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HMDを活用したドップラー効果学習支援環境の構築と検証

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Academic year: 2021

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(1)

HMD を活用したドップラー効果学習支援環境の

構築と検証

Development of Doppler Effect Learning Support Environment using HMD and

Verification

京極瑞生

1

岡本勝

1

松原行宏

1

Mizuki Kyogoku

1

, Masaru Okamoto

1

and Yukihiro Matsubara

1 1

広島市立大学大学院 情報科学研究科

1

Graduate School of Information Sciences, Hiroshima City University

Abstract: In this paper, VR-based Doppler effect learning support system was developed. In a VR-space, it’s easy to

control stably velocity of 2 objects (a sound source and an observer). To construct VR-based experimental environment, dual joystick controller and head mounted display (HMD) are used. By using dual joystick controller, a leaner can control 2 objects’ velocity. And, if display is used to give a learner to visual feedback, controllable-space (the experiment space) is limited (display size). So by using HMD, a learner can experience the difference in sound by variety of experiment conditions. From results of verification, to confirm effectiveness of proposed control approach, verification experiments about operation accuracy are conducted.

1 はじめに

音の変化はドップラー効果によった影響を受ける. このドップラー効果は高等学校物理で教えられてお り,高校生の中にはドップラー効果を学ばなければ ならない生徒もいる[1].一方,実験の観察と試行錯 誤を通した学習は重要であるとされている.ここで ドップラー効果の実験による学習を考えると,観測 者(自身)と音源の安定した速度制御が必要である. しかし実空間ではそのような制御は不可能である. このような実空間では不可能な実験を行うものと して,仮想現実(Virtual Reality:以下 VR と略記)を 用いたシミュレーション実験が考えられる.仮想空 間内であれば安定した速度の制御は容易である.現 実空間で行えない実験を行うものとして、VR を用 いた学習支援システムは多く開発されている[2]-[3]. Hidani らはタブレット PC を用いた力覚を伴う滑車 の仮想実験環境を構築している.Hidani らのシステ ムではポータブルなデバイスを用いて仮想実験環境 を構築することで,どこにいても安全かつ容易に滑 車の実験を行える. そこで本研究では VR 型ドップラー効果の学習支 援システムを提案する.ドップラー効果の仮想実験 では,(1) 音源と観測者の安定した速度操作,(2) 観 測者の位置で観測される音と映像の体験,(3) 観測 者の視界方向の操作の3 つが必要であると考えられ た.仮想環境内のオブジェクトを操作する入力イン タフェースはタブレット端末やアナログスティック コントローラなどが用いられている[4]. しかし,単 一の入力インタフェースでは速度操作と視界方向の 操作の同時操作を行うことは困難である.そこで提 案システムでは2 つの入力インタフェースから,観 測者の位置から2 つの速度操作を行うための速度制 御型インタフェースを構築する.速度制御型インタ フェースを用いることによって,学習者は観測者と 音源の速度を安定して操作することができる.提案 システムを用いることによって,学習者は様々な実 験条件によって変化する音の違いを観測者の位置で 体験することができる.

2 システム構成

図1 に提案システムの外観と仮想実験環境を示す. 仮想実験環境には観測者と音源があり,観測者と音 源の速度を操作するためにアナログスティックコン トローラを用いる.学習者は HMD を通して仮想環 境内の映像を見ることができる.また,学習者は HMD を装着し,顔の向きを変えることによって仮想 実験環境内の観測者の視界方向を制御できる.図 3 に音源を右方向へ移動させようとした場合の音源の 速度操作の例を示す.図のように観測者の位置から 速度制御を行う際,頭の向きを考慮しない場合,学 習者が速度を操作する方向を直感的に理解できない 人工知能学会研究会資料 SIG-ALST-B504-01 ー 1 ー

(2)

図1 システムの外観と仮想実験環境 (a) 顔の向きを考慮しない場合 (b) 顔の向きを考慮した場合 図2 音源の速度操作例 図3 HMD から取得できる 3 軸の方向と向き 可能性が考えられた.そこで本システムでは視界方 向を考慮した速度制御型インタフェースを構築する. 以下に音源と観測者の速度制御を行うための速度制 表1 トリガーの機能 トリガー 機能 トリガー1 速さのゲインの調整 トリガー2 押した時 音の再生 離した時 t とi tjの初期化 御型インタフェースについて述べる.

2.1 速度制御型インタフェース

アナログスティックコントローラからの入力はジ ョイスティックとトリガーの入力に分けられる.時 刻t におけるジョイスティックの入力 Jn(t) (n=0,1)は 次の行列式で表される.

)

(

)

(

)

(

t

J

t

J

t

J

y x n (1) ここでJx(t), Jy(t)は 0 から 1 の連続値である.この行 列式をベクトルとし,ベクトルを速度の速さと運動 の向きに対応付けることによって,学習者は速度制 御が可能となる.表1 にトリガーの機能を示す.ト リガー1 は速さを調節するために用いる.トリガー2 は音源を鳴らすためと,時刻titjを初期化するた めに用いる.トリガーからの入力Trm(t) (m=0,1)を次 式に示す.

