日欧の女子学生のファッション意識とライフスタイ ル
著者 廣田 勘治, 小谷 利子, 石井 冨久
雑誌名 神戸山手短期大学紀要
号 52
ページ 1‑35
発行年 2009‑12‑20
URL http://id.nii.ac.jp/1084/00000819/
1. 緒 言
イタリアの女子学生のファッション意識とライフスタイルについて、 本学紀要を含めて4回 にわたり報告した
1)、 2)、 3)、 4)。 日本の女子学生のファッション意識とライフスタイルについて は、 文化学園ファッションリソースセンターが行ったアンケート調査の報告
5)、 6)、 7)があり、
この報告をもとに日本とイタリアを比較し、 「日本の女子学生がカジュアルで安価な衣服を数 多く求める傾向にあるのに対して、 イタリアの女子学生は良質で高価なものを長期間着ようと する傾向にあること」、 「イタリアの女子学生は、 日本とは違って自分らしさを重視して個性的 であろうという傾向があり、 人と違うものを着たいという意識が強いこと」、 「ファッションイ メージとして日本ではシンプルに、 かわいく、 さりげなくが主として支持されるのに対して、
イタリアでは個性的に、 女らしく、 シンプルにが主として支持されること」 など両国の歴史や 文化の違いがファッション意識やライフスタイルの違いに色濃く影響していることなどを報告 した。
ここでは、 2006年から2008年についてはフランスのファッション系専門学校生、 2008年につ いてはフランスの語学学校生、 イタリアの大学生、 および日本では本学生活学科の在学生と卒 業生を含めてアンケート調査を行った結果を報告する。 主な調査項目は前報と同様に、 「洋服 の購入費用」、 「購入ブランド」、 「意識しているファッションイメージ」、 「自分のファッション は何を参考にして決めているか」、 「ファッションに関する考えと行動様式」、 「生活の興味ある 分野についての関心度・実践度」 である。 特に、 フランスの専門学校生については、 「ファッ ションに関する考え方と行動様式」 についての36の設問から女子学生の意識にある因子を抽出 し、 クラスター分析により類型化を行った。 また、 「生活の興味のある分野についての関心度・
日欧の女子学生のファッション意識とライフスタイル
廣 田 勘 治 小 谷 利 子 石 井 冨 久
キーワード:女子学生、 日欧、 ファッション意識、 アンケート調査、 因子分析
実践度」 から ( ) により満足度を検討した。
今日のような消費低迷が長く続く時代にあってもファッションへの関心は一般の女性にとっ て強いものであるが、 特に女子学生を調査対象としているのは、 女子学生の購買層としての位 置が上位にあると考えられ、 したがってその動向を調べる意味は少なくないと考えるからであ る。
なお、 本研究の一部は私立大学 「高等教育研究改革推進」 特別補助により実施した。
2. 調査方法 2. 1 調査対象者
表1に示すように、 フランスについては、 2006年から2008年の ( ) 専門学校と ( ) 専門学校の2校計268名、 2008年の
( ) 語学学校と ( )
語学学校の2校計35名、 イタリアについては、
! "を含め てミラノおよびミラノ近辺の大学6校計82名、 および日本については、 本学生活学科の在学生 98名と卒業生72名を対象にアンケート調査を行った。 なお、 表中で*印の付いた学校、 データ は既報
4)のものである。
2. 2 調査項目
調査項目 (
#$1〜
%7) の内、 出身地 ( 1)、 年齢 ( 3)、 洋服のサイズ ( 4)、
1ヶ月平均の小遣い、 1ヶ月平均の洋服代 ( 5)、 および商品を購入するときに出してもよい と思う金額 (
%1) については直接記入方式で、 家族との同居 ( 2)、 意識しているファッショ ンイメージ (
%2)、 自分のファッションは何を参考にして決めているか (
%3)、 よく見るファッ ション雑誌 (
%5)、 よく買うブランドは何か (
%7)、 及び憧れブランドは何か (
%7
"1) の各設 問については、 あらかじめ提示した項目より複数回答可の選択方式及び自由記入方式の併用で 回答を求めた。 ただし、 今回の報告では、 出身地 ( 1) と家族との同居 ( 2) については省 略した。
