南 北 韓 の 経 済 交 流 ・協 力 と 法 律 問 題
一 東西 ドイ ツの 経済 交 流 ・協 力 が
我 々 に与 え た教 訓 を 中心 に
延 基榮 著 サ 秀一 訳
1.は じめ に
南 北 韓(訳 者 注:韓 国 ・北 朝 鮮,以 下 南 北 韓)は,第46次 国連 総 会 の 開幕 日で あ る9月17日,分 断46年 に して各 々が 国連 会 員 国 と して加 入 した 。 去 る40年 間 余,南 北 韓 が 正 統 性 を め ぐる伝 統 的 な消 耗 戦 を終 え て,韓 半 島 に二つ の政府 が存 在 す る とい う̀実 体'を 認 め た の で あ る。
も ち ろん,わ が 韓 民族 の宿 願 で あ る統 一 を成 し遂 げ る にあ た って,こ の よ う な南 北 韓 の 国連 同 時加 盟 が肯 定 的 に作 用す るの か,否 定 的 に作 用 す る のか は未 知 数 で あ る。 しか し,明 らか な こ とは,和 解 と協 力 の 雰 囲気 と と も に南 北 韓 の 関係 が新 た な時 代 に入 った と い う点 と,こ れ に よ る法
本 論 文 は,法 と社会 理 論 研 究 会 編 『法 と社 会 』(韓 国/創 作 と批 評 社)第 5号(1992年 所 収)を 翻 訳 した も の で あ る。 刊 行 後,暫 く経 過 して い るが, 分 断 国家 の統 一 に 向け て の法 律 問題 を ドイ ツと比 較 して い る点 に興味 を も ち, 是 非 日本 に紹 介 した い と念願 してい た 。
た また ま,本 学 のサ 龍 澤助 教 授 が 延 基 榮 教 授 と交 流 が あ った ので,日 本 語 へ の 翻 訳 を 打 診 した と こ ろ,延 教 授 よ り快 諾 を 得 た の で こ こ に 翻 訳 を 試 み た 。
尚,「 北 韓 」 の 訳 出 に際 して は,日 本 で は北 朝 鮮 とす る のが 一 般 的 な ので,
これ に従 った が,「 南 北 韓 」 にっ い ては 原 語 の ま まで 使 用 した 。
南北韓 の経済交流 ゼ協力 と法律問題
的 ・制 度 的 な整 備 が 切 実 に必 要 に な った と い う点 で あ る。
7・4共 同声 明以 後,現 在 まで に数 多 くの政 治 会 談 と離 散 家 族 の再 会 な どに よ り,統 一 のた め の 基 盤 を 固 め て きた こ とは事 実 で あ る。 しか し, 未 だ 法 的 ・制 度 的 装 置 は統 一 の た め の 初 歩 段 階 に も及 ぼ な い水 準 に と ど ま って い る状 況 で あ る 。 まだ 南 北 間 の政 治 的 な攻 防 が あ るだ け で,協 約 とか 協 定 な どの結 実 は 見 出せ ない 実 状 に あ る。 これ は ベ ル リンの壁 を崩 壊 して 統 一 ドイ ヅ を誕 生 させ た ドイ ツ民 族 の汗 と苦 痛 が,各 種 の 協 定 ・協 約 と して蓄 積 され 統 一 条約 の結 実 を もた ら した こと と比較 す る時, 多 くの 問題 が 提起 され る。
政 治 統 合 を最 後 に統 一 を遂 げ た ドイ ツの 場 合,経 済 統 合 が 先 行 され て お り,経 済 交 流 が 基 礎 に な っ と い う こ とは 周 知 の事 実 で あ る。 しか し, 何 よ りも重 要 な こと は,経 済 交 流→ 経 済 統 合 → 政 治統 合 の進 行 過 程 で 国
際 法 的,国 内法 的 な制 度 の 整備 を怠 らなか った こ とが統0を 早 め る よ う に な った 点 を認 識 す る こ とで あ り,こ こか ら我 々は大 き な教 訓 を得 る こ とが で き る。
ドイ ツの統 一過 程 にみ る経 済 交 流 ・協 力 に関す る内容 は,明 らか に我 々 の 分 断 を克 服 す るた め の努 力 と方 向 に大 き な示 唆 を もた らす と考 え る。
も ち ろ ん ドイ ツ統 一 の モ デ ル が 我 々に あわ な い とい う見解 も一理 あ る。
しか し,第2次 世 界 大 戦 のた め に̀分 断 され た世 界 の下 の 分 断 され た 国
1)
家'(DiegeteilteNationindergespaltensenWelt)い う運 命 を 我 々 と と も に 負 っ て き た が,既 に 統 一 の 宿 願 を 成 就 した 東 西 ドイ ツ の 統 一 過 程 に 関 心 を も っ こ と は 当 然 で あ ろ う 。
従 っ て,こ こ で は 東 西 ドイ ツ の 経 済 交 流 ・協 力 の 法 的 な要 点 が 何 な の
か を 明 ら か に し,南 北 韓 の 経=済 交 流 に よ る 法 律 問 題 を 検 討 して み よ う と
思 う 。
2.東 西 ドイツ経済交 流の内容 と法律的対応
① 第1段 階:初 歩 的段 階
