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簡易な生物濃縮・曝露モデルによる環境修復対策の評価

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Academic year: 2021

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(1)横浜国大環境研紀要 23:139−143(1997). 簡易な生物濃縮・曝露モデルによる環境修復対策の評価* Evaluation of EnvironmentalRemediation Alternatives with the Example of Dredging Sediment Contaminated with Chlordane 東海 明宏** Akihiro ToKAI‥ SynopsIS Uncertaintiesincludedin the exposure and risk estimation modelhave not been. wellevaluated.This paper discusses about that from the methodologlCalpoint of view.With theillustration of chlordane that had been used as termite,Simple expo−. sure and risk modelwas developed and somealternatives were evaluatedin terms of risk and cost of them.Finally,the value ofinformation analysIS WaS Carried. out for the evaluation of alternatives and some criticalparameters wereidentified.. 1.背景と目的 化学物質は環境に排出された後,その物理化学性状 に支配されて各環境メディアに滞留する。化学物質の. 2.解析方法2) 解析にあたり,まずクロルデンの環境運命・暴露・ 代替案費用推定モデルを概説する。. 環境への放出量が削減されると,環境中濃度は低下す るが,分解性が低くかっ吸着性が高い物質の場合,底 泥中に残留した成分が2次的な汚染源として継続する. (1)生物濃縮モデル. 化学物質の挙動は,水中および底泥の間で濃度が平. 可能性がある。この間題に対し,Hg,PCBを対象に. 衡状態にあると仮定したモデルを用いる。そこに生息. してすでに底泥の除去の判定基準が策定1)され,実際. する魚体中クロルデン濃度は,呼吸・餌からの経路で. に波深等が行われてはいるものの判定にあたって用い. クロルデンを摂取し,排泄・成長により体内中濃度が. られる各種の環境パラメータの不確定性は必ずしも十. 希釈されるという機構で決まる。したがって,クロル. 分考慮されているわけではない。その点に閲し,モン. デンの魚への蓄積ほ次の物質収支式で表せる。. テカルロシミュレーションを用いて底泥に蓄積した. PCBの評価を行った方法2)はパラメータの不確定性 と代替案の費用の変動を明らかにしており,環境修復. 忽=吼Cひ+∑αC弼−(∬+G)明 ブ空J. 技術の評価手法として適用性が期待できるため,本研 究では対象化学物質に有機塩素化合物クロルデンをと. りあげて同様の枠組みで検討した結果を報告する。. vi:i年の魚体中クロルデン濃度(ng/g(wet)) 藍:鯉からの摂取速度係数(L/g day) c町:水中クロルデン濃度(ng/L). *キーワード:環境計画,,リスク,情報の価値 **環境科学研究センター環境計量経済学研究室. Department of EnvironmentalEconometrics,In− stitute of EnvironmentalScience and Technol−. α:化学物質吸収効率. Cヴ:魚iによる餌jの消費割合(g餌/g魚day) wj:餌jの体中クロルデン濃度(ng/g)The. Ogy,Yokohama NationalUniversity. 茸:排泄による速度係数(1/day). (1996年12月10日受領). G:成長速度係数(g/g day). (1).

