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幼稚園遊具の撤去や設置が幼稚園児に与える影響について

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(1)幼稚園遊具の撤去や設置が幼稚園児に与える影響について. 加藤幸一 ・ 麝嶋 舞 ・ 中村 崇 ・ 酒井幸子 ・ 坂口淳子 ・ 渡邊 俊. 群馬大学教育実践研究 第 26 号. 群馬大学教育学部. 265∼275 頁. 別刷 2009. 附属教育臨床総合センター.

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(3) 265. 群馬大学教育実践研究 第 26 号 265 ~ 275 頁 2009. 幼稚園遊具の撤去や設置が幼稚園児に与える影響について 加 藤 幸 一1) ・ 麝 嶋 舞2) ・ 中 村 酒 井 幸 子3) ・ 坂 口 淳 子3) ・ 渡 邊 1)群馬大学教育学部技術教育講座. 2)伊勢崎市立赤堀東小学校. 3)群馬大学教育学部附属幼稚園. 4)前橋市立城南小学校. 崇3) 俊4). (2008 年 10 月 31 日受理). 1. はじめに. 象は、3 歳児クラス(桃組:男児 10 名、女児 10 名計. これまでに幼稚園に新しい遊具を設置して、 幼児の行. 20 名)と、4 歳児 2 クラス(赤組:男児 17 名、女児. 動観察からその効果について調査し、報告1)-4)してき. 17 名計 34 名)、(黄組:男児 17 名、女児 17 名計. た。その中で、幼児全体の活動を見通す視点からは、設. 34 名)である。なお、赤組は 2 年保育の 1 年目のクラ. 置した遊具によって遊びの変化は生じたが、 多くの幼児. ス、黄組は 2,3 年保育の 1,2 年目のクラスである。. の人ととのかかわりに影響しないことが認められてき た。遊具に興味・関心を持った幼児に注目すると、遊具. 2.2 観察調査期間. での遊びを通して人とのかかわりを増す効果が認めら. 観察調査期間は以下の通りである。平成 19 年 5 月 9. れてきた。さらに、遊具には教師の指導を助ける側面が. 日(水)~平成 20 年 1 月 23 日(水)の計 38 日で、1. あるにしても、 教師には遊具の効果とは比較にならない. 学期(平成 19 年 5 月 9 日(水)~7 月 18 日(水)の. ほどの幼児に対する影響力があることも明らかになっ. 水曜日:9 日、火曜日:9 日) 計 18 回 (晴れ:12. た。したがって、今後とも、保育を支援する観点からの. 日、曇り:6 日、雨:0 日)、 2 学期(平成 19 年 9. 遊具の開発が特に必要であると思われた。. 月 5 日(水)~12 月 12 日(水)の火曜日:5 日、水曜. そこで、今回の遊具の開発に当たっては、今までの研. 日:7 日、木曜日:1 日、金曜日:3 日) 計 16 回(晴. 究結果を踏まえて、 幼稚園教諭と遊具開発者の間で保育. れ:13 日、曇り:3 日、雨:0 日)、 3 学期(平成. の意図を生かす遊具について十分協議し、4 歳児用の穴. 20 年 1 月 15 日(火)~23 日(水)の火曜日:2 日、. 開け板を試作・設置することになった。この報告ではこ. 水曜日:2 日) 計 4 回(晴れ:3 日、曇り:0 日、雨. の遊具の効果を検討した結果について述べたい。. :0 日、雪:1 日)。なお、幼稚園の行事(身体測定、. さらに、本調査中に、調査計画外の幼稚園遊具の点 検があり、その結果、調査対象の幼児が使う遊具に腐. 遠足の下見、一斉保育など)や観察者の都合(教育実習 等)により、一部観察できない場合もあった。. 食、磨滅等が見つかり、急遽、撤去されたり、ブラン コの鎖が外されるなどの遊具としての主機能を停止す. 2.3 観察方法と遊び及び遊び場の分類. る処置が採られたりした。撤去後すみやかな現状回復. 幼児が主体的に遊ぶ場所の使用状況や遊びの種類、 遊. が難しい状況にあったので、撤去等による幼児への影. びの集団の様子を知るため、観察者 1 名が 1 日に 9 時、. 響についても併せて調査することにした。この報告で. 9 時 30 分、10 時、10 時 30 分から 30 分以内に対象の. はその調査結果についても述べたい。. ほぼ全幼児の観察を計 4 回行った。各時間において、 各幼児が「どこで(遊び場として 28 カ所を設定)」「だ. 2. 調査方法. れと (遊び集団の人数や人とのかかわりの変容を把握) 」. 2.1 観察対象. 「どんな遊びをしているのか (遊びの種類をこれまでの. 群馬県内の国立幼稚園 1 園で観察を行った。観察対. 主として 2005 年度の 3,4 歳児の調査結果 3)を参考に.