分 断 以後,諸 政 策 に 現れ た もの を分 析 す れ ば,東 独 は 分 断 固定 的 な姿 勢 で2つ の主 権 国家 を堅 持 して きた の に比 べ て,西 独 は2つ の ドイ ツ を
̀特殊 な関係 丁 ない し̀内 部 関係'(i
nnerdeutscheBeziehun.g)で あ る こ とを 強 調 しなが ら政 治 ・経 済 ・社 会 ・文 化 な ど全 て の領 域 で 交 流 を拡 大 発展 させ て きた 。 西 独 は統 一 国家 の建 設 を 目標 に,全 て の分 野 にわ た り東独 に対 す る政 策 を,① 分 断 の長 期 化 に よ る同 質性 回 復 の た め の長 期 的 漸進 的 な交 流 ・協 力 の構 築,② 政 権 交 代 に関係 な く東 独 に対 す る一 貫
した い わ ゆ る̀小 さ な歩 み の 政 策'(PolitikderkleinenSchri七te)に
よ り実 行 した 。 この よ う な姿 勢 は政 権 交 代 の た び に 一 時 的 な宣 伝 に利 用 され た り,政 権 の 危機 克服 の た め に利 用 され て い た我 々の 統 一 政 策 と は 大 き な差 が あ る とみ る◇
ドイ ツに お い て経 済 交 流 ・協 力 も統 一され る前 ま で,内 部 的 に は 特殊 な経 済 関 係 と して み な され̀内 部 ドイ ツ の 経 済 関 係'(innereleutsche Wirtschaftsbeziehungen)あ る い は̀内 部 ドイ ツ の 貿 易'(idh:
innnerdeutscheHandel)と よび,外 部 的 に は独 自的 な主 権 国家 間 の経 済協 力 関係 で 認 定 され た 。
まず,第1段 階 の初 歩 的 な経 済 交 流 ・協 力段 階 にお け る法 的 基 盤 を 準 備 した の は,ま さに1951年 の ベ ル リン協 約(BerlinerAbkommen)で
あ った 。 も ちろ ん 国 際 政 治 の冷 戦 気 流 の も とで の ベ ル リ ン封 鎖,分 断 障 壁 の 設 置 あ る い は 東 独 に対 す る ソ連 の 影 響 力 強 化 な どで,60年 代 の 経 済 交 流 は悪 化 す る ほ か な か った。 そ れ に も か か わ らず,1961年 ベ ル リ
ン協 約 の再 締 結 が な った とい う こ と は,東 独 に よ る分 断 固 定化 政 策 を克
南北韓 の経 済交流 ・協 力 と法律問題
服 しぬ いた 西独 の統 一 政 策 の た ゆ まぬ努 力 で あ った ことを立 証 してい る。
1951年 と1961年 に2回 締 結 され た ベ ル リン協 約 は,両 側 の貿 易 は ド イ ツ 内部 の交 易 で あ る こと を大 前 提 に して,次 の よ う な2つ の 基 本 原 則 を確 立 した 。 一 っ 目は 厳 格 な相 互 性(Bilateralitat)の 原 則 で あ る。 即 ち2国 の 通 貨地 域 間 に成 立 す る載 貨 や用 役 は ドイ ツ 内で 生産 され た もの
と し,貿 易 の決 裁 の た め に使 用 され る通 貨 は̀通 貨 決 裁 単位'(VE:Ve rrechnungseinheit)を 使 用 す る よ う に した 。 こ の 単位 は交 換 性 が な い 名 目単位 と して 両 独 間 の貿 易 決 裁 に だ け使 う よ う に な って お り,決 裁 単 位 と ドイ ツマ ル ク の交 換 比 率 は1:1で あ った 。 二 っ 目は2地 域 間 の 貿 易 の大 部 分 が ベ ル リンを通 る よ うに して,ベ ル リ ンの需 要 充 足 に応 え る よ うに対 策 を 強 化 した 。 これ は ドイ ツ問題 の状 況 か ら、 ベ ル リ ンと西 独 の連 関 関係 を 強 化 させ る ことが 重 要 で あ る とい う西独 の政 策 的 な戦略 と 関連 して い る こ とが わ か る。
西 独 は 東 独 を 外 国 と して 認 定 しな いの で̀関 税 境 界 線'(Zollgrenze) が な く,関 税 とEC交 易 に適 用 され る負 担 金 も支払 わ なか った 。 西独 は 大部 分 の商 品輸入 を 自律 化 させ なが ら,輸 出の場合 には ココム(COCOM) の規 定 に違 背 しな いか ぎ り制 約 を加 え なか った。 この よ う な東 西 ドイ ツ の 内部 的 交 易 関 係 を̀1951年 関 税 及 び貿 易 に関 す る一 般 協 定'(GATT) の トル ケ 覚 書(Torquai‐Protokoll)お よび1957年 のEC条 約 を通 じ
2)
て,西 独 の 努 力 で 国 際 的 な認 定 を受 け る まで に した 。19世 紀 前 半 の 関 税 協定(Zollverein)を 通 じて ドイ ツ統 一 の基 盤 を な した リス ト(F.List) の歴 史 的 な経 験 を よみ が え らせ,東 独 に対 す る政 策 に活 用 した とみ る こ と もで き る。
