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確定拠出年金加入者の運用商品選択行動 (2) : 運用割合変更の要因を探る

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(1)確定拠出年金加入者の運用商品選択行動 ⑵ ──運用割合変更の要因を探る──. 高 瀬 伊 佐 己. Ⅰ.はじめに. 度,③運用商品の内容など運用スタイル特性を 意識した資産運用=スタイル重視度,について. 本稿は以前著した確定拠出年金加入者の運用. 加入者がそれぞれをどの程度重視したか等につ. 商品選択行動を論じたものの続編である1). 前. いてアンケート4)を実施した.このアンケート. 稿では加入者継続教育(以下,継続教育という). より得られた加入者個人毎のリスク商品5)運用. の効果を確認するため,継続教育受講直後の企. 割合を被説明変数とし,前述の①~③に「現状. 業型確定拠出年金加入者(以下,加入者という). のリスク商品運用割合」を加えたものを説明変. 2). に運用割合指定書 を記入させ,その結果から. 数とする重回帰分析を行い,以下のような知見. 継続教育が加入者の運用商品見直しにどのよう. を得た.. 3). な影響を与えるかを検証した .また継続教育. ⑴ リスク商品運用割合を増加させる要因とし. において運用商品選択時の判断基準であると解. て,①分散投資重視度,②アセットクラス. 説することが一般的である ①運用商品の数な. 重視度,③スタイル重視度,及び④現状の. ど分散投資効果を意識した資産運用=分散投資. リスク商品運用割合,が検証できた.. 重視度,②運用商品の種類などアセットクラス. ⑵ 元本派(リ ス ク 商品 を 0% 以上 50%未満. 特性を意識した資産運用=アセットクラス重視. の運用割合としている加入者)において は,運用商品割合見直 し の きっか け を 与. . 1)高瀬伊佐己「確定拠出年金加入者 の 運用商 品選択行動」『横浜国際社会科学研究』第 15 巻第 4 号,横浜国際社会科学学会,2010 年,pp. 129─148. 2)p. 20 運用割合指定書 Appendix 2 参照 3)前回調査 は A 社(製造業)の 協力 を 得 て 同 社の第 4 回年次継続教育として実施したものであ る.A 社 の 企業型確定拠出年金加入者数 は 約 800 名である.A 社の確定拠出年金制度は適格退職年 金を廃止して 2006 年より実施されており,同社の 現在の年金制度は退職一時金制度(7 割)と確定拠 出年金制度(3 割)の 二本立 て と なって い る.継 続教育を受講した 152 名のうち継続教育受講直後 に運用割合を変更するとしたものは 51 名(全体の 33.6%)であった.この結果から継続教育の実施が 運用割合見直しの動機付けとして有効であると結 論した.. . 4)継続教育受講時 ア ン ケート 説明;加入者 に 対して,分散投資について「運用割合を決めると きに,分散投資を意識して運用割合を選択しまし たか. 」 ,アセットクラスについて「運用割合を決 めるときの主な目安は, 『元本確保・国内債券・外 国債券・外国株式・バ ラ ン ス』で し た か. 」 ,運用 スタイルについて「運用割合を決めるときの主な 目安は, 『預金・GIC・インデックス・アクティブ』 でしたか. 」との質問を行った.加入者は次の 4 段 階( 「 1. 全くあてはまらない」 , 「 2. あまりあては まらない」 , 「 3. ある程度あてはまる」及び「 4. よ くあてはまる」 )からあてはまるものを回答した. 5)本稿 で は,元本確保商品(預金・貯金・積 立障害保険・GIC 等)以外 の 元本保証 さ れ て い な い運用商品のことをリスク商品と総称する..

(2) 86. (396). 横浜国際社会科学研究 第 16 巻第 3 号(2011 年 9 月). えるだけでリスク商品運用割合増加の可. 法は継続教育実施目的のひとつである運用割合. 能性がある.. 見直しについて,事業主の期待する行動をとら. ⑶ 投信派(リスク商品を 51% 以上 100% ま. なければならないと受講者を誘導することを排. での運用割合としている加入者)におい. 除するという観点から重要な前提条件であった. ては,現状のリスク商品運用割合の大小. と考えている6).. で は な く ①分散投資重視度,② ア セット. 加入者が実際に運用割合変更を実施したかど. クラス重視度,③スタイル重視度,が運. うかを確認することによって得られた分析結果. 用割合見直しに影響を与える. . は以下の通りである. ⑴ 今回アンケートにおいて,継続教育受講. 本稿の目的は継続教育における主要な教育項. 前の運用割合で問題ないとして運用割合. 目である①分散投資重視度,②アセットクラス. を変更しなかったグループの「商品選択. 重視度,③スタイル重視度,が運用割合変更の. 教育項目」についての重視度は,それ以. 決定要因としてどの程度の影響を与えるかを探. 外の理由で運用割合を変更しなかったグ. ることにある(注:以下,本稿では前述①~③. ループと比べて高いわけではないことが. を総称して, 「商品選択教育項目」という) .本. 統計的に証明された.これは逆にこのグ. 稿の新規性は同一加入者を対象にして継続教育. ループが年金資産運用に無関心である可. 実施直後と継続教育受講約 4 ヶ月時点での,運. 能性が高いということである.. 用商品選択に係る認識や行動の差異を追跡し分. ⑵ 運用割合変更の有無を被説明変数とした. 析した点にある.具体的には運用割合変更を意. 場合,今回及び前回アンケートの双方に. 図し た 加入者 が その後実際に運用割合変更を. おいて統計的に有意となる説明変数は分. 行ったかどうかを追跡するとともに運用割合変. 散投資重視度である.予想された結果で. 更を行わなかった加入者についてはその事由を. はあるが加入者教育において最も注力す. 分析した.加えてこのアンケート調査ではそも. べきは分散投資意識の啓蒙であることが. そも運用商品の見直しを実施しない加入者にそ. 確認できた.. の事由を尋ね,運用商品見直し阻害要因につい. ⑶ 配分差7)を 被説明変数 と し た 場合,前回. ての分析も行っている.. アンケートでは①被験者全員を対象とす. 調査 の 方法 と し て は A 社 の 社内 LAN を 利. る と き,分散投資重視度,ア セット ク ラ. 用 し て 継続教育受講者 に ア ン ケート 協力依頼. ス重視度,及び現状のリスク商品運用割. メールを送信しこれに同意したものから無記名. 合,が 統計的 に 有意 な 説明変数 で あ り,. にてアンケートを回収した.継続教育時におけ. ②元本派を対象とするとき,現状のリス. るアンケート回答者と今回アンケート回答者の. ク商品運用割合のみが統計的に有意な説. 紐付 け は ア ン ケート 回答項目 の「性別」 , 「婚. 明変数であった.今回アンケートでは被. 姻区分」 , 「年齢」 , 「勤続年数」及 び「 (継続教. 験者全員及び元本派のいずれにおいても,. 育受講時)運用割合」をマッチングさせること. 統計的 に 有意 な 説明変数 は 分散投資重視. によって行っている.この実験研究は被験者に. 度及び現状のリスク商品運用割合であり,. 対してこれが実験研究であることを公表せずに 実施した.これは継続教育受講者が自然体でど のように反応したのかを調査分析するためであ る.又,今回追加アンケート実施についても事 前に知らせていなかった.以上に述べた調査方. . 6)これとは逆に事後調査を事前告知すること による効果を測定し本実験と比較することの意義 もあると考えられる. 7)運用割合変更 に よ る リ ス ク 商品保有割合 の 変動をいう..

