中 国 国 有 企 業 改 革 の 方 向 に 関 す る 一 考 察
YuLi.andMA:Jun,``Co巾orateqovernan6eand
.SOEsRef6广mihChina,,
を 中 心.に
鷲尾 紀.吉.
A Study on the Direction, of China's
SOEs Reform
Focusing on Yu Li and MA Jun, "Corporate
Governance and
SOEs Reform in China"
Kiyoshi Washio
This paper aims to consider the direction of China's SOB (State-Owned Enterprises) Reform . Chinese Government has wrestled with the reform of SOEs as one of the most important tasks . According to Official Statistics, about one-third of the SOEs were operatirigat a loss. Unemployment due to increasing number of SOEs going out of business has become the top concern of policy makers.
Under this circumstance, many reports, papers, and proposals concerning with reform of SOEs have been made public up to the present. In these research materials, research report "Corporate Governance and SOES Reform in China7 is much valuable work, including research achievements on rationales of SOEs. policy environment of three types of SOEs, corporate governance of SOEs and legal frameworks for three types of SOEs and so on. This resear ch report was written during June 1997 and June 1998 by Dr. Yu Li , Professor and Director of MBA -Center, Dongbei University of Finance and Economics and by Dr. MA Jun, Economist,'International Monetary Fund.
I clarified in this paper the possible ways of China's SOEs reform by introducing the above research report and analyzing the contents precisely.
This paper is composed with six chapters. Chapter 1, titled "Movement and Wrestle of SOEs Reform in China" describes the recent movement of policy and wrestle of Chinese Government in SOEs Reform . Chapter 2, titled "Classification of SOEs and their , Dual Objectives" stresses the necessity of classification and dual objectives of SOEs. Chapter 3, titled "Rationales of SOEs" discusses the rationales for three types of SOEs. Chapter 4, titled "Policy Environment of Three Types of SOEs" looks, at the different features of policy environment applied to different types of SOEs. Chapter 5, titled "Corporate 6overnance of the Types of SOEs" analyzes the corporate governance structures for these types of SOEs. Chapter 6', titled "Legal Frameworks for Three Types of SOEs" studies the legal frameworks appropriate for these type's of SOEs. Finally, the conclusionwill be presented.
は じ め に 国有 企 業 の 改 革 は 、 中 国 政 府 に とっ て 最 重 要 課 題 の1つ で あ る。 国 有 企 業 は3分 の1以 上 が 負 債 を か か え て お り、 か つ そ の負 債 額 の合 計 は 巨 額 で あ る 。1998年3月 に朱 容 基 首 相 は 「3年 以 内 に大 半 の 大 型 国 有 企 業 を苦 境 か ら脱 皮 させ る 」 と宣 言 した が 、 そ の 改 革 は一 方 で 失 業 の 増 大 等 社 会 不 安 を 引 き起 こ し、1999年9月27日 に発 表 さ れ た 「国 有 企 業 改 革 と発 展 の 若 干 の 重 要 問 題 に 関 す る 中 国 共 産 党 中央 委 員 会 の決 定 」 で は 努 力 目標 に 置 き換 え られ 、2010年 まで に 国 有 企 業 の改 革 と再 編 成 を行 う とい う よ う にそ の解 決 が 先 延 ば しさ れ た 。 こ の よ うな 国有 企 業 の 改 革 が 揺 れ 動 く状 況 下 で 、 国 有 企 業 改 革 に 関 す る議 論 や 提 案 が 多 くな さ れ て い る が 、 そ の 中 でYuLiandMAJ㎜,"C卿orateGovemanceandSOEsRefo㎜inChina"1ま 従 来 の 国有 企 業 の と らえ 方 の 不 合 理 性 を 指 摘 し、 国 有 企 業 を類 型 化 し、 そ の 類 型 毎 に 国 有 企 業 の改 革 とそ の企 業 統 治 の あ り方 を提 案 す る極 め て 貴 重 な研 究 報 告 とい え る 。 そ こで 、 本 稿 は、 上 記 研 究 報 告 を紹 介 し、 そ の 内 容 を検 討 し なが ら中 国 国有 企 業 改 革 の 方 向 に つ い て考 察 を行 っ た。 1中 国 に お け る 国 有 企 業 改 革 の 動 向 と取 組 1.1国 有 企 業 改 革 へ の 新 た な取 組 中 国 共 産 党 の 第15期 中央 委 員 会 第4回 全 体 会 議(四 中全 会)は 、1999年9月22日 に 「国 有 企 業 改 革 と発 展 の 若 干 の重 要 問 題 に 関 す る中 国 共 産 党 中 央 委 員 会 の 決 定 」 を採 択 し、 中 国 共 産 党 中 央 委 員 会 は 、 同 月27日 に公 表 した 。 この 決 定 は、 全 文12節 か ら な る 長 文 で あ るが 、 そ の 概 要 は 以 下 の とお りで あ る% (1)国 有 企 業 の 改 革 と発 展 の 推 進 は重 要 か つ 差 し迫 った 任 務 で あ る。 国有 企 業 の 改 革 は 、 経 済 体 制 全 体 の 改 革 の 中心 の 一 環 で あ る。 社 会 主 義 市 場 経 済 体 制 を確 立 し、 完 全 な もの に し、 公 有 制 と市 場 経 済 の 効 果 的 な結 合 を 実 現 す る面 で は 、 国有 企 業 に 市 場 経 済 の 要 請 に応 え る管 理 体 制 と経 営 メ カ ニ ズ ム を構 築 させ る こ とが 最 も重 要 で あ る 。 (2)国 有 企 業 の 改 革 と発 展 の 主 要 な 目標 と指 導 方 針 第15回 党 大 会 と党 の15期 一 中全 会 は 、 約3年 を か け て 大 多 数 の 国 有 大 中 型 欠 損 企 業 を苦 境 か ら 脱 出 させ 、今 世 紀 まで に大 多 数 の 国 有 大 中 型 中 堅 企 業 が 現 代 企 業 制 度 を一 応 確 立 す る よ う に努 力 す る こ と を提 出 した 。 国 有 企 業 の改 革 と発 展 を押 し進 め る た め に は 、 な り よ り も まず この 目標 実 現 の た め に最 大 の 努 力 を傾 け な け れ ば な ら ない 。 2010年 ま で の 国 有 企 業 の 改 革 と発 展 の 目標 は 、 経 済 体 制 と経 済 成 長 方 式 とい う2つ の根 本 的 な 転 換 と対 外 開 放 拡 大 の 要 請 に 適 応 し、 戦 略 的 調 整 と改 組 を一 応 完 成 し、 比 較 的 合 理 的 な 国 有 経 済 の 配 置 と構造 を形 成 し、 比 較 的 完 全 な現 代 企 業 制 度 を確 立 し、 経 済 的 効 果 が 明 らか に 向 上 し、科 学 技 術 開 発 能 力 、 市 場 競 争 能 力 、 リス ク対 応 能 力 を著 し く増 強 し、 国 民 経 済 に 国民 経 済 の 中 で よ りよ く主 導 的 役 割 を果 た させ る こ とで あ る。 (3)戦 略 的 面 か ら国民 経 済 の 配 置 を調 整 す る。 国 民 経 済 の 役 割 は 、 国有 独 資 企 業 を通 じて 実 現 し な け れ ば な ら な い が 、 そ れ に も ま して 株 式 制 を大 い に発 展 させ 、 国 有 の持 株 企 業 と株 式 参 加 を通 じて 実 現 す る こ と を模 索 しな け れ ば な ら ない 。 国 有 経 済 は 、 必 要 な 数 量 を保 つ べ きで あ るが 、 そ れ に も ま して 配 置 を最 適 化 させ 、 品 質 を高 め な け れ ば な ら な い。 (4)国 有 企 業 の戦 略 的改 組 を推 進 す る 。 一62一
