〈論文〉諸外国地域の証券取引所における持続可能性情報の開示規定の発展
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(2) 諸外国地域の証券取引所 にお ける持続可能性情報の開示規定の発展(川 原) な規 定 と開 示 を促 進 す る仕 組 み に 関 す る文 献 研 究 を通 して,上 場 企 業 の年 次 報 告 で の持 続 可能 性 情 報 の 開示 を進 展 させ る重要 な要 因 を検 討 し,課 題 を整 理 して い く。 日本 で は,上 場 企 業 の 制度 財務 報 告 にお け る持 続 可 能 性 情 報 の 開示 は,制 度 開示 の枠 組 み で の事 業 等 の リス クな どの記 述,あ. るい は 制度 外 の持 続 可 能 性 報 告 で の先 進 的 開示 実 務 が観 察 され る も. の の,証 券 取 引所 に関連 した 強 固 な 開示 を発 展 させ る初 期 段 階 とい え る。 よ って,こ の よ うな検 討 は,持 続 可 能 な証 券 市 場 制 度 の構 築 と持 続 可 能 性 情 報 の 開示 を促 進 させ る制 度 設 計 に向 けた政 策 的議 論 の 基礎 を提 供 す る もの と して非 常 に有 意 義 で あ る と考 え る。 本 稿 の 構 成 は 次 の とお りで あ る。 まず,第2章. で は持 続 可 能性 情 報 開示 に関 す る先 行 研. 究 を検 討 し,第3章 で は諸 外 国 地 域 の証 券 取 引所 で の持 続 可 能 性 情 報 の開 示 規 則 を検 討 し, 第4章 で は証 券 取 引所 で の 持続 可 能 性 情 報 の 開示 の意 味合 い を討 議 し,最 後 の 第5章 で は 結 論 を述 べ て い きた い。. 皿. (1)持. 先. 行. 研. 究. 続可能性情報の開示の意味合 い. 「持 続 可 能 性 」 は,「 将 来 の世 代 のニ ー ズ を満 たす 能 力 を損 な う こ と な く,現 在 の世 代 の ニ ー ズ を 満 たす 開発 」(1)で定 義 され る広 範 な 「持 続 可 能 な 開 発 」 の 概 念 を基 礎 と して,広 範 な概 念 で 定義 され る。 「持 続 可 能 性 」 の概 念 を も とに,政 府,組 織,お. よび地 域 社 会 は政. 治 的意 思 を認 識 し,自 らの意 思 決定 が及 ぼ す影 響 に つ い て 幅広 い長 期 的 な考 慮 が求 め られ る(2)。しか し,企 業 の持 続 可 能 性 の これ ま で の議 論 に お い て,地 球 の 持 続 可 能 性 に つ い て の討 議 が見 られ ず,ま た,組 織 の責 任 の議 論 に お い て,資 本 主 義 の責 任 に つ い て の討 議 が 見 られ ず,公 共 利益 へ の奉 仕 を要 求 す る考 え が社 会 あ るい は正 義 な どの概 念 に基 づ い て い な い(3)。 企 業 の 持 続 可 能 性 に関 す る報 告 は,媒 体 や 様 式 を 問 わ ず,ESG報. 告,CSR報. 告,お. よ. び トリプル ボ トム ラ イ ン報 告 と同 様 の 文 脈 で 知 られ る(4)。企 業 報 告 の 主 流 で あ る年 次 報 告 の記 載 にお い て,持 続 可能 性 に関 す る情 報 は財 務 情 報 を補 完 す る非 財 務 情 報 の範 疇 に含 め られ るが,企 業 統 治 の枠 組 み に関 す る記 述 部 分 の う ちで リス クマ ネ ジ メ ン トの 関連 情 報 と して,あ. るい は事 業 の説 明 に関 す る記 述 部 分 で戦 略 の 関連 情 報 と して報 告 され る(5)。. (1)TheBrundtlandCommission(1987),0α!Oo1η. 切o刀. (2)IFAC(2011),p.19. (3)Grayθ6∂Z(2010),p.19. (4)IIRC(2011),p.28. (5)CDSB(2011),p.6. -317(715)一. 」 砺6媚. θ,OxfordUniversityPress..
(3) 第59巻. ESGは,投. 第2号. 資 家 の 視 点 で,企 業 行 動 の文 脈 で環 境,社 会,お よび統 治 の 問題 を記 述 す る. 分 野 を示 す た め に国 際 的 に現 れ た用 語 で あ る(6)。ESGが 何 を 指 す か を 決定 的 に定 義 し内 容 を列 挙 した もの は見 られ な い が,こ の用 語 で取 り扱 わ れ る内容 に は典 型 的 な特 徴 が あ げ ら れ る(7)。 す な わ ち,伝 統 的 に非 財 務 情 報 ま た は あ ま り重 要 で な い と考 え られ て き た 問題, 中長 期 的視 点,質 的 な事 柄 で す ぐに金 額 単 位 に数 量 化 が可 能 な質 的対 象,市 場 メカ ニ ズ ム に よ って は あ ま り十 分 に把握 され な い外 部 性(他. の企 業 に あ るい は社 会 全般 に よ って 負 わ. され た 費用),規 制 ま た は政 策 の 枠 組 み の 変 化,企 業 の サ プ ライ チ ェー ンを通 して生 じ る傾 向(お よ び そ れ ゆ え測 り知 れ な い リス クに影 響 され やす い もの),お よび 社 会 全体 の 関心 事 とい う特 徴 で あ る(8)。 近 年,ESG情. 報 を,投 資 家 等 を 対 象 と した 年 次 報 告 書 に組 み 込 み,財 務 情 報 と統 合 して. 報 告 す る 「統 合 報 告 」 に関 す る国 際 的 な試 み が あ る。 「統 合 報 告 」 と は,営 利 行 為,社 会, お よび環 境 の状 況 を反 映 す る方 法 で,企 業 の戦 略,統 治,業 績 お よび将 来 予測 の重 要 な情 報 を統 合 し,ど の よ う にス チ ュ ワー ドシ ッ プを証 明 し,ど の よ うに価 値 を創 造 し維 持 す る か につ い て,簡 潔 明 瞭 な 表示 を提 供 す る こ とを 目的 とす る(9)。 統 合 報 告 の 試 み は,国 際統 合 報 告 審 議 会(IIRC)を 中心 に進 め られ て い る。IIRCは,企 業, 投 資 家,会 計専 門 家,証 券 関係 者,規 制 当局,学 術 研 究 者,基 準 設 定 主 体,お. よび市 民 社. 会 の代 表 で構 成 され,明 瞭 な,簡 潔 な,一 貫 性 の あ る,お よび 比較 可 能 な様 式 で,財 務, 環 境,社 会,お. よび統 治 の情 報 を ま とめ る,国 際 的 に一 般 に認 め られ る 「統 合 報 告 」 の枠. 組 み の作 成 を 目指 して い る(10)。IIRCは,よ り持 続 可 能 な世 界 経 済 の 要 求 を満 たす た め,過 去 と将 来 の 組織 に関 す る,よ り包 括 的 で十 分 理 解 可 能 な情 報 の 開発 の支 援 を 目的 と して い る(11)。IIRCは,2011年9月12日. に討 議 資 料 「統 合 報 告 に向 か って 一21世 紀 にお け る価 値. の コ ミュニ ケ ー シ ョン」(12)を,2012年7月11日 て お り,2012年. (2)持. に統 合 報 告 の枠 組 み の概 略 の草 案 を 公 表 し. 内 に公 開草 案 を提 出 す る予定 で あ る(13)。. 続可能性情報の開示の会計理論. 企 業 の 持 続 可 能 性 情 報 開 示 に関 す る様 々な 社 会 会 計 分 野 の 理 論 の 中 で,ス テ ー クホ ル ダ. (6)IIRC(2011),p.28. (7)乃. 戴. (8)乃. 冠. (9)IIRC(2011),p.2. (10)IIRCwebsite. (11)乃. 戴. (12)IIRC(2011). (13)IIRCwebsite.. 318(716).
(4) 諸外国地域の証券取引所 にお ける持続可能性情報の開示規定の発展(川 原) 一理 論(14)は ,企 業 とそ の環 境 との 間 の 関係 を シス テ ム 的 に捉 え,企 業 責任 や説 明 責 任 との 関係 を 明 らか に した説 明 を 提 供 して お り,最 も よ く用 い られ る理 論 で あ る(15)。 この理 論 に よ る説 明 は,社 会 的契 約 に関連 す る結 果 と して の政 治 的 な 比 喩,あ. るい は合 理 的経 営 に 関. 連 す る結 果 と して の合 理 的 な 比 喩 と して位 置 づ け られ るが,よ り生 物 学 的 な比 喩 で あ る(16)。 組織 の ス テ ー クホ ル ダ ー は 組織 の 活動 に よ って影 響 され る,ま た は影 響 す る可 能 性 の あ る 人 間 の行 為 的主 体 性 と定 義 され る(17)。 ス テ ー ク ホル ダ ー 理 論 で は,価 値 は必 ず か つ 明 らか に事 業 遂 行 の一 部 分 で あ る とい う仮 定 に始 ま り,経 営者 が創 出 す る価 値 観 の共 有,お. よび 中核 とな るス テ ー クホ ル ダ ー と共 に. 何 を もた らす か を 表現 す る こ とを 求 め て い る(18)。 ま た,こ の理 論 で は,事 業 を どの よ う に 行 い た い か につ い て,特. に,ど の よ うな ス テ ー クホ ル ダ ー との 関係 を望 む か,ま た 目的 を. 果 た す た め の ス テ ー クホ ル ダ ー との 関係 に つ い て,経 営者 が 明 らか に す る こ とを 求 め て い る(19)。 現 実 の経 済 社 会 で も,経 済 的価 値 は 自発 的 に一緒 に協 力 して皆 の状 況 を 改善 し よ う とす る人 々 に よ って作 り出 され,ま た経 営者 は ス テ ー クホ ル ダ ー との 関係 を発 展 させ な け れ ば な らな い し,企 業 が約 束 す る価 値 を もた らす た め皆 で 努力 す る地 域 社 会 を創 造 しな け れ ば な らな い こ とが 強調 され て い る(20)。 ス テ ー クホ ル ダ ー は 明 らか に 重 要 な構 成 要素 で あ り,そ の 活動 は利 害 に特 徴 づ け られ るが,価 値 創 造 の過 程 を刺 激 す る こ とに あ る とい うよ り も,む し ろ結 果 に利害 の 関心 が あ る⑳ 。 ス テ ー ク ホル ダ ー 理 論 は,あ. らゆ る点 で,説 明 責任 に対 す る規 範 的 な取 り組 み方 を 示 す. もの で あ り,グ レイ の主 張 す る説 明責 任 の モ デ ル と直 接 関係 し,組 織 とス テ ー クホ ル ダ ー との相 互作 用 を 責任 お よび説 明責 任 に 関 わ る社 会 的基 盤 を な す 関係 と して看 取 で き る(22)。 一 方 ,ス テー クホ ル ダ ー理 論 の う ち,経 験 的説 明 責 任 の視 点 にお い て は,ス テ ー クホル ダ ー を組 織 の 利害 の ため に管 理 す る必 要 が あ る集 団 と捉 え,組 織 に と って よ り重 要 な 場合,関 係 を持 続 す るよ う組 織 は努 力 す る(23)。 財務 会 計 お よび社 会 会 計 の情 報 は,ス テー クホ ル ダー の支 持 と承 認 を得 るた め に,組 織 が管 理 あ る いは操 作 す る可能 性 が あ る重要 な要素 で あ る(24)。 ス テ ー クホ ル ダ ー理 論 に従 って,社 会 会 計 お よび 開示 の 割合 が組 織 活動 と比例 す る との説 (14)Ullman(1985)andRobert(1992). (15)Grayθ6∂Z(2010),p.25. (16)乃. 戴. (17)Freeman(1994). (18)Freemanθ6aZ(2004),p.364. (19)乃. 冠. (20)乃. 戴. (21)乃. 戴. (22)Grayθ6ヨZ(2010),p.25. (23)乃. ∫と オ,pp.25-26.. (24)Z∂Zd,p.26.. 319(717).