(3) 確定拠出年金加入者の運用商品選択行動 ⑵(高瀬). (397). 87. 前回の机上での運用割合変更案作成と今. 実施時に「DC における現在の株式配分」を質. 回の実際の運用割合変更結果では異なる. 問し,その 1 ヵ月後に「DC の掛金や積立金の. 結果となった.前項(2)と同様,分散投. 資産配分を実際に変更したか」について 4 段階. 資効果を意識した資産運用の重視度が商. の選択式8)の質問で尋ねることによって実際に. 品選択教育項目のなかでもより重要であ. 変更したかどうかを検証している.継続教育は. ることが確認できる結果となった.. ライフプランを重視したものであり会社の退職 給付制度や老後生活の準備を主たる内容とした. これらから得られた知見として加入者教育の. ものであった.DC 制度については資産運用全. 実施者である企業は,第 1 に分散投資の重要性. 体のなかの一部として取り上げて解説を行って. を加入者のレベルやニーズに合わせて継続的に. いる.継続教育に参加したグループと参加しな. 教育する必要があること,しかし教育をしても. かったグループの継続教育実施 1 ヶ月後におけ. 効果が現れず結果的に現状の運用割合で問題な. る DC 制度に関わる態度・行動に係る質問「DC. いとする DC 制度に無関心な層が存在すること. の残高や資産配分を確認したかどうか」及び. から,第 2 にこれらの無関心層に対してどのよ. 「DC の資産配分の変更9)」の回答結果からどち. うに働きかけるかを具体的に検討しなければな. らのグループも DC 残高確認や資産配分の変更. らないということである.. という現実の行動までには至らなかったと結論. 確定拠出年金制度(以下 DC 制度という)が. している.. 導入されてから約 10 年が経過し,加入者の運 用商品選択行動に関する論文も相当数発表され. 2.米国における先行研究. ているが,継続教育の効果を追跡調査分析した. ⑴ Financial Education and Asset Allocation. ものはまだ少ない.本稿は「商品選択教育項目」. Dolvin と Templeton は 2004 年 に 米 国 中 西. が運用商品見直しに与える影響を分析すること. 部州の法律事務所(在籍者数 225 名;内訳,法. によって継続教育の効果測定のひとつの姿を示. 律家 100 名,職員 125 名)における DC 運用商. している.. 品ラインナップ見直し時における継続教育の効. 本稿の構成は以下の通りである.次節で先行. 果 を 検証 し た.継続教育参加者 43 名,不参加. 研究を紹介し,第Ⅲ節で今回アンケート調査の. 者 29 名,合計 72 名を被験者として分析を行っ. 記述統計分析を行う.第Ⅳ節は前回及び今回ア. て い る.継続教育参加者 の Sharpe ratio10)向. ンケートを基にした仮説検定である.そして第. 上度合いが不参加者のものと比べてより顕著11). Ⅴ節は結語である.. であることを理由に継続教育参加者は分散投資. Ⅱ.先行研究紹介 1.日本における先行研究 本稿同様のフィールド実験において継続教育 の効果を連続して検証した先行論文として,製 造業の製造現場に勤める確定拠出年金加入者に 対する継続教育の効果を検証したものがある (北村・中嶋(2010) ) .こ の 論文 で は 継続教育 の効果を継続教育に参加したグループ 81 名と 参加しなかったグループ 36 名を比較すること によって検証している.この実験では継続教育. の多様化と同時に投資リスクの軽減化を実現し . 8)4 段階評価「 1. 全 く 変更 しな い → 4. 大 き く 変更した. 」 9)毎月掛金 の 運用割合変更 と 運用資産残高 の 全部又は一部を売却して資産入替を行うスイッチ ングの両者. 10)Sharpe ratio は投資リスクに対するリター ンの大きさを示す指標.数値が高いほどリスクに 対して得られるリターンが大きく投資効率が良い とされる. 11)ただし t 検定で得られた有意水準は 10%で ある..

(4) 88. (398). 横浜国際社会科学研究 第 16 巻第 3 号(2011 年 9 月). たと結論している.. ある13).彼らは記述統計分析の観点から,多く. この論文の新規性は投資運用商品に係わるリ. の加入者は投資教育を受講することで運用リ. スクとリターンの両面から継続教育の効果を検. ターンを上げたいという動機付けを得るもの. 証したことにある.わが国では加入者がその属. の,実際に拠出率や運用割合を変更することに. 性に適合したリスク商品を選択しているかどう. ついては消極的であると結論している.そして. かを議論するまでの段階には至っていないが,. それだからこそ事業主は投資教育においてもっと. 保有リスク商品に係わる質的評価を問題とする. 積極的に働きかけるべきであると提言している.. よ う に な れ ば,米国同様 に Sharpe ratio を 継 続教育効果測定の indicator のひとつとして位. 3.本稿におけるアンケート調査の目的. 置づけることも考えられよう.. 北村・中嶋(2010)では継続教育が DC にお. ⑵ Financial Education and Retirement Savings Clark et al.( 2003) は TIAA-CREF. 12). ける株式配分にどのような影響を与えるかを命. が. 題にして株式配分に焦点を絞っている.この点. 2001 年 3 月から 2002 年 5 月の間に実施した 36. DC 制度における運用割合についての議論や報. 回の投資教育セミナーの効果を分析している.. 告の多くが,加入者の運用する商品をまず元本. 彼らは投資教育の効果を,加入者が目標として. 確保商品(預金・積立傷害保険・GIC 等)とリ. 定めている退職年齢及び所得代替率の実現のた. ス ク 商品(株式・債券・REIT 等)に 二分 し,. めに運用態度をどのように変化させるかを測定. そ の 運用割合状況 を 比較分析 す る こ に よって. した.具体的には投資教育セミナー開始直前と. DC 制度導入目的である「自己責任での年金資. 終了直後にアンケートを実施しその回答内容を. 産運用」が加入者に理解されているかを調査分. 比較分析している.質問項目は拠出率を変更す. 析していることに留意する必要がある.すなわ. るか否か,運用商品を変更するか否か,DC を. ち継続教育が資産運用割合の見直しに影響を与. 補うものとして別の私的年金に加入する意図が. えるとすれば,その影響は株式配分のみならず. あるか否か,もし現在私的年金に加入している. 債券等も含めたリスク商品全体についてどのよ. のであればその運用姿勢を変更するか否か,等. うに作用するかという考察が必要であると考え. である.633 名から有効な回答が得られている.. られる.このような理由から本稿では運用割合. このうち 10% は株式配分割合を増加,20% は. 指定書に商品毎に運用割合を記入させる方法に. 債券配分割合を増加させたいと回答している.. より,元本確保商品とリスク商品を対比させて. 高瀬(2010)が行った継続教育終了直後の調査. 分析を行っている.. において被験者の 33.6% が運用商品変更の意. Clark et al.(2003,2006)におけるテーマは,. 図ありと回答しているがこれと近似した数字で. 投資教育は加入者が目標として定めた退職年齢. あることは興味深い.. 及び所得代替率の実現のために有効であるかど. ⑶ Retirement Plans and Saving Decisions Clark らは前項調査に引き続き,被験者が投 資教育セミナー受講後に実際に行動したかど うかの追跡調査を実施している.投資教育セミ ナー実施 3 ヵ月後の時点で実際に運用割合変更 を行っていたものはほとんど皆無だったようで . 12)全米教職員年金・保険基金.. . 13)論文 に お い て 変更実施者割合 に つ い て の 言及 が な い こ と か ら,Clark 氏 に 照会 し た と こ ろ 以下 の よ う な 返答 を 得 た.‘You should not be surprised at the relatively small number of people that respond to a follow-up survey, big declines in responses are observed in many such surveys including my own work. You also should not be surprise that individuals do not follow through on plans for change that they express in surveys after an event.’ (2011/03/15).

(5) 確定拠出年金加入者の運用商品選択行動 ⑵(高瀬). (399). 89. 表 1 リスク商品運用割合別人数割合(125 名データと 152 名データの比較) 125 名データ リスク商品運用割合(%) 人数割合(%) 人数 0 28.8 36 1~9 1.6 2 10~19 7.2 9 20~29 10.4 13 30~39 6.4 8 40~49 4 5 50~59 16.8 21 60~69 6.4 8 70~79 4 5 80~89 1.6 2 90~99 2.4 3 100 10.4 13 合計 100 125. � � � � � � � � �. 152 名データ 人数割合(%) 人数 30.9 47 1.3 2 7.2 11 10.5 16 6.6 10 3.9 6 14.5 22 5.3 8 3.9 6 2.0 3 2.6 4 11.2 17 100 152. 100� 80� 60� 40� 20� 0�. ������������ 125�����������(%). 152�����������(%). 図 1 125 名データ及び 152 名データに係わるリスク商品運用割合に対応した累積人数割合. うかということであった.調査分析にあたって は性別・年齢・学歴・経済状況等の属性項目別. Ⅲ.アンケート調査結果分析. に分類したグループ毎の差異を検定する方法を. 1.前 提. 取っている.加入者個人単位での拠出率や運用. 2010 年 7 月及び 8 月に実施した A 社継続教. 割合変更を促す要因分析は実施されていない.. 育受講者 152 名 に つ い て 2010 年 12 月 に ア ン. わが国のこれまでの DC 研究もサンプル単位. ケート 協力 の 依頼 を し た.そ の 結果 125 名 か. をプランやグループとしているものが多い.筆. ら有効回答(有効回答率 82.2%)を得た.この. 者はわが国 DC 制度の喫緊の課題は,加入者が. 152 名データと 125 名データについてリスク商. 運用割合を主体的に決定することであると考え. 品運用割合別人数割合の状況を示したのが表 1. ることから,本稿においては加入者個々人につ. と図 1 である.125 名データは 152 名データの. いての運用割合決定行動をアンケート調査結果. 大きな部分集合であり,データの類似性・均質. を用いて分析するものである.. 性もある程度保たれていると想定したが,両 データ間に外れ値やデータ分布に偏りがないこ.

