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英独問の経済戦争と日本の対中封鎖作戦の相互の関係 : 1939年-1941年

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英独 間 の絳済戦争 と日本 の対 中封鎖作 戦の相互 の関係

1939年

一1941年

The Analysis

on Development

of Anglo-German

Economic

War-fare and Japan's

Blockade

against

China from 1939 until

1941

and the Interrelationship

between the Two Economic Blockades

Yasuhiko

Doi

Anglo-German

economic

warfare entered a new phase when the Netherlands and

France were defeated by the Germans in June 1940. British contraband control, previously

the chief of weapon of the economic

warfare became relatively unimportant and was

re-placed by a simple blockade

so far as the naval situation allowed.

In Asia and the Pacific, Anglo-German

economic

warfare brought a distorted relation

between Britain and Japan. There were two background

factors which brought such

con-f rontation.

The first one was related to the grave leakage from the British blockage against

Ger-many. Japan tried to transfer some important products which were necessary for German

war efforts and were contraband goods from the British point of view. Those goods were

transported through the South Manchuria Railways and the Siberian Railways.

Britain

be-came very nervous of Japan's involvement

in such leakage to Germany.

On the other hand,

Britain maintained supply-lines with France to support Chiang Kai-shek Government

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bog-ged down over the war against Chiang Kai-shek tried to close those routes putting press-ures on Britain and French Indochina but the Allies did not comply with Japanese demand insisting such routes were principal trade traffic only left to Chinag Kai-shek .

The other factor was a struggle between the allies and Japan for important raw mate-rials produced in Asian countries which were colonies of Britain , France and the Nether-lands. Japan tried to increase her purchase of raw materials from the South East Asia coun -tries and to undermine the control of Western great powers over them . On the other hand, Britain tried to control important raw materials and agricultural products not to be ex-ported to Japan or not to be reexported through Japan to Germany from Asian colonies of British Empire or of France and the Netherlands.

The tension reached a peak when France and the Netherlands were defeated by Ger-many in June 1940 and Japan put pressure on French Indochina and Netherlands East In-dies to increase the share of export of raw materials getting the chance of Germany's over-whelming victory in Europe. Although Britain was in a predicament , she could secure posi-tive support from the USA when the US Government decided in July 1940 to apply export license system to all of goods to be directed to Asia .

Therefore, two dimensions of the economic blockade , namely the British blockade against Germany on the one hand and the Japanese blockade against China on the other col-lided with each other in Asia while Japan could not deal with the Japanese-Sino War pro-longed by Chinag Kai-shek' s resistance and tried to find a way out of the difficulties plan-ning to build up her sphere of influence called the Greater East Asia Co-prosperity Sphere .

The collision of the two operations for economic blockade brought a phase of economic warfare of Britain and the USA against Japan in Asia and the Pacific earlier than the entry of Japan and the USA into the War.

第1章 経 済 戦 争 の 特 徴 と第1の 段 階 第1節 経 済 戦 争 に対 す る イ ギ リス と 日本 の 取 り組 み 方 と意 識 の 差 第2節 戦 争 の長 期 化 の 前 提 第3節 第1次 世 界 大 戦 時 との 差 異 第4節 中立 国 の分 類 と対 策 第5節 コ ン トラ バ ン ド ・コ ン トロ ー ル をめ ぐ る 日英 対 立 第2章 経 済 戦 争 の第2段 階へ の 進 展 と国 際 関 係 第1節 フ ラ ンス の崩 壊 と経 済 封 鎖 へ の 傾 斜

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第2節 ア ジ ア ・太 平 洋 にお け る 日英 対 立 の 質 的 変 化 第3節 フ ラ ンス 崩壊 後 の経 済 戦 争 手段 第3章 イ ギ リス の経 済 戦 争 に対 応 す る ア メ リ カの 政 策 変 化 第1節 国 防 強 化 法 に よ る対 英 支 援 第2節 選 別 ラ イ セ ンス 制 度 の強 化 第3節 経 済 戦 争 の 第2段 階 へ の 政 策 調 整 .第4章 経 済 戦 争 の 第3段 階 へ の進 化 第5章 経 済戦争 の形 態の分析 第6章 ま と め

第1章

経済戦 争の特徴 と第1の 段階

第1節 経 済 戦 争 に対 す る イ ギ リス と 日本 の 取 り組 み方 と意 識 の 差 ヨ ー ロ ッパ で ドイ ッ との 戦 争 が起 これ ば,・そ の 最 初 の段 階 で 英 仏 な ど連 合 国 が 効 果 的 に用 い る こ との で き る 唯 一 の 攻 勢 的武 器 と して 重 視 され た の が,経 済 的圧 力(economicpressure)で あ っ た。1939年4月 の連 合 国 参 謀 本 部 ス タ ッ フ に よ る戦 略 的 政 策 に関 す る広 い 視 野 か らの討 議 資 料 も こ の 点 にふ れ て い る1。 イ ギ リス が1925年 の ロ カ ル ノ条 約 で フ ラ ンス と と も に ドイ ツの 東 の 隣i国 ポ ー ラ ン ドの 安 全 保 障 を約 束 して も,ヨ ー ロ ッパ 大 陸 の フ ラ ン ス と ドイ ッ を飛 び超 え て ポ ー ラ ン ドを直 ち に 軍 事 的 に支 援 す る こ とは 不 可 能 で あ っ た 。 した が っ て イ ギ リス 政 府 は ドイ ツが ポ ー ラ ン ドへ 侵 攻 した場 合 の 対 抗 手 段 と して は,と りあ えず ドイ ッ に経 済 圧 力 をか け る の が現 実 的 な政 策 だ と判 断 した の で あ る。 1939年4月 の 参 謀 本 部 首 脳 た ちの 戦 略 会 議 に 出 され たペ ーパ ー は,英 対 外 貿 易 省(Department ofOverseasTrade)の 産 業 諜 報 セ ン ター(IndustrialIntelligenceCenter)が 日独 伊3国 の経 済 情 勢 を分 析 した もの で,そ の こ と 自体 イギ リ ス の 容 易 な らぬ 軍 事 的情 勢 と経 済 圧 力 の行 使 が 官 民 の 経 済 情 報 に 支 え られ な け れ ば な らな か っ た こ と を物 語 る もの で あ っ た 。 経 済 圧 力 に は この場 合2 つ の形 態 が あ り,1つ は敵 国 の 戦 争 努 力 に不 可 欠 な物 資 が 海 外 か ら供 給 され る の を防 ぐ こ と で あ り,他 は 敵 国 の経 済 生 活 の破 壊 で あ っ た。 後 者 は も っぱ ら空 軍 の役 割 で あ っ た が,戦 時 下 で も純 粋 な軍 事 目標 に攻 撃 を 限定 しな け れ ば な らな い 国 際 法 や 国 際 道 義 の制 約 が あ っ た 。 そ の ため 経 済 圧 力 の努 力 は前 者 に,つ ま り海 軍 力 をバ ック に した封 鎖 に集 中 的 に 向 け られ る こ と に な っ た。 こ の 経 済 圧 力 は,戦 時 に は と くに敵 国 の 経 済 力 を破 壊 す る た め の経 済 戦 争(economicwar)と して位 置 づ け られ た 。 経 済 戦 争 は,敵 国(交 戦 国)の 経 済 を混 乱 ・破 壊 し,戦 争 遂 行 能 力 を経 済 的 に抑 制 す る戦 争 手 段 の1つ で あ り,そ の 目的 が 敵 の 敗 北 に あ る とい う点 で は,軍 事 作 戦 の1つ だ とみ る こ と が で き る。 経 済 戦 争 の 機 能 は 陸 海 空3軍 の 戦 い を補 完 す る もの で は あ るが,総 力 戦 の も とで 戦 争 の長 期 化 が 予 想 され た と き,そ の 重 要 性 は前 面 に押 し出 され た 。 英独 戦 争 勃 発 後 の

