第21回群馬緩和医療研究会
日 時:平成 22年 3月 7日 (日) 10:30∼16:00 場 所:かぶら文化ホール テ ー マ:地域に根ざした緩和ケア 当番世話人:野田 大地( 立富岡 合病院 緩和ケアチーム) 共 催:群馬緩和医療研究会, 塩野義製薬株式会社 後 援: 立富岡 合病院 1.緩和ケアチームリンクナースの活動 狩野 久美,長島 春香,富澤 身江 細谷真奈美,中沢まゆみ,羽鳥裕美子 椎名美智子(独立行政法人 国立病院機構 高崎 合医療センター 緩和ケアチーム) 【はじめに】 リンクナースの活動が始まって約 3年が経 過した. 活動してきた中での問題点を整理し, 今後の活 動に生かしていきたいのでここに報告する. 【現在の活 動】 1) 月 1回緩和ケアチームのラウンドに参加. 2) 緩和ケアの勉強会を実施し, 緩和ケアの質の向上を図る. 3) 病棟と緩和ケアチームとの連携・調整を行う. 【問 題点】 1) 緩和ケア依頼患者の情報把握が難しい. 2) 所属看護単位に不足していると思われる知識の提供がタ イムリーに出来ていない. 3) 各所属看護単位で固定 チームナーシング制をとっており, 他のチームの患者の 状が把握しづらい. 患者自身が病状や治療に対する理解 に, 曖昧なことが多い. 【解決策】 1) 電子カルテから ラウンド対象患者の情報を収集する. 2) 各所属看護単 位の状況をアセスメントして, リンクナースが病棟内で 勉強会を開催する. また, 緩和講演会への参加を促す. ラ ウンドで学んだことを病棟に返し, 看護の質の向上に努 める. 3) がん患者の入院時に, 初期アセスメントシー トを 用してもらうよう働きかける. 所属看護単位内で 一緒に活動するチームメンバーを配置してもらう. ラウ ンド時に病棟スタッフの同席を勧め, 認識の共有, 意見 換の場を作る. 所属看護単位のスタッフと協力し, 主 治医へ患者の状態に応じた病状説明を投げかけ, 治療方 針の確認を行っていく. 2.がん患者に対する,早期からの緩和ケア ―患者が 望むケアと看護師が必要と えるケアの共通点と相違 点― 北爪 一成,高澤由起子,内山奈美恵 笹原 啓子,関口美千代 (前橋赤十字病院 11号病棟) 【はじめに】 WHOは,緩和ケアを「病期の早い段階にも 適応し, 命治療を目指すそのほかの治療−化学療法− 放射線療法−とも結びつく」と定義し, 疾病経過の早期 から提供されるべきであることを提唱している. しかし 緩和ケアは, がん末期に提供される看護のイメージが根 強く, 実際に看護師も緩和ケアが, がん患者の限られた 期間にのみ行うケアであると えている場合が多い. ま た, 患者が終末期以前にどのようなケアを望んでいるか 調査した研究は存在しない. 本研究は終末期以前のがん 患者の望むケアと看護師が必要と えるケアを明らかに し, その共通点・相違点から疾病経過の早期から提供す る必要のある緩和ケアを 察する. 【用語の定義】 終 末期以前とは癌の告知をうけてから生命予後 6ヶ月以上 見込める状態. 【研究方法】 1) 研究対象 癌と告知 され, 化学療法・放射線療法を目的として入院した終末 期以前の患者 10名と一般病棟に勤務する看護師 78名. 2) データ収集方法 患者 : 半構造的面接法 看護師 : 質問紙法 (自由回答式) 【結果および 察】 共通点は 情報提供, 傾聴, 環境整備, 普段と変わらない態度, 身体 的苦痛の緩和であった. 相違点として他職種との連携, 家族を含めたケアなどは看護師が必要と えているが患 者はまだ必要としていないと えていることが示され た. 患者はやさしく接する, 挨拶を行うなど接遇面での 対応を望んでいることが明らかになった. また, 患者は 普段と変わらぬ態度を望み, 看護師もそれを心がけてい ることがわかった. そのような日常の些細なコミュニ ケーションを大切にすることで患者と看護師の信頼関係 構築へとつながり, その後の看護に役立てることができ 77 Kitakanto Med J 2011;61:77∼82ると える. 3.緩和的外科処置の検討 平田 恵美,千木良直子 ( 立藤岡 合病院 西3階病棟) 石崎 政利 (同 外科) 古池きよみ (同 緩和ケア認定看護師) 【はじめに】 消化器癌の終末期には, 消化管閉塞や黄疸 等が出現し, 全身状態を急速に悪化させ, QOL を著しく 低下させることが多い. このような患者に対して, 食事 摂取を可能にすることと在宅生活を送れるようにするこ とは QOL 向上に重要である. 今回, 切除不能な進行・再 発癌の患者に対し,症状緩和・QOL の改善を目的とした 緩和的外科処置を行った症例について, その有用性につ いて検討したので報告する. 【目 的】 症状緩和・QOL の改善を目的とした緩和的外科処置についてその有用性 を検討する. 