• 検索結果がありません。

「日本における研究開発費会計の返還」

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "「日本における研究開発費会計の返還」"

Copied!
19
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

第1節 はじめに

日本において研究開発に関する会計がいつ頃から存在していたのかについて考察し た文献はほとんどなく,あまり知られていないのが現状である。片野(1968)によれ ば,試験研究費の繰延処理が最初に貸借対照表に計上されたケースは,1881年に開業 したセメント製造企業の第八回事業年度(1889年(明治22年)1月~6月)ではないか という。ここで試験研究費は「試験費ノ内ヘ消却」という項目で償却処理が行われて いた1)。このことから日本の会計実務上における試験研究費の資産計上は,十九世紀 に遡って確認することができるものと推測する。一方,日本の商法上株式会社の貸借 対照表に試験研究費を繰延資産として計上することが認められたのは,1962年(昭和 37年)商法改正の時であった。 日本では研究開発に係る支出に関する会計処理の方法について,主に費用処理と資 産計上の2種類が存在してきた。しかし,1998年(平成10年)に「研究開発費等に係る 会計基準」が公表されるまでは,研究開発費の定義や会計処理の統一規程は会計基準 として存在しておらず,発生時費用処理するか繰延資産として貸借対照表に計上し毎 期減価償却するかは企業の裁量によるものであった。「研究開発費等に係る会計基準」 の公表に伴って,日本では研究開発費の定義,会計処理および開示に関する会計基準 を明確にするべく抜本的な整備が行われた。日本における研究開発費会計は1998年 を転換期としているといっても過言ではないだろう。 黒澤(1987)によれば,日本における近代会計制度を歴史的に概観する場合,財務 諸表準則時代,企業会計原則時代及び国際会計基準時代という三期に時代区分をする ことができるという2)。そのため本稿では,黒澤(1987)の区分に基づき,それぞれの

日本における研究開発費会計の変遷

Changes in Accounting Standards on Research

and Development Expenditures in Japan

譚     鵬

(2)

時代における研究開発に関する会計を研究することにより,研究開発費会計の理論 的・時代的背景を明確にしていく。そして,その時代になぜ特定の研究開発費会計が 基準として採用されたのか,なぜそのような研究開発費の会計基準が改訂される必要 があったのかという問題を中心に,検討を行う。

第2節 財務諸表準則時代における研究開発費会計

1.

「財務諸表準則」の規定

「財務諸表準則」は,日本で最初に制定された一般企業が準拠すべき財務諸表作成の 基準であり,日本における財務諸表標準化の原点をなすものとして位置付けられてい る3)。完成したのは,1934年(昭和9年)8月のことである4)。当該準則「第八雑勘定(借 方)5)」では,開発費の会計処理を取上げ,次のように述べている。 「新事業の計画又は新技術の採用の為準備として支出せる経費は,之を「開発 費」なる科目を以て繰延べ,資産に計上することを得。」(第57項) 以上より,「財務諸表準則」は,開発費を繰延資産として取扱っていたことが分かる。 試験研究費の会計処理に関する記述はなかった。

2.

「陸軍軍需品工場事業場財務諸表準則」と「海軍軍需品工場事業場

財務諸表作成要領」の規定

「財務諸表準則」が公表された次の年,1935年(昭和10年)に入ると日本は準戦時体制 に突入し,政府権力による集中管理体制下の戦時経済へと移行することなる。そして, 1938年(昭和13年)に「国家総動員法」が公表され,それに基づき,1939年(昭和14年) に公表された「軍需品工場事業場検査令」を受けて,1940年(昭和15年)4月に「陸軍軍 需品工場事業場財務諸表準則」(以下「陸軍準則」),および1940年(昭和15年)11月に 「海軍軍需品工場事業場財務諸表作成要領」(以下「海軍要領」)が制定・公表された。 試験研究費および開発費に関する規定は,「陸軍準則」と「海軍要領」に存在する。「陸 軍準則」と「海軍要領」では,資産はそれぞれ経営資産6)と経営外資産7)に分けられて おり,経営資産に属する試験研究費及び開発費は無形固定資産に区分され8),経営外 資産に属する試験研究費及び開発費は未働資産9)に区分されている。 「陸軍準則」と「海軍要領」では,無形固定資産に属する試験研究費と開発費について,

(3)

具体的に以下のように規定されている。 「試験研究費の科目には新技術採用の為に支出したる試験研究及試作に関する 費用にして繰延たるものを記載するものとす。」 (「陸軍準則」第18項,「海軍要領」第18項) 「開発費の科目には経営組織の創設又は改善若は操業準備のために支出したる 費用にして繰延べたるものを記載するものとす。」 (「陸軍準則」第19項,「海軍要領」第19項) しかし,未働資産に属する試験研究費と開発費は上記の規定に含まれない。ここで の「未働資産たる試験研究費」とは, 「新技術採用の為に支出したる試験研究又は試作に関する費用にして固定資産 に計上せられたるものの内未だ実用に供せられざるものを記載するもの」である。 (「陸軍準則」第38項,「海軍要領」第38項) 「未働資産たる開発費」とは,「経営組織の創設又は改善又は操業準備の為支出 したる費用にして固定資産に計上せられたるものの内未だ操業開始に至らざるも のを記載するもの」である。 (「陸軍準則」第39項) 上記のように,「陸軍準則」と「海軍要領」は,試験研究費と開発費を準備として支出 し,または実用に供せられざる場合に,経営外資産とし,実施される場合には,経営資 産に属する無形固定資産として繰延べて適当に減価償却を行うことを規定している。 図1は「陸軍準則」と「海軍要領」で試験研究費と開発費の区分を示している。 図1.試験研究費及び開発費の区分(「陸軍準則」・「海軍要領」) 有形固定資産 固定資産 試験研究費 経営資産 無形固定資産10) 流動資産 開発費 資 産 未働資産たる試験研究費 経営外資産 未働資産たる開発費 (筆者作成)

(4)

3.