(6) 90. 横浜国際社会科学研究 第 16 巻第 3 号(2011 年 9 月). (400). 表 2 リスク商品運用割合別の増減者割合(2010 年 8 月;継続教育実施時) 継続教育実施直後(%) 0 0. 1~33. 14.4. 34~66. 3.2. 7.2. 67~99 2.4. 100 1.6. 継続教育実施前(%). 1~33. 0.8. 16.8. 7.2. 0.0. 0.8. 34~66. 0.0. 0.8. 20.0. 5.6. 0.8. 67~99. 0.0. 1.6. 0.0. 6.4. 0.0. 100. 1.6. 0.0. 0.0. 0.8. 8.0. 合計. 16.8. 22.4. 34.4. 15.2. 11.2. 合計 増加. 14.4. 減少. 0.0. 増加. 8.0. 減少. 0.8. 増加. 6.4. 減少. 0.8. 増加. 0.0. 減少. 1.6. 増加. 0.0. 減少. 2.4. 増加. 28.8. 減少. 5.6. 対角線:運用割合がレンジ内で変化しなかったもの 65.6% 対角線より上部:運用割合を増加させたもの 28.8% 対角線より下部:運用割合を減少させたもの 5.6%. とを確認するために,リスク商品運用割合分布. 教育実施直後にリスク商品運用割合を変更しな. 状況について F 検定及び t 検定を実施した.F. い(リスク商品運用割合 0% のまま)と回答し. 検定の結果は,P 値 0.400 であり両データの分. たものは 14.4%,リスク商品運用割合を 1% ~. 散に統計的に有意な差は認められなかった.ま. 33% の範囲で増加変更すると回答したものは. た t 検定 の 結果 は t 値-0.065,P 値 0.948 で あ. 3.2% で あ る.継続教育実施前 の リ ス ク 商品運. り両データの平均の差についても統計的に有意. 用割合レンジそれぞれについて継続教育実施直. な差は認められなかった.以上より本稿では特. 後にリスク商品運用割合を増加または減少させ. 段のことわりがないとき以外は 125 名データを. ると回答したものの割合を合計欄に記載してい. 分析対象として論を進める.. る.全体 125 名のうち運用割合を増加させると 回答したものは 28.8%(36 名),運用割合を減. 2.継続教育実施直前及び直後におけるリスク 商品運用割合別人数割合 表 2 は 125 名データについて継続教育受講直. 少させると回答したものは 5.6%(7 名)であ り 合計 34.4%(43 名)が 運用割合 を 変更 す る 意図があると回答していた.. 後に運用割合変更を行うと回答したものの人数 割合をリスク商品運用割合レンジ別にまとめ たものである.縦軸と横軸に示す 0, 1~33,34. 3.継続教育実施前及 び 実施後約 4 ヶ月経過時 点におけるリスク商品運用割合別人数割合. ~66,67~99 及び 100 は加入者のリスク商品運. 表 3 は今回のアンケート回答を集計したも. 用割合(%)であり,表中の数字は人数割合の. の で あ る.継続教育受講後約 4 ヶ月経過時点. % 表示である.表の見方の説明をすると継続. において実際に運用割合を変更していたもの. 教育実施前にリスク商品を運用していなかった. は 4.0%(全体 125 名に対して 5 人)であった.. (リ ス ク 商品運用割合 0%)も の の う ち,継続. 運用割合変更は増加のみであり減少させたもの.

(7) 確定拠出年金加入者の運用商品選択行動 ⑵(高瀬). (401). 91. 表 3 リスク商品運用割合別の増減者割合(2010 年 12 月;変更結果確認後) 変更結果確認後(%) 0 0 継続教育実施前(%). 1~33 34~66 67~99. 1~33. 26.4 0.0 0.0 0.0. 34~66. 0.0 25.6 0.0 0.0. 1.6 0.0 25.6 0.0. 67~99 0.0 0.0 0.8 8.0. 100 0.8 0.0 0.8 0.0. 100. 0.0. 0.0. 0.0. 0.0. 10.4. 合計. 26.4. 25.6. 27.2. 8.8. 12.0. 合計 増加. 2.4. 減少. 0.0. 増加. 0.0. 減少. 0.0. 増加. 1.6. 減少. 0.0. 増加. 0.0. 減少. 0.0. 増加. 0.0. 減少. 0.0. 増加. 4.0. 減少. 0.0. 対角線:運用割合がレンジ内で変化しなかったもの 96.0% 対角線より上部:運用割合を増加させたもの 4.0% 対角線より下部:運用割合を減少させたもの 0%. はいなかった14).特記事項として継続教育受講. て 視覚 に 訴 え る 表示方法15)が 運用割合変更 の. 前にリスク商品運用割合 0%であった加入者 47. 誘引として一時的な影響を与えたと見ることが. 名のうち 18 名(全体 125 名比 14.4%)が継続教. できるかもしれない.. 育実施直後のアンケートで運用割合変更を行う. 表 3 ではリスク商品運用割合 0% ,100% 及. と回答 し た が,実際に変更したのは 3 名(同. びそれらの間の 3 つを区分けした運用割合レン. 2.4%)であったことが挙げられる.限られた. ジを設定して,これらのレンジの間を超える場. サンプル数であるがどのレンジにおいても運用. 合のリスク商品運用割合の増減者の割合を見た. 割合変更を意図したにも関わらずその実施率が. が,この内容を更に詳細に見ると同一レンジ内. 低かったことがわかる.継続教育実施直後に運. での増減及びリスク商品運用割合の異動を伴わ. 用割合変更を意図したものの割合 34.4% と今回 実際に運用割合を変更したものの割合 4.0% の 差異をどう見るかであるが,継続教育実施時点 で運用割合を変更すると回答したものの人数が 多かった理由のひとつとして高瀬(2010)で指 摘したように運用割合指定書にアセットクラ ス,運用スタイル及び商品毎のリスクを明示し . 14)日経平均株価は継続教育実施時点(2010 年 8 月)が 2010 年度の底であり 9 月から 12 月にかけ て上昇に転じている.継続教育実施後の金融環境 が運用割合変更実施に抑制的な影響を強く与えた とは考えにくい.Appendix 1 参照.. . 15)継続教育時に利用した運用割合指定書では 通常のものとは異なりアセットクラス,運用スタ イル及び商品毎のリスクの所在を★印によって明 示した.このような視覚に直接的に訴える表示方 法により加入者が自然と★印の偏在を避ける方向 でアセットクラス及び運用スタイルを意識するよ うな運用割合変更案を作成したということも考え られる.ただしこの★印はリスク,価格変動リスク・ 金利リスク・為替リスク・インフレリスク・信用 リスク等の存在を明示するものの,それらリスク の深度についての説明とはなっていないことから 実際に使用する場合にはリスク表示方法について 今後更なる検討が必要と考えられる.Appendix 2 参照..

(8) 92. (402). 横浜国際社会科学研究 第 16 巻第 3 号(2011 年 9 月). 表 4 運用割合変更を実施しなかった理由 人数. 割合. 現状の運用割合で問題ないと考えるから. 48. 42.1%. 変更するのが面倒だから. 28. 24.6%. 運用割合を変更する環境ではないと考えたから. 12. 10.5%. 商品構成に魅力がないから. 9. 7.9%. ID とパスワードがわからなかったから. 6. 5.3%. その他. 6. 5.3%. 確定拠出年金に関心がないから. 3. 2.6%. PC に ID とパスワードを入力できたが途中で操作がわからなくなったから. 2. 1.8%. 114. 100.0%. 合計. な い リ ス ク 商品間 の 増減(例:国内株式→国. かる.「現状の運用割合で問題ないと考えるか. 内債券)を含むと増減者数は 11 名(サンプル. ら」という回答は,はたして年金資産運用につ. 母集団比 8.8%)であった.因みに A 社の 2010. いて十分理解した上で今は運用割合を変更しな. 年 3 月基準時点 で の 加入者数 は 約 800 人 で あ. いと判断しているのか,それとも回答の 2 番目. り,A 社が運営管理機関より受領したプラン. にあるような「変更するのが面倒だから」と同. モニタリングレポート(3 月基準)によると,. 様に年金資産運用に関心がないことの別の表現. 2009/04~2010/3 の間の運用割合変更総件数は. であるのか,これだけでは判断しがたいもので. 62 件(サンプル母集団比 7.8%)であった.継. ある.これについては後項によって更に検証を. 続教育の効果測定は継続教育実施後約 4 ヶ月経. 進める.. 過時点であることからプランモニタリングレ ポート(報告対象期間 1 年:なお対象期間中に. 5.運用割合変更を行うと考える状況について. 実施された継続教育には約 120 名が参加してい. 表 5 は運用割合変更を行わなかった 114 名の. る. )と単純比較することはできないが,今回. うちで今後適当な時期に運用割合変更を行うと. の継続教育が実際の運用割合変更に若干の影響. 思うと回答したもの 72 名に対して,どのよう. を与えた可能性も考えられるものの,顕著な影. な状況になれば運用割合変更を行うかを選択さ. 響を与えたと判定するには至らないと言えるで. せ集計したものである.「株式相場が上がった. あろう.. ら」,「あ る 一定 の 年齢 に なった ら」及 び「資 産評価額がマイナスになったら」の 3 項目合計. 4.運用割合変更を実施しなかった理由について. で 45 名(62.5%)を占めている.「株式相場が. 表 4 は運用割合変更を行わなかった 114 名に. 上がったら」を理由に運用割合変更を検討する. ついて,運用割合変更を行わなかった理由を集. と回答したものが最多だったことは相場上昇に. 計したものである. 「現状の運用割合で問題な. 伴って買い増しを行うという一般的ビヘイビア. いと考えるから」と 「変更するのが面倒だから」. に適っていると言えよう.また「ある一定の年. の合計は 76 名(66.7%)である.運用割合変更. 齢になったら」はライフプランを意識したもの. を実施しなかったものについてのキーワードは. と言えよう.「資産評価額がマイナスになった. 「現状の運用割合で問題ないと考えるから」及. ら」については,①資産価値の減少を嫌いリス. び「変更するのが面倒だから」であることがわ. ク商品から元本確保商品への変更,または②資.

