簡易な生物濃縮・曝露モデルによる環境修復対策の評価
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(2) 140. また,水中および底泥の間で濃度が平衡状態にある. 度になっていく様子を示している。. と仮定して,水中クロルデン濃度は底泥中クロルデン 濃度から求めた。. C5=吼。唯C叩. =一た・5C. (5). (2). SC:底泥中クロルデン濃度(ng/g(C)) cs:底泥中クロルデン濃度(ng/g(dry)). A:底泥除去面積(ポ). た:底泥中化学物質の分布係数(1/ポ). 監:有機性炭素への吸着平衡定数(L/g(C)) 肱:底泥中の強熱減量g(C)/g(dry). したがって,魚体中クロルデン濃度の目標値と現状 の底泥中クロルデン濃度が与えられた時,目標濃度に. (2)底泥除去モデル. ここでは,底泥の凌藻をとりあげた。いま,底泥中. なる底泥除去面積は式(6)で与えられる。. クロルデン濃度が,水中クロルデン濃度および餌の体 中クロルデン濃度と比例の関係があり,また,魚が生. A=−‡g乃(豊). まれたときの体中クロルデン濃度はゼロであると仮定. (6). すると,底泥中クロルデン濃度の減少に比例して魚体. 中クロルデン濃度が減少する。この仮定から,凌藻前. (3)費用関数. と汝諜後の底泥中クロルデン濃度の比は,凌深前と凌. 代替案の費用としては,底泥除去の費用と追加調査. 諜後の魚体中クロルデン濃度の比に等しくなる。よっ. 費用の2つを取り上げた。凌探する深さを1mと仮定. て,目標とする底泥中クロルデン濃度は次のようにな. し,底泥除去面積をA。(ポ),目標の底泥中クロルデ. る。. ン濃度になる最適な除去面積をA。(d)とする。も し,A。≧A。であれば,目標値に対して十分な除去が. SCf=. 行われたので,単位面積当たりの凌諜費用をunitcost. ββg・SC。 且β。. (3). (円/nf)とすると,この時の全費用は単にunitcost. Ad(円)となる。一方,もしA。<Acであれば,凌諜 SC,:目標底泥中クロルデン濃度(ng/g(C)). は不十分であり目標の底泥中クロルデン濃度には達し. BB,:目標魚体中クロルデン濃度(ng/g(wet)). ない。したがって追加費用がかかる。そこで目標値に. SC。:現在の底泥中クロルデン濃度(ng/g(C)). 達するA。まで,追加の凌諜が必要で最終的に,全底. 且凱:現在の魚体中クロルデン濃度. 泥除去面積はAcとなり,unitcostA。(円)の費用が かかる。さらに,その際には追加の調査費用や,汝諜. (ng/g(wet)). 工事による漁場の閉鎖などによる補償などの費用がか. かることになる。ここでは,それらの追加費用をすべ. また,目標とする魚体中クロルデン濃度BBtは, 慢性影響に依拠した人への健康リスクを目標値として. て合わせてaddcost(円)とする。以上のことをまと. 次の式から求めた。. めると費用関数は次のようになる。. エ(A。14)=〟乃才ね05いAd (Ad≧4) (4). =〟乃乞わO言古・A。+αddcoぶf. (Ad<4). Aα:クロルデンの1人1日あたり許容摂取量 (ng/kg day). エ(A。IA。):目標値がA。の時A。を実施した際かか. T:1人1日あたりの魚の摂取量(g/kg day). る費用(円) 〟乃お0ぶ才:単位面積あたりの除去費用(円/d). 底泥除去面積を求めるにあたり,底泥中クロルデン. αddcosJ:不十分な除去による追加費用(円). 濃度の面的分布が(5)式で示される一次反応に従うもの. と仮定する。この式(5)は,濃度の面的分布が,ある地 点に高濃度域があり,そこから周辺に向かって,低濃. (4)期待費用. 魚体中クロルデン濃度は確率分布で与えられるため. (7).