「製造工業財務諸表準則草案」の規定

企画院は,「陸軍準則」と「海軍要領」を統一するために11),1941年(昭和16年)8月 に「製造工業原価計算要綱」草案を定めた。また同年11月には「製造工業貸借対照表 準則」,「製造工業財産目録準則」および「製造工業損益計算書準則」の各草案を公表し た。これらの中で研究開発への支出に関する規定は,「製造工業原価計算要綱」と「製 造工業貸借対照表準則」に存在する。 「製造工業原価計算要綱」では,試験研究費と試作費を繰延資産とし,試験研究費と試 作費の減価償却費を製造原価の構成要素として定めている。具体的に,次の通りである。 「試験研究費及試作費にして経常の性質を有するものは之を当該期間の経費と す。新技術採用の為に支出したる試験研究費又は試作費は之を繰延資産に計上す ることを得。」(第19項) また,「製造工業貸借対照表準則」草案は,試験研究費と開発費を無形資産とし,具 体的に次のように規定している。 「試験研究費の科目には新技術採用の為に支出したる試験研究費及試作費にし て繰延べたる費用を記載す。」(第17項) 「開発費の科目には経営組織の創設又は改善又は新市場開発のために支出した る費用にして繰延べたるものを記載す。」(第18項) このように,「製造工業原価計算要綱」では,試験研究費と試作費を繰延資産として 分類しているのに対し,「製造工業貸借対照表準則草案」では,試験研究費と試作費の みならず,開発費についても繰延処理を要求し,貸借対照表に無形資産という分類を 指定しているのである。

4. 財務諸表準則時代の小括

財務諸表準則時代から企業会計の改善について様々の努力がなされていたが,日本 で最初の体系的な会計基準である「財務諸表準則」の公表はこの種の努力の最初の試 みであった12)。また戦時統制経済の影響のもと,企画院が公表した製造工業に関する 各草案は,「財務諸表準則」をより一歩をすすめたものであった。「財務諸表準則」をは じめ,当時の多くの会計基準は,日本独自のものの生成発展を中核に,諸外国の優れ た経験の所産が参酌されて生まれたものである13)

(5)

この時代すでに研究開発への支出が試験研究費と開発費に区別され,その資産計 上,貸借対照表の表示区分および減価償却といった会計処理も成文化されていたので ある。この時期は第1次及び第2次世界大戦の時期でもあったため,戦時中に試験研 究費と開発費を資産として処理した理由は,軍が研究的事業を奨励したことによるも のと思われる14)。さらに,20世紀初期の米国で,会計理論上研究開発への支出につい て,基本的に繰延処理が支持されたことも15),日本の試験研究費と開発費の繰延処理 に影響を及ぼしたことは否定できない。 財務諸表準則時代における試験研究費・開発費に関連する基準・会計処理及び財務 諸表上での表示等を表1にまとめる。 表1.財務諸表準則時代における試験研究費・開発費の会計処理

第3節 企業会計原則時代における研究開発費会計

第2節での考察から,日本では伝統的に試験研究費と開発費を繰延処理の枠の中で 規定していることがわかる。そして戦後において,研究開発への支出に関する会計処 理に対して「企業会計原則」,「財務諸表等の用語,様式及び作成方法に関する規則」(以 下「財務諸表規則」),及び「商法」等が決定的な影響を与えた。

1.

「企業会計原則」上の規定

「企業会計原則」が,先行する戦前・戦中の「財務諸表準則」等とまったく異なる意 義と役割とを担って,登場したのは1949年(昭和24年)のことであった16)「企業会計 公表年 関連基準 試験研究費・開発費の会計処理 財務諸表上の表示 1934 年 財務諸表準則 開発費の繰延処理 雑勘定 1940 年 陸軍軍需品工場事業場財 務諸表準則 試験研究費・開発費の繰延処理 無形固定資産 海軍軍需品工場事業場財 務諸表作成要領 無形固定資産 1941 年 製造工業原価計算要綱 試験研究費・試作費の繰延処理 繰延資産 製造工業貸借対照表準則 (草案) 試験研究費・開発費の繰延処理 無形資産 (筆者作成)

(6)

原則」は設定当初から,試験研究費と開発費を繰延資産として掲げていた17) 「創立費,開業費,新株発行費,社債発行費,社債発行差金,開発費,試験研究費 および建設利息は,繰延資産に属するものとする。これらの資産については,償 却額を控除した未償却残高を記載する。」(「企業会計原則」,第三―四―(一)―C) 繰延資産に関しては,次のように規定されていた。 「将来の期間に影響する営業費および前払費用並びに当期純利益又は剰余金の 処分によって処理することのできない巨額の臨時的損失は,企業の堅実性を害し ないかぎり,次期以後の期間に配分して処理するため,経過的に貸借対照表の資 産の部に記載することができる。」(「企業会計原則」第三―一―D) さらに「企業会計原則注解」は次の注釈を示している。 「「将来の期間に影響する特定の費用」とは,すでに大家の支払が完了しまたは 支払義務が確定し,これに対応する役務の提供を受けたにもかかわらず,その効 果が将来にわたって発見するものと期待される費用をいう。これらの費用は,そ の効果が及ぶ数期間に合理的に配分するため,経過的に貸借対照表上繰延資産と して計上することができる。」(同注解注15)

2.