(9) 確定拠出年金加入者の運用商品選択行動 ⑵(高瀬). (403). 93. 表 5 運用割合変更を行うと考える状況について 人数. 割合. 株式相場が上がったら. 19. 26.4%. ある一定の年齢になったら. 15. 20.8%. 自分の「資産評価額」がマイナスになったら. 11. 15.3%. 自分の「資産評価額」がプラスになったら. 8. 11.1%. その他. 8. 11.1%. 確定拠出年金の残高がある一定額を超えたら. 5. 6.9%. 定期預金金利が上がったら. 3. 4.2%. 債券利回りが下がったら. 2. 2.8%. 円安になったら. 1. 1.4%. 株式相場が下がったら. 0. 0.0%. 債券利回りが上がったら. 0. 0.0%. 円高になったら. 0. 0.0%. 定期預金金利が下がったら. 0. 0.0%. 72. 100.0%. 合計. 産価値の減少を取り戻すためによりリスクテイ. 特 に リ ス ク 商品運用割合 0% 及 び 100% の 両. クする,の両面が考えられる.. 極端に属するグループにおいても「現状運用割 合で問題ないと考える」ものがほぼ過半を占め. 6.現状運用割合で問題ないと考える加入者の 運用商品選択状況 表 6 は運用割合変更を行わなかった 114 名の. ることは加入者がその目的に適った運用商品を 選択しているかどうかについて懸念を生じさせ るものである.. うちで「現状の運用割合で問題ないと考えるから」 を理由に運用割合変更を行わなかった加入者 48 16). 7.今後とも運用割合変更を行わないとする理由. 名 についてリスク商品運用割合別人数割合をま. 前項 6 に続き,表 8 は運用割合変更を行わな. とめたものである.表 7 は運用割合変更を行わ. かった 114 名のうちで今後とも運用割合を変更. なかったサンプル母集団 114 名についての同様. しないと思うと回答したもの 42 名に対して,. の図表である.リスク商品運用割合 0%,100%. その理由を選択させ集計したものである.「現. 及びそれらの間の 3 つを区分けした運用割合レ. 状の運用割合で問題ないと考えるから」及び. ンジ別に,現状の運用割合で問題ないと考える. 「今後とも運用割合を変更するタイミングに自. 加入者のサンプル母集団(114 名)に対する割合. 信が持てないと思うから」との理由が約 8 割を. を夫々示すと,51.5%,41.4% ,29.0%,50.0%,. 占めている.「現状の運用割合で問題ないと考. 46.2% である.このことから「現状の運用割合. えるから」として将来についても運用割合変更. で問題ないと考える」加入者がある特定のレン. を行わないという回答は,金融・相場環境の変. ジに偏って存在するのではないことがわかる.. 化に対応しないということであり,年金資産運. . 16)p. 8,表 4「運用割合変更を実施しなかった 理由」参照.. 用に関心がない層である可能性が高い.また, 確定拠出年金に関心があっても年金資産運用に 自信が持てないという理由から運用割合変更に.

(10) 94. 横浜国際社会科学研究 第 16 巻第 3 号(2011 年 9 月). (404). 表 6 「現状の運用割合に問題ないと考える」加入者(48 名)のリスク商品運用割合別人数割合 リスク商品運用割合(%) 人数割合(%). 人数. 0. 35.4. 17. 1~33. 25.0. 12. 34~66. 18.8. 9. 67~99. 8.3. 4. 100. 12.5. 6. 合計. 100.0. 48. � � � � � � � � � � � � � � � � � � �. � �. 100 100 100 80 80 80 60 60 60 40 40 40 20 20 20 000. 00 0. 1�33 34�66 67�99 1�33 34�66 34�66 67�99 67�99 1�33. ������������ ������������. 100. 100 100. ������������ 表 7 リスク商品運用割合別人数割合(114 名データ) リスク商品運用割合(%) 人数割合(%). 人数. 0. 28.9. 33. 1~33. 25.4. 29. 34~66. 27.2. 31. 67~99. 7.0. 8. 100. 11.4. 13. 合計. 100.0. 114. � � � � � � � � � � � � � �. 100 100 80 80 60 60 40 40 20 20 00. 00. 100 1�33 34�66 34�66 67�99 67�99 100 1�33 ������������ ������������. 表 8 今後とも運用割合変更を行わないとする理由 人数. 割合. 現状の運用割合で問題ないと考えるから. 21. 50.0%. 今後とも運用割合を変更するタイミングに自信が持てないと思うから. 12. 28.6%. 変更するのが面倒だから. 4. 9.5%. 確定拠出年金に関心がないから. 3. 7.1%. その他. 2. 4.8%. 42. 100.0%. 合計. 踏み切ることができないと考えている者もい. 産運用について合理的考え方を持ち主体的に行. る.. 動しているのかどうかを検証する. Ⅳ.仮説検定. 1.今回アンケート結果に基づく仮説検定 ⑴ 仮説 1. 仮説 1:現状の運用割合で問題ないとして運 用割合を変更しなかったグループは「商品選 択教育項目」重視度が高い. 運用割合変更を実施しなかった理由の第 1 位 は「現状の運用割合で問題ないと考えるから」 で あった(p. 8,表 4「運用割合変更 を 実施 し なかった理由」 ) .このように回答したものは資. 《検定結果 1》 「商品選択教育項目」を 構成 す る ①分散投資 重視度,②アセットクラス重視度,③スタイル.

