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文化遺産周辺の河岸侵食対策の提案に向けた生石灰と籾殻灰を用いた改良土の力学特性に関する研究

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(1)

文化遺産周辺の河岸侵食対策の提案に向けた

生石灰と籾殻灰を用いた改良土の力学特性に関する研究

Study on mechanical characteristics of improved soil using quick lime and rice hulk ash

for riverbank erosion around cultural heritage

大矢綾香

1

・奥本龍馬

2

・藤本将光

3

・深川良一

4

・李徳河

5

Ayaka Oya

1

, Ryoma Okumoto

2

,

Masamitsu Fujimoto

3

, Ryoich Fukagawa

4

and Der-Her Lee

5

1立命館大学 理工学研究科 博士前期課程(〒525-8577 滋賀県草津市野路東1-1-1) Master Course student, Ritsumeikan University, Graduate School of Science and Engineering

2元 立命館大学 理工学部都市システム工学科 (〒525-8577 滋賀県草津市野路東1-1-1) Assistant Professor, Ritsumeikan University, Department of Science and Engineering

3立命館大学 理工学部都市システム工学科 助教(〒525-8577 滋賀県草津市野路東1-1-1) Assistant Professor, Ritsumeikan University, Department of Science and Engineering

4立命館大学 理工学部都市システム工学科 教授(〒525-8577 滋賀県草津市野路東1-1-1) Professor, Ritsumeikan University, Department of Science and Engineering

5国立成功大学 土木工程系 教授(No.1 University Road, Tainan 70101, Taiwan) Professor, National Cheng Kung University, Department of Civil Engineering

Hue is located at middle of Vietnam, and famous for the ancient capital of Ngyuen Dynasty. A royal residence, temples, museums and buildings around the city are recognized as world cultural heritage sites by UNESCO. Some of them are located along Houng River, which is often suffered from flood during rainy seasons. It causes river bank erosion, and there is possibility that these historical buildings are harmed by riverbank erosion and settlement. This paper presents new ground improvement method using quick lime and rice hulk ash which are cheap and easy to obtain in developing countries like Vietnam. The mechanical characteristic of improved soil is validated by mechanical tests.

Keywords : Ground improvement, Quick lime, Rice hulk ash, Riverbank erosion

1.はじめに フエ市はベトナム中部に位置し、ベトナム最後の王朝、グエン王朝の都として栄えた古都である。図1にそ の位置を示す。フエの新市街、旧市街に点在する王宮、寺院、博物館などの建造物が、ベトナム初の世界遺 産として登録されている。その中でも、阮朝王宮、カイディン帝廟、ミンマン帝廟、ティエンムー寺が図2 に示すようにフォーン川沿いに点在している。そのフォーン川は雨季にたびたび洪水に見舞われ、河岸侵食 が発生している。そこで森實らは現地調査を行い、被害状況を把握した1)。写真2にフォーン川沿いの寺院の 1つである、ティエンムー寺の概観を示す。この写真からティエンムー寺がフォーン川に面していることが わかる。ティエンムー寺はフエ市の象徴であるトゥニャン塔(高さは21.24m)を持つ寺であり、写真1に示 すように塔は寺の入口部分にあり、階段の手前は道路を挟んでフォーン川が流れている。写真2に示すよう 2) 豊浦砂を用いて超音波土中水分測定の水分サイクル実験を行った。湿潤過程と乾燥過程の繰返しを再 現よく検知しており、超音波による土中水分検知を実証した。また、超音波測定で得られる反射強度 と体積含水率の関係は強い相関を示し、校正が可能であることが確認された。 3) 超音波土中水分測定で試料の違いによる特性を明らかにするため、2つの試料に対して検証実験を実 施した。その結果、試料の粒度によっては計測初期値での補正が必要であるという結果が得られた。 また、低含水率帯での分解能は高くないが、反射強度と体積含水率の間に高い相関性が確認できた。 本実験では超音波測定によって得られる反射強度と体積含水率を比較した。サクションや間隙水圧といっ た他のパラメータとも比較し、反射強度の変化が既存の土パラメータの何と強い相関をもっているか検討す る必要がある。また2種類の試料を用いて試料の違いによる相関関係の差を検証したが、他の試料において も追加実験を行い、初期値補正が必要となる均等係数の閾値の明確化や、粘土地盤に対して有効であるのか 検証が必要である。今後、これら課題を精査しつつ、文化遺産周辺斜面でのモニタリング実験を行い実用化 に向け、課題抽出や危険度予測システムを構築していく。 謝辞:本研究の一部は科学研究費補助金(基盤(C)、20510180)(2008~2010年度)および(基盤(C)、 23510230)(2011~2013年度)の助成を受けて行ったものである。 参考文献 1) 酒匂一成,深川良一,岩崎賢一,里見知昭,安川郁夫:降雨時の斜面災害防止のための重要文化財周辺斜面におけ る現地モニタリング,地盤工学ジャーナル,Vol.1,No.3,pp.57-59,2006. 2) 北村良介:降雨時の斜面モニタリングと崩壊予測技術の現状,土と基礎,Vol.55,No.9,pp.1-3,2007. 3) 深川良一,酒匂一成,里見知昭,石田優子,仲矢順子,安川郁夫:降雨時斜面災害防止のための重要文化財周辺斜 面における現地多点モニタリング,歴史都市防災論文集,Vol.2, pp.99-104,2008.