(2) 140. また,水中および底泥の間で濃度が平衡状態にある. 度になっていく様子を示している。. と仮定して,水中クロルデン濃度は底泥中クロルデン 濃度から求めた。. C5=吼。唯C叩. =一た・5C. (5). (2). SC:底泥中クロルデン濃度(ng/g(C)) cs:底泥中クロルデン濃度(ng/g(dry)). A:底泥除去面積(ポ). た:底泥中化学物質の分布係数(1/ポ). 監:有機性炭素への吸着平衡定数(L/g(C)) 肱:底泥中の強熱減量g(C)/g(dry). したがって,魚体中クロルデン濃度の目標値と現状 の底泥中クロルデン濃度が与えられた時,目標濃度に. (2)底泥除去モデル. ここでは,底泥の凌藻をとりあげた。いま,底泥中. なる底泥除去面積は式(6)で与えられる。. クロルデン濃度が,水中クロルデン濃度および餌の体 中クロルデン濃度と比例の関係があり,また,魚が生. A=−‡g乃(豊). まれたときの体中クロルデン濃度はゼロであると仮定. (6). すると,底泥中クロルデン濃度の減少に比例して魚体. 中クロルデン濃度が減少する。この仮定から,凌藻前. (3)費用関数. と汝諜後の底泥中クロルデン濃度の比は,凌深前と凌. 代替案の費用としては,底泥除去の費用と追加調査. 諜後の魚体中クロルデン濃度の比に等しくなる。よっ. 費用の2つを取り上げた。凌探する深さを1mと仮定. て,目標とする底泥中クロルデン濃度は次のようにな. し,底泥除去面積をA。(ポ),目標の底泥中クロルデ. る。. ン濃度になる最適な除去面積をA。(d)とする。も し,A。≧A。であれば,目標値に対して十分な除去が. SCf=. 行われたので,単位面積当たりの凌諜費用をunitcost. ββg・SC。 且β。. (3). (円/nf)とすると,この時の全費用は単にunitcost. Ad(円)となる。一方,もしA。<Acであれば,凌諜 SC,:目標底泥中クロルデン濃度(ng/g(C)). は不十分であり目標の底泥中クロルデン濃度には達し. BB,:目標魚体中クロルデン濃度(ng/g(wet)). ない。したがって追加費用がかかる。そこで目標値に. SC。:現在の底泥中クロルデン濃度(ng/g(C)). 達するA。まで,追加の凌諜が必要で最終的に,全底. 且凱:現在の魚体中クロルデン濃度. 泥除去面積はAcとなり,unitcostA。(円)の費用が かかる。さらに,その際には追加の調査費用や,汝諜. (ng/g(wet)). 工事による漁場の閉鎖などによる補償などの費用がか. かることになる。ここでは,それらの追加費用をすべ. また,目標とする魚体中クロルデン濃度BBtは, 慢性影響に依拠した人への健康リスクを目標値として. て合わせてaddcost(円)とする。以上のことをまと. 次の式から求めた。. めると費用関数は次のようになる。. エ(A。14)=〟乃才ね05いAd (Ad≧4) (4). =〟乃乞わO言古・A。+αddcoぶf. (Ad<4). Aα:クロルデンの1人1日あたり許容摂取量 (ng/kg day). エ(A。IA。):目標値がA。の時A。を実施した際かか. T:1人1日あたりの魚の摂取量(g/kg day). る費用(円) 〟乃お0ぶ才:単位面積あたりの除去費用(円/d). 底泥除去面積を求めるにあたり,底泥中クロルデン. αddcosJ:不十分な除去による追加費用(円). 濃度の面的分布が(5)式で示される一次反応に従うもの. と仮定する。この式(5)は,濃度の面的分布が,ある地 点に高濃度域があり,そこから周辺に向かって,低濃. (4)期待費用. 魚体中クロルデン濃度は確率分布で与えられるため. (7).

(3) 141. その分布から決定される必要な底泥除去面積もまたあ. 考にして決定した。処理費用unit costは実際に行わ. る確率分布として与えられる。そこで,代替案の費用. れた凌諜事例から単位面積当たりの費用の平均値を求. の期待値は式(8)で計算した。. めて設定した3)。追加費用addcostについては,デー タの入手ができなかったため,参考文献2)のunitcost. 揖(Ad)]=J。。エ(AdlAc)丘珠)吼. とaddcostの比から求めた。ここで設定された値は, (8). 漁場が閉鎖されることで生じる費用,追加の調査の費 用等がはいっておりかなり高目の値となっている。. 且旺(A。)]:A。に関する期待費用(円) ん(A。):A。の確率密度関数. 4.計算方法 環境庁による昭和58年の化学物質モニタリングデー. また,パラメータの値に対して仮に完全な情報が得. られ,不確実性がすべて取り除かれる場合を考える。 このとき,底泥除去面積は常にA。=A。であり,除去. この値をもとに生物濃縮モデルから現在の魚体中クロ. 費用は常にunitcost Ac(円)となる。ゆえに,パラ. ルデン濃度BBa(=Ⅴ)および水中クロルデン濃度を求. メータに対する完全情報による期待費用は次のように. める。また,クロルデンの1人1日許容摂取量ADI. タ4)からクロルデンの底泥中濃度の観測値を用いる。. から,底泥除去後の目標となる魚体中クロルデン濃度. なる。. BBtを決める。そして,その目標値に対応する底泥除 去面積A。を決め,代替案となる底泥除去面積Adと比. E[エ(♪gゆc古物わ〝乃α才わ乃)]. =J。。 (祝乃抽・4)扉A)吼. (9). 較し,費用を計算する。 以上の計算を,表1に設定したパラメータを用いて, 反復回数10,000回でモンテカルロ・シミュレーション. 且旺払β,兜c方言タちわ竹花α如乃)]:完全情報による期待 費用(円). を行った。なお,反復回数100,1,000回で同様に計算. し,解の安定性等から10,000回で行った結果で議論す ることとした。. 各パラメータに不確実性を考慮した場合のクロルデ 表1 パラメータの設定値. ンを含む魚を食することで生じる健康リスクを回避す. るために必要な底泥の除去対策の期待費用と,完全情 報を仮定し,各パラメータに不確実性が除かれた場合. の底泥除去対策の期待費用の差,EVPI(the ex− pected value of perfectinformation)を計算し た2)。. 3.事例適用 底泥中クロルデンの低減対策を四日市港,大阪港, 洞海湾の3地点について,目標とする魚体中クロルデ ン濃度BBtを,1/500および1/1000(安全率に相 当する係数を乗じて)とした2通りの場合で,シミュ レーションを行う。計算にあたっての前提条件は次の. 7T 釘kg4ay 1 5.結果 ここでは,目標値を1/500に設定したときの四日 市港を例に結果を示す。モンテカルロ・シミュレーショ. 通りである。. ・対象とする魚は,生まれてから1年の魚とする。. ンにより魚体中クロルデン濃度の分布が図1のように. ・対象とする魚は,1種類の餌を食べている。. 示される。魚体中クロルデン濃度は,1・5ng/gを最. ・不確実と考えられる環境パラメータは正規分布,三. 頻値に0∼6・5ng/gの間で分布している。図2は図1. 角形分布にて与えた。. で表される魚体中クロルデン濃度に対して,底泥除去. その他,計算に用いたパラメータの値および分布形. 後の目標の濃度に達する最適な底泥除去面積A。の分. を表1に示す。パラメー. タの設定は,参考文献2)を参. 布を示している。.

