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趣旨説明

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Academic year: 2021

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(1)特集 米トランプ政権誕生の背景と経済 政策に関する研究 立教大学経済学部 山縣 宏之. 趣旨説明 本特集は,世界に衝撃を与えたトランプ大統領誕生の経済的背景にあたる 「ラストベルト」の 1990 年代以降の産業構造高度化・就業構造の分極化,製 造業の動態,それらの製造業労働者への影響を考察したうえで,支持基盤を 重視しているとされ,世界に衝撃を与え続けている同政権の財政政策,通商 政策の展開を検証し,政策の合理性,非合理性,さらにトランプ政権の性格 や位置づけについて考察したものである。 「ラストベルトの経済状態分析:産業構造動態・就業構造分極化・製造業労 働者・州産業政策(山縣宏之)」,「アメリカ 2017 年減税・雇用法(いわゆる トランプ減税)の企業課税,国際課税面の意義と課題(河音琢郎)」,「トラン プ政権の通商政策―コンセンサスの破壊と無秩序状態の政策プロセス(藤 木剛康)」の各論文は,第 78 回全国大会(於:アジア経済研究所)の企画セッ ション「米トランプ政権誕生の背景と経済政策に関する研究」において報告 され,その後通常の査読審査を経て掲載されることになった論文である。 山縣論文では,ラストベルトの産業構造高度化と就業構造分解過程におい て,失職した製造業労働者の多くが水平移動あるいはより賃金の低い職業へ の転職,労働市場退出に至ったことを確認し,産業構造高度化のメリットが 大都市圏と高賃金職業に就職可能な人々に限定され,製造業事業所の立地す る郡部,製造業労働者にはほとんど及ばなかった,というラストベルトの産 業構造高度化とその製造業労働者に対する影響について分析した。 河音論文は,トランプ政権の数少ない内政的成果であるアメリカ 2017 年減 税・雇用法の意義と課題を特に法人税率の大幅引き下げ,国際課税改革に注. 95.

(2) 目して論じ,実はアメリカ及び世界経済の知識集約化,グローバル化という 21 世紀に進展した事態に対応するための超党派的合意に基づいた改革であっ たこと,政治的には財政赤字容認へ舵をきる画期だったことを指摘した。 藤木論文は,学際的なアプローチに基づいて通商政策の枠組みを世界規模 での貿易自由化をめざす覇権国型の通商政策か,競合する大国との勢力圏争 いをめざす地政学的大国型の通商政策か,完成品貿易を中心とした古いグ ローバリゼーションに対応した通商政策か,中間財貿易を中心とする新しい グローバリゼーションに対応した通商政策か,という 2 つの基準を組み合わ せて 4 つの類型に整理した上で,トランプ政権の経済政策の性格を分析し, 政権の通商政策がポスト冷戦期のコンセンサスを破壊し政策を無秩序化して いるものの,21 世紀の新しい秩序を構築しようとしているかどうかは判然と しないと指摘した。以上の各論文の考察を通じて,トランプ現象の背景を踏 まえたうえで,トランプ政権の経済政策の性格を,財政政策,通商政策に着 目して,複眼的に論じた。. 96.

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