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1939年10月 末,英 参 謀 本 部 首 脳 は,連 合 国 が 攻 勢 を と り う る唯 一 の分 野 が 経 済 に あ り,す で に ド イ ッ に対 して外 交 的 ・財 政 的 手 段 に よ る圧 力 をか け て い る こ とを 明 らか に した2。 日本 に対 す る経 済 圧 力 の 必 要 性 が 討 議 され た の は か な り早 い 時 期 で あ る。1930年 代 に経 済 圧 力 に よ っ て 日本 を柳 制 す る 可 能 性 が種 々 の 視 点 か ら検 討 さ れ た 。 初 め は 国 際 連 盟 に よる 経 済 制 裁 政 策 と して,後 に は 中 国 に お け る西 欧 諸 国 に対 す る 日本 の 差 別 政 策 へ の報 復 手段 と して ,さ らに経 済 戦 争 全 体 の 観 点 か ら検 討 が 加 え られ た 。 そ して具 体 的 な計 画 が 練 られ た の は,1937年7月 廬 溝 橋 事 件 に 端 を発 した 日本 の対 中 戦 争 が 本 格 的 に進 展 し た と きで あ っ た。 これ らの 討 議 か ら常 に 引 き出 さ れ た 結 論 は,対 日経 済 圧 力 の成 功 はい つ に ア メ リ カ の協 力 にか か っ て い る と い う こ と で あ った 。 こ の イ ギ リス の 命 題 は,そ の後 確 固 浮 動 の もの と な り変 わ ら な か っ た 。1937年10月 の 英 産 業 諜 報 セ ン ター報 告 書 は,「 日本 の 備 蓄 が 枯 渇 した あ と,英 帝 国 や連 合 国 の影 響 力 下 の 地域 か ら の原 料 資 源 の供 給 が な けれ ば 日本 の 経 済 は立 ち行 か な くな る 。 た だ し英 帝 国 の す べ て は も ち ろ ん の こ と ア メ リ カ の 効 果 的 な 協 力 が な け れ ば ,対 日ボ イ コ ッ トの手段 はそ の 目的 を達 成 し得 な い3。」 と した。 英 帝 国 の安 全 保 障 を検 討 す る 帝 国 防 衛 委 員 会(theCommitteeofImperialDefence)は1937年12 月 末,対 日経 済 圧 力 を行 使 す る た め の 明 確 な計 画 を準 備 す る こ とは ,ド イツに対 す る同種 の計画 を準 備 す る こ と よ り優 先 的 に行 わ れ な け れ ば な ら な い とい う指 令 を下 した4。 こ の た め 対 独 経 済 圧 力 の具 体 的 計 画 を作 成 の た め の作 業 は一 時 中 断 され た が,1838年3月 に復 活 して い る。 想 定 され た 対 独 戦 争 時 の 経 済 戦 争 計 画 に水 を差 す 形 で,対 日経 済 圧 力 の 計 画 準 備 を優 先 させ よ う と した指 令 の 意 味 す る と こ ろ につ い て は,い くつ か の背 景 が 考 え られ な け れ ば な ら ない 。 まず 国 際 情 勢 を考 え る と,イ ギ リス で は ドイ ツ との 緊張 が1937年 の 前 半 を通 じて 継 続 した と は い え , 1938年3月 の オ ー ス トリア の ドイ ツ に よ る強 制 併 合 や9月 の ミ ュ ンヘ ン危 機 の 前 で あ り,ド イッ との 関 係 が 緊迫 感 を帯 び て い た と は必 ず しも い え な い こ とで あ る。 こ れ に対 して 日本 は 南 京 攻 略 作 戦 を行 い,中 国 人 虐 殺 の い わ ゆ る南 京 事 件 が 世 界 に 報 道 され,英 米 に も大 きな 衝 撃 を与 え た 時 期 で あ った 。 しか しそ れ 以 上 に,対 日経 済 圧 力 を成 功 させ る た め に は ア メ リカ の協 力 が 必 要 で あ り,ま た ドイ ッ との全 面 戦 争 に ア メ リ カ の協 力 を引 き 出 す 上 で も,対 日経 済 圧 力 の 具 体 策 を早 く 描 き出 す 必 要 が あ っ た の で は な か ろ うか 。対 独 ・対 日 どち ら の具 体 案 に して も,戦 争 遂 行 に欠 か せ な い重 要 物 資 の備 蓄 状 況,戦 時 禁 制 品 の リス ト,敵 性 国 家 との交 易 を行 っ て い る 国 々 との 関 係 調 整 つ ま り規 制 措 置 や外 交 的 説 得 の 内 容 が 含 まれ な け れ ば な らな か っ た。 と くに ア ジ ア ・太 平 洋 で は,英 仏 蘭 の 植 民 地 や ア メ リ カ の影 響 力 圏 が か らみ,さ ら に オ ー ス トラ リ アや カ ナ ダ な ど大 英 帝 国 内 の事 実 上 の 独 立 国 が 関係 して くる の で対 日経 済 圧 力 をか け る う えで の 調 整 活 動 は きわ め て 複雑 な道 の りが 予 想 さ れ た 。 対 独 経 済 圧 力 と対 日経 済 圧 力 が 平 行 して 検 討 され,戦 時 に お け る経 済 戦争 の 具 体 策 が そ れ ぞ れ 策 定 さ れ た の は,ほ とん ど 同 じ時 期 で あ る。 日本 の そ れ は1938年2月5,ド イ ッ の そ れ は 同 年7 月6で あ る。 対 日計 画 はか な り精 巧 に ま とめ られ た も の,対 独 計 画 は 一 応 そ の 時 点 で 完 成 され た もの で あ っ た。 対 日経 済 圧 力 の計 画 は ア メ リ カ との協 定 達 成 に 主 眼 をお く もの で あ っ た が,ア メ リ カ の 対 日経 済 圧 力 は道 義 的 禁 輸 政 策(moral-embargopolicy)と 呼 ば れ る段 階 に と ど ま っ て い た 。

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第2次 世 界 大 戦 時 に は,イ ギ リ ス で は 経 済 戦 争 省(TheMinistryofEconomicWarfare)が 世 界 的 な 規 模 の 経 済 戦 争 の 運 営 に あ た っ た 。 イ ギ リ ス の 経 済 戦 争 省 は1939年9月1日,ド イ ッ が ポ ー ラ ン ド を 侵 攻 し英 仏 両 国 が 直 ち に ド イ ッ に 宣 戦 を 布 告 し た そ の 日 か ら2日 後 の9月3日 に 設 立 さ れ た 。 第1次 世 界 大 戦 の 封 鎖 省(MinistryofBlockade)の 機 能 と 同 様 な 役 割 を 担 う た め の も の で あ る 。 初 代 の 経 済 戦 争 担 当 相 に は 下 院 議 員 の7ク ロ ス が な っ た が,経 済 戦 争 省 の 総 局 長 (directorgeneral)に1ま,イ ギ リ ス の 海 外 の 財 政 通 と し て 知 ら れ,1935年 か ら36年 に か け て 中 国 の 幣 制 改 革 と 国 際 借 款 の 供 与 に 取 り 組 み,2度 に わ た っ て 来 日 し た こ と の あ る8リ い ス ・ロ ス が 就 任 し た 。 ま た 戦 時 内 閣(WarCabinet)9の 下 の 民 事 関 係 委 員 会 と し て 生 産 ・輸 入 ・輸 出 な ど を つ か さ ど る 諸 委 員 会 が で き た 。 ま た 軍 事 や 民 事 以 外 の 他 の 委 員 会 と し て 極 東 ,石 油 統 制,帝 国 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン,連 合 国 の 供 給 調 整,レ ジ ス タ ン ス 支 援 な ど の 各 種 の 委 員 会 が つ く ら れ ,こ の う ち 極 東 委 員 会(FarEasternCommittee)は 日 本 と の 経 済 関 係 の 調 整 に 関 わ っ た 。 一 方 日本 で は ,外 務 省 が1938年,企 画 院 を中 心 と して 作 成 した生 産 力 拡 充4ヶ 年 計 画 に対 応 し て,重 要 物 資 の 補 給 な ど に関 して 世 界 の原 料 資 源 の 調 査 を行 っ た10。調 査 す べ き重 要 資 源 は22品 目 に の ぼ り,世 界 に お け る分 布 状 況,国 内資 源 の 利 用 状 況 や 輸 出入 状 況,日 本 へ の 輸 入 に あ た っ て の 障 害 な どが 調 査 され た。 しか し,調 査 部 の 人 員 は 限 られ て い る う え,軍 隊へ の招 集 な どに よ って 調 査 は滞 りが ち で あ った 。 こ う し た状 況 下 で あ っ て も,1939年 の 調 査 部 第2課 の 執 務 報 告 書11の な か に は,「 次 期 大 戦 勃 発 に関 す る調 査 一 わ が 国 家 的 要 求 の実 現 の 方 策 」 と して,「 英 仏 の 資 源 封 鎖 と資 本 制 覇 」 とい う 研 究 テ ー マ が 見 られ た 。 ま た,「 支 那 事 変 が 欧 州 危 機 あ る い は 世界 戦 争 危 機 に与 え る影 響 」 とか 「欧 州 の 戦 争 危 機 が 極 東 危 機 に与 え る 影 響 」 な ど を テ ー マ に した 研 究 もな され,ヨ ー ロ ッパ の 戦 争 とア ジ ア の戦 争 の リ ンケ ー ジ(連 結)の 可 能 性 が 検 討 され た こ とが うか が え る。 しか し,経 済 圧 力 や 戦 時 の 経 済 戦 争 に 関 す る 調 査 ・研 究 が 続 行 され,政 策 面 で 反 映 され る動 き は ま っ た くみ ら れ な い 。 世 界 大 戦 の 到 来 の考 え られ る時 期 に外 交 や 経 済 面 で の 戦 い につ い て の 総 合 的 な政 策 の 検 討 が な され な か っ た こ とは,外 務 省 に も 日本 主 義 や 皇 道 主 義 の波 が 押 し寄 せ た こ と と無 関係 で は な い と考 え られ る 。 「道 義 外 交 」 の 遂 行 に必 要 な思 想 的 訓 練 が 在 外 勤 務 よ り帰 朝 した外 交 官 や 初 め て任 官 した もの に施 さ れ る な ど,現 実 的 な 対 応 の 求 め ら れ る外 交 の 環 境 は変 化 して い た。 1939年9月 ヨー ロ ッパ で戦 争 が 始 ま る と,外 務 省 調 査 部 の 目標 は基 礎 資 料 の整 備 にお か れ ,世 界 の 資 源 に 関 す る具 体 的 な調 査 は 一 時 中断 の や む な き に至 っ た。 経 済 戦 争 の 最 前 線 に位 置 しな け れ ば な らな くな っ た 日本 の 外 務 省 が,世 界 各 地 か らの 情 報 を収 集 し,総 合 戦 略 を うち た て る た め の 調査 ・立 案 機 能 を発 揮 す る こ との で き な い状 況 下 に お か れ て い た こ とが うか が え る 。1933年 に 設 置 さ れ た外 務 省 調 査 部 は,も と も と政 府 の総 合 戦 略 の 立 案 に資 す る た め 現 地 に ア ンテ ナ を は っ た調 査 能 力 や企 画 能 力 を もつ こ とは で き なか っ た 。 ま た イ ギ リス の経 済 戦 争 に対 して現 実 政 治 か らの対 応 策 を編 み 出す こ と も期 待 され て い な か っ た とい う こ とが で きる 。 日本 で は太 平 洋 戦 争 の勃 発 後 に,東 条 英 機 内 閣 の も とで1942年ll月 に 大 東 亜 省 が,43年11月 に は農 商 ・軍 需2省 が,ま た 運 輸 通 信 省 が 設 置 され た。 ま た か って の 資 源 局 は1937年 に企 画 院 に発 展 し,43年 に軍 需 省 に吸 収 され た。 農 商 省 や 運 輸 通 信 省 の発 足 は戦 争 を効 率 的 に遂 行 す る た め の 措 置 で あ り,企 画 院 や 軍 需 省 も国 家 総 動 員 を統 一 的 に行 うた め の もの で あ っ た 。 しか し経 済 圧 力 や 経 済 戦 争 につ い て は,外 務 省 が こ れ に対 処 す る 以 外 な か っ た 。 そ して そ れ す ら も軍 部 の外 交 問 題 へ の 関 与 が 顕 著 で あ り,外 交 官 の 経 済 交 渉 の 業 務 は萎 縮 した 決 定 権 の な い もの で あ っ た。

