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ベトナム -- リサイクルビジネスの中国人バイヤーたち (特集 チャイニーズ・オン・ザ・グローブ)

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Academic year: 2021

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ベトナム -- リサイクルビジネスの中国人バイヤー

たち (特集 チャイニーズ・オン・ザ・グローブ)

著者

坂田 正三

権利

Copyrights 日本貿易振興機構(ジェトロ)アジア

経済研究所 / Institute of Developing

Economies, Japan External Trade Organization

(IDE-JETRO) http://www.ide.go.jp

雑誌名

アジ研ワールド・トレンド

202

ページ

10-11

発行年

2012-07

出版者

日本貿易振興機構アジア経済研究所

URL

http://hdl.handle.net/2344/00003922

(2)

  ベトナムでは、 中国人といえば、 ﹁商売人﹂というイメージが強い ようだ。多くのベトナム人は、日 本人や韓国人をみると、ベトナム に進出している企業の経営者か従 業員であろうと考えるのに対し 、 中国人といえば、アタッシュケー スひとつでやって来た中国との輸 出入を手がける個人経営の商売人 を思い浮かべるらしい。   事実、ベトナム・中国間の貿易 は盛んで、中国はベトナムにとっ て最大の貿易相手である一方、ベ トナムに投資する中国企業のプレ ゼンスは驚くほど小さい。統計総 局発行の﹃ベトナム統計年鑑﹄に よれば、 二〇一〇年までの累計で、 中国からの直接投資は件数にして 七七〇件、投資額は三七億ドル弱 である。日本と比べると、投資件 数︵一四二五件︶は約半分、投資 額︵二一〇億ドル︶は一八%程度 と、投資総額も少なければひとつ ひとつの投資案件の規模も小さ い。

●温州から来たシュウさん

  ハノイの隣に位置するフンイェ ン省の農村で筆者が出会ったシュ ウ︵許︶さんという壮年の中国人 も、ベトナム人がイメージする典 型的な中国人のひとりであった 。 その村は、テレビやパソコンなど の廃家電製品を解体している世帯 が集中している村で、筆者がシュ ウさんに会ったのは、その村で最 も早く家電解体ビジネスをはじめ たヴィエトさんという旧知の方の お宅を訪ねた時であった。シュウ さんは、廃家電から分別・回収さ れたプリント基板やチップなどを ヴィエトさんから買い付け中国に 輸出しており、ベトナムでこの商 売を始めて八年経つという。ベト ナム人の奥さんをもらい、子供も でき、いまではベトナムを拠点に 活動している。奥さんはヴィエト さんの親類らしく、シュウさんは いつも買い付けに来るお得意さん というよりは、ヴィエトさんの共 同経営者のような立場であった。   シュウさんは温州出身。一五歳 で海を渡り、世界中のあちこちで 商売をやってきたという。日本に も知り合いがたくさんいるそうで ある。なぜそんなに若くして海外 に出ようと思ったのか、 と聞くと、 ﹁周りがみんなそうだから﹂とい う答えが返ってきた。温州人が世 界中でビジネスネットワークを形 成できるのは、そんなところにも 秘密の一端があるのだろう。   シュウさんはベトナムで回収し たプリント基板から金や銅などの 金属類を抽出する工場を中国に持 ち、ベトナム北部だけでなく、中 部や南部からもプリント基板や チップを回収し中国に輸出してい る。 また、 世界に広がる温州人ネッ トワークを利用して、廃家電分野 だけでなく、革靴を製造してヨー ロッパに輸出するビジネスもホー チミン市で始めたと言っていた。

中国に向かうベトナムの廃

棄物・スクラップ

  シュウさんに限らず、ベトナム で廃棄物やリサイクルに関係した 調査をしていると、あちらこちら で 中 国 人 と 出 会 う こ と に な る 。 ホーチミン市の中心部から少し外 れた国道二二号線沿いには、廃家 電から取り出したプリント基板や チップ類、廃棄されたCDやDV D を買い付ける中国人バイヤーが 経営する倉庫が軒を連ねている 。 筆者は中国国境から五〇〇キロ近 く離れた中部のゲアン省でも、廃 ペットボトルを買い付けに来てい た中国人バイヤーに会ったことが ある 。フンイェン省の廃バッテ リーのリサイクル工場に調査に 行った時には、同行した同僚の研 究者が中国人バイヤー︵そして筆 者がその通訳︶と間違えられ、工 場の若い女性工員たちに ﹁いっ しょに中国に連れて行って﹂など

特 集

チャイニーズ・

オン・ザ・グローブ

ベト

リサ

イヤ

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アジ研ワールド・トレンド No.202 (2012. 7)