「商法」上の規定

日本の「商法」(明治三十二年九日法律第四八号)は,研究開発に係る支出に関する規 定を有しなかった。また1962年(昭和37年)の商法改正まで,設立費,新株発行費,社 債発行差額,建設利息の四項目に限って繰延処理を容認しているにすぎなかった。太 田(1951)が指摘したように,「商法」は債権者保護の立場から財産価値を考え,常に 事業解散を前提とした売却価値に重点を置くことから,商法学者は会計上の繰延勘定 の資産性について消極的であり,一部反対もあったのである。 しかし,「企業会計原則」の考え方は基本的に事業継続を前提とするものであって「商 法」のような事業の解散は予想していない。また「企業会計原則」は「将来において,商 法,税法,物価統制令等の企業会計に関係がある諸法令が制定改廃される場合において 尊重されなければならないものである(同原則第二―3)」という趣旨のもとで設定さ れていることから,「商法」にも試験研究費と開発費の繰延処理を認めるよう勧告した。 実際に,経済安定本部企業会計審議会は,1951年(昭和26年)に中間報告として「商 法と企業会計原則との調整に関する意見書」(以下「商法調整意見書」)を公表し,また 大蔵省企業会計審議会は,1960年(昭和35年)に中間報告として「企業会計原則と関係

(7)

諸法令との調整に関する連続意見書第五―繰延資産について」(以下「連続意見書第 五」)を公表した。「商法調整意見書」と「連続意見書五」を通じて,「商法」上,さらに 社債発行費用,開発費及び試験研究費の三項目を拡張すべきと提言した18)。そして 1962年(昭和37年)に実施した「商法」改正で,初めて試験研究費と開発費の繰延処理 が認められるに至った。つまり,1962年の「商法」改正で初めて試験研究費及び開発 費の繰延処理が法的に是認されたことになる。 そして,「商法」は研究開発に係る支出を次の6項目に分類している19)(商法第286 条ノ3) 「左の目的の為に特別に支出したる金額は之を貸借対照表の資産の部に計上す ることを得(以下省略) 一 新製品又は新技術の研究 二 新技術又は新経営組織の採用 三 資源の開発 四 市場の開拓」 「商法」上の試験研究費と開発費の具体例としては,次のものがあげられる。①試験 研究費の支出目的の分類は新製品を研究するため,新技術を研究するために支出した 金額をいう。②開発費の支出目的の分類は,新技術を採用するため,新経営組織を採 用するため,資源を開発するため,市場を開拓するために支出した金額をいう20)

3.

「財務諸表等規則」上の規定

「財務諸表等規則」は,証券取引法により提出される貸借対照表,損益計算書,及び その他の財務計算に関する書類の用語,様式及び作成方法を定めたものである。「財務 諸表等規則」は上記の改正「商法」の規定と同一である21)。試験研究費と開発費の内容 および表示方法は「財務諸表等の用語,様式および作成方法に関する規則取扱要領」 (以下「財務諸表等要領」)次のように指示された。 「試験研究費とは,新製品または新技術発見のために行う試験研究のために特 別に支出した費用をいい,現に生産している製品又は採用している製造技術の改 良のため常時行う試験研究のための費用を含まない。」(「財務諸表等要領」第86条) 「開発費とは,新技術又は新経営組織の採用,資源の開発,市場の開拓等のため 支出した費用と生産能率の向上又は生産計画の変更等により,設備の大規模な配 置替を行った場合等の費用。」(「財務諸表等要領」第87条)

(8)

4. 企業会計原則時代の小括

この時代,「企業会計原則」,「商法」及び「財務諸表等規則」は,試験研究費と開発費 の繰延資産計上を規定している。収益費用アプローチからみれば,将来の経済的便益 をもたらすと予測される特定の支出である試験研究費と開発費を支出した会計年度だ けに負担させるいわゆる発生時費用処理よりも,この支出が影響する将来の一定年度 にわたって負担させるべきという繰延処理の方が理論上は妥当である。 会計理論的に資産の認識条件は,経済資源の将来にわたる経済的便益としての性質 に求められるため,個別的な財産価値ないし換金価値の存在は認められなくても,役 務費消の結果として将来の収益効果が期待できる状況が創出されれば資産性が認めら れることになる。そのため,繰延資産として計上される試験研究費と開発費は,そこ に個別の財産価値の存在が認められるわけではなく,あくまで適切な期間損益計算の ための特例としての資産であった。したがって繰延資産として計上される開発費は, 損益計算の視点からのみ資産性を認めることのできる資産項目である点に注意すべき である。 この時代は,試験研究費と開発費は支出年度において全額を費用処理する方法と, 繰延資産として貸借対照表に計上して毎期均等償却する方法のいずれも認められてい た。この点に関しては,「商法」と「企業会計原則」も一致している。その結果,1977年 (昭和52年)に日本の企業を対象とした森田(1979)の調査によれば,好況業種の会社 は,繰延資産に該当する支出であっても支出期の費用とするものが多く,不況業種の 会社は,これを積極的に資産計上する傾向が認められた。 また1979年(昭和54年)に東京または大阪証券取引所での上場企業219社を対象と した日本会計研究学会(1981)の調査からは,調査対象企業の9割以上が全額費用処 理を行っていることが分かる。その理由として「特別の支出でない」とか「将来収益へ の寄与が不確実」という点を挙げている会社が多かったという。さらに,企業機密保 持の障害になることから,多くの企業が研究開発に関する情報開示,研究開発投資額 や費用総額の公表でさえ消極的であることも判明している。 植野(1982a, 1982b)は調査期間と企業数を拡大して,1974年から1979年までの 間に東証・大証第1部上場企業833社を対象に研究開発に係る支出の開示状況を調査 した。その結果から次4つの問題点を明らかにした。①35%の企業は研究開発に係る 支出に関する記載を全くしていなかった。②約60%の企業は研究開発に係る支出の記 載は年次別にかなり相違し,年次によってはゼロとなっており,その金額が当該年度 の費用額を示しているのかどうか疑問とされる例もあった。③20%の企業は繰延資産 中に試験研究費・開発費を計上していたが,そこでは不規則性がいっそう目立ってい た。④ 研究開発に係る支出の開示が業種別にきわだった相違があり,また同一業種内

