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解析 I ・講義ノート

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Academic year: 2021

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(1)

解析 I ・講義ノート

第1回

(2020

5

19

(

)

配信分

)

(2)

第1回本題

(第0回が未読の人は、本題に入る前に、まずそちらに一通り目 を通しておいて下さい。)

 まずこの講義で扱う内容ですが、第0回の最後でも触れたよう に、一言で言うと高校で学んだ微積分の復習とその続きです。

 教科書では数列の極限からお話が始まっていますが、皆さんよ

くご存知の内容でしょうから、その辺りは各自で復習しておいて

いただくとして、今回この講義ノートでは、教科書だけでは補足

が必要な「関数や写像の概念」についてお話しながら、この講義

の目的についてお伝えしたいと思います。

(3)

 まずは、この講義でよく出て来る数の集合について、記号の約 束から始めましょう。自然数全体の集合を N, 実数全体の集合を R でそれぞれ表します。他にも Z( 整数全体 ), Q( 有理数全体 ), C( 複素数全体 ) などがあります ( 教科書 2 頁参照 )

 また、不等式の表す範囲を表す記号もあります。教科書では 30

頁と 126 頁に分かれて、一部やや遅い登場になるので、ここでま とめてご紹介しておきましょう。不等式

a < x < b, a x b, a < x b, a x < b

を満たす実数 x 全体の集合をそれぞれ

(a, b), [a, b], (a, b], [a, b)

で表します。最初の二つをそれぞれ開区間、閉区間と呼びます。

(4)

 片方だけの不等式

a < x, a x, x b, x < b

の場合は、それぞれ

(a, + ), [a, + ), ( −∞ , b], ( −∞ , b)

で表します ( 詳しい名称については教科書参照 )

 大学の数学では、海外での表記に合わせて、不等号

,

を、それぞれ

,

の意味で用います。ただし分野によっては別の意味に用いていることもあ りますから、本や文献毎に一応確認はするようにして下さい。

 また、開区間を表す記号が平面の座標やベクトルと同じで紛らわしいのです が、慣例なので仕方ありません。前後の文脈で判断するようにして下さい。ま た、無限大

+ , −∞

自身は実数ではありませんので、

x

との等号成立はあり えないと言うことで丸かっこになっています。ちなみに

( −∞ , + )

とあれば

R

つまり実数全体のことです。

(5)

 さて、皆さんは高校までに、いろいろな関数について学んで来 たと思います。

 そもそも関数とは何だったかと言うと、実数 x に対しそれぞれ

一つずつ、何らかのルール ( 意味不明なルールも込み ) に従って、

実数 y を与える対応であって、これを y = f (x) と表したわけで

すが、ここで x としては、全ての実数を考えるとは限りませんで した。

 そこで、今考える x の範囲を定義域 ( または始集合 ) と呼び、一

y をどの範囲から選ぶか、その範囲を終集合、実際に y として

選ばれた実数全体の集合を値域と呼ぶことにしましょう。

(6)

0 - x y 6

y = f(x) f(a)

a b

f(b)

定義域

値域

 高校までに扱って来た関数について言えば、定義域は関数に よって様々でしたが、いずれにせよ実数全体の集合 R か、または

その部分集合を考え、終集合としては、実数全体の集合 R を考え

ていたと言ってよいでしょう。

(7)

 定義域と終集合を明記して関数を表すときは

f : (R )D R x 7→ f (x)

のように書いたりもします。 D が定義域ですが、ここには具体的 な集合、また二行目の f (x) にも具体的な式が入ります。

(R )

は、普通はわざわざ書いたりしません。また、元どうしの対応には

7→

を用います。

 一つの式で書けない時は、 x について場合分けが必要になりま す。例えば

f (x) =







x (x 0)

x (x < 0)

のように。もちろん、この f (x) は絶対値 | x | のことです。この f

の定義域は R, 値域は [0, + ) になります。

(8)

 これを前頁のようにていねいに書くと

f : R R x 7→







x (x 0)

x (x < 0)

となりますが、定義域も終集合も R のときなどは、上の簡単な表 し方で十分でしょう。

0

x- y 6 y = f(x)

@@

@@

@@ 定義域

値域

(9)

 皆さんが高校までに学んだ主な関数 ( まとめて初等関数と呼ば れています ) 、例えば

x 2 , x 3 , e x , log x, sin x, cos x, tan x, x

などについて、それぞれ定義域と値域は何か、復習しておきま

しょう。

(10)

 さて、大学に入って皆さんは、この関数の定義域と終集合を もっと広い範囲で考えることになります。つまり y = f (x) にお

いて、 x y は別に実数でなくてもよいのではないかとして、考 える範囲を拡げて行くわけです。このように一般的に考えた対応 を写像と呼びます。

 定義域、値域、終集合など、上で定義した用語は、写像でも同

じように用います。

(11)

