出席 す る株Lの な か で は,国 家 株 主に 代 表 され る大 株 主が 大 きな 影 響 力 を 持 つ こ と に な る。 例 え ば,総 会 に 出 席 した 株 主 の 株 式 代 表 権 比 率 が50%を 超 え る よ うな株 主総 会 の 数 は,97年 度 で全 体 の86
%,98年 度 で82.9%に も達 して い る。 ち な み に株 セ総 会 へ の 株L出 席 者 の 数 は一 般 的 に少 な い 。 調 査 対 象475社 の な か で80%の 会 社 の 年 度 総 会 に お け る 出 席 人 数 は100人 以 ドで あ った。 こ の80%の 会 社 の な か で75%
の 会 社 の 総 会 出 席 者 は50人 以 下 で あ った 。 出 席 者 の 最 頻 値 は 両 年 と も 11〜20人 の レベ ル で,最 低 は 出席 者1人 で あ る(夏 冬林,2000)。
次 に,株 主総 会 に お け る利 潤 分 配 案 につ いて の表 決 状 況 を み た の が,表 3‑1で あ る。 利 潤 分 配 案 は 会 社 の取 締 役 会 が 提 案 し,出 席 株}三が もつ 株 式 議 決 権 の過 半 数 で 可決 され る。 表 は ほ とん どす べ て の分 配 案 が採 択 され
表3‑1利 潤 分 配 案 の 表 決(賛 成 率)状 況
(祉 数,%)表 決 結 果
1997年 度 1998年 度 1999年 度50%未 満
51.550^‑90%
144.5 103.0 62.690^95% 299.3 123.6 73.0
95^‑99% 5216.8
308.92611.1
99〜100%未 満 7223.2
13139.8
974L5100% 14346.1
14643.39841.9
サ ンプ ル数 310100 337100 234100
1997年 度 は 『1'市公 司 』1998年 第9期,16頁 。1998〜9年 度 は 各 社 年 度 報 告 よ り 集 計 。 備 考:ヒ 海 証 券 取 引所 ヒ場 会 社 の み を 対 象
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一19一
た こ とを示 して い る。
こ の利 潤 分 配 案 の 表決 状 況 で注 目 され る点 は,第 一 に,ほ とん どの 総 会 にお い て分 配 案 が 出席 株}三の満 場 一 致 ま た は そ れ に近 い圧 倒 的 な 支持 率 で 採 択 され て い る こ とで あ る。 筆 頭 株i三を は じめ とす る人 株 主は こぞ って 会 社 側 の 分 配 案 を 支 持 して い る。 株 主総 会 が 大 株 セの 単 な る 「ゴ ム 印」 に す
ぎ な い と称 され る ゆえ ん で あ る(魏 剛,1998)。
第 二 に,他 方で 一 部 の株 主(主 に 中小 株1三)が 会社 の 利潤 分 配案 を 支持 しな い(反 対 ま た は棄 権)事 例 も多数 み られ る。 少 数 で は あ るが 不 支持 の 比 率 が 比 較 的 高 い 事 例 もみ られ,1998年 度 で は 不 支 持 率 が50%を 超 え, 提 案 が 否決 され た事 例 が5件 で て い る。 この場 合 は 大株1三も分 配 案 に 対 し
て不 支持 を示 した 事例 で あ る(後 述)。 つ ま り一 部 の株 主(主 に 中小 株1三) は利 潤 分 配 を め ぐ り会社 経 営 者 との あ い だ で必 ず し も コ ンセ ンサ スが 成 立 して い な い。 実 は,株 式 総 会 に提 案 され る さま ざま な 議 案 の な か で 支持 率 が相 対 的 に低 い の は利 潤 分 配 案 な の で あ る。 利 潤 分 配 は 株 主 自身 の 利 害 と よ り密 接 な 関 係 を もつ だ け に,総 会 で の議 論 の 的 に な りやす いの で あ ろ う。
2国 家 株 主 と法 人 株 主 の 配 当 選 好
