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〈書評〉『細菌の栄養科学』

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Academic year: 2021

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(1)近 畿 大 学産 業 理 工 学部 かや の も り16(2012). 石 田 昭 夫 ・永 田 進 一 ・大 島 朗 伸 新 谷 良 雄 ・佐 々 木 秀 明 著 共 立 出版2006年11月. r細 菌の栄養科 学』. 生物環境化学科 田中 賢二. 貼閉印 ■. rl岨軍 叱・M■`乳 暴「 ・【1』・'光 ・幽」軌. 閉. 岬 凋 爾 岨 り岨. . 緩. 鍵 細菌の栄養科学. 、鮎 、 魂 島,北1個. て いる のも当 た り 前 か。 優 れた 料 理 店 と微 生 物 の研 究 は、 どち ら も 厳 し い訓 練 を. 受 け 研ぎ 澄 まさ れ た 技 術 を も つプ ロが支 え る。 伝 統 的 な 手法 を 正 し く伝 承 し つ つ、. 同 時 に 人 々の趣 向 や 世 の中 の新 し い潮流 を取 り入 れ 絶 えず 新 し いも のを創 造 し て. いく 。 そ のた め に仕 事 のや り方 に厳 し い基 準 を つく り 、多 大 な 時 間 と 労力 を かけ. 丁寧 に た くさ ん の作 業 を 重 ね て いく 。 長年 培 った 経 験 と 技 ・感 が 大 き く物 を 言 う. のは 間違 いな いが 、 豊 富 な知 識 と 練 り 上げ た 理 論 ・哲 学 も 不 可欠 であ る。 自 分 が. 作 り あげ た も の に対 し て 誇 りと 責 任 を もち 、 それ が 一般 の方 々と 同 業 の専 門 家 達. の両 方 に よ って吟 味 さ れ る点 も 同 じ であ る。 料 理 人 の場合 は、 お 客 さ ん と他 の料. 理 人 に よ って。 研 究 者 は、 教 育 を 通 じ て学 生 によ って 、 研究 論 文 を 通 じ て 同 じ分. 野 の研 究者 に よ って。 調 理 場 ( 実 験 室 ) に こだ わ り 、弟 子 ( 学 生 ) を育 て る こと. に情 熱 を 注 ぐ。 親 方 ( 教 員 )・兄 弟 子 (大学 院 生 )・ 弟 弟 子 (4年 生 ) のチ ー ム ワー. ク が 大 切 で作 業 場 で土ハに 過ご す 時 間 が 長 い点 も 同 じ であ る。 親 方 (教 員) の仕 事. ぶ り を 間 近 で眺 め て、 時 に は盗 み見 て、 技を 覚 え る 。違 う の は、 昨 今 の大 学 では. ら な け れば な ら な い点 だ ろう か ?. ( 私 の研究 室 も 含 め て)学 生 に は懇 切 丁寧 に接 し、 時 に は 手取 り 足 取 り教 え てや. る こと も好 き であ る。 食 材 や 調 味 料 選 びも 楽 し いも のであ る。 出 張先 や 旅 行 先 で. に答 え ら れな く て指 導 教 授 に怒 鳴 ら れ る こ と は し ょ っち ゅう だ った し、 英 語 輪 講. 筆者 が大 学 生 だ った 頃 は、 些 細 な ミ スや 質 問. は 、 必ず と 言 って い いほど 評 判 の良 い店 、 美 味 し そ うな 店 を 下 調 べ し て食 事 に 行. の発 表 の出来 が 悪 く て灰 皿 を投 げ つけ ら れ た先 輩 も いた。 大 学 教 授 と 言え ば 世 間. で、 こ の本 の紹 介 であ る。 本 書 は、 微生 物 の生 理 ・生態 に詳 し い 5人 の研 究 者. く。 で き れば 友 人 な ど を伴 わ ず に 一人 で店 を 訪 れ る。 