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90年代の愛知県財政と大規模プロジェクト

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Academic year: 2021

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(1)       90年 代 の 愛知 県 財政 と大 規 模 プ ロ ジ ェク ト                                     山. 田    明. は じめ に.   日本 経 済 は 長 ら くバ ブル 後 遺 症 に 悩 ま され て きた が 、地 域 と 自治 体 も例 外 で は な い 。 地域 経 済 の低 迷 や 開 発 の行 き詰 ま り、 地 方 自治 体 の財 政 悪 化 な どで あ る。 なか で も注 目され るの が 、戦 後 第 三 の地 方 財 政 危 機 で あ り、 「自治 体 倒 産 」 も現 実 味 を 帯 び て い る。   97年 度 決 算 を ま とめ た 地 方 財 政 白書 に よ る と、地 方 財 政 の硬 直 化 が ます ます 進 行 して い る 。 公 債 費 負 担 比 率 は15.2%と も全 体 の56.5%に. 過 去 最 高 の 水 準 まで 上 昇 し、警 戒 ラ イ ソ とされ る15%を 上 回 った 自治 体. のぼ る。 一 般 財 源 で あ る税 収 が 落 ち込 む なか で、 過 去 に発 行 した 巨 額 の地 方 債. の償 還 負 担 が か さみ 、 財 政 硬 直 化 に 拍 車 を か け て財 政 運 営 を 困難 に して い る。98年 度 決 算 で は 、 大 都 市 圏 の都 府 県 を 中 心 に赤 字 に 転 落 した 。 東京 都 の1,067億 円 の 赤 字 を筆 頭 に 、 赤 字 団 体 に 転 落 した 自治 体 も少 な くな い。 こ うした 事 態 は 都道 府 県 だ け で な く、 市 町 村 レベ ル で も数 年 の うち に続 出 しそ うで あ る。   今 回 の地 方 財 政 危 機 で注 目され るの が 、 第 三 セ クタ ー の経 営 破 綻 で あ る。 バ ブル 時 代 に設 立 さ れ た開 発 型 ほ ど経 営 悪 化 が 深 刻 で あ り、 自治 体財 政 へ の影 響 も無 視 で き な くな って きた 。 自治 省 は地 方 公 共 団 体 の第 三 セ ク タ ーへ の 関 わ りの あ り方 に 関す る研 究 会 を 設 置 し、99年5月. に 「第 三. セ ク タ ーに 関 す る指 針 」 を と りま とめ た 。 第 三 セ クタ ーへ の指 導 監 督 の強 化 、 経 営 悪 化 へ の速 や か な対 応 、 清 算 の法 的 手 続 きな どを 提 示 して い る。 民 活 の担 い手 と して 急 増 した 第 三 セ クタ ー は 、 本 格 整 理 の時 代 を む か えた 。 また 、 土地 開発 公社 が長 年 もち つ づ け て い る未 利 用 地 、 い わ ゆ る 「 塩 漬 け 土 地 」 が 自治 体 の重 圧 に な って い る。 自治 体 が抱 え る 「 不 良 資 産 」 で あ り、 これ もバ ブ ル 後 遺 症 とい え よ う。   なぜ 戦 後 第 三 の 地 方 財 政 危 機 な の か。 そ れ は バ ブ ル崩 壊 後 の経 済 情 勢 や 財 政 運 営 、 政 策展 開 に か か わ る直 接 的 な 要 因 と、 現 行 の 行財 政 シス テ ムな どの構 造 的 な要 因 とに大 別 で き る。   歳 入 面 で は 、 パ ブル 崩 壊 と長 引 く景気 低迷 に よる税 収 の落 ち込 み が 決 定 的 で あ る。税 収 の な か で も法 人 関 係 税 の 落 ち込 み が 激 し く、 そ の ウエ イ トが高 い大 都 市 圏 の都 府 県 ほ ど深 刻 な 危機 に み まわ れ た 。 国 税 に 傾 斜 す る税 源 配 分 の も とで 、税 収 の不 安 定 性 や 課 税 基 盤 の 弱 さが 露 呈 した。 そ れ と再 三 に わ た る国 の減 税 政 策 も、 自治 体 の税 収 減 に拍 車 を か け た。   歳 出面 で 重 要 な のは 、 税 収 減 に もか か わ らず 積 極 的 な財 政 運 営 が展 開 され た こ とで あ る。 高 め の税 収 見 積 り、 基 金 の取 り崩 し、 そ して 起債 拡大 が繰 り返 され た。 国 の景 気 対 策 に 地 方 財 政 が 全 面 的に 動 員 され 、 補 正 予 算 な どを 通 じて 地方 単独 事 業 の上 積 み を はか った 。 地 方 自治 体 も景気 対 策 の追 い風 を うけ て、 いわ ゆ るハ コモ ノ行 政 に 力 を いれ 、 バ ブ ル 時 代 に 計 画 され た 大 規 模 プ ロ.

(2) ジ ェク トを推 進 した。 そ の財 源 と され た の が 地 方 債 で あ り、 プ ロ ジ ェ ク トの実 施 主 体 とな った の が第 三 セ クタ ー で あ る。 借 金 急 増 や 第三 セ ク タ ー問題 に特 徴 的 な今 回 の地 方 財 政 危機 は 、 バ ブ ル 崩 壊 とい う経 済 変 動 や 集 権 的 な 税 財 政 シス テ ムだ け で な く、 公 共 事 業 の大 盤 ぶ るま い に 象徴 され る財 政 運 営 に も注 目せ ね ば な らな い。 税 財 政 シス テ ム とい う構 造 要 因 と と もに 、公 共 事 業 や 大 規 模 プ ロ ジ ェク トの実 施 とい う政 策要 因 が 、財 政 危 機 を とらえ る うえ で 重 要 な の で あ る。   そ こで本 稿 で は 、98年 度 に戦 後 初 め て赤 字 団 体 に転 落 した 愛 知 県 を 例 に して 、90年 代 の地 方 財 政 危機 を検 証 して い きた い。 都 道 府 県 の なか で も 「 健 全 財政 」 を つ づ け て き た愛 知 県 が 、 な ぜ 財 政 危機 に み まわ れ た の か 、構 造 要 因 と地 域 開 発 な どの 政 策要 因 の 両面 か らア プ ローチ し てい く。 そ して 、現 在 す す め られ て い る大 規 模 プ ロジ ェク トの 現 実 を ふ ま え て 、 これ か らの 愛知 県 財 政 の 方 向 を提 示 して み た い。. 1.戦. (1)桑. 後 県 政 と財 政. 原 県政 か ら仲 谷 県 政 へ.   戦 後 の愛知 県 は、 現 在 まで5人 の 公選 知 事 に よ り県 政 が 担 わ れ て きた 。戦 後 ま も な い1947年 に 最 初 の公 選知 事 に 青 柳 秀 夫 が 就 任 した。 そ して 、講 和 を 前 に した51年4月 任 して 、 高度 成 長 期 の6期24年. に桑 原 幹 根 が 知 事 に就. に わ た り県 政 を担 当す る。75年 に は 桑 原 県政 に代 わ って 、 仲 谷 県. 政 が2期 つづ く。83年 に は 鈴 木 知事 が就 任 して、99年3月. に 神 田知 事 に交 代 す る まで4期16年. に. わ た り県政 を担 う。 戦後 の 公選 知 事 の なか で も、 や は り長期 に わ た る桑 原 県 政 と鈴 木 県 政 が 特 筆 され 、 財政 面 で も共 通 した傾 向 が み られ る。   こ うした知 事 の 変遷 か ら、戦 後 財 政 の流 れ を お お まか に フ ォ ロ ーで きる。 まず 高 度成 長 期 の 桑 原 県 政 、そ して70年 代 半 ば か ら80年 代 前 半 まで の仲 谷 県政 か らみ て い こ う。   桑原 県 政 の 時 代 は 、戦 後 財 政 シ ス テ ムが 確 立 して 、財 政 面 か ら も高度 成 長 政 策 を推 進 して きた 。 桑 原知 事 の も とで編 成 され た51年 度 予 算 は 、 県 単 独 の投 資 的 経 費 が増 額 され た が 、朝 鮮 戦 争 の 特 需 景気 に よ り大 幅 な黒 字 決 算 とな った 。好 調 な 財政 事情 も52年 度 に は い る と悪化 しは じめ る。 人 件費 の拡 大 、 国 の委 任 事 務 の増 加 あ るい は 豪雨 等 に よる災 害 の頻 発 な どに 、地 方 財 政 制 度 が 十 分 に対 応 で きず 、 不足 財 源 を補 て んす る こ とを 目的 と した地 方 財 政 平 衡 交 付 金 も、国 の財 政 事 情 か ら一 方 的 に 切 りつ め られ た 。53年 の13号 台風 に よる被 災 は、 財 政 事 情 を い ち だ ん と 悪 化 さ せ た。1)   この当 時 、全 国的 に も戦 後 第1回. 目の地 方 財 政 危 機 に み まわ れ て い た 。都 道 府 県 レベ ル で も、. 53年 度 で39団 体 、54年 度 で34団 体 が赤 字 に転 落 した 。 愛 知 県 も財 政 は 悪化 した が、 黒 字 を 維 持 す る ことは で きた。 こ うした 財 政 危機 に た い して 、54年 に 地 方 税 法 が 改 正 され、 地 方 交 付 税 制 度 も 創 設 され た。 そ の後 、 景 気 回復 に と もな っ て県 税 収 入 も漸 増 し、 県財 政 も56年 以降 に は い ち じる し く改 善 され て くる。 日本経 済 は 高度 成 長 の時 代 へ とす す み 、 地 方 財政 も成 長 促 進 型 の 財 政 へ と.