(9)

でも会社により相当異なっていることである。このような状態をもたらしている主要 な原因の一つは研究開発に係る支出に関する会計基準の不備にあると植野(1982a, 1982b)が指摘する。 企業会計原則時代における試験研究費・開発費に関連する基準・会計処理及び財務 諸表上での表示等を表2にまとめる。 表 2.企業会計原則時代における試験研究費・開発費の会計処理

第4節 国際会計基準時代における研究開発費会計

日本の会計基準は,1997年以降のいわゆる「会計ビッグバン」により,国際会計基 準(International Accounting Standards, 以 下 IAS)な い し は 国 際 財 務 報 告 基 準 (International Financial Reporting Standards, 以下 IFRS)及び米国会計基準との調 和を図る方向で改訂されてきた22)。あわせて研究開発費の会計基準に関する整備も行 われていた。

1. 研究開発費会計に関する会計基準を整備する背景

第2節及び第3節で述べたように,日本は早くから研究開発への支出を試験研究費 と開発費という勘定科目で,繰延処理することを容認している。そして両科目を繰延 資産として貸借対照表に計上して毎期均等償却する処理法が通説となっている。しか し,試験研究費と開発費の範囲が必ずしも明確ではなく,また,資産への計上が任意 となることから,内外企業間の比較可能性が阻害されていた(「研究開発費に係る会計 基準の設定に関する意見書」2)。このような指摘を裏付ける当時の研究として松田 (1997)を挙げられる。松田(1997)は,現行制度上に「研究開発費」関連の勘定科目及 び会計処理の多様性に極めて多くの問題点があると述べた。彼の調査から通常,研究 公表年 関連基準 試験研究費・開発費の会計処理 財務諸表上の表示 1949 年 企業会計原則 試験研究費・開発費の繰延処理 繰延資産 1962 年 商法(改正) 試験研究費・開発費の繰延処理 繰延資産 1963 年 財務諸表等規則 試験研究費・開発費の繰延処理 繰延資産 (筆者作成)

(10)

開発費を一般管理費と処理すべきところが,販売費や調査費として処理する企業もあ れば,独立分類している企業もあるという混乱状態が明らかにされた。さらに,研究 開発費の会計処理については,多くの企業が発生時費用処理を採用しているが,繰延 資産として計上する企業の多くは利益調整のためであると指摘された23) この状況を改善し,研究開発費の会計基準を整備するため,1996年(平成8年)に 企業会計審議会が特別部会を設置し,1997年(平成9年)2月から研究開発費に係る 会計処理基準の検討にあたっての論点の整理について審議を開始した。5回の審議24) を経て,同年6月に企業財務懇談会が「研究開発費に係る会計処理基準の検討にあ たっての論点の整理」を公表した25)。7月に企業会計審議会が公開草案として「研究 開発費に係る会計処理基準の設定に関する意見書(公開草案)」を公表した26)。そして, 1998年に「研究開発費に係る会計基準」が正式に公表され,1999年からの適用が求め られた。

2.

「研究開発費等に係る会計基準」上の規定

「研究開発費に係る会計基準」は,研究開発費会計を①適切な情報提供,②企業間の 比較可能性,③国際的調和の三つの観点から整備する必要があるとし,国際的に共通 する研究開発費の定義,会計処理,および開示が規定されている。なお当該基準で,は じめて研究・開発が定義された。 「研究とは,新しい知識の発見を目的とした計画的な調査および探究をいい,開 発とは,新しい製品・サービス・生産方法についての計画若しくは設計または既 存の製品等を著しく改良するための計画もしくは設計として,研究の成果その他 の知識を具体化することをいう。」(「研究開発費に係る会計基準」第一ノ1) 日本公認会計士協会が翌1999年に公表した会計制度委員会報告第12号「研究開発 費およびソフトウェアの会計処理に関する実務指針」(以下 JICPA 実務指針)では, 研究開発に該当するものの具体例として以下のものを挙げている(「JICPA 実務指針」 第2項)。 ① 従来にはない製品,サービスに関する発想を導き出すための調査・探求 ② 新しい知識の調査・探求の結果を受け,製品化又は業務化等を行うための活動 ③ 従来の製品に比較して著しい違いを作り出す製造方法の具体化 ④ 従来と異なる原材料の利用方法または部品の製造方法の具体化 ⑤ 既存の製品,部品に係る従来と異なる使用方法の具体化 ⑥ 工具,冶具,金型等について,従来と異なる使用方法の具体化

(11)