4) Katsuhiko Tanaka, Takefumi Suda, Kazuhiro Hirai, Kazunari Sako, and Ryoichi Fukagawa : “Monitoring of Soil Moisture and Groundwater Level Using Ultrasonic Waves to Predict Slope Failures”, Japanese Journal of Applied Physics 48, 09KD12, 2009. 5) Nobutaka Hiraoka, Takefumi Suda, Kazuhiro Hirai, Katsuhiko Tanaka, Kazunari Sako, and Ryoichi Fukagawa : “Improved Measurement of Soil Moisture and Groundwater Level Using Ultrasonic Waves”, Japanese Journal of Applied Physics 50, 07HC19, 2011.

(2)

に、河岸は侵食を防ぐためにブロックを積んだ護岸が造られている。しかしながら、何度も洪水の被害を 受けているため、河岸の変形やそれによるブロックの欠落があることがわかった1)。このまま放置すれば河 岸の侵食や地盤沈下が進行し、文化財に影響を与える危険性がある。対策を施すことが緊急の課題であるが、 日本などの先進国で適用されている従来の工法は、高コストゆえにベトナムをはじめとする発展途上国では 採用されにくく、効果的かつ経済的な対策工の提案をすることが重要である. そこで、河岸を補強し、変形や沈下を防ぐために、現地で安価に入手でき、自然由来で環境負荷が小さい、 生石灰とイネ籾殻灰を用いた地盤改良工法について検討する。生石灰は従来地盤改良に使用されており、そ の効果は実証されており2)、ベトナムでも容易に手に入る材料である。また、米を脱穀した際に得られるイ ネ籾殻は、世界有数の米の生産国であるベトナムで大量かつ安価で入手可能な材料であり、すでにリサイク ル材として発電に利用されている。そのイネ籾殻を燃焼させて生成されるイネ籾殻灰はシリカの含有率が約 90 %3)であり、これによりポゾラン反応を促す効果があると期待され、すでにコンクリート4)やセメント系改 良土のポゾラン材に適用されている3)。生石灰と籾殻灰を用いた地盤改良については、李5)によってせん断強 さの評価や降雨に対する耐侵食性が検証されてるが、詳細な強度評価や配合比と強度の関係については把握 されていない。そこで、本研究は、生石灰とイネ籾殻灰を用いた新しい地盤改良工法の開発を目指す。新し い地盤改良工法の基礎研究として、生石灰とイネ籾殻灰による地盤改良効果の検証および改良土の特性を把 握するために、イネ籾殻灰の配合率および養生日数が改良土の力学特性に与える影響を実験的に明らかにす る。

