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頼山陽『日本外史』 : 世界文学としての漢文(アジア・太平洋研究センター主催,外国語学部アジア学科共催講演会)

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Academic year: 2021

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頼山陽『日本外史』:世界文学としての漢文(タック・ロバート)

アジア・太平洋研究センター主催,外国語学部アジア学科共

催講演会

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南山大学アジア・太平洋研究センター報 第 15 ―  ―14 過程で「世界文学」になったかという重要な問題の一局面も見逃されてきたと思われ る。日本でこれほど広く読まれた『外史』なので,文明開化時代の明治初期から海外 でも流伝して,「日本がわかる本」として外国人学者によって読まれたのも,さほど 驚くことではない。本発表では,『外史』が明治の終わりごろまで,イギリス,アメ リカ合衆国,フランス,ロシア,それから中国という広い範囲で読まれ翻訳された ケースをいくつか取り上げることにしたい。結論を先に申すと,『外史』は今現在 「世界文学」としてもてはやされる,『源氏物語』などという有名な日本文学作品より も,早い段階から海外へ伝わり,より広く読まれた,というのである。  「世界文学としての日本文学」を考えるにあたって,特に英語圏の国では『源氏物 語』を代表作として挙げる傾向が強い。一番早い『源氏物語』の英訳として 1882(明 治 15)年の末松謙著(1855-1920)による部分的な英訳が広く知られており,20 世紀 に入って Arthur Waley による完全な英訳もそれに継いだ。その後現在に至っても, 「世界最古の小説」として,『源氏物語』が世界文学の中で日本を代表する作品になっ たことに異論を唱える者はない。例えば,特に影響力のあるハーバード大学の David Damrosch 氏の『世界文学とは何か』(2003 年)においても,『源氏物語』が世界文 学であると主張されている。  しかし,『源氏』より『外史』の方が早かったのである。英語では 1871(明治 4) 年にイギリス人日本学者・外交官 Ernest Satow (1843-1929)による『外史』の 4 巻 の英訳が連載され,1873(明治 6)年にも,ロンドンのアジア研究学芸雑誌にわずか 1 ページぐらいではあるが,『外史』第 1 巻の英訳も出されたのである。その後も, 1875 年にスイス人学者 Francois Turrettini (1845-1908)による『外史』の部分的な フランス語訳がフランスやスイスにおいて出版され,1878 年から 1890 年にわたる, 馬屋原二郎という長州藩士によるもう一つのフランス語訳が公にされた。  西ヨーロッパのみならず,上記の例とほとんど同時期に,清代の中国人学者が『外 史』を読んでいた証拠もある。1875 年に広東で『外史』のかぶせ彫りが出版され, 1878 年と 1889 年に,序と頭注が付け加えられた『外史』の上海版も作成され,清末 期の文人によって比較的広く読まれたようである。もとは漢文なので,中国文人に とっては「翻訳」されずに読めた『外史』が,19 世紀の中国において一番広く流伝 した日本の文学作品であった可能性が高い。

 さらに,1892 年に日本に 4 年滞在したアメリカの牧師 William Elliot Griffis (1843-1928)は帰国後,山陽の『外史』を聖書と比べるほど高く評価しており,山陽の文

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