(2)第2段 階:成 熟 の段 階
分 断 克 服 の た め の 東 西 ドイ ツ の初 歩 的 な経 済 交 流 は,人 的交 流 を 自由
に 保 障 す る 通 行 協 定(Transitabkommen:1971.12.17)の 締 結 を 推
3}4}
進 し,̀基 本 条 約'(Grundlagenvertrag)を 誕 生 させ る試 金 石 に な っ た 。 政 治 的 な 硬 直 性 と は 異 な り,分 断 を 克 服 して 統 一 に 向 か う橋 渡 し を な し
5)
た 。1971年9月3日,4大 占領 国が 締 結 した̀ベ ル リ ン協 定'で,東 独 の 正式 名 称 を使 用 して 事 実 上 国 家 と して 承 認 した が,̀内 部 的 な特 別 関 係'を 継 続 して維 持 しなが ら̀民 族 統 一'の 意 志 を放 棄 しなか った 。 基 本 条 約 は0民 族 二 つ の ドイ ツ間 の経 済 協 力 をふ くめ た全 般 的 な関 係 を整 理 す るた め の重 要 な法 的 ・制 度 的基 盤 に な った 。 と りわ け この条 約 の付 帯 覚 書II条1項 に は,両 ドイ ツ 間 の 既 存 協 約(と くに1951年 と61 年 のベ ル リン協 約)を 基 本 に して持 続 的 で 安 定 的 な経 済 交 流 協 力 を推 進
しな けれ ば な らな い点 を 明示 して,法 的 な要 点 を掲 げ て い る。
そ の結 果,東 西 ドイ ツ 間 の交 易 量 は 急 増 し,1960年20億 マ ル ク か ら 1970年45億5千 万 マ ル ク,1985年150億 マ ル ク,統 一 直 前 に は200億 マ ル クを 突 破 した 。(表1参 照)西 独 の東 独 に 対 す る経 済 援 助 は,や は
6)
り随 時 に多 角 的 に試 み られ た。 通 行 税 の 支給,借 款 の提 供,輸 入 超 過 政
7}
策 な どで そ の 実 践 的 な姿 をみ せ た。 この よ う な東 西 ドイ ツ間 の緊 密 な経 済協 力 は 米 国 ・ソ連 ・ECな ど周 辺 諸 国家 を 刺 激 しな い よ うに,静 か な 方 法 で 初期 の 目的 を達 成 した。 と くに東 独 国 民 の 自尊 心 を喪 失 しない よ う細心 の努 力 を傾 け,先 回,米 の引 渡(訳 者 注:韓 国 の水 害 救i援に北 朝 鮮 が韓 国側 に米 を送 った こ と を さす)を め ぐるわ が 政 府 の態 度 とは対 照 的 で あ り,我hに 多 くの 教 訓 を あた え た。
西独 の統 計年 鑑 には 内独 貿 易 と して東 独 を表 して い な い。 しか し,東 独 は1985年 の資 本 国家 主 義 諸 国 家 に対 す る貿 易依 存 度 が34%で あ るが, そ の う ち 西 独 に対 す る も の が28.4%で あ った 。 東 独 は社 会 主 義 国 家 の
a>
中 で ソ連 を ぬ い て,1人 当た りの 国民 所 得 が最 高 を記 録 した 。 東 西 ドイ
ツ 間 の取 引 方 法 は ベ ル リン協 定 に も とつ い て清 算取 引 制 で1982年 まで,
南北韓 の経済交流 ・協 力 と法律問題
<表1>内 独 貿 易
ドbnU50ζ﹂
000︒LL.
十一﹁罰
東 西 ドイ ツ の 交 易 推 移(単 位:百 万VE)
年 度 東独供給 西独供給 交易規模 増加率(%)
1975 3,342 3,922 7,264 一
1980 5,580 5,293 10,$73 16.8
1985 7,636 7,901 15,537 9.8
;if 7,454 s,s3Y 14,285 08.1
1987 7,406 6,650 14,056 01.7
1988 6,789 7,234 X4,023 XO.1
資 料:韓 国貿 易 協 会 「東 ・西独 交 易 の形 態 と発展 過 程 」1989.12
9)
東 独 は東 独 貿 易 省 が,西 独 は 内 国交 易信 託 所 が処 理 した 。 一・ 方,東 西 ド イ ツ の経 済 交 流 の形 態 は貿 易 以外 に も生 産 協 調 お よび合 作 投 資 が あ る。
そ の 実 例 をみ れ ば,フ ォル ク ス ワ ー ゲ ン社 は1984年11月11日 に東
ユo>
独 政 府 とバ ー ター貿 易 形 式 の協 定 に調 印 して生 産 販 売 の協 力 を推 進 した。
これ は 東 独 の 古 び た 自動 車 モ デ ル を現 代 式 の デ ィー ゼ ル エ ンジ ンに変 え
て,40%の 燃 料 節約 と大 気 汚 染 を 防止 す る環 境 生 態 系 の保 護 まで も考慮 し
た 経 済 協 力 のモ デ ル と して評 価 され る。この よ う な経 済協 力 は統 一 ドイ ツ前 ま で東 西 ドイ ツ企 業 に よ り多 様 な形 態 で7千 件 以 上 が 推 進 され,東 独 が 西欧 で 巨額 の借 款 を受 け る時 には 西 独 は支 払 い保 障 ま でお こ な った。