(3) 変 化 して くる。   61年2月. の定 例 県議 会 で 、桑 原 知 事 は予 算 案 につ い て、 「前年 度 に み られ た 災 害 中 心 予 算 の 性. 格 を脱 却 し、産 業 ・経 済 ・文 化 の各 般 にわ た り、 一 段 と強 い 前 向 きの 姿 勢 を とる こ とに よっ て 、 経 済成 長 の 安定 化 と よ り高 度 化 を はか った 」2)と述 べ 、経 済 の高 度 成 長 に対 応 して 財 政 運 営 を 推 進 す る方 針 を 明 らか に した 。 こ の年 度 か ら65年 度 に か け て 、 県財 政 は地 域 開発 を 中心 と した 県 政 の展 開 に対 応 し、 道 路 、 工 業 用 地 、 工 業 用 水 な どの産 業 基 盤 の整 備 に全 力 を あげ た 。   愛 知 県 の地 域 開 発 は 、 地 方 計 画 と と もに展 開 され た。58年 に策 定 され た第1次 地 方 計 画 は 、 重 化 学 工 業 化 を め ざす 名 古 屋 南 部 の 臨海 部 開発 に 力点 が お かれ た 。 と りわ け 製 鉄所 誘 致 が 重 点 課 題 と され 、59年 に は 東 海 製 鉄 の立 地 が決 ま った。 そ して 国 の所 得 倍 増 計 画 の策 定 と と もに 、地 方 計 画 の 改 訂 作 業 が は じま る。62年 の新 地方 計 画(第2次. 地 方 計 画)で は 、「3内 陸 ・3臨 海(小 牧 ・. 春 日井 と名 古屋 南 部 ・西部 、豊 田 ・刈 谷 と衣 浦 、豊 橋 ・豊 川 と東 三 河)」 とい う拠 点 開 発 が広 域 的 に す す め られ る。   地 域 開発 の展 開 に と もな い、 内陸 な い し臨 海 用 地 対 策 な どの特 別 会 計 、 企 業 局 とい う行 政 組 織 が新 設 され た。59年 に東 海 製 鉄 の進 出が 決 定 され た 時 に 、総 務 部 内 に 内陸 用 地 対 策 部 が 設 立 され た。 衣 浦 港 な どの臨 海 開 発 の方 は 、 港 湾 課 が 担 当 して い た。 内陸 と臨 海 の開 発 事 業 は 異 な る 組 織 で行 わ れ て いた が 、64年 に 統 合 され 、知 事 部局 か ら独 立 して地 方 公 営 企 業 法 の 適 用 を うけ る 企 業 局 が 誕 生 した 。 企 業 局 は80年 に は 水道 局 と統 合 され 、企 業 庁 と して活 動 を つ づ け る。 また 高 度 成 長 期 に は 、 経 済成 長 に と もな う自然 増 収 もあ り、 産 業 基 盤 だ け で な く、 が ん セ ン ター や教 育 施 設 な どの 生 活 関 連 施 設 の 整備 も一 定 すす め る こ とが で きた 。   73年 の 第1次 石 油 シ ョッ クを契 機 に高 成 長 が 困 難 に な り、 公 害 や 都 市 問題 も爆 発 す る 中 で 、 桑 原 県政 か ら仲谷 県 政 に バ トンタ ッチ され る。 県 財 政 も70年 代 半 ば で構 造 変 化 を とげ る。 仲 谷 県 政 は財 政 難 で 始 ま り、財 政 再 建 を方 向づ け て い く時 代 と特 色 づ け られ る 。 『あ いち レポ ー ト'79』 も 次 の よ うに 指摘 した。 「高 度 経 済成 長 か ら安 定 成 長 へ の移 行 期 に あ って 、 県 財 政 も大 き な 変 化 に 直 面 した。 そ の こ とを 象 徴 的 に 示 す の は 、 県 単 独 事 業 の 減少 と地 方 交 付 税 交 付 団体 へ の移 行 で あ ろ う。3)」60年 代 に は 県 単独 事業 に よ り大 規 模 施 設 が 整 備 され て きた が 、 単独 事 業 は70年 代 に 入 り減 少 を つ づ け る。 愛 知 県 は61年 か ら数 少 な い 不 交付 団体 で あ っ た が、76年 に は16年 ぶ りに 交 付 団 体 に 移 行 した 。   仲 谷 県 政 が ス タ ー トした75年 は 、 都 道府 県 の半 数 以上 の27団 体 が実 質 収 支 の 赤 字 を 記 録 した 。 愛 知 県 は 実 質 収 支 の 黒 字 額 こそ3億 円 余 りま で減 少 した が、 赤 字 団体 へ の転 落 は 回 避 で きた 。 当 時 の 地 方 財 政 危 機 は 、 石 油 シ ョ ック後 の税 収 減 とイ ンフ レに よる歳 出増 に よ る もの で あ った 。 法 人 関 係 税 収 は 産 業 構 造 に も左 右 され た。 大 阪府 の よ うに素 材 産 業 の ウエ イ トが 高 い と ころ で は 、 製 造 業 か らの 税 収 が 一 挙 に半 減 して 、深 刻 な財 政 赤 字 に み まわ れ た 。   愛知 県 で も素 材 産業 は4∼6割. の減 収 とな る が、 ひ と り輸 送 機 械 工 業 のみ が 前年 度 の2倍 近 く. の 税 収 増 を もた らす こ とで 、 製 造業 全 体 の税 収 減 を3割 強 に と どめ た 。 これ は 愛知 県 の産 業 構 造.

(4) と法 人 関 係税 、 さ らに は財 政 構 造 との 関 係 を み る うえで 重 要 な点 で あ る。 か くして 愛 知 県 に お い て も財 政 逼 迫 は す す む が、 他 の 大 都 市 府 県 よ り も相 対 的 に 「 健 全 さ」 を 維持 で きた 。 大 阪 府 や 東 京都 で は79年 も赤 字 を つづ け て いた が 、 愛 知 県 では 徐 々に 財 政 を好 転 させ て い った 。  81∼82年 度 に は 、6年 ぶ りに 不 交 付 団 体 に転 じる こ とが で き た。 た だ し、81年 度 は 不 交 付 団 体 に転 じた とは い え、 法 人二 税 が 前 年 度 を3.7%も. 下 回 り、 県税 収 入 予 算を170億 円 近 く減 額 せ ざ る. を え ず 、 財 政 調 整 基 金 の ほ とん どに あた る153億 円余 りを 取 り くず した。 そ れ と減 収 補 て ん債250 億 円の 増 発 に よ り、 か ろ うじて黒 字 決 算 を確 保 で き た の で あ る。 これ は 法 人 二 税 が 景 気 の 変 動 を 受 け や す い特 定 の産 業 へ の依 存 度 が高 い た め で あ る。 税 源 とな る県 内産 業 の 発 展 が 、 不 況 の 波 に 耐 え られ る バ ラ ンス の とれ た もの で あ る こ とが 不可 欠 な こ とを示 してお り、82年 度 以 降 再 び 内陸 工 業 用 地 の積 極 的 な 開発 に よる 先端 産 業 な どの誘 致 の活 発 化 が は か られ る契 機 とな った 。4)   82年 に策 定 さ れ た第5次 地 方 計 画 は 、 名 古屋 オ リン ピッ ク誘 致 失敗 を うけ て 、 環 伊 勢 湾 都 市 圏 構想 に よ る広域 開 発 を柱 と した 。東 海環 状 テ ク ノベ ル ト構 想 な ど先 端 産 業 誘 致 に よ り、経 済 活 力 を 高 め て 課 税 基 盤 を 強化 す る戦 略 で あ った 。 一 方 、 オ リン ピ ック誘 致 失 敗 は 「 政 変 」 を 引 き起 こ し、 仲 谷 県 政 か ら鈴 木 県政 に 移 行 す る。5)鈴木 県 政 は 第5次. 計 画 を 引 き継 ぎ つ つ 、 大 規 模 プ ロ. ジ ェ ク ト志 向を 一 層 強 め て い くが、 そ れ は89年 の第6次 地 方 計 画=「 愛 知 県21世 紀 計 画」 に集 約 され る。 鈴 木 県 政 の 財 政 は、 開 発 新 時 代 を 色 濃 く反 映 して お り、 バ ブ ル か らバ ブ ル崩 壊 の時 代 へ と推 移 す る中 で 激 変 して い く。. (2)鈴. 木 県 政 か ら神 田県政 へ.   仲 谷 県 政 か ら鈴 木 県 政 に移 行 した83年 は 、再 び交 付 団 体 に転 落 した もの の 、84年 か ら92年 まで は不 交 付 団体 をつ づ け る。87年 頃か らは バ ブ ル経 済 の時 代 に あ た り、 折 か らの バ ブル 景 気 の も と で の 自然 増 収 に よ り、 積 極 的 な財 政 運 営 を展 開 で き た。   鈴 木 知 事 の財 政 運 営 は 「景気 が よ く企 業 収益 が好 調 な とき は県 債 を 減 ら し、 不 況 で税 収 の伸 び が見 込 め な い と きは県 債 で賄 う」6)とい う、 景 気 対 応 型 で フ ィス カル ポ リシ ー 的 な 特 徴 を も っ て い る。 愛 知 県 は 自動 車 産 業 を は じめ と した特 定 の産 業 に特 化 して お り、 景気 に 敏 感 で 不 安定 な税 収構 造 で あ る た め に、 財 政 調整 機 能 が他 の 自治 体 以上 に重 視 され て きた の で あ る。80年 代 の一 般 会計 当 初予 算 の伸 び率 を み て も、 県税 の 伸 び が 高 い とき に は県 債 がか な り圧 縮 され 、 逆 に 県税 が 落 ち込 ん だ とき に は県 債 は 大 幅 に伸 び て い る。   円 高 不 況 の直 撃 を うけ た87年 度 の 当初 予 算 は 、過 去10年 間 で最 低 の2.8%の 伸 び に と どま っ た。 県税 が4.7%落. ち込 ん だ こ とに よるが 、 そ れ を カバ ーす るた め に 次 の よ うな手 法 が と られ た 。 第. 1に 、 これ まで積 み上 げ て きた 財政 調整 基 金 と減債 基 金 の取 り くず し、 企 業 庁 の 臨 海 用 地 造成 事 業 の 剰 余 金 の繰 り入れ で あ る。 第2に 貸 付 金 の 取 りも ど しで あ り、具 体 的 に は 道 路 公 社 や 土 地 開 発 公 社 、 さ らに 住宅 用 地 対 策 事 業特 別 会 計 な どか らで あ る。 第3に は前 年 比 で33%増 行 で あ る。. の県債の発.

