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農産物加工食品 -- 経済成長と豊富な人口が新たな商機 (特集 気がつけばバングラデシュ -- 芽吹く新産業)

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Academic year: 2021

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全文

(1)

農産物加工食品 -- 経済成長と豊富な人口が新たな

商機 (特集 気がつけばバングラデシュ -- 芽吹く

新産業)

著者

村山 真弓

権利

Copyrights 日本貿易振興機構(ジェトロ)アジア

経済研究所 / Institute of Developing

Economies, Japan External Trade Organization

(IDE-JETRO) http://www.ide.go.jp

雑誌名

アジ研ワールド・トレンド

231

ページ

19-20

発行年

2014-12

出版者

日本貿易振興機構アジア経済研究所

URL

http://hdl.handle.net/2344/00003324

(2)

19

アジ研ワールド・トレンド No.231(2015. 1) ●意外と新しい産業 農産物加工食品工業は、国民総 生産や輸出への貢献においては 、 アパレル製造に次ぐ第二の製造業 部門である。また、今なお農漁業 が国民総生産の約二割を占め、労 働力の半分弱を吸収しているバン グラデシュにおいて、この産業は、 農村の経済社会の発展との関連か らも、大きな役割が期待される。 農作物の保存と自家消費のため の加工から始まった農産物加工食 品工業は、一九六〇年代になって、 商業ベースでの精米や小麦の製粉、 からし菜の搾油、ベーカリー製品 製造へと発展した。しかし生産能 力と製品の質の向上がみられるよ うになるのは一九八〇年代半ば以 後のことである。そして今また新 たな商機が生まれている。先進国 や中国等の新興国における人件費 上昇や国際貿易の自由化は、バン グラデシュにとって、新規の輸出 市場開拓の可能性を拓いた。さら に、経済成長の加速化で上昇した 国民の購買力、国境を越えた情報 の流入や人の移動に起因する生活 スタイルや嗜好の変化は、かつて バングラデシュの人々が口にしな かった新たな食品や高付加価値食 品を含む、国内市場の拡大をもた らしている。 ●どのような製品があるか バングラデシュおける農産物加 工食品工業の製品としては、酪農 製品、コメの加工品、小麦粉加工 品 、食用油 、果実 ・野菜加工品 、 砂糖 、茶 、肉 ・魚の加工品 、豆 ・ スパイスの加工品等がある。 バングラデシュの人々の食生活 における牛乳その他の酪農製品の 消費量は、 世界保健機関︵ W H O ︶ の推奨量の五分の一以下にすぎな い。これは、インド等近隣諸国と 比べても低い数字である。牛乳の 生産量はここ一〇年間に倍増した が、今なお国内需要の二割は、輸 入粉末ミルクに依存している。牛 乳生産性の低さ、飼料等生産コス トの高さ、サプライチェーンの各 段階における原料・製品取扱に関 する意識の低さなどが、国産牛乳 の質に対する消費者の信頼を損な う結果になっている。 食品工業のなかで事業所数が最 も多いのが精米所である。コメは 九割が精米され、残り一割が膨化 米︵ポン菓子︶やフレーク状の米 等に加工される。加工業者は小規 模家内工場がほとんどだが、最近 は、契約栽培、調達、精米、包装 の上で自社ブランドをつけて、ス ーパーマーケット等での販売、輸 出までを一貫して行う大手企業が でてきた。過去一〇年の間に、市 場における中・高品質米の割合は 急速に上昇しており、消費者の高 級品志向化と、高品質米を扱う大 規模企業およびスーパーマーケッ ト等新しい都市型小売業の好況ぶ りがうかがわれる。 冷凍エビ・魚は輸出全体の二 % 弱とシェアは低いものの、衣料品 に次ぐ輸出品目である。世界の冷 凍エビ市場において、バングラデ シュはタイ 、ベトナム 、インド 、 中国、インドネシア、エクアドル に次ぐ主要輸出国である。バング ラデシュのエビ輸出は冷凍エビが 殆どで加工品はない。輸出先は欧 米諸国が中心で、日本への輸出は 二〇〇九/一〇年度で三 % に とど まる。日本は、一九八〇年代から 九〇年代にはバングラデシュ産エ ビの主要市場のひとつであったが、 その後バイヤーの関心が他の国に 移った。しかし最近、日本からの 引き合いが再び増えているという。   冷凍エビ・魚の輸出は増加傾向 にあるが変動幅も大きい。原因の ひとつには、先進国市場における 厳格な品質管理基準がある。一九 九七年には E U ︵欧州連合︶が求 める基準が満たせず、五カ月間エ ビ輸出が禁止された。