図1 フエの位置(Google Map に加筆) 図2 フォーン川沿いの世界遺産(Google Map に加筆)

写真1 トゥニャン塔とフォーン川(Google Earth に加筆) 写真2 フォーン川河岸の変形、ブロックの欠落1) 阮朝王宮 ティンムー寺 ミンマン帝廟 カイディン帝廟 フォーン川 フォーン川

(3)

に、河岸は侵食を防ぐためにブロックを積んだ護岸が造られている。しかしながら、何度も洪水の被害を 受けているため、河岸の変形やそれによるブロックの欠落があることがわかった1)。このまま放置すれば河 岸の侵食や地盤沈下が進行し、文化財に影響を与える危険性がある。対策を施すことが緊急の課題であるが、 日本などの先進国で適用されている従来の工法は、高コストゆえにベトナムをはじめとする発展途上国では 採用されにくく、効果的かつ経済的な対策工の提案をすることが重要である. そこで、河岸を補強し、変形や沈下を防ぐために、現地で安価に入手でき、自然由来で環境負荷が小さい、 生石灰とイネ籾殻灰を用いた地盤改良工法について検討する。生石灰は従来地盤改良に使用されており、そ の効果は実証されており2)、ベトナムでも容易に手に入る材料である。また、米を脱穀した際に得られるイ ネ籾殻は、世界有数の米の生産国であるベトナムで大量かつ安価で入手可能な材料であり、すでにリサイク ル材として発電に利用されている。そのイネ籾殻を燃焼させて生成されるイネ籾殻灰はシリカの含有率が約 90 %3)であり、これによりポゾラン反応を促す効果があると期待され、すでにコンクリート4)やセメント系改 良土のポゾラン材に適用されている3)。生石灰と籾殻灰を用いた地盤改良については、李5)によってせん断強 さの評価や降雨に対する耐侵食性が検証されてるが、詳細な強度評価や配合比と強度の関係については把握 されていない。そこで、本研究は、生石灰とイネ籾殻灰を用いた新しい地盤改良工法の開発を目指す。新し い地盤改良工法の基礎研究として、生石灰とイネ籾殻灰による地盤改良効果の検証および改良土の特性を把 握するために、イネ籾殻灰の配合率および養生日数が改良土の力学特性に与える影響を実験的に明らかにす

図1 フエの位置(Google Map に加筆) 図2 フォーン川沿いの世界遺産(Google Map に加筆)

写真1 トゥニャン塔とフォーン川(Google Earth に加筆) 写真2 フォーン川河岸の変形、ブロックの欠落1) ティンムー寺 ミンマン帝廟 カイディン帝廟 フォーン川 フォーン川 (1) 改良土の硬化メカニズムについて 本研究で提案する地盤改良工法は、生石灰による脱水作用、および籾殻灰に質量比で約90%含まれるシリ カによるポゾラン反応の促進によって地盤を硬化させる工法である。以下にそのメカニズムを示す5)。 まず、生石灰CaOによって土中の水が蒸発し、土壌は最適含水比に近づき締固め強度が増加する。そのと き、水H2Oと生石灰CaOが反応することで消石灰Ca(OH)2が生成する。 H2O + CaO → Ca(OH)2 (1) 次に、消石灰Ca(OH)2と籾殻灰と土壌に含まれるシリカSiO2が徐々に反応し珪酸カルシウム水和物𝑛𝑛CaO ∙ SiO2∙ 𝑚𝑚H2Oが生成され、混合土が硬化する。この反応がポゾラン反応である。