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と言い寄られていた。   中国と ベ トナ ム を また ぐリサイ クルビジ ネスは 、 ベ ト ナ ム で回 収 されたリサイク ル 可 能 な廃 棄 物 ・ スクラ ッ プ を マ テ リアル の ま ま 、 ある い は 一 次 加工 した状 態 で中 国 に輸 出する と い う も の である 。 た と え ばペ ット ボ ト ルは 圧 縮 ・減 容 して 、あ る い は 破 砕 し て 輸 出 さ れ る。 廃 バ ッ テ リ ー は そ の ま ま 輸 出 され る か 鉛だ けを抽 出 し て イ ン ゴッ ト 状 に し て 輸 出 さ れ る 。 家 電 製品は手 解 体 され 、 プ リ ン ト基板 とチ ップ 、プラ ス チ ッ クなどが中 国に 輸 出 さ れ る 。 そして 、 そ れ ら の 一 部は 工業 製品 、 た とえば ペ ッ ト ボ トル はぬ いぐるみや 枕 の中 綿 として 、 廃バ ッ テ リ ー の 鉛 は 新 品 のバ ッテ リ ー の 極 板 に 塗 布 さ れ て ベト ナ ム に 戻 っ て く る 。 環 境 関 係 のベト ナ ム 人 識 者 ら は 貴 重 な 資 源 として の 廃 棄 物 ・ スクラ ッ プの国 外流出を嘆く が 、 そ の よ う な リ サ イク ル 技 術を持 っ た企業が ベ ト ナ ムに 育 っ てい ないの も 事 実 で あ る 。   ベトナム人のリサイクル業者や 中国人バイヤーたちの話による と、これらの廃棄物・スクラップ のほとんどがモンカイ・東興国境 という、比較的小さな国境ゲート 経由で輸出されているようであ る。南部から輸出する場合も、直 接中国には送らず、一旦モンカイ で荷を降ろし 、小船に積み替え 、 国境を流れる川を越えて東興まで 運ぶのだという。   なぜそんな手の込んだことをす るかといえば、それは、これらの 品の多くが禁輸品だからである 。 中国では、有害廃棄物の越境移動 を 規 制 す る 国 際 的 な 取 り 決 め ﹁バーゼル条約﹂に準拠した廃棄 物の輸入に関する厳格な国内法が 存在している。この基準に照らせ ば、 プリント基板やチップ、 廃バッ テリーの輸入はあきらかに違法 、 ペットボトルもかなりグレーであ る︵排水処理設備がある工場で洗 浄されていなければならない︶ 。   世界の工場・中国は世界一の廃 棄物・スクラップ輸入大国でもあ り、違法品も含め、ベトナム中の 廃棄物・スクラップが中国に吸い 込まれている。たくましい中国人 バイヤーに押され、ベトナム人が 中国への廃棄物・スクラップ輸出 ビジネスに直接参入することは難 しいようである。

越中関係の悪化の思わぬ影響   とはいえ、違法あるいは違法の 疑いのある廃棄物・スクラップの 越境貿易ビジネスは、決して楽な 商売ではない。密輸が摘発される リスクは常に付きまとい、もしも のための保険をかけるわけにもい かず、資源の国際価格も常に変動 しているため、時には大きな損失 も覚悟せねばならない。 おまけに、 彼らには国際情勢というリスクま で降りかかる。先述のシュウさん によれば、ベトナムと中国の間で 何か外交問題が発生すると、どう いうわけか国境での検問が厳しく なるのだという。   ベトナムと中国は、長い間お互 いが南沙諸島、西沙諸島の領有権 を主張しあってきたが、近年はそ の﹁主張﹂ の仕方が少々過激になっ てきている。筆者がシュウさんに 会ったのは二〇一一年の初頭であ るが 、その前年の二〇一〇年は 、 両国間の緊張がそれまでになく高 まった年であった。一月に中国政 府が南沙諸島、西沙諸島における 観光開発計画を発表したため、ベ トナム政府が抗議声明を出し、九 月には西沙諸島近海でベトナム漁 船が中国当局に拿捕される事件が 大きな話題となった。国境の検問 が突然厳しくなると、何かまた両 国間で問題があったのだなと察 し、どうすることもできないので モンカイの倉庫でしばらく荷を止 めておくしかないのだ、とシュウ さんは苦笑いしていた。   以来、シュウさんに会うことは かなわずにいるが、その後もベト ナム・中国間の事件が報道される たびに、 彼の苦笑いを思い出す ︵二 〇一一年五月には、ベトナムの石 油探査船が中国当局の監視船に妨 害され、それをきっかけに六月に はハノイの中国大使館前でデモが 起きている︶ 。おそらく 、苦笑い しつつことの成り行きを見守って いるのは、ベトナム人の間にも沢 山いるはずである。マスコミや活 動家と彼らとの温度差もまた、複 雑な越中関係の一面である。 ︵さかた   しょう ぞ う / ア ジ ア 経 済 研 究所   東南 アジ アⅡ 研究グ ル ー プ ︶ パソコンモニターは小船に乗せて中国に輸出され ている(モンカイにて小島道一撮影)

ベトナム

―リサイクルビジネスの中国人バイヤーたち―

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アジ研ワールド・トレンド No.202 (2012. 7)

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1 Library, Institute of Developing Economies, Japan External Trade Organization (3-2-2 Wakaba Mihama-ku Chiba-shi, Chiba 261-8545). 情報管理 56(1), 043-048,

発表者,題名,発表・発行掲載誌名,発表・発行年月 ○Shinji Tokunaga, Toshiyuki Araki: “Wallerian degeneration slow mouse neurons are protected against cell death

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