(5)   つ づ く88年 度 の 当 初 予 算 は 、 景気 回復 を反 映 して6.7%と の 伸 び を12%余. い う高 い伸 び で編 成 さ れ た 。 県 税 収. りと した が 、 そ の 約半 分 を 占 め る法 人 二 税 の伸 び を15%以 上 見込 ん だ こ とに よ る。. 法 人 二 税 の な か で も、 トヨタ 関 連10社 か らの法 人事 業 税 は前 年 度 と比 べ て19%も 増 え る見 通 しを た て た 。 ま さに トヨ タ関 連 の税 収増 が県 税 の大 幅 増 を もた ら し、 積 極 的 な予 算 編 成 を可 能 に した わ け で あ る。税 収 の増 加 に と もな い 、 県債 の発 行 額 も7.7%削 減 され た。   鈴 木 知 事 が 「積 極 ・実 行 型」 と よぶ88年 度 予 算 は、 歳 出面 で ど の よ うな特 色 を も って い るか 。 知 事 の 予 算 提 案 説 明 に よ る と、 「 堅 調 な 景 気 動 向 を 背 景 と した県 税 収 入に 期 待 しつ つ 、 中 長 期 的 な 健 全 財 政 の 堅 持 を 基 本 と した うえ で 、 県政 究 極 の 目的 で あ る県 民 福 祉 の 向 上 を期 して 、新 しい 伊 勢 湾 時 代 の 構 築 と大 愛 知 の建 設 を進 め る た め の諸 施 策 を、 着 実 に 実 行 して い くこ とが重 要 な 使 命 で あ る」 と され て い る。 道 路 や港 湾 な どの産 業 基 盤 整 備 に 重 点 が お か れ 、投 資 的経 費 のな か で も単 独 事 業 が 高 い 伸 び とな って い る。7)   こ こで 表1-1か. ら、 主要 施 設 ・基 盤 整 備 の経 過 を み てみ よ う。 高 度 成長 期 に は港 湾 整 備 や 臨. 海 部 開 発 、 道 路 や ダ ム ・用 水 な どの産 業 基 盤 が重 点 的 に整 備 され て い る。 そ れ に ニ ュー タ ウ ン開 発 や 教 育 ・医療 施 設整 備 な どに も力 が いれ られ た。 高 度 成 長 の も とで 財政 的 な裏 づ け もあ り、 産 業 基 盤 と生活 ・都 市基 盤 整備 が 同 時並 行 的 にす す め られ た 。90年 代 に は 、愛 知 芸 術 文 化 セ ン タ ー の 建 設 、 ガ ンセ ン ター や 県立 病 院 の 改築 、県 立 大 学 の移 転 整 備 な ど、 昭和30∼40年 代 に整 備 され た 施 設 の 大 幅 な整 備 拡 充 が実 施 され て い る。 産 業 基 盤 関 係 で は 、 中 部新 国際 空 港 や 第 二 東 名 ・名 神 高速 道 とい った交 通 基 盤 の ほ か 、工 業 技 術 セ ン タ ー の拡 充 、 科 学技 術 交 流 セ ンタ ー の整 備 な ど に も力 が い れ られ て い る。 更 新 拡 充 型 と新 規 整 備 型 の2つ の タイ プの 施設 建 設 、 基 盤 整 備 が 計 画 実 施 され て い った。   バ ブ ル 時代 の財 政 に は 、 こ う した建 設 事 業 も順 調 に 推 移 す る よ うな勢 い が あ った 。88年 に は 歳 入 の 県税 比率 が65%ま. で 上昇 し、 自主 財 源 比 率 も80%を 越 え る水 準 に達 した。 好 調 な 税 収 に 支 え. られ て 、 県債 依 存 率 は10%を 下 回 る水 準 で推 移 し、 基 金 現在 高 も89年 度 末 で2,500億 円近 く と85 年 度 末 と比 較 して3倍 以上 とな っ た。 そ れ が90年 代 の バ ブル崩 壊 と と もに 、財 政 構 造 を 激 変 させ た。 県税 の落 ち込 み を カ バ ーす る ため に 、 基 金 の取 り くず し と県債 発 行 をつ づ け 、 財 政 硬 直 化 が 急 速 に進 行 して い った。   鈴 木 県 政3期. 目の94年 度 予 算 は、 「背水 の陣 で積 極 対 応 型 予 算 を 組 ん だ 」 と され る。 「あ え て 元. 気 な 予算 を組 ん で 、景 気 回復 の起 爆 剤 に で き る のは 、 財 源 か らみ て 、今 度 が 最 後 のチ ャンス 」 で あ り、4期 目にむ け た 賭 け とも いわ れ た 。8)歳入 の柱 とな る県 税 は 、前 年 度 を23%も 下 回 り、歳 入 比 率 も43%余. りに低 下 した。 県 税 の落 ち込 み は 法 人 事 業税 の激 減 に よ る もの で、 ピー クの91年 度. よ り半 分 近 くも減 少 した。 と りわ け トヨ タ関 連10社 の 低 下 が 目立 ち 、 そ の法 人 事 業 税 に 占め る比 率 も85年 度 の30%か. ら8%ま. で急 落 す る。9)2年 連 続 で 巨額 の県 債 発 行 、 そ し て取 り くず し可 能. な基 金 の8割 近 くを活 用 して、 「元気 な予 算 」 が組 まれ た も のの 財 政 は 悪 化 す る ば か りで あ っ た。 そ して98年 度 に は 、つ い に赤 字 決 算 に 転 落 す る こ とに な る。.

(6) 表1-1  ∼195年 代(∼ 昭和34年)| 1960年 代(昭 和35∼44年)| . (戦災復興 期)   (高 '54  愛 知 病 院. 福祉 医療 文教 関係. 55  愛 知 県 美 術 館 57  尾 張 病 院 58  愛 知 文 化 講 堂 59  愛 知 図 書 館. '64愛. 知県体育館. 、愛     知 県 が ん セ ン タ ー 66  県 立 大 学 、 県 立 芸       術大学 68  県 立 看 護 短 大 、 心     身 障 害 者 コ ロ ニ ー 69  消 費 者 生 活 セ ン タ ー. '61  高蔵 寺 ニ ュー タ ウ. 産業 関係. '51  名古 屋 港 特 定. 交通 通信.    重要港湾指定 52  名 古 屋 空 港 開    港 53  東 海 道 線 浜 松    化 ∼名古屋間電. '56佐. 久 間 ダ ム完.    成 58  宇 連 ダ ム完 成. 主 要施 設 ・基 盤 整 備 の 経 過. 和45∼54)| . 1980年 代(昭 和55∼ 平 成 元 年)|. '70  愛 知 青 少年 公 園     愛 知 県勤 労 会 館 、. '80  愛 知 厚 生 年 金 会 館      、 一宮地域文化広場. 71  愛 知 県総 合 保 健 セ ン     ター 74  愛 知 こ ども の 国 75  県 民 サ ー ビス セ ン タ    . ー. 78  愛 知 県 陶 磁 資 料 館.           . 1990年. 代(平. 更 新 ・拡 充 型 '91∼92愛. 知 芸術 文 化 セ.         ン ター 92  が ん セ ン ター 新 病 棟       (全面 改 築 中) 94  愛 知 県 陶 磁資 料 館   (事業     (全 館) ・計 画 中:新 心 身 障 害 者 コ ロニ ー構 想 、 県 立大学移転整備、看護 大 学整備 、 森 林 公 園拡 充等). 成2年. ∼). 新規整備型 '90  国 際 留 学 生 会 館 92  名 古 屋 港 水 族 館 93  海 陽 ヨ ッ トハ ー バ ー 、     県 武 道 館 、 県 総 合 射     撃 場   (事 業 ・計 画 中:あ いち 健 康 の森 、女 性 総 合 セ ン タ ー 、児 童 総 合 セ ン タ ー 、 リハ ビ リテ ー シ ョン セ ン タ ー 等). '72  公 害 調 査 セ ン タ ー 73  桃 花 台 ニ ュ ー タ ウ ン     建 設 着 手 78  岡 崎 市 本 町 康 生 地 区     西 地 区 完 成. '80  豊 川流 域 下 水 道 供 用. '91  衣 浦 西 部 流 域 下 水 道.     ン建 設 着 手 66  菱 野 団地 建 設 着 手. 87  五 条 川 左 岸 流 域 下 水     道 供 用 89  境 川 流 域 下 水 道 供 用.     供 用 92  矢 作 川 流 域 下 水 道 供   (事業   用 中 :衣 浦 東 部 ・日 光 川 上 流 ・五 条 川 右 岸 流 域 下 水 道). '60  名 古 屋 臨 海 工 業 地. '71瀬.     帯 造 成 着 手 63  愛 知 県 産 業 貿 易     業 館、愛知県中小企 セ ンター 66  愛 知 県 農 業 総 合 試     験 場 68  窯 業 技術 ・尾 張繊     維 技 術 セ ン ター '64  三 河 港 重 要港 湾 指.    . '81  工 業 技 術 セ ン タ ー 85  産 業 情 報 セ ン タ ー 88  食 品 工 業 技 術 セ ン タ.     定 65  名 神 高 速 道 路 全 通 69  東 名 高 速 道 路 全 通.     多 治 見 開通     港 タ西 ー大 ミナ 橋開 ル通 、名古屋 74  名 鉄 知 多 新 線 富 貴 ∼     上 野 間 開通 87  名 古 屋 空 港 国 際 線 新 75  東 名 阪 自動 車 道 桑 名     タ ー ミナル 88  愛知環状鉄道開通、     ∼ 蟹 江 開 通77  衣浦臨海鉄道碧 南線     新 幹 線 三 河 安 城 駅     開 通 89  金 山 総 合 駅 79  名 古 屋 高 速 道 路2号     線 開 通 、 名 鉄 豊 田線     開 通 '71  矢 作 ダ ム完 成 '83  木 曽川総 合 用 水 完成 77  岩 屋 ダ ム完 成 89  矢作 川総 合 用 水 完成 79  矢 作 川 用 水 完 成. 57  地 下 鉄 名 古 屋    ∼伏見開通. 県土 基盤. 代(昭.   度   成   長   期 )  (安   定  成   長   期   ∼.    . 生活 環境 関係. 1970年. '60伊. 勢 湾 台 風 復 旧護.     岸 堤 防 竣 工 61愛 知 用 水 通 水 63  羽 布 ダ ム完 成 68  豊 川 用 水 通 水. 注)(1)愛      知県企画部作成。 (2)  『あ い ち レ ポ ー ト'95』34∼35ペ. ージ。. 戸 窯 業技 術 セ ンタ ー. 78  栽 培 漁 業 セ ン タ ー.    . '72  中央 高 速 道 路 小 牧 ∼. ー. '85  名 古 屋 空 港 国 内線 新. '91  畜 産 総 合 セ ン タ ー 94  農 業 総 合 試 験 場 中 央     研 究 棟 ・ 花 き研 究 所 、     術 工 業 技 術 セ ン タ ー技 開発交流 セ ンタ     専 ー、 名 古 屋 高 等 技 術  (計 門 校 画 中:中 小 企 業 セ ン タ ー改 築 等) (計 画 中:第 二 東 名 ・名 新 幹線 神 自動 車 道 、 リニ ア中 央 等). (事業 中:愛 知 用 水二 期 事業 、豊 川 用 水 施設 緊急 改築 事 業 、尾 張 西 部 排 水 事業 等). (計画 中:科 学 技 術 交 流 セ ン タ ー等). '91  新 交 通 シス テ ム桃 花     通 台 線 開 通 、 城 北線 開 92  東 海 北 陸 自動 車 道 県   (計     画 内区 中間着工 :中 部 新 国 際 空 港 等). '91  阿 木川 ダ ム完 成   (事 業 中:長 良 川 河 口堰 ・味 噌 川 ダ ム ・徳 山 ダ ム 建業 事 設 事業 、豊 川 総 合用 水 等).