ファッションに関する考えと行動様式 (
%4) については、 36の設問を用いて 「全くそうで
ある・どちらかといえばそうである・あまりそう思わない・そう思わない」 の中から1つ選ぶ
選択方式で回答を求めた。 また、 ファッションを含めたライフスタイルの中での関心度 (意識)
と実践度 (行動) を調べるために20の活動分野について設問を設け (
%6)、 興味ある分野の関
心度については 「関心がある・やや関心がある・あまり関心がない・関心がない」 の中から1
つ、 その実践度については 「積極的に行っている・やや積極的に行っている・あまり行ってい
ない・行っていない」 の中から1つずつ選ぶ方式で回答を求めた。 関心度と実践度のクロス集
計のデータから により不満足度を求めた。
なお、 イタリアの調査項目については前報
4)の に記載し、 また日本についてはこ こでは記載しないが同じ項目を含めて調査した。
表1 調査協力校と調査人数 フランス 2006−2008年 303名
専門学校 合計 268名
( ) 215名 () 53名
語学学校 2008年 合計 35名
() 10名 () 25名
*イタリア 2003年 265名
大学・高校 120名
!"#()
!"$%&()
!"$'&()
!"%(%) (!%%'() ) (()
専門学校 145名
() (() *+ ()
*%(%) ,%(%)
イタリア 2008年 82名 大学
!"-. 40名
!". 21名
!" 15名 3名
!" 2名
!"(( 1名
*日本 2003年 2666名
大学 1790名
文化女子大 女子美術短期大学 東京家政大学 共立女子大学 大妻女子大学 大阪樟蔭大学
京都女子大学 神戸山手女子短期大学
専門学校 876名
文化服装学園 大阪文化服装学園 日本 2008年 170名
卒業生 (神戸山手女子短期大学) 22−29歳 (平均27歳) 72名
大学 (神戸山手短期大学在学生) 98名
注) *印の学校については2006年度に報告済みである。
3. 結果と考察
3. 1 年齢、 体のサイズ、 洋服のサイズ
フランスの女子学生の身長・体のサ イズの基本属性を表2に示す。 表に示 すように、 前報
4)のイタリアの数値 とほぼ同じである。 なお、 トップスと ボトムスの数値はフランスとイタリア とで異なるが、 これは服のサイズの数 字表記が国毎に異なるためである。 日 本の女子学生の平均身長は約158㎝で、
文部科学省統計
8)の19歳の平均身長 とほぼ同じである。 また、 経済産業省 による最近の日本人の体格の調査
9)でも、 20歳代の女性の平均身長は約 158㎝で、 40歳代まではほとんど年齢
による変動がないと報告されている。 前回報告したように、 体のサイズ、 洋服のサイズの基本 属性は年度変化がほとんどないと考えられるので、 ここで示した値が日本、 イタリア、 フラン スの女性の平均値に近いものと考えられる。 イタリア、 フランス両国と日本を比較した場合、
身長で8〜10㎝、 バスト、 ウェスト、 ヒップのスリーサイズで2〜5㎝大きい。 イタリア、 フ ランスの洋服のサイズの平均は日本の11号に相当する。 パリやミラノのコレクションに登場す る多くのモデルの身長は170㎝から180㎝であるが、 今回調査したフランス人やイタリア人女性 の平均身長や体のサイズはモデルの体型とかけ離れたものではないので、 パリやミラノのコレ クションのテーマとしてあげられるセクシーやグラマラスといった女らしさのイメージを消化 しやすいといえる。
3. 2 小遣い・洋服代・商品購入金額
表3には、 「1ヶ月平均の小遣いと洋服代」 を示す。 この一連の調査を始めた2001年はイタ リアの通貨がリラの時代であり、 翌2002年にリラからユーロへ切り替わった。 このユーロ導入 時の換算レートは、 1ユーロ=1936 27リラ=111 5円であった。 以後、 2008年までの間に換算 レートに大きな変動があったが、 小遣い、 洋服代および商品購入金額の表示に統一性を持たす ためにここでは当初の換算レート (1ユーロ=111 5円) を用いて円換算した数値を示した。