実 力 と競 争 の 強 い 大 手 企 業 と企 業 グ ル ー プ の 育 成 に力 を入 れ 、 そ の う ち の 一 部 は 、 地 域 、 業 種 、 所 有 制 、 国籍 に跨 っ て 経 営 す る大 手 企 業 グ ル ー プ に な る こ とが で き る。 ま た、 引 き続 き改 組 、 連 合 、併 合 、 リー ス 、 請 負 経 営 、 株 式 合 作 制 、 売 却 な ど、 い ろ い ろ の 形 式 で 国有 中 小 企 業 を 自 由化 、 活 性化 させ な け れ ば な ら をい 。 (5)現 代 企 業 制 度 を確 立 し、 完 全 な もの にす る 。 引 き続 き行 政 と企 業 の 分 離 を押 し進 め る 。 政 府 は企 業 の 日常 経 営 活 動 に 干 与 せ ず 、 企 業 は 、 法 に よ っ て 自主 的 に経 営 し、 責 任 を もっ て所 有 者 の純 資 産 の価 値 を保 全 ・増 大 しな け れ ば な ら な い。 国家 所 有 、 分 級 管 理 、 授 権 経 営 、 分 業 監 督 とい う原 則 に の っ と り、 国 有 資 産 の 管 理 ・監 督 ・運 営 シ ス テ ム とメ カ ニ ズ ム を徐 々 に構 築 しな け れ ば な ら な い 。 さ らに 、 株 主 総 会 、 董 事 会 、 監 事 会 と経 理 の 職 責 をそ れ ぞ れ 明 確 に し、 そ れ ぞ れ 責 任 を負 い 、 強 調 して 運 営 し、 効 果 的 にバ ラ ン ス を 保 つ とい う公 司 法 人 に よる管 理 の 構 造 を形 成 しな け れ ば な ら ない 。 (6)企 業 管 理 を強 化 、 改 善 す る。 企 業 管 理 を 強 化 し、 科 学 的 管 理 の レベ ル を高 め る。 コス ト管 理 、資 金 管 理 、 品 質 管 理 、 あ る い は 全 国統 一 の 会 計 制 度 を確 立 し、 健 全 にす る。 また 、 近代 的 な管 理 技 術 、 方 法 、 手段 を広 く採 用 す る。 (7)国 有 企 業 の 資 産 負 債 構 造 を改 善 し、企 業 の 社 会 的負 担 を軽:減す る。 負 債 率 が 高 く、 資 本 金 が 不 足 し て い る 国 有 企 業 に対 して は 、 債 務 の 株 式 へ の 転 換 を実 行 す る 。 また 、 企 業 の福 利 厚 生 事 業 の職 能 を徐 々 に政 府 負 担 に移 行 す る 。 (8)人 員 削 減 に よる 収 益 増 、再 就 職 、 社 会 保 障 活 動 を う ま く行 う。 人 員 整 理 と増 収 を有 機 的 に結 びつ け て 、 企 業 の コス トダ ウ ン、 効 率 向 上 、 収 益 増 加 の 目的 を達 成 し な け れ ば な ら な い 。 従 業 員 の レイ オ フ の 手 続 き を規 範 化 させ 、 企 業 再 就 職 サ ー ビス セ ン ター を う ま く運 営 す る と と もに、 社 会 保 障 基 金 を 充 実 させ な け れ ば な らな い 。 (9)国 有 企 業 の技 術 進 歩 と産 業 の グ レ ー ドア ッ プ を加 速 す る。 市 場 を リ ー ド し、 先 進 的 技 術 で在 来 の 産 業 を改 造 して 、 既 存 企 業 の技 術 改 造 を強 化 す る こ と、 及 び 電 子 情 報 、 バ イ オ テ ク ノ ロ ジ ー な どの 新 興 産 業 とハ イ テ ク 産 業 が 先 導 的 役 割 を果 た す こ とが そ の 方 向 と重 点 で あ る 。 (10)国 有 企 業 の 改 革 と発 展 の た め に 良好 な 外 部 環 境 をつ くる 。 対 外 開 放 、 各 種 市 場 の発 展 、 仲 介 サ ー ビス 体 系 、 さ ら に は社 会 主 義 市 場 経 済 の 法 制 度 の 整 備 ・ 確 立 を図 る 。 (11)高 素 質 の 経 営 管 理 者 陣 を建 設 す る 。 国 有 企 業 の 人 事 制 度 改 革 の 深 化 、 国有 企 業 経 営 管 理 者 の 奨 励 制 度 と制 約 メ カ ニ ズ ム の確 立 等 を 通 じて 高素 質 の 経 営 管 理 者 陣 、 多 数 の優 れ た 実務 家 を育 て 上 げ る。 (12)国 有 企 業 の 改 革 と発 展 活 動 に対 す る 党 の 指 導 を強 化 す る 。 党 の 指 導 の 強 化 と改 善 は 、 国有 企 業 の 改 革 と発 展 を速 め る根 本 的 保 証 で あ る 。 党 の政 治 面 の 強 み の発 揮 を市 場 メ カ ニ ズ ム の 運 用 と結 び つ け 、 各 方 面 の 積 極 性 を 引 き 出 し、 国 有 企 業 の 改 革 と任 務 の順 調 な 達 成 を確 保 し な け れ ば な ら ない 。 以 上 、雑 駁 に 「決 定 」 の 概 要 をみ て きたが 、 こ の 「決 定 」 の 文 案 が 決 ま る まで 、 原 案 に200カ 所 以 上 の 修 正 が 加 え られ た と さ れ て い る 。 そ れ だ け 国有 企 業 改 革 に は 困 難 で根 深 い 問 題 が 潜 ん で い る こ とを物 語 っ て い る とい え よ う。 「決 定 」 の 内 容 は 広 範 囲 か つ 、 網 羅 的 で あ るが 、 そ の 特 徴 と し て 以 下 の点 を あ げ る こ とが で きる。 一63一
第 一 に、 朱 容 基 首 相 は 、1998年3月 に 、 国 有 企 業 、 金 融 制 度 、 行 政 機i構の3大 改 革 を3年 以 内 に実 現 す る こ と を公 約 と して掲 げ 、1特に 、 国 有 企 業 の 改 革 は 、 市 場 経 済 の 原 理 に 沿 っ て 推 進 す る こ と を 表 明 して い た。 しか し、 今 回 の 決 定 で は 、 まず 、 朱 容 基 首 相 が 公 約 して い た3年 以 内 の 改 革 とい う 目標 は、 「実 現 に最 大 限 の努 力 を つ くす 」 とい う努 力 目標 とな り、2010年 まで に 「戦 略 的 調 整 と改 組 を基 本 的 に 完 成 」 す る と い う よ う に改 革 完 了 が 事 実 上 先 延 ば し され た こ と で あ る 。 こ の 背 景 に は、 朱 首 相 の急 速 な改 革 に よ り、 失 業 の 増 大 を もた ら し、 こ れ が社 会 の 安 定 を損 な い か ね な い と い う危 惧 が あ っ た こ とに よる 。 実 際 に 、 国有 企 業 にお け る失 業 問題 は 深 刻 で 、 例 えば 、 国 有 企 業 と国 家 持 株 企 業 に お け る下 崗(シ ャ ー カ ン)労 働 者 は 、 全 体 の97.3%を 占 め る と され る2)。 また、 国有 企 業 の 改革 に は、 国有 企 業 内 の 共 産 党 組織 の トップで あ る 「党委 員 会 書 記 」 が 董 事 長 を兼 任 す る こ とが で き る と して、 党 の指 導 強 化 を全 面 に打 ち 出 した こ と も大 き な特 徴 の1つ で あ る 。 第2に 、 国有 経 済 が 担 当 す る分 野 と撤 退 す る 分 野 を は っ き りさせ た こ とで あ る 。 国有 経 済 が コ ン トロ ー ル す る 必 要 の あ る 業 種 と分 野 は 、 主 と して、 国 家 の 安 全 に か か わ る 業 種 、 自然 独 占 に か か わ る業 種 、 重 要 な公 共 製 品 とサ ー ビ ス を提 供 す る業 種 、 及 び 支 柱 産 業 、 ハ イ テ ク産 業 の 重 要 な 中 堅 企 業 を含 む 、 国民 経 済 の 命 脈 にか か わ る 分 野 で あ り、 そ れ 以 外 は 戦 略 的 に改 組 ・縮 小 す る こ と を明 ら か に した 。 第3に 、 負 債 が 重 す ぎて 苦 境 に 陥 っ た 一 部 の 重 点 的 国 有 企 業 に対 し て は 、 そ の債 務 の 株 式 へ の 転 換 の実 行 を提 示 した こ とで あ る 。 以 前 か ら株 式 会 社 へ の転 換 や 合 併 、 民 間 へ の 売 却 、 設 備 の リ ー ス な どが 推 奨 され て きた が、 今 回 、 企 業 債 務 の 株 式 転 換 に よ り、 国 有 企 業 の 高 い 負 債 率 を低 下 させ る と 同 時 に 、 債 権 者 に とっ て も株 式 数 に応 じて 経 営 権 が得 られ る道 が 開 か れ る こ と に な る 。 1978年 、 第3回 中央 委 員 会 総 会(三 中 全 会)で 採 択 され た改 革 ・開放 政 策 か ら20年 を過 ぎた 今 日で は 、 国 有 企 業 の 工 業 生 産 全 体 に 占 め る シ ェ ア は 、30%以 下 に下 落 し、 中 国経 済 に お け る そ の 地位 は大 き く低 下 した 。 しか し、 国 有 企 業 は 、 社 会 主 義 体 制 を支 え る 「公 有 制 」の 柱 で あ る 。 従 っ て 、 中 国 経 済 にお い て 国 有 企 業 の 比 重 が 低 下 す る こ と は 、社 会 主 義 の否 定 に つ なが りか ね な い とい う声 が 根 強 く残 っ て い る。 実 は、 この こ とが 中 国 国 有 企 業 改 革 問 題 の 深 さ の根 幹 と な っ て い る とい え よ う。 1.2国 有 企 業 の 特 質一 地 方 政 府 と国 有 企 業 との 関 係 国 有 企 業 は 、 中 央 政 府 と地 方 政 府 に よ っ て所 有 され て い る 。 か っ て 、 国 有 企 業 は 「国 営 企 業 」 と呼 ば れ て い たが 、1992年 か ら 「国営 企 業 」 の 代 わ りに 「国 有 企 業 」 とい う言 葉 が 用 い られ る よ うに な っ た 。 こ れ は 、 「所 有 と経 営 の分 離 」 を強 く意 識 した 上 で の 用 語 の 変 更 とみ られ る。 『中 国 統 計 年 鑑 』 に よれ ば 、 国 有 企 業 と は、 「生 産 財 が 国家 所 有 に帰 属 す る一 種 の経 済 類 型 で あ り、 中 央 及 び 地 方 の 各 級 国家 機 関 、 軍 隊 、 研 究 機 関 、 学 校 、 人 民 団体 及 び 国有 経 済 企 業 ・事 業 単 位 な ど に よ り運 営 さ れ る」 もの と され る。 この よ うな 国有 企 業 は 、 地 方 分 権 化 改 革 が 進 展 す る 過 程 で 、 国 有 企 業 の所 属 とそ れ に対 す る 管 理 権 限 が 中 央 政 府 か ら地 方 政 府 に移 管 さ れ 、 現 時 点 で は 、 大 部 分 の 国 有 企 業 が 地 方 政 府 の 管 轄 下 に置 か れ て い る。 これ は、 国 有 企 業 に対 す る所 有 権 の う ち、 実 際 の所 轄 権(財 産 権)を 地 方 政 府 に預 託 した も の と考 え られ て い る。 国 有 企 業 の 中 央 政 府 か ら地 方 政 府 へ の 管 轄 権 限 の 移 管 は 、 地 方 政 府 と企 業 と の 問 に 新 た な利 害 ・衝 突 を 生 ん だ とい わ れ て い る。 す な わ ち 、 中 央 政 府 に代 わ っ て 地 方 政 府 自体 が 投 資 主 体 ・利 益 主 体 と な っ て 、 所 轄 国 有 企 業 に対 す る 干 渉 、 あ るい は 保 護 す る活 動 が 行 わ れ た た め 、 か え っ て 一64一