大株 右で あ る 国家 株 主 や法 人株 主 が経 営 者 の 利 潤 分 配 を 支 持 した こ と は み た とお りで あ る。 で は 国家 株1三や 法 人 株 事 三と配 当水 準 との 関 係 を ど うみ た らよ い の だ ろ うか。
魏 剛 は 国家 株 主 お よ び法 人 株1三の 所 有 比 率 と現 金 配 当支 払 水 準 との あ い だ に 正 の 相 関 が あ る こ と を統 計 的 に 検 証 して い る(魏 剛2000)。 彼 の 説 明 に よ れ ば,国 家 株 主や法 人株 主 が現 金 配 当 を 選 好 す る理 山 は,1)国 家 株 の コ ス トは 相 対 的 に 低 く,現 金 配 当が 同 じ条 件 の も とで 国 家 株 の 投 資 収 益 率 は比 較 的 高 い こ と,2)国 家 株 と法 人 株 は 流 通 が 厳 し く制 限 され て い る た め に 売 買 に よ るキ ャ ピ タル ・ゲ イ ン は基 本 的 に不 可能 で あ り,株 式 配 当 に よ る株 式 も流 通 で きな い。 そ れ 故 に株 式 配 当 は国 家 株i三に と っ て な ん ら
一20一
20中国L場 企 業 に お け る 配 当 と株1三利 益
魅 力 が な い こ とな どで あ る。 た だ し魏 剛 が 利 用 した デ ー タ につ い て は具 体 的 に 不 明 で あ る。
しか し,筆 者 が1998年 度 のk場 会 社842社(う ち現 金 配 当 会 社 は229 社)を 対 象 に 独 自 に検 証 した と こ ろ,国 有株 比 お よ び 法 人 株 比 と現 金 配 当 比 率 との あ い だ の 相 関 係 数 は極 め て小 さ く,か つ 有 意 で は な い(現 金配 当 性 向 と国 有 株 比 と の 相 関 は0.094,法 人 株 比 との 相 関 は0.056,流 通 株 比 との 相 関 は 一〇.053)。従 って,魏 剛 がi三張 す る関 係 は98年 度 で は 証 明 さ れ な い 。
で は ど うみ た らよ いの で あ ろ うか。 第 二節 で 配 当政 策 が さ ま ざ ま な 要 因 に 影 響 され て い る こ とを み たが,そ こ に お い て 国 家 株 セお よ び法 人株 霊 と 現 金 配 当水 準 との 関 係 が 一 面 的 で は な い こ とが 明 らか に され た(呂 長 江, 王 克 敏,1999)。 す な わ ち一 方 に お い て(内 部 者 統 制 の 因F)国 有 株 お よ び 法 人 株 の 所 有 比 率 が 高 くな る と 内 部者 統 制 度 が 高 くな り現 金 配 当水 準 は 低 くな る こ と,し か し他 方 にお いて(会 社 の独 立性 と成 長性 の 因 ヂ)国 家 株 お よ び 法 人 株 の 支 配 比 率 が 低 くな る と会 社 の 自己 発 展 と成 長 性 が 強 くな り,株 式 配 当の 支 払 額 が 高 くな り,現 金 配 当 の水 準 は低 くな る こ とが 明 ら か に され た。 ま た 株1三権 益 が 大 き い ほ ど,現 金配 当 水 準 が 高 くな る こ と も 示 され た。 つ ま り,両 者 の 関 係 は 単純 な 正の 関 係 ま た は 負 の 関 係 と して 把 握 で き な い,多 面 的 な 関 係 で あ る こ とを 示 して い る の で あ り,こ の よ うな
把握 が よ り正 しい の で は な い か と思 わ れ る。
3分 配 案 をめ ぐ る紛 争
前述 した よ うに 利 益 分 配 案 を め ぐ って 株1三が か な りの 反 対 票 を 投 じた'ド 例 が 少 数 な が らみ られ る。 こ こで は その なか で,利 益 分 配 を め ぐ り紛 糾 し た 事例 を み て み よ う。1998年 度 の年 度 株 式 総 会 に お い て 利 潤 分 配 案 が 否 決 され た 事例 は以 ドの 五つ あ る(た だ しh海 証 券 取 引所 ヒ場 会 社 の み)。