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第2節 戦 争 の 長 期 化 の 前 提 経 済 戦 争 の 作 戦 計 画 の 立 案 は敵 国 の 経 済 力 の分 析 か ら始 ま る。 英 対 外 貿 易 局 長 の12モ ー トン は, 1939年9月21日 の リ ー ス ・ロ ス宛 て の 覚 書 の なか で ドイ ッ の経 済 力 を分 析 し,ド イ ッ が オ ー ス ト リ アや チ ェ コス ロバ キ ア,ダ ンチ ヒ を支 配 下 に置 い た こ と で押 収 した 外 貨 を 自国 の5ヶ 年 計 画 に 組 み 入 れ る と と も に,な お そ の剰 余 金 を軍 事 費 に充 当 す る可 能 性 を指 摘 し,ド イ ッの 海 外 か ら の 諸 原 料 を購 入 す る 資 金 量 に 余 裕 が 生 じた と分 析 し た 。 ま た 英 大 蔵 省 事 務 次 官 ジ ョ ン が 同 じ く リー ス ・ロ ス に宛 て た1939年9月13日 付 け の 書 簡 で は,戦 時 内 閣(warcabinet)が 政 策 の 基礎 を戦 争 が3年 あ るい は そ れ以 上 続 くで あ ろ う と い う前 提 の 上 に お い て い る こ と を強 調 して い る。 戦 争 の 長 期 化 と経 済 戦 争 の重 要性 の 共 通 認 識 を英 政 府 首 脳 が 確 認 し合 っ て い る こ と を示 唆 す る も の で あ る13。 第3節 第1次 世 界 大 戦 時 との差 異 第2次 大 戦 の 勃 発 時 に,英 国側 の 経 済 戦 争 遂 行 の観 点 か らみ た前 大 戦 との相 違 点 の 主 た る も の は,ド イ ッ を封 鎖 す る う え で重 要 な役 割 を 果 たす 同盟 国 の 違 い で あ る。 前 大 戦 で は イ ギ リス は イ タ リア と ロ シ ア を同 盟 国 と して ドイ ッ と戦 っ たが,そ う した条 件 は 存 在 せ ず,両 国 は ドイ ッ と そ れ ぞ れ が 結 び つ き を もつ 中立 国 で あ っ た 。 イ ギ リス は 戦 争 遂 行 の た め の 重 要 物 資 の 相 当部 分 が 中 立 国 か ら ドイ ッ に 流 れ 込 む こ と こ と を予 想 しな けれ ば な ら な か っ た 。 禁 輸 対 象 物 資 の 世 界 的 統 制 が むず か しい こ と を前 提 に して,イ ギ リ ス の 経 済 戦 争 の 基 本 政 策 は まず 中立 国対 策 を 中心 と して 立 案 され な け れ ば な ら なか っ た。 中立 諸 国 へ の 一般 的 な対 応 と して考 え られ な けれ ば な ら な か っ た 諸 点 に は,次 の よ うな もの が あ る。 1経 済 的 に は,ド イ ッが 中立 諸 国 と決 済 協 定 を結 び,原 料 や 食 糧 の 供 給 を受 け る代 わ りに 製 品 を輸 出 す る シ ス テ ム をつ く りあ げ て い る の で,そ れ らの 中立 国 に 英 帝 国 や 英 連 邦 諸 国 か ら原 料 や 食 糧 が 輸 出 さ れ る と,ド イ ッ に再 輸 出 され る余 力 を生 じさせ る 。 した が っ て,ド イ ツへ の 再 輸 出 が 可 能 に な ら ない よ う 中立 国 に対 す る輸 出割 り当 て制 度 を導 入 す る必 要 が あ る 。 1中 立 国 と して は,自 国 へ の 供 給 が イ ギ リス か ら規 制 され て い れ ば,ド イ ツへ の 再 輸 出 もお の ず か ら制 限 しな け れ ば な ら ない 。 した が っ て イギ リス の 圧 力 に よ って ドイ ッへ の輸 出 を規 制 さ せ,中 立 国 と ドイ ッ との 摩 擦 を少 な くさせ る 方 が 得 策 と判 断 さ れ た 。 中 立 国 に対 す る輸 出割 り 当 て 制 度 は こ の観 点 か ら も妥 当 性 を もつ と考 え られ た 。 皿 第1次 大 戦 時 とは異 な り,中 立 国 は 貿 易 を政 府 の 管 理 下 にお き統 制 を強 め て い る の で,英 政 府 は 中 立 国 の 民 間業 者 との 取 り決 め で は な く,政 府 との取 り決 め を重 視 しな け れ ば な ら な い 。 IV民 間 業 者 に圧 力 を か け るの と異 な り,中 立 国 の 政 府 に圧 力 を か け る の は容 易 で は ない こ と を 認 識 しな け れ ば な らな い 。 V中 立 国 に対 して は ドイ ッか ら も強 力 な圧 力 が か か る。 イ ギ リ ス か らの 圧 力 が 微 弱 で あ れ ば 中 立 国 と して は ドイ ッ の 要 求 に傾 斜 させ ら れ る 。 した が っ て,双 方 の圧 力 の バ ラ ンス に よ っ て 中 立 国 の 中 立 性 が 引 き出 され る とい う現 実 が あ る 。 VI中 立 国 は連 合 国 あ る い は枢 軸 国 の側 か ら原 料 や 食 糧 の供 給 が 規 制 され,ま た そ れ ぞ れ の 敵 国 側 へ の 輸 出 も制 限 さ れ る場 合,経 済 的 に大 きな打 撃 を受 け た 。 こ の場 合 に英 政 府 は 中 立 国 が 反

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英 の立 場 に傾 斜 しな い よ うに,食 糧 な ど の供 給 を確 保 した り,そ の輸 出 市 場 を あ るて い ど維 持 させ る政 策 を考 え な け れ ば な らな か った 。 中 立 国 の輸 出 を維 持 させ る た め に は,政 治 的 判 断 か ら特 定 物 資 の購 入 を は か っ た り,あ る い は ドイ ッへ の重 要 物 資 の 漏 洩(リ ー ク)を 防 ぐた め 重 要 物 資 に つ い て 先 買 権 に よ る購 入(pre-emptivepurchase)を 行 う必 要 が 生 じた 。 皿 イ ギ リス が 世界 の産 出 物 の 大 部 分 を購 入 す る・こ と の で きな い こ とは 自明 の 理 で あ るbイ ギ リ ス が ア メ リカ か ら購 入 して い た もの を輸 出 市 場 を失 っ た 中立 国 か らの 購 入 に切 り替 え る か ,あ る い は ア メ リカ が 他 の 中 立 国 か らの 購 入 を国 防 の 観 点 か ら積 極 的 に行 う か が 必 要 とな る。 孤 世界 貿 易 の規 制 と縮 小 の 中 で,イ ギ リス は ドイ ッの 輸 出市 場 を奪 い,ド イ ッ と 中立 国 の 市 場 を め ぐっ て 競 い合 わ な け れ ば な ら ない 。 第4節 中 立 国 の 分 類 と対 策 経 済 戦 争 の 第1の 段 階 は,交 戦 国 が 中 立 国 との 関係 をで き る だ け 国 際 法 の 枠 組 み の 中 で 合 意 に 基 づ い て 規 制 し よ う と した 段 階 で あ る 。 経 済 戦 争 の 手 段 と して の 中立 国 へ の 対 応 で は,外 交 交 渉 ・説 得 ・圧 力 とい う方 法 が と られ た 。 中 立 国 の 政 府 や企 業,個 人 が敵 国 に利 益 とな る よ う な経 済 上 の 取 り引 き を しな い よ う に説 得 した り,誘 導 した りす るあ ら ゆ る手 段 が 試 み られ た 。 しか し 中 立 国 の 立 場 は,戦 争 の総 体 的 な優 劣 や 将 来 の見 通 し,中 立 国 の 関 係 す る 地 域 で の戦 闘 の状 況 な どで微 妙 に揺 れ 動 い た。 イ ギ リス は 中立 国 の 地 政 学 的 立 場 に照 ら して,中 立 国 を便 宜 上2つ に分 類 し,そ の対応 の原 則 を定 め た 。 1つ は,イ ギ リ ス が 制 海 権 を もつ 海 に よ っ て 敵 国 と隔 て られ て い る 中 立 国 で,海 外 中立 国 (overseasneutrals)と 呼 ば れ た。 これ らの 国 々 に対 す る イ ギ リ ス の 外 交 活 動 は,海 軍 力 を バ ッ ク に して そ の 国 が 直 接 的 に,あ る い は敵 国 と隣i接す る 中 立 国 を通 じて 間 接 的 に,自 国 の 生 産 物 を 敵 国 に供 給 す る こ と を防 ぐこ とで あ った 。 ラ テ ン ア メ リ カ諸 国,中 東 や 一 部 のバ ル カ ン諸 国,ア ジ ア ・太 平 洋 の 国 々 は この 海 外 中立 国 の グ ル ー プ に分 類 され た。 他 の1つ は,敵 国 と非 常 に近 接 して い る 中 立 国 で,隣i接 中立 国(adjacentneutrals)と 呼 ば れ た 。 地 理 上 の そ の お か れ た 位 置 に よっ て敵 国 と陸 や 近 海 に よ っ て容 易 に 交 流 す る こ とが で き る 国 で あ る。 イ ギ リス の こ れ ら隣接 中立 国 に対 す る外 交 活 動 は,そ れ ら の 国 々 が 自国 の生 産 物 を 敵 国 に供 給 す る こ とば か りで は な く,他 の 中立 国 と敵 国 との交 易 の橋 渡 しを す る こ と を防 ぐこ と に向 け られ た 。 つ ま り,で きる か ぎ り戦 時:貿易 協 定 を結 ぶ こ と に よ って ドイ ッ との 貿 易 拡 大 を牽 制 し, 他 方 で 敵 国 と他 の 中 立 国 との 貿 易 上 の ブ リ ッ ジ の役 割 を果 た さぬ よ う イ ギ リス や 大 英 帝 国域 内 と の貿 易 関係 を定 め る こ とが 必 要 と な っ た。 隣i接中 立 諸 国 の 中 に は ドイ ッ に経 済 的利 害 関 係 に 加 えて 政 治 的 親 近 感 を もつ もの もあ り,イ ギ リ ス との 関 係 は微 妙 な面 が あ った 。 こ れ らの 国 々 は ドイ ッ か ら も強 い 圧 力 が か け られ る だ け に, 英 独 の経 済 的 圧 力 の 相 対 的 な程 度 に よ っ て,中 立 の 度 合 い が 定 まる の で あ っ た が,イ ギ リ ス か ら の 圧 力 が 強 す ぎ る場 合 に は ドイ ッ陣 営 に投 じた り,あ るい は逆 に ドイ ッか ら攻 撃 を う け 占領 さ れ る危 険 性 が 常 に あ っ た 。 海 外 中立 国 と隣i接中 立 国 の 区 別 は 便 宜 的 な もの で あ り,ド イ ッが 近 隣…諸 国 を攻 撃 し占 領 し た場 合 に は,海 外 中 立 国 か ら隣i接中 立 国 へ とそ の立 場 を変 化 させ られ る 国 も生 じた。 た と え ば1940年6月 の フ ラ ンス 崩壊 後,ス ペ イ ン は ナ チ ス ・ ドイ ッ の 軍事 占領 下 に お か れ た フ