地 方 政 府 と国 有 企 業 との 結 び つ きが 強化 さ れ た 。 この 結 び つ きは 、・マ ク ロ 的 にみ る と、 生 産 要 素 市 場 の 形 成 や 地 域 経 済 の 発 展 に 貢 献 した と い う積 極 的 な役 割 が 評 価 さ れ る一 方 、 地 方 政 府 が 自 ら の財 政 収 入 の確 保 を 図 る た め 、 地 域 エ ゴ イズ ム が 台 頭 した り、 国 有 企 業 の 経 営 自主 権 を軽 視 した 直 接 的 な 行 政 管 理 、 監 督 黍 行 わ れ る な ど の 問 題 も生 じ させ た。 こ の よ う な 地 方 政 府 の 国 有 企 業 に対 す る直 接 的 な 介 入 、 干 渉 は 、 地 方 政 府 と所 属 す る国 有 企 業 と の新 た な隷 属 関係 を生 み だ し、 地 方 分 権 化 が 進 展 して も、 企 業 の 所 有 者 で あ る行 政 主 管 部 門 と 国 有 企 業 と の もた れ あ い構 造 は変 わ らず 、 い わ ば行 政 の縦 ・横 分 割 体 制 の 枠 組 み の 中 で の 伝 統 体 制 の 一種 の 変 形 に す ぎ な い 。 そ の 意 味 で従 来 の 経 済 体 制 を直 接 的 な 官 僚 体 制 とす れ ば 、 地 方 分 権 化 の 下 で の 経 済 体 制 は 、間接 的 管 理 体 制 と呼 ぶ こ とが で きる で あ ろ う3)。つ ま り、中央 レベ ル で は 、 政 府 行 政機 関 と企 業 の 分 離 が 進 ん だが 、 地 方 レベ ル で は 、 逆 に 「政 資 不 分 」(行 政 権 と企 業 所 有 権 の 一 体 化)の 状 況 が 生 じ、 一 部 に は 、 国 有 企 業 の経 営 自主 権 を横 取 りす る な ど、 地 方 政 府 の 専 断 的 行 動 が 行 わ れ て い る と論 じ られ て い る4)。 確 か に、 地 方 政 府 と 国有 企 業 との 間 の 関 係 は 、 全 体 的 に は上 記 の よ う な 傾 向 が み ら れ る か も し れ な い が 、 こ う し た 状 況 も徐 々 に で は あ る が 、 改 善 さ れ て い る の で は な い だ ろ うか 。 筆 者 は 、 1999年7月 か ら12月 に か け て 、3回 、 大 連 市 政 府 及 び そ の管 轄 下 に あ る 国 有 企 業 を ヒ ア リ ン グ し た が 、 大 連 市 政 府 は 国 有 企 業 の 改 革 に積 極 的 で あ り、 企 業 の創 造 性 発 揮 に 意 欲 的 に取 り組 み 、 業 績 を向 上 させ て い る 国有 企 業 も少 な か らず 見 受 け ら れ た。 例 え ば 、 大 連 盛 道 集 団 とい う 国有 企 業 は 、1982年 、 も と も とプ ラス チ ッ ク の カ ラ ー 印刷 工 場 と して 創 業 し、 創 業 当 時 は、 従 業 員70名 足 らず の企 業 で あ っ たが 、 そ の 後 、 技 術 開 発 等 自 らの 主 体 的 な努 力 と改 革 に よっ て 、 他 の 国 有 企 業 を傘 下 に お さ め 、 現 在 で は グ ル ー プ企 業18社 を抱 え、 従 業 員 数 も技 術 者500人 を含 め3,200人 の 企 業 に 成 長 して い る 。外 国 企 業 との 合 弁 も積 極 的 で 、 日本 、 ドイ ッ 、 シ ン ガ ポ ー ル 等 と合 弁 会 社 を設 立 し、 グ ル ー プ全 体 で 、1996年 、 販 売 額407百54万 元 (日本 円5298億 円 。1元13円 で換 算)、 利 益7百232千 元(日 本 円94百 万 円 。 換 算 率 同 じ)を 計 上 して い る。 会 社 組 織 を み る と、 董 事 会 は7名 で構 成 さ れ 、 グ ル ー プ企 業 の 総 経 理 が 就 任 して い る。 総 経 理 は董 事 会 メ ンバ ー の3分 の2以 上 の賛 成 に よ っ て 選 任 され 、 また 監 査 役 会 は7名 で構 成 さ れ 、 大 連 市 か ら5名 、 従 業 員 代 表1名 、 労 働 組 合 主 席1名 とな っ て い る。 こ の 企 業 は 大 連 市 軽 工 業 部 の 管 轄 に属 す る こ とか ら、 監 査 役 会 に大 連 市 か ら5名 の 監査 役 が 就 任 して い る が 、 地 方 政 府 と企 業 との 関係 は良 好 で あ る。 この 大 連 盛 道 集 団 の場 合 は 、 国 有 企 業 改 革 成 功 の 数 少 な い 事 例 の1つ で あ る と の指 摘 が あ る か も しれ な い が 、 大 連 市 に あ る他 の 国有 企 業 に お い て も経 営 主 体 性 を も っ て運 営 し、 業 績 を あ げ て' い る企 業 が み られ た。 国 有 企 業 の 改 革 ・整 理 は 、 そ れ が た だ ち に利 益 を生 む 体 質 に転 換 して い る か は と もか く と して 、 着 実 に 進 ん で い る の で は な い か と思 う5)。 1.3国 有 企 業 改 革 を と ら え る視 点 一YuLiandMAJunの 研 究 報 告 の紹 介 今 まで 国有 企 業 を 中央 及 び 地 方 各 レベ ル の 政 府 に よ っ て 所 有 、 管 理 され て い る運 営 主 体 で あ る と述 べ たが 、 国有 企 業 に は い くつ か の類 型 が あ り、 実 際 に 、 国有 企 業 は 生 産 す る製 品 や 提 供 す る サ ー ビ ス 、 市 場 の 条 件 、 政 府 の 政 策 遂 行 目 的 等 に 応 じて さ ま ざ ま な形 態 を と っ て い る 。 従 っ て 、 国 有 企 業 を単 一 モ デ ル と して と ら え 、 す べ て の 国 有 企 業 に単 一 な 戦 略 を一 律 に 適 用 す る こ と は 、 妥 当 性 に欠 く と い え る。 こ の点 を強 調 し、 国 有 企 業 の 異 な る類 型 毎 に異 な る政 策 を適 用 す べ きで 一65一
あ る と主 張 す る の が 、 本 稿 で紹 介 す る研 究 報 告"ColporateGovemanceandSOEsRefo㎜inChina"
で あ る6)。 この研 究 は 、1997年6月 か ら1998年6月 に か け て 行 わ れ た もの で 、 主 と し て 東 北 財 経 大 学MBA教 育 セ ン タ ー 主 任 于 立(YuLi)教 授(博 士)と 国 際 通 貨 基 金 エ コ ノ ミス ト 」弓駿(MA Jun)博 士 に よっ て 執 筆 さ れ た 。 こ の研 究 報 告 は 以 下 の とお り7つ の章 か ら構 成 され て い る。 第1章 国 有 企 業 の 分類 と"二 重 性" 第2章 国 有 企 業 の根 本 的 理 由 第3章 国 有 企 業 改 革 の 国 際 経 験 第4章 国 有 企 業 の3類 型 の 政 策 環 境 第5章 国 有 企 業 の3類 型 の 企 業 統 冶 第6章 国 有 企 業 の3類 型 の 法 律 枠 組 み 第7章 結 論 本 稿 で は 、 紙 幅 の 関 係 等 で 第1-2章 、 及 び 第4章 一6章 ま で の 内 容 を翻 訳 し、 紹 介 して い る。 この 研 究 報 告 は 、 中 国 を母 国 とす る 国 有 企 業 研 究 の 第1人 者 の手 に よる 国 有 企 業 改 革 の処 方 箋 で あ る。 筆 者 は 、 こ の研 究 報 告 の 翻 訳 に当 た っ て、 著 者 の1人 で あ る于 立教 授 と直 接 に2回 打 ち合 わ せ を行 っ た 。 しか し、 企 業 の 概 念 、構 造 等 日本 と中 国 とで 決 定 的 に 異 な る 点 も あ り、 日本 語 に 適 切 に翻 訳 し きれ な い 部 分 が い くつ か あ っ た 。 こ れ は、 日本 と中 国 で 経 済 体 制 が 異 な り、従 っ て 企 業 の 統 冶 構 造 も同 じで な い こ とか ら起 因 す る もの で あ る。 こ の研 究 報 告 が 提 案 して い る 国 有 企 業 の類 型 化 一 政 府 企 業 、 特 殊 法 人 、 株 式 会 社 企 業 一 は 、 国 有 企 業 の概 念 を 明 確 に す る上 で 大 い に役 立 つ し、 また そ れ ぞ れ の類 型 毎 に適 用 さ れ る 企 業 統 冶 構 造 と適 切 な法 律 枠 組 み の 考 え 方 は優 れ た 考 察 で あ り、 中 国 国 有 企 業 改 革 の 方 向 を研 究 す る に 際 し て の 貴 重 な研 究 文 献 で あ る 。 な お 、 こ の 研 究 報 告 は 、 あ くま で も著 者 の 個 人 的 見 解 で あ り、 東 北 財 経 大 学 や 国 際 通 貨 基 金 、 そ の 他 の機 関 の 意 見 を代 表 した もの で な い こ と を付 記 して お く。 以 下 、 本 稿Hか らVIま で に お い て この研 究 報 告 の 内 容 を紹 介 す る 。 皿 鹽国 有 企 業 の 分 類 と"二 重 性" H.1背 景 過 去18年 以 上 に わ た る 実 質 的 な 分 権 化 と市 場 化 改 革 は 、 大 部 分 の 中 国 国 有 企 業 を厳 格 な計 画 統 制 か ら解 放 し た け れ ど も、 これ ら企 業 の 経 済 成 果 は 急 激 に低 下 した 。