Ca(OH)2+ [SiO2] → 𝑛𝑛CaO ∙ SiO2∙ 𝑚𝑚H2O (2) ここで式(2)中のn,mは整数である。生成された珪酸カルシウム水和物はセメントと類似した化合物である。 この水和物により、組織が繊密化、硬化し、改良土の耐久性や水密性が向上し、地盤の強度が増加すると考 えられる。 (2) 改良土の配合比率について 本研究において、籾殻灰の配合比A %、生石灰の配合比B %を以下の式(3)、(4)のように定めて供試体を作 成した。 𝐴𝐴 =𝑚𝑚𝑚𝑚𝑠𝑠ℎ𝑎𝑎× 100 (3) 𝐵𝐵 =𝑚𝑚𝑞𝑞𝑞𝑞𝑚𝑚 𝑠𝑠 × 100 (4) ここで、mhaは籾殻灰の質量[g]、msは乾燥試料の質量[g]、mqlは生石灰の質量[g]である。含水比調整前の乾燥 試料の質量を基準にして、各種材料の配合比を定めた。 3.石灰と籾殻灰による改良土の一軸圧縮試験 (1) 試験概要 生石灰と籾殻灰による地盤改良の改良効果の検証を行った。具体的には、石灰と籾殻灰それぞれの添加量 と作製した供試体の養生期間を変え、石灰と籾殻灰の配合率と養生期間が与える改良土の強度特性、変形特 性への影響について検証を行う。本研究では、一軸圧縮試験を行い、一軸強さ、破壊ひずみ、変形係数を求 めることで、それらの影響を評価した。 (2) 試験方法・条件 まず、供試体を作成する。試料としては、文献調査より明らかにしたフォーン川沿いの地質に類似した藤 森粘土を用いる 6)。藤森粘土の物性データは文献 7)を参照されたい。試料と水を十分に練り混ぜ、含水比 w=55 %になるように調整した後、生石灰と籾殻灰を加え、ミキサーを用いて十分に練り混ぜる。材料を練 り混ぜた後、試料を取り出し、直径5 cm、高さ 10 cm のモールドに 3 層に分けて合計 330 g の試料を入れ、 湿潤密度ρt=1.68 g/cm3になるように供試体を作成した。1 層毎に突き棒で十分に締め固めながら、層が分断 しないようにモールドを叩いた。供試体は各条件につき3 個作成する。 次に、供試体の養生を行う。養生期間が3 日までは空気中で養生し、3 日以降は水浸養生に切り替えて養 生を行う。これは、対象地が河岸であることから、水に浸した状態でも改良効果が発揮されるか検証するた めである。養生後、地盤工学会基準を基に供試体の一軸圧縮試験(JGS 0511)を行う。試験で得られたデータ は試験を行う3 個の供試体の平均であり、得られたデータを基に各種パラメータを算出する。ただし、ひび

(4)