)

(

1

)

(

0

)

(

離した時

押した時

t

Tr

m (2) 式に示すようにトリガーは0 または 1 の離散値を取 得できる.図3 に HMD と HMD に搭載された3軸 センサから取得できる各角度を示す.図のように, 提案システムで使用するHMD は 3 軸の角度を取得 できる.時刻 t における 3 軸センサからの入力を R(t)=(𝜙, 𝜑, 𝛾)と置く. 時刻 t における観測者と音源の速度は次式のよう に与えられる.

 

)

(

cos

)

(

sin

)

(

sin

)

(

cos

)

(

)

(

)

(

)

(

0 i i i i oy ox o

t

t

t

t

t

J

t

G

t

v

t

v

t

v

(3)

 

)

(

cos

)

(

sin

)

(

sin

)

(

cos

)

(

)

(

)

(

)

(

1 j j j j sy sx s

t

t

t

t

t

J

t

G

t

v

t

v

t

v

(4) ここでtiは音源を鳴らし始めた時刻であり,tjは音源 の音源が鳴っているとき、観測者が移動しはじめた 時刻である.また G(t)は速さを調整するゲインであ る.音源や観測者の速さが大きい場合,音の変化は わかりやすくなるが,速度操作が難しくなる.反し て速さが小さい場合,速度操作が容易となるが,音 の変化はわかりにくくなる.そこで本システムでは 2 つのゲインによって速さの調整を行えるようにし た.ゲインG(t)は次の式のように与えられる. アナログスティック コントローラ HMD ヘッドフォン システムの 外観 仮想実験環境 音源 観測者の 位置 出力 入力 ・音源と観測者の速度 ・視界方向 ・音 ・映像 音源 観測者 音源の速度 視界方向 軸 xyz

ー 2 ー

(3)

図4 音源と観測者の運動例

0

)

(

1

)

(

)

(

1 1

t

Tr

t

Tr

t

G

(5) 学習者は G(t)を用途によって使い分けることができ る.これらの計算によって学習者は仮想環境内でど の方向を向いていても直感的に速度制御が行える. 時刻 t からΔt 秒後の観測者と音源の位置 Po(t+Δt), Ps(t+Δt)は次のように計算される.

0

)

(

)

(

)

(

v

t

t

v

t

t

P

t

t

P

oy ox o o (6)

0

)

(

)

(

)

(

v

t

t

v

t

t

P

t

t

P

sy sx s s (7) この計算によって学習者は音源と観測者を移動でき, 運動の初期位置を任意に設定できる. 図4 に音源と観測者の運動例を示す.ドップラー 効果による音の変化は,(1) 時刻 t における音源の音 源から観測者に向かっての相対速度 v’s(t),(2) 時刻 t における観測者の観測者から音源に向かっての相 対速度v’o(t), (3) 空気中を伝わる音の速さ V,(4) 音 の周波数f0, の 4 つによって与えられる.時刻 t にお ける音源の観測者に向かっての相対速度 v’s(t)は次 の式のように与えられる. ) ( cos ) ( ) ( ' t v t t vss  (8) 同様にして時刻 t における観測者の音源に向かって の相対速度v’o(t)は次の式のように与えられる. ) ( ' cos ) ( ) ( ' t v t t voo  (9) 以上より,時刻 t におけるドップラー効果によって 変化した周波数f’(t)は次の式のように与えられる. ) ( cos ) ( ) ( ' cos ) ( ) ( ' t t v V t t v V f t f s o o     (10) この式によって計算された音はヘッドフォンを通し て学習者にフィードバックされる.これによって学 図5 システムを用いた学習例 習者は実験条件によって異なる音の違いを観測者の 位置から体験することができる.

2.2 学習例

図5 に提案システムを用いた学習例を示す.表の 学習例は学習者の目の前を音源が通り過ぎるという 運動の仮想実験である.まず学習者は音源が静止し ている状態の音を聞く.次に学習者はコントローラ を操作して音源の速度を制御する.同時に学習者は 顔の向きを変えることによって音源の動きを把握で きる.これによって学習者は音源の速度によって変 化する音の違いと音源の運動を観測できる.

3 検証実験

提案した速度制御型インタフェースの有効性を調 査する検証実験を行った.検証実験では提案手法と 後述する計算手法を比較した.比較する音源と観測 者の速度の計算式を次に示す.