そ れ ぞ れ の 事例 に お け る分 配 案 とそ の 結 果 につ いて み て お こ う(デ ー タは
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21一
各 社 の 株 式 総 会 決 議 お よ び2000年 度 報 告 に よ る)。
事 例1四 川 眠 江 水 利(株 式 番 号600131)
こ の 会 社 の 筆 頭 株Eは 水 利 資 産 経 営 公lfJ(持 株 比 率31.02%),第 二株 セは 水 利 部 経 済 局(1司21.72%)で 共 に 国 家 株isが あ わ せ て 株 式 総 数 の53
%近 く を 支 配 し て い る 。98年 度 期 末 の 会 社 収 益 は 一 株 あ た り収 益0.272 元,純 資 産 収 益 率11.04%で あ り 前 年 よ り収 益 率 は ドが っ た も の の,良 好 な 業 績 で あ る 。 こ れ を 基 に 取 締 役 会 が 作 成 し た98年 度 期 末 の 分 配 案 は
「配 当 な し,準 備 金 の 資 本 金 へ の 繰 人 な し」 で あ っ た 。 し か し,こ の 案 は 株k大 会 で 議 決 権99.9%の 反 対 に よ っ て 否 決 さ れ た 。 つ ま り 前 記 の 支 配 株1三 を 含 め て 出 席 株1三 の 全 員 近 い 株i三 が 反 対 し た こ と に な る 。 筆 頭 株 主 の 提 案 に 基 づ き 取 締 役 会 で 再 検 討 の 結 果,「10株 ご と に そ れ ぞ れ 株 式 配 当1 株,現 金 配 当0.5元,準 備 金 の 資 本 金 へ の 繰 人7株 」 の 修il:案 に 変 更 さ れ
た 。 ち な み に98年 度 中 期 の 配 当 は な し。97年 度 期 末 は 「10株 ご と に 株 式 配 当1株,現 金 配'lll.04元 」 の 配'llを 実 施 し て い る 。
こ の ケ ー ス で は 無 配 案 を 有 配(し か も株 式 配'1〜と 現 金 配 当 の 併 用)に 変 更 し た と い う点 で,株 書 三へ の 当 期 利 益 還 元 を 考 慮 し た の で あ る 。 他 ノ∫で 準 備 金 の 資 本 金 へ の 組 入 れ を 大 幅 に 行 い,株 式 数 を 人 幅 に 増 や し て い る(株
式1を 株 式1.7に 分 割)。 も し 次 期 以 降 現 金 配'置iが据 え 置 か れ れ ば,株L は 大 幅 な 増 配 を 受 け る こ と に な る 。 大 株1三 は 会 社 の 収 益 の 増 大 と将 来 の 成 長 可 能 性 を 極 め て 積 極 的 に み て い る の で あ ろ う。
事 例2北 汽 福 田 躯 輌(600166)
こ の 会 社 のr頭 株i三 は 北 京 汽ll{モ ー タ ー 聯 合 製 造 公ii」で 株 式 の47.7%
を 所 有 し,そ の 他 のIlq有 株 株1三 を 含 め て 国 有 株 が 全 体 の67.1%を 占 め る 。 98年 度 期 末 の 会 社 収 益 は 一 株 あ た り収 益0.39元,純 資 産 収 益 率13.75%
で あ り,前 記 の 会 社 同 様 に 良 好 な 業 績 を あ げ た 。 こ れ を 踏 ま え て 取 締 役 会 が 作 成 し た 分 配 案 は 「配 当 な し,準 備 金 の 資 本 金 へ の 繰 入 な し 」 で あ っ た が,株i三 総 会 に お い て 出 席 株 一i三 の 議 決 権 の65.08%で 反 対 さ れ 否 決 さ れ た 。
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zz中国L場 企 業 に お け る 配 当 と株1三利 益
株1三の 提 案 に 基 づ き 取 締 役 会 は 分 配 案 を 再 検 討 し,そ の 結 果 「10株 あ た り そ れ ぞ れ 株 式 配 当2株,現 金 配 当1.1元,準 備 金 の 資 本 金 へ の 組 入 れ1 株 」 と の 分 配 案 を 作 成 し 臨 時 株 益総 会 に 提 出 し承 認 さ れ た 。 ち な み に98 年 中 期 の 配 当 は な し。97年 度 期 末 の 分 配 は 「10株 あ た り2.15元 の 現 金 配 当 」 を 行 っ て い る 。