(5) 第59巻. 第2号. 明 が極 あ て 可能 とな る(25)。 制 度 理 論(26)は,組織 と組 織 の場 に関 わ る理 論 で あ る。 多様 な相 互依 存 にあ る組織 が特 別 な 役 割 を 果 た す と こ ろの社 会 的構 成 領 域 を生 み だ す,文 化 的 な ネ ッ トワー ク シス テ ム か ら な る組織 の場 の概 念 に よ る文脈 か ら制 度 理 論 の 当初 の 洞察 が得 られ た(27)。 こ こで い う場 は, 相 互作 用,利 害 の共 有,共 通 の 関心 事,お. よび共 同 の 活動 な どか ら生 じた社 会 的構 成 領 域. を 指 し,社 会 会 計 の分 野 で 見 る と グ ロー バ ル ・レポ ー テ ィ ン グ ・イ ニ シア テ ィ ブ,ま た, 環 境 監 査 お よび 経 営 ス キ ー ムな どが これ に あた る(28)。 制 度 化 の過 程 は,場. に安 定 と慣 性 を. 与 え るた め 組織 行 動 を収 敏 す る均 質 化 お よび 同形 の過 程 で あ り,こ れ は法 令 や市 場 の変 化 な ど に よ る強 制,教 育 や専 門 化 を通 した価 値 共 有 や収 敏 とい う規 範 的仕 組 み,ま た成 功 を 思 わ せ る行 為 の模 倣 の 仕 組 み の3つ の 組 み 合 わ せ で 起 き る(29)。 ス テ ー クホ ル ダ ー の 複雑 な 絡 み合 い,お. よび ス テ ー クホ ル ダ ー の相 互作 用 お よび相 対 的 強 み を場 と考 え る と,制 度 理. 論 は前 述 の ス テ ー クホ ル ダ ー理 論 と近 い 関係 に あ る(30)。 正 当 性 理 論 は,社 会 会 計 分 野 で広 範 囲 に利 用 さ れ,前 述 の 制度 理 論 と非 常 に近 い 関係 に あ り,そ の特 例 と もい わ れ る理 論 で あ り,ま た,前 述 の ス テ ー クホ ル ダ ー理 論 に葛 藤 と軋 礫 の 要素 を加 え た2次 変 形 理 論 で あ る(31)。 正 当 性 理 論 で は,組 織 は そ の 組織 の 存 す る社 会 自 身 の価 値 あ る シス テ ム と釣 り合 う価 値 あ る シス テ ム で あ る と社 会 に認 め られ る場 合 の み存 続 で き る と主 張 され る(32)。 組 織 は そ の正 当性 に対 して 多 くの脅 威 に直 面 し う るの で,脅 威 を相 殺 す べ く幅広 い正 当性 戦 略 を用 い る。 この戦 略 に は ス テ ー クホ ル ダ ー の教 育,ス. テー. クホ ル ダ ー の 問題 へ の認 知 の変 化,関 心 事 の 問 題 か ら気 を そ らす か 操 作 す る こ と,ま た は, 業 績 につ い て の 外部 の期 待 を 変 化 しよ う とす る こ との4つ が あ る(33)。 よ って,否 定 的 な 要 素 よ り も,む し ろ組織 行 為 の肯 定 的 な 点 を 強調 す る社 会 環 境 開示 の一 般 的 な傾 向 は,組 織 の一 部 を正 当 化 す る行 動 と比 例 す る よ う に説 明 され る(34)。 た だ し,組 織 が ま った く開 示 し な い こ とを 選 択 す る,あ るい は な ぜ 開示 が選 択 的 で あ るか の理 由 が説 明 で きて い な い(35)。 資 源 依 存 理 論 は,組 織 と予想 不 可 能 な 資 源 供給 へ の依 存 との 間 の動 的 関係 を主 張 す る理. (25)乃. 戴. (26)DiMaggioandPowell(1983). (27)Grayθ6∂Z(2010),p.26. (28)乃. 虹. (29)乃. 戴. (30)Z∂Z♂,p.27. (31)乃. ∫ゴ:,p.28.. (32)乃. 戴. (33)Lindblom(1993). (34)Grayθ6∂Z(2010),p.28. (35)Z∂Z♂,p.29.. 320(718).
(6) 諸外国地域の証券取引所 にお ける持続可能性情報の開示規定の発展(川 原) 論 で,不 確 実 性 と敵 対 行 為 を 組 織 環 境 の 重 要 な 構 成 要 素 とす る(36)。 資源 は 財務,労 給,お. 働,供. よび市 場 な ど に限 らず,正 当 性 お よ び評 判 な ど も含 む(37)。 そ の よ うな環 境 にお い て. 開 示体 制 が影 響 を 及 ぼ す 可 能 性 は明 らか な の で,そ. こで 社 会 会 計 が 利 用 され る(38)。 資 源依. 存理 論 は 社 会 会 計分 野 で そ れ ほ ど広 く用 い られ な い もの の,前 述 の制 度 理 論 と直 接 関係 が あ り,条 件 適 合 理 論 と近 い 関係 に あ る(39)。 条 件 適 合 理 論 は,い か な る組 織 もよ く機 能 す る た め に,そ の環 境 や状 況 に う ま く適応 す る構造,態 度,使. 命,活 動 の よ うな もの を 採 用 す る と い う理 論 で あ る(40)。 単 一 の理 想 的 な. 組織 や 組織 構 造 は な く,社 会責 任 に つ い て の単 一 の理 想 的 態度 も,ま た単 一 の理 想 的情 報 フ ローの シス テ ム お よび 開示 体 制 もな く,組 織 の最 善 はそ の状 況 に よ る とす る(41)。 よ って 社 会責 任 お よ び社 会会 計 は,重 要 な環 境 要 因 お よび組 織 要 因 に依 存 す る条 件 変 数 といえ る(42)。 意 思 決 定 有 用 性 理 論 は,強 い会 計 理 論 で あ り,社 会 会 計 の説 明 に も使 用 され て きた理 論 で あ るが,社 会 会 計 の よ うな情 報 が,適 切 な意 思 決定 者 が意 思 決定 に有 用 と認 め るな ら作 り出 され る こ とを示 す もの で あ る(43)。 この理 論 で は,意 思 決定 者 が誰 で,関 心 を もつ理 由 を 明 らか に して い な い た め,結 局,経. 営者 や投 資家 の よ うな 強力 な意 思 決定 者 に つ い て か. か わ り,よ って 他 の大 方 の意 思 決 定者 を そ れ とな く無 視 して い る(44)。 また この理 論 は 規 範 的 な 面 と現 実 肯 定 的 な 面 が 混乱 して い る(45)。 よ って,投 資家 や金 融機 関 で も,倫 理 的 投 資 家 の よ うな少 数 派 を 対 象 と して の み,社 会 情 報 が 非 常 に有 用 な 情 報 と認 め られ る(46)。 社会 情 報 が も し完全 で直 載 で 明確 で あ る場 合,企 業 の す べ て の ス テ ー クホ ル ダ ー の意 思 決 定 に どの よ う に影 響 す るか は 別 問題 で,こ れ は未 だ試 され て い な い働 。 前 述 の 意 思 決 定 有 用 性 の 変 形 で あ る シ グナ リン グの 概 念 は,経 営者 は 財務 ス テ ー クホ ル ダ ー に対 す る シ グナ ル の た め に社 会 会 計 報 告 を行 う とい う説 明 で用 い られ る(48)。 す な わ ち, 投 資 家 が 組織 の社 会 環 境 リス クに 注 目 して お り,組 織 が うま く事 業 を行 い,ま た社 会 的 に 正 当化 され な い 予想 外 の 衝 撃 に対 して も比較 的 自由 で あ る と,投 資家 が仮 定 す るか も しれ. (36)乃. 戴. (37)乃. 戴. (38)乃. 戴. (39)乃. 虹. (40)乃. 戴. (41)乃. 虹. (42)乃. 戴. (43)乃. 冠. (44)乃. 戴. (45)乃. 戴. (46)乃. 戴. (47)乃. 戴. (48)Z∂Z♂,p.30.. 321(719).