(11) 確定拠出年金加入者の運用商品選択行動 ⑵(高瀬). 重視度の 4 段階評価について,現状の運用割合. (405). 95. 《検定結果 2》. で問題ないとして運用割合を変更しなかったグ. 将来とも運用割合を変更しないとするグルー. ループとそれ以外の理由で運用割合を変更しな. プとそれ以外のグループに分け,グループ間の. かったグループに分け,グループ間の平均に差. 平均に差があるかどうかを t 検定により検証し. があるかどうかをt検定により検証した.①~. た.アセットクラス重視度,スタイル重視度に. ③のいずれについてもグループ間の平均に差が. ついてはグループ平均に統計的に有意な差は認. あるという結果は得られなかった17).また,①. められなかったが,「運用割合を決めるときに,. については「現状の運用割合で問題ないという. 分散投資を意識して運用割合を選択しました. 以外の理由で運用割合を変更しなかったグルー. か.」の 分散投資重視度 に つ い て は , 将来 と も. プ」の方が, 「現状の運用割合で問題ないとの. 運用割合を変更しないと回答したグループの平. 理由で運用割合を変更しなかったグループ」の. 均(1.900)がそれ以外のグループの平均(2.394). 平均値を上回っていた.. を下回り,その結果 t 値-2.302(5% 有意水準). 以上から現状の運用割合で問題ないとして運. と仮説を支持する結果が得られた18).. 用割合を変更しなかったグループは必ずしも. 以上から「現状の運用割合で問題ないとして. 「商品選択教育項目」重視度が高いわけではな. 将来とも運用割合を変更しないとするグルー. いと判断される.これは,p. 9. 「6.現状運用. プ」は少なくとも分散投資を意識して運用割合. 割合で問題ないと考える加入者の運用商品選択. 決定を行うことのない合理的に行動しない人々. 状況」で言及した「目的に適った運用商品を選択. であると考えられる.. しているかどうかについて懸念を生じさせるもの である. 」を説明する結果であると言えよう.. 小 括. ⑵ 仮説 2. 運用割合変更を行わなかった 114 名のうち,. 仮説 1 において,現状の運用割合で問題ない. 72 名については今後適当な時期に運用割合変. として運用割合を変更しなかったグループは必. 更を行うと思うと回答しているが,残りの 42. ずしも DC 制度を良く理解して合理的行動を取. 名については今後とも運用割合変更を行わない. る人々ではないことがわかった.そうであるな. と回答している.そしてそのうちの半分 21 名. らば,将来とも運用割合を変更しないと考える. については「現状の運用割合で問題ないから」. グループ(p. 10,表 8「今後とも運用割合変更. を理由としている.前述の 72 名,42 名,21 名. を行わないとする理由」 )は確固たる投資信念. についてこれまでに運用割合変更を実施したこ. を持っているというよりは,どのように行動す. とがあるかどうかを質問したところ,夫々 13. れば良いかわからないグループなのではないか. 名,3 名,2 名であった.この結果から今後と. を検証する.. も運用割合変更を実施しないと回答したものの 大部分が初回指定及びデフォルト指定のままで. 仮説 2:現状の運用割合で問題ないとして運 用割合を変更しなかったグループ(=問題な し返答グループ)の内,将来とも運用割合を 変更しないと回答したグループは,問題なし 返答グループよりも更に「商品選択教育項目」 重視度が低い.. あることがわかる.仮説検定結果より「現状の 運用割合で問題ない」ということの意味が DC 制度への関心が低いということであることがわ かった.このように継続教育を実施しても効果 が現れず結果的に現状の運用割合で問題ないと する DC 制度に無関心な層が存在することを事 業主は改めて認識すべきである.. . 17)Appendix 3 参照.. . 18)Appendix 4 参照..

(12) 96. (406). 横浜国際社会科学研究 第 16 巻第 3 号(2011 年 9 月). 表 9 運用割合変更の有無を説明変数としたロジスティック回帰分析(変更案作成時) 説明変数. 偏回帰係数. 標準誤差. 分散投資重視度. 0.498. 0.246. P値 0.003. アセットクラス重視度. 0.426. 0.290. スタイル重視度. -0.200. 現状のリスク商品運用割合. -0.010. オッズ比 *. 95%信頼区間. 1.645. 1.015. -. 2.666. 0.703. 1.531. 0.866. -. 2.704. 0.265. 0.501. 0.819. 0.487. -. 1.377. 0.006. 0.904. 0.990. 0.978. -. 1.002. *; p <0.05, **; p <0.01,. 表 10 運用割合変更の有無を説明変数としたロジスティック回帰分析(実際の結果) 説明変数. 偏回帰係数. 標準誤差. 2.398. 0.755. 0.001 **. -0.387. 0.679. 0.339 -0.016. 分散投資重視度 アセットクラス重視度 スタイル重視度 現状のリスク商品運用割合. P値. オッズ比. 95%信頼区間. 11.003. 2.506. -. 48.321. 0.569. 0.679. 0.180. -. 2.571. 0.563. 0.547. 1.404. 0.466. -. 4.229. 0.013. 0.203. 0.984. 0.959. -. 1.009. *; p <0.05, **; p <0.01,. 2.前回及び今回アンケートに基づく仮説検定. た.表 9,表 10 に 前回及 び 今回標本(標本数. ⑴ 仮説 3. 各 123)について運用割合変更の有無を被説明. 運用割合変更を実施するかどうかの動機付け. 変数として実施したロジスティック回帰分析結. を「商品選択教育項目」で測るとき,運用割合. 果を示す.これらから分散投資重視度が説明変. 変更案作成時(前回アンケート)と実際の運用. 数として有意であることがわかる.また実際に. 割合変更有無(今回アンケート)でその影響度. 変更したものについては分散投資重視度がより. 合いは異なるのかどうかを検証する.. 強いものであることがわかる. ⑵ 仮説 4. 仮説 3:継続教育 プ ロ グ ラ ム の 一環 と し て. 配分差(リスク商品運用割合の変動)を被説. 行った運用割合変更案作成の際に統計的に有. 明変数とする仮説検定は,運用割合変更案作成. 意となった変更要因は実際の運用割合変更の. 時(前回アンケート)と実際の運用割合変更有. 際にも有意な変更要因となる.. 無(今回アンケート)でその内容が異なるのか どうかを検証する.. 《検定結果 3》 高瀬(2010)で は 運用割合変更案19)を 作成 した加入者に対して前述のように①分散投資重 視度,②アセットクラス重視度,③スタイル重 視度,について 4 段階評価アンケートを実施し これらによって「商品選択教育項目」重視度を 測った.今回調査 に お い て も 運用割合 を 変更 したものについて同様のアンケートを実施し . 19)運用割合を変更しない場合にも作成を行っ ている.. 仮説 4:高瀬(2010)で は 被説明変数 を 配分 差,説明変数を分散投資重視度,アセットク ラス重視度,スタイル重視度,及び現状のリ スク商品運用割合とする重回帰分析を行い, アセットクラス重視度,スタイル重視度,及 び現状のリスク商品運用割合が統計的に有意 であることを示した.実際の運用割合変更の 際における配分差についても同様のことが言 える..

(13) 確定拠出年金加入者の運用商品選択行動 ⑵(高瀬). (407). 97. 表 11 運用割合に係わる配分差についての重回帰分析(全体) . 教育時. 被説明変数. 今回 配分差(x 100). 分散投資重視度(1 → 4). 説明変数. アセットクラス重視度(1 → 4). スタイル重視度(1 → 4). 現状のリスク商品運用割合. Coeff.. -2.637. 3.667. t-stat.. -0.927. 2.821 ***. p-value. 0.356. 0.006. Coeff.. 7.531. 1.698. t-stat.. 2.276 **. 1.096. p-value. 0.025. 0.275. Coeff.. 5.506. 0.841. t-stat.. 1.791 **. 0.586. p-value. 0.076. 0.559. Coeff.. -0.424. -0.069. t-stat.. -5.966 ***. -2.133 **. p-value 自由度修正済決定係数(R-square) サンプル数. 0.000. 0.035. 0.250. 0.091. 123. 123. 片側検定:有意水準:***1%,**5%,* 10%. 《検定結果 4》. ての最大の動機付けは分散投資重視度であり,. 表 11 よ り 継続教育での運用割合変更案作成. これに加えてどの程度の割合変更を実施するかに. 時及び実際の運用割合変更時の両方に共通な統. ついては「現状のリスク商品運用割合」が行動決. 計的に有意な説明変数は「現状のリスク商品運. 定の要因として重要であるということである.. 用割合」であることがわかる.この他の実際の. ⑶ 仮説 5. 運用割合変更にあたって統計的に有意な説明変. 高瀬(2010)で は 元本派21)に つ い て は 運用. 数は仮説 3 と同じく分散投資重視度である.継. 割合変更と商品選択教育項目の関係性は薄く,. 続教育時に有意な説明変数となったアセットク. 運用割合見直しのきっかけを与えるだけで運用. ラス重視度及びスタイル重視度が実際の運用割. 割合を変更する可能性があることを示した.こ. 合変更時に統計的に有意とならなかった理由の. れは実際に運用割合変更を実施する場合にも当. 一つとして次のようなことが考えられる.継続. てはまることであろうか.. 教育時に利用した運用割合指定書は通常のもの と異なりアセットクラス,運用スタイル及び商. 仮説 5:元本派は実際に運用割合変更を行う. 品毎のリスクを★印によって明示した.このよ. にあたって商品選択教育項目ではなくその他. うにリスクを明示して視覚に訴える表示方法を. の要因の影響を受けている.. 採ったことにより加入者が自然とアセットクラ ス及びスタイルを意識するような運用割合変更 案を作成したということが考えられる20). 仮説 3 と仮説 4 からのインプリケーションと して,運用割合変更を実施するかどうかについ . 20)p. 7 脚注 15 参照.. 《検定結果 5》 表 12,表 13 に前回及び今回標本(標本数各 71)について《検定結果 4》と同様,運用割合 . 21)リスク商品を 0% 以上 50%未満の運用割合 としている加入者..