こ の ケ ー ス は 分 配 案 の 変 更 内 容 が 嚢例1と ほ ぼ1司 じで あ る 。 大 株 主 が 株 セへ の 当 期 利 益 還 元 を 考 慮 し た 結 果 と い え る。
事 例3ヒ 海 建i二(600170)
こ の 会 社 の 筆 頭 株 ヒは 親 会 社 のL海 建1二 集 団 総 公 司 で 株 式 の72.07%
(国 有 株)を 占 め,単 独 の 支 配 株1三で あ る 。98年 度 期 末 の 会 社 収 益 は 一 株 あ た り収 益0.404元,純 資 産 収 益 率12.33で 比 較 的 よ い 業 績 を あ げ て い る。
こ れ に 基 づ く分 配 案 は 「10株 あ た り1.0元 の 現 金 配dr,ま た 準 備 金 を 資 本 金 に 組 入 れ な い 」 で あ っ た 。 しか し,分 配 案 は 株1三総 会 に お い て 出 席 株 k議 決 権 の99.94%の 反 対 で 否 決 さ れ た 。 つ ま り親 会 社 代 表 を 含 む 出 席 株 isの ほ と ん ど 全 員 が 反 対 した の で あ る 。 親 会 社 株}三 の 提 案 に 基 づ き,修ll:
案 を 作 成 し株k総 会 に 提 案 。99.96%の 賛 成 で 採 択 さ れ た 。 修IE案 は 会 社 の 長 期 的 な 発 展 を 考 え て 利 潤 を 内 部 留 保 に ま わ し,今 期 の 配a.を せ ず,準 備 金 の 資 本 金 へ の 組 入 れ も しな い と い う もの で あ っ た 。 こ れ は 将 来 の 成 長 期 待 か ら 内 部 蓄 積 を 優 先 す る 選 択 を 行 っ た もの で,無 配 当 を 選 択 した 多 く
の 一f"場会 社 と 同 じ 考 え に 1̲つ 。 ち な み に こ の 会 社 は96年,97年 度 期 末 と も に 高 い 利 潤 率 を あ げ な が ら,い ず れ も無 配 で あ っ た 。
事 例4貴 州 華 聯 旅 業(600791)
こ の 会 社 の 筆 頭 株1三 は 海 通 証 券 公 司(法 人 株i‑:)で26.26%の 株 式 を 所 イ∫。 第 二株 セは 省 国 有 資 産 管 理 局(国 有 株1三)で16.2%の 株 式 を もつ 。 こ の 会 社 は 比 較 的 に 株 式 所 有 が 分 散 し て い る 。98年 度 期 末 の 収 益 は 前 年 よ り や や 低 ド した も の の 一 株 あ た り収 益0.15元,純 資 産 収 益 率10.24%で あ る 。 こ れ に 基 づ い て 取 締 役 会 か ら 株1三 総 会 に 提 出 さ れ た 分 配 案 は 「10
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株 あ た り1株 の株 式 配 当 」 で あ った。1司時 に 株1三に 対 す る割 当増 資 案(持 株10株 あた り3株 を 増 資,価 格1株6〜8元)も 提 出 され た 。 分 配 案 は 出 席 株 セ議 決 権 の67.9%の 反 対 で 否 決 され た 。 取 締 役 会 は 再検 討 し臨 時 の 株1三総 会 に無 配 案 を提 出,そ の結 果,無 配 が 決 議 され た。 同 時 に 前 記 内 容 の株 書 三 割 当増 資案 が採 択 さ れ た こ とは い うま で もな い。 この ケ ー スは 株 式 配 当案 を 無 配 に 変 更 し,あ わ せ て株 主へ の 割 当増 資 を 要求 して い る よ うに, こ れ も今期 の利 益還 元 よ り も将 来 へ の 会 社 の 成 長 を 強 く期 待 す る大 株}三の 選 好 を 示す もの で あ ろ う。 ち な み に この 会 社 は97年 度 期 末 も無 配 で あ る。