(4) 266. 加藤幸一・麝嶋 舞・中村 崇・酒井幸子・坂口淳子・渡邊 俊. して 7 種類に分類)」を記録し、データとしてまとめ た。また、遊び場の遊具の内容・配置も 2005 年度の調 査の場合とほぼ同様なので、その分類も同様にした。 なお、例えば、Y 期間内の遊び場所 A の遊び場所別. 場合図 4 に、黄組の場合図 5 に示す。 桃組の場合には、図 3 のように、夏休み後、ごっこ 遊びが増し、それが保育室で行われた結果、撤去後に 12%ほど増加している。また、運動遊びが多くなって. 人数比率 a(%)は、次式よりクラスごとに算出した。. 年少中園庭中央が 11%強増加している。撤去された遊. a=∑b/(∑s・n)×100. 具における撤去前の人数比率は、動物小屋を除いて、. ここで、∑bは 30 分の単位時間ごとの遊び場所 A で. 全て 1%以下と低く、それらの遊具が撤去する前から. 遊んだ幼児数の Y 期間内の総数、∑s は Y 期間内の単. あまり使われていなかった。すなわち、全体的な人数. 位時間の総数、n はクラスの人数。. 比率からみると遊びの変化による数値の変化がみられ るが、遊具撤去の影響はほとんど見られない。. 3. 遊具撤去の影響. 赤組の場合、図 4 のように、夏休み明けによく行わ. これまでの筆者らの幼児に及ぼす遊具の効果は、遊. れていたプラスチックのペンダント製作によって、ベ. 具を設置して、設置に伴う幼児の活動の変容から検討. ランダが約 8%増加し、土だんごづくりの増加によっ. してきた。調査期間中に、前述のように遊具の検査が. て年少中園庭中央が 8%増加している。これらの反動. あり、その結果、幾つかの遊具の撤去等の措置が夏休. で赤組保育室の人数比率は減少している。撤去された. み中の 8 月に行われた。幼児にとっては慣れ親しんだ. 遊具における人数比率は全て動物小屋を除いて、1%以. 遊具であるので、その影響があると思われ、今までと. 下と低く、それらの遊具が撤去する前からあまり使わ. は逆の遊具の撤去の影響を調べることにした。. れていなかったので、遊具が撤去されてもほとんど影 響がないと考えられる。. 3.1 遊具撤去の状況. 黄組の場合、図 5 のように、遊具の撤去後にごっこ. 夏休み中に主として 3 歳児が遊ぶ「新幹線」と「メ. 遊びの増加によって黄組保育室が約 6%、夏休み明け. リーゴーランド」は撤去となった。同様に、4 歳児が. からブロックによるものづくりやお店屋さんごっこの. 主として遊ぶ「うんてい」「ブランコ」も運動具とし. 増加によって保健室前が約 8%増加している。また、. ての機能を止め、図 1,2 のように、新たな基地的な. これらの反動で年少中園庭中央が 7%減少している。. 遊び場所として 2 学期以降も使われている。また、す. 撤去された遊具の「うんてい」、「動物小屋」におけ. べての幼児が係わる動物小屋と 5 歳児用の 2,3 の遊. る人数比率は両者とも 1%以下と低くかった。この 2. 具も撤去された。. つの遊具は、撤去する前からこのクラスの幼児にはあ まり使われておらず、これらの遊具が撤去されてもほ. 3.2 遊具撤去による変化 遊具の撤去前(5 月~7 月)と撤去後(9 月、10 月) の遊びの場所別人数比率を桃組の場合図 3 に、赤組の. 図 1 鎖撤去後のブランコでの遊びの様子. とんど影響がないと考える。しかし、「 ブランコ」は 他の撤去された遊具に比べ使用している割合がやや高 いので、動物小屋とともにやや詳しく見てみたい。. 図2. 運動具としての機能が停止された うんていの利用の様子.