1980年 か ら1996年 ま で 、 国 有 企 業 に お け る総 粗 生 産 額 の 割 合 と して の平 均 利 益 率 は 、25%か ら12%に 下 降 した 。 非 国有 企 業 と比 べ る と、 国有 企 業 は 、 全 体 と して成 長 速 度 が 遅 く、 そ の 結 果 と して 、 国 有 企 業 の 総 工 業 産 出 高 の 割 合 は 、1980年 に は78%を 占 め て い た が 、1997年 に は28%に 下 落 し た 。 政 府 統 計 に よれ ば 、 過 去 数 年 にわ た り、 国 有 企 業 の約3分 の1は 、 損 を して経 営 が 行 わ れ て い た。 1996年 、 歴 史 上 初 め て 国有 企 業 は全 体 と し て損 失 を こ うむ っ た 。 苦 境 に陥 っ て い る 国 有 企 業 を 救 う た め の 、(財 政 的 、 あ る い は準 財 政 的 な)政 府 補 助 金 は、 財 政 当 局 の 一 大 負 担 で あ り、 銀 行 シ ス テ ム の 改 革 の た め の 障 害 と な っ て い る 。 事 業 が 行 き詰 ま って い る 国 有 企 業 の 増 加 に よる 失 業 は 、 政 策 決 定 者 の 最 大 の 問 題 と な っ て い る 。 国有 企 業 の 業 績 不 振 の原 因 は 、 非 常 に 論 争 の 的 で あ る。 しか しな が ら、 現 在 の 国 有 企 業 の形 態 で は 、 経 営 管 理 者 と従 業 員 に効 率 性 を改 善 し、 企 業 の 長 期 的 成 長 を追 求 す る た め の 、 限 定 さ れ た 一66一
奨 励 しか 与 え ら れ て い な い 、 と い う広 く一 致 し た見 方 が 学 界 と 中 国 政 府 双 方 に あ る 。 多 くの 実 証 的 証 拠 に よれ ば 、 大 多 数 の 鹵 有 企 業 の 経 営 管 理 者 と従 業 員 は 、 企 業 の 長 期 的 成 長 を犠 牲 に して 、 短 期 的 利 益(例 え ば 、 賃 金 の 過 剰 支 払 や 同 種 類 の 手 当)を 最 大 化 す る傾 向 に あ る こ と を示 唆 して い る。 分 権 化 は 、 所 有 者(国 家)の 利 益 を確 実 にす る た め に弱 体 化 した機 構 と一 体 化 させ る と、' 最 も よ く機 能 す るが 、"内 部 者 競 制"、 即 ち 、 経 営 管 理 者 と従 業 員 の 短期 的利 益 最 大 化 の 行 動 に よ る資 源 の 誤 配 分 の 問 題 を悪 化 させ た。 過 去 の改 革 の 局 限 性 及 び 不 持 続 性 とい う認 識 の 増 大 か ら、 中 国 政 府 は 、1980年 代 中 葉 か ら実 験: 的 な株 式 制 度 を 開 始 した 。 こ れ ら株 式 会 社 の 大 部 分 は 、 別 の機 関 に よ る有 限従 業 員 持 株 制 と株 式 持 ち 合 い を導 入 す る と同 時 に 、 少 数 の 会 社 は、 株 式 の一 般 公 開 が 正 式 に認 可 され た 。 最 初 の 数 年 に よる慎 重 か つ 限 定 的 な 適 用 の 後 、 実 験:的な株 式 会 社 は 、(郷 区 及 び郷 区 以 上 で)1996年 に 、8000 以 上 に 激 増 した(1997年 国 家 統 計 局)。 ・しか しな が ら、 この 実 験:的試 み に参 加 した株 式 会 社 の 大 多 数 は 、 中 国 政 府 が 多 様 な所 有 制 度 を大 型 及 び 超 大 型 国 有 企 業 に導 入 す る こ と に気 が 進 まな い こ と か ら、 中小 あ る い は 中 堅 規 模 の 国 有 企 業 で あ っ た。 1995年 、 国 有 企 業 の 会 社 化(公 司 化)を 中心 目標 と した"現 代 企 業 制 度"の 実験 を 開 始 した 。 こ の改 革 の 主 要 な要 素 は、 以 下 の 点 を含 む もの で あ っ た 。 (1)国 有 企 業 、 特 に大 型 国 有 企 業 を 明確 に 定 義 さ れ た 所 有 制 度 と企 業 統 冶 構 造 を も っ た会 社 に 改 変 す る こ と 。 この 制 度 の 下 で は 、 会 社 化 さ れ た 国 有 企 業 は 、 所 有 者 の 利 益 を代 表 す る取 締 役 会 (董事 会)を 設 立 す る こ とが 必 要 と さ れ る 。 (2)(地 理 的 、 部 門別 に 、 あ る い は そ の 両 方 に集 め られ て い る)個 人 会 社 の活 動 を,国 家 を代 表 し て 、 及 び 取 締 役 会 を 通 じて 監 督 す る 単 独 法 人 組 織 体 を創 設 す る こ と。 国 家 所 有 資 産 を 管 理 す る機 構(例 え ば 、 国 有 資 産 管 理 機 構)が 現 在 の 主 管 機構 と主 管 省 に 取 っ て代 わ る こ と に な る だ ろ う。 (3)会 社 法(公 司 法)に 従 っ て 、 会 社 化 した 国 有 企 業 の 監 査 役 会(益 事 会)を 創 設 す る こ と。 そ の 機 能 は 、 取 締 役 や 経 営 管 理 者 が い か な る 非 法 な 活 動 、 あ る い は会 社 の 利 益 を妨 害 す る 活 動 に関 与 し な い こ と を保 証 し、 さ ら に、 必 要 で あ る と考 え ら れ る時 は い つ で も臨 時 株 主 総 会 を召 集 す る こ と を含 む 。 この よ う な取 締 役 会 に は 、 経 営 管 理 とそ の企 業 の 製 品 の市 場 に 関 す る知 見 を もっ た 外 部専 門 家 を含 む べ きで あ る 。 (4)政 府 の 管 理 機 能 を会 社 化 した 国 有 企 業 の営 利 機 能 と明確 に分 離 す る こ と。 "現 代 企 業 制 度"の 根 幹 を なす 基 本 仮 説 は 、 一 旦 、 国 有 企 業 の"所 有 者"が 明確 に確 認 され 、 そ の 利 益 が 取 締 役 会 に お け る代 表 を 通 じて 表 示 さ れ れ ば 、 経 営 管 理 者 や 従 業 員 の 短 期 的 行 動 は効 果 的 に統 制 さ れ るだ ろ う、 とい う こ とで あ る 。 運 悪 く、 この 制 度 を実 験 して い る多 くの企 業 か ら 得 られ る証 拠 は 、 実 際 の 遂 行 は 、 期 待 さ れ た もの とか な りそ れ て お り、 さ ま ざ ま な短 期 的 行 動 の 問 題 は 残 っ た ま まで あ る こ と を示 唆 して い る 。 こ れ ら実 験:的企 業 か ら浮 か び上 が って い る 主 要 な 企 業 統 冶 問 題 は 、 次 の とお りで あ る。 (1)全 国100の 実験 企 業(70の 実 験:企業 は 国 家 経 済 貿 易 委 員 会 、 他 の30の 企 業 は 国 家 経 済 体 制 改 革 委 員 会 に監 督 され て い る)の 中 で 、80%の 企 業 が 、"国 有 独 資 企 業"の 組 織 形 態 を 選 ん で 吟 た 。 地 方 レベ ル で は 、 大 部 分 の 実験:企業 も また 、"国 有 独 資 企 業"の 組 織 形 態 を選 ん で い た 。 統 冶 構 造 の 限 定 的 な 修 正 で は 、 この 所 有 形 態 は、 動 機 づ けや 業 績 に大 き な影 響 を持 ちそ うに もな い 。 (2)こ れ ら企 業 の 多 くは 、 取 締 役 会 の 議 長(董 事 長)は 、経 営 最 高 責 任 者(総 経 理)と 同 一 人 で あ り、 取 締 役 会 の メ ンバ ー は、 経 営 陣 の メ ンバ ー とほ ぼ 同一 で あ る 。 ほ か の 企 業 は 、 取 締 役 会 の 代 わ りに 、"党 ・経 営 最 高 責 任 者 合 同 委 員 会"を 用 い て い る。 換 言 す れ ぼ 、"内 部 者 統 制"問 題 は 、 一67一
新 しい企 業 構 造 にお い て コ ン トロ ー ル され て い な い の で あ る 。 (3)全 国56の 国 家 レベ ル の 実 験 企 業 集 団 と地 方 レベ ル に よっ て 始 め られ た企 業 集 団 の い くつ か に お い て 、 そ の 経 営 管 理 チ ー ム は 、 主 要 子 会 社 ゐ そ れ と 同 じで あ る。 統 制 権 を発 揮 す る ど こ ろ か 、 こ れ ら企 業 集 団 の 経 営 管 理 意 思 決 定 は 、 主 要 な子 会 社 に よっ て支 配 され て い る 。 (4)い くつ か の部 門 にお い て、 国 有独 資 持 株 会 社(国 有 資 産 管 理 機 構)は 、"下 属 企 業"に 対 す る 所 有 権 コ ン トロ ー ル を発 揮 す る よ う創 設 され た。 こ れ ら持 株 会 社 の 多 くは、 子 会 社 に前 も っ て与 え て い た 経 営 管 理 力 を再 集 中 化 した 。 こ れ ら"下 属 企 業"の 取 締 役 会 は 、 名 目上 存 在 す る にす ぎ な い。 (5)現 代 企 業 制 度 を実 験 す る会 社 は 、 基 本 給 と業 績 を基 に した ボ ー ナ ス の両 方 か ら成 る経 営 報 酬 制 度 を導 入 し よ う と試 み た 。 しか し なが ら、 大 部 分 の 国 有 企 業 経 営 管 理 者 は 、 経 営 者 労 働 市 場 か ら募 集 さ れ て い な い 。 む しろ 、 彼 ら は、 上 級 主 管 部 門 に よっ て 任 命 せ れ て い る 。 加 え て 、 多 くの 企 業 は 、 依 然 と して独 占企 業 と して 運 営 され て い る。 こ の よ う な状 況 下 で は 、 経 営 管 理 者 の 業 績 を公 正 に評 価 す る こ とは 、 実 際 上 不 可 能 で あ る 。 (6)新 し く設 立 され た多 くの 会 社 にお い て は、 旧 三 委 員 会(党 委 員 会 、 労 働 組 合 、従 業 員 代 表 大 会)が 、 新 三 会(株 主 総 会 、 取 締 役 会 、 監 査 役 会)と 同 時 存 在 して い る。 これ ら組 織 の 責 任 と こ れ ら組 織 との 問 の 関係 は 、 不 明 確 で あ り、 内 部 矛 盾 を招 き、 そ して 意 思 決 定 プ ロ セ ス の効 率 性 を 減 じて い る。 