一 方 ,東 独 の 貨 幣 と 西独 マ ル クの 公 式 の交 換 率 は1:1で あ るが,闇 値
11)
で1:8〜9で 漁 られ て い た こ とを 考 え あ わ せ る と,西 独 が 公 定 交 換率 を使 用 す る こ と に よ り,貿 易 関係 にお い て も間接 的 な経 済 援 助 を与 えた こ と
に な る。 この よ う な交 換 率 の 問 題 か ら東 西 ドイ ツの貨 幣統 合 に対 す る論 議 が で て,経 済 交 流 を こ え て経 済 統 合 の段 階 に接 近 で き る雰 囲気 が醸 成 され た の で あ る。 基 本 条 約 の効 力発 生 後 に2つ の ドイ ツ国 家 は 断絶 と対 決 に よ る相 互 不 信 を 除 き なが ら経 済 交 流 協 力 の活 性 化 の た め に各種 の 後 続 法 令 を整 備 した。 重 要 な諸 協 定 を列 挙 してみれ ば 次 の 通 りに な る・
① 両 独 間旅 行 及 び 贈 り物 小 包 協 定 改 正 案 発 効,及 び ベ ル リン ー ザ ル ツベ デ ル 間 他 の高 速 道路 開 通(1973.6.21)
② 東独 に よ る入 国旅 行 の 最 小 交i換量 の増 大 指 示(1973.11.5)
③ 西 独旅 行 社 と東 独 旅 行 局 間 の観 光 旅 行 協 定(1974.1.21)
④ 西 独 域 間 貿 易 事 務 所 と東 独 対 外 貿 易 省 間 の機 械 工 具 購 買 及 び 引 渡 協 定(1974.2.13)
⑤ 両 独 旅 行 社,観 光 旅 行 ・ 協 定 の年 次 毎 の 延 長 合 意(1974.12.4)
⑥ 西独 交 易 信 用 の 上 限水 準 の年 次協 定(1976.1.14)
⑦ ベ ル リ ン往 来 改 善 に 関す る協 定:ベ ル リン ー ハ ン ブル グ 間 の 高 速 道路 建 設 及 び 財 政 負 担;西 ベ ル リ ン行 き水 路 補 修 及 び財 政 負担;デ
ロ ウ運河 の 財 政 負 担(1978.11.16)
⑧ 両 独 間 長 期 貿 易 協 定(1979.9.7)
この よ う な経 済 交 流 は 国家 や 政 府 の 次 元 だ け で な く,民 間次 元 の各 分
野 別 に推 進 され て いた こ とがわ か る。 東 西 ドイ ツ経 済 交 流 を推 進 して き
た 要 因 の 中で は,東 西 ドイ ツ 内の都 市 間 の 姉 妹 結 縁 も重 要 な意 味 を もっ
南北韓 の経済交流 ・協 力 と法律問題
と い え る だ ろ う 。1986年4月 か ら1988年9月 ま で ト リ ロ ー ワ イ マ ー ル, ハ ノ バ ー 一 ラ イ プ チ ッ ヒ,ボ ン ー ポ ツ ダ ム な ど43ヵ 所 の 諸 都 市 が,
12)
この姉 妹 都 市 を結 ん だ とい う。
そ の他 に 民 間交 流 に よ る財 貨 の移 動,郵 便 を通 じた 商 品 移 転 の方 式, 交 通 ・輸 送 分 野 な どにお い て,西 独 の東 独 資 源 が 経 済 交 流 の触 媒 の役 割
ユ3)
を担 った の で あ る。 こ の時 期 に東 独 は西 独 との経 済 交 流 に,一 次 的 に は 経 済 的,実 用 的 な動機 を重 要 視 した が,こ れ が 経 済 統 合 の礎 石 と な り統 一 を もた ら した ので あ る 。
(3)第3段 階1経 済 統 合 の(模 索)段 階
1989年11月9日 ベ ル リ ンの壁 が 崩 壊 した後,ド イ ツ人 自身 も想 像 で き な か った ほ ど急 速 に統 一 ドイ ツ誕 生 の た め の 統 合(lntergratiOn)が か な った 。 この 時 期,̀第4帝 国'と 第2の 経 済 奇 跡'に 対 す る懸 念 と期 待 が と も に表 出 してい た こ とを我 々 は言 論 を通 して知 る こ とが で き た 。一 方,東 独 で は ク ラ ンツ書 記 長 が辞 任 し,ハ ンス モ ドロ ウ首 相 が就 任 して各 分 野 の 改 革 を試 み た が,ラ イプ チ ッ ヒな ど諸都 市 で 改 革 と統 一 を 唱 え る民 衆 の声 に よ り,5月 に 予 定 して い た 総 選 挙 が3月18日 に 繰 り上 げ られ̀共 産 小 数 連 立 政 権'を 形成 した 。 この よ う な急 速 な変 革 は 経 済 的 危 機 を もた ら し,同 年11月28口 西 独 の コール 首 相 は統 独 方 案10
14)
項 を 提 案 した 。 そ の 重 要 な 内 容 は,東 独 が 自 由 選 挙 を 実 施 す れ ば 経 済 的 支 援 を 惜 し ま ず,契 約 共 同 体(Vertragsgemeinschaft)を 通 じた 共 和 国 連 合(Konfoderation)を 作 ろ う と い う も の で あ った 。