事 例5f:海 外 高橋 保 税 区 開 発(600648)
こ の 会 社 の 筆頭 株1三はL海 外 高橋 保 税 区 開 発 公 司(国 有 株1三)で 株 式 総 数 の58.5%を 所 有 す る。 単独 支 配 の 株 主 で あ る。98年 度 期 末 の収 益 は一 株 あ た り収 益0.216,純 資 産 収 益 率9.80%で あ った。 これ に 基 づ く利 潤 分 配 案 は 「10株 あ た り1.0元 の現 金 配 当」 で あ る。 ま た こ の 分 配 案 と と も に 株 主 割 当増 資 案(持 株10株 あ た り3株 を 増 資,1株 価 格2.5〜3.5元)
も提 出 され た。 株 主 総 会 で 分 配 案 は 出 席 株 主議 決 権 の88.7%の 反 対 で 否 決 され た。 他 ノ ∫株 芒割 当 増 資 案 は 採 択 され た 。 筆 頭 株1三の 提 案 に基 づ き取 締 役 会 か ら修lf:案が 再提 案 さ れ,総 会 で89.2%の 賛 成 で 通 過 した。 修ilモ 案 の 内 容 は 「10株 あ た り1株 の 株 式 配 当」 で あ る。 ち な み に こ の 会 社 は 98年 中期 が 無 配,97年 期 末 も無 配 で あ っ た。 この 事例 も大 株1三の 会 社 の 成 長 に 対 す る強 い 期 待 を 示 して い る。 現 金 配 当を 取 りや めて 資 金 の流 出 を 防 ぎ,さ らに 株 式 配 当や 割 当増 資 に よ り株 式 数 と資 本 規 模 を増 大 させ る こ
とを 優 先 した もの と考 え られ る。
以1:,経 営 陣 が 提 出 した 分 配 案 が 株1三総 会 で 大 株 セに よ り否 決 修 且Eされ た 具 体 的 事例 をみ た。 これ らの会 社 は収 益 率 が比 較 的 良 好 な 会 社 で あ る が, そ の 利 益 分 配 を め ぐ り取 締 役 経 営 者 と大 株1三との あ い だ に意 見 の 対 立が 生 じた,例 外 的 な 事 例 で あ る。 事例1と2は 無 配 当案 が 否 決 さ れ て 有 配 当 (い ず れ も現 金 配 当 と株 式 配 当 の 併 川)に 変 え て 株 式 の 当 期 利 益 還 元 に 一 一
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24中 国1:場 企 業 に お け る配 当 と株 主利 益
定 の 配 慮 を 示 して い る の に 対 して,事 例3,4は 逆 に 有 配 当案 が 否 決 され て 無 配 に変 わ っ た 事例 で あ り,株 セへ の 当 期 利 益還 元 を 否 定 また は 後 退 さ せ て い る。 事 例5は 有配 方針 に変 化 は な い が現 金 配 当案 を 株 式 配 当 に変 え た ケ ー ス で あ る。 他 面 で,会 社 の将 来 の 成 長 と株 式 資 本 の 増 大 を 求 め る と い う性 格 は 事例3や4に 典 型 的 に み られ るが,事 例1,2,5の 場 合 で も現 金配 当で はな くて株 式 配 当や 準 備 金 の 資 本金 組 人 れ を 利 用 す る こ と に よ り, ま た は割 当増 資 を 併 用 す る こ とに よ り,現 金 の 流 出 に よ る純 資 産 の減 少 を 抑 え て,株 式 資 本 の増 大 や 資 金 調 達 を 有 利 す る こ とへ の 配 慮 が 共通 して み
られ る よ うに 考 え られ る。
2五 糧 液 公 司 の 事 例