 

(

)

(

)

)

(

)

(

0

t

J

t

G

t

v

t

v

t

v

oy ox o

(11)

 

(

)

(

)

)

(

)

(

1

t

J

t

G

t

v

t

v

t

v

sy sx s

(12) この計算式は図3 の頭の向きを考慮していない計算 方法である.実験では被験者に中継地点及び目標地 点を提示し,観測者と音源を目標地点まで移動させ た.実験で提示した中継地点と目標地点,観測者と 音源の初期位置の俯瞰図を図6 に示す.被験者はま ず音源を初期位置から中継地点まで移動させ,その 後観測者と音源を操作して目標地点まで移動させる. 音源 観測者 ) (t vs ) (t vsyx ) ( ' t vo ) (t Po ) (t Ps

'

) (t vo 音を鳴らし,静止状態の 音の高さを確かめる コントローラを用いて音源を 移動させる 音の変化と音源の動きを顔の向 きを変えながら確認する ー 3 ー

(4)

図6 実験における中継地点と目標地点の俯瞰図 図7 音源と観測者の軌跡(被験者 A 目標地点⑧) 図8 音源と観測者の軌跡(被験者 E 目標地点⑧) この操作を図5 に示した①から⑧までの 8 パターン の目的地点への操作を行わせた.被験者は大学生, 大学院生の計6 名とし,被験者 A, B, C に提案手法 によった実験を行わせ(グループⅠ), D, E, F に比 較手法によった実験を行わせた(グループⅡ).実験 では各パラメータを次のように設定した(α=8[m/s], β=80[m/s], V=330[m/s] ). 被験者A と被験者 E の目標地点⑧を指示した際の 音源と観測者の位置の軌跡を図7, 図 8 にそれぞれ 示す.各図には観測者の初期位置及び中継地点から 目標地点までの理想の軌道も同時に図示した.図 7 のように被験者A は理想の軌道に近い軌跡を描けて いることがわかる.一方,図8 に示すように,被験 者E は理想の軌道からずれた軌跡になっていること がわかる.このことから比較手法に比べ,提案手法 の方が理想の軌道に近い実験を行える可能性が確認 できた.

4 おわりに

本研究では HMD を用いたドップラー効果の学習 支援環境を提案した.提案システムでは速度制御型 インタフェースを用いることによって,音源と観測 者の安定した速度制御が可能となり,実験条件によ って変化する音の違いを観測者の視点から体験でき る.検証実験から提案した速度制御型インタフェー スの有効性が確認できた.今後の課題としては顔の 向きを考慮した提案手法の評価や,より正確な操作 手法の検証などが挙げられる. 本研究の一部は,科学研究費補助金基盤研究(C) (No. 15K01084, No.16K01072)の助成による.

参考文献

[1] 文部科学省: 高等学校学習指導要領理科編,pp. 41-42, (2009).

[2] Naoki H., Masaru O., and Yukihiro M.: Virtual Environment for Pulley Experiment using Tablet-PC and Portable Haptic Device, Proceedings of the 21st

International Conference on Computers in Education (ICCE2013), pp. 419-424, (2013). [3] 岡本勝, 岩崎幸路, 松原行宏: 物理エンジンを用い た仮想環境における速度制御型マニピュレー タによる剛体運動学習インタフェース, ヒュー マンインタフェース学会論文誌, Vol. 15, No. 3, pp. 227-236, (2013).

[4] Jia Wang and Robert W. Lindeman, Object Impersonation: Towards Effective Interaction in Tablet- and HMD-Based Hybrid Virtual Environments, IEEE Virtual Reality Conference

2015, pp. 111-118 (2015). 観測者の初期位置 音源 8 1 2 3 4 5 6 7 中継地点 x座標 y 座標 -80 -60 -40 -20 40 60 80 100 120 y 座標 [m ] x座標[m] 観測者の位置 音源の位置 観測者の初期位置 中継地点 目標地点 8 8 -80 -60 -40 -20 40 60 80 100 120 y 座標 [m ] x座標[m] 観測者の位置 音源の位置 観測者の初期位置 中継地点 目標地点 8 8 ー 4 ー

図 1  システムの外観と仮想実験環境  (a) 顔の向きを考慮しない場合 (b) 顔の向きを考慮した場合 図 2  音源の速度操作例 図 3 HMD から取得できる 3 軸の方向と向き  可能性が考えられた.そこで本システムでは視界方 向を考慮した速度制御型インタフェースを構築する. 以下に音源と観測者の速度制御を行うための速度制  表 1  トリガーの機能 トリガー機能 トリガー1 速さのゲインの調整 トリガー2押した時  音の再生 離した時 tiとtj の初期化 御型インタフェースについて述べる. 2
図 4  音源と観測者の運動例         0)(1))((11tTrttTrG (5)  学習者は G(t) を用途によって使い分けることができ る.これらの計算によって学習者は仮想環境内でど の方向を向いていても直感的に速度制御が行える.  時刻 t から Δ t 秒後の観測者と音源の位置 P o (t+ Δ t),  P s (t+ Δ t) は次のように計算される.     0)()()(vttvttPttPoyoxoo (6)   
図 6  実験における中継地点と目標地点の俯瞰図  図 7  音源と観測者の軌跡(被験者 A  目標地点⑧)  図 8  音源と観測者の軌跡(被験者 E  目標地点⑧)  この操作を図 5 に示した①から⑧までの 8 パターンの目的地点への操作を行わせた.被験者は大学生,大学院生の計6名とし,被験者A,  B,  Cに提案手法によった実験を行わせ(グループⅠ),  D, E, Fに比較手法によった実験を行わせた(グループⅡ).実験では各パラメータを次のように設定した(α =8[m/s], β=80[m/s]

参照

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