寂 し い気 も す るが 、 何 よ り. によ って執 筆 さ れ た も ので、 微 生 物 の代表 格 であ る 原 核 生物 の細 菌 を 中 心 に、 細. の人 達 の目 に は、 知 的 で 温 厚な 紳 士 と 映 るだ ろ う が 、 筆者 にと っては と ても 怖 い. ど ち ら も 小さ な 店 構 え で高 級 店 に は と ても 見 え な い。 し か し出 さ れ る料 理 は ど れ. 菌 の栄 養 環境 、栄 養 源 と細 菌 の生 活、極 限 環 境 微生 物 と 環 境適 応 な ど ﹁ 細 菌 にと っ. 深 く味 わ いた いと いう か、そ の店 の味 を "分 析" した いか ら であ る。 " 常 連 "と い. も 超 一級 品 であ る 。 一つは福 岡 市内 のフ ラ ン ス料 理店 、 も う 一つは今 で は後 継 者. 老 舗 の料 理屋 の親 方 のよ うな 存 在 だ った。. が ほ と んど いな く な ったと さ れ る 大 阪 の "生 な り "料 理 の店 であ る。 2軒 と も こ. 栄 養学 と 言う と 、 ど う し ても ヒト の栄養 と それ に 関 連 す る 医化 学 ば か りが 想 起. て の栄 養 と は何 か ?﹂ を視 点 に記 述 し て いる。 ま た 、細 菌 を利 用 し た遺 伝 子 工学. こだ わ り は半 端 では な い。 いや 、 こだわ りな ど と いう 言葉 は生 易 し い。 料 理 への. さ れ てし ま い、 ヒト 以 外 に つい て は家畜 の飼 料 と 農 作 物 の肥料 で思考 が 止ま って. れ 以 上 とな い ほど 一徹 な 料 理 人 が や って い る。 行 けば 必ず 長 い時 間話 し 込む 。 ほ. 揺 るぎ な い信 念 と 本 当 の味 を 追 求 す る た め の 一切 妥協 しな い姿勢 。 出さ れ る 料 理. しま う。 と く に 一般 人 に と って "バ イ菌 " と いう イ メ ージ し か湧 か な い微 生 物 に. に ついて も解 説 さ れ て いる。. は す べ て美 味 し く 、 ﹁ 0 0 って本 当 は こう いう味 だ った のか !﹂ ﹁こんな 料 理 が 可. つい ては、 専 門 分 野 で学 ぶ大 学 生 です ら、 初 め は ﹁不 衛生 な 所 には 何 ら か の微 生. 思 えば 微 生 物 の実 験 は料 理 と よ く似 て い る。 そ の研究 者 と 料 理 人 も似 た よ う な. 素 に は多 様 な 種 類 が あ り 、 そ れら が 微 生物 にと ってど ん な役 割 を 果 た し、 細 胞 内. う 漠 然 と し た考 え し か 持 って いな い。 も ち ろ ん、 微 生 物 の世界 にお いて も、 栄 養. 物 が 繁 殖 す る﹂、 ﹁ 栄 養 源 であ る有 機 物 が豊 富 であ れ ば 菌 は よく 生 え る ﹂な ど と い. も のだ と思 う 。 そ も そ も微 生 物 は 酒造 りや 食 品 の発酵 に よく 使 わ れ る のだ か ら 似. し か し、 弟 子に は と て も厳 し い。. 能 な のか﹂ と 驚 か さ れ る こと も 多 い。 性 格 こそ 対 照的 だ が 二人 と もあ け す け だ 。. と ん どが 食 い物 の話 であ るが 、 毎 回 と ても 勉 強 に な る。 二人 の料 理 人 の仕 事 への. う ほ ど頻 繁 に行 く わ け で は無 いが 、 私が 絶 対 的 な 信 頼 を寄 せ て いる店 が 2軒 あ る。. 私事 で恐 縮 であ る が、 筆 者 ( 私 ) は料 理が 好 き で あ る。 食 べる のはも ち ろ ん 作. [書 評].