皿.2国 有 企 業 改 革 に お け る未 解 決 な 理 論 的 、 法 的 諸 問題 上 述 した 問 題 に対 す る重 要 な理 由 は 、 国 有 企 業 改 革 に 関 す るい くつ か の基 本 的 な 理 論 的(経 済 理 念 的)お よ び法 的 諸 問 題 が 、 中 国 で は 未 解 決 の ま ま に な って い る こ と で あ る。 これ らの 諸 問題 は 以 下 の とお りで あ る 。 (1)"行 政 的 、 規 制 的 、社 会 的機 能 と企 業 の 営 利 的 機能 との 明確 な 分 離"は 、 す べ て の 国 有 企 業 に お い て 達 成 さ れ得 る とい う誤 認 識 が あ る 。 実 際 に は、 国 有 企 業 は、2つ の 矛 盾 す る 目的 に よ って 、 しば しば 特 徴 づ け られ る。 一 方 で 、 国有 企 業 は 、"公 共 性"を 具 有 す る。 国有 企 業 は 、 さ な ざ まな 度 合 い ま で 、 中央 、 あ る い は地 方 政 府 に よ っ て コ ン トロ ー ル 、 あ る い は監 督 さ れ て お り、 こ れ ら 企 業 の 行 動 は 、 政 府 の 好 み を反 映 す る 。 これ らの 好 み は 、独 占支 配 、 就 業 創 造 、 地 域 開 発 、 戦 略 産 業 へ の 支 援 、 消 費 者 権 利 の 保 護 、 平 等 な収 入 配 分 等 を含 む 。 政 府 の コ ン トロ ー ル は 、 し ば しば 強 制 的 な生 産 ・投 資 計 画 、 価 格 統 制 、 目標 と され る分 配 、厳 格 な労 働 政 策 等 の 形 態 を取 る 。 他 方 で 、 多 くの 国有 企 業 は、"営 利 性"を 具 備 す る 。 こ れ ら企 業 は 、 多 少 の経 営 自主 権 を 享 受 し、 あ る 程 度 の利 潤 動 機 を もっ て い る。 多 くの 国 の 国有 企 業 改 革 か ら の証 拠 は 、次 の こ とを示 して い る 。 ① 国 有 の程 度 と国家 介 入 の 程 度 との 問 に 明 白 な相 関 関 係 が あ る。 国 有 企 業 の 所 有 の 性 質 は 、 大 い に経 営 自 主権 の 水 準 を決 定 す る 。 私 企 業 と 同 じ程 度 の 自 主 権 を もつ よ う 、 す べ て の 国有 企 業 に期 待 す る こ と は、 非 現 実 的 で あ る。 ② 企 業 の 経 営 自主 権 は、 そ の利 潤 動 機 お よ び 金 融 遂 行 と明確 に 関 係 が あ る 。 多 くの 国有 企 業 は 、 さ ま ざ ま な政 策 制約 に よっ て 支 配 さ れ て お り、 従 っ て最 大 限 の効 率 性 を達 成 す る こ とが で き ない 。 国 有 企 業 は、 あ る程 度 の 政 府 機 能 を達 成 し な け れ ば な ら な い と い う事 実 を所 与 の も の とす れ ば 、 国 有 企 業 に財 政 的 な 利 益 と損 失 に対 す る 十 分 な 責 任 を期 待 す る こ と は、 さ ら に非 現 実 的 な の で あ る。 要 す る に 、 政 府 の 機 能 と国 有 企 業 の運 営(す な わ ち 、 経 済 運 営 の 完 全 な 非 政 治 化)の 完 全 な分 一68一
離 は 、 通 常 達 成 で きな い 。 こ れ は 、 す べ て の 国 有 企 業 が 同 じ程 度 の利 潤 動 機 と経 営 自主 権 を もっ て い る とい っ て い る の で は な い 。 国 有 企 業 の 利 潤 動 機 は 、 政 府 の 目的 、 政 策 手段 、 そ し て産 業 の 特 殊 事 情 に 応 じて 変 わ る 。 そ μ 故 、 異 な っ た 企 業 統 冶 構 造 が 国有 企 業 の 異 な っ た 形 態 ご と に 考 慮 さ れ るべ きで あ る 。諸 事 情 が 変 化 す る に従 っ て 、 適 切 な 企 業 統 冶 構 造 も変 化 す る 。 (2)学 界 ・ お よび 政 策 決 定 集 団 にお け る今 一 つ の 誤 認 識 は・'すべ て の 公 共 財 、 あ る い は準 余 共 財 、 お よび サ ー ビス は 、 国 有 企 業 に よ っ て供 給 さ れ な け れ ば な ら な い とい う こ と で あ る。 しか しな が ら、 国 際 経 験:によ れ ば 、 政 府 もま た 、 公 共 品 の 生 産 や サ 「 ビス を 科 企 業 へ 移 転 す る こ とが で き る こ と を示 して い る 。 多 くの 西 欧 諸 国 に お い て は 、 伝 統 的 に 政 府 に よ っ て供 給 さ れ て き た 、い くつ か の公 共 財 や サ ー ビス は、 現 在 で は 、 私 企 業 に よ っ て 供 給 され て きて お り、 か っ て は 、"公 共 財" で あ っ た い くつ か の もの は 、 私 企 業 に よっ て選 ば れ 、 対 価 が 支 出 され 、 そ して 供 給 され る 、純粋 な 私 的財 とす ら な っ て い る 。 私 企 業 が こ れ らの財 とサ ー ビ ス を供 給 す る時 、 政 府 は これ ら社 会 的 目標 を達 成 す る た め 、 統 制 手段 を用 い る こ とが で き る。 (3)"会 社 法"(公 司 法)は 、 す べ て の 国有 企 業 に適 用 さ れ る べ き で あ る とい う こ とが 中 国 国 内 で 広 く受 け入 れ られ て い る よ う に み え る。 実 際 、 国有 企 業 は、 政 府 企 業(あ るい は政 府 現 業)、 特 殊 法 人 、 政 府 の 資 本 参 加 を と も'なっ た 株 式 会 社 を含 む 、 多 くの 異 な る形 態 を と っ て い る。 中 国 の "会 社 法"は 、 有 限 責 任 会 社 と株 式 有 限 責 任 会 社 の た め の 法律 を含 む もの で あ る が 、 第3の カ テ ゴ リー(株 式 会 社 企 業)に の み 適 用 され るべ きで あ る 。 多 くの 国 にお い て"特 殊 法 人 法"(鉄 道 、 郵 便 、 通 信 、 公 共 施 設 等 の よ う な 部 門 に お い て 、 公 営 企 業 を統 制 す る多 くの 法 律 に よ っ て しば し ば 構城 され て い る)は 、 特 殊 法 人 の 形 態 を とる 大 部 分 の 国有 企 業 の た め の 主 要 な法 的 枠 組 み を規 定 す る 。 (4)"現 代 企 業 シ ス テ ム"め 現 在 の 試 み に お い て 、"国 有 独 資 企 業"は 、 大 型 国有 企 業 の 主 要 な 形 態 で あ るべ きだ と明 白 に 思 わ れ て い る 。 そ れ 故 、 現 在 の 中 国"会 社 法" .は 、 国有独 資企業 に関連 した法 的 問 題 に主 と して 焦 点 を合 わ せ て い る 。 しか しな が ら、 多 くの 他 国 に お い て 、"公 営 企 業" は、 国有 企 業 の 主 要 な 形 態 で あ り、 これ ら は》 法 的 に"特 殊 法 人"と 呼 ば れ て い る。 H.3国 有 企 業 の 分 類 .上 述 に 議 論 し た混 乱 の 多 くは、 国 有 企 業 の 明確 な分 類 の欠 如 か ら生 じて い る 。 国 内 、お よび国 際 経 験 の 双 方 か らみ る と、 あ る 国有 企 業 に とっ て 適 して い る 改 革 戦 略 は、 生 産 物 の 性 質 、 市 場 条 件 、 そ して か れ らが 直 面 して い る政 策 環 境 と して 、 他 の 国 有 企 業 に と っ て必 ず し も適 し て い な い こ と を示 し て い る。 国 有 企 業 を創 設 す る 目的 は 、極 め て さ ま ざ ま で あ る。 す べ て の 国有 企 業 に単 一 な 戦 略 を 一 律 に適 用 す る ζ とは 、 誤 りで あ る よ う にみ え る 。 国 際 経 験 に基 づ け ば 、 国 有 企 業 は 、 次 の3つ の カ テ ゴ リ ー に分 類 され る と考 え る。 (1)政 府 企 業 これ らは 、 国有 国 営 企 業 、 公 企 業 、 政 府 現 業 と も呼 ば れ て い る。 これ ら 国有 企 業 の 主 要 な 特 徴 は、 彼 ら の 財 政 運 営 が 政 府 の予 算 シ ス テ ム の 一 部 と して取 り扱 わ れ て い る と い う こ とで あ る 。 こ れ ら国 有 企 業 は 、 行 政 上 、 政 府 と結 び つ け られ て お り、 政 府 に よ っ て任 命 さ れ た 高 官 に よ っ て 運 営 さ れ て い る 。 これ ら国 有 企 業 は 、 独 立 した 法 的 地 位 を有 して い な い 。 大 雑 把 に い え ば 、.これ ら の 企 業 は、 公 共 財 とサ ー ビス の 生 産 者 で あ る 。 彼 ら は、 財 政 遂 行 に責 任 が ない し、 予 算 制 約 は 柔 軟 で あ る 。 改 革 前 の 中 国 にお け る 国 有 企 業 は 、 この カ テ ゴ リ ー と類 似 して い た 。 脯69一