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ラ ン ス領 土 や ナ チ ス 協 力 を約 束 した フ ラ ンス の ヴ ィ シ ー政 府 の領 土 と接 し,隣i接 中 立 国 の 立 場 に 立 た さ れ た 。 ス ウ ェ ー デ ンや フ ィ ン ラ ン ドも,デ ンマ ー ク や ノ ル ウ ェー が ドイ ツ の 攻 撃 を受 け 占 領 され る に 及 ん で 隣i接中立 国 の 立 場 に立 た され た 。 ソ連 の よ う な 国 も ドイ ラ と分 割 した ポ ー ラ ン ドで,ま た バ ル チ ッ ク海 を は さん で ドイ ッ と接 して い た 。 こ の点 で 隣接 中立 国 の 特 性 を も って い た が,他 方 でユ ー ラ シ ア大 陸 に東 西 に ま た が る そ の地 理 的 関係 で 海外 中 立 国 と して の 一 面 も も っ て い る と い うこ と もで きる 。 また ス イス は,ド イ ッ お よ び ドイ ッ に併 合 さ れ た オ ー ス トリア に接 した 典 型 的 な 隣接 中 立 国 で あ った が,西 の 隣接 国 フ ラ ンス が ドイ ツ に降 伏 し,南 の 隣i接国 イ タ リ ア が 連 合 国側 に 宣 戦 を布 告 した の で,枢 軸 国 側 に完 全 に取 り囲 ま れ る こ と に な っ た 。 イ ギ リ スが 中立 諸 国 に対 す る外 交 的 活 動 を積 極 的 に行 っ て ドイ ツ との 経 済 戦 争 を遂 行 しえ た 時 期 に は,ヨ ー ロ ッパ で は戦 争 の な か で の比 較 的 安 定 した 国 際 関係 を み る こ とが で き る。 ドイ ッが ポ ー ラ ン ドを電 撃 戦(blitzkrieg)で 壊 滅 させ た後 の1939年10月 か ら40年4月 ま で の"に せ の 戦 争"(phoneywar)と 呼 ばれ た し ば ら く戦 闘 の な い 時 期 に該 当 す る。 この 後 ドイ ツ は 再 び電 撃 戦 に よ りデ ンマ ー ク や ノル ウ ェ ー を奪 い,次 い で オ ラ ン ダや ベ ル ギ ー を武 力 で 席 巻 し た。 ドイ ッ周 辺 の 隣接 中立 国が 相 次 い で 崩 壊 させ られ,外 交 活 動 に重 点 をお い た イ ギ リ ス の経 済 戦 争 は そ の 修 正 を 求 め られ る こ と に な っ た 。 第5節 コ ン トラバ ン ド ・コ ン トロ ー ル を め ぐ る 日英 対 立 ヨー ロ ッパ の 海 域 で は,疑 い を持 た れ た船 舶 は 臨 検,拘 留 さ れ,積 み荷 を没 収 され る な どイ ギ リス の対 独 封 鎖 命 令 は 実 行 さ れ た。 ヨー ロ ッパ 海 域 の 日本 船 舶 も例 外 で は なか っ た し,ま た ドイ ッか ら 日本 へ 輸 出 さ れ る 貨 物 も押 え られ た。 しか しこ の ドイ ッか らの対 日輸 出 品 の 差 し押 さえ は, 日本 の度 重 な る要 求 で イ ギ リ スが 政 治 的 判 断 か ら譲 歩 を行 い,命 令 の適 用 が 除 外 され た。 ドイ ッ か ら 日本 に向 け て の対 日輸 出 品 の ス トッ プ に つ い て は イ ギ リス の 姿 勢 は 及 び 腰:で,と くに1940年 の ドイ ツ の オ ラ ン ダ 占領 で ロ ッテ ル ダ ム 港 を離 れ られ な く.なっ た 日本 船 に つ い て は,日 本 の 強 硬 な 抗 議 と圧 力 で,出 港 が認 め られ て い る 。 他 方,日 本 か ら ドイ ッ あ て の 輸 出 品 に つ い て も,日 本 側 は イ ギ リ ス に対 し公 式 に そ の 安 全 を保 障 す る よ う求 め た 。 日本 は 正 常 な貿 易 関係 を ヨ ー ロ ッパ と維 持 す る権 利 を 主 張 し,イ ギ リス の差 し押 さ え を不 当 と した。 日本 側 が そ の差 し押 さ え を不 当 と した もの は,① 非 戦 時 禁 制 品,② ロ ッ テ ル ダ ム,ア ン トワ ー プ お よび ス カ ンデ ィ ナ ビ ア諸 国 の 港 の よ う な 中立 港 あ て の 貨 物 で,荷 受 人 が 中 立 国 の 国籍 を持 つ もの,③ ハ ン ブ ル ク経 由 ス カ ン デ ィナ ビ アあ て に発 送 され る もの で あ っ た。 日本 か ら ドイ ッ に向 け られ る恐 れ の あ る 輸 出 品 に 関 して は,イ ギ リ ス は基 本 的 姿 勢 を譲 ら なか っ た 。 つ ま り① 貨 物 の 最 終 的 目的 地 が ドイ ッで あ る とい う証 拠 が あ れ ば,中 立 国 に お け る 中 立 の 荷 受 人 で あ っ て も,そ こ に送 られ る貨 物 は差 し押 さえ の 対 象 に な る,② ドイ ッの 支 配 下 に 入 るい か な る 貨 物 も,そ れ が ドイ ッ経 由 で 中 立 国 に向 け られ る とい う もの で あ っ て も,敵 国 を 目的 地 と す る もの とみ な され,そ の よ うな扱 い を受 け る と い う もの で あ っ た 。 一 方 ア ジ ア ・太 平 洋 にお い て は ,ヨ ー ロ ッパ 地 域 と異 な り,イ ギ リス は戦 時 貿 易 協 定 の取 り決 め を 日本 や 中 国,タ イ,あ る い は ソ連 との 間 に締 結 す る こ とは で き なか っ た 。効 果 的 に対 独 禁 輸 政 策 を実 施 す る シ ス テ ム は,経 済 戦 争 の 第1の 段 階 に お い て も出来 な か っ た とい って よ い 。 イ ギ リス は1940年4月 に,北 緯21度21分 以 南 で ドイ ッ に戦 時 禁 制 品 を運 ぶ船 舶 を 臨検 して,あ る場 合