農産物加工食品

︱経済成長と豊富な人口が新たな商機︱

︻第

拡大する国内市場︼

特  集

気がつけばバングラデシュ

―芽吹く新産業ー

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20

アジ研ワールド・トレンド No.231(2015. 1) ●大手食品企業の概要 大手食品企業二〇社に対して行 った聞き取り結果を紹介しよう。 調査対象となった二〇社中、一 社は巨大 NGO 、 B R A C のプロ ジェクトである。七社は上場企業、 残り一二社は非公開株式会社で 、 殆どは創業者家族が所有経営する ファミリービジネスである。 大手食品企業の創業者および現 所有者のなかには、一九四七年の インド ・パキスタン分離独立後 、 東パキスタンに移住してきた非ベ ンガル人ムスリム企業家が少なか らず含まれている。これは他の製 造業には見られない特徴である。 二〇社のうち一三社が輸出を行 っているが、全製品を輸出してい るのは冷凍エビ・魚生産に従事し ている企業に限られる。全般的な 国内市場志向については、①国内 市場の成長、②現有の生産能力が 国内需要の伸びを満たすので一杯、 ③輸出にともなう余計な手間を避 ける傾向、等の理由が指摘できる。 多くの企業は、都市市場での販 売を主としているが、ビスケット やスナックなどで全国展開してい る企業の方が、都市限定型の企業 よりも高い売り上げを示している。 農村や低所得層に向けた販売強化 は、今後の目標として、どの企業 も言及しており、少量パッケージ 化や、遠隔地をカバーする販売網 の拡大が計画されている。 水産物以外の食品輸出は、バン グラデシュ全体としてまだ少ない。 しかし、果実・野菜のプリザーブ、 小麦粉製品、ベーカリー製品、植 物・動物性油脂、飲料などは急速 に輸出を伸ばしている 。ただし 、 水産物の輸出先が先進国市場であ るのに対して、これらの輸出品は、 在外バングラデシュ人の多い地域 や国に集中している。 食 品 最 大 手 の Agricultural Marketing Co. Ltd. ︵ Pran ︶ 社 の 場合、輸出実績は八二カ国に及ん でおり、バングラデシュに接する インドの北東地域や西ベンガル州 でも積極的なマーケティングを行 っている。また、バングラデシュ の初の対外投資案件として、イン ド・トリプラ州にスナック、ジュ ース製造工場を建設し、近く生産 開始予定である。 国内外の市場拡大の見通しにつ いて、どの企業も年間二〇 % 前 後 の高い成長を見込んでいる。その 背景には、国民の購買力の上昇や、 消費習慣の緩やかな変化、都市化 の進展、地方への道路網の拡大が 要因として挙げられる。他方、輸 出市場では、 E U や日本等による 一般特恵関税制度︵ GSP ︶を享 受でき、非課税で輸出が可能であ ることが、バングラデシュの強み となっている。 ●課題と展望 不十分なインフラ、特に電力不 足 、政治不安 、税制度の複雑さ 、 金利の高さなど、農産物食品加工 業が直面する課題は他の製造業と も共通する。加えて、冷凍倉庫や コールドチェーンの未整備は、原 料調達および製品の流通にとって、 大きな障害となっている。 調査企業は一様に、国内外で製 品の質への関心が強まっているこ とを認識していた。他方、食品の 安全に関わる国際認証を取得して いる企業は、先進国市場を相手に 輸出している水産物加工等一握り の大企業に限られている。原材料 の質が均一でないこと、効率的な 技術が十分にないこと、訓練され た人材が不足していることなどが 製品の質の向上を阻む要因となっ ているなかで、売上増加が優先さ れ、食の安全確保の課題は後回し にされている感がある。 なお調査した企業の生産部門労 働者のうち女性の割合は、七∼八 割に達していた。円滑な労使関係 を維持するめに、女性労働者を優 先的に雇用する方針を取っている という意見もあった。全般的には、 大手企業は製造工程の機械化を推 進する傾向にある。他方、労働集 約的作業工程として残る部分にお いては、非正規雇用、とりわけ女 性労働力によって対応する傾向が 進んでいる。 農漁村地域と都市を含む長いサ プライチェーンを有する農産物加 工食品工業は、製造業以外の段階 で関わる人の数が多く、またその 関わり方も多様である。 国内外両方の市場において、バ ングラデシュの農産物食品加工業 拡大の可能性は大きい。ただしそ の実現に当たっては、食の安全管 理基準遵守が極めて重要で、企業 および政府がともに、人材育成を 含め、サプライチェーンの各段階 で生産能力と質の向上に尽力する 必要がある。その際、原料生産者、 工場労働者の利益への配慮を組み 込んだ改善の方策が、中長期的に は、消費者、ひいては業界の利益 にも結びつくと考えられる。   ︵むらやま   まゆみ/アジア経済研 究所   新領域研究センター︶

参照

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