(14) 98. (408). 横浜国際社会科学研究 第 16 巻第 3 号(2011 年 9 月). 表 12 元本派運用割合変更の有無を説明変数としたロジスティック回帰分析(変更案作成時) 説明変数. 偏回帰係数. 標準誤差. -0.020. 0.369. 0.957. アセットクラス重視度. 0.650. 0.373. スタイル重視度. 0.325. 現状のリスク商品運用割合. 0.023. 分散投資重視度. P値. オッズ比 . 95%信頼区間. 0.980. 0.476. -. 2.021. 0.082. 1.915. 0.921. -. 3.982. 0.350. 0.354. 1.384. 0.696. -. 2.749. 0.022. 0.301. 1.023. 0.980. -. 1.068. *; p <0.05, **; p <0.01. 表 13 元本派運用割合変更の有無を説明変数としたロジスティック回帰分析(実際の結果) 説明変数. 偏回帰係数. 標準誤差. 2.107. 0.874. 0.016 *. 8.224. 1.483. -. -0.746. 0.821. 0.364. 0.474. 0.095. -. 2.372. 1.279. 0.912. 0.161. 3.591. 0.601. -. 21.454. -0.020. 0.034. 0.564. 0.981. 0.917. -. 1.048. 分散投資重視度 アセットクラス重視度 スタイル重視度 現状のリスク商品運用割合. P値. オッズ比. 95%信頼区間 45.625. *; p <0.05, **; p <0.01. 変更の有無を被説明変数,商品選択教育項目で. 割合変更案作成時(前回アンケート)と実際の. ある分散投資重視度,アセットクラス重視度,. 運用割合変更有無(今回アンケート)でその内. スタイル重視度 , 及び現状のリスク商品運用割. 容が異なるのかどうかを検証する.. 合を説明変数として実施したロジスティック回 帰分析結果を示す.. 仮説 6:高瀬(2010)では元本派について被. 元本派では運用割合変更案作成時において,. 説明変数を配分差,説明変数を分散投資重視. 分散投資重視度,アセットクラス重視度,スタ. 度,アセットクラス重視度,スタイル重視度,. イル重視度,及び現状のリスク商品運用割合の. 及び現状のリスク商品運用割合とする重回帰. いずれも運用割合変更の有無を説明する変数と. 分析を行い,説明変数として現状のリスク商. して統計的に有意なものとはならなかったのに. 品運用割合が統計的に有意であること並びに. 対して,実際に運用割合変更を行う場合は仮説. 商品選択教育項目 を 構成 す る 分散投資重視. 3,4 と 同様,分散投資重視度 が 説明変数 と し. 度,アセットクラス重視度,及びスタイル重. て統計的に有意であることがわかる.元本派で. 視度との関係性が薄いことを示した.実際の. は運用割合変更案作成時において分散投資重視. 運用割合変更の際における配分差についても. 度,アセットクラス重視度,及びスタイル重視. 同様のことが言えるであろうか.. 度が運用割合決定に与える影響が統計的に有意 でなかったことから,これら以外の要因が運用 割合決定に影響を与えるのではないかと推測し たが,やはり実際に運用割合変更を行う場合は 商品選択教育項目のひとつである分散投資重視 の影響があることがわかった. ⑷ 仮説 6 元本派について配分差(リスク商品運用割合 の変動)を被説明変数とする仮説検定は,運用. 《検定結果 6》 表 14 よ り 継続教育 で の 運用割合変更案作成 時と同様に「現状のリスク商品運用割合」が統 計的に有意な説明変数であることがわかる.ま た仮説 4 と同じく分散投資重視度が実際の運用 割合変更にあたって統計的に有意な説明変数で あることもわかる.これらから前項検定結果 5 同様,元本派が運用割合を変更するにあたって.

(15) 確定拠出年金加入者の運用商品選択行動 ⑵(高瀬). (409). 99. 表 14 運用割合に係わる配分差についての重回帰分析(元本派) 教育時 被説明変数. 今回 配分差(x 100). 分散投資重視度(1 → 4). 説明変数. アセットクラス重視度(1 → 4). スタイル重視度(1 → 4). 現状のリスク商品運用割合. Coeff.. -4.475. 7.437. t-stat.. -0.946. 3.254 *. p-value. 0.348. 0.002. Coeff.. 4.136. 1.749. t-stat.. 0.927. 0.772. p-value. 0.357. 0.443. Coeff.. 5.593. 0.905. t-stat.. 1.244. 0.399. p-value. 0.128. 0.691. Coeff.. -0.434. -0.299. t-stat.. -1.569 *. -2.264 **. p-value 自由度修正済決定係数(R-square) サンプル数. 0.121. 0.027. 0.043. 0.180. 71. 71. 片側検定:有意水準:***1%,**5%,*10%. も商品選択教育項目が影響しており関係性は認 められる結果となった.. Ⅴ.結 語 今年は我が国に DC 制度が導入されて 10 年. 小 括. 目を迎える年である.DC 制度を新規に導入し. 継続教育時 ア ン ケート 結果 と 継続教育実施. た企業も多いが,それ以上に退職金制度や適. 4 ヵ月後アンケート結果を比較して分析を実施. 格退職年金制度等からの制度移行による DC 制. した.両者それぞれについて運用割合変更を実. 度導入が多いのも事実である22).DC 制度加入. 施するかどうかに影響を与えるのは商品選択教. 者は DC 制度の特性を理解して資産運用をおこ. 育項目のうちでも分散投資重視度であることが. なって い る で あ ろ う か.特 に 制度移行対象者. 検証された.また配分差を被説明変数とする場. については制度変更時に事業主が設定した想定. 合は現状のリスク商品運用割合と分散投資の重. 利回りを資産運用のベンチマークと考えて行動. 視度が影響を与えることがわかった.. するのが適当であると思われるが,実際にその. 継続教育時アンケート結果のみを利用しての. ようなことを意図して行動しているであろうか. 分析では,元本派については知識や理論ではな. 等,加入者の運用商品選択行動について様々な. く運用割合を見直そうというきっかけの果たす. 懸念事項がある.. 役割の重要性を論じたが,そのきっかけが実際 の行動につながるためにはやはり分散投資につ いての理解が必要であることが統計的に証明さ れた.なお今回の実験研究では投信派のデータ 数が 32 件と少なかったため分析を行うことが 出来なかったことを付言しておく.. . 22)企業年金連合会「確定拠出年金に関する実 態調査(第 3 回)報告書」2010 年.p. 6. で は,ア ン ケート 回答企業 973 社中,新規 に DC 制度 を 導 入 し た 企業 177 社(18.2%) ,従前 の 制度解約・分 配後 に 新規 に DC 制度設立 51 社(5.2%) ,従前 の 制度を DC に資産移換し設立 745 社(76.6%)とあ る..

(16) 100 (410). 横浜国際社会科学研究 第 16 巻第 3 号(2011 年 9 月). 本稿は加入者アンケートを利用して加入者が. クラス・運用スタイル等についての関心も相対. どのような要因を考慮して運用割合変更を行う. 的に低く継続教育の効果が期待し難いと思われ. かを調査分析したものである.継続教育実施時. る.かねて米国でも議論されてきたが,プラン. における運用割合変更案作成が,実際の行動に. スポンサーたる事業主が働きかけを行っても行. どの程度結びつくのか,また商品選択教育項目. 動に移さないグループについてどのように対応. を構成する①分散投資重視度,②アセットクラ. すべきであろうか.DC 制度は資産運用リスク. ス重視度,③スタイル重視度が運用割合変更の. を加入者がすべて負担する制度である.事業主. 説明変数として有用であるかどうかを検証した. は加入者がこの大原則を認識していることを確. ものである.. 認できればそれ以上の制度運営責任を負わない. 商品選択教育項目の構成要素として前記①~. と割り切って良いものであろうか.仮説 1,2. ③が十分なものであるかどうかという質問が提. に係わる小括でも述べたように「今後とも運用. 起されることは容易に予想できるが,これに対. 割合変更を行わない」と回答しているものの大. しては次のように回答したい.継続教育実施直. 部分が初回指定及びデフォルト指定のままであ. 前と実施後約 4 ヶ月経過時点における加入者の. る.本稿では継続教育の効果について検証を行. 商品選択教育項目重視度 に つ い て の 差異 を A. いどういった点に留意して継続教育を実施すべ. 社の社内 LAN を利用してのアンケート形式で. きかを分析したが,DC 導入時教育における運. 収集することとしたため,正解を問う知識テス. 用割合決定 に つ い て 事業主 は もっと 積極的 に. トではなく程度を問う認識テストの方が適当. 関与すべきではないだろうか.受給者保護の観. であると判断したことがそのひとつの理由であ. 点を貫いている米国 401(k)制度の変遷はこ. る.また回答の容易さという観点から,運用割. れにひとつの回答を示している.2006 年年金. 合指定書にリンクさせて考えることのできる内. 法(Pension Protection Act of 2006)で導入さ. 容にしたという理由もある.. れたバランス型ファンド等のデフォルトファン. これまで行われてきた DC 研究の調査単位は. ド設定はその一例である.わが国においては,. プラン又は属性によってグルーピングした加入. この例の他に例えば DB/DC 併用型企業であれ. 者群であることが多い.従ってそれらから得ら. ば,事業主は,自らの判断で資産運用を行うこ. れた結論はプラン全体やグループ特性を論じる. とが難しいと考える加入者に対して,DB 制度. ものであった.全体として,又グループとして. と同様の運用を行うファンドを設定して加入者. 運用のバランスが取れていると結論できても,. に提供するようなメニューを用意することを検. 個々の加入者データを参照すると運用割合指定. 討してもよいのではないだろうか.. の偏りが顕著であることがわかる.本稿ではそ. 2.運用割合変更の決心と大きく関係する要. のような問題意識から A 社の協力を得て加入. 因は分散投資重視度である.しかし加入者は受. 者一人ひとりを調査単位として実施したもので. け身的に金融知識や教科書的なライフプランを. ある.. 教育されることによって主体的に運用割合を決. . 定するであろうか.分散投資を現実のものとし. 本稿から得られた知見は以下の通りである.. て理解させるためにはどうすべきかが問題であ. 1.現状運用割合で問題ないとして運用割合. る.分散投資知識が不十分なままにアセットク. を変更しないものが相当数存在している.現状. ラスや運用スタイルについての個別具体的な解. 運用割合で問題ないとするグループは基本的に. 説が行われることは知識としては吸収されるで. DC 制度についての無関心層である.これらの. あろうが運用割合変更にはなかなか結びつかな. ものは継続教育で解説する分散投資・アセット. い可能性があると思われる..