試料の含水比は一律55 %、生石灰の配合比は一律5 %、籾殻灰の配合比は0、5、10、15 %の4パターン、 養生期間は1、3、7、14、28、56日の6パターンの合計24パターンの試験を行った。 (3) 試験結果と考察 図3に一軸圧縮強さと養生日数を全配合比で比較したグラフを示す。それぞれのプロットに対して、標準 誤差を示すエラーバーを記入している。籾殻灰配合比0 %においては、養生14日までは強度が増加傾向にあ り、その後養生28日では強度が減少し、その後養生56日では養生14日とほぼ同じ一軸圧縮強さとなり、強度 が維持されていることがグラフから読み取れる。籾殻灰配合比15 %においては、養生7日まで大きく一軸圧 縮強さが増加し、それ以降養生28日まで緩やかに増加し、養生56日に一軸圧縮強さが減少している。一方で、 籾殻灰配合比5 %においては養生28日までに一軸圧縮強さが大きく増加し、それ以後もわずかに増加し、強 度を維持している。なお、養生14日までの強度が他の条件の強度の1/2程度である。28日以降、他の条件と 同等の強度を得られていることから、混合材が均一に混ざっておらず化学反応が遅れた可能性がある。籾殻 灰配合比10 %においては、養生28日までに一軸圧縮強さが大きく増加し、養生56日までは、一軸圧縮強さが 緩やかに増加している。そして、養生56日での最終的な一軸圧縮強さは、籾殻灰10 %、5 %、0 %、15 %の 順で大きく、適量の籾殻灰を加えることで一軸圧縮強さが向上し、籾殻灰配合比15 %が最小の値をとるとい う結果が得られた。籾殻灰配合比15 %の強度が一番小さい理由に関しては、大量の籾殻灰を入れることで土 が締固まりにくくなることが原因と考えられるが、詳細は他の配合比の試験を行うことで今後解明していき たい。今回の試験において、石灰5 %、籾殻灰10 %の配合比において最も一軸圧縮強さが大きく、この籾殻 灰配合比10 %が生石灰5 %に対する最適な配合比であると言える。このことから、試験条件の中から最も大 きい一軸圧縮強さが得られた条件は、生石灰に対する籾殻の配合比1:2である。なお、養生3日までは全配合 比においてほぼ同様に一軸圧縮強さが増加し、養生7日以降の一軸圧縮強さに差があることから、養生3日目 までは、生石灰により強度が増加し、それ以後が籾殻灰に含まれるシリカによって促進されるポゾラン反応 による強度増加であると考えられる。また、籾殻灰を加えたパターンにおいては、養生28日以降、一軸圧縮 強さの変化が養生28日以前よりも小さいことから、ポゾラン反応による強度発現は養生28日までに起こると 推定される。 図4に籾殻灰配合比10 % 養生3日目の供試体3個(供試体①、②、③)に対する応力ひずみ曲線、図5に図4と 同じ配合条件で養生56日目の供試体2個(供試体①、②)に対する応力ひずみ曲線を示す。このグラフから、養 生3日目では、材料は延性を保っているが、養生56日においては脆性破壊が生じていることがわかる。 図6に破壊ひずみと養生日数を全配合比で比較したグラフを示す。破壊ひずみは圧縮応力が最大値を取る 時のひずみである。すべての配合比において、養生期間が長くなるにつれて、破壊ひずみが小さくなること がグラフからわかる。 図3 養生日数と一軸圧縮強さの関係 0 200 400 600 800 1000 1200 0 7 14 21 28 35 42 49 56 生石灰5% 生石灰5% 籾殻灰 5% 生石灰5% 籾殻灰 10% 生石灰5% 籾殻灰 15% 養生日数 一軸圧縮強さ (k N /㎡)

(5)