(7) 第59巻 な い(49)。この よ うな状 況 は,多. 第2号. くの組 織 が別 個 に社 会 環 境 報 告 書 を 公 表 す る理 由 で あ り,. 市 民 社 会 の 構成 員 に宛 て る よ り,経 営者,投. 資 家,メ デ ィア に と って 組織 能 力 の シ グナ ル. と して意 図 され た もの とい え る(50)。 以 上 見 て きた 社 会 環 境 会 計 に関 連 す る理 論 は,証 券 市 場 で投 資 家 向 け に企 業 が 持続 可 能 性 報 告 や 開 示 を行 う仕 組 み につ い て の メカ ニ ズ ム の説 明 を提 供 して い る とい え る。. (3)企. 業 経 営 と外 部 性 お よび 社 会 責 任. ドラ ッガ ー は 経 営 者 の 社 会 的 責 任 は 事 業 責 任 で あ り,経 営者 は事 業 の環 境 お よび 社 会 へ の影 響 を考 慮 し説 明 責 任 を 果 た す必 要 が あ り,業 績 報 告 が 重要 で あ る と指摘 して い る。 以 下,こ. の 指摘 に関 す る論 説 を見 て い く。 ま ず,経 営者 は戦 略 と 目標 を正 し く定 義 し,人 を. 開発 し,業 績 を 測 定 し,組 織 の サ ー ビス を マ ー ケ テ ィ ン グす る こ とに 責 任 が あ り,よ って, 経 営者 は新 た な社 会 的機 能 を 担 って きて い る(51)。 科 学 技 術 的 な革 新 よ り社 会 的 革 新 の方 が, 社 会 へ の非 常 に重 要 な影 響 を及 ぼ す の で,経 営者 に規 律 と革 新 を どの よ うに 求 め て い くか が 重 要 な経 営課 題 とな る。 経 営者 の社 会 的機 能 が既 に広 が って お り,深 刻 な 努力 目標 で あ るた め,経 営者 の 社 会 的役 割 や社 会 的説 明責 任 の 問題 は一 般 に認 め られ に くい。 経 営 者 が 誰 に,何 を説 明 し,経 営者 の権 限 で何 を行 い,そ の妥 当性 は ど うか な ど,説 明責 任 に 関 す る問 い か けは非 常 に政 治 問題 で あ り経 済 問題 で は な い(52)。 経 営 者 は 業 績 に関 して 説 明 可 能 で な けれ ば な らな い の で,ど の よ うに業 績 を定 義 し,測 定 し,実 行 し,そ れ を 誰 に説 明 す べ きか が 重 要 とな る(53)。 企 業 が従 業員 に共 通 の 目的 や価 値 を共 有 す る こ とを 求 あ るの で あ れ ば,経 営者 は簡 潔 明 瞭 な一 つ の 目的 を 明示 す べ き で, 経 営者 が一 番 にや るべ き仕事 は 目的 や 価 値,目 標 の 設 定 に あ る(54)。 売 上 高 や 決算 報 告 の 損 益 そ れ 自体 が経 営者 や企 業 の業 績 を適 切 に測 定 す る もの で は な い。 組織 の業 績 評 価 の た め には,多 様 な 測定 を必 要 と し,企 業 や経 営者 の 活動 に 業績 を組 み込 み,測 定 し,判 断 し, そ して継 続 的 改善 を す べ きで あ る。 顧 客 満足 の よ うに経 営結 果 が企 業 外 部 に存 在 す る こ と が最 も重 要 な こ とで あ る(55)。 経 営 者 の 関心 や責 任 は,組 織 の業 績 と結 果 に影 響 す るす べ て の もの にあ り,企 業 内部 あ るい は外 部 か,企 業 管 理 下 あ るい は管 理 を完 全 に超 え て い るか. (49)乃. 戴. (50)乃. 冠. (51)乃. ∫ゴ:,P. 8.. (52)乃. ∫と 乳,P. 9.. (53)乃. ∫ゴ:,P. 10.. (54)乃. ∫と 乳,P. 11.. (55)Z∂Z♂,P. 12.. 322(720).
(8) 諸外国地域の証券取引所 にお ける持続可能性情報の開示規定の発展(川 原) にか か わ らな い(56)。 経 営 は人 そ の もの,人 的 価 値,成 長 お よ び発 展 を 扱 う,つ ま り人 間性 の形 成 に 関 わ り, 社 会 構 造 や地 域社 会 に影 響 を 及 ぼ す励 。 経 営 は倫 理 に 深 く関係 して お り,今 後 ます ます, 経 営 とは,人 間性 に関 す る規 律 お よ び実 践 とな る(58)。 企 業 は人,地 域 社 会,お. よび 社 会 に. 影 響 を及 ぼ して い るは ず で あ り,経 営 とは社 会 へ の影 響 お よび 企業 社 会 的責 任 を管 理 す る こ とで あ る(59)。 経 営 の使 命 や 目的 は 目標 に 落 と し込 む べ き もの で,目 標 には 社 会 的 責 任 が 含 まれ る(60)。 企 業 は社 会 とそ の経 済 に存 立 して い る こ とか ら,生 き残 りの側 面 で 捉 え るべ きで あ る(61)。 社 会 的責 任 に は,企 業 の社 会 へ の影 響 か ら生 じ る もの と,社 会 自 らの 問 題 と して生 じ る もの との異 な る2つ の もの が あ る。 企 業 は社 会 や地 域 社 会 に サ ー ビス を提 供 し て い るの で,社 会 や地 域 社 会 と密 接 な 関係 に あ り,し か も従 業員 を雇 用 す る こ とで社 会 へ の影 響 が避 け られ な い(62)。 地 球 環 境 へ の 影 響 や 社 会 へ の 問 題 は,企 業 活動 に必 然 的 に発 生 し避 け られ な い 面 が あ る の で,社 会 へ の影 響 に経 営者 は責 任 を もつ こ とに疑 い は な い。 一 方,社 会 問題 は社 会 の機 能不 全 か ら生 じて い る。 しか し,地 域 社 会 の 問題 は企 業 に影 響 す る し,病 ん だ社 会 に健 全 な企 業 は 存立 しえ な い。 経 営者 は健 全 な社 会 に 関心 を持 つ もの で あ る。 影 響 の特 定 と予測 を現 実 的 にす る こ とは経 営者 の仕 事 で あ る。 社 会,経 済,地 域,個 人 へ の必 然 に生 じ る企 業 の影 響 は,そ れ 自体 が 目的 で も使 命 で もな い が,最 小 限 に と どめ 削減 す る こ とが望 ま し い。 この対 応 例 と して,ダ ウケ ミカル社 が第 二 次世 界大 戦 後 に,大 気水 質 汚 染 にか か る環 境 問題 へ の市 民 か らの抗 議 が 起 こ るか な り前 に,汚 染 ゼ ロ方 針 を工 場 に適 用 した例 が あ る㈹ 。 デ ュ ポ ン社 で は 産 業 製 品 の 毒 性 管 理 の 環 境 対 応 技 術 を 自社 で 発 展 させ るだ けで な く,事 業機 会 の 開発 に結 び つ けた が,こ の よ うな例 は 多 くな い。 む し ろ,コ ス ト削減 の面 で環 境 影 響 を 除去 させ る場 合 が あ る。 問題 は,一 般 市 民 が支 払 った 「外 部 性 」 が事 業 コス トに な り,規 制 や あ る種 の市 民 行 動 に よ って,事 業競 争 劣位 を 招 くか も しれ な い こ とに あ る。 規 制 が施 行 され る前 に,影 響 を最 小 限 に 除去 す る こ とが経 営者 の仕 事 で あ る。 社 会 へ の影 響 に関 す る責任 は経 営 責任 で あ り,そ れ が社 会 的責 任 で あ るか らで は な く,事 業 責 任 で あ る. (56)」. の ∫とZ,p.94.. (57)乃. ∫ゴ:,p.12.. (58)Z∂Z♂,p.13. (59)乃. ∫とZ,pp.14-16.. (60)乃. ∫と 乳,pp.20-31.. (61)乃. ∫とZ,p.37.. (62)乃. ∫と 乳,p.51.. (63)Z∂Z♂,p.52.. 323(721).
(9) 第59巻. 第2号. か らで あ る(64)。 報 告 とい う もの は 経 営 の 道 具 と して 必 要 で あ り,誤 用 され た と き には 役 目を 終 え 有害 と な る(65)。 業 績 を達 成 す る道 具 と して報 告 が必 要 で あ り,重 要 な領 域 の結 果 を達 成 す るた め に必 要 な業 績 だ け に焦 点 を 定 め るべ きで あ る(66)。 ビ ジネ ス の 強 み は説 明責 任 と測定 能 力 に あ り,業 績 が無 形 の場 合 で も,二 次 的作 業 を特 定 し,明 瞭 な 目標 を設 定 で き,業 績 が測 定 で き るの で,結 局,無 形 の領 域 に つ い て も達 成 が可 能 とな る(67)。 これ まで 見 て きた よ う に,ド ラ ッガ ー の論 説 で は直 接 的 に持 続 可能 性 に言 及 して い な い もの の,環 境 お よび 労 働 面 の 外部 性 の 問題 の責 任 は事 業 責 任 で あ り,持 続 可 能 性 の 目標 設 定,業. 績 測定 お よび報 告 を 重視 す る考 え方 に結 び つ く経 営理 論 を提 供 して い る とい え る。. 皿. (1)持. 証券取引所 の持続可能性情報開示規定. 続 可 能 な 証 券 取 引 所(SSE)の 比 較 調 査. 近 年,諸 外 国地 域 の証 券 取 引所 で,上 場 企 業 の年 次 報 告 で の持 続 可 能 性 情 報(以 下,ESG 情 報,CSR情. 報 を 含 む)の 開示 を要 請 す る重 要 な 「規 定 」 が発 展 しつ つ あ る(68)。 証券 取引. 所 を あ ぐる持 続 可能 性 情 報 に関 す る 「規 定 」 は,上 場 企業 の情 報 開示 ス タ ンス に影 響 し, 開示 内 容 に重 要 な影 響 を及 ぼ す 要 因 とな りう る(69)。 投 資家 に と って,よ. り意 味 の あ る持 続. 可 能 性 情 報 の 開 示 が 提 供 さ れ る こ とを 通 じて,投 資 家 の 責 任 投 資(RI)が 容 易 とな り,責 任 投 資市 場 が拡 大 す る こ と,そ れ を通 じた持 続 可 能 な社 会 の発 展 が期 待 され て い る(70)。 持 続 可 能 な 証 券 取 引 所(SSE)イ ニ シ ア テ ィ ブ は,投 資 家 保 護 の観 点 か ら,企 業 のESG情 報 開示 を数 量 化 す る こ とが 重 要 で あ る と指摘 して い る。 企 業 のESG情. 報 を個 別 にか つ監. 視 可能 な数 量 化 指標 で 開示 す る こ とで,経 営者 の持 続 可 能 性 問題 に対 す る リー ダ ー シ ップ に関 す る情 報 が,投 資 家 や そ の 他 の ス テー ク ホル ダー に提 供 され るか らと い う。SSEは. 持. 続 可能 性 に関 す る企 業 活動 を環 境,社 会 お よび統 治 の 問題 の三 つ の項 目に分 類 し,具 体 的 な数 量 化 指標 を 提案 して い る(図 表1)⑳. 。. (64)」 の∫とZ,pp.54-55. (65)乃. ∫と 乳,p.122.. (66)」 の∫とZ,p.125. (67)乃. ∫とZ,pp.60-61.. (68)こ こ で い う 「規 定 」 は,証 券 制 度 の 規 制 当 局 が 定 め る 企 業 内 容 開 示(デ ィ ス ク ロ ー ジ ャ ー) の 法 令 規 則,証 券 取 引 所 に よ る 自 主 規 制 お よ び 規 則,ま た は,企 業 に 自発 的 情 報 公 開 を 促 す イ ニ シ ア テ ィ ブ や ガ イ ドラ イ ン な ど の 強 制 的 あ る い は 自 発 的 な 内 容 を 含 む 。 (69)Frost(2007). (70)IRI,website. (71)Z∂Z♂,p.40. 324(722).