 ただし y の方が実数である限りは関数と呼ぶことが多く、たと えば x として実数ではなく座標平面 ( R 2 と書きます ) 上の点

(x 1 , x 2 ) を考えたりするとき、 y = f (x 1 , x 2 ) のことを、平面上の

関数とか、 2 変数関数などと呼びます。

f : (R 2 )D R

(x 1 , x 2 ) 7→ f (x 1 , x 2 )

と言った感じのものです。

 皆さんが多分、それとは意識せずに使っている 2 変数関数は結

構たくさんあります。例えば

f (x 1 , x 2 ) =

x 1 2 + x 2 2

(12)

は、座標平面上の各点 (x 1 , x 2 ) から原点 (0, 0) までの距離を与え

る 2 変数関数です。先に挙げた絶対値 | x | 2 次元版です。

 一般に 2 変数関数のグラフを描こうとすると、 3D が必要です。

定義域が 2 次元なので、 x 軸を 2 ( つまり x 1 軸と x 2 ) 別の

方向に描かなければならないからです。

0 x1

x-2 6

y

@@

@@

@

AA AA

y = f(x1, x2)

(13)

 さらにより一般次元の空間 R n 上の点 (x 1 , x 2 , . . . , x n ) を考えれ

ば、 y = f (x 1 , x 2 , . . . , x n ) で、 n 変数関数または n を明記しない

で多変数関数などと呼びます。

 これら R n またはその部分集合を定義域とする多変数関数

f : (R n )D R

(x 1 , x 2 , . . . , x n ) 7→ f (x 1 , x 2 , . . . , x n )

については、解析 II で学びます。

 実はこれが、この講義ノートで、ここまで座標平面

R

2 上の点を

(x, y)

で表 さなかった理由です。別に

(x

1

, x

2

)

(x, y)

と表しても、その代わり

y

を例え

z

など他の文字に変え、

z = f (x, y)

と表せば間違いではないし、実際その ように表している場合は多いのですが、次元が上がり、必要な文字数が増えて くると、何分アルファベットは

26

文字しかありませんし、定数と変数を区別 する必要から、それらも全て自由に使えるわけではないので、どうしても無理 になって来るわけです。

(14)

 また、定義域を複素数全体がなす平面 C またはその部分集合に

とり、また終集合、すなわち y を選ぶ範囲も C とする関数のこと

を複素関数と呼び、これは解析 IV で学びます。この場合は通常、

変数を表す文字を変えて、 w = f (z ) などと表すこと方が一般的 です。

f : (C )D C z 7→ f (z )

複素関数は、 z = x + iy (x, y) と、 w = u + iv (u, v) と、そ

れぞれ同一視することによって、平面全体またはその部分集合か ら平面への写像とも考えられます。

f : (R 2 )D R 2

(x, y) 7→ f (x, y ) = (u(x, y), v (x, y))

(15)

 いずれにせよ、写像と言う場合に重要なことは、定義域として 考えている集合の各元 x に対し、終集合の元 y = f (x) を、唯一

つ対応させると言うことです。

 従って、これまで恐らく関数としては扱って来なかったでしょ う数列も、例えば無限数列 a 1 , a 2 , . . . , a n , . . . は、自然数全体の集

N を定義域とし、その各元 n に対し、実数 a n を対応させる関

数もしくは写像と言えるわけです。

f : N R n 7→ a n

 ここの

f

には深い意味はありません。他の文字でも何でも好きに選んで構い ません。

(16)

 次の図は数列のグラフの例です。

0

-n y 6

1 2 3 4 5 6 7

・・・ ・

y = an

 解析 II では、平面上の点列

f : N R 2

n 7→ (a n , b n )

なども出て来ます。

(17)

 またこのクラスの受講生の皆さんに対し、それぞれの学籍番号 を対応させるのも、受講生全体の集合を定義域とし、英字と数字 のなす文字列全体の集合を終集合とする写像と考えられるわけ です。

f : このクラス 文字列の集合

Aさん 7→ 学籍番号

 地球上の各地点に対して、その瞬間の気温と気圧の組を考えれ ば、これは球面を定義域とし、 R 2 を終集合とする写像

f : 地球の表面 R 2

杉本 3-3-138 7→ ( 気温 , 気圧 )

と言うわけで、この世の中は写像であふれています。

(18)

 一般に写像 f が定める対応は一対一とは限らず、別の x に対

して同じ y が対応することは構いませんが、もし、これが一対 一、つまり異なる x に対しては異なる y と言う対応が成り立って いるとき、一対一写像または単射であると言います。