ヒ述 の よ うな 利 益 分 配 を め ぐ る株 主の 異 議 申 し立て は 中小 株1三の あ い だ で は 程 度 の 差 こ そ あ れ,よ り一 般 的 で あ る。 この こ とは 表3‑1の 表 決 状 況 か ら も うか が え る。 しか し小 株}三の 議 決 権 は 圧 倒 的 に少 な い た め に総 会 の決 議 に何 ら影 響 を 及 ぼ す こ とが で きな い。 こ こで はそ の 中で,最 近 注 目 さ れ た宜 濱 五 糧液 公 司(0858)の 株 孟 三 総 会 の 事 例 を 取 りLげ て み た い。 宜 濱ti糧 液 股 扮 公 司 は 四 川 省宜 濱rf∫ に あ る有 名 な 蒸 留 酒 メー カ ーで,国 有 企 業 の宜 濱1i糧 液 工場 が 単独 発起 人 とな り1998年4月 に 成 歳 し,ほ ぼ 同時 に株 式 をL場 した。 宜 濱]i糧 液L場 の 所 有 権 を 管 理 して い る宜 濱 市 国有 資 産 管 理 局 が 筆 頭 株 主 と して 会 社 株 式 の75%を 所 有 して い る(も っ と も国 有 企 業 で あ る宜 濱 丘糧 液1.場 に 株}三代 表権 が 授 権 され て い る よ う だ)。 五 糧 液 公 司は 成 、 γ以 来 毎 年,L場 会 社 の な か で トップ レベ ル の収 益 率 を 記録 して い る 超 優 良 企 業 で あ る。2000年 度 期 末 の 業 績 も1株 あ た り収 益1.6 元,純 資 産 収 益 率(ROE)24.1%と これ ま で と同 様 高 い収 益 性 を あ げ た 。 この 企 業 が 事 前 に 公 表 した2000年 度 期 末 の 利 潤 分 配 案 が 株 藍の あ い だ に 波 乱 を 巻 き起 こす こ とに な った。
会 社側 が 公 表 した 利 潤 分 配 案 は 昨 年 同 様 に 無 配 を 内 容 とす る もの で あ っ
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一25一
た。 同時 に会 社 側 は新 た な設 備 投 資 計 画川 の 資 金 調 達 の た め に,多 額 の株 k割 当増 資 を 実 施 す る 計 画 案(既 存 株 式10株 あ た り2株 の 割 当増 資,価 格1株25元)も 提 出 した 。 た だ し,筆 頭 株}三で あ る宜 濱 π糧 液1二場 は本 来 株 式 所 有 権 比 率 に も とつ い て7200万 株 の 購 入 を 引 き受 け るべ き と こ ろ, その10%に 相 当す る720万 株 しか 引 き受 け ず,そ の他 の 割 当株 の 引受 け 権 利 を放 棄 す る考 え を 明 らか に した(『 北 京 「 盆 拘 三 報 』 年2月19日)。 従 っ て,こ の 部 分 の 株 式 は そ の 他 の 中 小 株 主が 購 入 す る権 利 を 得 るが,も し割
当価 格 の 動 向 に よ って は 大 きな リス クを 負 う こ とに な る。
この 状 況 の も とで 一 部 の 中 小 株1三は 分 配 案 に反 対 の 声 を あ げ た。 か れ ら は,会 社 が 連 年 優 良 な 業 績 を あ げ て,投 資 の た め の 手持 ち現 金 も 豊富 で あ り,ま た 完{:に 現 金 配 当を 行 え る分 配 可能 資 金 が あ る に もか か わ らず,株
i三 に還 元 しな いの は株 主の 利 益 を 侵 害 して い る こ と,ま た 割 当増 資 も会 社 が 実 物 資 産 で も って 割 当増 資 に参 加 す れ ば 完 全 に問 題 を 解 決 で き るの で あ り,再 び 株1̲か ら資 金 を 調達 す る必 要 は な い こ とな ど,を 主 張 した(「 北 京 青 年 報 』 年2月19日)。
こ こで 注 目 され るの は,会 社 と資 本 関 係 の な い 民 間 の 投 資 コ ンサ ル テ ィ ング会 社(君 之 創 公 司)が 中 小 株 監の 株 ド議 決 権 の 委 任状 を 集 め て,株 主 総 会 に出 席 して 代 理 権 を 行 使 した こ とで あ る。 君之 創 公 司は 大 会 まで に北 京,L海,深tlil,成 都 な どに 事務 所 を 設 け て 合 計12省 の31人 の 株 主か ら の 委 託 を受 け,58万 株 の 代 表 権 を 獲 得 した の で あ る。2月20日 の株f=総 会 で は,君 之 創 公 司の常 務 副総 経 理 が 出 席 し積 極 的 に 会 社 側 の 案 に 対 して 反 対 討 論 を 展 開 した。 しか しな が ら,わ ず か な 議 決 権 で圧 倒 的 な 支配 株 を もつ 大 株i三に 対 抗 す る こ とが 無理 で あ る こ とは 当初 か ら明 らか で あ った。