(5) 幼稚園遊具の撤去や設置が幼稚園児に与える影響について. 図 3 遊び場別人数比率(桃組). 図 4 遊び場別人数比率(赤組). 267.

(6) 268. 加藤幸一・麝嶋 舞・中村 崇・酒井幸子・坂口淳子・渡邊 俊. 図 5 遊び場別人数比率(黄組). ブランコ:ブランコを使用する人数比率を調査日ごと. 1 名の男児 E 男は特にこの傾向が強かったので、この影. に図 6 に示す。ブランコの使用は赤組に比べ、黄組の方. 響を担任の観察等から示したい。撤去前は、E 男は三輪. が多い。黄組でも 5 月、6 月、7 月と日を重ねるごとに. 車に乗り動物小屋に行って一人で遊ぶことが多かった。. 減少し、7 月では使用者がなくなっている。参考までに、. その動物小屋が撤去されたため、E 男の目が他の場に向. 前回の 2005 年度の調査結果を図 7 に示すが、7 月にも. くことで遊びが変わり、友達とのかかわりも徐々に増え. かなりの使用があるので、この年度に撤去がなされれ. ていった。友達とのかかわりが多くなったという意味. ば、遊んでいた幼児に影響が生じたかもしれない。2007. で、動物小屋が夏休み中に撤去されたことは担任のねら. 年度は 7 月で使用がなくなっているので影響はなかっ. いとも合い E 男にとってプラスに働いたと考える。な. たと考えられる。. お、その後の環境構成や働きかけによって、この幼児は. しかし、ブランコを比較的よく使用していた幼児は. 11 月頃から一人遊びがほとんどなくなった。. ブランコがテント小屋(図 1)に変わっても、ごっこや ものづくりの場として 2 学期以降も利用していた。それ らの幼児にとってブランコは、心落ち着く場のような存 在かもしれない。 動物小屋:動物小屋でうさぎに餌やり等をしていた幼 児数を調査日ごとに図 8 に示す。黄組の幼児は動物小屋 ではほとんど認められないが、桃組、赤組の幼児数は全 体的に減少傾向にあっても、撤去前には数人が認められ る。動物小屋に来る数人の幼児は定期的に訪れ、桃組の. 図 6 ブランコ遊びの人数比率(2007 年度).

(7) 幼稚園遊具の撤去や設置が幼稚園児に与える影響について. 269. ローラー付き穴開け板:板(大)の四隅に図 10 のよう に直径 75mm のローラーをつける。板と板をつなぐた め、綿でできた太 4mm・長さ 1000mm のひもを 30 本 用意した。 穴開け板(大)と穴開け板(小)の 2 種類を用意する ことで、幼児が自分のイメージに合った大きさの板を選 んで遊ぶことができるようにした。ローラー付穴開け板 は 1 人ではなく友達と一緒に乗れるように、また多くの ものを乗せて運べるように大きめに製作した。ローラー 図 7 ブランコ遊びの人数比率(2005 年度). 付穴開け板は幼児が 3 人乗っても壊れないように裏か ら板で補強した。それぞれの板に穴を空け、その穴にひ もを通し簡単連結できるようにした。ひもにより、幼児 が思い思いの大きさにつなぐことができ、かつひもを結 ぶ作業を、目的を持って遊びの中で行うことができる。. 図 8 動物小屋で遊ぶ人数の推移. 4. 遊具設置の効果 4.1 製作遊具の構想 今回試作する遊具について、筆者ら(幼稚園の 4 歳児 の担任 2 名を含む)による話し合いで、「前年度のログ. 図9. 製作遊具(上から、穴開け板大、ローラー付穴開 け板、穴開け板小). 4). ハウスブロック. のように幼児でも持ち運び可能であ. り、自由な発想で遊ぶことのできる遊具」、「様々な遊 び方のできる遊具」、「幼児たちが協力して遊ぶことが できる遊具」、「ひもを使った遊具(お弁当のひもや毛 糸などによる編み物など、生活の中でひもを結ぶ作業が 多くなってきており、幼児たちも蝶結びへのあこがれも ある。)」、また、「遊具を使った遊びの中で、ひもの 結び方を自然と身につけることができる遊具」の条件を 明確にし、次の遊具に決定し、試作した。 杉を材料として、図 9 のような穴開け板(大)を 20 枚、穴開け板(小)を 10 枚、ローラー付穴開け板を 6 台の 3 種類を製作した。 穴開け板 (大) :幅200mm×長さ1200mm×厚さ20mm 穴開け板 (小) :幅200mm×長さ 600mm×厚さ20mm. 図 10 ローラー付穴開け板の裏面.