日本の大学生 (山手) の2008年の小遣い (¥53 500)、 洋服代 (¥26 000) は、 2003年に比べ てそれぞれ20%、 30%ほど高くなっている。 その洋服代は小遣いの約50%をしめ、 2003年のと きの約40%よりも高い。 山手の卒業生は学生に比べてやや小遣いが大きいが、 洋服代はほぼ学
表2 女子学生の基本属性
*日 本 *イタリア フランス 2003年 2003年 2008年 人数
年齢 身長 (㎝) バスト (㎝) ウェスト (㎝) ヒップ (㎝) トップス ボトムス
2666 193 1585
846 632 894
−
−
263 208 1666
871 680 911 426 428
268 220 1683
873 684 931 379 381 注) トップス、 ボトムス:上下の服のサイズ表記で、 日本では標
準身長158㎝の場合、 7号サイズがバスト80㎝、 ウェスト61㎝、
ヒップ89㎝、 9号サイズがバスト83㎝、 ウェスト64㎝、 ヒップ 91㎝、 11号サイズがバスト86㎝、 ウェスト67㎝、 ヒップ93㎝。
欧州ではサイズの数字表記が国毎に違い、 イタリアでは40サイズ が85−88㎝、 42サイズが88−92㎝、 44サイズが91−96㎝。 フラ ンスのサイズ表記は、 同じサイズでもイタリアに比べて小さい。
生と同額である。
フランスのファッション系専門学校生については、 日本の学生より小遣い (¥62 600) が多 いが、 逆に洋服代 (¥12 800) は日本の学生の約50%で大きな差が見られる。 語学学校生につ いては、 小遣い (¥46 900) が専門学校生に比べて25%ほど低いが、 洋服代 (¥11 400) はほ ぼ同額である。
イタリアについては、 2008年の大学生の小遣い (¥21 900) は2003年の大学生の小遣い (¥22 900) とほぼ同額であるが、 2008年の洋服代 (¥6 700) は2003年のそれと比べて約30%
低い。
洋服代を3国で比較した場合、 日本の学生が洋服代にかけるお金はイタリアやフランスの専 門学校に比べてもきわめて多いといえる。
次に、 日本、 フランス、 イタリアの 「商品を購入するときに出してもよいと思う金額の平均 値」 を表4に示す。
日本の学生について、 2008年の商品購入金額を2003年の購入金額と比較した場合、 バッグや アクセサリーについては20%ほど大きいが、 それ以外のアイテムについてはほとんどが10%か ら20%ほど低くなっている。 これは、 アイテムの価格が5年間にやや低価格へと変動したこと によると思われる。 卒業生については、 大学生に比べて全般的に購入金額が大きくなり、 バッ グやアクセサリーにいたっては倍額以上である。
イタリアの大学生について、 2008年の各アイテムの購入金額を2003年と比べるとほとんどの アイテムでやはり10%から20%ほど低くなっている。 これも日本と同様にアイテムが低価格化 したことによると思われる。 2008年の商品購入金額を同年の日本の購入金額と比べると、 全般 的に日本より20〜30%ほど低い。 2008年のイタリアの専門学校生のデータはないが、 前回報 告
4)したことから日本の大学生とイタリアの専門学校生はほぼ同程度の金額を商品購入に使っ ているものと考えられる。 イタリアと日本の購入金額を比較して特徴的なのは、 バッグと靴に かける金額の違いである。 日本は靴よりもバッグにお金をかけるが、 逆に、 イタリアはバッグ
表3 1ヶ月平均の小遣いと洋服代
フ ラ ン ス 2008年 専門学校 語学学校 小遣い
洋服代
¥62600
¥12800
¥46900
¥11400 注) 1ユーロ=¥1115
日 本
*2003年 2008年 学 生 大学 (山手) 卒業生 小遣い
洋服代
¥44200
¥19300
¥53500
¥26000
¥63500
¥27100 イ タ リ ア
*2003年 2008年
*専門学校 *大 学 *合 計 大 学 小遣い
洋服代
¥43600
¥17300
¥22900
¥9600
¥33700
¥13700
¥21900
¥6700
よりも靴にお金をかける。 また、 イタリアは服にお金をかけてもアクセサリーにはお金をかけ ないが、 日本の場合はアクセサリーにも服と同程度お金をかけている。