試料の含水比は一律55 %、生石灰の配合比は一律5 %、籾殻灰の配合比は0、5、10、15 %の4パターン、 養生期間は1、3、7、14、28、56日の6パターンの合計24パターンの試験を行った。 (3) 試験結果と考察 図3に一軸圧縮強さと養生日数を全配合比で比較したグラフを示す。それぞれのプロットに対して、標準 誤差を示すエラーバーを記入している。籾殻灰配合比0 %においては、養生14日までは強度が増加傾向にあ り、その後養生28日では強度が減少し、その後養生56日では養生14日とほぼ同じ一軸圧縮強さとなり、強度 が維持されていることがグラフから読み取れる。籾殻灰配合比15 %においては、養生7日まで大きく一軸圧 縮強さが増加し、それ以降養生28日まで緩やかに増加し、養生56日に一軸圧縮強さが減少している。一方で、 籾殻灰配合比5 %においては養生28日までに一軸圧縮強さが大きく増加し、それ以後もわずかに増加し、強 度を維持している。なお、養生14日までの強度が他の条件の強度の1/2程度である。28日以降、他の条件と 同等の強度を得られていることから、混合材が均一に混ざっておらず化学反応が遅れた可能性がある。籾殻 灰配合比10 %においては、養生28日までに一軸圧縮強さが大きく増加し、養生56日までは、一軸圧縮強さが 緩やかに増加している。そして、養生56日での最終的な一軸圧縮強さは、籾殻灰10 %、5 %、0 %、15 %の 順で大きく、適量の籾殻灰を加えることで一軸圧縮強さが向上し、籾殻灰配合比15 %が最小の値をとるとい う結果が得られた。籾殻灰配合比15 %の強度が一番小さい理由に関しては、大量の籾殻灰を入れることで土 が締固まりにくくなることが原因と考えられるが、詳細は他の配合比の試験を行うことで今後解明していき たい。今回の試験において、石灰5 %、籾殻灰10 %の配合比において最も一軸圧縮強さが大きく、この籾殻 灰配合比10 %が生石灰5 %に対する最適な配合比であると言える。このことから、試験条件の中から最も大 きい一軸圧縮強さが得られた条件は、生石灰に対する籾殻の配合比1:2である。なお、養生3日までは全配合 比においてほぼ同様に一軸圧縮強さが増加し、養生7日以降の一軸圧縮強さに差があることから、養生3日目 までは、生石灰により強度が増加し、それ以後が籾殻灰に含まれるシリカによって促進されるポゾラン反応 による強度増加であると考えられる。また、籾殻灰を加えたパターンにおいては、養生28日以降、一軸圧縮 強さの変化が養生28日以前よりも小さいことから、ポゾラン反応による強度発現は養生28日までに起こると 推定される。 図4に籾殻灰配合比10 % 養生3日目の供試体3個(供試体①、②、③)に対する応力ひずみ曲線、図5に図4と 同じ配合条件で養生56日目の供試体2個(供試体①、②)に対する応力ひずみ曲線を示す。このグラフから、養 生3日目では、材料は延性を保っているが、養生56日においては脆性破壊が生じていることがわかる。 図6に破壊ひずみと養生日数を全配合比で比較したグラフを示す。破壊ひずみは圧縮応力が最大値を取る 時のひずみである。すべての配合比において、養生期間が長くなるにつれて、破壊ひずみが小さくなること がグラフからわかる。 図3 養生日数と一軸圧縮強さの関係 0 200 400 600 800 1000 0 7 14 21 28 35 42 49 56 生石灰5% 生石灰5% 籾殻灰 5% 生石灰5% 籾殻灰 10% 生石灰5% 籾殻灰 15% 養生日数 一軸圧縮強さ (k N /㎡) 図4 籾殻灰配合比10 %・養生3日目に対する応力ひずみ曲線 図4 籾殻灰配合比 10 % ・養生 56 日目に対する応力ひずみ曲線 図6 養生日数と破壊ひずみの関係 7 養生日数と変形係数の関係 0 50 100 150 200 250 300 0 2 4 6 8 10 ① ② ③ ひずみ(%) 圧縮応力( k N /㎡) 0 2 4 6 8 10 0 7 14 21 28 35 42 49 56 生石灰5% 生石灰5% 籾殻灰 5% 生石灰5% 籾殻灰 10% 生石灰5% 籾殻灰 15% 養生日数 破壊ひ ず み (%) 0 50 100 150 200 250 0 7 14 21 28 35 42 49 56 生石灰5% 生石灰5% 籾殻灰 5% 生石灰5% 籾殻灰 10% 生石灰5% 籾殻灰 15% 養生日数 変形係数 (M N /㎡) 0 200 400 600 800 1000 1200 1400 0 0.5 1 1.5 ① ② 圧縮応力 (k N /㎡) ひずみ (%)

(6)