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に は これ を拿 捕 す る命 令 を出 した 。 北 緯21度21分 以 南 の 海 域 は台 湾 の 南 で あ り,日 本 の 領 土 や 中 国 沿 岸 部 は 含 ま れ て い な か っ た 。 この よ う に 日本 が 制 海 権 を有 す る 海域 の 南 で は あ った が,日 本 の 信 託 統 治 領 で あ る ミ ク ロ ネ シ ア は 含 まれ て お り,ま た海 南 島 や イ ン ドシナ 海 域 も臨 検 の 対 象 地 域 内 に あ った 。 北 緯21度21分 以 南 の 海 域 にお い て封 鎖 手 段 を とる こ とは 日本 と の軍 事 摩 擦 を起 こ す 可 能 性 は非 常 に高 く,こ の 命 令 は太 平 洋 で は効 果 的 に実 施 され な か っ た 。 戦 時 禁 制 品 につ い て は,国 際 法 は 無 条 件 の 禁 制 品(absolutecontraband)と 条 件 付 き禁 制 品 (conditionalcontraband)の2つ の 形 態 を認 め て い る 。 無 条 件 の 禁 制 品 は,戦 争 の 目的 に 合 致 す る もの と,平 和 の 目的 に も使 わ れ るが そ の性 格 上 戦 争 で 敵 に と くに役 立 つ こ との 出来 る もの とが あ る 。 こ れ ら無 条件 の 禁 制 品 と して宣 言 され た もの は,中 立 国 に引 き渡 さ れ る もの で あ っ て も終 局 的 に敵 の領 土 に向 け られ る こ とが 証 明 で き る もの で あ れ ば,差 し押 さ えす る こ とが で きる 。 他 方,条 件 付 きの 禁制 品 は戦 争 と平 和 の双 方 の 目的 に使 わ れ る もの で あ る。 しか し条 件 付 き と宣 言 され た 場 合 で も,戦 争 の 目 的 に使 用 さ れ る こ とが 明 らか な さ い は コ ン トラバ ン ド ・コ ン トロ ー ル に服 す る こ と にな る 。 しか し,特 定 の 商 品 の 終 局 の 目 的 地 が 敵 の 支 配 地 で あ る こ とや 戦 争 の 目的 に使 用 され る こ との証 明 は そ れ ほ ど容 易 で は な く,日 本 の よ うな 中 立 国 で あ っ て も イ ギ リス に 対 して は 敵 機 国 家 の立 場 を と る場 合 は,コ ン トラバ ン ド ・コ ン トロ ー ル の 厳 格 な適 用 に執 拗 な抗 議 を繰 り返 す こ とが で きた 。 日本 は また,個 々 の船 舶 の扱 い や 輸 送 の 遅 延 の 問 題 に つ い て,苦 情 を次 々 に提 出 した 。 経 済 戦 争 の 中 で の 国 際 法 の解 釈 に関 わ る 法 的 係 争 は,日 英 関 係 の 基 本 的 に相 容 れ な い 対 立 を浮 き彫 りに して い る 。 と くに 日本 側 は,戦 争 勃 発 前 に ドイ ツ に 送 られ た 輸 出 品 の差 し押 さ え に執 拗 に抗 議 を 繰 り返 した 。 差 し押 さえ られ た輸 出 品 の 総 額 は,日 本 大 使 館 の 推 定 で は2000万 円(120万 ポ ン ド) にの ぼ る と され た。 こ れ らの 輸 出 は 主 と して 三井 ・三 菱,大 蔵 の各 商 事 会 社 に よ っ て な され た も の で あ り,こ れ らの 会 社 が 問 題 を提 起 し,外 務 省 が ロ ン ドンの 日本 大 使 館 を 通 じて1939年 後 半 か ら40年 初 め に か けて 抗 議 を重 ね た もの で あ る。 この 経 済 戦 争 に関 わ る 日英 摩 擦 を み る と,日 本 側 は 最 後 まで イギ リ ス の法 体 系 の な か で この 国 際 問 題 が 処 理 され る こ とに抵 抗 して い る 。 他 方,イ ギ リス 側 は 自国 の定 め た戦 時 禁 制 品 に 関 す る 扱 い を イ ギ リス の 法 体 系 の枠 組 み の 中 で処 理 しよ う と した 。 この 時 代 は カ ン トリー ・リス ク を計 算 に 入 れ た輸 出 政 策 な どは な か っ た し,ま た 政 府 の輸 出 信 用 政 策 な ど輸 出業 者 をバ ック ア ッ プす る法 的 ・経 済 的 制 度 な どは な か っ た。 そ の う え 日英 間 の こ の 問題 の 処 理 に あ た っ て は,ロ ン ドン の 日本 大 使 館 とイ ギ リス 外 務 省 の 書 簡 の や り と りで あ り,問 題解 決で妥協 点 を さぐる公式 な会議 も,非 公 式 な協 議 もみ ら れ な い 。 ま た 第3国 に よ る調 停 や 経 済 戦争 で 同 じ問 題 を抱 え る国 々 を含 め て の 多 国 間 会議 な ど は行 わ れ なか っ た 。 1939年10月 か ら40年4月 ま で は"に せ の戦 争"と 呼 ば れ る よ う に ヨー ロ ッパ の戦 局 は 閉 塞 状 態 に あ っ た の に もか か わ らず,日 英 関 係 は英 独 問 の 経 済 戦 争 と 日本 の対 中封 鎖 作 戦 の 問 の 緊 張 が , 緩 和 に 向 け た努 力 を 許 さ な い ほ ど進 行 して い た とみ る こ と もで きる 。 また,調 停 や仲 介 に乗 り出 しう る 唯 一 の 大 国 で あ る ア メ リ カ も 日英 間 の調 停 や 仲 介 の 役 割 を担 お う とす る意 思 は 示 さ なか っ た 。 日本 と イ ギ リス との 外 交 交 渉 は妥 協 点 を探 る もの とは 到 底 い い が た く,逆 に双 方 が 原 則 的 な 立 場 を 明確 に し,隔 た りを際 立 た せ る こ とに精 を出 した とい え る結 果 を もた ら して い る 。

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第2章

経済戦争の第2段階への進展 と国際関係

第1節 フ ラ ン ス の崩 壊 と経 済 封 鎖 へ の 傾 斜 交 戦 諸 国 間の 緩 衝地 帯 あ る い は緩 衝役 で もあ っ た 中 立 国 をめ ぐる 国際 的 な 環 境 ・条件 は,ド イ ッ が 中 立 国 であ るベ ネ ル ッ ク ス3国 を侵 攻 しフ ラ ンス を包 囲 して 陥 落 させ た1940年6月 の 段 階 で, 決 定 的 な変 化 を生 じた 。 経 済 戦 争 の第2段 階へ の 移 行 の特 徴 の 第1は,ヨ ー ロ ッパ の 中立 諸 国 の 数 は 急 減 し,中 立 国全 体 の 地 位 に変 化 が 生 じ た こ と で あ ち う。 ドイ ッ北 西 の 隣i接中 立 国 で あ っ た デ ンマ ー ク,ノ ル ウ ェ ー にρ つ い て,オ ラ ン ダ,ベ ル ギ ー,ル ク セ ン ブ ル ク の 低 地 諸 国(LowCountries)が ドイ ッ に 占 領 され,東 の 中立 国 で あ っ た ル ー マ ニ ア,ハ ン ガ リー,ス ロバ キ ア,ブ ル ガ リア も ドイ ツ の 衛 星 国 と な り,中 立 国 グ ル ー プ か ら姿 を消 す こ とに な っ た 。 また,1940年6月 に は バ ル チ ッ ク3国 が ソ連 に併 合 さ れ た 。 残 る ヨー ロ ッパ の 中立 国 は,ソ 連 を の ぞ け ば,北 欧 で は ス ウ ェ ー デ ン と フ ィ ン ラ ン ド,イ ベ リ ア半 島 で は ス ペ イ ン とポ ル トガ ル, バ ル カ ン半 島 の ユ ー ゴス ラ ビ ア,そ れ に 中欧 で は ス イス を残 す だ け とな っ た 。 しか しそ の ス イ ス も,イ タ リ アの 参 戦 と フ ラ ン ス の 陥 落 で 四 方 を枢 軸 国 側 に取 り囲 ま れ て い た 。 英 独 の 双 方 か らの圧 力 の も とで 戦 時 貿 易 協 定 を結 び 中立 的 立 場 を維 持 して きた 国 々 は,ド イ ッ の ヨー ロ ッパ 大 陸 支 配 で,交 戦 国 の 問 で バ ラ ン ス の とれ た経 済 関 係 を維 持 す る こ とが 困 難 に な っ た。 イ ギ リス の 対 独 経 済 戦 争 は,中 立 諸 国 に重 点 を お い た外 交 交 渉 の余 地 が狭 ま り,海 軍 力 を使 用 して の 海 上 にお け る強 制 的 な対 独 経 済 封 鎖 活 動 に 重 点 が お か れ る よ う に な った 。 この 場 合 ア メ リ カ の支 援 が きわ め て重 要 な位 置 を 占 め る こ とに な っ た。 経 済 戦 争 の 第2段 階 へ の 移 行 の特 徴 の 第2は,フ ラ ン ス崩 壊 後 の イ ギ リス の 強 制 的封 鎖 に力 点 をお い た対 独 経 済 戦 争 が,日 本 の 対 中封 鎖 作 戦 や 日中 戦 争 打 開 の ため の南 進 計 画 と直 接 的 な 関 わ り合 い を もっ て きた こ とで あ る。 日本 は1937年8月25日 に 中 国 海 岸 封 鎖 の宣 言 を行 っ た が,イ ン ドシ ナ ・ル ー トや ビ ルマ ・ル ー トな どの 蒋 介 石 政 権 に対 す る補 給 ル ー トが 西 側 か ら の武 器 の 搬 入 路 で あ る との情 報 に接 し,フ ラ ン ス や イ ギ リス に対 中 武 器 禁 輸 や補 給 路 の監 視 な ど を 申 し入 れ て い た 。 中 国 との 戦 争 を先 行 きの 見 通 しな く拡 大 す る こ と に な っ た 日本 は,フ ラ ンス の崩 壊 を契 機 と して 西 側 諸 国 の 排 除 を 目指 し た南 進 計 画 を徐 々 に 実 行 に移 し,英 帝 国 の安 全 に 脅 威 を与 え る こ と に な っ た 。 また 日独 伊3国 軍 事 同盟 の締 結 を通 じて ドイ ッ との提 携 の 強 化 を 求 め られ る なか で, ドイ ッ向 け の重 要 物 資 を満 州 や ソ連 を経 由 して 輸 送 し,イ ギ リス の 対 独 経 済 封 鎖 に ほ こ ろ び を生 じ させ た 。 他 方,イ ギ リス は 日中 戦 争 に関 して は 中 立 国 で あ っ た 。 しか し,そ の 中立 的立 場 は微 妙 で あ っ た 。 日中 戦 争 の拡 大 と 日本 の対 中 経 済 封 鎖 を強 化 し よ う とす る努 力 は,欧 米 の 中 国 との経 済 関 係 を損 な い,欧 米 列 国 は 日本 に抗 議 す る と と も に,対 日抗 戦 をつ づ け る蒋 介 石 政 権 へ の 支 援 の 姿 勢 を変 え な か っ た。 日本 は イ ギ リス の 支 配 下 の ビル マ ・ル ー トや フ ラ ンス 領 イ ン ドシナ の ル ー トが 蒋 介 石 政 権 へ の軍 事 補 給 路 で あ る と して そ の 閉 鎖 を強 く求 め たが,英 仏 両 国 は 中 国 へ の交 易 路 と 』 して の意 義 と 自 由貿 易 の 建 前 を 堅持 して そ の 閉 鎖 圧 力 に 抵 抗 した 。 イ ギ リス の 対 独 経 済 戦 争 の 観 点 か らみ れ ば,南 満 州 鉄 道 や シベ リア鉄 道 を使 っ た 戦 時 禁 制 品 の 対 独 輸 送 は,ソ 連 か ら の漏 洩(Russianleak)で あ り,ま た 日本 か ら の漏 洩 で あ っ て,そ れ ぞ れ の 政 府 が か ら ん だ意 図 的 な漏 洩 で あ っ た。 これ に対 して,日 本 の対 中経 済 戦 争 の観 点 か らす れ ば, ビル マ ・ル ー トや 仏 領 イ ン ドシ ナ ・ル ー トは対 中 経 済 封 鎖 に対 す る イ ギ リス や フ ラ ンス の意 図 的