一方、 フランスの専門学校生については、 バッグとアクセサリーを除く9ヶのアイテムの購 入金額は日本の学生とほぼ同額である。 結局、 日本の学生とイタリア、 フランスの専門学校生 の商品購入金額は一部を除いてほぼ同じ、 つまり消費傾向が3国で同じことになって興味深い。
バッグとアクセサリーについては、 フランスもイタリアと同様に日本ほどお金をかけていない。
ただイタリアと違って、 フランスはバッグと靴にかける金額の差はほとんどない。 なお、 フラ ンスの語学学校生の商品購入金額は専門学校生の購入金額と比べてやや低いがほぼ近似してお り、 大きな差は見られない。
以上、 見てきたように商品購入にかける金額は日本、 イタリア、 フランスにおいて一部を除 いて大差がない。 これは急速に経済のグローバル化、 低価格化が進んでいて国による差がほと んどないことによると思われる。
表4 商品購入時に出してもよいと思う金額
日 本
*2003年 2008年 学 生 大学 (山手) 卒業生 ジャケット
シャツ ワンピース コート スカート パンツ Tシャツ ニット バッグ 靴 アクセサリー
¥19200
¥7700
¥12500
¥30100
¥10300
¥12500
¥6000
¥10900
¥21400
¥17500
¥12000
¥16680
¥6000
¥10700
¥20500
¥8500
¥10700
¥5900
¥8900
¥25000
¥13300
¥15000
¥30100
¥9000
¥16900
¥38000
¥13300
¥15700
¥6500
¥11500
¥57500
¥24500
¥39600
フ ラ ン ス 2008年 専門学校 語学学校 ジャケット
シャツ ワンピース コート スカート パンツ Tシャツ ニット バッグ 靴 アクセサリー
¥13800
¥6600
¥12400
¥22700
¥8300
¥11400
¥4400
¥7300
¥15200
¥16300
¥5700
¥17200
¥5600
¥9600
¥21400
¥6100
¥8800
¥3400
¥6000
¥16400
¥13400
¥5200 イ タ リ ア
*2003年 2008年
*専門学校 *大 学 *合 計 大 学 ジャケット
シャツ ワンピース コート スカート パンツ Tシャツ ニット バッグ 靴 アクセサリー
¥24900
¥9100
¥24200
¥32300
¥9700
¥13500
¥7000
¥9100
¥13100
¥26600
¥9900
¥14500
¥6100
¥14800
¥23800
¥6700
¥9100
¥4900
¥7000
¥6500
¥13800
¥4500
¥20200
¥7700
¥20000
¥28400
¥8300
¥11500
¥6050
¥8200
¥10200
¥20800
¥7400
¥10850
¥4700
¥7600
¥15900
¥5400
¥6800
¥3100
¥5000
¥6200
¥10700
¥2600
3. 3 よく買うブランド・憧れブランド
日本、 フランス、 イタリアについての 「よく買うブランドは何か (購入ブランド)」、 および
「憧れのブランドは何か (憧れブランド)」 に対する10位までの回答の結果をそれぞれ表5、 表 6に示す。
日本の購入ブランドについて2003年と2008年を比較すると、 両年とも や な
表5 購入ブランド 上位ベスト10
日 本
*2003年 学生 2008年 大学 (山手)
ブランド % ブランド %
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
57%
54%
39%
30%
29%
21%
18%
17%
17%
16%
!" #
$%"##
%&&"
'(
%
59%
27%
23%
19%
18%
16%
14%
14%
13%
11%
フ ラ ン ス
2008年 専門学校 2008年 語学学校
ブランド % ブランド %
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
)*
+"
,("#
-,#"( &#"(
77%
69%
44%
26%
25%
24%
23%
20%
15%
13%
)*
+"
-,#"( &#"( ,("#
66%
60%
46%
37%
37%
34%
31%
31%
26%
20%