(10) 諸 外 国 地 域 の 証 券 取 引 所 にお け る持 続 可 能 性 情 報 の 開 示 規 定 の 発 展(川 原) 図 表1企. 環. 業 のESG活. 動 に つ い て潜 在 的 に数 量 化 で き る項 目例. 境. 社. 会. 統. 治. エ ネ ル ギ ー効 率性. 従 業員報酬. 取締役会の独立性. カ ー ボ ン排 出 量. 便益. 取締役会の出席. 温 室効果 ガス排出量. 従業員の交代. 株主議 決権. 生 物多様 性 目標. 従 業員の健康. 訴 訟 リス ク. 水使用. 安全活 動および 目標. 取締役および経 営者報 酬. 自然資源 の利 用. 訓 練 の 費 用 お よ び 目標. リサ イ ク ル活 動. 多様性 および目標. 廃 棄物 の エ ネ ル ギ ー化 出 典SSE(2012),p.40.筆. 者 訳 。. SSEで は,過 去 十 年 間 にわ た り,企 業 がESGの. 実 践 に 関 して,ま す ます 多 くの情 報 を 開. 示 して い る こ とを 高 く評 価 しな が ら も,一 方,こ. れ ま で様 々な 関係 者 が協 働 して作 成 して. きたESG項. 目の個 別 規 準 を数 量 測 定 す る た め の 国際 的基 準 は,把 握 しづ らい もの で あ る こ. とを 指摘 して い る。 統 治 に関連 す る指標 に は,統 治 の 改善 に つ い て広 く一 般 に認 め られ た 要 求事 項 が あ る とい う。 最 近 の オ リンパ ス社 の 巨額 会 計 不 正 事 件,ま. た金 融機 関 が公 的 資. 金 で救 済 され た に も関 わ らず そ の経 営者 に 高額 報 酬 が支 払 わ れ た事 件 な どが 問題 視 され て お り,開 示 規 制 にお い て,統 治 に 関 す る よ り詳 しい説 明 を経 営者 に要 請 して い る とい う。 一 方 ,環 境 や社 会 の 開示 につ い て は,企 業 もス テ ー クホ ル ダ ー も,最 近,よ 開示 の 重 要性 を認 め て い る とい う。 例 え ば,ア. り詳 しい情 報. ッ プル社 の ア ジア に お け るサ プ ライ チ ェー. ンで の 劣 悪 な 労 働 問題 の事 例 に対 して投 資家 の監 視 が ま す ま す 強化 され て い る とい う(72)。 SSEは. 企 業 がESG問. 題 の対 応 を怠 れ ば,持 続 可 能 な成 長 能 力,あ. るい は極 端 な場 合,. 生 き残 り に重 大 な影 響 を及 ぼ し う る点 を挙 げ て,こ の 問題 に対 応 す る こ とが 重要 で あ る と 主 張 して い る(73)。 あ る調 査 に よ れ ば,地 球 温 暖化 対 策 の も とで の炭 素 排 出量 の 抑 制 の 規 制 が実 施 され た場 合,所. 定 の 企業 は2050年 ま で 資産 の利 用 が80%に 制 限 され る可 能 性 が あ る. とい う(74)。 この こ とは石 炭,石 油 お よ び ガ ス企 業 が保 有 資産 を燃 焼 で きな い とい う組織 的 (72)乃 戴 (73)」 の∫ とZ,p.41. (74)SSEは 環 境 指 標 を も と に炭 素 関 連 の 組 織 的 リス クは 巨大 にな る と主 張 して い る。2011年 の 「 燃 焼 で き な い炭 素 」 と呼 ば れ た研 究 で,2℃ 超 の温 暖化 の確 率 が20%な らば,世 界 は2050年 ま で に565GtCO2(10億 トンニ 酸 化 炭 素)に 予 算 制 限 しな け れ ば な らな い が,世 界 の化 石 埋 蔵 量 は 2,795GtCO2と 見 積 も られ,既 存 資 産 は2050年 の5倍 の 予 算 に 相 当 す るの で,資 産 価 値 に お け る重 大 な意 味合 い を もつ とい う。 実 際,ト ップ100の 石 炭 企 業 お よ び トップ100の 上 場 石 油 お よ び ガ ス企 業 だ け が745GtCO2の 潜 在 的排 出量 を表 わ して お り,こ れ らの燃 料 の燃 焼 能 力 が す べ て の 資産 に わ た り均 等 に制 限 さ れ た場 合,埋 蔵 量 の80%を 燃 焼 で き な い とい う。 この こ とは組 織 的 リス ク で あ り,投 資家 は法 令 実 施 が実 現 した場 合,「 免 れ得 な い資 産 」 を もち続 け る こ とに な り うる とい う。(Z∂1"ゴ.,P.41)。 325(723).
(11) 第59巻 リス ク に あ た る の で,投. 第2号. 資 家 に と り 重 大 な リス ク と な り う る と い う(75)。. 持 続 可 能 性 情 報 の 開 示 の 発 展 に 証 券 取 引 所 が 重 要 な 役 割 を 果 た す べ き とSSEは て い る。SSEで. は,世. 界 の 主 な30証 券 取 引 所(76)を対 象 に,既. 取 引 所 の 取 り 組 み に 関 し て,2010年 こ の 調 査 の 主 な5つ. に 継 続 し て2012年2月. の 項 目 に は,1)証. 取 引 所 自 ら が 責 任 投 資 原 則(PRI)に. よ び,5)炭. 報 を 開 示 し て い る か,2)証. 場 企 業 向 け に持 続 可 能 性 報 告 指 針 を提 供 して い. 素 市 場 取 引 ま た は そ の 開 発 を 支 援 して い る か が 挙 げ ら れ,27証. 開 示 に つ い て,グ. イ ドラ イ ン を 利 用 し た 開 示 に つ い て,サ. た 。GRIは. ン パ ウ ロ,ド. イ ツ,香. 外 で の 開 示 に つ い て11か 所,開. 港,お. 券取 引. 券 取 引 所 のESG情. ロ ー バ ル ・ レ ポ ー テ ィ ン グ ・イ ニ シ ア テ ィ ブ(GRI)の. 所,GRI以. 券. 署 名 し て い る か(78),3)持 続 可 能 性 に 関 連 し た イ ン デ ッ ク. 所 を 比 較 分 析 し た 結 果 が 示 さ れ た(79)。そ の 結 果 を み る と,ま ず,1)証. ク ス トの4か. 報 開示 へ の証 券. 時 点 で の 調 査 結 果 を 公 表 し た(77)。. 券 取 引 所 自 らがESG情. ス を 証 券 取 引 所 が 売 り 出 し て い る か,4)上 る か,お. 存 のESG情. 主 張 し. 報. 持続可能性報告 ガ. よ びNYSEユ. ー ロネ. 示 の 回 答 が な い の が12か 所 で あ っ. 世 界 で 持 続 可 能 性 報 告 の た め の フ レ ー ム ワ ー ク を 推 進 し,フ. レー ム ワー クの継. 続 的 改 善,お よ び 持 続 可 能 性 報 告 が 世 界 で 適 用 さ れ る こ と を 推 進 し て い る 組 織 で あ る 。GRI 持 続 可 能 性 報 告 ガ イ ドラ イ ン で は,こ. の 主 な フ レ ー ム ワ ー ク を 指 し,組. 織 が 経 済,環. 境,. お よ び 社 会 的 業 績 を 測 定 お よ び 報 告 す る た め の 原 則 と 指 標 を 定 め て い る(80)。 次 に,2)証. 券 取 引 所 のPRIの. ハ ネ ス ブ ル グ の3か. 署 名 に つ い て は,サ. 所 の み が 該 当 し た 。PRIと. シ ア テ ィ ブ の 略 称 で,6つ. ン パ ウ ロ,イ. は,国. ス タ ン ブ ー ル,お. よび ヨ. 際 連 合 が 後 援 す る責 任 投 資 原 則 イ ニ. の 責 任 投 資 原 則 を 実 行 す る た め に 働 く国 際 的 な 投 資 家 の ネ ッ ト. ワ ー ク の 非 営 利 法 人 を 指 す 。 投 資 コ ミ ュ ニ テ ィ に よ っ て 考 案 さ れ た こ の 責 任 投 資 原 則 は, ESGの. 問 題 が 投 資 ポ ー ト フ ォ リ オ の 業 績 に 影 響 を 与 え る 可 能 性 が あ り,受 託 者 責 任 を 果 た. す の で あ れ ば,投. 資 家 は 適 切 な 考 慮 を し な け れ ば な ら な い と の 見 識 を 反 映 し て い る。 こ の. 責 任 投 資 原 則 は,意. (75)乃. 思 決 定 と所 有 権 の 慣 行 にESG問. 題 を 組 み 込 み,社. 会 の 目標 と 自 ら の. 戴. (76)調 査 対 象 の30証 券 取 引 所 の 国 地 域 に は,オ シ コ,イ ン ド,マ レ ー シ ア,ド イ ツ,香 港,イ 国,イ. ギ リ ス,イ. ダ,デ. ン マ ー ク,フ. ラ ビ ア,中. 国,シ. タ リ ア,ロ. シ ア,ア. ィ ン ラ ン ド,ス ン ガ ポ ー ル,ス. ー ス ト ラ リ ア,ブ ラ ジ ル,ス ペ イ ン,チ リ,メ キ ン ドネ シ ア,ト ル コ,南 ア フ リ カ 共 和 国,大 韓 民. メ リ カ 合 衆 国,フ ウ ェ ー デ ン,ア. イ ス,タ. イ,日. ラ ン ス,ポ. イ ス ラ ン ド,イ 本,お. ル トガ ル,ベ ン ド,フ. ル ギ ー,オ. ィ リ ピ ン,サ. ラ ン ウ ジア. よび カ ナ ダ が 含 まれ る。証 券 取 引所 が 国. 地 域 を 超 え た 市 場 提 携 に よ る 運 営 を 行 う場 合 も あ れ ば,国. 地 域 で複 数 の証 券 取 引所 を もつ場 合 も. あ る。 (77)PanwarandBlinch(2012).,p.5. (78)2012年8月4日 る 。PRIwebsite.. 現 在,日. 本 の6資. (79)PanwarandBlinch(2012),pp.14-17.主. 産 所 有 者 お よ び13資 な27取. (80)GRIwebsite. 326(724). 産 運 用 管 理 団 体 がPRIに. 引 所 の 調 査 結 果 に つ い て,付. 署 名 して い 録1.を. 参照。.