⑦ 新製品の試作品の設計・製作および実験 ⑧ 商業生産化するために行うパイロット・プラントの設計,建設等の計画 ⑨ 取得した特許を基にして販売可能な製品を製造するための技術的活動 ここでは研究開発に係る支出を研究開発費とし,すべて発生時に費用として処理す ることが規定されている(「研究開発費に係る会計基準」第三)。また,発生時に費用とし て処理する方法には,一般管理費として処理する方法と当期製造費用として処理する 方法があるが,研究開発費は,新製品の計画・設計又は既存製品の著しい改良等のた めに発生する費用であり,一般的には原価性がないと考えられるため,通常,一般管 理費として計上することとなる(「JICPA 実務指針」第4項)。 研究開発費を構成する原価要素は以下の二点を含む。 ① 人件費,原材料費,固定資産の原価償却費および間接費の配賦額等,研究開発の ために費消されたすべての原価が含まれる。(「研究開発費に係る会計基準」第二) ② 特定の研究開発目的にのみ使用され,他の目的に使用できない機械装置や特許等 を取得した場合の原価は,取得時の研究開発費とする。(「研究開発費に係る会計基 準」注1) ここでいう「特定の研究開発目的にのみ使用され,他の目的に使用できない」とは, 特定の研究開発プロジェクトの目的のみに使用され,他の研究開発プロジェクトには 使用することが機能的,物理的にできないことをいう(「JICPA 実務指針」第5項)。 「研究開発費に係る会計基準」が研究開発費の発生時費用処理を要求する根拠として 次の3点が挙げられる。①は企業間の比較可能性,②研究開発費と企業の将来収益獲 得の関係,③国際的調和である。 まず①の企業間の比較可能性について考えてみる。会計基準上,研究開発に相当す る概念として「商法」や「企業会計原則上」では試験研究費や開発費があったが,統一 されず,定義も明確ではなかったことは明らかである。また実務上は,研究開発に係 る支出の発生時費用処理または資産計上が任意とされているため,企業による試験研 究費と開発費会計処理の混乱について早くから指摘されていた27)。したがって,「研究 開発費等に係る会計基準」の公表によって企業間の比較可能性が実現可能になるとい う点からみれば新会計基準を評価できる。 次に,根拠②の研究開発費と企業の将来収益獲得の関係について考えてみる。会計 理論上,一般的に費用は次のように定義される。 「費用とは財貨または役務について,それが費消されて,その後の営業活動にも はや貢献しなくなった部分を貨幣額であらわしたものをいう。」28) この定義から,研究開発費の発生時費用処理は研究開発投資の効果は投資期のみで

(12)

あって,投資後の効果はないことを意味する。しかし,企業会計審議会の指摘と対照 的に,企業による研究開発投資の効果は投資後の数年間続くとの事実が国内外におけ る多くの実証研究によって証明されている29)。したがって,②はしっかりとした根拠

がある指摘とは言い難い。

最後に③国際的調和について考えてみる。1998年当時,米国財務会計基準審議会 (Financial Accounting Standards Board,以下 FASB)による財務会計基準書第2号「研 究開発費の会計」(Statement of Financial Accounting Standards No.2, Accounting for

Research and Development Costs, 以下 SFAS 2)は,研究開発費の発生時費用処理を

要 求 し た30)。そ れ に 対 し て,国 際 会 計 基 準 委 員 会(International Accounting

Standards Committee, 以下 IASC)による国際会計基準38「無形資産」(International Accounting Standards 38, Intangible Assets, 以下 IAS38)は,研究費の発生時費用処 理と,一定の要件を満たす開発費の資産計上を要求した。そこで「研究開発費に係る 会計基準」は,SFAS 2と IAS 38両方の会計処理およびその理論的根拠について検討 した。その結果,研究開発費の発生時費用処理を採用した理由を,次の二点にまとめ ている(「研究開発費に係る会計基準」第三ノ2)。 (ア) 研究費は,発生時には将来の収益を獲得できるか否か不明であり,また,研 究開発計画が進行し,将来の収益の獲得期待が高まったとしても,依然とし てその獲得が確実であるとはいえない。そのため,研究開発費を資産として 貸借対照表に計上することは適当でない。 (イ) 仮に,一定の要件を満たすものについて資産計上を強制する処理を採用する 場合には,資産計上の要件を定める必要がある。しかし,実務上客観的に判 断可能な要件を規定することは困難であり,抽象的な要件のもとで資産計上 を求めることとした場合,企業間の比較可能性が損なわれるおそれがあると 考えられる。 すなわち(イ)において,実務上判断可能な要件を規定することは客観的に判断す るのが難しい,および企業間の比較可能性が損なわれるおそれがあるということか ら,IAS 38が提案した会計処理を避けることが選ばれた。(ア)は SFAS2と同様な規 定であり,結果的に企業会計審議会は米国の財務会計基準と類似する会計基準を選ん だ。 最後に,研究開発費の開示に対しては,研究開発の規模について企業間の比較可能 性を担保するため,当該年度の一般管理費および当期製造費用に含まれる研究開発費 の総額を財務諸表に注記することとする(「研究開発費に係る会計基準」第五)。

(13)

3.

「会社法」上の規定

2005年(平成17年)に「会社法」が公布され,それに伴い「商法」改正も行われた。「商 法」上の繰延資産に関する規定はほとんど削除されたが,「株式会社の会計は,一般に 公正妥当と認められる企業会計の慣行に従うものとする」という「会社法」第431条に 照らして,従来の「商法」のもとで行われてきた繰延資産の会計は,明確に改廃された 事項を除いて,今後も承継されるものと思われる。

その後,企業会計基準委員会(Accounting Standards Board of Japan,以下 ASBJ)31)は,

繰延資産の会計処理を検討した上で,2006年(平成18年)に実務対応報告第19号「繰 延資産の会計処理に関する当面の取り扱い」(以下「実務対応報告19」)を公表した。 同報告では,「研究開発費等に係る会計基準」の対象となる研究開発費は発生時に費用 として処理するが,開発費32)は繰延資産として処理することができると規定している (「実務対応報告19」3(4))。この場合には,支出の時から5年以内のその効果の及ぶ 期間にわたって,規則的に償却しなければならない。

4.