イ タ リ ア
.2003年 学生 2008年 大学
ブランド % ブランド %
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
## +"
* /"(%&&"
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$(-"
$%(
( 0(
50%
50%
34%
27%
26%
24%
21%
19%
19%
15%
)*
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/"(%&&"
*%&&"
"
0(
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80%
76%
56%
46%
20%
15%
11%
10%
9%
9%
どの低価格のカジュアルブランドが上位をしめているが、 2008年においては 、 、 といった高級ブランドが顔を出している。 これは、 日本の学生の洋服代が今回の調査 で最高であることに呼応している。 一方、 憧れブランドについて2003年と2008年を比較すると、
両年で人気の上下差はあるが高級ブランドがずらっと並んでいて、 ブランド好きの傾向は変わ らない。
表6 憧れのブランド 上位ベスト10
日 本
*2003年 学生 2008年 大学 (山手)
ブランド % ブランド %
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
!
31%
28%
27%
25%
23%
23%
19%
18%
18%
13%
"#
"
$%
31%
27%
18%
16%
15%
11%
10%
7%
6%
5%
フ ラ ン ス
2008年 専門学校 2008年 語学学校
ブランド % ブランド %
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
&
'"(
!)
*+,-, "#
21%
17%
16%
15%
12%
12%
12%
11%
11%
11%
!)'
. / 0/
*+**
12 (**
29%
26%
23%
20%
20%
14%
14%
11%
11%
9%
イ タ リ ア
32003年 学生 2008年 大学
ブランド % ブランド %
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
4'$ 12 * (0 5
4
39%
22%
20%
20%
14%
13%
13%
13%
11%
10%
!)'
$ 12 4'
5 6
49%
48%
39%
26%
17%
16%
12%
11%
7%
7%
次に、 イタリアの購入ブランドについて2003年と2008年を比較すると、 2008年には
10)と が登場して1位と2位をしめ、 他のブランドを圧倒していることがわかる。 も も最近ヨーロッパで人気を博しているいわゆるファストファッションのブランドで、 海 外の店舗も多く今や世界ブランドとなっている。 両ブランドともファッション・ショーで展開 される最先端の流行をすばやく取り入れ、 これを高級ブランドと比べて手頃な値段で販売し、
2、 3週間ごとに商品を入れ替えて、 同じ商品を置かないシステムをとっている。 は数 年前より関西に進出し、 神戸三宮には昨年店舗ができたので、 2008年の調査では認知度が低く、
実際に購入した学生は3名しかいなかった。 については、 昨年東京に進出したばかりで、
関西にはまだ店舗がない。 この2つのブランド以外では2003年、 2008年の両年ともに同じ 、 、 、 といったイタリアのカジュアルブランドと高級ブランドが並 んでいる。 2003年の憧れブランドについて前報では、 購入ブランドと憧れブランドがほぼ一致 することを報告したが、 2008年では や が1位と2位をしめ、 フランスのブラン ドの が入っているものの、 それ以外はやはり購入ブランドと同じ顔ぶれである。 イタ リアの大学生の場合、 小遣いや洋服代が他と比べて少ないにもかかわらず意外と高級ブランド 好きなことがわかる。