東 独 の ハ ン ス モ ドロ ウ 首 相 も1990年2月1日,4段 階 の 統 一 方 案 を 提 示 し た が,東 独 の 民 主 化 → 契 約 共 同 体 → 連 邦 制 → 統 一 と い う 基 本 過 程 は コー ル の 提 案 と ほ ぼ 一 致 す る も の で あ る 。
コ ー ル 首 相 は1990年2月2日,東 西 ドイ ツ 間 の 経 済 ・通 貨 の 統 合 間
題 を論 議 す るた め に両 ドイ ツ政 府 が̀ド イ ツ統 合 委 員 会'を 構 成 し,す ぐに会 談 を 開催 す る こ と を提 議 した が,東 独 政府 は これ を歓 迎 す る と発 表 した 。
政 治統 合 と 関連 して,̀政 党 統 合'を 推 進 しな が ら̀経 済 統 合'に 着
15)
手 した 。̀第2の 経 済 奇 跡'が 予 見 され る中 で,東 独 の 避 難 民 が っ め か け た 難 しい状 況 下 で も西 独 経 済 は1989年,13年 ぶ りに最 も高 い4。6%
is>
の成 長 と770万 ドル の貿 易 黒 字 を記 録 した 。 現 在 まで10年 以 上 あ ま り, 西 独 政府 が 負 担 した統 一 の ため の費 用 は天 文学 的 な も の と予測 され るが, 統 一 前 後 にそ の費 用 が 急 増 した の は 当然 な こ とで あ った 。結 局,ド イ ツ
17)
統 一 基 金(FondsDeutscheEinheit)で 充 当 して,残 り は ドイ ツ 政 府 の 予 算 節 減 ・追 加 負 債 を 通 じて 解 決 す る ほ か は な か っ た 。
も ち ろ ん 統 一 ドイ ツ の 経 費 は 西 独 の 既 存 の 経 済 力 で み る時,十 分 に 克 服 で き る も の と展 望 され る が,今 年 度 予 算 の 赤 字 が1千 億 マ ル ク に 達 す る と 予 想 さ れ,イ ン フ レの 圧 力 が 加 重 され る と み え る 。
東 独 の 総 選 挙 で 圧 勝 した 基 民 党 党 首 の テ ・メ ジ エ ル は1990年3月19 日の 記 者 会 見 で,統 一 の た め に 最 も緊 急 な 政 策 は1対1の 貨 幣 統 合 と 経 済 統 合,そ して 社 会 構 造 の 転 換 で あ る と 明 らか に した 。 こ の よ う な 提 案 が 具 体 的 な 成 果 と して で た の が 、 ま さ に̀通 貨 ・経 済 ・統 合 条 約'
(VertragfiberdieSchaffungeinerWahrungs‑一 一,Wirtschafis‐and
18)
SozialunionzwischenderBRDundderDDR)で あ る 。 こ の 条 約 は 1990年5月8日 に 締 結 さ れ,重 要 な 諸 規 定 は 統 一 前 で あ る1990年7月
1日 か らそ の 効 力 を 発 生,統 一 の た め に 動 脈 の 役 割 を した 。 通 貨 地 域 を
単 一 化 して ドイ ツ マ ル ク(DM)を 共 通 の 貨 幣 に す る通 貨 統 合 が で き た 。
同 時 に東 独 の 経 済 秩 序 に 対 して は 私 有 財 産,生 産 競 争,自 由 な価 格 形 成,
労 働 ・資 本 ・財 貨 ・サ ー ビス の 完 全 な 自 由移 転 な ど を 骨 子 と した 西 独 の
社 会 的 市 場 経 済 体 制(diesozialeMarkwirtschaft)が 宣 言 さ れ た 。 そ
南北韓 の経済交流 ・協 力 と法律 問題
して,こ の よ う な社 会 的市 場 経 済 体 制 に付 号 す る労 働 法 お よ び社 会 保 障 体 制 が1990年7月1日 か ら東 独 地 域 に導 入 され た 。
この 通 貨 ・経 済 ・社 会 統 合 条 約 の付 属 規 定 に よ り,東 独 内 の経 済 や 社 会秩 序 に関 す る諸 法 令 は廃 止 され るか,改 正 また は制 定 され ね ば な らな い運 命 に あ った 。 しか し,こ の 条 約 は形 式 上,継 続 的 な効 力が あ った東 独 憲 法 と合致 しな い面 が あ った が,こ の 条 約 の第2条1項 の基 本権 と類 似 した保 障 規 定 を助 け と して,憲 法 上 の 衝 突 を避 け る こ とが で き る法 技
19)
術 的 な 知 恵 を 発 揮 し た 。
こ の 通 貨 ・経 済 ・社 会 統 合 条 約 は1990年8月31日 に 締 結 さ れ,同 年 10月3日 に 効 力 を 発 し た 東 西 ド イ ツ 統 一・条 約(Einigungsvertrag:
VertragzwischenderBRDandderDDRuberdieHerstellungder
20)
EinheitDeutschalands)の 橋 頭 塗 の 役 割 を 担 い,統 一 ドイ ツ に 向 か う 道 を 法 的 ・制 度 的 に 確 立 した こ と に 大 き な 意 義 が あ る。