「研究開発費等に係る会計基準」の改正

平松(2013)によると,日本と IFRS との会計基準のコンバージェンス(convergence)33) が前向きに検討されるようになったのが2006年(平成18年)以後のことである34)。コ ンバージェンスに向けて日本が積極的になった原因は,2005年問題に端を発する欧 州連合(European Union, 以下 EU)の同等性評価にある。2005年7月に欧州証券規 制当局委員会(Committee of European Securities Regulators)が提示した技術的助言に, 日本の会計基準と EU が採用する IFRS との間に存在する26項目の重要な差異とし て,企業結合・取得した研究開発(IFRS3),及び開発費の資産計上(IAS38)等の研 究開発費に関する項目も含まれている。 これらの重要な差異をなくすため,ASBJ は様々な委員会を立ち上げ検討した。そ の成果として,2008年(平成20年)12月に自社開発および仕掛研究開発の取扱いにつ いて「研究開発費に関する論点の整理」,2009年(平成21年)12月には企業会計基準第 21号「企業結合に関する会計基準」等が公表され,企業結合により受け入れた研究開 発の途中段階の成果の取扱いが改正された。 「企業結合に関する会計基準」の改正に伴って,「研究開発費等に係る会計基準」も 2008年(平成20年)に改正された。「研究開発費等に係る会計基準」においては,研究 開発費は発生時に費用処理すると規定されているが,例外として,企業結合により被 取得企業から受入れた資産については適用しないとされている(「『研究開発費等に係る

(14)

会計基準』の一部改正」第2)。この改正は,会計基準の国際的なコンバージェンスを推 進することによるものである35)

5. 国際会計基準時代の小括

2008年以後も,ASBJ は研究開発費の会計に関する検討は続けていた。その中で無 形資産に関する現行の日本の会計処理と他の国際的な会計処理との主要な差異につい ての全般的な研究を課題とする無形資産専門委員会36)を設置し,研究開発費会計の問 題を無形資産会計の枠組みの中で積極的に検討した。このような背景を基に,2009年 には「無形資産に関する論点の整理」(以下,「論点整理」)が公表された。研究開発費 の会計処理もこの「論点整理」の検討対象の一つである。「論点整理」の中では,日米及 び国際財務報告基準(IFRS)の会計基準を比較しながら,研究開発費の現行会計基準 の妥当性,及び IAS38のように,一定条件に満たす開発費の無形資産の可能性につい て検討された。しかし,「研究開発費等に係る会計基準」が改正された2008年以後,研 究開発費の会計基準に関する改正は行われなかった。 「研究開発費等に係る会計基準」の妥当性については次の3点から疑問を呈してお きたい。 その1,どの企業の経営者も将来的に企業の業績向上に貢献し,収益をもたらすこ とを期待するからこそ,研究開発に多額の投資をするのは明らかなことである。さら に国内外の実証研究の結果も経営者の期待を証明している。すなわち研究開発費は企 業の価値形成に寄与する重要なファクターに他ならない。そこから考えると,研究開 発費は将来収益の獲得に全く貢献しない費用ではなく,無形資産として計上すべきで ある37) その2,「研究開発費に係る会計基準」の公表は日本企研究開発投資の抑制に力を貸 すことになってしまったと産業政策的な観点から櫻井(1999)は指摘する。さらに, 音川・乙政(2006),譚(2013)は「研究開発費等に係る会計基準」公表日前後におい て企業の株価が有意に下落していることを確認した。両研究とも「研究開発費会計基 準」の設定が企業の研究開発に悪影響を及ぼすという株式市場参加者の見方が原因で あると解釈した。 その3,会計制度改革の目的は,企業の会計情報の質を改善し,会計情報の意思決 定有用性を高めることである。桜井(2009)は,会計制度設計が成功したというため には,会計基準の新設改廃の前よりも後の会計情報の方が,会計情報の価値関連性が 高くなっていなければならないと指摘する。それならば,研究開発費の発生時費用処 理または資産計上について,どちらの処理による会計情報の方がより価値関連性が高 いのであろうか?譚(2011a)は研究開発費の発生時費用処理より研究開発費を資産

(15)

計上する場合の会計情報の方が,相対的に情報内容が有意に大きいことを示した。 国際会計基準時代における研究開発費に関連する基準・会計処理及び財務諸表上で の表示等を次のようにまとめられる。 表 3 国際会計基準時代における研究開発費に関する会計処理

第5節 おわりに

本稿は十九世紀末に遡り現在まで日本の研究開発費会計の歴史的変遷を3期に区分 して検討した。 第1期,第2期では,研究開発に係る支出は試験研究費と開発費に区分され,発生 時費用処理と繰延資産計上の選択適用が可能であった。ところが第3期において,研 究開発費の企業間の比較可能性,研究開発費と企業の将来収益獲得の関係,及び国際 的調和観点から,1998年に「研究開発費に係る会計処理基準」が公表され,1999年か ら原則的に研究開発費の発生時費用処理が強制されることとなっている。したがっ て,日本における研究開発費の会計は1998年を転換期としているといえよう。 新しい会計基準の設定により,財務諸表の内容は大幅に変化する。ASBJ が2006年 12月に公表した討議資料「財務会計の概念フレームワーク」は,財務報告の主たる目 的を投資者の意思決定に資する情報の提供と規定し,その目的の達成のために会計情 報が備えるべき質的な特性の体系のうち,意思決定有用性を最重視している。研究開 発費に関する会計基準の改正が投資家に有用な情報を提供するのかについては,まだ 多くの疑問が残っているのが事実である。そのため,投資家の立場に立って,意思決 定有用性の視点からより質の高い会計基準設定に向けて,理論と実証の両面から更な る研究が必要である。 公表年 関連基準 研究開発費の会計処理 財務諸表上の表示区分 1998 年 研究開発費に係る会計基準 研究開発費の発生時費用処理 損益計算書・販売費及び一般管理費 2006 年 実務対応報告第 19 号 ―繰延資産の会計処 理に関する当面の取 り扱い 研究開発費の発生時費用処理 損益計算書・販売費及び一般管理費 開発費の繰延処理 貸借対照表・繰延資産 2008 年 「研究開発費等に係る会計基準」の一部改正 企業結合等により受け入れた仕掛研究開発の資産計上 貸借対照表・無形資産 (筆者作成)