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な 漏 洩 で あ っ た 。 日本 は1937年 の 中 国 との 軍 事 紛 争 を支 那 事 変(Sino-Japaneseincident)と 呼 称 して 国 際 法 上 の 戦 争 と と ら え る こ と を避 け た の で,中 国 に対 す る コ ン トラバ ン ド ・コ ン トロ ー ル(戦 時 禁 制 品 の 規 制)を 中 立 国 に対 して 要 求 で きた か ど う か の 問 題 は あ ろ う。 しか し支 那 事 変 は 実 質 的 な 戦 争 で あ っ た 。 戦 火 は拡 大 の 一 途 を た ど り終 息 の 気 配 もみ え な い ま ま,第2次 世 界 大 戦 と関 連 を もち な が ら発 展 した 。 と くに 日中 戦 争 と英 独 戦 争 は経 済 封 鎖 の 側 面 で 緊張 した 相 関 関 係 を有 して くる の で あ る 。 イ ギ リス は 日中 戦 争 の 中立 国 で あ り,日 本 は ヨー ロ ッパ の戦争 につい ては中立国 である とい う前 提 は,形 式 を残 して 実 質 的 に は徐 々 に,ま た確 実 に崩 壊 して い った 。 第2節 ア ジ ア ・太 平 洋 に お け る 日英 対 立 の 質 的 変 化 ドイ ツ は フ ラ ンス の 降伏 で 西 ヨ ー ロ ッパ と北 ア フ リ カ の資 源 の 一 部 を あ らた に獲 得 した 。 しか し英 軍 最 高 司 令 部 と経 済 戦 争 省 の 情 勢 分 析 は,な お ドイ ッ とそ の 支 配 下 の 地 域 は主 要 な資 源 を外 部 に依 存 しな けれ ば な ら ない とい う判 断 で あ っ た14。 輸 入 す べ き資 源 の 主 た る もの は ,衣 服 や履 き物 の ため の繊 維 類,ゴ ム,錫 ニ ッケ ル,コ バ ル トで あ っ た 。 ま た ドイ ッ と占 領 地 域 は食 糧 不 足 の状 況 下 に あ っ た 。 さ らに石 油 につ い て も,ル ー マ ニ アや ポ ー ラ ン ドそ れ に ドイ ッの 石 油 生 産 は ソ連 か らの 石 油 輸 入 分 を加 え て も,枢 軸 国 の 備 蓄 を維 持 す る だ け の 必 要 量 を確 保 す る こ とは で き な か っ た と判 断 され た 。 重 要 物 資 につ い て ドイ ッ経 済 の こ の よ う な外 部 依 存 の 状 況 は,苦 境 に陥 っているイギ リス を し て,な お ドイ ッ に経 済 圧 力 をか け続 け る 有 利 な カー ドの存 続 して い る こ と を確 信 させ た 。経済圧 力 の た め の カ ー ドは,米 英 協 力 の質 的拡 大 で あ り,オ ラ ン ダ ・ベ ル ギ ー ・フ ラ ン ス の 海外 植 民 地 の存 在 で あ っ た 。 フ ラ ンス 崩 壊 後 も,イ ギ リス が ドイ ッ の 必 要 とす る資 源 を コ ン トロ ー ル す る地 位 に あ る とい う こ と は,連 合 国 の 戦 争 努 力 の 中 で経 済 戦 争 が あ ら た に全 面 に押 し出 さ れ た こ と を 意 味 す る もの で あ っ た。 ヨー ロ ッパ の 中立 国 家 群 の 消 滅 は,通 常 の コ ン トラ バ ン ド ・コ ン トロ ー ル,つ ま り戦 時 禁 制 品 の規 制 を外 交 努 力 で推 進 す る段 階 が 終 わ っ た こ とを意 味 し た。 さ らに 踏 み 込 ん で 海 軍 力 をバ ッ ク に した 禁 輸 政 策 を広 範 な 品 目 に わ た っ て 実 施 す る こ とで あ っ た。 日本 は フ ラ ンス の 瓦 解 とイ ギ リス の 苦 境 に あ た っ て対 中経 済 封 鎖 を強 化 し,さ ら に,大 東 亜 共 栄 圏 の構 想 の 具 体 化 と南 進 政 策 に 着 手 す る道 を選 ぶ こ と に な っ た 。 オ ラ ン ダ領 東 イ ン ド(イ ン ド ネ シ ア)と フ ラ ンス領 イ ン ドシ ナ の 両 植 民 地 が,宗 主 国 で あ る オ ラ ン ダ と フ ラ ンス の敗 北 で ,政 治 的 な拠 りど こ ろ を失 っ たそ の 時期 が分 岐 点 に な っ た 。 日本 は イ ギ リス の 対 独 経 済 戦 争 が 日本 の 経 済 活 動 に重 大 な損 失 を も た ら して い る こ と に対 して イ ギ リス に抗 議 す る と と もに,南 方 に重 要 物 資 の 供 給 源 を求 め て,イ ン ドネ シ ア と フ ラ ンス 領 イ ン ドシナ 当 局 に 日本 と貿 易 協 定 を結 ぶ よ う 圧 力 をか け た 。 ま た ア ジ アで は唯 一 の独 立 国 で あ る タ イ に対 して も,フ ラ ンス 領 イ ン ドシナ と の 国境 紛 争 の調 停 役 とな り,日 本 と特 別 な 関 係 を もつ よ う圧 力 をか け た。 フ ラ ンス 領 イ ン ドシ ナ や タ イ に関 して は,軍 隊 の駐 留 権 や 通 過 権 を獲 得 す る 可 能 性 が高 く,イ ギ リス は 日本 の 南 方 工 作 に 重 大 な危 機 感 を も った 。 ま さ に この 時 に,イ ギ リス は 経 済 戦 争 の 手段 と して オ ラ ンダ ・ベ ル ギ ー ・フ ラ ンス の 海 外 植 民 地 の 重 要性 を再 認 識 して い る 。 そ して,経 済 戦 争 遂 行 の 必 須 条 件 と して ア メ リカ との 協 力 の 質 的 グ レー ド ・ア ップ を求 め た の で あ る。

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第3節 フ ラ ンス 崩 壊 後 の経 済 戦 争 手 段 1940年6月 まで は 中立 国 との 戦 時 貿 易 協 定 の交 渉 を中 心 と した外 交 活 動 が 積 極 的 に展 開 され た 。 1940年3月 に は ノ ル ウ ェ ー,デ ンマ ー ク,オ ラ ンダ,ス ペ イ ン と戦 時 貿 易 協 定 の 調 印 が行 われ, そ の 他 の 隣i接中 立 国 に対 して も戦 時 貿 易協 定 取 り決 め に向 け た交 渉 が 一 進 一 退 の 動 きの 中 で 進 め られ た。 隣i接中 立 国 に対 す る英 帝 国 か らの供 給 は,戦 前 の水 準 を維 持 す る よ う に求 め られ た 。 戦 前 の水 準 を超 え た供 給 が な さ れ れ ば,戦 争 努 力 に必 要 な重 要 物 資 が ドイ ッか らの圧 力 の も とで ドイ ッ に 再 輸 出 され る こ とが 想 定 され たか らで あ る。 そ の た め に は輸 入 割 り当 て に 関 す る取 り決 め が 求 め られ た。 協 定 が 締 結 で きな い と きは,特 定 の商 品 に つ い て の 自主 的 な輸 入 規 制 が 期 待 され た。 海 外 中立 国 と隣 接 中立 国 の双 方 の 側 面 を もつ トル コに 関 して は,特 定 の 商 品 につ い て 隣接 の 中立 国 に輸 出 を 増 や さ な い よ う交 渉 したが,交 渉 は難 航 した 。 こ う した 第1段 階 の経 済 戦 争 の 手 段 は,フ ラ ンス の 崩 壊 と ドイ ッ の ヨー ロ ッパ 支 配 の 強 化 で壁 に突 き当 た っ た。 す で に 成 立 して い た 戦 時 貿 易 協 定 は ドイ ッ の 支 配 下 に は 入 っ た 国 で は 無 効 とな り,交 渉 が 進 展 し調 印 の 見 とお しの つ い た 国 で も暗 礁 に乗 り上 げ た 。 イ ギ リ ス は コ ン トラバ ン ド ・コ ン トロ ー ル の厳 格 な 適 用 を 求 め て,す で に 導 入 さ れ て い た輸 出 ラ イ セ ン ス 制 度(export licensesystem)に 加 え て,航 海 適 格 証 明 制 度(navicertsystem)や 船 舶 適 格 証 明 制 度(ship warrantscheme)を 導 入 して,海 外 中 立 国 か らの ドイ ッや ドイ ッ 占 領 地 域 へ の 輸 出 を規 制 した 。 この 場 合,戦 時 禁 制 品 を運 ん で い る疑 い の あ る船 舶 に対 して,立 ち入 り検 査,船 舶 の 拿 捕,最 寄 りの基 地 に お け る捕 獲 審 判 所(prizecourt)に よる 審 判,戦 時 禁 制 品 の 押 収 な ど を,英 海 軍 に よ る強 制 的措 置 に よっ て 実 施 した。 こ う した 強 制 的封 鎖 政 策 は他 の手 段 に よっ て 支 え ら れ た 。 利 敵 行 為 の企 業 や 個 人 に 関 す る リス トの 作 成,船 舶 航 行 の規 制,金 融 に 関 す る規 制,保 険 に 関 す る規 制 の措 置 な ど で あ る 。 と くに利 敵 行 為 を行 う企 業 や 個 人 の リ ス トの作 成 は基 本 的 な重 要 性 を も っ て い た 。 これ らの リ ス トは 法 定 リ ス ト(statutorylist),ブ ラ ック ・リ ス ト(blacklist),ホ ワ イ ト ・リス ト(white list)に 分 類 さ れ た 。 法 定 リス トに は,中 立 国 に設 立 され て い る が 敵 の 領 土 か ら支 配 され て い る敵 企 業,中 立 国 の企 業 だ が 敵 が 株 式 の重 要 部 分 を所 有 し,敵 国 政府 の エ ー ジ ェ ン ト と して活 動 した り敵 国 との 貿 易 に 主 と して従 事 して い る企 業,ク レジ ッ ト ・ロ ー ン な どの 方 法 で 財 政 的 に敵 を支 援 して い る商 社, あ る い は 敵 の 企 業 の た め の エ ー ジ ェ ン トと して 専 ら活 動 して い る 中立 国 の 個 人 な どが 載 せ られ, 公 表 さ れ た 。 彼 ら と取 り引 きす る こ と を イ ギ リス の 企 業 や 個 人 は法 律 上 禁 じら れ た 。 ま た政 治 的 あ る い は他 の 理 由 で公 表 リス トに載 せ る こ とが 好 ま し くな い もの,あ るい は利 敵 行 為 を して い る 疑 い の あ る も の は,非 公 開 の ブ ラ ッ ク ・リス トに載 せ られ た 。 ブ ラ ッ ク ・リス トは 司 法 的 な措 置 を と る た め の もの で は な く,当 局 が彼 らの 活動 に行 政 的 に介 入 し うる た め の もの で あ る。 こ の他, 規 制 措 置 の な い 国 な どで,望 ま し くな い通 商 活 動 に従 事 して い る疑 い が あ るが,そ の こ とを証 明 す る こ との む ず か しい企 業 や 個 人 に対 して は,法 定 リス トや ブ ラ ッ ク ・リス トの代 わ りに ホ ワ イ ト ・リス トが つ く られ た 。 これ ら リス トの作 成 の た め の情 報 や 戦 時 禁 制 品 を運 ん で い る疑 い の あ る船 舶 に つ い て の 情 報 は, コ ン トラ バ ン ド ・コ ン トロー ル の厳 格 な適 用 の た め に欠 か せ な い もの で あ り,こ う した 情 報 は 英 政 府 の 外 交 機 関 の 出先 や 税 関 か ら,あ る い は 貿 易 や 運 送 業 務 に たず さわ る企 業 の 出 先 機 関 か ら頻 繁 に伝 え られ た。