【対 象】 対象は H20年 1月∼H21年 12 月までの切除不能な進行・再発癌による症状緩和を目的 とした緩和的外科処置を施行した 42症例を対象とした. 原発部位は胃癌 11例, 大腸癌 3例, 十二指腸・膵癌・乳 頭部癌 8例,肝臓・胆管・胆囊癌 18例,婦人科 1例,泌尿 器科 1例であった. 術式は人工肛門造設術 6例, バイパ ス術 9 例, 腸ろう造設術 2例, 消化管 (胆管) ステント・ チューブ留置 25例であった. 【結 果】 経口摂取不良 症例が, 処置により摂取量増加したのは 35症例であり, 在宅へ移行できたのは 34症例であった. 【まとめ】 緩 和的外科処置は, 癌末期における消化管閉塞症状や黄疸 の改善, QOL の改善に有効であったと えられた. 一方 で高度の癌性腹膜炎症状や全身状態の悪い症例では合併 症や QOL を損なうリスクもあり処置の適応には十 に 配慮がされるべきであると思われた. 4.がん性疼痛に対するCTガイド下神経根ブロックの 一例 高橋 利文,猿木 信裕 (群馬県立がんセンター 麻酔科) 佐藤 浩二 (同 呼吸器内科) 膵臓がんに対する腹腔神経叢ブロック, サドルブロッ クなどのくも膜下フェノールブロックを除くと, がん性 疼痛に対する神経破壊薬を 用する神経ブロックの役割 は非常に限定されている. 今回, CT ガイド下に高濃度テ トカインを 用した神経根ブロックの症例を経験したの で報告する. 症例は肺がんの 65歳男性. 左肺がんに対し て胸腔鏡下に左上葉切除術実施したが, 1年後に胸壁と 胸椎に再発. 胸部痛にオキシコンチン 60mg まで増量し たが, 嘔気強いため, デュロテップパッチに変 . その後 も疼痛増強し, 鎮痛薬を増量したが, 眠気が強く現れる ようになった. 疼痛コントロール目的に骨転移部に放射 線照射 40Gyを実施したが, 鎮痛効果は不十 であった ため, 神経ブロック目的に麻酔科紹介された. 胸部の再 発部位は, 前胸部の胸壁と第 11胸椎にあった. 最大の痛 みである左前胸部痛の原因は, 左神経根部を巻き込んだ 第 11胸椎の骨転移部と えられた. CT で神経根部はほ とんど腫瘍で占められ, 骨破壊を伴っていたため, 通常 の X 線透視による神経根ブロックは適応外であった. そ のため,CT ガイド下に神経根ブロック (高濃度テトカイ ン) を実施した. ブロック後は, 第 11肋間神経に う痛 みは半減し, 退院することが可能となった. デュロテッ プパッチの投与量も半減できた. がん性疼痛に対する神 経ブロックの適応を狭めている要因の一つとして, ブ ロックを実施する側の技量, マンパワーの問題もある. CT ガイド (透視) 下に高濃度テトカイン, 高周波熱凝固 等を活用することで, 副作用なく, より安全, 短時間にブ ロックが実施可能となってきている. 5.病棟リンクナースに対する緩和ケア教育の取り組み 春山 幸子, 湯澤 美咲, 福島 久美 土屋 道代, 清水 政子, 田中 俊行 (前橋赤十字病院 かんわ支援チーム) 【はじめに】 当院では, かんわ支援チーム (以下, チー ム) が設置される前より「緩和ケア係り (以下, リンク ナース)」が看護部統括のもと各病棟に 2― 4人ほど設置 されている. リンクナースの目的のひとつに, 病棟内で 緩和医療が必要な患者を抽出し, 主治医とチームの《橋 渡し》を行うことである.そのため,リンクナースへの教 育は必要不可欠と える. リンクナースを対象とした緩 和ケア教育として勉強会を行ったのでその報告をする. 【対象と方法】 平成 19 年度のリンクナース 35名を対象 とし, がん性疼痛看護を中心とした緩和ケアについての 勉強を行った. 2回に け, 4時間ずつ講義を行った. リ ンクナースを「普段がん患者と多く接している病棟」の グループ (A グループ ; 30名) と, 普段がん患者とあま り接する機会の少ない病棟」のグループ (Bグループ ; 15名)の 2グループに け,別々に講義日を設定した.講 師は主に認定看護師 (春山) が行い,内容によってはリン クナース自身も講義を担当した. 講義前後のテストを受 けた 32名の結果を t-testで 検 討 し た. 【結 果】 第 1 回目の講義前のテストの結果は, A グループが 60.3±1.8 点, Bグループが 44.6±2.9 点, 講義後が, A グループで 63.8±1.7点, Bグループで 56.9±2.6点であり, 両グルー プとも講義後は講義前にくらべ点数が上がり, 特に Bグ ループにおいては,講義後は有意に (p=0.002)上昇した. 2回目の講義について, 講義前が, A グループで 65.0± 3.4点, Bグループで 51.9±3.6点, 講義後 A グループが 第 21回群馬緩和医療研究会 78