(16)

1)片野(1968),129 - 130 頁。 2)黒澤(1987),11 頁。 3)黒澤(1987),302 頁。 4)「財務諸表準則」が公表されるまで,商工省臨時産業合理局に設けられた財務管理委員会は, 順次に「標準貸借対照表(草案)」(1930 年(昭和5年)12 月,「標準財産目録(草案)」(1931 年(昭和 6 年)1月),「固定資産減価償却準則(草案)」(1931 年(昭和6年)6月),「標準損益 計算書(草案)」(1931 年(昭和 6 年)8月),及び「資産評価準則(草案)」(1932 年(昭和7年) 7月)を公表した。黒澤(1987)によれば,「財務諸表準則」はこれらの諸草案を吸収する形と して制定されたものである。 5)「雑勘定は前記各種の科目に属せざる資産にして,假勘定,未決算勘定,繰延勘定等を含む。」 (「財務諸表準則」第 49 条)。 6)「経営資産とは事業本来の目的たる製品の製造及販売に現実に運用されある資産を謂う」 (「陸軍準則」第1章第2節第2款第6)。「経営資産とは事業本来の目的たる製品の製造及販 売の用に供する資産を謂う」(「海軍要領」第1章第2節第2款第5)。 7)経営外資産とは事業本来の目的たる製品の製造及販売に現実に運用されあらざる資産をい う。(「陸軍準則」,第 1 章第 2 節第 3 款第 35)。経営外資産とは事業本来の目的たる製品(副 産物等を含む)の製造及販売の用に供せられざる資産を謂う。(「海軍要領」,第 1 章第 2 節 第 3 款第 35)。 8)「陸軍準則」第1章第2節第2款第 1 目第 16 に(ホ)試験研究費及び(へ)開発費が区分され ている。 9)未働資産とは将来の経営拡張のために保有し又は建設中若は遊休中に係る資産を謂う(「陸 軍準則」第1章第2節第3款第 36,「海軍要領」第 1 章第 2 節第3款第 36)。 10)「陸軍準則」第1章第2節第2款第 2 目によれば,試験研究費と開発費以外に無形資産に属す る項目は次の通りである。(イ)特許権,実用新案権,意匠権等,(ロ)地上権,鉱業権,水利権 等,(ハ)営業権,(ニ)設立費。 11)黒澤(1987)によれば,原価計算,あるいは財務諸表に関する陸軍と海軍の基準が個別に適 用されることは,特に陸海軍の軍需品を同一事業場で生産している場合に,混乱を招く。混 乱を防ぎため,「陸軍準則」と「海軍準則」の統一を図った。 12)渡辺(2007),21 頁。 13)例えば,黒澤(1987)は当時の標準貸借対照表草案に対して,大きな影響を与えたものは,米 国会計士協会の特別委員会が公表した貸借対照表に関するモデル・ステートメントである と指摘したことはその証拠の一つである。 14)沼田(1940),526 頁。 15)詳しく譚(2011b)を参照されたい。

(17)

16)黒澤(1987)によれば,戦後,一般企業の多種多様な様式の財務諸表の統一と経済再建に関 わる諸問題の合理的解決を図り,依って国民経済の民主的で健全な発展のための科学的基礎 を与えることを目的として,1949 年に経済安定本部企業会計制度対策調査会によって設定 された。 17)「企業会計原則」は,大蔵省企業会計審議会により,1954 年(昭和 29 年)7月,1963 年(昭和 38 年)11 月,1974 年(昭和 49 年)8月,1982 年(昭和 57 年)4月に改正されたが,試験研究 費と開発費の会計処理に関する改正はなかった。 18)「商法調整意見書」第十,「連続意見書五」第二。 19)(一)と(二)にそれぞれ各 2 項目が含まれている。 20)それぞれの企業での適用例について,森田(1979)を参照されたい。 21)「財務諸表等規則」第 36 条 6 号 7 号。 22)平松・柴(2004),3- 4 頁。 23)日本会計研究学会(1981),植野(1982a,1982b)にも同様な指摘があった。 24)2月 21 日,3月 13 日,4月 11 日,5月 1 日,及び5月 20 日計 5 回,企業財務審議会におけ る審議が行われた。 25)企業財務懇談会(1997)及び伊藤(1998)を参照されたい。 26)企業会計審議会(1998)を参照されたい。 27)森田(1979),日本会計研究学会(1981),植野(1982a,1982b),松田(1997)を参照されたい。 28)飯野(1993),11 - 5 頁。 29)これら実証研究のレビューについて,岡田(2008),譚(2015)を参照されたい。