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こ の よ う な 国民 に対 して の禁 止 事 項,あ る い は戦 時 の 国 民 の順 守 す べ き事 項 は ,イ ギ リス にあ っ て は コ モ ン ロ ー(commonlaw)か ら まず 引 き出 さ れ るべ き こ とで あ っ た 。 戦 時 に あ っ て 国 民 のlli頁守 し な け れ ば な ら い こ とへ の抵 触 は,コ モ ン ロ ーへ の 違 反(anoffenseatcommonlaw)と して と らえ られ た の で あ る。 そ して 戦 争 が 始 ま る と,貿 易 関 係 者 に は コモ ンロ ー で 義 務 と され る 行 為 に つ い て 通 告 書(NoticetoTraders)が 配 られ た 。 しか し,何 が 違 反 の行 為 か は よ り正 確 に 規 定 さ れ な け え れ ば な ら ない 必 要 が生 じ,ま た コモ ンロ ー へ の 違 反 とい え な くて も国 家 や 国民 に と っ て望 ま し くな い と考 え られ る取 り引 き を 禁 止 す る必 要 が 生 じる こ と は 自 明 の 理 で あ っ た 。 そ の た め に敵 との 交 易 に 関 す る法 案(aTradingwiththeEnemyBill)が 準 備 さ れ,戦 争 が 勃 発 さ れ る と直 ち に議 会 に提 出 され,法 令 化 が はか られ た 。 こ う した 手 続 きは,第1次 世界 大 戦 で の経 済 戦 争 の 遂 行 で 混 乱 を生 じた こ との反 省 か ら と られ た措 置 で あ ろ う。 この 立 法 の 主 た る狙 い は,敵 との い か な る通 商 や 金 融 上 の 行 為 ,あ るい はそ の他 の利 敵行為 を 公 式 の 許 可 の あ る場 合 を 除 い て 禁 止 す る もの で あ っ た。 こ の 禁 止 条 項 は イ ギ リ ス お よび他 の 諸 国 に 滞 在 す るす べ て の 英 国 人 に適 用 さ れ た 。 この 場 合 敵 と は何 を指 す か とい う こ とが 常 に 問 わ れ る 問題 で あ り,法 令 も敵 を次 の よ う に規 定 した 。(1)敵 の 領 土 内 の 政 府 機 関,(2)敵 の法 の も と に組 織 さ れ た企 業 や 団 体,(3)敵 の 領 土 内 に居 を定 め る か,あ る い は居 住 す る 人 物,(4)敵 の 領 土 内 の 企 業 や 組 織 の 中枢 機 関 か らコ ン トロー ル さ れ て い る支 部 組 織 の4つ の範 躊 で あ る 。 経 済 戦 争 の 敵 と して規 定 され た範 囲 は ,総 力 戦 の も とで 政 府 や 軍 部 の組 織,軍 需 産 業 の 組 織 を超 え た全 国民 や 組 織 を対 象 に した もの で あ っ た。 フ ラ ンス 崩 壊 後 の 封 鎖 的措 置 を強 化 す る措 置 は,法 の 適 用 拡 大 と利 敵 行 為 に関 す る情 報 の 集 積 とそ の利 用,ア メ リ カ と の情 報 の 交 換 な どの 総 合 力 を も と に組 み 立 て られ,輸 出 ラ イ セ ンス 制 度 や 航 行 適 格 証 明制 度,船 舶 適 格 証 明 制 度 な ど を支 柱 ど して 運 用 され た の で あ る 。

第3章

イギ リスの経済戦争 に対応 するアメリカの政策変化

第1節 国 防 強 化 法 に よ る対 英 支 援 フ ラ ンス の 崩 壊 で ヨー ロ ッパ の大 部 分 が ドイ ツ の支 配 下 に入 り,ま た イ タ リア の枢 軸 国 側 に 立 って の参 戦 と 日独 伊3国 同 盟 の発 足 で,ア メ リ カ の世 界 は 決 定 的 に狭 ま っ た。 ア メ リ カ はす で に デ ンマ ー ク と ノ ル ウ ェ ー が 侵 攻 さ れ た1940年4月9日 の 翌 日 に は両 国 の 在 米 資 産 を凍 結,さ らに ドイ ツ軍 が ベ ネ ル ック ス 諸 国 に侵 攻 を 開 始 した5月10日,こ れ ら3国 の在 米 資 産 を凍 結 す る迅 速 な措 置 を とっ た 。 そ して オ ラ ン ダ が 降伏 した5月16日 に は,ル ーズ ベ ル ト大 統 領 は大 規 模 な再 軍 備 計 画 を発 表 して い る 。 5月19日,英 経 済 戦 争 省 は次 の行 動 を と る こ と を ア メ リ カ に要 請 した 。 第1に,ア メ リ カ に お け る ドイ ツ の 資 産 を凍 結 す る こ と,.第2は,ラ イ セ ン ス の あ る も の を 除 い て ヨ ー ロ ッパ か ら ア メ リ カ に運 ば れ る 個 人 の債 権 の 売 却 を 阻止 す る こ と,第3に,ア メ リ カ も 自国 の 港 か ら ヨー ロ ッパ に 向 けて 出航 す る 中立 国 の 船 舶 に対 して,交 戦 国 に無 害 な物 資や 人 物 を輸 送 して い る証 明書 を交 付 す る制 度(navicertsystem)を 適 用 す る こ と,こ の 航 行 適 格 証 明 書 な く して ヨー ロ ッパ を 目 的 地 とす るい か な る輸 送 も認 め られ な い こ と,第4に 必 要 に 迫 られ た場 合 に 米 政 府 が 普 遍 的 な 輸 出 ラ イ セ ンス 制 度 を取 り入 れ る こ と で あ っ た 。 す で に5月16日 の 大 統 領 の議 会 へ の教 書 で,ア メ リ カ の再 軍 備 計 画 の一 環 と して 戦 争 準 備 の た め の必 需 物 資 全 般 の 確 保 が 強 調 さ れ た 。大 統 領 は,侵 略 者 が ア メ リ カ大 陸 に 達 す る前 に彼 ら を退