3.南 北韓 経済交流 の内容 と法律 的対応
(1)北 朝 鮮 経 済 の 開放 と改 革
北 朝 鮮 経 済 の特 徴 は̀経 済 的 自立'を 目標 にす る̀自 力 更生 原則'と
̀重工 業 優 先 政 策'を 追 求 してお り
,生 産 要 素 の量 的動 員 を通 じた 生産 増 大 を は か る外 延 的 な成 長 方 式 を 採 択 して い る。̀閉 鎖 的 な 自給 自足 経
済'の 体 制 を原 則 にす る点 で は,伝 統 的 な マ ル クス ・ス ター リ ンのL
国社 会 主 議 論'を 教 条 的 に 信 奉 した初 期 の社 会 主 義 諸 国家 と一 脈相 通 じ
るが,最 近,ソ 連 お よび東 欧 圏 が 開放 ・改 革 政 策 で大 き な変 革 を経 験 し
て い る こと とは対 照 的 な姿 で あ る。 しか し,最 近 の 中 国 の経 済 改 革 や ソ
連 の 革 命 的 な変 化 に よ り北 朝 鮮 も 閉鎖 的 な 自給 自足 経 済 の 限 界 を克 服す
るた め,先 進 国 の技 術 と資 本 を導 入 しよ う と合 営 法 まで制 定 してい る。
① 対 内的 改 革
1984年9月8日 に制 定 公 布 され た 合 営 法 に よ り,北 朝 鮮 の対 内 的 改 革 が徐 々に進 行 してい る とみ られ る。 も ち ろ ん̀既 存 の枠'を 守 りなが ら経 済 活性 化 の た め に,諸 政 策 を部 分的 に修 正 ・補完 す る程 度 に と どま っ て い る と判 断 され る。
合 営 法 が 制 定 施 行 され た後,北 朝 鮮 は工 場 ・企 業 所 な どの部 門 に対 し て,̀独 立 採 算 制'を 積 極 的 に奨 励 し,生 産 目標 の超 過 部 分 を 労働 者 に 分配 した。 また工 場 経 済 制 度 を大 幅 に改 編 して独 立採 算 制 を個 人 と作 業 組 に区 分 して 適用 す る こ と に よ り,余 剰 金 を再 投 資,従 業 員 の厚 生 福 祉 金,奨 励 金 な どに使 う こ と を許 可 して,超 過 達 成 の 労働 者 に対 して は住 宅 入 居 の優 先 権 と旅 行 特 典 を 付 与 した 。
21}
1985年 に は1960年 代 初 め に試 み た 半 独 立 採 算 制 を非 生 産 部 門 で あ る 芸 術 団,公 演 団体 な どに まで適 用 した 。 また 農 民 市 場 を拡 大 発 展 させ, 都 市 地 域 に常 設 自由市 場 と して許 容 した 。 これ は 北 朝 鮮 が 固守 して きた
自己 完結 的 な 自給 自足 の経 済 体 制 の 閉鎖 的 な態度 を止 揚 して,漸=進 的 な 変 革 を試 み て い る とみ られ る。
② 対 内的改革
70年 代 に入 り西側諸 国家 に対す る延滞金 が 累加 して,対 内指 向の産 業政策 の限界 と輸 出拡大政 策の必要性 を痛感 して,対 西側貿 易を積極 的
22)
に推進 す る よ う に な った。
1980年 に 輸 出拡 大 の 対 策 を講 じて,中 央 に̀輸 出指 揮 部'を 設 置 し
23}
て 輸 出の年'と まで 定 め た。
1984年1月,最 高人 民 会 議 の 第7期3次 会 議 で は,対 外 経 済 協 力 が
対 内経 済 発 展 と人 民 生 活 向上 のた め に必 須 の条 件 で あ る と規 定 した 。 こ
の会 議 で は,資 本 主義 国家 の 中 の未修 交 国家 と も相 互利 益 原 則 の も とで,
南北韓 の経 済交流 ・協 力 と法律問題
技 術交 流 お よび経 済 合 作 を推進 す る こ とを提案 す る こと まで お こ な った 。 1985年3〜5月 に は̀合 営 法 施 行 計 画'̀合 営 会 社 所 得 税 法 及 び細 則'
̀外国 人所 得 税 法 と細 則'な どが 制 定 され た
。
しか し,百 貨 店,コ ー ヒー シ ョ ップ,ホ テ ル,海 運業 な どにの み 外 国 人 の投 資 が成 立 して い るだ けで,産 業 施 設 に対 す る合 作 投 資 は 不 振 で あ
る。 合 営 法 推 進 の実 績 は1989年3月 現在,日 本朝 総 連19件,ソ 連3件, 中 国2件,フ ラ ンス1件,在 米 韓 国 人1件 な ど,あ わ せ て26件 にす ぎ
なか った。 この よ う に西側 国家 の投 資 が 不 振 で あ る理 由 は,合 営 法施 行 細 則(1985.3公 布)が あ ま り に煩 項 で,国 内 市 場 が 狭 い た め 外 債 が 延
24)
滞 ・累 積 した た め で,主 体 思 想 に根 を お い た教 条 的 な計 画 経 済 体 制 の硬 直性 の なす 所 以 で あ る と分 析 され る。
北 朝 鮮 は1986年8月,対 外 開放 措 置 の 第2段 階 と して̀朝 鮮 国際 合 営 総 会 社'を 設 立,1988年 に は 政 務 院 の中 に合 業 工 業 部 を設 置 し,1989年 に は̀財 務 証 券'を 発 行 して外 資 導 入 を さ らに積 極 的 に推進 してい る。