一方、 フランスの専門学校と語学学校の購入ブランドを見ると、 両者ともにイタリアと同様 と が1位と2位をしめ、 他の 、 、 といったフランス のカジュアルブランドを圧倒している。 憧れブランドについては、 専門学校と語学学校とでは 差異が見られる。 すなわち、 語学学校生の場合は、 購入ブランドと憧れブランドのいずれもが カジュアルブランドのみで高級ブランドは入っていないが、 専門学校生の場合は、 と を除いては、 、 、 といったフランスの高級ブランドの名前があ がっている。 やはり、 ファッション系専門学校生は高級ブランドに憧れがあるようである。
以上のように、 実際の購入ブランドについては、 日本、 イタリア、 フランスの3国とも一部 を除いては上位はカジュアルブランドが主体である。 憧れブランドについては、 日本の大学生、
フランスの専門学校生、 イタリアの大学生ともに高級ブランド嗜好であることで似通っている。
フランスの語学学校生の場合は、 比較している他の学生と違ってカジュアルブランド好きなこ とがわかり、 このことは一般の若いフランス女性も同様の嗜好であることを想像させ、 低価格 のものでもファッションセンスにより上手に着こなしているのであろうと思われる。
3. 4 意識しているファッションイメージ
この 「意識しているファッションイメージ」 の調査は個人のファッションに対する意識を探
り出そうとするもので、 前報では2001〜2004年度のイタリアの結果と、 ファッションリソース
センターが行った2001〜2003年度の日本の調査結果と比較した。 ここでは、 表7 (1) に日本
の2003年度の日本 (関西) と2008年度の大学 (山手) および山手の卒業生の結果を示す。 (2−
1) にはフランスの2つの専門学校の年度別の結果と、 2008年度の 専門学校の結果を、
また (2−2) には専門学校の3年間を合計した結果と、 2008年度の語学学校の結果を、 さら に (3) においてはイタリアの2003年度の結果と2008年度の大学の結果を示した。
前報の結論として、 日本では 「シンプルに」 と 「かわいく」 が年度を問わず圧倒的に支持さ れているので、 これを日本の学生のファッションイメージとした。 一方、 イタリアでは 「個性 的に」 と 「女らしく」 が年度を問わず圧倒的に支持されている。 この 「個性的に 」 が上位を占めることに関して には日本語の 「個性的に」 という言葉の中にある突飛 であるというマイナスのニュアンスが極めて少なく、 人にはない素晴らしいというプラスのニュ アンスが強いので学生だけではなく一般のイタリア人に支持されるという 教授の 話
11)を紹介し、 この 「個性的に」 と 「女らしく」 をイタリアの学生のファッションイメージ と結論した。 一方、 日本で支持されている 「かわいく ( )」 がイタリアで支持されないの は、 子供っぽく見られるより大人として見られたいという意識を持つ女性が多いことを理由と
(1) 日本
*2003年 学生 2008年 大学 (山手) 2008年 卒業生
イメージ % イメージ % イメージ %
1 2 3 4 5
シンプルに かわいく さりげなく ナチュラルに かっこよく
47%
44%
38%
33%
32%
シンプルに かわいく 大人っぽく 落ち着いて かっこよく
61%
47%
45%
41%
40%
シンプルに かわいく 女らしく 上品に ナチュラルに
56%
35%
35%
35%
33%
6 7 8 9 10
女らしく 大人っぽく 個性的に 落ち着いて 活動的に
31%
28%
28%
27%
22%
女らしく ナチュラルに 上品に 個性的に
ファッショナブルに 40%
29%
23%
18%
16%
ファッショナブルに 落ち着いて
かっこよく 大人っぽく 清楚に
26%
25%
25%
25%
19%
11 12 13 14 15
ファッショナブルに 上品に
ボーイッシュに スポーティーに 知的に
19%
18%
15%
10%
9%
さりげなく 清楚に 派手に 活動的に ボーイッシュに
15%
13%
13%
11%
11%
さりげなく シックに 個性的に 活動的に 都会的に
19%
15%
15%
14%
13%
16 17 18 19 20
都会的に 健康的に ロマンチックに その他
派手に
8%
7%
7%
7%
5%
都会的に シックに 知的に
スポーティーに エレガントに