(7) 2.財. 政 危 機 の 展 開 と要 因. (1)98年. 度 決 算 と99年 度 予 算.   愛 知 県 財 政 は98年 度 に 戦 後 初 め て の赤 字決 算 とな っ た。70年 代 に 東 京 や 大 阪 な どが赤 字 に 陥 っ た 時 も黒 字 を つ づ け た 愛知 県 で あ る が 、 こ こに き て赤 字 団体 に 転 落 した。 戦 後 の愛 知 県 財 政 の な か で も、98年 度 決 算 は 特筆 され る。 一 般 会 計 決 算 額 は、 歳 入2兆4,098億. 円、 歳 出2兆4,270億. 円、. 差 し引 き172億 円 の マ イナ ス、 翌 年度 に繰 り越 す べ き財 源49億 円余 りを含 め 実 質 収 支 額 で 約223億 円 の赤 字 を 計 上 した。   赤 字 団 体 へ の転 落過 程 を振 り返 っ てみ よ う。98年 度 当 初 予 算 は一 般 会 計2兆3,400億 見 か け で は 前年 度 当初 比4.2%増. 円余 りで 、. え た が 、地 方 消 費 税 の市 町 村 交 付 金 な どを 除 い た 実 質 額 で は2. 兆766億 円 余 とな り、逆 に4.5%減. の戦 後 初 の マ イ ナ ス 予 算 とな る。 歳 入 の柱 とな る県 税 収 入 は 、. 企 業 収 益 の悪 化 や 県 民 税 の特 別 減 税 な どに よ り前年 度 当 初比1.7%減. 、1兆200億. 円を 見 込 む に と. どま っ た。財 源 不 足 を 補 う県 債 は2,706億 円、ま た取 り崩 し型 基 金 か らの 繰 り入 れ に 加 え て、果 実 運 用 型 基 金 な ど の原 資 を 含 む116億 円 を一 般 会 計 に 繰 り入 れ た 。   まさに 「 苦 肉 の策 」 で 編成 され た 予 算 で あ った が 、景 気 低 迷 で税 収 が 大 幅 に 落 ち込 み 、財 源 不 足 が ク ロー ズ アッ プ され て くる。 法 人二 税 は6月 末 現 在 で前 年 同期 比 で 約707億 円 減 収 と発 表 さ れ た 。 そ の後 も税 収 の 落 ち込 み は つ づ き、9月 段 階 で税 収 不 足900億 円、 財 源 不 足 は1,050億 円 に 拡 大 した 。 財 政 再 建 団 体転 落 も懸念 され る事 態 に な り、11月 に は 大 阪 府 ・神 奈 川県 ・東 京 都 に つ づ い て 「財 政非 常 事 態 宣言 」 を 出 した。 戦 後 初 の赤 字 に な る可 能 性 が 強 く、歳 出構 造 の抜 本 的 見 直 しが 必 要 と して 、 県民 に協 力 を求 め る緊 急 ア ピール を 発 表 した の で あ る。 緊 急 ア ピ ー ル で は 、 「県 民 の 皆様 に と って 真 に必 要 な行 政 サ ー ビス とは 何 か を 改 め て 見 つ め 直 し、事 務 事 業 全 般 に わ た り徹 底 した見 直 しを 図 りつ つ 、 歳 出構 造 の 抜 本 的 改 善 」 に 取 り組 む とす る。 県 民 生 活 へ の しわ 寄 せの 「 事 前通 告 」 とい え る も の で、 補 助 金 カ ッ トな ど と して 具 体化 され て くる。   98年 度 の実 質 収 支 の赤 字 額 は 最 終 的 に223億 円 とな っ た が、 これ は 直 接 的 に は 県 税 の 落 ち 込 み に よる。県 税 は1兆877億 1,187億 円(9.8%)減. 円 とな り、3年 連続 で1兆 円 を確 保 した もの の、当初 予 算 額 と比較 し て. とな った 。97年 度 の決 算 額 と比 較 して も232億 円 の減 で あ る。県 税 の 動 向を. 左 右 す る法 人 二 税 は4,021億 円 で 、前 年 度 比1,166億 円(22.5%)減 が大 き い法 人 事 業 税 は1,011億 円(23%)減 減 少 を業 態 別 に み る と、 製 造 業31.4%、 業 種 別 で は輸 送 機 械 工 業 の41.9%減 25.4%、. 卸 売 業25.1%な. で あ った 。 な か で も ウエ イ ト. 少 し、税 収 の 落 ち込 み に拍 車 をか け た 。法 人 事業 税 の 非製 造 業11%で. あ り、 ひ ときわ 製 造 業 の税 収 減が目 立 つ 。. を 筆 頭 に して 、窯 業30.4%、. 建 設 業26.1%、. 電気 機械 工 業. どで あ り、逆 に 前年 度 を 上 回 った の は金 融 保 険 業 の33.2%増. で あ る。.   この よ うに戦 後 初 め て 赤 字 団 体 に 転 落 した の は 、輸 送 機 械 工 業 を は じめ と した 法 人 事 業税 の 落 ち込 み に よる と こ ろが 大 きい 。98年 度 に注 目さ れ る の が 、赤 字 決 算 と と もに 県 債 の 急増 で あ る。 県 債 は 当 初 予 算 で は 前 年 度 よ り2割 減 額 した が 、 景気 対 策 を柱 と した 補 正 予 算 で増 加 され た。9 月 の 補 正 予 算 は955億 円 の規 模 とな った が 、 そ の 半 分 近 くを 県債 で 賄 った 。2月 補 正 予 算 で も 県.

(8) 税 の落 ち込 み を 補 うた め に 、 県 債 を 追 加 発 行 した。 県 債 は 当初 予 算 に 計 上 して い な か った退 職 手 当債100億 円 な ど、あわ せ て867億 円発 行 され た。 これ で98年 度 の県 債 は 、4,136億 円 とな り、前年 度 につ づ い て過 去 最 高 の 年 間 発 行 額 を 更 新 した(表2-1)。.  次 に 、99年 度 予 算 は どの よ うに特 徴 づ け られ るか。99年 度 の 当初 予 算 は新 知 事 就 任 に あわ せ て 骨格 予 算 と して 編成 され た。 一 般 会 計 の規 模 は 前年 度 当初 比16.5%減 計 と企 業 会 計 を 含 め た 予 算総 額 は2兆2,997億 初 比21.3%減. 円 で15.1%減. の1兆9,548億. 円、 特別 会. とな る。 歳 入 の うち 県 税 が 前 年 度 当. 、9,500億 円に と ど ま り、 「 超 緊 縮 」 予算 とな った 。 県税 は75年 度 以 降 で最 大 の 減 少. 幅 とな るが 、 これ は 法 人二 税 が37.5%も. 落 ち込 む こ とに よ る。税 収 の落 ち込 みを 反 映 して 、 地 方. 交 付税 は1,200億 円計 上 され た 。   それ で も歳 入 不 足 は 免 れず 、基金108億 円を繰 り入 れ た 。そ の 内訳 は 、減 債 基 金36億 円 、福 祉 推 進 整備 基 金27億 円、 さ らに 果 実 運 用 型 基 金 の 国際 交 流 事 業 推 進 基 金20億 円 、環 境 保 全 基 金10億 円、 科 学技 術 振 興 基 金5億. 円な どで あ り、取 り崩 し可 能 な 基 金 も99年 度 で 底 を つ く。 「 綱 渡 り」の予 算. 編 成 を象 徴 す る のが 、 県 企 業 庁 の 水 道 事 業 か らの40億 円の 借 り入 れ で あ る。 水道 事 業 は53億 円の 資 金 残 を 内部 留 保 して、 今 後 の 投 資 な どに備 え て い る。 こ の うち40億 円を 企業 債 に み あ った利 率 で中 長期 で一 般 会 計 に貸 し出す 。 初 め て 企 業会 計 か ら融 資 の形 で一 般 会 計 に 繰 り入 れ たわ け で、 予算 編成 の厳 し さを示 す もの と い え る。10).

(9)   新 知 事 が 初 め て政 策 判 断 した の が6月 補 正予 算 で あ り、 それ を含 め た 予 算 の方 が99年 度 の特 徴 を 明確 に で き る。 補 正後 の 一 般 会 計 予 算 は2兆2,212億. 円、98年 度 当初 比 で5 .1%減 で あ り、 名 目. 上 は 戦 後 初 の マ イ ナ ス 予 算 とな った。 た だ し、 先 述 の消 費 税 収 の 平 準化 な どの 関係 で、 実 質 で は 2年 連 続 の マ イ ナ ス予 算 とな る。 財 政 危 機 を 反 映 した超 緊縮 型 で あ り、 それ は歳 入 ・歳 出の 両 面 に 明確 に あ らわ れ て い る。   歳 入 の 中心 に位 置 す る県 税 は 、 補 正 で250億 円を 上 積 み し、 当 初 予 算 とあわ せ て9,750億 円 、 前 年 度 よ り19%減 で あ る。 県税 の 半 分近 くを 占 め て き た法 人 二 税 が3,238億 円、33%も. 落 ち込 ん だ. こ とに よ る。 法 人 二税 は83年 度 の3,149億 円 以 来 の低 水 準 で あ り、バ ブル 期 の90年 と比 べ る と半 減 して い る。 これ で も高 め の税 収 見 込 み とい え るが 、地 方 交 付 税 も350億 円追 加 して 、過 去 最 高 の 1,550億 円 とな った 。 これ まで96年 の449億 円 が 最 高 で あ り、 大 幅増 を見 込 ん だ 。 基 金 が 底 を つ く なか で、 県 債 も1,381億 円追 加 して 、 あわ せ て2,860億 円 とな っ た。 県 債 の歳 入 比 は12 .9%、 県 債 残 高 は2兆8,320億. 円 ま で拡 大 す る。 こ のほ か 県 土 地 開 発 基 金 に わず か に残 っ て い た10億 円 さ え. 持 ち 出 した が 、98年 度 の赤 字額 補 て ん に計 上 され た223億 円 に は財 源 が確 保 で きな か った 。   一 方 、歳 出面 で 目立 つ の が 補 助 金 カ ッ トで あ る。30%削 25.1%、10%削. 減 の 目標 を た て た 県 の 単 独 事 業 は. 減 を 目標 と した公 共 事 業 の方 は6。9%の マ イ ナ スで あ った 。 単 独 の 補 助 金 は 項 目. で526、 金 額 で973億 円で あ る。 統 廃 合 の 結 果 、項 目で100、 金 額 で198億 円が 削 り込 まれ た。 最 大 の私 学 助 成 は15.2%、. 全 体 で は16.9%減. とな った。.