(17) 確定拠出年金加入者の運用商品選択行動 ⑵(高瀬). (411) 101. DC 制度は終わりよければ全てよしという側. 検証することは難しい.なぜならばライフプラ. 面がある.我が国に DC 制度が導入されて約. ンにおける DC 制度の位置付けは加入者毎に異. 10 年になる.多くの加入者にとってこの 10 年. なるからである.アンケート調査の結果,今回. は分散投資をしなかった方が良かったと振り返. は運用割合を変更しなかったが,今後適当な時. る金融環境であったかもしれない.換言すると. 期に運用割合変更を行うと回答したものが 72. 分散投資の解を呈示しきれなかった時期であっ. 名(運用割合変更を行わなかった加入者全体の. たとも言えるであろう.継続教育をしっかり受. 63.2%)であった.このうち運用割合変更を考. 講し金融知識に優れた加入者が近視眼的損失回. える要因として「株式相場が上がったら」,「あ. 避23)によりリスク資産への投資量を減少させ. る一定の年齢になったら」及び「資産評価額に. た期間であった可能性もある.. 変動があった場合」をあげたものが 53 名(全. 今後は投資シミュレーションのようなゲーム. 体の 73.7%)であった.今後の研究においてこ. 感覚で受講者の興味を惹くような継続教育の実. れら要因をあげたものが,その要因が現実のも. 施も進むものと思われるが,それと同時に加入. のとなったときにどういう行動を起こすかを追. 者個々人の年金資産運用目標設定に合目的的な. 跡調査することが必要であろう.ここで継続教. 運用商品や運用方法とはどういうものかを解説. 育の効果について時間軸を分けて考えることを. することがより重要になってくるものと考えら. 提言したい.時間軸という概念を持ち出すのは,. れる.. 前述のように「ある一定の年齢になったら」と. 本稿及び前稿では,商品選択教育項目という. いうようなマーケット状況とは異なる外部ファ. 概念を用いて運用割合変更に係わる要因分析を. クターを運用割合変更の決定要因としてあげて. 実施した.統計分析手法によって継続教育の効. いる事実に注目するからである.年金資産運用. 果が加入者個々人の実際の行動につながるかど. は長期間に亘るものである.短期的なマーケッ. うかを調査分析した研究はまだ少ない.その意. ト状況の変化に一喜一憂する必要はないが,あ. 味において今回の実験研究は説明変数に何を用. る程度はマーケット状況に影響を受ける部分も. いるのかがポイントであったと考える.今後の. ある.また年金資産運用の最終目的は老後所得. 課題としては運用割合変更実施に影響を与えるこ. 保障 の 堅固化 で あ る.こ れ は 中長期的視点 に. とが確認された分散投資重視度をより現実のもの. 立ったライフサイクルの影響を受けるものであ. として理解させるための継続教育とはどのような. る.以上をあわせ考えると運用割合決定に際し. ものであるかを更に議論する必要があろう.. て短期と中長期で共通する要因とそうでない要. 本稿では継続教育の効果を継続教育実施直後. 因があることが予想される.. と継続教育受講約 4 ヶ月時点を比較することに. 今後の課題として継続教育の効果を短期と中. よって検証した.加入者のリスク商品に対する. 長期に分け,またそれぞれの時点における運用. 現状の運用割合は,0%,50%,100% に集中す. 商品決定要因が,本稿で示したような金融資産. る い わ ば「三 つ 瘤」状態 と なって い る.継続. 運用に係る知識なのか,それ以外の外部ファク. 教育の重要な目的のひとつは分散投資である. ターによるものなのかを区別して検証すること. が,本稿の分析ではこの「三つ瘤」状態が分散. が必要であると考える.その結果は継続教育の. 投資効果を意識して決定されたものかどうかを. 今後進むべき方向を示唆するものになると思わ. . 23)投資の評価頻度が高い投資家ほど,頻度が 低い投資家と比較してリスク資産への投資量が減 る現象のことをいう.. れる..

(18) 102 (412). 横浜国際社会科学研究 第 16 巻第 3 号(2011 年 9 月). 参考文献 石田成則・中村保「確定拠出年金における投資教 育 と 運用商品選択」『信託研究奨励金論集』 第 27 号,2006 年. 臼杵政治「 401(k)プランと行動ファイナンス ─米国年金保護法にみる─」『ニッセイ基礎 REPORT 』2007 年 3 月. 臼杵政治「米国の 401(k)プランに見る個人投 資家の行動と日本への示唆─行動ファイナン スの観点から─」 『季刊 個人金融 2007 夏』 2007. 企業年金連合会「確定拠出年金投資教育 ハ ン ド ブック」『確定拠出年金における投資教育の あり方に関する検討会 報告書』2008 年. 企業年金連合会「確定拠出年金に関する実態調査 (第 3 回)報告書」2010 年. 北村智紀「わ が 国 の 確定拠出年金加入者 の 安全 指向が高い理由」『年金ストラテジー』Vol. 111, 2005 年 9 月,pp. 4─5. 北村智紀「わが国の確定拠出年金(DC)におけ る 加入者 の 資産配分」『年金 ス ト ラ テ ジー』 Vol. 142, 2008 年 4 月,pp. 4─5. 北村智紀・中嶋邦夫「確定拠出年金における加入 者 の 資産配分」『年金 ス ト ラ テ ジー』Vol. 147, 2008 年 9 月,pp. 2─3. 北村智紀・中嶋邦夫「確定拠出年金加入者の資産 配分選択 の 理由」『年金 ス ト ラ テ ジー』Vol. 147, 2008 年 9 月,pp. 4─5. 北村智紀・中嶋邦夫「確定拠出年金における継続 教育投資 の 効果」『年金 ス ト ラ テ ジー』Vol. 147, 2008 年 9 月,pp. 6─7. 北村智紀・中嶋邦夫「確定拠出年金における継続 投資教育の効果:実験による検証」 『現代ファ イナンス』No. 25,2009 年,pp. 53─76. 北村智紀「確定拠出年金加入者 は ど う し て 元本 確保型 で 運用 す る の か?」『 NLI Research Institute Report June 2010 』ニッセ イ 基 礎 研究所,2010 年.pp. 4─11. 北村智紀・中嶋邦夫「わが国の製造業の製造現場 に勤める確定拠出年金加入者に対する継続投 資教育の効果:フィールド実験による検証」 日本 ファイ ナ ン ス 学界第 18 回大会予稿集原 稿,2010 年 4 月. 北村智紀「 DC で株式配分が高い加入者は金融資 産全体でも高いのか」『年金ストラテジー』 Vol. 169, 2010 年 7 月,pp. 2─3. 俊野雅司「行動ファイナンスと年金政策」『個人 レベルの公的年金の給付と負担等に関する情 報を各人に提供する仕組みに関する研究 平 成 17 年度報告書』厚生労働科学研究費補助 金政策科学推進研究事業,2006 年.pp. 107─. 121. 高瀬伊佐己「確定拠出年金加入者の運用商品選択 行動」 『横浜国際社会科学研究』第 15 巻第 4 号,横浜国際社会科学学会,2010 年, 津田弘美「確定拠出年金の継続教育に一定の効果 ─加入者データを活用した実証分析より─」 『企業年金』2009 年 5 月. 津田弘美・金子久「制度設計からさまざまな影響 を受ける DC 加入者─実際の取引データを企 業ごとに集約した情報を用いた実証分析」 『日 本証券アナリストジャーナル』2009. 9,日本 証券アナリスト協会,2009 年 . 中里宗敬・北村智紀「近視眼的損失回避が生じる 要因:実験による検証」日本ファイナンス学 界第 18 回大会予稿集原稿,2010 年 4 月. NPO 確定拠出年金教育協会「確定拠出年金加入 者の投資運用実態調査総合編」2009 年. Agnew, Julie, “Inefficient Choices in 401( k) Plans: Evidence from Individual Level Data”, 2002. Agnew, Julie and Perluigi Balduzzin and Annika Sunden, “Portfolio Choice and Trading in a Large 401(k)Plan” The American Economic Review, March 2003. Agnew, Julie and Lisa R. Szykman, “Asset Allocation and Information Overload: The Influence of Information Display, Asset Choice and Investor Experience”, Center for Retirement Research Center for Retirement Research Working Papers” 2004. Benartzi, Shlomo and Richard H. Thaler, “How Much Is Investor Autonomy Worth?” Journal of Finance, Vol. 57, pp. 1593─1616, 2002. Benartzi, Shalomo and Richard H. Thaler. “Naïve Diversification Strategies in Defined Contribution Saving Plans” The American Economic Review, March 2001. Brown, Jeffrey and Scott Weisbenner, “401(K) Investment Options, Portfolio Choice and Retirement Wealth” NBER Retirement Research Center working paper. December 2005. Choi, James J., David Laibson, Brigitte Madrian and Andrew Metrick. “For Better or For Worse: Default Effects and 401(k)Savings Behavior” NBER Working Paper Series 8651, December 2001 (a) . Choi, James J., David Laibson, Brigitte Madrian and Andrew Metrick. “Defined Contribution Pensions: Plan Rules, Participant Decisions, and The Path of Least Resistance” NBER Working Paper Series 8655, December 2001.