30)2009年7月以後適用の米国会計基準では,FASB-ASC (FASB Accounting Standards

Codifi-cation米国財務会計基準審議会による会計基準コディフィケーション)topic 730“Research

and Development”が適用される。歴史的視点から本稿はここでSFAS2 を用いる。

31) ASBJは 2001 年に設立された日本の会計基準の設定を行なう民間組織で,財団法人財務会計 基準機構(FASF)の傘下に設置されている。日本の会計基準は 2001 年まで企業会計審議会 によって設定されていたが,2001 年にASBJの設立を契機として,企業会計基準や適用指針 等の設定機能はASBJに移管された。 32)同報告は開発費を「新技術又は新経営組織の採用,資源の開発,市場の開拓等のため支出し た費用と生産能率の向上又は生産計画の変更等により,設備の大規模な配置替を行った場合 等の費用」として定義している。 33)コンバージェンスとは日本の会計基準とIFRSとの差異を極力なくし,ほご同一内容の会計 基準とすることで,日本の会計基準を国際的に認められるようにする動きである(平松 (2013),2 頁)。 34)平松(2013),9 頁。 35)小林(2008),17 頁。 36)2008 年に当委員会は2設立し,2014 年(平成 26 年)に解散した。

(18)

37)この論点を支持する理論及び実証研究が多数存在する。具体的に,岡田(2008),譚(2015) を参照されたい。

参考文献

1. 伊藤正彦(1998)「「研究開発費に係る会計処理基準の検討にあたっての論点の整理」につい て」『JICPAジャーナル』第 510 巻,49 - 52 頁。 2. 飯野利夫(1993)『財務会計論(三訂版)』同文館。 3. 植野郁太(1982a)「研究開発費の会計」『会計』第 121 巻第5号,1- 19 頁。 4. 植野郁太編著(1982b)『研究開発費会計』関西大学出版部。 5. 音川和久・乙政正太(2006)「新会計基準の公表と株価変動」須田一幸編著『会計制度改革の 実証分析』同文館出版,42 - 50 頁。 6. 太田哲三(1951)「繰延勘定の資産性」『会計』第 60 巻第7号,913 - 919 頁。 7. 岡田隆子(2008)『R&D をめぐる実証研究のサーベイ』東京大学 COE ものづくり経営研究 センター MMRC Discussion Paper No. 201。

8. 片野一郎(1968)『日本財務諸表制度の展開』同文館出版。 9. 企業会計審議会(1998)「研究開発費に係る会計処理基準の設定に関する意見書(公開草案)」 『JICPAジャーナル』第 511 巻,90 - 96 頁。 10. 企業財務懇談会(1997)「研究開発費に係る会計処理基準の検討にあたっての論点の整理」 『JICPAジャーナル』第 505 巻,113 - 116 頁。 11. 黒澤清編著(1987)『わが国財務諸表制度の歩み―戦前編』雄末党出版,1 - 21 頁。 12. 小林央子(2008)「企業会計基準第 21 号 「企業結合に関する会計基準」等の解説」https:// www.asb.or.jp/asb/asb_j/documents/(2017 年1月 10 日参照)。 13. 櫻井通晴(1999)「ソフトウェア会計の基準化は何をもたらすか―日本企業に及ぼすインパクト」 『旬刊経理情報』第 889 号,4-8頁。 14. 桜井久勝(2009)「会計制度設計の実証的評価規準」『国民経済雑誌』第200巻第5号,1-16頁。 15. 譚鵬(2011a)「研究開発費の会計処理と価値関連性研究」『年報経営分析研究』,第 27 号,40 - 50 頁。 16. 譚鵬(2011b)「研究開発費会計の理論的・実証的研究」関西学院大学博士論文。 17. 譚鵬(2013)「研究開発費会計基準の変更が株価に与える影響―短期イベントスタディーに よる検証」『年報経営分析研究』第 30 号,34 - 41 頁。 18. 譚鵬(2015)「研究開発と経営分析」日本経営分析学会編『新版経営分析事典』税務経理協会, 377 - 382 頁。 19. 平松一夫・柴健司編著(2004)『会計制度改革と企業行動』中央経済社。 20. 平松一夫監修(2013)『IFRS 国際会計基準の基礎(第 3 版)』中央経済社。 21. 日本会計研究学会(1981)「研究開発費の会計処理に関する実態調査結果の概要」『会計』第

(19)

119 巻第 6 号,101 - 114 頁。 22. 沼田嘉穗(1940)『固定資産会計』ダイヤモンド社。 23. 松田修一(1997)「研究開発型ベンチャー企業の研究開発費 3%とは」『JICPAジャーナル』 第 498 巻,38 - 43 頁。 24. 森田虎夫(1979)『繰延資産』同文館。 25. 渡辺和夫(2007)『財務会計変遷論』同文館出版。

参照

関連したドキュメント

 「時価の算定に関する会計基準」(企業会計基準第30号

 Horwitz  and  Kolodny(1980)は,店頭登録企業43社の R&D への投資行動 について分析を行い,Dukes,  Dyckman 

②開発とは,「新しい製品・サービス・生摩方法(以丁,「製品等」とい

本章の最後である本節では IFRS におけるのれんの会計処理と主な特徴について論じた い。IFRS 3「企業結合」以下

第二章 固定資産の減損に関する基本的な考え方 第一節 はじめに 第二節 各国の基本的な考え方と基礎概念との結びつき 第一項 米国基準 第二項 国際会計基準 第三項

研究開発活動  は  ︑企業︵企業に所属する研究所  も  含む︶だけでなく︑各種の専門研究機関や大学  等においても実施 

 「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」とい

A(会計士):条件付取得対価の会計処理は、日本基準と国際会計基準で異なります。まず、日本基準からご説明し