(10) (2)財. 政 危 機 の背 景.   98年 度 決 算 と99年 度 予 算 か ら も 明 らか な よ うに 、愛 知 県財 政 は危 機 的 な状 況 に あ る。 な ぜ戦 後 最 悪 とい え る財 政 危 機 に み まわ れ た の か 、 そ の背 景 を さ ぐ って い こ う。   まず 第1に 、 バ ブ ル崩 壊 とと もに 税 収 が 急 激 に 落 ち込 み 、 必 要 な財 源 を 確 保 で きな か った こ と で あ る。愛 知 県 は 高度 成 長 期 か らバ ブル 期 ま で、 歳 入 に 占 め る税 収 の ウ エ イ トが高 く、 そ の税 収 も法 人 二税 に左 右 され て きた 。バ ブル 期 の90年 度 の 歳 入 の な か の 県税 比 率 は65%で ち法 人 二税 が半 分 以 上 を 占 めて い た 。 図2-1の. あ り、 そ の う. よ うに 、 県 税 収 と法 人 二 税 はパ ラ レル に 推 移 し. て い る。 バ ブル崩 壊 後 の94年 度 を 底 に 急 激 に 落 ち 込 み 、一 定 の 回復 傾 向 の あ とに 再 び 大 幅 に 下 落 して い る。90年 度 を100と した 指数 で は 、99年 度 は 県税 全 体 で84、 法人 二 税51と い う水 準 に と ど ま る。 法 人 二 税 は バ ブル崩 壊 後 に半 減 して お り、 税 収 減 の 最 大 の 原 因 とい え る。   こ う した傾 向 は 大 都市 圏 の都 府 県 に共 通 す る傾 向で は あ る が 、愛 知 県 の税 収 は 製 造 業 、 と りわ け トヨタ 自動 車 を 中 心 に した輸 送 機 械 に大 き く依 存 して お り、 そ の業 績 に県 税 が 左 右 され て きた。 最 大 の ウエ イ トの 法 人 事 業税 は、85年 以 降 も変 動 が か な り激 しい 。表2-2に. は法 人 事 業税 の業. 種 別推 移 が 集 計 して あ るが 、 こ こか ら も税 収 の変 動 は 製 造業 、 と りわ け 輸 送 機 械 に よ る こ とが わ か る。 輸 送 機 械 は97年 度 に67%増. とな って い るが 、 先 述 の よ うに98年 度 には42%減. とな り、税 収. を 大 幅 に落 ち込 ませ た 。   第2に 、 税 収 が 落 ち込 む一 方 で 、積 極 的 な財 政 運 営 が つ づ け られ て き た こ とで あ る。 国 の 景気 対 策 に こた えて 、 大 型 の補 正予 算 が再 三 にわ た り編 成 され 、 公 共 事業 を 拡 大 して きた 。98年 度 も 税 収増 が期 待 で き な いな か 、過 去2番. 目の規 模 の9月 補 正 予 算 が 編成 され た 。 一 般 会 計 は955億. 円の 規模 で あ り、 国 の総 合経 済 対 策 に対 応 す る関 連 事 業 が 約9割 を 占め て お り、 道 路 や 河 川 、 土 地 改 良 な どの公 共 事 業 に 重 点投 入 され た 。景 気 対 策 の 追 い 風 を うけ て、 いわ ゆ る ハ コモ ノ行政 に 力 を い れ 、 バ ブル 期 に計 画 され た大 規 模 事業 を推 進 して きた 。   現 在進 行 して い る財 政 危機 は 、歳 出面 で は公 共 事 業 拡 大 に よ る と ころ が大 き い。70年 代 半 ば の 財 政 悪 化 の原 因 と しては 、 第1に 不 況 に 伴 う法 人 事 業 税 の 伸 び 悩 み 、第2に 福 祉 ・教 育 な どの行 政 需 要 の増 大 、 第3に 人 件 費 の増 大 が 指 摘 され てい る。11)法 人事業税の低 迷 は現在 と同様 であ る が、 現 在 と異 な る の は、 と りわ け 人件 費 の増 大 で あ る。 歳 出 に 占め る人 件 費 の割 合 は、70年 度 の 33%か. ら78年 度 に は42%と9ポ. イ ン トも上 昇 して い る。75年 度 以 降 、知 事 部 局 の 一 般 職 員 は100. 人減 少 した が、教 職 員 は6,866人 も増 加 してい る。児 童 ・生徒 の増 加に 伴 う教 職 員 の 増 員 、そ して 義 務 教 育教 職 員 の 人件 費 の2分 の1負 担 に よ り、人 件 費 が 急 増 して い っ た の で あ る。 こ の時 期 の 教 育費 は 、 公債 費 や 民 生 費 に 次 い で 伸 び が 大 きか った 。 高 度 成 長 期終 盤 の財 政 悪 化 は、 福 祉 や 教 育 関係 を は じめ と した行 政 需 要 の 増 大 、 そ れ に石 油 シ ョ ック後 の 物価 高 騰 下 の人 件 費 や 建 設 費 の 上 昇 が 大 き く影 響 した とい え る。   第3に 、積 極 的 な財 政 運 営 を 支 え た の が 県債 で あ り、 そ れ が 財 政危 機 の原 因 とな っ て くる。 公 共事 業 を 拡 大す る た め に 、高 め の 税 収 見 積 り、基 金 の取 り くず し、 そ して大 量 の県 債 発 行 が 繰 り 返 され て きた。 県債 の発 行 残 高 を 目的 別 に み て も、 土 木 債 が 半 分 以 上 を 占 め て い る。 巨額 の 県 債.

(11) 発 行 は 、 後年 度 に 償還 財 源 で あ る 公債 費 を膨 らま せ る。 公 債 費 は 経 常 経 費 で あ り、一 般 財 源 の 支 出 が 義 務 づ け られ 、財 政 硬 直 化 が進 行 す る こ とに な る。100%前. 後 の経 常 収 支 比 率 に 象徴 さ れ る. 財 政 硬 直 化 の進 行 は 、90年 代 の 財 政危 機 を特 色 づ け て い る。 財 政 硬 直 化 の原 因 は一 般 財 源 で あ る 税 収 下 落 と と もに 、 公 共 事 業 拡 大 に と もな う県 債 発 行 に起 因 す る公 債 費 の増 大 に あ る。. 表2-2 . 金 額(100万 円). 法 人 事 業 税 の 業 種別 推 移. %|伸 建   設. 1985. 86. 87. 88. 89. 90. 91. 92. 93. 94. 95. 96. 97. 製    造          うち               輸 送 機 械. 卸 ・小 売. び 計. 金融 ・保 険.     13,300 3.6    9,3.     228,418.     105.480.      48,935. 61.2 . 28.5 . 13.2 .     14,661.     167,564.      60,604.      49,447.      39,794. 4.5 . 51.7△26.0. 18.7△42.5. 15.2 . 12.3 .     18,572.     172,971.      62,987.      56,594.      55,134.      361,560. 5.1 . 47.8 . 17.4 . 15.7 . 15.2 . 100.0 . 10.2. 26.7.   8.0.   3.2.   7.5.   3.9.   1.0.   1.0. 14.5.     31,836 8.6  43.7. 25.0. 38.5.     370,035 100.0    5.8     324,310 100.0△12.4. 11.5.     22,977.     242,279.      99,006.      68,300.      57,800.      454,580. 5.1 . 53.3 . 21.8 . 15.0 . 12.7 . 100.0 . 23.7. 40.1. 57.2. 20.7.   4.8. 25.7.     30,916.     256,248.      90,937.      78,548.       64,116.      501,342. 6.2 . 51.1 . 18.1△8.2. 15.7 . 12.8 . 100.0 . 34.6.   5.8. 15.0.   10.9. 10.3.     42,498.     308,971.     132,603.      79,556.     44,756.      554,932. 7.7 . 55.7 . 23.9 . 14.3 . 8.1△30.2. 100.0 .     524,530 100.0△5.5. 37.5. 20.6. 45.8.   1.3. 10.7.      52,288.     255,131.      83,632.      87,554.     46,278. 10.0 . 48.6△17.4. 15.9△36.9. 16.7 . 8.8 .      48,878.     201,100.      64,493.      75,676.     36,937. 11.1△6.5. 45.6△21.2. 14.6△22.9. 17.1△13.6. 8.4△20.2.      41,232.     160,468.      48,866.      62,060.     26,701. 11.5△15.6. 44.9△20.2. 13.7△24.2. 17.3△18.0. 7.5△27.7.      32,830.     147,411.      47,143.      55,105.     21,109. 10.2△20.4. 45.8△8.1. 14.7△3.5. 17.1△11.2. 6.6△20.9.     321,540 100.0△10.1. 23.0. 10.1.   3.4.     441,337 100.0△15.9     357,726 100.0△18.9.     27,005.     158,715.      50,804.      54,730.     22,504.      327,686. 8.2△17.3. 48.4 . 15.5 . 16.7△0.7. 6.9 . 100.0 .     28,002.     197,139.      76,015.      61,676.      42,216.      401,858. 7.0 . 49.1 . 18.9 . 15.3 . 10.5 . 100.0 .   3.8.   7.7. 24.2.   7.8. 49.6. 12.7.   6.6. 87.6.   1.9. 22.6.     25,544.     258,494.     126,568.      59,348.     21,910.      439,273. 5.8△8.8. 58.8 . 28.8 . 13.6△3.8. 5.0△48.1. 100.0 . 31.1. 66.5.   9.3. 注)愛 知 県 財 政 資 料 よ り作 成 。.   こ こで 、 愛 知 県 下 の 公 共 事 業 の 動 向 を統 計 的 に み て い こ う。 附 表 に は90年 代 の 行 政投 資 実 績 の 推 移 、 そ れ に80年 代 か ら5年 ご との 県 主 体 の投 資 額 と負担 分 が集 計 して あ る。 これ に よ る と、 行.