(19) 確定拠出年金加入者の運用商品選択行動 ⑵(高瀬). (b). Clark, L. Robert, Madeleine B. d’Ambrosio, Ann A. McDermed and Kshama Sawant. “Retirement Plans and Savings Decisions: The Role of Information and Education”. TTAA-CREF Institute, 2003. Clark, L. Robert, Madeleine B. d’Ambrosio, Ann A. McDermed and Kshama Sawant.” Financial Education and Retirement Savings” Sustainable Community Development: What Works, What Doesn’t, and Why Conference Sponsored by the Federal Reserve System March 27─28, 2003. Clark, L. Robert and Madeleine B. d’Ambrosio. “Ignornace is not Bliss: The Importance of Financial Education” TTAA-CREF Institute, Reserch Dialogue, Issue No. 78. December 2003. Dolvin, Steven D. and William K. Templeton. “Financial Education and Asset Allocation” Financial Services Revies 15. 2006. pp. 133─ 149. Holden, Sarah and Jack VanDerhei, “Recent Trends in 401( k) Participants’ Asset Allocations” Journal of Financial Service Professionals, July 2010. Mottola, Gary R. and Stephen P. Utkus, “Red, Yellow and Green: Measuring the Quality of 401(k)Portfolio Choices.” In Overcoming the Saving Slump, Annamaria Lusardi, ed.. (413) 103. University of Chicago Press, Chicago, IL. 2008. Munnell, Alicia and Annika Sunden, “401(k) Plans are Still Coming up Short” No. 43. An Issue in Brief Center for Retirement Research at Boston College, March 2006. Madrian, Brigitte. C. and Dennis F. Shea. “The Power of Suggestion: Inertia in 401( k) Participation and Saving Behavior” The Quarterly Journal of Economics. Vol. CXVI. Issue 4, November 2001. Payne, John W. James R. Bettman and Eric Johnson, “Adaptive Strategy Selection in Decision Making” Journal of Experimental Psychology: Learning, Memory, and Cognition 1988, Vol. 14, No. 3, pp. 534─552. VanDerhei, Jack, Sarah Holden and Carol Quick, “401(k)Plan Assets Allocation, Account Balances, and Loan Activity in 1998”, Employment Benefit Research Institute, February 2000. VanDerhei, Jack, Sarah Holden, Craig Copeland and Luis Alonso. “401(k) Plan Assets Allocation, Account Balances, and Loan Activity in 2006”, Employment Benefit Research Institute, August 2007. [た か せ い さ み 横浜国立大学大学院国際社会 科学研究科博士課程後期].

(20) 104 (414). 横浜国際社会科学研究 第 16 巻第 3 号(2011 年 9 月). Appendix 1 1.日経 225 平均推移(2010 年 1 月~12 月). (出典:msn. マネー,http://jp.moneycentral.msn.com/investor/charts/) 䠄ฟ඾䠖㼙㼟㼚㻚䝬䝛䞊䠈㼔㼠㼠㼜㻦㻛㻛㼖㼜㻚㼙㼛㼚㼑㼥㼏㼑㼚㼠㼞㼍㼘㻚㼙㼟㼚㻚㼏㼛㼙㻛㼕㼚㼢㼑㼟㼠㼛㼞㻛㼏㼔㼍㼞㼠㼟㻛㻕. Appendix 2 2.運用割合指定書 分類Ⅰ. 元本確保. 分類Ⅱ. 分類Ⅲ(商品名). インフレリスク. 信用リスク. 預金. A確定拠出年金定期預金. ★. ★. B利率保証年金(5 年保証). ★. ★. C利率保証年金(10 年保証). ★. ★. GIC. 価格変動リスク. 金利リスク. 為替リスク. 国内債券 インデックス. D国内債券インデックスファンド NOMURA-BPI 総合 DC. ★. 外国債券 インデックス. E外国債券インデックスファンド. ★. インデックス. F日経 225 インデックスファンド. ★. ★. G日本株ファンド. ★. ★. 国内株式. 外国株式. アクティブ アクティブ. バランス インデックス. H日本株ファンド. ★. I外株インデックスファンド. ★. Jプライムバランス(安定型). ★. Kプライムバランス(安定成長型). ★. Lプライムバランス(成長型). ★. 運用割合 (%). ★ ★. ★. ★ ★. ★. ★. ★. ★. ★. ★. ★. ★. ★. ★. 計 100%.

(21) 確定拠出年金加入者の運用商品選択行動 ⑵(高瀬). (415) 105. Appendix3. Appendix4. 3.仮説 1 に係わるt検定結果. 4.仮説 2 に係わるt検定結果. 1. 分散投資を重視して運用割合を選択したか 現状の運用割合で問題 左以外のグループ ないとして変更しな かったグループ 平均 2.208 2.394 分散 0.849 0.642 観測数 48.000 66.000 自由度 93.000 t -1.121 P(T<=t)両側 0.265 t 境界値 両側 1.986. 1.分散投資を重視して運用割合を選択したか 現状の運用割合で問題 左以外のグループ ないとして将来におい ても変更しないとする グループ 平均 1.900 2.394 分散 0.726 0.642 観測数 20.000 66.000 自由度 30.000 t -2.302 P(T<=t)両側 0.028 t 境界値 両側 2.042. 2.アセットクラスを重視して運用割合を選択したか 現状の運用割合で問題 左以外のグループ ないとして変更しな かったグループ 平均 3.000 2.955 分散 0.681 0.413 観測数 48.000 66.000 自由度 86.000 t 0.318 P(T<=t)両側 0.751 t 境界値 両側 1.988 3.運用スタイルを重視して運用割合を選択したか 現状の運用割合で問題 左以外のグループ ないとして変更しな かったグループ 平均 2.319 2.138 分散 0.831 0.496 観測数 47.000 65.000 自由度 83.000 t 1.136 P(T<=t)両側 0.259 t 境界値 両側 1.989. 2.アセットクラスを重視して運用割合を選択したか 現状の運用割合で問題 左以外のグループ ないとして将来におい ても変更しないとする グループ 平均 2.700 2.955 分散 0.853 0.413 観測数 20.000 66.000 自由度 25.000 t -1.151 P(T<=t)両側 0.261 t 境界値 両側 2.060 3.運用スタイルを重視して運用割合を選択したか 現状の運用割合で問題 左以外のグループ ないとして将来におい ても変更しないとする グループ 平均 2.158 2.138 分散 1.029 0.496 観測数 19.000 65.000 23.000 自由度 t 0.078 P(T<=t)両側 0.938 t 境界値 両側 2.069.

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