(2) 評] [書. の代謝 と利 用 を 支 配 す る酵 素 タ ンパ ク と遺 伝 子 に ついても 急 速 に 研究 が 進 ん で い. でど のよう に代 謝 さ れ利 用 さ れ る のか分 子 レベ ルで 明 ら か にさ れ て いる。 栄 養 素. いう 一連 の調 理作 業 に 相 当す る かも し れな い。 そ し て味 付 けが 種 菌 の接 種 と いう. 地 作 り は素 材 の選 択 と "仕 込 み" であ る。 培 養 は、 煮 る ・妙 め る ・焼 く ・蒸 す ・. こと に な ろう か。 ( 順 番 は料 理 の場 合 と 逆 に な って しま う が )。 "レ シピ "はも ち ろ. た る 技術 に高 め る のは 、 日 々の研 鎭 と試 行 錯 誤 の繰 り 返 し であ る 。 そ のう え で、. る。 し か しな が ら 、学 生 諸 君 に と って は、 こ のよ う な微 生 物 の栄養 に関 す る 勉 強. 微生 物 と く に 細 菌 が利 用 しう る 栄養 素 の種 類 と細 胞 内 で の利 用方 法 ( 代 謝 ・エ. 己 が身 に着 け た 知 識 を 総動 員 し て何 が最 上 かを 追 求 し 続 け る覚 悟 が 必 要 であ る 。. ん 大 事 で あ る が 、 そ れ に 忠 実 な だ け では 良 い も のは 出 来 な い。 混 ぜ る だ け で も. ネ ルギ ー獲 得 機 構 ) は、 植 物 や 動 物 のそれ か ら は 想像 が つかな いほ ど多 様 であ り 、. 微 生 物実 験 の成 否 は 、 そ の 7割 が 培 地作 り に かか って いると 筆 者 は 思う 。 研 究 室. は 、 と もす れ ば ヒト の栄 養 学 や 栄養 化学 の単 な る 延 長線 上 に留 ま って しま い、 微. 時 に は ミ ステリ ア スでさ え あ る。 さ ら に重 要 な のは、 微 生 物 を 取 り巻 く 栄 養 環 境. で、 学 生諸 君 と 共 に 日夜 微 生 物 と 格 闘 しな が ら 、 私 は あ の 二人 の料 理 人を 思 い出. 様 々な隠 れた コツや テ ク ニ ック、 た くさ ん の注 意 事 項 が存 在 す る 。 そ れら を 確 固. が 、 そ のま ま 微 生 物細 胞 の増 殖 と 性質 ・生 態 に 強 く 反 映さ れ る と いう 点 であ る 。. す ので あ る。. 生 物 の生 態 ・性 質 の本質 に迫 る ことな く終 わ り が ち であ る。. ヒトや 動 物 の場 合 、 栄養 を 考 え る こと は、 飢 餓 や 欠 乏症 によ る 病気 を防 ぐ こと が 第 一であ って、 食 餌 の栄 養 条 件 を 調節 す る こと に よ って、 そ の生 物 の個 体 の成 長 や 機能 ・生 態 を あ る方 向 に制 御 し よ うな ど と は 考 え な い。 しか し、 微 生 物 を 取 り 扱 う時 は、 そ れ こそ が主 題 あ る いは主 目的 と な る。 菌 をた く さ ん増 や す 、 何 か 有 用 な 化合 物 を た く さ ん作 ら せる 、 何 かを 分 解 さ せ る、 ヒ トや 他 の生物 の体 内 であ る 種 の作 用 を 発 揮 さ せ る、 あ る いは逆 に そ の活 動 を抑 制 す る こと が 化学 工業 や 医 薬 、衛 生 、 食 品 加 工 、 環境 浄 化 、資 源 リサ イ ク ルに お け る微 生 物操 作 の 目標 であ る。 何 が 可能 か は 、菌 本 来 のも つ性質 と栄 養 環 境 に よ って決 ま る。 栄 養 環 境 と は す な わち 培 地 であ る。 培 養 の目 的 に ふさ わ し い適 切 な組 成 の培 地 を考 案 し、 そ の 効 能 が きち ん と 発 揮 さ れ るよ う 正 し く 調製 す る こと が微 生 物 の利 用 と そ のた め の 研 究 を成 功 さ せ る う え で何 よ り 大事 であ る。 本書 の執 筆 ・出 版 にあ た っては 、好 塩 微 生 物 研 究会 の強 い後押 し もあ った そ う だ が、 本 書 の執 筆 者 ら は こ の研 究会 を含 む極 限 環 境 微生 物 学 の分 野 で先 端 的 な 研 究 を 展開 し てお ら れ る。 極 限 環 境 に適 応 した 特 殊 な能 力 を も つ微 生物 を 研 究 す る 人 達 が、 細 菌 の栄 養 科学 に関 す る こ のよう な 良 書 を執 筆 さ れ た こと も納 得 が いく。 あ る程 度 の専 門 知 識な し で、 本書 で いき な り 微 生 物学 の栄 養 科学 と環 境 を 学 ぶ のは ハー ド ルが 高 過ぎ る かも しれ な いが 、 微 生 物 学 や生 化 学 、 栄養 化学 を あ る 程 度 学 び実 際 に微 生 物実 験 を 始 め た卒 論生 、院 生 諸 君 は培 地 成 分 一つ 一つの " 役割". そ し て、 培 地 組 成 を適 切 に設 定 す る こと が いか に. と 、 そ れが 微 生 物 の増 殖 に実 際 ど のよう に影 響 す る のか こ の本 を 通 じ てよ く 理 解 でき る ので はな いだ ろ う か ?. 冒 頭 の話 に戻 る が 、栄 養 素 は料 理 に例 え れ ば 、 いわば 素 材 そ のも のであ り 、 培. 大 事 であ り、 か つ難 し い かが 分 か る ので はな いだ ろ う か ?.

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