(12) 諸 外 国 地 域 の 証 券 取 引 所 にお け る持 続 可 能 性 情 報 の 開 示 規 定 の 発 展(川 原). 目標 を う ま く提 携 さ せ る 自主 的 フ レ ー ム ワ ー ク を 提 供 す る も の で あ る(81)。 3つ 目 に,3)持 シ コ,ボ. 続 可 能 性 関 連 の イ ン デ ッ ク ス に つ い て は,サ. ン ベ イ,ド. イ ツ,イ. ン ドネ シ ア,ヨ. ロ ネ ク ス ト,ナ ス ダ ッ クOMX,イ. ハ ネ ス ブ ル グ,韓. ン ド,上 海,東. 京,お. ンパ ウ ロ,ス 国,ロ. ペ イ ン,メ. キ. ン ド ン,NYSEユ. ー. よ び トロ ン トの15か 所 が 該 当 し. た。 4つ 目 に,4)上 ー シア. ,ド. 場 企 業 向 け の 持 続 可 能 性 報 告 指 針 の 提 供 に つ い て は,サ. イ ツ,香. 港,ヨ. ハ ネ ス ブ ル グ,韓. 国,上. 海,シ. ン ガ ポ ー ル,タ. ン パ ウ ロ,マ イ,お. レ. よ び トロ. ン トの10か 所 が 該 当 し た 。 5つ 目 に,5)炭 ウ ロ,ド. イ ツ,お. こ れ ら5項. 素 市 場 取 引 ま た は そ の 開 発 の 支 援 に つ い て は,オ. ー ス ト ラ リ ア,サ. ンパ. よ び トロ ン トの4か 所 の み が 該 当 し た 。. 目 に つ い て,27証. サ ン パ ウ ロ が 全5項. 目,ド. 券 取 引 所 の 該 当 数 を 筆 者 が 集 計 した と こ ろ(付 録1参. イ ツ と ヨ ハ ネ ス ブ ル グ が4項. 3項 目 に該 当 し て い た 。5項. 目 す べ て 該 当 な し,あ. 目,韓. 国,上. 照),. 海 お よ び ト ロ ン トが. る い は 一 つ の み 該 当 し た の は,東. 京 を. 含 む11か 所 で あ っ た 。 SSEで 点 目 に,証. は 調 査 結 果 を6つ. に 総 括 し,証 券 取 引 所 の 役 割 の 重 要 性 と 課 題 を 示 して い る 。1. 券 取 引 所 の 持 続 可 能 性 へ の 影 響 に 関 す る理 解 お よ び 経 営 が い く ら か 進 展 し た と. 評 価 し て い る。2010年. 調 査 で 回 答 率 は53%で. 善 し た と い う。 し か し,国. あ っ た が,2012年. の 調 査 で は78%と. 際 的 競 争 力 の あ る市 場 の 証 券 取 引 所 で は,規. 明 らか に 改. 制 当局 との 関係 に. お い て 証 券 取 引 所 が で き る こ と に お の ず と 限 界 が あ る こ と も 明 ら か と な っ た と い う。 そ こ でSSEは,投. 資 家 お よ び 政 策 立 案 者 が そ の 限 界 に つ い て,も. っ と 理 解 す る 必 要 が あ り,そ. こ で 証 券 取 引 所 や 規 制 当 局 と の 対 話 を 目標 に す べ き で あ り,そ. れ が 証 券 取 引 所 の 取 り組 み. を 進 め る に は 効 果 的 で あ る と主 張 し て い る(82)。 2点 目 に,証 券 取 引 所 が 企 業 責 任 お よ び 持 続 可 能 性 イ ニ シ ア テ ィ ブ へ の 約 束 を 再 断 言 し て い る 点 をSSEは. 評 価 し て い る 。 ア ン ケ ー ト調 査 の4分. の3の. に 関 し て 企 業 責 任 を 増 大 す る よ う推 進 し て い くに あ た り,証. ス を 増 加 さ せ た り,お. 券 発 行 者 に持 続 可 能 性 情 報. る い は 開 示 促 進 の 規 定 を 設 定 し た り,持. よ び 自発 的 な 開 示 基 準 を 「遵 守 せ よ,さ. 続 可 能 性 イ ンデ ッ ク. もな けれ ば説 明 せ よ」 の市. 場 原 則 に変 更 し た り と い っ た 進 展 に 反 映 し て き た と見 て い る。 た だ,持. (81)PRIwebsite. (82)Z∂Z♂,p.5.. 327(725). 続 可 能性 問題. 券 取 引 所 に 責 任 が あ る と応 え. た と い う。 こ の よ う な 証 券 取 引 所 が 強 く確 信 を も つ こ と が,証 の 開 示 指 針 を 提 供 し た り,あ. 回 答 者 が,持. 続可能性情報 の開.
(13) 第59巻. 第2号. 示 指 針 には,そ の詳 細 さや権 限 に か な りば らつ きが あ り,広 告 文 あ るい は詳 細 な 自発 的 指 針 を 公 表 す る とい う レベ ル か ら,「遵 守 せ よ,さ もな けれ ば説 明 せ よ」の制 度 に よ って支 持 す る レベ ル まで あ る とい う。 また,既 に,ま た は今 後,証 券 取 引所 独 自の持 続 可 能 性 イ ン デ ッ クス を 売 り出 す 予定 が あ る との 回 答 が86%あ った とい う(83)。 3点 目 に,投 資 家 が市 場 の需 要 を創 出す る こ と を 明 らか にす る必 要 が あ り,第 一 義 的 に 機 関投 資 家 が よ り多 くのESG情. 報 の 開示 の改 善 を導 い て き た点 を,SSEは. 評 価 して い る。. 調 査 結 果 に よれ ば,機 関投 資 家 は ス テ ー クホ ル ダ ー の持 続 可 能 性 イ ニ シア テ ィ ブを一 般 的 に支 援 して い る もの の,回 答者 の ほぼ半 数 が,投 資家 に た め らい が あ り,そ の こ とが証 券 取 引所 が さ ら に活動 す る こ とを 阻止 す る要 因 に な って い る と言 及 して い る。 この よ うな た め らい が あ るの でESG情. 報 開 示 の発 展 には 限 界 もあ る との 懸念 が示 され て い る。 あ る事. 例 で は,投 資 家 の 需 要 が持 続 可能 性 商 品 に 関 す る需要 で あ る と証 券 取 引所 が誤 解 して い る とい う。 しか し,投 資家 は 持続 可 能 性 要 因 に 関 して 重大 な 損得 は な い と,証 券 取 引所 が 指 摘 す る と,そ れ に よ って投 資 家 がESG開. 示 を 強 引 に要 求 す る こ とが よ り難 し くな る とい. う。 これ とは 別 に,あ る証 券 取 引所 に よ って共 通 に特 定 され る要 素 が,あ ESG開. る国 に 関連 した. 示 と して 明 らか に要 求 され る こ と もあ る が,企 業 は どの よ うな 開 示 が 期 待 され,ま. た,投 資 家 が 開 示 を意 思 決 定 に どの よ うに統 合 す るか の 問題 が あ る。 しか し,既 存 の証 券 市 場 の専 門知 識 の も とで は新 しい トピ ッ クで あ る持 続 可 能 性 に つ い て独 力 で手 さ ぐりの対 応 を せ ざ るを得 な い た あ,証 券 取 引所 に任 せ た ま ま で,投 資家 が一 貫 して詳 細 な こ とを述 べ て こな か った とい う(84)。 4点 目 に,持 続 可 能 性 の要 因 は企 業 の事 例 を呈 示 さ せ る が,未 だ,収 益 性 に重 大 に影 響 す る要 因 で は な い とSSEは. 指 摘 して い る。資 本市 場 で 持続 可 能性 に焦 点 を あ て て い る長 期. 的 な投 資 家 が主 導 す るイ ニ シア テ ィ ブが掲 げ る 目標 に反 して,全 体 で み れ ば,証 券 取 引所 で は主 な収 益 源 で あ る取 引量 に依 存 す る傾 向 が 強 くな って い る。 た だ し,頻 繁 な取 引,お よび デ リバ テ ィ ブ取 引 は投 資 家 の長 期 の要 求 を 満 た す こ と と互 い に相 容 れ な い もの で あ る と,証 券 取 引所 は 強 く主 張 す る とい う。 これ は,上 場 企業 に対 す る持 続 可 能 性 に 関 す る強 い 基準 が あ る こ とは取 引所 に と って も よい ビ ジネ ス セ ンス を作 る とい う見方 に,今 回 の調 査 で は 回 答者 の57%が 同意 し,同 意 しな か った の は14%で あ った とい う結 果 に示 され て い る とい う。2010年 で は,回 答者 の37%が この見 方 に 同意 した こ と と比 べ る と,SSEは 引所 の意 識 が進 展 した こ との証 拠 と見 て い る(85)。 (83)乃. 戴. (84)乃. 戴. (85)Z∂Z♂,pp.5-6.. 328(726). 証券取.
(14) 諸 外 国 地 域 の 証 券 取 引 所 にお け る持 続 可 能 性 情 報 の 開 示 規 定 の 発 展(川 原). また,持 続 可 能 性 イ ニ シ ア テ ィブ お よ び持 続 可 能 性 関連 商 品 は,大 きな収 益 にそ れ ほ ど 貢 献 しな い が,発 行 企 業 の信 頼 性 の 向上 に 関連 す る と証 券 取 引所 が考 え て い る こ とをSSE は 指摘 して い る。ESG情. 報 開 示 に対 して 保 証 証 明 書 が 添 付 され る こ と は,新 興 市 場 の証 券. 取 引所 で は企 業 の競 争差 別 化 お よび評 判 向上 の要 素 と して 見 る傾 向 が よ り強 いが,先 進 国 市 場 の い くつ か の 取 引所 で も保 証 証 明 書 が 添 付 され る こ とを 評 判 向 上 の た めの 有 益 な ツ ール と して見 て い る と い う(86)。 5点 目 に,証 券 取 引所 が活 動 に意 思 を示 して も,必 ず し も活動 の能 力 に転 換 され る とは 限 らな い とSSEは. 指 摘 して い る。証 券 取 引所 が営 利 組 織 に そ の形 態 を変 更 す る こ とで,国. 家 あ るい は業 界 の規 制 当 局 に対 して従 来 は 自主 的義 務 で あ った こ とを証 券 取 引所 が放 棄 す る こ とが 容認 され る とい う。 持続 可 能 性 開示 や説 明責 任 を促 進 す る仕 組 み を実 践 す る こ と が,上 場 規 則 に関 係 す る もの も含 めて,単 に証 券 取 引所 の権 限 の範 囲 で あ る と考 え た の は, 回 答 者 の わ ず か10%で あ った とい う。 これ に比 較 し,回 答者 の 過 半 数 が この よ うな権 限 が 規 制 当 局 や 会 社法 な どの立 法 者 と共 有 す る権 限 で あ る と示 唆 した とい う。 ま た,回 答 者 の 3分 の1は,こ. れ は 完全 に規 制 当局 や立 法 者 の支 配 区域 で あ る と考 え た とい う。 さ らに,. 証 券 取 引所 が 持続 可 能性 イ ニ シア テ ィ ブの実 践 を思 い と どま る要 素 に つ い て,回 答 者 の半 数 が規 制側 の支 援 不 足 にあ る と強調 した とい う(87)。 6点 目 に,規 制 的 イ ニ シ ア テ ィブ が,持 続 可 能 な 資本 市 場 の主 流 を構 築 す るた め に必 要 で あ る とSSEは. 強 調 して い る。今 日の資 本 市 場 は,市 場 の影 響 力 と規 制 的 イ ニ シア テ ィ ブ. の 両方 に よ って形 成 され て きた とい う。 同様 に,将 来 の持 続 可 能 な 資本 市 場 の発 展 に お い て,既 存 の市 場 の知 識 や経 験 の外 に統 合 を必 要 とす る要 因 が あ るな らば,政 策 立 案 者 側 か らの軽 い圧 力 が必 要 にな る とい う。 最 近 の市 場 の性 質 や説 明責 任 を め ぐる複 雑 さが あ るた め,真. に効 果 的 で あ るの は,全 体 的対 話 で あ り,幾 分 緊急 に,し か し思 慮 深 い政 治 的介 入. を必 要 とす る とい う。 市 場 で企 業 に よ るESG開 導 入 お よび ロー ドマ ッ プを,も. 示 を増 加 させ るた め の 指 針 とな る原 則 の. し政 策 立 案 者 が,今,支. 援 す るな らば,か な りそ れ は促 進. す る とい う。 企業 の 開 示 に関 して,企 業 に説 明責 任 を もた せ るた め の仕 組 み を正 式 な もの にす る もの で もあ る とい う(88)。 加 え て,SSEは,市. 場 を通 じて最 低 限 レベ ル でESG開. 示 の 比較 可 能 性 が必 要 で あ る と. 主 張 す る。 国 際 的 な最 低 基 準 が 存在 しな い こ とは,各 市 場 で サ イ ロの よ うに急 成 長 しつ つ あ るESG開. 示 に関 連 した イニ シ ア テ ィブ を徐 々 に害 す る こ と に な るか も しれ な い と い う。. (86)乃. ∫ゴ:,p.6.. (87)乃. 戴. (88)乃. 冠. 329(727).