(12) 政 投 資 の なか で も産 業 基 盤 関係 、 と りわ け 道 路 投 資 の ウエ イ トが 高 い こ とが わ か る。95年 度 で は 県 投 資 額 の27%、 そ の うち の県 費 分 で は31%も. 占め て い る。 県 費 分 の道 路投 資 は80年 度 以 降 ウエ. イ トを 高 め て きて い る。 こ う した 行政 投 資 の 推 移 か ら も、 こ の 間 の公 共 事業 の重 点 が わ か るが 、 普通 建 設 事業 費 か ら県財 政 へ の 影響 が よ り明 確 に で き る。   普 通 建 設事 業 費 は補 助 事 業 費 、単 独 事 業 費 、 国直 轄 事 業 負 担 金 か ら構 成 され て い る。 ウエ イ ト が大 きい の が補 助 事 業 費 と単 独 事業 費 で あ り、 と くに80年 代後 半 か ら伸 びが 著 しい のが 単 独 事 業 費 で あ り、88年 度 か ら補 助 事業 費 を 上 回 っ た。85年 度 か ら96年 度 を とる と、 補 助 事 業 費 が1.54倍 に た い し、単 独 事 業 費 は2.19倍 で あ った 。   表2-3か 源 等 が5∼6割. ら、 これ らの財 源 内訳 の 推 移 を み て い こ う。 普 通 建 設 事 業 費 は バ ブ ル 期 に は 一 般財 で あ った の が、 バ ブル崩 壊 と と もに地 方 債 が 伸 びて くる。 と くに注 目 され る の が 、. 伸 び が 著 しい 単 独 事 業 費 の財 源 で あ る。88年 度 の83%を 最 高 に して 、 バ ブル 期 に は一 般 財 源 等 が 全 体 の4分 の3を 占 め て いた 。 バ ブ ル崩 壊 と と もに、 一 般 財 源 等 に代 わ って 伸 び て くる の が地 方 債 で あ る。 この 単 独 事業 費 と と もに 、補 助 事 業 費 も3∼4割. 近 くを 占め てお り、 普 通 建 設 事 業 費. の ほ ぼ 半 分 は地 方 債 を財 源 に して い る。 こ こか らも公 共事 業 拡 大 と県 債 発 行 の 関 係 を み る こ とが で きる 。. 表2-3 . 普 通 建 設 事 業 の 財源 内訳(愛 知 県). 普 通建設  事 業費. 補助  事業費. 単独  事業費 (%). 国庫支 出金 1985. 地. 方  債. 一 般財源等. その他特定財源. 25.4 .   54.1 .     −. 20.6 .   14.5 .   27.8. 1.5   . 0.3 .  . 1.8. 49.5 .   26.6 .   68.7. 86. 24.3 .   52.5 .    −. 42.5 .   37.7 .   41.3. 1.9   . 0.5   . 1.7. 28.3 .  . 4.5 .   55.7. 87. 23.2 .   48.2 .    −. 31.6 .   33.5 .   28.8. 1.8 .  . 0.1 .  . 1.7. 40.2 .   12.8 .   68.2. 88. 16.5 .   39.0 .    −. 21.6 .   31.5 .   14.4. 2.1 .  . 0.3 .  . 1.6. 56.7 .   23.6 .   82.7. 89. 16.9 .   40.6 .   −. 24.6 .   27.9 .   23.6. 2.5 .  . 0.5 .  . 2.3. 52.9 .   25.6 .   72.9. 90. 15.0 .   40.7 .    −. 18.3 .   27.4 .   13.2. 5.8 .  . 1.1 .  . 7.8. 58.2 .   25.4 .   78.0. 91. 14.2 .   39.9 .   −. 26.6 .   28.2 .   28.9. 7.4 .  . 1.3 .   10.2. 49.2 .   25.6 .   59.9. 92. 19.4    51.2 .   −. 47.6 .   36.6 .   49.3. 5.7 .  . 1.1 .  . 7.3. 24.7 .  . 5.3 .   42.7. 93. 20.2 .   50.9 .   −. 52.2 .   39.1    57.7. 7.4 .  . 0.4 .   11.1. 17.9 .  . 5.5 .   30.4. 94. 19.4 .   50.8 .     −. 42.3 .   35.9 .   46.0. 4.7 .  . 2.2 .  . 3.4. 31.4 .  . 7.6 .   49.8. 95. 20.3 .   51.0 .     −. 49.5 .   37.7 .   55.1. 4.9 .  . 1.4 .  . 4.2. 22.9 .  . 6.5 .   39.5. 96. 19.9 .   51.6 .    −. 42.4 .   39.4 .   40,9. 4.0 .  . 1.7 .  . 2.2. 30.6 .  . 4.4 .   53.5. 注)『 都 道府 県 別 決 算 状況 調 』 よ り作 成 。.

(13) 3.大. 規 模 プ ロ ジ ェ ク トの 現 実. (1)21世. 紀 戦 略 と大規 模 プ ロ ジ ェ ク ト.   第2期 鈴 木 県政 の も とで89年 に策 定 され た 第6次 地 方 計 画 は 、21世 紀 初 頭 を め ざ した 計 画 と し て 「 愛 知 県21世 紀 計 画 」 と名 づ け られ た 。「世 界 に 開 か れ た魅 力 あ る愛 知 」の 実 現 を 総 合 目標 に し て 、 図3-1の. よ うな 世 界 都 市 機 能 を 分 担 す る国 土 中枢 軸 形 成 の イ メ ー ジを 描 い て い る。 この 世. 界 都 市 機 能 は第4次 全 国 総 合 開 発 計 画 を 受 け た もの で、 愛 知 県 は 世 界 的 な産 業 技 術 首 都 の形 成 に 中心 的 な 役 割 を 果 た す 。 産 業 技 術 首都 は 「 厚 い 生産 機 能 を さ らに 拡 充 ・強化 しつつ 、 そ う した 集 積 を 生 か して 、 日本 、 世 界 の新 産 業 集 積 を リー ドす る と と もに 、 産 業 技術 分 野 に関 す る世 界 的 な 受 発 信 機 能 を 有 して い くこ と」 とされ 、 研 究 開 発 機 能 の 整備 な どに 力 点 が おか れ る。.   産 業 技 術 首都 を め ざ して 、 「新 伊 勢 湾都 市 圏」 とい う名 古 屋80∼100キ ロの範 囲を 想 定 した 広 域 的 な 開発 が か か げ られ た。 そ の戦 略 手 段 と され た の が 、 の ち に3点 セ ッ ト ・プ ラ ス ワン(中 部 新 空 港 、第2東 名 ・名 神 高 速 道 、 リニ ア中 央新 幹 線 と万博 誘 致)と. よば れ る大 規 模 プ ロジ ェク トで.

(14) あ る。3点. セ ッ ト ・プ ラス ワ ンの なか で も、 愛 知 県 が 主 体 に な って取 り組 む 事 業 が新 空 港 と万 博. で あ る。 そ の構 想 と現 実 を み て い く前 に、 愛 知 県 が大 規 模 プ ロジ ェク トを ど う位 置 づ け て い るか を示 し てお こ う。   『あ いち レポ ー ト'93』 で は、 「 大 規 模 プ ロジ ェ ク トの相 乗 効 果 を 生 か した 地域 づ く り」 と して 次 の よ うに 指摘 す る。12)第1に、新 空 港 を は じめ と した3大 交 通 プ ロ ジ ェ ク ト(3点. セ ッ ト)は 、. この地 域 の 交流 拠 点性 を 飛躍 的 に 向上 させ る。 これ まで に な い ハ イ レベ ル の交 通 手 段 で あ り、 そ れ ぞ れ に よ って も交流 の 基礎 的条 件 が 飛 躍 的 に 高 ま る。 加 え て 、 そ れ らが一 体 的 に整 備 され る こ とに よ り、 相 乗 効 果 が 生 じ、従 来 には み られ な い新 しい 分 野 で の交 流 や 、 あ る い は高 度 な レベ ル の交 流 の可 能性 が 期待 で き る。 ま た、 万 博 とい う一 大 国 際 イ ベ ン トの 開 催 に よっ て、3大 交 通 プ ロジ ェ ク トが促 進 され る こ とは も と よ り、 この 地 域 の 国 際 的 評 価 ・知 名度 が飛 躍 的 に 向上 す る こ とや 、 地域 自体 の 誇 り ・自信 が強 ま る と して い る。   第2に 全 国 的 ・世界 的 な交 流 拠 点 性 を 生 か した 先 進 の 地 域 づ く りと して 、3つ の視 点 が重 要 と す る。(1)世界 の ゲ ー トウ ェイ とな る中 部 新 国 際 空 港 と3大 都 市 圏 間 の 時 間距 離 を通 勤 時 間並 み に 短 縮 す る リニ ア中 央新 幹線 が一 体 的 に 整 備 され る効 果 、(2)新空 港 と第二 東 名 ・名 神 高 速 道 路 との 一 体 的 な整 備 と名 古屋 港 、三 河 港 とい った 重 要 港 湾 との 機 能 連 携 、(3)人の集 ま りや す い条 件 整 備 に加 えて 、 万博 開 催 に よ る国際 的 な評 価 の 高 ま りや 国 際 交 流 ノ ウハ ウの 蓄積 を、 世 界 的 な産 業 技 術 首 都 づ く りの 必 須条 件 とな る学 術 研 究 開 発 機 能 の 強 化 に結 び つ け て い く こと。   こ う した 大 規 模 プ ロ ジ ェ ク トの相 乗 効 果 を 生 か した 地 域 づ く りは 、実 際 に ど う展 開 され て きた のか 。13)新 空 港 と万 博 の現 実 、 さ らに は大 規 模 プ ロジ ェク トの財 政 負 担 な どか ら 問 題 点 を み て い こ う。. (2)中. 部 国 際 空港 の 現実.   96年12月 の第7次 空 港 整 備5ヵ 年 計 画 は 、 「中部 圏 にお け る新 た な 拠 点 空港 の 整 備 に つ い て 、 定 期 航 空路 線 の一 元化 を前 提 に、 …… そ の 事 業 の 推進 を 図 る」 と した。 中部 新 空港 は 長 年 に わ た る地 元 の構 想 か ら、 国 の公 共 事 業 計 画 と して ス タ ー トす る こ とに な る。 空 港 計 画案 な どの 策 定 作 業 が す す め られ るが 、 行財 政 改 革=財 政 再建 が 本 格化 す る な か 国 との調 整 は 難 航す る。 関 西 空 港 の よ うな特 殊法 人 の新 設 は 困難 を きわ め 、 国 家 プ ロジ ェ ク トと して発 進 した 新 空港 建 設 に逆 風 が 吹 いた 。   中部 新 空 港 は97年6月. の愛 知 万 博 誘 致 決 定 、 そ の後 の 景気 対 策 の大 合 唱 に よ り建 設 推 進 に 弾 み. が つ い た 。 政 府 は11月 の緊 急 経 済 対 策 で 中 部 新 空 港 をPFI適 用 の第1号 事 業 と して 、2005年 開 港 に む け て必 要 な 予 算措 置 を とる と した 。 そ れ で98年 度 予 算案 の復 活 折 衝 で着 工 予 算25億 円余 りが 認 め られ 、 そ の 際 に空 港整 備 法 の第1種 空 港 、 名 称 は 中 部 国 際 空港 とされ た 。98年3月. に中部国. 際 空 港 の設 置 お よび管 理 に 関す る法 律 が 制 定 され 、4月 に は 中 部 国際 空 港 株 式 会社 が設 立 され た 。 こ の会 社 が 中部 国 際 空 港 の設 置 及 び管 理 を 行 な う者(指 定 法 人)と 作 業 が 急 ピ ッチ で すす め られ る。. して指 定 され 、着 工 に 向け た.