(2)特 殊 法 人 い くつ か の 例 外 を除 い て 、 これ ら特 殊 法 人 は 、典 型 的 に政 府 に よ っ て100%所 有 され て い る。 こ れ らは 、 法 人 で あ り、 彼 ら の た め に 立 案 さ れ た特 別 法(例 え ば 、 鉄 道 運 営 を管 理 す る 法 律 、 ア ル コ ー ル や タバ コ製 品 の取 引 を管 理 す る 法 律)に よ っ て 統 冶 さ れ て い る。 これ ら特 殊 法 人 は 、 独 立 した組 織 構 造 を も ち、 彼 ら の財 政 運 営 は 、 政 府 予 算 か ら独 立 して い る。 これ ら特 殊 法 人 の 大 部 分 は、 準 公 共 財 、 あ る い は サ ー ビス の 生 産 者/供 給 者 で あ り、 独 占 的 性 質 を有 す る 分 野 、 あ る い は 重 要 な外 部 性 を も った 分 野 で運 営 され て い る。 (3)株 式 会 社 企 業 大 部 分 の 私 的 所 有 有 限 責 任 会 社 と して 、 国 家 か ら資 本 参 加 を受 け て い る株 式 会 社 企 業 も ま た 、 "会 社 法"の 下 で 設 立 され 、 か つ 運 営 さ れ て い る。 これ らの会 社 は、 私 企 業 と 同 じ程 度 の経 営 自主 権 を もっ て い る 。 特 殊 法 人 と の 違 い は 、 政 府 が そ の会 社 の株 式 の あ る程 度 の パ ー セ ン トを所 有 し て お り、 時 々 は 、 大 株 主 と して所 有 して い る こ と で あ る。 これ らの 会 社 は 、 主 と して競 争 的 産 業 に存 在 して い る。 広 い 意 味 で は 、 国 有 企 業 は、 中 央 政 府 、 地 方 政 府 、 お よび さ ら に下 位 の 政 府 に よ っ て 所 有 さ れ て い る。 政 府 の各 レベ ル と も、 自分 自身 の 政 府 企 業 、 特 殊 法 人 、株 式 会 社 企 業 を 有 す る こ とが で き る。 国 家 レベ ル の 国 有 企 業 に 関 連 す る大 部 分 の 問 題 は、 国 家 レベ ル 以 下 の 国有 企 業 と も関 連 が あ る が 、 こ の論 文 で は 、 前 者 に焦 点 を合 わ せ る。 H.4国 有 企 業 の 二 重 性 "行 政 的 、 規 制 的 、 社 会 的 機 能 を企 業 の営 利 的 機 能 と明 確 に分 離"す る こ とは 、 す べ て の 国 有 企 業 に お い て達 成 され 得 る と い う誤 っ た 認 識 が あ る 。 実 際 に は 、 国 有 企 業 は 、2つ の相 反 性 に よ っ て 特 徴 づ け られ る 。 一 方 で 、 多 くの 国 有 企 業 は、"公 共 性"を 具 有 す る。 さ ま ざ ま な度 合 い で 、 国 有 企 業 は 、 中央 、 あ る い は地 方 政 府 に よ っ て 統 制 、 監 督 され て お り、 これ ら企 業 の行 動 は 、 政 府 の 好 み を反 映 す る 。 こ れ ら の好 み は 、 独 占 支 配 、 雇 用 創 出 、 地域 開 発 、 戦 略 産 業 へ の 支 援 、 消 費 者 利 益 の 保 護 、均 等 の所 得 分 配 等 を含 む か も しれ な い 。 政 府 の 支 配 は 、 し ば しば 、 命 令 的 な 生 産 ・投 資 計 画 、 価 格 統 制 、 標 的 市 場 、 強 制 的 な 労働 政 策 等 の 形 態 を とる 。 他 方 で 、 多 くの 国 有 企 業 は 、"営 利 性"を 具 有 して い る。 これ ら企 業 は 、 多 少 の経 営 自主 権 を享 受 し、 あ る 程 度 の利 潤 動 機 を もっ て い る 。 多 くの 国 の 国 有 企 業 改 革 か ら得 ら れ る 証 拠 は 、 以 下 の 点 を示 して い る。 (1)国 家 所 有 の程 度 と政 府 介 入 の 程 度 と の 問 に確 実 な 相 関 関 係 が あ る。 国有 企 業 の 所 有 権 の性 質 は 、 大 い に 経 営 自 主権 の レベ ル を 決 定 す る。 私 企 業 の よ う に同 じ程 度 の 自主 権 を もつ よ う、 す べ て の 国有 企 業 に期 待 す る こ と は、 非現 実 的 で あ る。 (2)企 業 の 経 営 自 主 権 は 、 利 潤 動 機 及 び 財 政 遂 行 と確 実 に 関 係 して い る。 多 くの 国 有 企 業 は 、 さ ま ざ ま な 政 策 制 約 に 支 配 され て お り、 そ れ 故 、 最 大 限 の 効 率 を達 成 す る こ とが で き な い 。 も し、 多 くの 国 有 企 業 が あ る 政 府 機 能 を 遂 行 し な け れ ば な らな い とい う事 実 が あ る とす れ ば 、 国 有 企 業 に財 政 上 の 損 益 に対 す る 十 分 な責 任 を期 待 す る こ と は、 さ ら に ま た非 現 実 的 で あ る 。 次 の 図 は 、 政 府 支 配(国 家 支 配 と決 定 的 に 関 連 す る)と 企 業 の経 営 自主 権(利 益 を追 求 す る 動 機/能 力 と決 定 的 に 関 連 す る)と の 間 、 お よび 政 府 支 配(所 有 権)の さ ま ざ ま な程 度 を も っ た 国 有 企 業 の3つ の 類 型 の 関 連 と経 営 自主 権 との 問 に否 定 的 な 関 係 が あ る こ と を示 して い る。 一70一 ・
図.政 府 統 制(国 有)と 経 営 自主 権(営 利 性)と の 関 係 国有 の割 合 政 府統制 の程 度 経営 自主権 営利性 政府企業 特殊法人 株式会社企業 要 す る に 、 政 府 機 能 と 国 有 機 能 の 運 営(あ る い は 、 経 済 運 営 の 完 全 非 政 治 化)の 完 全 分 離 は 、 一 般 的 に、 政 府 企 業 と特 殊 法 入 に お い て は 達 成 す る こ とが で き な い 。 国 有 企 業 の 利 潤 動 機 は 、 政 府 目 的 や 政 策 手段 、 お よ び そ の 産 業 の 個 別 状 態 に 従 っ て 変 化 す る。 そ れ 故 、 異 な る企 業 統 冶 構 造 が 国 有 企 業 の 異 な る類 型 ご と に考 慮 され るべ きで あ る。 状 況 が 変 化 す る につ れ て 、 適 切 な企 業 統 冶 も ま た変 化 す る。 適 切 な 国 際 経 験:に基 づ い て 、 こ の研 究 は 、 中 国 の 国 有 企 業 改 革 に 関 す る上 述 の 、 い くつ か の 重 要 問 題 に答 え る ご と に な る だ ろ う。 こ の論 文 の 重 要 な結 論 は以 下 の とお りで あ る 。 国 有 企 業 は 、彼 ら の 生 産 物/サ ー ビス 、 共 同市 場 構 造 の 諸 類 型 に応 じて3つ の カ テ ゴ リ ー 、 す な わ ち、 政 府 企 業 、 特 殊 法 人 、 そ して株 式 会 社 企 業 に分 類 さ れ る べ きで あ る。 現 在 、 国 有 企 業 部 門 の 改 革 に お い て 中 国 政府 に よ っ て進 め られ て い る"現 代 企 業 シ ス テ ム"は 、 国有 企 業 の こ れ ら 3つ の 類 型 を 区 別 して い な い 。 中 国政 府 は 、 非 現 実 的 に も、 す べ て の 国有 企 業 が営 利 機 能 と政 府 機 能 を分 離 す る こ と を 求 め 、 す べ て の 国 有 企 業 に会 社 法 を統 一 的 に適 用 し よ う と して い る 。 我 々 の 見 解 は 、 次 の とお りで あ る。 中 国 に お け る 現 実 的 な 改 革 戦 略 は 、 国 有 企 業 の 異 な る類 型 ご とに 異 な る 政 策 、 法 的枠 組 み 、 企 業 統 冶構 造 を立 案 す る こ とで あ る。 皿 国 有 企 業 の 根 本 的 理 由 皿.1政 府 企 業=公 共 財 と サ ー ビス 政 府 企 業 は 、 政 府 に よっ て 所 有 さ れ る 企 業 で あ り、 典 型 的 に 、 直 接 に 政 府 機 関 に よ っ て 運 営 さ れ る 。 こ れ ら企 業 の 主 要 な 目的 は 、 非 営 利 性 、 す な わ ち 、 公 共 財 とサ ー ビス を供 給 す る こ と で あ る。 私 的 財 とサ ー ビス を供 給 す る企 業 とは 対 照 的 に 、 公 共 財 の利 益 は"非 独 占 的"で あ る 。 す な わ ち 、 こ れ ら公 共 財 は、 消 費 者 が 喜 ん で 支 払 よ う とな か ろ う と、 い く らか の 消 費 者 に よっ て 享 受 され る こ とが で き る。 私 的 財 や サ ー ビ ス の 消 費 と して 消 費 者 に課 す る こ とは 、 事 実 上 不 可 能 で あ り、 あ る い は極 め て 高 くつ く。 こ れ は 、"た だ乗 り"の 問 題 を 引 き起 こ す 。 個 人 で は 、 この よ うな 財 や サ ー ビ ス を供 給 す る動 機 を もた な い が 、 誰 で もが そ の よ う な財 や サ ー ビス を供 給 す る よ う他 人 に期 待 す る 。 こ の よ うな 場 合 、 政 府 は こ れ ら財 や サ ー ビ ス の 供 給 に責 任 を 果 た す べ きで あ る 。 これ ら財 や サ ー ビス は、 国 家 の 安 全 と経 済 の 安 定 に とっ て欠 くこ とが でき な い もの で あ り、 経 済 一71一
活 動 の 基 本 的 な イ ン フ ラス トラ ク チ ャ ー と して 奉 仕 す る か らで あ る 。 私 的 財 と比 較 す れ ば 、純 粋 な公 共 財 や サ ー ビス の 数 は む し ろ 限 られ て い る。 公 共 財 や サ ー ビス の 典 型 例 は 、 国 家 防 衛 、公 共 保 障 、 ラ ジ オ放 送 と テ レ ビ番 組 、 い くつ か の 環 境 プ ロ ジ ェ ク ト、 街 灯 、 巨 視 的経 済 の 安 定(財 政機 能 と金 融 政 策)、 お よび 公 共 知 識 を創 造 す る 基 本 的 研 究 を含 む 。 従 っ て 、 政 府 企 業 の 数 もま た 限 定 さ れ るべ き で あ る 。 ア メ リ カ は 、GDPの 点 か らみ て 、 国 有 企 業 の 産 出 量 の最 も低 い 割 合(GDPの1%)の 国 の1つ で あ る 。 そ し℃ 、 国 有 企 業 の部 門 配 分 は 、 大 部 分 の他 諸 国 に 関 して 、 この"最 小 範 囲"(す な わ ち、 公 共 財 とサ ー ビス)に 接 近 して い る 。 以 下 で 論 じる よ う に、 公 共 財 や サ ー ビス の 非 独 占 的 性 質 の た め に 、 政 府 企 業 が 彼 ら 自身 の損 益 に対 し責 任 を とる こ とは不 可 能 で あ る。 純 粋 な 公 共 財 の 供 給 者 は 、 全 く所 得 を生 み 出 さ な い か も しれ ない し、 そ の 運 営 は 政 府 に よっ て 資 金 提 供 さ れ る べ きで あ る 。 換 言 す れ ば、 これ ら政 府 企 業 に お け る営 利 性 と政府 機 能 の分 離 は 、 問 題 外 で あ る。 皿.2特 殊 法 人:独 占 産 業 と外 部 性 特 殊 法 人 は、 特 殊 法 人 と政 府 どの 間 の 特 別 な 財 政 的 、 規 制 的 関係 を規 定 す る特 別 法 を 通 じて 立 法 府 に よ6て 創 出 され た 国有 企 業 で あ る 。 