(15) 第59巻. 第2号. 印 象 的 な の は,証 券 取 引所 の調 査 回 答者 の4分 の3以 上 が,一 貫 した,か つ 重要 な企 業 の 持 続 可能 性 報 告 へ の 国 際 的方 法 を歓 迎 して い る こ と とい う。さ らに類 似 の割 合 の回 答 者 は, 「企 業 の持 続 可 能 性 報 告 の国 際 協 定 」に賛 成 して お り,そ の協 定 は 企業 の取 締 役会 に対 して 持続 可 能性 報 告 を,次 の よ う に命 ず る こ との検 討 を政 府 に要 求 す る もの とい う。 そ の 内容 は,持 続 可能 性 問題 を 企業 が戦 略 決定 の 際 に検 討 し,「 準 拠 せ よ,さ. もな けれ ば説 明 せ よ」. の 原則 で,年 次 報 告 の 中 に企 業 が 重要 と考 え る持 続 可 能 性 問題 を統 合 す る こ とで あ る とい う(89)。 以上,持 続 可 能性 情 報 開示 を 発 展 させ る た めの証 券 取 引所 を 取 り巻 く課 題 を 見 て き たが, 次 に,持 続 可 能 性 情 報 の一 つ で あ る気 候 変 動 情 報 に関 す る開 示 規 定 の課 題 を検 討 して い く。. (2)CDSBの. 気 候 変 動 開示 の規 定 に 関 す る調 査. 気 候 変 動 開 示 基 準 審 議 会(CDSB)は,投. 資 家,企 業,お よび社 会 が 比較 可 能 な分 析 を行 え. る よ うな,気 候 変 動 リス ク情 報 を収 集 す るた め の世 界 中 の 開示 基 準 の統 一 を 目標 と して い る。CDSBは,2007年. に世 界 経 済 フ ォー ラム の年 次 総 会 で設 立 され,企 業 の気 候 変 動 情 報. 開示 にお け る世 界 的 な枠 組 み を作 成 し,有 価 証 券 報 告 書 な どで の気 候 変 動 情 報 開示 を促 進 す る こ とを使 命 とす る組織 で あ る(go)。CDSBは 前 述 のIIRCと. も連携 して い る。 この よ う. な動 向 の 背景 には,気 候 変 動 情 報 開示 の世 界 的 な標 準 化 を 求 め る企 業 や金 融市 場 か らの要 求 の 高 ま りが あ る。CDSBで. は 「気 候 変 動 報 告 フ レー ム ワ ー ク」(91)を2010年に公 表 し,普. 及 を 図 って い る。 CDSBは,2011年10月. に 「気 候 変 動 関 連 開 示 に関 す る 国家 お よ び地 域 の発 展 の 目録 」 の. 調 査 結 果 を 公 表 し,近 年,気 候 変 動 関連 報 告 開示 の基 準 が,様. 々な 国地 域 で発 展 しつ つ あ. るが,比 較 可能 性 に問題 が あ り,報 告 内 容 を調 和 化 させ,一 貫 性 が必 要 で あ る こ とを強 調 して い る(92)。 この 調 査 の 総 括 と して,ま ず,調 査 対 象 と した先 進 国地 域 お よ び発 展 途 上 国㈹ に お いて, 気 候 変 動 関連 の報 告 様 式 が異 な る点 をCDSBは. 指 摘 して い る。 また,関 連 規 定 につ い て み. る と,法 律 設 立 者,基 準 設 定 主 体,産 業 界 で の最 善 事 例 が混 合 して設 定 され て お り,ま た そ れ ぞ れ に監 督 され て い る とい う。 規 定 が設 け られ て い る分 野 と して は,金 融,エ ネ ル ギ (89)乃. 戴. (90)CDSBの. 組 織 概 要 はCDSBの. ウ ェ ブ サ イ トを 参 照 し て い る(CDSB,website)。. (91)CDSB(2010). (92)CDSB(2011),pp.6-7. (93)こ の 調 査 で は,オ ー ス ト ラ リア,ブ ラ ジ ル,カ ナ ダ,中 国,デ ン マ ー ク,ヨ フ ラ ン ス,日 本,ニ ュ ー ジ ー ラ ン ド,シ ン ガ ポ ー ル,南 ア フ リ カ 共 和 国,ス ス,ア. メ リ カ 合 衆 国 お よ び イ ン ドの16を. 対 象 と し て い る 。 乃 ∫d,pp.5-6. 330(728). ー ロ ッ パ 連 合(EU), ウ ェ ー デ ン,イ ギ リ.
(16) 諸外国地域の証券取引所 にお ける持続可能性情報の開示規定の発展(川 原) 一 ,お よび環 境 分 野,証 券 取 引所 上 場 規 定,企 業 統 治,貿. 易 お よび商 業,お. よびCSRの. 分 野 で 幅広 く見 られ る とい う。 さ らに,規 定 の様 式 に つ い て も多様 で,気 候 変 動 の緩 和 を 特 に 目的 と した法 律,汚. 染管 理 規 則,貿 易 ス キ ー ム,企 業 統 治 行 動 基 準,財 務 報 告 や経 営. 者 に よ る説 明(MC)規 則,企. 業 法 お よ び環 境 法 と い った様 々 な様 式 を と って い る と い う(94)。. また,温 室 効 果 ガ ス の測 定 と報 告 規 定 を比 較 した結 果,適 用 範 囲 お よ び境 界,測 定方 法, 排 出係 数,結. 果 につ い て の保 証 お よび認 証 の 品質,お. が あ る点 をCDSBは. よび 開示 手 続 きの面 で,様 々 な相 違. 指 摘 して い る(95)。. 2010年 に公 表 され たGRIに. よ る調 査(96)でも,気 候 変 動 関連 開示 に関 して,様 式 お よび. 目的 の異 な る様 々な 規 定 が あ る こ とが 示 され て い る(97)。 具 体 的 に は,リ ス ク開示,温 果 ガ ス排 出 測定,ESG問. 室効. 題 の 考 慮 に関 す る投 資 家 の 責 務,気 候 変 動 に よ って もた ら され る. 潜 在 的影 響 の統 治,炭 素 税 な ど の税 務,お よび 温 室効 果 ガ ス排 出量 取 引 ス キ ー ム に つ い て, 様 々な 規定 が あ る とい う(98)。 CDSBで. は,気 候 変 動 開示 規 定 を企 業 統 治 報 告 に 関す る規 定 と,温 室効 果 ガ ス ま た は エ. ネ ル ギ ー 測定 お よび報 告 に関 す る規 定 の大 き く2つ に 区分 して い る。 前 者 は年 度 の証 券 制 度 上 の企 業 財 務 報 告 書 類 の 提 出 の 際,企 業 統 治 の枠 組 み で,気 候 変 動 リス クマ ネ ジメ ン ト お よび戦 略 につ い て 組織 に開 示 を要 請 す る規 定 を 指 す(99)。 この よ うな 結 果 を ふ まえ,法 管轄 区 にわ た り気 候 変 動 開示 の規 定 お よび実 務 の発 展 に対 す る一 つ の方 法 が な い た あ,温 室効 果 ガ ス 削 減 な どの 活動 の 比較 が 困難 で あ り,ま た,国 地 域 で の実 践 を調 和 化 させ るた め の 努力 も複 雑 に な る とCDSBは. 主 張 して い る。数 多 くの. 異 な る首 尾 一 貫 しな い方 法 の調 和 を促 進 し,方 法 の発 生 を最 小 限 に す るた め に は,国 際 的 な協 調 が必 要 と結 論 して い る(100)。 気 候 変 動 開 示 規 定 を どの よ うに効 果 的 に設 定 す る か の議 論 は,CDSBに. よれ ば,近 年,. 国 際 的調 和 化 に向 か い つ つ あ る とい う。 これ ま で 開示 規 定 を 比較 に お い て,自 発 的 あ るい は 強 制 的,原 則主 義 あ るい は 細則 主 義,ハ. ー ド ・ロー あ るい は ソ フ トロー,柔 軟 な分 散 体. 制 あ るい は 多元 的 で拘 束 力 あ る制 度,ま た,「 適 用 せ よ,さ もな けれ ば 説 明 せ よ」の原 則 あ るい は 「遵守 せ よ,さ もな けれ ば説 明 せ よ」 の原 則 の ど ち らか を適 用 す るか な どの論 点 が あ った とい う。 これ まで様 々 に適 用 され て きた方 法 を,ど の よ うに 国 際 的 に調 和 化 す るか (94)乃. ∫とZ,P.4.. (95)Z∂Z♂,pp.20-22。 (96)UNEPθ. 砲Z(2010).. (97)乃. ∫と 乳,p.23.. (98)乃. 戴. (99)乃 (100)、. ∫と 乳,P.6. 砺d. 331(729).