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け る準 備 を して お く必 要 を強 調 し,1940年7月 か ら始 ま る会 計 年 度 の なか で 国 防 予 算 の減 額 を試 み よ う と して い た 議 会 の説 得 に あ た っ た 。 ま た西 半 球 の 防 衛 が 強 調 され る な か で,米 英 の利 害 の 調 整 が 目指 さ れ た 。 自 国や 自 陣営 の物 資 供 給 を は か る と と も に,敵 国へ の 供 給 を 否 定 す る こ とで あ っ た 。 ア メ リカ も ヨ ー ロ ッパ の 中 立 国 が ドイ ッ の侵 略 ・占領 で そ の独 立 した地 位 を失 っ て い く こ と を う け て,経 済 戦 争 の敷 居 を跨 ぎ は じめ よ う とす る 姿 勢 を示 した こ と に な る 。 そ して この 経 済 戦 争 の 範 囲 は事 の 性 格 上 世 界 的 とな り,ア ジ ア に も,中 東 に も,ア フ リ カ に も,南 米 に も よ り 具 体 的 なか た ち で 及 ん で い く。 5月20日,ア メ リ カの ハ ル 国務 長 官 は イ ギ リス の 経 済 戦 争 強 化 の 提 案 に同 情 的 配 慮 が 直 ち に は らわ れ る と のべ た 。 そ して 英 経 済 戦 争 省 は重 要 物 資 と必 需 品 の リス トを 米 国 務 省 に提 出 し,ア メ リカ が こ れ まで とっ て い た 道 義 的 禁 輸 の 政 策(moral-embargopolicy)か ら決 定 的 な一 歩 を踏 み 出 して,法 的 根 拠 に 基 づ く行 政 的規 制 力 の あ る 大 幅 な輸 出 ライ セ ンス 制 度 の 導 入 を 期 待 した 。 フ ラ ンス の 崩 壊 は ア メ リ カの 防 衛 本 能 を さ ら に刺 激 した 。6月16日 に フ ラ ンス の ヴ ィ シ ー政 府 が ドイ ッ に休 戦 を 求 め た 翌 日 に は,独 自の 判 断 で 自 国 に お け る フ ラ ン ス の 資 産 を凍 結 した。 ドイ ツ に屈 服 した ペ タ ン元 帥 の ヴ ィ シ ー政 権 に フ ラ ンス の在 米 資 産 を引 き渡 さ ない よ うに す る た め の 一 面 で は経 済 制 裁 の ,他 面 で は経 済 防衛 的 な政 策 が と られ た の で あ る。 さ ら に6月28日,国 防 強 化 法(ActforStrengtheningtheNation'sDefense,以 下 国 防法 とす る)が 議 会 を通 過 した 。 こ の 国 防 法 の 第6条 に よ っ て,大 統 領 は軍 事 上 の装 備 や 部 品 ・弾 薬 ・工 場 に必 要 な機 械 や 道 具 ・原 料 な ど につ い て の 輸 出 や サ ー ビス を禁 止 も し くは削 減 す る権 限 が付 与 され た 。7月2日,大 統 領 は 同 法 案 に署 名 し,ラ イ セ ンス を要 す る項 目 を宣 言 し た。 イ ギ リス か らす れ ば,ラ イ セ ンス を 要 す る項 目に つ い て は ま だ この 段 階 で は い か な る 意 味 で も 英 政 府 の経 済 戦 争 の 要 求 を満 た す もの で は な か っ た とい う15。 と い う の は,銅,ニ ッケ ル,鉛, 亜 鉛,コ バ ル ト,屑 鉄 な ど金 属 ス ク ラ ッ プ,綿,石 油 製 品 な どが そ の リス トに含 ま れ て い な か っ た か らで あ る 。 さ ら に実 際 的 な 戦 争 の た め の 必 需 物 資 や 機 械 類,あ る い は ゴ ム ・タ イ ヤ ,タ イ ヤ ・ス ク ラ ップ の よ う な組 み立 て 前 の 物 資 な ど もラ イセ ンス か らは ず され て い た 。 イ ギ リス か らみ て,ア メ リ カ の と っ た措 置 は選 別 的 な 輸 出 ラ イ セ ンス 制 度 で あ っ た。 こ の 選 別 的輸 出 ラ イセ ンス制 度 は ナチ ス ・ ドイ ッ の よ う な全 体 主 義 国 家 へ の供 給 を防 止 ・削 減 す る とい う よ り,ア メ リ カ の不 足 を補 う もの と し て ま ず 適 用 さ れ た とみ ら れ た16。 しか し,そ れ は ア メ リ カが 経 済 戦 争 の 重 要 性 に気 が つ か なか っ た とい う こ とで は なか っ た 。 そ の 背 景 に は い くつ か の 主 な要 因が あ っ た。 輸 出 ラ イ セ ンス 制 度 を とる た め の 組 織 が で き て い な か っ た こ と,ド イ ッ と 日本 に対 す る攻 勢 的 行 動 と して うけ と られ る こ と を警 戒 した こ と,大 統領 選 挙 が 近 づ き孤 立 主 義 の修 正 に大 胆 で あ りえ な か った こ と,西 半 球 とア メ リ カの 防 衛 に と っ て枢 軸 国 へ の 経 済 的 攻 撃 が もっ と も効 果 的 か ど う か 十 分 な 自信 の もて なか っ た こ と,フ ラ ンス の 崩 壊 後 の敗 北 主 義 の 影 響,封 鎖 とい う言 葉 の 持 つ 不 快 さ,イ ギ リス の 干 渉 に便 宜 を与 え る とい う非 難 な どが挙 げ られ た17。 イ ギ リ ス の観 点 か らは,ア メ リ カ の 立 場 は輸 出 ラ イ セ ンス制 度 を と っ て も なお 選 別 的 で あ り, 中立 国 と して 戦 時 禁 制 品 の輸 出 を交 戦 国 に行 わ な い とい う中立 国 の 基 本 的枠 組 み を踏 み越 え て い な か った 。 ドイ ッや 日本 の よ う な敵 性 国 家 に完 全 な 禁 輸 政 策 を とれ ば,戦 争 に巻 き込 まれ る懸 念 が あ り,11月 の大 統 領 選 挙 を まえ に して,敵 性 国家 へ の 禁 輸 政 策 に通 じる 十分 な 輸 出 ラ イ セ ン ス 制 度 を と る リス ク を避 け た とみ られ た の で あ る。 しか し,選 別 的 で あ ろ う と輸 出 ラ イ セ ンス 制 度 が と られ た こ とは,ア メ リカ が ドイ ッ や 日本 に

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対 して封 鎖 的 経 済 圧 力 の 政 策 を適 用 す る決 定 的 な道 程 を示 す もの で あ っ た 。 イギ リス の経 済 戦 争 が 第2の 段 階 に 入 っ て い く上 で の不 可 欠 な 支 え とな っ た の で あ る。 経 済 戦 争 が 第2の 段 階 に至 る決 定 的 な時 期 は,ド イ ッが フ ラ ンス を追 い つ め た6月 か らイ ギ リ ス へ 攻 撃 の焦 点 を定 め た7月 に か け て で あ っ た 。 日本 は ビ ルマ ・ル ー トの 閉鎖 と イ ン ドネ シ ア へ の 石 油 資 源 獲 得 を 目 的 に政 治 的 ・軍 事 的 圧 力 を イ ギ リス にか け た 。 また ヒ トラ ー は フ ラ ン ス の 崩 壊 後 孤 立 した イ ギ リ ス を陥 落 させ る た め,7月16日 に下 命 した シ ー ラ イ オ ン(SeaLion)と 呼 ば れ る英 侵 攻 作 戦 を発 動 させ,9月 に か け て イ ギ リス の戦 闘 機 を破 壊 す る た め猛 烈 な空 襲 を敢 行 さ せ た。 ま た ド イ ッ の 軍 事 占 領 地 域 と な っ た フ ラ ン ス の ブ ル タ ー ニ ュ 半 島 南 部 の ロ リ ア ン (Lorient)の 港 を基 地 と してUボ ー トを発 進 させ 英 封 鎖 を め ざ した 。 この 時 期 を通 じて ア メ リカ は イ ギ リス との 経 済 戦 争 に関 す る協 議 を進 め る 中 で,選 別 的 な輸 出 ラ イ セ ン ス制 度 を対 日経 済 封 鎖 に向 け て発 動 しは じめ た の で あ る。 ビル マ ・ル ー トの 閉鎖 に向 け 日本 が 直 接 的 な圧 力 を か け た の は,フ ラ ンス の ペ タ ン政 府 が ドイ ッ に休 戦 を 申 し入 れ た6月16日 か ら数 日 しか 経 た ない6月19日 か20日 の 頃 で あ り,英 軍 の ダ ンケ ル ク撤 退 を 間近 か に控 え た 連 合 国 の 危 機 の と きで あ っ た 。外 務 省 か らの公 式 な 申 し入 れ で は な く, 参 謀 本 部 の 土 橋 勇 逸 第2部 長 が イ ギ リス の 日本 大 使 館 付 き武 官 に,中 国 に対 す る ビル マ 国境 及 び 香 港 国 境 の即 時 閉鎖 な らび に上 海 よ りの英 軍 撤 退 を 要 求 してい る18。 日本 は この 好 機 を逃 せ ば末 代 まで の そ し りを免 れ な い と感 じて い る と,駐 日英 大 使 ク レー ギ ー19は 本 国へ の 軍 事 情 報 伝 達 で 述 べ て い る20。 こ の要 請 は外 交 ル ー トを飛 び 越 して 行 わ れ た もの で あ り,日 本 が これ ま で利 害 対 立 国 の 弱 み につ け こ ん で外 交 を行 って きた と して も,外 務 省 や企 画 院 と十 分 な検 討 を総 合 的 に行 っ た結 果 で は な く,外 務 省 が 窓 口 問 題 と して 後 で 弁 解 を しな け れ ば な らな い もの で あ っ た 。 しか しそ の外 務 省 も6月24日 に は,有 田 外 相 か ら ク レー ギ ー英 大 使 に覚 書 の か た ち で ビ ルマ 経 由 の 武 器 輸 送 停 止 の 勧 告 を行 っ た 。 イ ギ リス に とっ て は 日本 との 戦 争 は ドイ ッ と の死 闘 を演 じて い る 中で 避 け な け れ ば な らな か っ たが,中 国 に対 す る 中立 国 と して の 立 場 は維 持 しな け れ ば な らな か っ た。 イ ギ リス は 日本 に対 し て も戦 争 努 力 に必 要 な 同様 な物 資 を供 給 して い る わ け で あ り,中 国 を差 別 す る わ け に は い か ない と い う原 則 的 立 場 が あ っ た 。 しか し日本 の要 請 を退 け れ ば,香 港 の 閉 鎖 や上 海 な ど にお け る経 済 活 動 へ の圧 力 は避 け られ な か っ た 。 こ こで イ ギ リス の と っ た措 置 は,3ヶ 月 間 の 雨 季 の 問 の ほ と ん ど影 響 を う け な い ビ ル マ ・ル ー トの 閉 鎖 で あ っ た 。 イ ギ リス は7月 ユ7日,日 本 とそ の た め の協 定 の 締 結 を行 っ た が,ア メ リカ の ハ ル 国 務 長 官 は そ の よ うな行 動 は 世界 貿 易 の正 当 と はい え な い 障 害 に な る と疑 問 を呈 した。 駐 米 英 大使 の ロ ー シ ア ン21は,ア メ リ カが 戦 争 の 危 険 冒 して ま で イ ギ リス の行 動 を した な ら英 政 府 は 日本 の 要 求 に抵 抗 した で あ ろ う と一 矢 を報 い た 。 この こ とは, 選 別 的 輸 出 ラ イ セ ンス 制 度 を とっ た2週 間余 り後 の 出 来 事 で あ り,ア メ リカ が原 則 論 を と りな が ら対 日圧 力 を 強 め る 可 能 性 を示 唆 す る もの とな っ た 。 第2節 選 別 ラ イ セ ン ス 制 度 の強 化 ア メ リカ が7月 初 め に選 別 的輸 出 ラ イセ ンス 制 度 を 導 入 して か ら,イ ギ リ ス の経 済 戦 争 とア メ リ カの 国 防強 化 の調 整 に は著 しい 進展 が あ っ た 。 日本 の イ ン ドネ シ ア や イ ン ドシ ナ へ の 資 源 獲 得 に向 け た圧 力,ビ ル マ ・ル ー ト閉鎖 へ の 圧 力 を背 景 に し た もの で,と くに7月 中 に は い くつ もの

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