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グローバル・ロジスティクス・ネットワーク ─国境を越えて世界を流れる貨物─

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Academic year: 2021

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運輸政策研究 Vol.20 2017 書評 064 Vol.22 2020  巨大なコンテナ船,長編成のコンテナ二段積み貨車が,世 界の主要物流ルートで活躍している.経済のグローバル化に より,資源・製品を最も高く売れる地域へ輸送する必要が生じ たわけだが,輸送において規模の経済が発揮できるため機材 の大型化が進んでいる.さらに,輸送サービスの効率化のた めには,港湾・鉄道・道路などの交通インフラの高度化,通関・ 輸出入手続きの電子化・簡素化,越境交通の自由化など制度 整備も必要となってくる. したがって,現在のグローバル・ロジスティクス・ネットワー クを理解するためには,地域間の資源・製品の需給関係だけ でなく,ロジスティクスに固有の技術的・地理的・制度的な条 件を考慮する必要がある.各地域がネットワークの形成にあ たって,それらの条件をどのようにして克服してきたのか.今 後,どのように克服しようとしているのか,興味深いテーマで ある. 「グローバル・ロジステイクス・ネットワーク」は,世界の海上・ 陸上貨物輸送の現状と課題をわかりやすく,しかもコンパクト にまとめた良書である.柴崎隆一氏が本書の半分を執筆して いるが,残りはアジア物流研究会の若手研究者が分担した. どの章も現地調査や定量的な分析結果に基づいた記述と なっており説得力がある(詳細な分析方法などの解説は参考 文献に譲っているが). 本書のメリットとして,世界の主要なロジスティクス・ネット ワークがカバーされている点を挙げることができる.類書で取 り上げることの少ない中央アジア,アフリカなどのネットワーク も含まれている.当該地域でビジネスを始めようとしている実 務家にとっては有用な入門書となっている.ネットワークが形 成されるメカニズムに興味を持つ研究者も,本書からいろい ろな示唆を得られるはずである. 本書は,第1章「グローバル・ロジスティクス・ヒストリー」で 貿易・国際物流の歴史を簡単にたどった後で,第1部で「世界 の海上輸送」,第2部で「世界各地の陸上貨物輸送」を解説し ている.各章には興味深いトピックスが数多く含まれているが, 以下では評者が勉強になったグローバル・ロジスティクス・ネッ トワーク形成に関する経済的な解説,「一帯一路」の評価に 絞って紹介したい. 第1部,第2章「コンテナ輸送の過去・現在・未来」では,コン テナ船大型化の輸送費用削減・基幹航路再編に対する影響に 関し分析した.第4章「世界貿易を支える2大運河:スエズ運河 とパナマ運河」では,パナマ運河の拡張プロジェクト・通航料 金の値上げ/値下げの船社の航路選択への影響を解説した. 第2部,第8章「シベリア・ランドブリッジ:欧亜にまたがる 国土を活かすロシア」では,現在,貨物量が多い東アジア―欧 州間輸送に関しては,様々な品目の中で鉄道輸送を選ぶ貨物 は多くないものの,ユーラシア大陸内部が発展し貨物の発着 地になった場合は鉄道輸送が優位性を持つことを示した.第 12章「北米大陸:大陸横断鉄道のさきがけ」では,アジアから 「西海岸までの海上輸送+大陸横断鉄道」のインターモーダ ル輸送と「東海岸までの直接海上輸送」の費用を比較し,ア ジアから米国各州までのインターモーダル輸送のシェアを予 測した. 「一帯一路」に関しては,第7章「チャイナ・ランドブリッジ: 一帯一路構想の行方」で触れている.中国の政治的な意図を めぐり様々な解釈が入り乱れているわけであるが,本書はビジ ネスの観点から「チャイナ・ランドブリッジをはじめとする一 帯一路プロジェクトが,中国で経済活動を行っている日系荷 主・物流事業者に輸送選択肢の増加を通じてメリットをもたら すはず」と総括している.最近になり,日本政府も一帯一路と 連携してアジアのインフラ開発を進めていくことを表明してい るが,グローバル・ロジスティクス・ネットワークの一部として予 断を持たず評価していくことが重要であろう. 本書に問題があるとすれば,国際航空輸送が除かれている ことであろう.数年後に出版されるはずであろう第2版には是 非含めていただきたい.今回の執筆者は若手研究者なので, 5年毎だとしてもあと4回は改訂版が出せるはずである. 柴崎隆一=編 アジア物流研究会=著 書評

根本敏則

NEMOTO, Toshinori 敬愛大学経済学部教授

グローバル・ロジスティクス・ネットワーク

─国境を越えて世界を流れる貨物─

2019年2月発行 本体2,800円+税 成山堂書店 ISBN 978-4-425-93161-3 (J-STAGE早期公開 2019年4月8日)

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