特に、全配合比において、養生7日までに大きく低下する。ここから、生石灰による脱水反応で改良土が締 め固まり、延性が小さくなることが考えられる。養生14日以降は、どの配合比でもほぼ同様の値をとってい る。このことから、破壊ひずみの大きさは試料または生石灰の配合比に依存すると考えられる。 図7に、変形係数と養生日数を全配合比で比較したグラフを示す。変形係数E50[MN/m2]は材料の変形しに くさを示すパラメータであり、以下のように算出される。 𝐸𝐸50= 𝑞𝑞𝑢𝑢 2 𝜖𝜖50 × 1 10 (5) ここに、𝑞𝑞𝑢𝑢:一軸圧縮強さ[kN/m2]、𝜖𝜖50: 圧縮応力が一軸圧縮強さの12のときのひずみ[%]、である。同じ力を 与えたときに、変形係数が大きいほうがひずみ、すなわち変形が小さい。 籾殻灰配合比0 %においては、養生28日までは変形係数が増加傾向にあり、養生56日で減少している。籾 殻灰配合比5、15 %においては養生7日までは増加し、それ以降、減少傾向にある。籾殻灰配合比10 %におい ては、養生28日でわずかに減少するが、養生28日から56日で大きく増加している。養生56日の最終的な変形 係数は籾殻灰配合比10 %が最も大きく、他の配合比はほぼ同じ値をとっている。このことから、変形係数の 観点からも、本試験においては生石灰5 %に対して籾殻灰配合比10 %が最適な配合比率であると言える。 4.おわりに 本研究では、発展途上国において安価で大量に入手可能な生石灰とイネ籾殻灰を用いた地盤改良工法の開 発を目的として、生石灰とイネ籾殻灰による地盤改良の可能性、イネ籾殻灰の配合率および養生日数が改良 土の強度特性、変形特性に与える影響を実験的に検討し、生石灰と籾殻灰による地盤改良の有効性と、生石 灰5 %に対する籾殻灰配合比が与える影響について明らかにした。 具体的には、一軸圧縮試験を行い、一軸強さ、破壊ひずみ、変形係数を求めることで石灰と籾殻灰の配合 率と養生期間が与える改良土の強度特性、変形特性への影響を評価した。その結果、適量の籾殻灰を加える ことで一軸圧縮強さが向上し、混合土は硬化し、文化財保護のための地盤改良工法として適用できると考え る。籾殻灰配合比5、10 %においては、養生期間に比例して一軸圧縮強さが増加する。養生期間を56日とし た場合、籾殻灰配合比10 %において一軸圧縮強さが最も大きいという結果がえられた。その一方で、養生日 数を重ねるごとに、破壊ひずみが減少し、脆性破壊が生じることがわかった。また、変形係数は籾殻灰配合 比10 %では、養生期間に比例して大きくなり、最終的に養生56日で他の配合比よりも大きな値をとり、変形 係数の観点からも、生石灰5 %に対して籾殻灰配合比10 %が今回の試験条件の中では最適な配合比率である と言える。 今後、材料の他の配合比で試験を行うことによって最適な配合比を求める。そして、様々な配合比の改良 土の土質パラメータを取得し、数値解析によって改良効果の検証を行い、具体的な目標強度の設定をする。 また、脆性破壊への対策も今後の課題として挙げられる。 参考文献

1) 森實千惠,酒匂一成,Ha Hong Bui,水田哲生,深川良一,里深好文: 河岸の侵食による文化財への被害の軽減を目指 したSPH法を用いた数値シミュレーションの開発,歴史都市防災論文集,Vol.4,pp.99-106,2010.

2) 日本石灰協会石灰安定処理委員会:石灰による軟弱地盤の安定処理工法,鹿島出版会,1983.

3)D. H. PHAN, T. A. LE and M. V. KHUC, Study on effect of blast furnace slag and rice husk ash on compressed cement-soil materials, Proceedings of the 4th Vietnam/Japan Joint Seminar on Geohazards and Environmental Issues, Paper No.S3-6, 2014. 4) 杉田修一,庄谷征美: ポゾラン材としてのもみがら灰の有効利用に関する研究,土木学会論文集,No.526,V-29,

pp43-53,1995.

5) 李徳河,安定処理した土の強度とその浸蝕特性について,国立成功大学土木工程研究所修士論文,1976年4月. 6) Ministry of natural resources and environment, Ministry of foreign affairs of the Netherlands: Climate Change Impacts in Houng

River and Adaptation in its Coastal Phu Vang, Thua Thien Hue province Final report, 2008.

7) 嘉門雅史,乾徹,東海林寛:セメント固化を用いた地盤改良工法における地盤環境影響の実験的検討,京都大学防災研 究所年報,第48号B,2005.

図 1 フエの位置 (Google Map  に加筆 ) 図 2 フォーン川沿いの世界遺産 (Google Map  に加筆 )

参照

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