(15)   新 空 港 着 工 に 向 け て 大 きな課 題 とな った の が 、環 境 ア セス メ ン トと漁 業補 償 で あ る 。 まず 環 境 アセ ス メ ン トか らみ て い くと、2005年 開 港 へ の こだ わ りか ら駆 け 足 で す す め られ た。 新 法(環 境 影 響 評 価 法)の 趣 旨を 生 かす と して 出発 した もの の、 重 大 な 欠 陥 を もつ 環境 ア セ ス メ ン トとな っ た 。 国 が 空港 会 社 を指 定 法 人 と して認 可 して い な い段 階 に 方 法 書 が 提 出 され 、 そ の 中 に工 事 完 成 の 予定 期 限 と工 事 日程 を 明示 して いた 。 ア セ ス メ ン トの 方 法 書 が 駆 け 足 の手 続 き を催 促 して い た わ け で あ る。方 法 書 に対 す る知 事 意 見 か らわ ず か2ヵ 月 で 準 備 書 が 提 出 され 、 そ して新 法 施 行 の 前 に 評価 書 が公 告 縦 覧 され 、環 境 ア セ ス メ ン トの手 続 きは終 了 した 。   空港 の環 境 ア セ ス メ ン トは手 続 きだ け で な く、 内容 面 で も重 大 な 欠 陥 が指 摘 され て い る。 中部 空港 は沖 合3キ. ロに建 設 され る。 対 岸 部 の埋 立 造 成=前 島 との 距 離 は 、わ ず か1キ. ロ余 り しか 離. れ て い な い。 日本 海 洋 学 会 海 洋 環 境 問 題 委 員 会 の 見 解 に お い て も、 関 西 空港 を上 回 る海 洋 環 境 へ の重 大 な影 響 が懸 念 され て い る。14)中 部 空港 の立 地 条 件 や 海 洋 環 境 を踏 ま え た ア セ ス メ ン トが 実 施 され て い な い。 ま た 、空 港 島 と前 島 な どの 複 合 的 な 環 境 負 荷 を 考慮 した ア セ ス メ ン トとな っ て い な い。   伊 勢 湾 や 三 河 湾 の環 境 に とっ て、 空 港 島 と と もに 前 島 の埋 立 造 成 が 重要 な意 味 を もつ 。 前 島 の 埋 立 は ア マ モ場 を 消失 させ 、 漁 業 に 重 大 な 打 撃 を あた え る。 中 部 空港 で は空 港 島 と対 岸 部 に 、 あ わ せ て約240haの 地 域 開 発 用 地 が愛 知 県企 業 庁 に よ り造 成 され る。 空 港 島 に 地 域 開 発 用 地 が 造 成 され る の は 、中部 空 港 が初 め て で あ り、「需 要 創 出型 空 港 」を特 色 づ け て い る。空 港 島 の地 域 開 発 用 地 約110haは 、 空 港 支 援 ・補 完機 能 の充 実 が 目的 とされ る。 約130haの 前 島 の方 は 「 空 港 と地 域 の発 展 を促 す 先 導 的拠 点 の形 成 」 を 目的 と し、 事 業 の 必 要性 と して 「空港 支 援 機 能 及 び 活 用 機 能 の確 保 」 「空 港 と地 域 の 持 続 的 発 展」 「環 境 保 全 と新 た な 環境 資 産 の 創 造」 の3点 を あげ て い る。 土 地 利 用 計 画 で は商 業 ・業 務 施 設 用 地45haな どの 用途 が 示 され て い る が 、具 体 性 に 乏 し く事 業 の 必 要 性 は説 得 力 に欠 け る。   中部 空 港 は99年 度 内着 工 を め ざ し、 埋 立 免 許 申請 に 同 意 が必 要 な漁 業 補 償 に 全 力 を あげ て きた 。 愛 知 県 が担 当 した漁 業 補 償 は、 金 額 な どを め ぐ り難 航 した が 、99年7月. に常 滑 を 中 心 に した 主 な. 漁 協 の 同意 を と りつ け た。知 事 の 「政 治決 着」 で一 気 に52億 円上 積 み され 、352億 円 の漁 業 補 償 と な った。 漁 業 補 償 の基 準 は、62年 に 閣 議 決 定 され た 「公 共用 地 の 取得 に伴 う損 失 補 償 基 準 要 綱 」 に も とづ く。 消 滅 に伴 う補 償 金 額(漁 業 権 の 価 値)は 、 消滅 す る 漁業 権 を行 使 す る こ とに よ って 得 られ る平 年 漁 業 純 収 益 を資 本 還 元 した 額 を 基 準 と し、 当該 権 利 に か か わ る水 産 資 源 の将 来 性 等 を考 慮 して算 定 した額 とな る。   52億 円上 積 み され た漁 業 補 償 額 は、 そ の算 出 根 拠 が 示 され な か った 。知 事 と漁 協 幹 部 に よ る密 室 の交 渉 で決 め られ 、 上 積 み の算 出根 拠 も示 され な い の は 問題 で あ る。漁 業 補 償 費 は、 空 港 会 社 が埋 め立 て る空 港 島 と、県 企 業 庁 が埋 め 立 て る空 港 島 隣 接 部 と対 岸 部 の埋 立 地(前 りで算 出 され 、 企 業 庁 の負 担 分 は3分 の1程 度 に な りそ うで あ る。 愛知 県 は99年6月. 島)の 面 積 割 の補 正 予 算. に漁 業 補 償 費 と して120億 円 を 計 上 した の で 、逆 算 す る と補 償 総 額 は400億 円程 度 の見 通 しと され る。上 積 み され て352億 円 とな った 漁業 補 償 費 は 、 こ う した補 償 総 額 の範 囲 内 で 提 示 さ れ た も の.

(16) とい え る。   愛知 県 は 漁業 補 償 の ほ か に 、 県 漁連 に60億 円 の漁 業 振興 策 を示 して い る。 漁 場整 備 の た め に40 億 円 、取 り崩 し可 能 な基 金 と して20億 円 で あ る。 常 滑 を は じめ と した 漁 協 は 、 漁業 補 償 額 を受 け 入 れ る条 件 と して 、振 興 策 の上 積 み を 要 求 して い る。県 は漁 業 補 償 額120億 円 だけ で な く、振 興 費 に も負担 が せ ま られ る こ とに な る。 か な りの 税 金 が 投 入 され るわ け で 、 透 明 な漁 業 補 償 と振 興 策 が 求 め られ る。   漁 業 補 償 が大 筋 で 「 決 着 」 す る と、 公 有 水 面 埋 め 立 て と飛 行 場 設 置 許 可 申 請 の手 続 きに 入 る。 空港 会 社 は2005年 開 港 に 向け て 、今 年 度 中 の 現 地 着 工 を め ざ して い る。 と ころ で、 中 部 国 際 空 港 はPFI適 用 第1号 事 業 、 そ の モ デル とい わ れ るが 、 そ の実 態 を 事 業 ス キ ー ムか ら み て い き た い 。 PFI 「 本 家 」 の英 国 で は 、官 民 の 責 任 分担 が は っ き りして お り、3つ の タ イ プに 分類 され る。① 民 間 が施 設 を建 設 して 保 有 ・管 理 し、 両 者 か らの料 金 収 入 で 投 資資 金 を 回収 、 ② 民 間 が 建 設 した 施 設 を公 共 部 門に 貸 して リー ス料 で資金 回収 、③ 官 民 共 同 出 資 で 施設 を建 設 して、 民 間 が 管 理 す る。 中部 空 港 は③ の官 民 共 同 出資=ジ. ョイ ン トベ ンチ ャ ー型 に あ た る。.   指 定 法 人 で あ る空 港 会 社 の資 本 金1,024億 円の うち、 民 間 企 業 が 全 体 の 半 分512億 円 、 残 りは 国 が40%、 地 元 自治 体 が10%出. 資 す る。概 算 要 求 の段 階 で は 、 民 間 が全 体 の96%を 出資 す る文 字 通. りの 「民 間 主 導 型 」空 港 だ った が 、最 終 的 に 国 や 自治 体 の ウエイ トが 引 き上 げ られ た 。PFIの か け 声 と とも に、 民 間 主 導 の 色 合 いが 薄 れ て い った。 関西 空港 で は98年3月 間 が17%と. 末 で 国67%、. 自治 体 と民. い う出資 割 合 に な って い る。.   中部 空 港 は確 か に 関 西 空 港 よ りは 民 間 の ウエ イ トが 高 い が 、英 国で はPFIを 実 施 す る 会 社 は 民 間 が ほ とん ど出資 して い る。 中 部 空港 で は半 分 に と ど ま り、 それ も500以 上 の企 業 の 出資 に よ る。 国 と自治 体 か らの 無 利 子 貸 付 金 は 、空 港 会 社 の資 本 金 の2倍 の2,048億 円 に の ぼ り、 資 本 の ル ー ルか ら は民 間 主 導 とい い が た い 。 また 、空 港 会 社 に よ る リス ク負 担 は あ い まい で あ り、官 民 の 責 任 分 担 も 明確 で は な い 。   中部 空 港 の建 設 はPFIと い って も、 官 に支 え られ た 事業 方 式 で あ り、関 西 空港 の第1期. 事業に. か な り近 い。そ もそ も地 元 にPFI的 な 発 想 は な く、景 気 対 策 の大 合 唱 の も とでPFIの 看 板 が あ とか ら付 け 加 わ った の で あ る。 空 港 関 係者 に よる と、PFIの3文. 字 は予 算 獲 得 の 大 きな武 器 に な っ た. とい う。   99年7月. にPFI推 進 法(民 間 資 金 等 に よる公 共 施 設 等 の整 備 等 の促 進 に 関 す る法 律)が. 成立 し. た が 、 当 初 の法 案 に あ った 国 や 自治体 に よる 出資 、 債 務 保 証 が 修 正 に よ りな くな った 。PFIが 第 三 セ ク タ ー の二 の 舞 に な る とい う批 判 を受 け た ものだ が 、そ れ で も国 有 財産 の無 償 使 用 、 無 利 子 貸 し付 け な ど、 手 厚 い 配慮 が盛 り込 まれ て い る。 民 活 プ ロジ ェク トの よ うな 公 的支 援 策 が 盛 り込 まれ て お り、落 ち 目の 第三 セ クタ ー に代 わ る 「日本 版PFI」 の 登 場 とい え る。中部 空 港 は こ の モデ ル とい わ れ るが 、PFI推 進 法 が 国 や 自治 体 の 出資 条 項 を 削除 した わ け で 、 法律 上 もモ デ ル と は い えな くな った 。 た だ し、後 述 す る よ うな 地 元 負 担 膨 張 の構 図 を み る限 り、 第三 セ ク タ ーの 再 版 と して の 「日本版PFI」 の 典 型 事 例 とい え る の で は な い か。15).