東 京 大 学 教 授(現 東 洋 大 学 教 授)・'植 草 益 の 言 葉 を借 りて言 え ぼ、 特 殊 法 人 は 次 の 条 件 を満 た さ な け れ ば な ら な い 。 (1)特 殊 法 人 は 、 中央 、 あ るい は地 方 自冶 体 に よ っ て所 有 され1特 鋼 法 に従 つ て設 立 され る。 (2)特 殊 法 人 は、 財 とサ ー ビス の供 給 か ら収 益 を生 み 出す 。 (3)特 殊 法 人 は、 独 立 した 会 計 をも つ 。 こ れ ら特 殊 法 人 は 、 典 型 的 に、 独 占 産 業 お よび重 要 な外 部 性 を必 然 的 に含 む 産 業 に存 在 す る。 多 くの 部 門 に お け る独 占 は、 規 模 の 経 済4)存 在 に よ る"自 然 現 象"で あ る 。 例 え ば 、独 占 は 、 しば しば 、 遠 隔 通 信 、 電 力 、水 道 供 給 の よ う な 非 常 に 費 用 の か か る ネ ッ トワ ー ク を必 然 的 に含 む 部 門 にお い て 出現 す る。 これ ら の 部 門 に お い て は 、 生 産 規模 が 増 大 す る に つ れ そ 、 使 用 者 ご との コ ス トは低 下 す る 。 結 果 と し て、 一 つ の 地 域 で この よ う な サ ー ビ ス を供 給 す る こ とは 、単 一 の供 給 者 に と っ て最 も費 用 効 果 が あ る。 消 費 者 福 祉 に 関 す る 自然 独 占 の否 定 的 衝 撃 を コ ン トロー ル す る た め に は(巨 視 的 経 済 学 は、r私 的 独 占 は 、 よ り高 い価 格 を求 め 、社 会 的最 適 よ り も よ り少 な い 数 量 を 生 産 す る と教 え る)、 多 くの 政 府 は 、 特 殊 法 人 を通 じて これ ら財 とサ ー ビ ス を供 給 す る こ と を選 択 す る 。 こ れ ら事 業 を所 有 す る こ と に よ って 、 政 府 は少 な く と も理 論 的 に は 、 社 会 福 祉 を最 大 限 に す る 目的 に従 って 量 と価 格 を決 定 す る 。 公 共 独 占者 も あ る 。 い くつ か の 政 府 は 、 収 益 を生 み 出 す た め に、 あ る特 殊 法 人 に独 占 的 地 位 を 与 え る 。 こ れ ら特 殊 法 人 は、 低 価 格 弾 力 性 の あ る 製 品 を 生 産 し、 非 常 に高 い利 益 を 生 み 出 す 。 例 え ば、 フ ラ ンス 政 府 は 、1674年 以 来 、 タバ コ 産 業 を独 占 して き た 。 多 くの 政府 は 、砂 糖(フ ラ ン ス と イ タ リ ァ)、 塩(オ ー ス トリ ァ、 イ タ リァ 、 日本)、 ア ル コー ル(ド イ ツ、 フ ラ ンス 、 カ ナ ダ、 ア メ リカ の 多 くの 州)'の よ うな 部 門 で 独 占 企 業 を 経 営 して い る 。 大 部 分 の 国 にお い て 、 郵 便 サ ー ビス は特 殊 法 人 に よっ て 経 営 され て い る 。 い くつ か の 国(例 え ば 、 ス イ ス)で は、 政 府 が 宝 く じ を発 行 した り、 ギ ャ ンブ ル 事 業 を経 営 す る た め に 、 特 殊 法 人 を 設 立 して い る 。 一 方 で 、 私 企 業 に これ ら事 業 に従 事 す る こ と を禁 じて い る 。 他 の 特 殊 法 人 は、 製 品 とサ ニ ビス に"外 部 性"を 与 え る 。 この よ うな 製 品 は 、 そ れ らの 製 品 に 代 金 を支 払 う消 費 者 ば か りで な く、 代 金 を 支 払 わ な い 他 の 人'々に も利 益 を生 む 。 例 え ば 、 い くつ 一72一
か の 環 境 プ ロ ジ ェ ク トは、 投 資 企 業 だ け で な く、 地 域 の 人 々 に も利 益 を 与 え る か も しれ な い 。 基 礎 教 育 は 、 学 生 の 雇 用 と収 入 の 見 通 しを増 加 す る か も し れ な い が 、 社 会 の モ ラ ル水 準 と労 働 効 率 性 を 高 め る こ と に も役 立 つ 。 あ る 部 ・門 は 、 他 の 部 門 と強 い 前 方(供 給)お よ び 後 方(需 要)の "連 鎖"を も っ て い る か も しれ な い 。 そ して 、 これ ら部 門 に お け る投 資 は 、他 の部 門(例 え ば 、 自 動 車 、 電 力 生 産 、 重 機 械 、 飛 行 機 、 ハ イ テ ク防 衛 プ ロ ジ ェ ク ト等)の 成 長 を増 加 ざせ る か も しれ な い 。 これ らの場 合 に お い て は 、 投 資 の社 会 的 利 益 は個 人 的 利 益 よ り も もっ と大 きい し、 個 人 投 資 家 は 、 こ れ らの 部 門 にお い て 、鹽過 小 投 資 す る傾 向 が あ る.。こ の 問題 に と りか か る た め 、 多 くの 政 府 は 、 製 品 とサ ー ビス の要 求 され た量 を供 給 す る た め に 、特 殊 法 人 を創 設 した 。 特 殊 法 人 の主 要 な 特 徴 は、 これ ら機 関 が 営 利 的 目的 と非 営 利 的 目的 を.もっ て い る と い う こ とで あ る 。 非 営 利 的 目的 の 例 は 、 消 費 者 利 益 を 守 る た め に独 占 的 製 品/サ ー ビ ス に対 す る価 格 統 制 を 行 い 、P十分 な量 を供 給 す る た め に 、外 部 性 を も っ た部 門 に投 資 す る こ と を含 む。 一 般 的 に い っ て 、 こ れ ら の 目的 を満 た す こ と は 、 企 業 の 収 益 性 を減 じ る こ と は 避 け られ ない で あ ろ う し、 また 、 こ れ ら企 業 に損 を して 経 営 す る こ と を強 い る こ と さえ に も な る だ ろ う。 後 者 の 場 合 に は 、 政 府 は 、 補 助 金 を支 給 しな け れ ば な ら な い 。 そ れ 故 、 こ れ ら法 人 にお け る営 利 的 機 能 と非 営 利 的 機 能 を分 離 す る こ と は、 非 現 実 的 で もあ る 。 特 殊 法 人 は、 多 くの 方 法 で 分 類 で きる。 (D特 殊 法 人 の機 能(独 占 産 業 、 公 共 プ ロ ジ ェ ク ト「、 ハ イ テ ク プ ロ ジ ェ ク ト、 財 政 制 度 に 適 応 し た 政 策 等)に 従 っ て 区分 で き る 。 (2)所 有 制 度 に応 じて ・ 政 府 の 完 全 所 有 、 政 府 と民 間 部 門 と の 共 同 所 有 、 中央 政 府 と地 方 政 府 と の 共 同所 有 等 に分 類 で き る。 (3)産 業 の 点 か ら、営 利 的 自然 独 占(例 え ば、 発 電 、 遠 隔 通 信 、 空 港 や 高 速 道 路 等)、 限定 され た 政 府 支 援(例 え ば、 政 府 貸 出)で 実 行 可 能 な プ ロ ジ ェ ク ト、 お よび 非 営 利 的 プ ロ ジ ェ ク ト(空 港 、 港 湾 、 高 速 道 路 、 地 下 鉄 、 い くつ か の 公 益 事 業)に 分 類 で き る。 西 欧 諸 国 に お い て 、』GDP(国 内 総 生 産)の 占 め る 国有 企 業 の シ ェ ア の平 均 は 、 約5%(フ ラ ン ス 、 オ ー ス トラ リ ア 、 イ タ ウ ア は 、 さ らに 高 い シ ェ ア を有 して い る)で あ る 。 純 粋 な公 共 財 とサ ー ビス を 供 給 して い る、 い くつ か の 政 府 企 業 の ほ か に 、 大 部 分 の 国 有 企 業 は 、 水 道 、 電 力 、 遠 隔 通 信 、 輸 送 、 お よ び公 共 住 宅 の よ う な 独 占 部 門 で 存 在 して い る 。 国 有 企 業 の よ り少 な い 比 率 は 、 競 争 的 部 門 で 存 在 す る 。 日本 に お い て は 、大 部 分 の 特 殊 法 人 は、 独 占 性 質 を イ ン フ ラス トラ ク チ ャー 部 門 で 存 在 す る7)。 特 殊 法 人 の 重 要 な特 徴 は、 こ れ ら特 殊 法 人 の総 数 は 、 管 理 可 能 レベ ル で コ ン トロ ー ル され て い る とい う こ と で あ る。 日本 に お い て は 、 国 家 レベ ル で86の 特 殊 法 人 、 地 方 レ ベ ル で は そ れ 以 上 の 特 殊 法 人 が あ る8)。 皿.3株 式 会 社 企 業:競 争 的 産 業 伝 統 的 な微 視 的 経 済 学 は 、 競 争 的 産 業 に お い て は 国 家 所 有 を必 要 と しな い と示 唆 して い る。 経 験 的 証 拠 も ま た 、 一 般 的 にい っ て 、 私 企 業 は 、 国有 企 業 よ り も効 率 的 に経 営 が 行 わ れ る と示 して い る(よ り多 くの 議 論 が 後 に続 くだ ろ う)。 に もか か わ らず 、発 展 途 上 国 を含 む多 くの 国 の政 府 は 、 競 争 的 産 業 の 部 門 にお い て 多 くの 企 業 を所 有 、 あ る い は株 式 を保 有 し続 け る 。 こ れ らの 企 業 の 大 部 分 は 、株 式 会 社 企 業 の 形 態 で存 在 す る。 政 府 が 競 争 的 産 業 に巻 き込 ま れ る根 本 的 理 由 は、 多 くあ る。 い くつ か の 重 要 な説 明 は 次 の とお 一73一