(2)南 北 韓経 済 交 流 ・協 力 の現 況
北 朝 鮮 は開 放 措 置 の 一環 と して,韓 国 と の物 資 交 易 を推 進 して き て い る。1988年10月̀南 北 韓 物 資 交 易 指 針'が 制 定 され る前 に は 第3国 を 通 した 間接 交 易 の 形 態 を と り,お も に香 港 で 南 北韓 の 商社 の 関 係 者 が仲 介 商 を通 じて契 約 した 後,両 側 の船 舶 が公 海 を 経 て物 品 を直 送 す る形 式 で 成 り立 ってい た 。 上 記 の指 針 は韓 国政 府 の 対 北 朝 鮮 経 済 交 流 の許 容 方 針 の一 環 で 作 られ た が,何 らの 南 北 韓 の条 約 や 協 約 の法 的 根 拠 が な い た め,南 北 韓 の交 易 を活 性 化 させ る大 き な助 け とは な りえ ない の が実 状 で あ る。 未だ 間接 交 易 形 態 を と って お り,搬 出入 の 実績 は 全 然 お ぼ っ か な い。(表2,3参 照)
1988年11月21日 北 朝 鮮 産 の 貝 が釜 山 に,1989年2月2日 北 朝 鮮 産
〈表2>南 北 韓 の 品 目別 搬 出 入 の 実 績(1988.10〜90,10)
(単位:千 ドル,%)
区 分 品 目 金 額 構 成 比
亜鉛魂 9,217 22.7
鉄鋼材 8,415 20.7
無煙炭 2,940 7.2
電気鋼 2,550 6.3
セ メ ン ト 3,946 9.7
水産物 2,220 5.5
生糸 1,581 3.9
搬 入 承 認 農産 物 4,576 11.3
漢 方薬材 1,828 4.5
長石 655 1.6
ニ ッ ケ ル,鉛 魂 727 1.8
蕨(bracken) 631 1.5
人参 製品 512 1.3
切手 278 0.7
そ の 他 540 1.3
計 40,616 100.0
煙 草 フ ィ ル タ ー 83 51.2
搬 出 承 認 衣 料(jumper) 69 42.6
砂糖 10 6.2
計 162 100.0
資料:韓 国開発研究 院 無煙 炭 が 直 行 路 で 仁 川 に入 港 した 。1990年7月 末 ま で に南 北 韓 の 物 資 交 易 の実 績 は,北 朝鮮 か らの物 資 搬 入 にか た よ ってお り,政 治 的 な影 響
25}
に よ り敏 感 な反 応 を 見せ て い る ことが わ か る。
(3)南 北 韓 経 済 交 流 の 法 的基 礎
1972年 の 南 北 韓7・4共 同声 明 は 韓 半 島 の 緊 張 緩 和 に 寄 与 す る だ け で は な く,北 朝 鮮 経 済 の 開放 を 推進 す る契 機 に も な った。
また,韓 半 島 の脱 冷 戦 化 と平和 体制 構 築 のた め に,韓 国 は 第6共 和 国
の 出帆 と 同時 に7・7宣 言 を発 表 して 北 朝 鮮 政 策 と と もに 北朝 鮮 の 孤 立
感 を軽 減 させ よ う と努 力 した。
南北韓 の経済交流 ・協 力 と法 律問題
〈表3> 北 朝 鮮 の 地 域 別 貿 易(1988)
(単位:百 万 ドル,%)
計 輸 出 輸 入
区 分
金 額 比 重 金額 比 重 金 額 比重
対共産圏 3,440 70.9 1,197 65.2 2,243 74.3
〃 ソ 連(1) 2,617 53.9 882 48.0 1,736 57.5
〃 中 国(2) 592 12.2 212 11.6 380 12.6
対西側 先進国 843 17.3 375 20.4 468 15.5
〃 日 本(3) 556 11.5 293 16.0 263 8.7
対開発途上国 573 11.8 264 14.4 308 10.2 (1)+(2)+(3) 3,765 77.6 1,836 75.6 2,379
・ ・資料:韓 国開発研究院 しか し,過 度 な政 治 的攻 防 に よ り,南 北 韓 の経 済 交 流 協 力 は 未 だ 初 歩 的 な段 階 に と どま って お り,法 的 ・制 度 的̀基 本型'を 構築 で きず,実 質 的 な成 果 を期 待 す る こ とは難 しい実 状 で あ る。 も ち ろん,わ が 政 府 は
̀南北 交 流協 力 に 関す る法 律'を1990年8月1日 制 定 公 布 し施 行 して
い るが,そ の根 拠 に な る上位 規 範(憲 法 や 条約 な ど)が 存 在 せ ず 実 効 性 に 限 界 が あ る。
この 法 で は,交 易 と経済 協 力 に関 す る事 項 を規 定 してお り(第12〜22 条),同 法 の施 行 令 に交 易,協 力 事 業 お よび 決 裁 業 務 に 関 す る細 部 事 項
(第22〜44条)を 定 め て い る。 また̀南 北 韓 交 易 対 象 物 品 お よ び搬 出 ・ 搬 入 の承 認 手順 に関 す る公 示'(国 土 統 一 院公 示 第90〜2号,1990.9.25)