11%
10%
9%
8%
5%
エレガントに 知的に 派手に 健康的に スポーティーに
13%
10%
7%
6%
6%
21 22 23
アバンギャルドに 洗練された エレガントに
4%
−
−
健康的に ロマンチック アバンギャルドに その他
3%
3%
1%
0%
ボーイッシュに アバンギャルドに その他
ロマンチック
4%
4%
4%
1%
注) 表中の欄の−は同じ形容語での調査データがないことを示す。
表7 ファッションイメージ
した。
2008年度の日本の大学 (山手) の結果においても、 やはり 「シンプルに」 と 「かわいく」 が 1、 2位を占めており、 「さりげなく」 の支持率に大きな減少があるもののその他の項目につ いてはほぼ2003年の結果と同じ傾向にある。 山手の卒業生については、 「上品に」 が上位にあ るものの、 「シンプルに」 と 「かわいく」 の支持率はやはり高い。
表 (2−1) のフランスの専門学校の年度別の結果を見ると、 「女らしく」 が年度を問わず 1位で、 「都会的に」、 「かっこよく」、 「ファッショナブルに」 が年度により違いはあるが上位 を占めている。 イタリア以上により個性を重要視するだろうと思われたフランスの専門学校に おいて 「個性的に 」 が上位に登場しないので、 別途、 専門学校と語学学校の調 査項目に、 日本語では同じく 「個性的に」 を意味する 「独自の 」 を加えた結果をそ れぞれ (2−1) と (2−2) に添付した。 この結果で明らかなように 「個性的に 」 が20%以下しか支持されないのに対して、 「独自の 」 は40%近い支持があった。 し たがって、 今回のフランスの調査において最初から 「独自の 」 の項目を入れた場合 には、 5位以内の上位に入るものと推定される。
また、 イタリアの2008年度の調査においても、 表 (3) に示すように従来の 「個性的に
(2−1) フランス 専門学校 年度別2006年 104名 2007年 80名 2008年 84名
イメージ % イメージ % イメージ %
1 2 3 4 5
女らしく かっこよく 都会的に
ファッショナブルに 洗練された
50%
47%
42%
33%
28%
女らしく
ファッショナブルに ナチュラルに 都会的に シンプルに
46%
38%
36%
34%
33%
女らしく 都会的に
ファッショナブルに かわいく
かっこよく
64%
51%
48%
43%
36%
6 7 8 9 10
個性的に かわいく ナチュラルに シンプルに 活動的に
26%
25%
25%
24%
22%
エレガントに 洗練された かわいく かっこよく 健康的に
31%
31%
30%
30%
28%
エレガントに ナチュラルに 洗練された 活動的に さりげなく
33%
31%
26%
25%
25%
2008年 専門学校 21名
イメージ % イメージ %
女らしく
ファッショナブルに かわいく
都会的に
独自の
76%
62%
52%
48%
38%
落ち着いて シックに 活動的に 清楚に シンプルに
19%
19%
19%
19%
14%
かっこよく 洗練された さりげなく ナチュラルに エレガントに
33%
33%
33%
33%
29%
健康的に
個性的に アバンギャルドに スポーティーに ボーイッシュに
14%
14%
10%
10%
5%
」 に加えて 「独自の 」 を入れた結果、 「個性的に 」 はやはり高支 持ではあるが 「独自の 」 がさらに上位の1位となった。
語 源 が 同 じ で あ る フ ラ ン ス 語 の 「 個 性 的 に 」 と イ タ リ ア 語 の 「 個 性 的 に 」 に対するそれぞれフランス人とイタリア人のとらえ方の違いは不明であるが、 日 本語でいうところの 「個性的に」 には、 英語の に相当するイタリア語の 、 フ ランス語の を使用する方がより妥当であると考えられる。
日本の 「個性的に」 に関しては、 2008年では支持率が20%に達せず、 2003年の28%よりも逆 に低下している。
日本人が 「個性的」 でないことに関しては、 前報で、 多くの日本人の学者や研究者
12、 13)の
「日本人は、 個人よりも集団を重視し、 流行に支配されやすい傾向にある」 という指摘や、 外 国人である . クラーク氏