(17) 第59巻. 第2号. が 焦 点 とな って い る とい う(101)。 以 上,気 候 変 動 開示 に 関 す る規 定 の 国 際 的比 較 可 能 性 の課 題 を見 て き た が,次 に,持 続 可能 性 情 報 を基 礎 と して証 券 市 場 で投 資家 向 けに提 供 され る持 続 可 能 性 イ ンデ ッ クス の課 題 を 見 て い く。. (3)証. 券 市 場 にお け る持 続 可 能 性 イ ンデ ッ ク ス. 国 際 金 融 公 社(IFC)で は,2011年. に公 表 した調 査 を も とに,新 興 市 場17力 国 に お け る持. 続 可 能性 イ ンデ ッ クス の 急 速 な広 が り と,持 続 可 能 性 イ ンデ ッ クス が持 続 可 能 性 投 資 の拡 大 努力 を支 援 す る可能 性 に関 して興 味 深 い 見解 を示 して い る(102)。 まず,持 続 可能 性 投 資 に 対 す る関心 が 高 ま りつ つ あ り,投 資価 値 を優 先 す る投 資家 に よ って市 場 が か な り発 展 して きて お り,市 場 には この よ うな投 資 家 の価 値 を も っ と強調 す るセ グ メ ン トが含 ま れ て い る とい う(103)0 2つ 目 に,新 興 市 場 の 持 続 可 能 性 イ ンデ ッ ク ス は,先 進 国市 場 で の 経 験 を 基 に して, 近 年,急 激 に増 大 して きた もの の,イ. ンデ ッ クス の趣 旨は 多様 で あ り,市 場 発 展 の初 期 段. 階 で あ る とい う(104)。 3つ 目 に この よ うな 状 況 で も,新 興 諸 国 の 持 続 可 能 性 イ ンデ ッ クス は 広 範 な持 続 可 能 性 にむ けて の 努力 を支 援 し活発 に させ る重要 な役 割 を 担 う可 能 性 が あ る とい う(105)。 4つ 目 に,新 興 諸 国 の 持 続 可 能 性 イ ンデ ッ ク ス は,先 進 国 の そ れ と同 様 に,投 資 家 に 価 値 を もた ら し,ま た企 業 の 持続 可 能 性 を促 進 す るた め に位 置 づ け られ て い る こ とを確 実 にす る には,取. り組 み を必 要 とす る とい う根 本 的 な努 力 目標 に直 面 して い る とい う(106)。. 5つ 目 に,イ. ンデ ック スの 提 供 者 お よ び他 の ス テ ー ク ホ ル ダ ー は,持 続 可 能 性 に 関心. の あ る多様 な投 資 家 の 要 求 と,多 様 な要 求 を 満 た す イ ンデ ッ クス との 間 で の提 携 が うま く い くよ う,こ の 努 力 目標 に取 り組 む必 要 が あ る とい う(107)。 6つ 目 に,新 興 諸 国 の 持 続 可 能 性 イ ンデ ッ ク ス は,短 期 的 に は イ ンデ ック ス の発 展 や 管 理 にお い て便 益 を もた らす か も しれ な い し,長 期 的 に は リス クマ ネ ジ メ ン ト面 の価 値 を 示 す と同様 に,持 続 可能 性 戦 略 を実 行 し成 功 を お さめ る とい う,ビ ジネ ス 指標 に焦 点 を合. (101)乃. ∫ゴ:,p.24.. (102)Lubin,θ6aZ(2011)。 (103)乃. ∫ゴ:,p.8.. (104)1わ. ∫と オ. (105)乃. ∫とZ,p.9.. (106)乃. 戴. (107)Z∂Z♂,p.10.. 332(730).
(18) 諸外国地域の証券取引所 にお ける持続可能性情報の開示規定の発展(川 原) わ せ て い る企業 に お け る持 続 可 能 性 に 関す る重要 な点 の 証拠 を示 す か も しれ な い とい う(108)。 IFCは イ ンデ ック スの 提 供 側 お よ びESGデ. ー タの 提 供 者 が,企 業 の持 続 可能 性 報 告 を. 有意 義 に改善 す るた あ の4つ の可 能 性 を示 して い る(109)。 まず,ど の よ う に持 続 可能 性 業 績 を評 価 して い るか,ま た,分 析 の 際 に 利用 す る測 定 規 準 を企 業 に も っ と分 か りや す くす る こ と,2つ. 目 に,持 続 可能 性 報 告 基 準 の要 求事 項 を支 持 す る こ と,3つ. 目に,持 続 可 能 性. 報 告 イ ニ シア テ ィ ブが 互 い に協 力 し,そ の 努 力 が 統 合 され る よ う奨 励 す る こ と,4つ. 目に,. 企 業 に は しっか り した持 続 可 能 性 報 告 を継 続 す るよ う,ま た 持 続 可 能 性 に向 け た取 り組 み の ビ ジネ ス上 の費 用 対効 果 も報 告 す る よ う奨励 す る こ とを挙 げて い る(110)。 以 上,新 興 諸 国 の証 券 市 場 を 背 景 と した持 続 可 能 性 イ ン デ ック ス の課 題 を 見 て きた が, 次 に,具 体 的 に,い. くつ か の諸 外 国地 域 の証 券 取 引所 に 関連 した持 続 可 能 性 情 報 開示 規 定. お よび仕 組 み の特 徴 的 内 容 を 見 て い く(111)。. (4)諸 A)デ. 外 国 地 域 の 証 券 取 引 所 に 関 連 した 持 続 可 能 性 情 報 開 示 規 定 ン マ ー ク,オ. ラ ン ダ,ス. ウ ェ ー デ ン,お. ヨ ー ロ ッ パ 諸 国 の 中 で も,デ は,環. ン マ ー ク,オ. 境 報 告 の 強 制 規 定 を 含 む,証. ラ ン ダ,ス. ウ ェ ー デ ン,お. よ び ノル ウ ェ ーで. 券 取 引 所 で の 持 続 可 能 性 情 報 の 開 示 に関 連 す る様 々 な. 規 定 が 早 い 時 期 か ら 見 ら れ る。 ま ず,デ 象 に,重. よ び ノル ウ ェー. ン マ ー ク で は,1996年. 要 な 環 境 影 響 を 「緑 字 決 算 書(GreenAccounts)」. よ り,約3,000社. で 公 表 し,規. の企 業 を対. 制 当局 へ 提 出す る. こ と を 要 請 し て い る(112)。デ ン マ ー ク の 環 境 エ ネ ル ギ ー 省 お よ び 環 境 保 護 庁 の も と,1995年 12月 の 環 境 保 護 法(113)の第35条 で は,「 緑 字 決 算 書 」 に エ ネ ル ギ ー,水,お 要 な 消 費 量,ま. た,生. 産 プ ロ セ ス で の 大 気,水. 系,お. よ び原 材 料 の重. よ び 土 壌 へ の 排 出,ま. た は製 品 や 廃. 棄 物 の 部 分 と な る 汚 染 の 種 類 お よ び量 な ど を 示 す こ と を 求 め て い る 。 ま た,こ 業 の 一 般 情 報,経. 営 者 の 声 明,お. の 法 は,企. よ び 環 境 業 績 を 数 量 化 し た 報 告 を,「 緑 字 決 算 書 」 に 含 め. て 作 成 す る よ う 指 示 し て い る(114)。 し か し,1999年. の 法 令 が 公 式 に 評 価 さ れ た 際,「 緑 字 決 算 書 」 の 履 行 が 予 想 に 叶 う も の. で は な い こ と が 示 さ れ,企 (108)乃. 業 が 環 境 報 告 を す る 動 機 を 高 め る た め,2002年. に法 令 を強 化 す. 戴. (109)」 の∫とZ,p.31. (110)乃. 戴. (111)紙 面 の 制 限 に よ り,諸 外 国 地 域 の 状 況 に つ い て 包 括 的 で 横 断 的 な 分 析 を 提 供 す る も の で は な い が,示 唆 に 富 む 事 例 と し て い く つ か 取 り上 げ て い き た い 。 (112)Eganθ6∂Z(2003),p.10. (113)1995年 す。. 環 境 保 護 法 は,AmendingtheEnvironmentalProtectionAct(Greenaccounts)を. (114)1わZとZ 333(731). 指.
(19) 第59巻 る に 至 っ た 。 改 正 に あ た り,数 規 制 当 局 に,一. 第2号. 量 化 情 報 よ り も 叙 述 的 情 報 の 拡 充 が よ り求 め ら れ,企. 旦,「 緑 字 決 算 書 」 を 提 出 し受 理 さ れ れ ば,毎. す る 悪 い 習 慣 も 可 能 に な る と の 批 判 が あ る(115)。 仮 に,読. 業が. 年 同 じパ タ ー ン の 情 報 で 公 表. 者 が 特 定 の 株 主 で は な く広 範 な ス. テ ー ク ホ ル ダ ー と し た 場 合,「 緑 字 決 算 書 」 が 汚 染 防 止 の た め の 企 業 活 動 に 関 連 し,コ ニ ケ ー シ ョ ン の 価 値 が あ り,社 合 う が,法. 会 や 経 済 の 側 面 に 関 連 した 環 境 情 報 で あ れ ば 情 報 要 求 に 見. 令 で 強 制 さ れ な い 限 り法 令 の 効 果 を 問 題 視 す る 見 方 も あ る(116)。. そ して,デ. ン マ ー ク の2001年. 観 を 提 供 す る な ら ば,環. の 財 務 諸 表 法(117)は,企. に 従 っ て,国. 収 益,お. よ び 従 業 員250人. 保 険 会 社,信. た,1千9百. 万 ユ ー ロ 以 上 の 総 資 産,3千8百. 以 上 の 企 業 は,CSRへ. に. 万 ユ ー ロ以 上 の. の 取 り 組 み に つ い て,2010年. よ り報 告 し な. 続 可 能 性 ガ イ ド ラ イ ン の 利 用 が 奨 励 さ れ て い る 。 ま た,年. 金 基 金,. 用機 関 お よび 投 資 仲 介 業者 に適 用 す る財 務 報 告 に関 す る特 別 上 級 経 営 者 へ の. 指 示 が あ る(119)。そ し て,約1,100社 て,企. ら に2009年. 含 む よ う 財 務 諸 表 法 が 拡 大 改 正 さ れ た(118)。こ の 法 の 第99. 有 企 業,ま. け れ ば な ら ず,GRI持. 業 の 財 政 状 態 の真 実 か つ 公 正 な外. 境 資 源 の 利 用 を 企 業 に 開 示 す る よ う 求 め て お り,さ. は 経 営 者 報 告 に 一 般 的 にCSRを 条A項. ミュ. 業 のCSR方. の 企 業 を 対 象 と し た こ の 法 で 報 告 す べ きCSR情. 針 ま た は 社 会 的 責 任 投 資(SRI)に. ど の よ う に 実 践 さ れ て い る か の 情 報,お. よ び,こ. つ い て の 情 報,そ. 報 と し. の よ うな方 針 が実 際 に. れ ま で 得 られ た 結 果 とCSRやSRIに. つ い. て の 将 来 の 経 営 者 の 見 込 み の 情 報 が 列 挙 さ れ て い る(120)。 オ ラ ン ダ,ノ. ル ウ ェ ー,お. よ び ス ウ ェ ー デ ン で も比 較 的 早 い 時 期 に 環 境 報 告 の 強 制 開 示. の 規 定 を 設 け て い る。 オ ラ ン ダ で は,1999年. よ り数 百 社 の 企 業 を 対 象 に,活. 動,プ. ロセス. お よ び 前 年 か ら の 環 境 変 化 を 公 表 し規 制 当 局 へ 報 告 し な け れ ば な ら な い と し て い る(121)。 ノ ル ウ ェ ー で は,1999年. の 会 計 法(122)で,健 康,安. 全 お よ び環 境 情 報 がす べ て の企 業 の年 次 財. 務 報 告 に含 め な け れ ば な ら な い と し て い る。 ス ウ ェ ー デ ン で は,1999年. よ り,環 境 情 報 を2. 万 社 の 企 業 の 年 次 報 告 で 提 供 し な け れ ば な ら な い と し て い る(123)。 し か し,こ. れ ら環 境 情 報 を 強 制 開 示 す る規 定 に つ い て,持. 続 可 能 性 の情 報 開 示 の視 点 が. (115)JorgensenandHolgaard(2004),p.17. (116)乃. 戴. (117)2001年. 財 務 諸 表 法 は,theDanishFinancialStatementsActを. 指. し,2009年. amendingtheDanishFinancialStatementsAct (http://www.eogs.dk/graphics/Regnskab/Regnskabslov_en.html)を. 指 す 。. (118)IRIwebsite. (119)1わZと. ∠. (120)DanishCommerceandCompaniesAgency(2008). (121)EganetaL(2003),p.10. (122)会. 計 法 は,LOV1998-07-17nr56:Lovomarsregnskapm.v.(regnskapsloven),. (http://www.lovdata.no/all/hl-19980717-056.html)を. 指 す 。. (123)Eganθ6aZ(2003),p.10。 334(732). 改 正 法 はAct.