(3) 141. その分布から決定される必要な底泥除去面積もまたあ. 考にして決定した。処理費用unit costは実際に行わ. る確率分布として与えられる。そこで,代替案の費用. れた凌諜事例から単位面積当たりの費用の平均値を求. の期待値は式(8)で計算した。. めて設定した3)。追加費用addcostについては,デー タの入手ができなかったため,参考文献2)のunitcost. 揖(Ad)]=J。。エ(AdlAc)丘珠)吼. とaddcostの比から求めた。ここで設定された値は, (8). 漁場が閉鎖されることで生じる費用,追加の調査の費 用等がはいっておりかなり高目の値となっている。. 且旺(A。)]:A。に関する期待費用(円) ん(A。):A。の確率密度関数. 4.計算方法 環境庁による昭和58年の化学物質モニタリングデー. また,パラメータの値に対して仮に完全な情報が得. られ,不確実性がすべて取り除かれる場合を考える。 このとき,底泥除去面積は常にA。=A。であり,除去. この値をもとに生物濃縮モデルから現在の魚体中クロ. 費用は常にunitcost Ac(円)となる。ゆえに,パラ. ルデン濃度BBa(=Ⅴ)および水中クロルデン濃度を求. メータに対する完全情報による期待費用は次のように. める。また,クロルデンの1人1日許容摂取量ADI. タ4)からクロルデンの底泥中濃度の観測値を用いる。. から,底泥除去後の目標となる魚体中クロルデン濃度. なる。. BBtを決める。そして,その目標値に対応する底泥除 去面積A。を決め,代替案となる底泥除去面積Adと比. E[エ(♪gゆc古物わ〝乃α才わ乃)]. =J。。 (祝乃抽・4)扉A)吼. (9). 較し,費用を計算する。 以上の計算を,表1に設定したパラメータを用いて, 反復回数10,000回でモンテカルロ・シミュレーション. 且旺払β,兜c方言タちわ竹花α如乃)]:完全情報による期待 費用(円). を行った。なお,反復回数100,1,000回で同様に計算. し,解の安定性等から10,000回で行った結果で議論す ることとした。. 各パラメータに不確実性を考慮した場合のクロルデ 表1 パラメータの設定値. ンを含む魚を食することで生じる健康リスクを回避す. るために必要な底泥の除去対策の期待費用と,完全情 報を仮定し,各パラメータに不確実性が除かれた場合. の底泥除去対策の期待費用の差,EVPI(the ex− pected value of perfectinformation)を計算し た2)。. 3.事例適用 底泥中クロルデンの低減対策を四日市港,大阪港, 洞海湾の3地点について,目標とする魚体中クロルデ ン濃度BBtを,1/500および1/1000(安全率に相 当する係数を乗じて)とした2通りの場合で,シミュ レーションを行う。計算にあたっての前提条件は次の. 7T 釘kg4ay 1 5.結果 ここでは,目標値を1/500に設定したときの四日 市港を例に結果を示す。モンテカルロ・シミュレーショ. 通りである。. ・対象とする魚は,生まれてから1年の魚とする。. ンにより魚体中クロルデン濃度の分布が図1のように. ・対象とする魚は,1種類の餌を食べている。. 示される。魚体中クロルデン濃度は,1・5ng/gを最. ・不確実と考えられる環境パラメータは正規分布,三. 頻値に0∼6・5ng/gの間で分布している。図2は図1. 角形分布にて与えた。. で表される魚体中クロルデン濃度に対して,底泥除去. その他,計算に用いたパラメータの値および分布形. 後の目標の濃度に達する最適な底泥除去面積A。の分. を表1に示す。パラメー. タの設定は,参考文献2)を参. 布を示している。.