総 会 決 議 で は 分 配 案 が99.2%(36,000万 株 余 り)の 圧 倒 的 多 数 の 賛 成 で 採 択 され た。 反 対 票 はゼ ロ,棄 権 票 は283万 株 余 りで あ っ た(『 中 国F7年 報 』2001年2月21日)。
この 表 決 結 果か らみ れ ば,こ の 株1三総 会 も表3‑1で み た 全 会 一 致 か そ れ
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2G中 国}:場 企 業 に お け る配 当 と株1三利 益
に近 い 議 決 状 況 で あ る数 多 くの 事例 の一 つ に す ぎな い と いえ る だ ろ う。 し か し,こ の ケ ー ス は民 間 の第 モ 者組 織 が 中 小 株 セの 株k議 決 権 を獲 得 し, 株1三総 会 に代 理 出席 し大 株1三と争 った 中 国 で 初 め て の ケ ー スで あ り,全 国 の 広 範 な 株 主 だ け で な くマ ス コ ミ機 関 か ら も注 目 され た 事 件 で あ った。 将 来,株 式 所 有 構 造 が さ らに 多 元 化 し,株}三 の 利 益 意 識 や 権 利 意 識 が 強 ま れ ば,こ の よ うな 事例 は決 して 例 外 的 な もの で は な くな る だ ろ う。
お わ り に
中 国L場 会 社 の 利 潤 分 配 につ い て これ まで み て きた よ う に,草 創 の成 長 期 にあ る 多 くの 会社 は そ の時 々の経 営 環 境 に 影 響 を う けつ つ,会 社 の 長 期 的 な 成 長 と規 模 拡 大 へ の 強 い志 向 を も ち,そ の た め に剰 余 利 潤 を 内 部 に 蓄 積 す る こ とを 優 先 し,そ の観 点 か ら株 整へ の 毎 期 の 配 当 を相 対 的 に抑 制 し て きた 。 分 配llJ能で あ る に もか か わ らず無 配 を 選 択 実 施 した 会 社 が 大 半 を 占め る よ う にな った の は こ の点 を よ く示 して い る。 この よ う な経 営 者 の配 当政 策 は 一 般 的 に,支 配 的 大 株1三の強 い 支持 に 支 え られ て い る と い え る。
他 方 で よ り短 期 的 な リ ター ンを優 先す る 多 くの 小株 主(特 に流 通 株1三)は 成 長 企 業 の 分 配 政 策 に は無 関 心 ま た は強 い 関心 を もた ず 市場 で の 株 式 価 値 の動 向 に 関 心 を 寄 せ る傾 向 が 強 い。 分 配 面 に お い て経 営 者 と大 株1三は基 本 的 に 利 害 関 心 と選 択 行 動 が 一 致 して い た とい え る。 経 営 者 の 分 配 案 は大 株 1三 が 支 配 的 影 響 力 を もつ 株 主 総 会 で は満 場 一・ 致 ま た は そ れ に近 い圧 倒 的 大 多 数 の 支 持 を 得 て 採 決,実 施 され た。 恐 ら く,こ う した 状 況 は株 式 所 有 構 造 と証券 市場 構 造 が 大 き く変 わ らな いか ぎ り,こ れ か ら も継 続 す るだ ろ う。
た だ し,本 稿 で もみ た よ う に,経 営 者 の分 配 案 が株1総 会 で 否決 され,修 正 され る 事態 が 少 数 な が ら一 部 の 会社 で み られ る よ うに な った。 また 独 跣 し た 民 岡 機 関 が 株 式 議 決 権 の 委 任 を受 け 代 理 出 席 し人 株1三 と争 う'拝態 (proxyfight)も 出現 しは じめ た。 無 配 を 優 先 す る配 当政 策 も これ か らの
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