(20) 諸 外 国 地 域 の 証 券 取 引 所 にお け る持 続 可 能 性 情 報 の 開 示 規 定 の 発 展(川 原). 抜 け 落 ち て い る と の 批 判 が あ る(124)。. B)ド. イツ. ドイ ツ で は,2002年. に 保 険 監 督 法(125)で,年 金 資 金 の 枠 組 み に環 境 お よ び 社 会 報 告 の 要 求. 事 項 を 導 入 し た(126)。. 探艦. 齢 ξ 第 〃5条 例. 角 会箆 会な'.繍. 契 約 僻 お よ び年 次 で紛理. 社 会 右 よ び環冤 を麗費 ラ甥 〆 ご孝 窟. 乙τの るか ど ラか,ど の よ ラ/ご孝 窟 乙 τの るか を受 う 益着7ご鎌7乙 な げカ ぱ な6な の。. 2004年 の ドイ ツ の 会 計 規 則 改 正 法(127)では,企 業 の 発 展 お よ び 業 績 に 重 大 に影 響 す る 重 要 な 財 務 お よ び 非 財 務 情 報 の 重 要 業 績 指 標(KPIs)を,企 こ と を 要 請 し て い る が,こ. 業 年 次 報 告 の分 析 に含 め て報 告 す る. の 趣 旨 は 環 境 や 従 業 員 問 題 な ど生 態 学 的,社. 会 的 な側 面 を考 慮. す る こ と を 求 め る こ と に あ る(128)。 ドイ ツ で は,2011年 可 能 性 規 定(GSC)」. に,上. が,持. 邦 政 府 に 提 案 さ れ,今 GSCの. 場 企 業 を 含 む す べ て の 経 済 組 織 を 対 象 と し た,「. 続 可 能 な 発 展 の た め の ドイ ツ 審 議 会(RNE)(129)に. 後,上. ドイ ツ 持 続. よ っ て ドイ ツ 連. 場 企 業 へ の 強 制 力 の あ る規 定 化 を 目 指 し て い る(130)。RNEは. 実 施 に 向 け た 勧 告 と して,政. 府 が で き る だ け 迅 速 に,GSCを. ヨー ロ ッパ お よび世. 界 的 な レ ベ ル で 普 及 さ せ る こ と,将. 来 の グ リー ン経 済 の 予 測 に 重 要 に 貢 献 す る も の と し て. GSCに. り わ け 政 府 が,企. 言 及 す る こ と(131),ま た,と. に 関 す る ヨ ー ロ ッ パ 内 の 討 議 に,GSCを. 業 の 非 財 務 情 報 のKPIsお. 採 用 す べ く欧 州 委 員 会 にGSCを. よ びCSR. 提 出 す べ き と勧. 告 し て い る(132)。 RNEはGSCの. 普 及 を 国 際 的 規 模 で 進 め て い る 。 国 内 の 連 邦 政 府CSRフ. も に,国 内 で のGSCの. ォー ラム と と. 対 話 を 進 め,ま た 国 外 の 関 連 諸 団 体,す な わ ち 世 界 銀 行(WB),IFC,. ア ジ ア 開 発 銀 行(ADB),国. 連 責 任 投 資 イ ニ シ ア テ ィ ブ(UNPRI),GRI,欧. 州 証 券 ア ナ リス. (124)Eganθ6∂Z(2003),p.10. (125)保. 険 監 督 法 は,theInsuranceSupervisionAct(Versicherungsaufsichtsgesetz)を. 指す。. (126)0'Neill,Laura(2008),p.17. (127)Bilanzrechts-reformgesetz(BilReG)-ReformActonAccountingRegulationsを. さす。. (128)BuchheimandBeiersdorf(2005),p.862. (129)RNEは,2001年 に ドイ ツ 連 邦 政 府 の 委 託 に よ っ て 設 立 し た 審 議 機 関 で あ る 。RNEの 会 は 首 相 に 指 名 さ れ た 一・ 般 人 の 委 員 で 構 成 さ れ,委 員 の 任 期 は3年 で あ る。. 役員. (130)IRI,website. (131)メ ル ケ ル 首 相 は2012年6月25日 のRNE年 次 会 議 で,GSCを 政 府 が 支 援 し,持 済 活 動 の 重 要 な 方 向 性 を 位 置 づ け る も の と言 及 し て い る(RNE,website)。 (132)RNE(2012),pp.3-4. 335(733). 続 可 能 な経.
(21) 第59巻 ト協 会 連 合 会(EFFAS)(133),お. 第2号. よ び持 続 可 能 な 開 発 の た め の世 界 経 済 人 会 議(WBCSD)へ. の. 働 きか けを 予定 して い る。 また企 業 が発 行 した適 合 性 宣 言 を プー ル す る,国 際提 携 プ ラ ッ トフ ォー ム の設 置 を 予 定 して い る(134)。 GSCの. 目的 は,組 織 の法 的形 態 や規 模 に よ らず,組 織 が 自発 的 に利 用 し,組織 の透 明性,. 比較 可能 性,お. よび拘 束 力 あ る誓 約 が 強化 され る こ とを通 じて持 続 可 能 性 を 際立 た せ る こ. と にあ る。 そ して,企 業 の た め の新 規 投 資家 を 開発 し,主 流 の投 資家 の た め の ア クセ ス を 促 進 し,消 費者 の意 識 を 高 め,革 新 を促 進 し,企 業 の最 小 基 準 を基 準 化 し定 義 し,そ して 信 頼 で き る情 報 を 開示 させ る こ とに あ る(135)。 GSCの. 適 用 に つ い て の特 徴 を み る と,ま ず,企 業 の 持続 可能 性 の業 績 に つ い て の透 明性. を 表 わ す基 準 と され,CSRに. つ いて ベ ンチ マ ー クす る際,GSCを. 適 用 す る こ とで妥 当性. が生 み 出 され る とい う。適 用 は任 意 で あ り,「準 拠 せ よ,さ もな けれ ば 説 明 せ よ」の原 則 が 適 用 され,詳 細 は注 釈 で提 供 さ れ て い る。RNEで. は,既. り組 ん で きた企 業 グル ー プの 範 囲 を超 え て,GSCが. 適 用 され る こ と を期 待 して お り,今 後. の適 用 状 況 を監 視 して い くとい う。GSCが. に持 続 可 能 性 報 告 に積 極 的 に取. 金 融 市 場,企 業,お よび市 民 社 会 の 代 表 な ど多. くの ス テ ー クホ ル ダ ー との 対話 の 間 で作 られ,ま た,フ ィー ル ド・テ ス トを経 て い るの で, 企業 が実 践 で き る可能 性 が 高 い とい う(136)。 GSCの. 適 用 組織 は,企 業 規 模 に よ らず,す べ て の製 造 業,商 業,サ ー ビス企 業,す べ て. の 組織,団 体,NGO,貿. 易 連 合,大 学,科 学 組織,さ. らに公 企 業 が対 象 で あ る。 これ らが. 社 会 で利 害 関係 の あ る メ ンバ ー に 自主 的 に情 報 開示 す る手 段 と してGSCを. 適 用 す る。 公. 的 事 業 機 関 も,公 的 年 金 規 定 に お け る福 祉 につ い て焦 点 を 強 化 す べ きで,そ. の 際 にGSC. を適 用 す べ きで あ る。 開示 に対 す る外 部 監 査 が要 求 され な い が,企 業 の持 続 可 能 性 の達 成 につ い て の コ ミュニ ケ ー シ ョンを始 め る手 段 を示 す こ とに な る。 よ ってGSCが. 事業相手. や供 給 者 の 選 択 に役 割 を 果 た す可 能 性 が あ る(137)。 この 他,GSCで 検 証(限. は,証 券 市 場 で の 効 果 を 上 げ るた め に,独 立 の 第三 者 に よ り公 表 され る. 定 的 保 証)を 使 って,適 合 性 宣 言 の 信 頼 性 を確 立 す る こ と を 目指 して い る(138)。. 最 後 に,GSCの. 要 求事 項 に準 拠 す るた め の挑 戦 的特 徴 と して,企 業 は包 括 的 な報 告 書 を. (133)欧 州 証 券 ア ナ リ ス ト協 会 連 合 会(EFFAS)は1962年 に 設 立 さ れ た,現 在 フ ラ ン ク フ ル トに 本 部 の あ る,ヨ ー ロ ッ パ27か 国 の 証 券 ア ナ リ ス ト協 会 の 連 合 組 織 で あ る(EFFASwebsite)。EFFAS の 会 員 で あ る ドイ ツ 投 資 専 門 家 協 会(DVFA)とESG開 示 の た め のKPIsを 作 成 し2010年 に 公表 し て い る 。DVFA(2010)参. 照。. (134)RNE(2012),p.4. (135)1わ. ∫と ∠. (136)乃. ∫ゴ:,p.6.. (137)乃. ∫と 乳,p.3.. (138)1わZと ∠ 336(734).
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