りで あ る 。 (1)性 質 上 は 厳 密 に独 占 的 で は な い け れ ど も、・鉄 鋼 、 石 油 化 学 、 自動 車 、 造 船 、 お よ び 生 医 学 工 学 の よ う な 多 くの 部 門 は 、 多 大 な初 期 投 資 を必 要 とす る。 低 開 発 資 本 市 場 を もっ た 発 展 途 上 国 に お い て 、 これ ら産 業 に投 資 す る こ とは 、 民 間 部 門 の 能 力 を しば しば超 え る 。 そ の 上 、 多 くの プ ロ ジ ェ ク トが か な りの リス ク を含 む長 期 間 投 資 を 必 要 とす る 。結 果 と して 、 民 間 部 門 が 、 こ の よ う な部 門 に参 入 す る に は、 限 定 され た動 機 を もつ こ とに な る 。 この よ う な産 業 を発 展 さ せ る た め に は(こ の よ う な"追 い つ く"動 機 が 望 ま しい か ど う か は別 問題 で あ り、 お そ ら く政 治 的 問 題 で あ る)、 政 府 は 、 も しそ うで な けれ ば発 展 させ る の に数 十 年 以 上 もか か るか も しれ な い 、 こ れ ら部 門 に公 共 資 源 を投 資 す る こ と を決 定 す る か も しれ な い 。 (2)高 い 失 業 を避 け 、 社 会 的 安 定 を維 持 す る た め に 、 政 府 は 損 失 を発 生 して い る 、 あ る い は破 産 して い る私 企 業 を救 う こ とを 決 定 す る か も しれ な い 。1930年 代 初 め 、 多 くの 西 欧 諸 国 は 、 この 理 由 の た め に 自動 車 、 鉄 鋼 、 造 船 産 業 に お い て 多 くの 私 企 業 を 明確 に 国 有 した 。 例 え ば 、 イ タ リ ア 政 府 は、1933年 、 多 数 の倒 産 した 私 企 業 を 買 い 取 るた め に持 株 会 社IRI(産 業 復 興 会 社)を 設 立 し た。 最 近 の例 で は、 フ ラ ン ス政 府 が2つ の 大 規 模 鉄 鋼 会 社 と2つ の 自動 車 会 社 を1970年 代 後 半 に 買 い取 っ た の が あ げ られ る。1977年 と1978年 に 、 ス イ ス 政 府 も また 世 界 で 最 大 の 民 間 造 船 会 社 を 買 い 取 っ た 。 (3)い くつ か の 政 府 は、 消 費 者 が 相 当 多 く消 費 し、 十 分 に貯 蓄 しな い 傾 向 が あ る の で 、 消 費 者 は しば しば 近 視 眼 的 で あ る と信 じて い る 。 こ の よ う な過 剰 消 費 は 経 済 成 長 を 制 約 し、 経 済 成 長 を高 め る た め には 、 政 府 は資 源 を結 集 し、 生 産 部 門 に投 資 をす る必 要 が あ る とい う結 果 に な る。 経 験 的 証 拠 を用 い て こ れ ら議 論 の重 要 性 を実 証 す る こ と は 難 しい が 、 競 争 的 産 業 に お け る大 部 分 の 国 の 国有 企 業 の 結 果 は 、彼 らの活 動 は 概 して 同 じ部 門 に お け る私 企 業 よ り も劣 っ て い る とい う こ と を示 唆 して い る よ うに み え る 。 た と え上 述 の議 論 は価 値 が あ る と して も、社 会 的 費 用 一 減 少 した効 率性 と資 源 誤 配 分一 は社 会 的利 益 よ りも多 くな りが ち で あ る。 過 去20年 以 上 に わ た っ て、 多 くの 国(特 に先 進 国 、 さ ら に は最 近 で は 過 渡 期 に あ る 国 に お い て)は 競 争 部 門 にお い て 大 多 数 の 国 有 企 業 を 民 営 化 し た。 これ ら の部 門 で 最 も最 後 ま で 残 っ て い た 国 有 企 業 が 民 営 化 を 通 じて 改 革 さ れ た し、 あ る い は 改 革 され つ つ あ り、 究 極 的 な民 営 化 の 過 渡 期 の な か に あ る と考 え られ て い る。 こ れ らの 場 合 に お い て、 競 争 部 門 に お け る 国有 企 業 の存 在 の 根 本 的 理 由 は 、 次 の よ う に な る。 短 期 間 にお け る大 規 模 な民 営 化 は大 規 模 な 失 業 を生 み 出 し、 お よ び/ま た は 民 間 資 本 は 非 常 に 短 期 間 で は多 くの 民 営 化 した 国 有 企 業 を吸 収 す る力 が ない 。 V国 有 企 業 の3類 型 の 政 策 環 境 こ の 章 の論 述 は、5つ の側 面 に分 け ら れ る。 す な わ ち 、 予 算 制 約 、 製 品 市 場 に お け る競 争 、所 有 権 の譲 渡 性 、 経 営 者 労 働 市 場 、 そ して 政 府 の介 入/規 制 で あ る。 多 くの研 究 は 、 国有 企 業 改 革 の 成 功 は 、 多 くの 内 的 、 お よび 外 的 な 要 因 に依 存 し、 重 要 な外 的 要 因 は 、確 固 た る予 算 制 約 、 製 品 市 場 、 資 本 市 場 に お け る増 加 した競 争 、 経 営 者 労 働 市 場 、 減 少 した 政 府 介 入 を含 む こ と を示 し た 。 しか しな が ら、 これ らの研 究 は 、 国 有 企 業 の 異 な っ た類 型 に対 す る外 的(あ る い は 政 策)環 境 を 区 別 す る こ とが で きず 、 上 述 した 原 則 は す べ て の 国 有 企 業 に適 用 で き る こ と を示 唆 して い る よ う に み え る 。 こ の 見 方 は 、 あ ま り に も単 純 す ぎ て お り、 異 な っ た 改 革 戦 略 が 国 有 企 業 の 異 な っ た 類 型 に 適 し た政 策 環 境 を創 出 す る た め に考 慮 され るべ きで あ る と信 じる 。 一74一
IV.1政 府 企 業 (1)予 算 制 約 堅 固 な予 算 制 約 は 、 企 業 の 財 政 資 源 は資 本 市 場 か ら得 られ た 自分 自身 の 収 益 と投 資 に よ っ て 制 約 さ れ る と こ ろ の状 捉 と蘭 連 す る 。 政 府 企 業 に 関 して は 、 そ の 状 況 は 正 反 対 で あ る。 資 金 の源 泉 の 大 部 分 は 、 政 府 予 算 か らで あ る。 そ れ 故 、 政 府 企 業 の 予 算 制 約 は 、"緩 い"。 政 府 企 業 の 緩 い予 算 制 約 は 、 公 共 財 や サ ー ビス を供 給 す る 目的 と 一 致 す る。 人 は、 公 共 財 や サ ー ビス を請 求 す る こ とが で きな い の で 、 政 府 企 業 は典 型 的 に収 益 を生 まな い し、 政 府積 立 金 に 応 じな け れ ば な らな い 。 政 府 企 業 の 政 府 積 立 金 へ の 信 頼 に よっ て 、 政 府 企 業 の経 営 管 理 者 は、 積 立 金 の 必 要 性 を誇 張 す る こ と に よ っ て"予 算 を極 大 化"す る傾 向 が あ り、 支 出 を コ ン トロ ー ル す る 動 機 を も っ て い な い 。 こ う した傾 向 を緩 和 す る た め 、 政 府 は 新 しい 予 算 技 術(作 業 別 予算 編 成 、 ゼ ロ予 算 編 成 等 を含 む) を 用 い た り、 メ カニ ズ ム を監 視 す る(望 ま しい 支 出 を規 定 す る こ と、 会 計 監査 を強 化 す る こ と等) こ と を制 定 した 。 い くつ か の 場 合 にお い て 、 政 府 は 競 争 入 札 を 通 じて民 間 部 門 に公 共 財 の 供 給 を 契 約 して き た。 (2)製 品 市 場 民 間 部 門 は 、 公 共 財 や サ ー ビス を供 給 す る動 機 を も っ て い な い の で 、 そ れ ぞ れ の 公 共 財 は典 型 的 に 特 定 地域 に お け る1つ の 政 府 機 関 に よ っ て 供 給 され て お り、 製 品 市 場 にお い て 市 場 競 争 が な い 。 そ れ 故 、 政 府 企 業 は 、 常 態 的 に コ ス トを減 じた り、 品 質 を改 善 す る とい っ た競 争 圧 力 下 に は な い 。 結 果 と して 、 政 府 企 業 は 、 し ば しば 低 生 産 性 や 粗 末 なサ ー ビス 品 質 を示 す 。 政 府 企 業 に競 争 を導 入 す る た め、3つ の 方 法 が 用 い られ て きた 。 ① 子 会 社 の 活 動 を評 価 す る 時 、 監 督 庁 は類 似 企 業 との 生 産 性 と製 品 品 質 の比 較 を 強 調 し、 この よ う な活 動 に基 礎 を 置 い た 企 業 経 営 者 を助 長 す る。 も ち ろ ん 、 この 方 法 は 、 製 品が 比 較 可 能 で あ り、 製 品 品 質 が測 定 可 能 な場 合 にの み 有 効 で あ る。 ② 競 争 入 札 を 通 じて 契 約 制 に よ る競 争 の 導 入 。 先 に論 じた よ う に、 こ の 方 法 は 一 つ の 限 界 を も っ て い る。 ③ 地 方 政 府 との 間 の競 争 。 も しA場 所 がB場 所 よ り も低 コ ス トで 高 品 質 の サ ー ビス を生 産 す る こ とが で きる な ら ば 、B場 所 に あ る企 業 や 居 住 者 は、A場 所 に生 産 を移 動 させ る動 機 を もつ だ ろ う。 この 傾 向 は 、 経 営 を改 善 す る た め にB場 所 に対 して 政 治 的(例 え ば メ デ ィア を通 じて)、 お よび 経 済 的(例 え ばB場 所 は 収 益 基 盤 を失 う)圧 力 を もた らす 。 競 争 の こ の類 型 の有 効 性 は 、 人 口 と資 本 の移 動 性 に 依 存 す る 。 (3)所 有 権 の 譲 渡 性 民 間部 門 は 、 公 共 財 や サ ー ビス に投 資 す る こ と に興 味 を もっ て い な い の で 、 政 府 企 業 の 財 産 権 は概 して 譲 渡 す る こ とが で きな い 。 民 間 部 門 と比 べ る と、 そ れ 故 、 政 府 企 業 は 、 節 度 の た め の1 つ の重 要 な メ カ ニ ズ ム、 す な わ ち 資 本 市 場 か ら の競 争圧 力(乗 っ取 りの 恐 れ)に 欠 け て い る 。 (4)経 営 者 労 働 市 場 政 府 企 業 の 主 要 目的 は 、 非 営 利 的 商 品 とサ ー ビス を供 給 す る す る こ とで あ る の で 、 そ の 経 営 管 理 者 は 、 政 府 の 目的 と運 営 手 続 き に精 通 して い な け れ ば な らな い 。 経 営 者 労 働 市 場 か ら手 に 入 れ られ る経 営 者 技 術(す な わ ち 、 利 益 を生 み 出 す 技 術)は 、 政 府 企 業 に とっ て は 適 して い な い 。 そ れ 故 、 政 府 企 業 の 経 営 管 理 者 は 、 典 型 的 に政 府 か ら監 督 庁 に よっ て選 任 され る。 (5)政 府 介 入/規 制 特 殊 法 人 と株 式 会 社 と を比 較 す る と、 政 府 企 業 へ の 政 府 介 入 は 、 最 も広 範 囲 で あ る。 政 府 企 業 一75一