(4) 142. 3000. 代替案の実施規模が小さい場合,期待費用の大部分. 2500. は,不十分な除去によるものである。この不十分な除. 2000. 去は,目標の底泥除去面積の不確実性から生じている。 そのため,この不確実性を減少することができれば,. 選1500. 期待費用を減少することができる。EVPIは,完全情. 1000. 報により不確実性がすべて除かれたときの期待費用の. 500. 減少量に値している。実際は,不確実性をすべて除く ことはできないが,EVPIは不確実性を減らす限界の. 0. L(つ. l∫⊃. l.‘つ. l∫つ l.‘つ Lq. L‘つ. l.∫⊃. O ・−■ N の ∀ l.n く」ヨ ヒー. 魚体中クロルテン濃度BB.(ng/g) 囲= 魚体中クロルデン濃度の分布. 期待値の指標として用いることができる。言い換える ならば,不確実を減らすために使うことのできる最大 の費用を意味している。ここでは,1.779億円がそれ に催している。その他の地点に適用した結果を表2に. 図3に底泥除去面積と期待費用の関係を示した。底. 示す。. 泥除去面積が20,000Ⅰゴのとき期待費用は最小値2.440 億円となり,この四日市港の場合,20,000dが最善の. 表2 各地点での期待費用とEVPI. 底泥除去面積といえる。ここでの費用は,仮設定値で あるため絶対値としての意味は持たない。一方,完全 情報により不確実性がすべて取り除かれる場合では, 期待費用は0.6620億円となる。これにより,EVPIを 計算すると,1.779億円であった。. 6.結論 環境パラメータに不確実性が入る場合の代替案評価 を底泥に蓄積したクロルデンを例にして行った。生物 濃縮,暴露,代替案評価モデルを先行研究に従い概説 し,それを日本の沿岸域3地点に対して適用した。結 論は次の通りである。 (1)用いたモデルは簡易であり,少ないパラメータで評 000〓. 000り. ○享○︻. ○¢ON. 価できる点が長所といえるが,逆に実際適用にあたっ ては詳細検討の前段階での予備的な検討のための手. 最適な除去面積Å。(m2) 国2 最適な底泥除去面積の分布. 段と位置づけられる。 (2)四日市港,大阪港,洞海湾の3地点それぞれについ てパラメータの不確実性を考慮して底泥除去面積に. 7. 対する期待費用を計算し,健康リスクに依拠した底. べて除かれたときの期待費用を計算することで,パ. 5 .4一. ︵巴ぜ︶旺虹旺諾. βU. 泥除去面積を決定することができた。 (3)パラメータに対し完全情報を仮定し,不確実性がす. ラメータの不確実性を減らすことで得られる効果を EVPIによって示した。. 3 2. ○. く). く>. く>. ○. <>. 1. 毒. く> く⊃. く> く> く> く> ○ く> くっ くっ. ▼■■ll■. 寸 N. 亡> OD q⊃ NM寸「rリー. ∧U. 底泥除去面積Åd(m2). 国3 底泥除去面積と期待費用.
(5) 143. 謝辞. 本研究は,文部省科学研究補助費重点領域人間地球 系課題番号07263230「環境運命予測・リスク評価モデ. 2)Maxine E.Dakins,John E・Toll and MitchellJ.Small:Risk−based environmental. remediation:Decision framework and role. ルにおける情報の価値の計測」(代表東海明宏)なら. of uncertainty,EnvironmentalToxicology. びに科学技術振興事業団の戦略的基礎研究推進事業. and Chemistry,Vol・13,No・12,PP・1907−1915,. (CREST)の支援のもとに推進されました。. 1994. 3)弘田英人:平成6年度海域浄化対策事業の予算に. 【参考文献】. 1)環境庁環境法令研究会:環境六法,平成7年度版, pp・2407−2713. ついて,ヘドロ,No・60,pp・14−19,1994・ 4)環境庁環境保健部保健調査室:化学物質と環境 昭和58年版..
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