14)の 「どの社会でも画一主義的、 集団的本能は存在するが、 西欧 人は自分自身を社会内における個人としてとらえ、 好きなときに好きな行動をとれる自由な存 在として規定する性向を持っていて、 単に自分達と違うとか、 自分たちのグループに属してい
(2−2) フランス
2006年−2008年 専門学校 2008年 語学学校
イメージ % イメージ %
1 2 3 4 5
女らしく
都会的に
かっこよく
ファッショナブルに
かわいく
53%
42%
38%
38%
32%
ナチュラルに シンプルに 都会的に エレガンスに
独自の
54%
46%
37%
37%
37%
6 7 8 9 10
ナチュラルに
洗練された
エレガンスに
個性的に
シンプルに
29%
28%
28%
24%
24%
ファッショナブルに かっこよく
女らしく さりげなく かわいく
31%
31%
31%
31%
29%
11 12 13 14 15
活動的に
健康的に
さりげなく
上品に
シックに
24%
23%
21%
18%
18%
シックに 落ち着いて
個性的に 清楚に
活動的に
20%
17%
17%
17%
14%
16 17 18 19 20
清楚に
ロマンチックに
ボーイッシュに
アバンギャルドに
落ち着いて
17%
14%
13%
12%
11%
洗練された アバンギャルドに その他
健康的に ボーイッシュに
14%
11%
11%
11%
9%
21 22 23 24 25
スポーティーに
大人っぽく
派手に
その他
知的に
9%
7%
6%
6%
4%
上品に 派手に 知的に ロマンチック スポーティーに
9%
9%
6%
6%
6%
大人っぽく 3%
ないという理由で、 特定の人々を締め出すという考えを拒絶する」 や、 . ライシャワー 氏
15)の 「日本人は、 個人を犠牲にしても集団に重きを置くという傾向であり、 衣服・行動・
生活様式や思想においてすら集団の規範に従うことで満足している」 という意見を紹介した。
今回のファッションイメージの調査において 「個性的に」 の支持率が低いのは、 多くの学者 や研究者が指摘するように、 やはり日本人にとって 「個性的に」 をネガティブにとらえる人が 多いことを思わせる。
「シンプルに」 に関しては、 フランスの専門学校においては低位であるが、 語学学校におい ては 「ナチュラルに」 に次いで2位であり、 また2008年度のイタリアの一般の大学生において も 「シンプルに」 は3位と高支持である。 これは前報で議論したように、 日本と同様にイタリ アやフランスの専門学校生においては 「シンプルに」 よりも 「ファッショナブルに」 が上位に なり、 逆に、 一般の学生については 「ファッショナブルに」 よりも 「シンプルに」 が上位とな り、 今回のフランスを加えて国によらず同じ傾向を示す結果となった。
イタリアの 「かわいく ( )」 に関しては、 前述のように15%程度で低支持であったのが、
(3) イタリア
*2003年 学生 2008年 大学
イメージ % イメージ %
1 2 3 4 5
女らしく
個性的に
シンプルに
洗練された
ナチュラルに
55%
55%
39%
37%
35%
独自の 女らしく シンプルに
個性的に さりげなく
52%
43%
40%
40%
32%
6 7 8 9 10
エレガントに
かっこよく
さりげなく
ファッショナブルに スポーティーに
33%
30%
28%
27%
23%
かわいく エレガンスに ナチュラルに 健康的に 清楚に
29%
26%
24%
22%
21%
11 12 13 14 15
活動的に
アバンギャルドに
健康的に
上品に
ロマンチックに
23%
22%
22%
16%
15%
かっこよく シックに
ファッショナブルに 都会的に
スポーティーに
20%
20%
18%
17%
17%
16 17 18 19 20
都会的に
かわいく
落ち着いて
知的に
派手に
15%
15%
13%
10%
8%
落ち着いて 洗練された 活動的に 上品に
アバンギャルドに
13%
11%
11%
9%
9%
21 22 23
ボーイッシュに
その他
大人っぽく
8%
6%
3%
ロマンチック その他 派手に 知的に 大人っぽく
7%
7%
6%
4%
4%
ボーイッシュに 1%