 一方、値域が終集合と一致している、つまり想定している全て の値をとる写像を上への写像または全射であると言います。

 そして単射かつ全射のとき、全単射であると言います。日本語 での日常会話で一対一と言えば、普通に思い浮かべるのはこの全 単射の方でしょう。

 先に挙げた初等関数の内、単射、全射、全単射になるものはど

れか、ここでちょっと考えてみて下さい。

(19)

 さて、 f が全単射のとき、 f の値域を定義域とし、 f の定義域

を値域として、逆関数同様に、逆写像 f 1 が定義されます。

 今後は

y = f (x)

の逆写像

(

逆関数を含む

)

x

y

を入れ替えずに

x = f

1

(y)

と表すことが多くなります。そもそも

x

y

が同じ集合の元とは 限らないので、混乱を防ぐためと言うのが大きな理由でしょう。

 また、全射でない単射についても、終集合を値域に合わせて小 さく取り直せば、全単射となるので、逆写像を考えることができ ます。

 上の例で言うと、学籍番号などは、同じ学籍番号の人は複数い ないわけですから、学籍番号を対応させる写像は、とりあえず単 射ですが、ここで終集合を実際に振り当てられた学籍番号の集合 に制限すれば、逆写像が存在すると言えます。高校までで扱って いた逆関数 ( 例えば指数関数に対する対数関数など ) も、この意味

で考えていたことと思います。

(20)

 このように、数学では様々な概念を一般化し抽象化して行きま す。このクラスの皆さんは、数学の専門家を目指すわけではなく、

あくまでユーザーとして数学と付き合う人がほとんどであると思 いますが、それでも理系コースの人は、少なくとも多変数関数、

そして終集合も R m にとった多変数の写像

f : (R n )D R m

(x 1 , . . . , x n ) 7→ f (x 1 , . . . , x n )

= (f 1 (x 1 , . . . , x n ), . . . , f m (x 1 , . . . , x n ))

も、ある程度扱えるようになる必要があることでしょう。

(21)

 具体的には解析 II でとりあえず、多変数関数の微分積分を学ぶ ことになりますが、その際必要な極限の概念については、高校ま でに学んで来たことよりも、もう少し厳密な理解が必要になる場 合もあります。

 また、この講義でもテイラー展開と言う、一般の関数の多項式 近似もしくは無限級数展開が登場しますが、周期性のある場合に ついてはサイン・コサインの重ねあわせでより一般の関数を無限 級数で表すフーリエ級数、さらに積分による重ねあわせであ

るフーリエ変換と言うものがあり、これは医学の現場などでも CT

スキャンとして実用に供されている非常に重要な概念です。

(22)

 これらの仕組をきちんと理解するためには、やはり極限操作の 慎重な扱いが必要となります。そのための橋渡し的な意味から、

高校の主として数学 III で学んだ微分積分を復習しつつ、もう少し だけ詳しく学びなおしてもらおう、また、数学 III が苦手だった人

は、早い内に苦手を克服してもらおうと言うのが、この講義が1 年前期に設けられている理由です。

 今回指定した教科書では、まず § 1 で数列の極限から話を始め、

続く § 2 1 変数関数の極限へと進みます。

(23)

ついでに

 並行して開講される線形代数 I とそれに続く II について、ちょっ

とだけ触れておきます。この科目は、一言で言うと高校で学んだ ベクトルの続きですが、実は、高校までで皆さんが関数を学ぶ際 にもっとも基本的であった一次関数並びに二次関数の一般化につ いて学ぶ科目でもあります。

 高校までで関数を学ぶにあたり、まず一次関数を学び、二次関

数を学んだ後に、一般の関数を学び、そしてその際、微分して接

線と言う名の一次関数近似を用い、さらに二回微分して、二次関

数近似を用いてグラフの凹凸を調べたはずです。

(24)

 後期の解析 II で多変数関数を扱う際、多変数の一次関数や二次 関数が当然基本として重要になって来るのですが、大学の講義は 進むのも速く、その辺りの説明に、高校までほどゆっくり時間は かけません。では何も説明無しに進められているのかと言えば、

決してそう言うわけではなく、実は線形代数 I,II で、準備がなされ

ているのです。

 ただ、行列とベクトルと言う形である程度代数的に抽象化され て扱われているので、人によっては一見わかりにくいと感じるか もしれません。でも、この抽象化は関数への応用が全てではない ためで、皆さんは、常に多変数の一次関数や二次関数とも直結し ているのだと言う意識を持って、線形代数 I,II にも併せて取り組ん

でもらえたらと思います。

 特に線形代数 II で出て来る実対称行列の対角化は、多変数関数

の凹凸、極大極小の判定法の理解には必須です。

参照

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