(17)   (3)愛. 知 万 博 と ニ ュ ー タ ウ ン開 発 の現 実.   70年 の 大 阪 万 博 や2005年 の愛 知 万 博 は 、通 産 省 が 所 管 す る国 家 プ ロ ジ ェ ク トで あ る。 愛 知 万 博 の 開催 申 請 は96年12月 に決 ま っ た。 政 府 は こ の閣 議 了 解 の 過 程 で 開催 計 画 の見 直 し、 地 元 の 会 場 計 画 の 規 模縮 小 を 求 め た。 万 博 の テ ー マ も 「新 しい 地 球 創 造:自 然 の叡 智 」 と修 正 され 、 人 と 自 然 が共 生す る来 た るべ き時 代 の地 球 文 明 のひ な 型 を つ くる と した。 また 、 万 博 開 催 に あた って は 環 境 影 響 評 価 を適 切 に行 な うこ と と した 。 これ 以 降 、愛 知 万 博 は 「 環 境 万博 」 の看 板 を掲 げ る こ と にな り、 会 場 計 画 な どに 大 きな影 響 を あ た え て い く。   97年6月. のBIE(博. 覧 会 国 際 事務 局)総 会 に お い て、2005年 国 際 博 覧 会 の 開催 地 が 日 本 ・愛 知. に 決 ま った 。 日本 と カナ ダ 両 国 で激 しい誘 致 合 戦 が 繰 り広 げ られ 、 トヨタ を は じあ と した 経 済 力 の 差 で 日本 が 勝利 した 。 そ の後 、博 覧 会 協 会 が 設 立 され 、 会 場 計 画策 定 や環 境 ア セ ス メ ン トが す す め られ る。   愛 知 万 博 は途 中 か ら 「 環 境 万 博 」 の 看 板 を 掲 げ た こ と も あ り、 環 境 ア セ ス メ ン トに 注 目が 集 ま っ た。 万 博 ア セ ス メ ン トは99年6月. か ら施行 され る環 境 影 響 評 価 法 の先 取 り、21世 紀 の ア セ ス. メ ン トの モデ ル と され た 。 早 い段 階 か ら住民 に意 見 を求 め た が 、 万 博 アセ ス メ ン トは残 念 な が ら 当初 か ら重 大 な 欠 陥 を も って い た。 それ は瀬 戸 市 南 東 部 の 「海 上 の 森」 で の万 博 開催 が前 提 とさ れ 、 道 路 な ど関 連 事業 の アセ ス メ ン トとの連 携 も形 式 的 で あ った 。 そ れ と会 場 計 画 が不 明確 な ま ま手続 きが進 行 し、住 民意 見 もあ ま り反 映 され な か った 。   99年4月. 末 に会 場 予 定 地 の海 上 の森 で オオ タ カ営 巣 が 確認 され て か ら、万 博 会 場 計 画 は揺 れ 動. い て い る。 「オ オ タ カ営 巣 に 関す る県 の対 応 方 針 」に よ り、オ オ タカ調 査 検 討 会 が 設 置 され た 。そ の一 方 で、 会 場 計 画 の見 直 しが 急 ピッ チ で す す め られ る。 ま だ不 確 定 な と ころ が あ るが 、計 画 見 直 しの基 本 方 向 と して 、4つ の ゾ ー ンか らな る会 場 計 画 が提 起 され て い る。 図3-2の. よ うに 、. 海 上 の 森 北 地 区 を テ ーマ に 沿 う 「シ ンボ ル ゾー ン」、南 西 地 区 を 民 間 出資 を軸 に した 「テ ー マ ゾー ン」、愛 知 青 少 年 公 園 を外 国 出展 を 主 体 と した 「エ デ ュテ イ メ ン トゾー ン」、そ して科 学 技 術 交 流 セ ンタ ーを 「管理 ゾ ー ン」 とす る。 これ ま で の海 上 の 森 と と もに 、青 少 年 公 園 に も施 設 が 配 置 さ れ る。 オ オ タ カ 問題 を契 機 に、会 場 は ほ ぼ 倍増 され る こ とに な る。総 入 場 者 の 想定2,500万 人 、1 日あ た り22万人 の 入場 者 を確 保 す るた め に も、 分 散 開催 とな った の で あ る。   こ う した会 場 計 画 の見 直 しに よ り、 オ オ タ カが保 護 され 、海 上 の森 の環 境 は 守 られ るの か。 分 散 開催 は財 政 問題 に ど う影 響 す るで あ ろ うか。16)海 上 の森 の環 境 に と っ て 、 と りわ け 南 西 地 区 の 「テ ー マ ゾ ー ン」 の施 設 配 置 が 問題 とな る。 それ 以上 に 問題 な のが 、 た とえ 万博 会 場 が海 上 の森 か ら縮 小 な い し撤 退 され て も、 そ こで ニ ュー タ ウ ンや 道 路 建 設 が 計 画 され て い る こ とで あ る。 万 博 会 場 は ニ ュ ー タ ウ ン開発 で基 盤 整 備 され た 土 地 を 先 行 利 用 して 、 会 場 が建 設 され る。 名 古 屋 瀬 戸 道路 な どの 関 連 道路 も、万 博 ア クセ ス と して 利 用 す る。   なぜ 愛 知 県 は ニ ュ ータ ウ ン建 設 を 強 力 に 推 進 して きた の か 。 万博 の会 場 計 画 とは 、 ど の よ うな 関 係 な の か。 計 画 の事 業 手 法 を 含 め て 、 ニ ュ ー タ ウ ン開 発 を め ぐる 問題 状 況 を み て い こ う。.

(18)   先 に み た愛 知 県 の21世 紀 計 画 に お い て 、産 業 技 術 首 都 を め ざ す主 要 プ ロジ ェク トと して 「あ い ち学術 研 究 開発 ゾー ン」 が 位 置 づ け られ た 。尾 張北 部 か ら西 三 河 に広 が る名 古 屋 東 部 丘 陵一 帯 で あ り、 そ の ほ ぼ 中央 の瀬 戸 市 南 東 部 地 区 が 万博 会場 予 定 地 と され た。98年3月. の新 地 方 計 画=愛. 知2010計 画 で も、 この地 区を 「あ い ち学 術 研 究 開 発 ゾ ー ン」 の 中核 的 ・先導 的 な役 割 を 担 う 「交 流 未 来 都 市 」 を 象徴 す る地 区 と した。 万 博 開 催 効 果 を 最 大 限 に 生 か しつ つ 、新 しい情 報 シ ステ ム な どの基 盤 整 備 に よ り、 「環 境 共 生 型 まち づ く り」 を方 向づ け た。   こ う した 開 発 の 事業 手 法 と され た の が、 新 住 宅 市 街 地 開 発 事 業 、 い わ ゆ る新 住 事 業 で あ る。 瀬 戸 市 南 東 部 地 区 事 業 基本 計 画(99年2月)に. よ る と、 「 瀬 戸 市 南東 部 で の複 合 的 まち づ く りに は 、. 良好 な住 宅 地 の供 給 と と もに 、 研 究施 設 、商 業 ・文 化 施 設 な どを 合 わ せ て 計 画 的 に整 備 す る こ と が で き る新 住 事 業 が 最 もふ さわ しい手 法 」17)と され た 。そ して 、新 住 事 業 の メ リ ッ トと して 次 の よ うな 点 を あ げ る。   ・都 市 計 画事 業 と して 施 行 され るた め 、 関連 都 市 計 画 と整 合 が図 られ る。   ・全面 買 収方 式 の事 業 で あ り、 事 業 者 に土 地 の先 買 権 お よび収 用 権 が 付 与 され て お り、事 業 推     進 の 確 実性 が 高 い。   ・事 業 の 施 行 に あわ せ て周 辺 道 路 等 の 基 盤整 備 に 国 な どの 支援 が得 や す い。   愛 知 県 は90年10月 に建 設 大 臣 よ り 「新 住 に 準ず る事業 」 の 指定 を うけ 、 用 地 買 収 や 計 画 の検 討 を は じめ た 。 「準ず る事 業」 の 段 階 で は 、土 地 所 有 者 に対 す る課 税 特 例(譲 渡所 得 の5,000万 円 控 除)だ け が 適 用 され る。 新 住 事 業 の 区域 は、 愛知 万博 の 会 場 計 画 に大 きな影 響 を うけ る。 基 本 構 想案 の事 業 区 域 は250haで あ った が 、 万博 の ゾー ン変 更 に と もな い150haに 縮 小 され た 。 最 終 的 な 都市 計 画 案 では 、1住 区 で面 積138.8ha、 計 画戸 数 約2,000戸 、 目標 人 口約6,000人 と され て い る。 土地 利 用 計 画 は住 宅 用 地20.8ha、 公益 的施 設 用 地13.3ha、 公 共 用 地95.7haと な って い る。 公 共 用.

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