(4) 142. 3000. 代替案の実施規模が小さい場合,期待費用の大部分. 2500. は,不十分な除去によるものである。この不十分な除. 2000. 去は,目標の底泥除去面積の不確実性から生じている。 そのため,この不確実性を減少することができれば,. 選1500. 期待費用を減少することができる。EVPIは,完全情. 1000. 報により不確実性がすべて除かれたときの期待費用の. 500. 減少量に値している。実際は,不確実性をすべて除く ことはできないが,EVPIは不確実性を減らす限界の. 0. L(つ. l∫⊃. l.‘つ. l∫つ l.‘つ Lq. L‘つ. l.∫⊃. O ・−■ N の ∀ l.n く」ヨ ヒー. 魚体中クロルテン濃度BB.(ng/g) 囲= 魚体中クロルデン濃度の分布. 期待値の指標として用いることができる。言い換える ならば,不確実を減らすために使うことのできる最大 の費用を意味している。ここでは,1.779億円がそれ に催している。その他の地点に適用した結果を表2に. 図3に底泥除去面積と期待費用の関係を示した。底. 示す。. 泥除去面積が20,000Ⅰゴのとき期待費用は最小値2.440 億円となり,この四日市港の場合,20,000dが最善の. 表2 各地点での期待費用とEVPI. 底泥除去面積といえる。ここでの費用は,仮設定値で あるため絶対値としての意味は持たない。一方,完全 情報により不確実性がすべて取り除かれる場合では, 期待費用は0.6620億円となる。これにより,EVPIを 計算すると,1.779億円であった。. 6.結論 環境パラメータに不確実性が入る場合の代替案評価 を底泥に蓄積したクロルデンを例にして行った。生物 濃縮,暴露,代替案評価モデルを先行研究に従い概説 し,それを日本の沿岸域3地点に対して適用した。結 論は次の通りである。 (1)用いたモデルは簡易であり,少ないパラメータで評 000〓. 000り. ○享○︻. ○¢ON. 価できる点が長所といえるが,逆に実際適用にあたっ ては詳細検討の前段階での予備的な検討のための手. 最適な除去面積Å。(m2) 国2 最適な底泥除去面積の分布. 段と位置づけられる。 (2)四日市港,大阪港,洞海湾の3地点それぞれについ てパラメータの不確実性を考慮して底泥除去面積に. 7. 対する期待費用を計算し,健康リスクに依拠した底. べて除かれたときの期待費用を計算することで,パ. 5 .4一. ︵巴ぜ︶旺虹旺諾. βU. 泥除去面積を決定することができた。 (3)パラメータに対し完全情報を仮定し,不確実性がす. ラメータの不確実性を減らすことで得られる効果を EVPIによって示した。. 3 2. ○. く). く>. く>. ○. <>. 1. 毒. く> く⊃. く> く> く> く> ○ く> くっ くっ. ▼■■ll■. 寸 N. 亡> OD q⊃ NM寸「rリー. ∧U. 底泥除去面積Åd(m2). 国3 底泥除去面積と期待費用.

(5) 143. 謝辞. 本研究は,文部省科学研究補助費重点領域人間地球 系課題番号07263230「環境運命予測・リスク評価モデ. 2)Maxine E.Dakins,John E・Toll and MitchellJ.Small:Risk−based environmental. remediation:Decision framework and role. ルにおける情報の価値の計測」(代表東海明宏)なら. of uncertainty,EnvironmentalToxicology. びに科学技術振興事業団の戦略的基礎研究推進事業. and Chemistry,Vol・13,No・12,PP・1907−1915,. (CREST)の支援のもとに推進されました。. 1994. 3)弘田英人:平成6年度海域浄化対策事業の予算に. 【参考文献】. 1)環境庁環境法令研究会:環境六法,平成7年度版, pp・2407−2713. ついて,ヘドロ,No・60,pp・14−19,1994・ 4)環境庁環境保健部保健調査室:化学物質と環境 昭和58年版..

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