で 南 北 韓 間 に お け る物 品 の搬 出搬 入 の承 認 手 順 を 規 定 し,"対 外 貿 易 法 第18条 お よ び19条 の 規 定 に よ り商 工 部 長 官 が 公 示 した輸 出入 公 告,別 途 公 告,統 合 公 告 な どは,南 北 交 流 協 力 に関 す る法 律 第14条 の規 定 に よ る南 北 韓 交 易 対 象 物 品 の公 告 で み る"と 規 定 した。(第1条)
しか し,上 記 の 諸法 令 は 南北 韓 の何 らの合 意 や協 約 ・条 約 に根 拠 をお
くもの で は ない 。 わ が政 府 が 一 方 的 に制 定 ・施 行 して い る も ので,南 北
韓 経 済 の交 流協 力 に関 す る基 本 的 な法 的 制 度 的 な型 を提 供 で き て い ない とみ る。1984年11月15日,第1次 南北 経 済 会 談 を始 め1年 間 にわ た り
5回 開 かれ た が 明確 な合 意 は得 られ ず,数 回 の南 北 高官 級 会 談 で も明 瞭 な合 意 書 を作 り得 な い のが 実 状 であ る。
4.お わ りに
以 上 を通 して南 北経 済 交 流 ・協 力 の現 況 と問題 点 を,法 的 ・制 度 的側 面 か ら検 討す る に際 して,我hと と も に分 断 国家 と して存 在 し統 一 を な
した ドイ ツの モ デ ル を紹 介 しなが ら提 起 してみ た 。 も ち ろ ん ドイ ツは 吸 収 統 合 方式 に よ り経 済 統 合 を成 就 した が,統 一 ドイ ツを誕 生 させ た方 式 が,わ が韓 半 島の 統 一 のた め に絶 対 的 な モ デ ル と は な り得 るも の で は な い 。 歴 史 的 ・文 化 的伝 統 と背 景 が こと な り,政 治 的 ・思 想 的 な基 盤 が違 うた め,そ の よ う なcド イ ツモ デル'を 我 々が 受 容 しなけれ ば な らない とは 言 え な い。
しか し,東 西 ドイ ツの 経 済 交 流協 力 に お いて,1951年 と61年 のベ ル リ ン協約 か ら出発 した 法 的 ・制 度 的 基 盤 が,政 権 が 交 代 して も継 続 して 交 流協 力 を拡 大 で き る契 機 と な った 点 は,明 らか に我 々に大 き な教 訓 を あ た え た 。 西 ドイ ツ人 が 見 せ た 誠 実 性 が 信 頼 を構 築 して,理 念 と体 制 の 壁 を 崩 した こ とは 学 ぶ べ き点 で あ る。 経 済 交 流 協 力 のた め の ドイ ツ人 の 緻 密 な法 律 的 対 応 は,我 々に示 唆 す る も のが 多 い。 我 々は現 在,南 北 韓
の経 済 交 流協 力 のた め に次 の よ う な法 律 的 な課 題 をか か え て い る。
(1)南 北 韓経 済 交 流 ・協 力 の ため の 基 本 条 約 や 協 約 の 締 結
国 連 加 盟 に よ り南 北 韓 関 係 を,対 外 的 に は̀1民 族2国 家'を 評 榜 しな
が ら,対 内 的 に は̀特 別 な 内部 関 係'で あ る̀1民 族1国 家'を 固守 して̀民
南北韓 の経済交流 ・協 力 と法律 問題
族 経済 共 同体'が 成 就 す る よ う に法 制度 を 整 備 しなけ れ ば な らな い。
まず,互 い に異 な った 経 済 体 制 に よ る障 害 要 因 を 除去 して,南 北 経 済 特 区 の建 設 を通 じた 南 北韓 自由貿 易 地 域 の設 定 → 関 税 同盟 → 共 同市 場 → 経 済 同盟 な どの段 階 をへ て経 済 統 合 が な され る とい う点 を認 識 して,経 済 交 流 協 力 を推 進 して民族 経 済 の 同質 性 を 回復 しなけ れ ば な らな い。 と
りわ け第3国 を通 じた 間接 取 引 に よ る形 態 の南 北 交 易 は,安 定 した 取 引 船 確 保 の難 しさ,費 用 の 上 昇,品 質 や納 期 の不 安,交 易 関 係 の情 報 不 在 な ど限 界 が あ り,実 質 的 な経 済 交 流 協 力 を推 進 す る ことが で き る協 定 や 条 約 の締 結 が 急 が れ る。
この よ う な法 的 基 盤 の造 成 が 初歩 的 な段 階 か ら必要 で あ り,ド イ ツ も ベ ル リ ン経 済 協 定 締 結 後20年 余 がす ぎ て基 本 条 約 が 締 結 され 国連 に 東 西 ドイ ツが 加 入 した の で あ り(1973),実 質 的 な経 済 交 流 協 力 が 推 進 さ れ た こと を想 起 す る必 要 が あ る。
プ ラ ン トが 言 った よ うに,我hはLつ の家'と して,こ れ 以 上別h に生 き る こ と(auseinander)を や め,相 互 共 存(nebeneinander)を へ て 互 い に 一 緒 に生 き る(miteinander)時 まで 到 達 で き る よ う努 力 す る
26)