(8) 270. 加藤幸一・麝嶋 舞・中村 崇・酒井幸子・坂口淳子・渡邊 俊. 4.2 設置場所と時期. 成 20 年 1 月 30 日)の 2 回行った。. 製作遊具を年中保育室前の「ステージ梓」の上に設置 した。. 4.4 設置遊具による遊び. 穴開け板(大)と穴開け板(小)は平成 19 年 11 月. 今回設置した遊具はたくさんの遊びに取り入れられ、. 7 日(水)に設置した。ローラー付き穴開け板は平成. 幼児たちに思い思いの使い方をされていた。3 種類の新. 19 年 11 月 14 日(水)に設置した。. しい遊具は、大別すると、乗り物としての遊具遊び(図 11, 12)と、板をブロック的に用いて家などをつくるも. 4.3 ひもの結び方の調査. のづくり(図 13, 14)の両方の遊びが見られた。. 今回の遊具では、ひもの結びの要素が大きいので、. 担任教諭からは、「普段おとなしい子がローラー板で坂. 幼児に負担のかからないように、 厚紙に靴の絵を描き、. から滑って下るというスリルを伴う新たな遊びにチャ. ひもを取り付けたテスト用具を用いて、靴に見立てて. レンジしていた。」「普段はなかなか見られない組み合. ひもを結ばせる調査を、教諭の指導の下で、遊具設置. わせの幼児同士が板を使って遊んでいた。」などの感想. 前(平成 19 年 10 月 29 日)と遊具設置 3 カ月後(平. があった。. 図 11. 遊具を繋げて遊ぶ様子. 図 12 ローラー付き穴開け板で坂を下る様子. 図 13. 穴開け板を用いた家づくりの様子. 図 14 穴開け板を地面に敷きつめて遊ぶ様子. 4.5 遊びの種類別人数比率 赤組の新しい遊具の設置前と設置後の遊びの種類. いる。 赤組では、設置遊具を乗り物として使う遊びが増大. 別人数比率を図 15 に示す。ごっこ遊び、教養、その. したので、遊具の人数比率が増加した。これに加えて、. 他の遊びについてほとんど増減は見られないが、もの. この時期は運動遊びが増大するので、その反動として. づくり、動植物が減少し、遊具、運動遊びが増加して. 普段ものづくりをする幼児が新しい遊具に興味を持ち.

(9) 幼稚園遊具の撤去や設置が幼稚園児に与える影響について. 遊んだのでものづくりが減少したと考えられる。. 271. くりについては約 10%増加している。黄組では、設置. 黄組の新しい遊具の設置前と設置後の遊びの種類. 遊具をブロック的な役割をするものづくり遊び多かっ. 別人数比率を図 16 に示す。赤組と異なり、遊具、運. たために、ものづくりの人数比率が増加したと考えら. 動遊び、教養、その他の遊びはほとんど変化がなく、. れる。. ごっこ遊び、動植物については減少が見られ、ものづ. 図 15. 遊びの種類別人数比率(赤組). 図 16. 遊びの種類別人数比率(黄組) 4.6 幼児の人とのかかわりへの影響 今回設置した「穴開け板(大)、穴開け板(小)、. いる。B 男、C 男の場合にも、ともに遊具設置前より も設置後の方が一人遊びが減り、全体的には集団の人. ローラー付き穴開け板」の人とのかかわりの変化への. 数は大きくなっているが、全体的な傾向よりも、B 男、. 影響については、新しい遊具を使ってよく遊んでいた. C 男の集団の変化は著しい。. B 男と C 男について見てみたい。それぞれの遊ぶ集団. 設置前、B 男は保育室で剣づくりやブロック積みな. の構成数を、図 17 と図 18 に示す。また、4 歳児全体. どのものづくりをしていることが多かった。また、年. の設置後の集団の人数を図 19 に示すように、この図. 少中園庭中央を徘徊し、他の幼児が遊んでいる姿を眺. からは遊具設置前よりも設置後で、幼児の成長の影響. めていることも多かった。保育者が行う「追いかけっ. によって一人遊びが減り、集団の人数は大きくなって. こ」や「氷おに」などの大きな集団の遊びに加わるこ.

(10) 272. 加藤幸一・麝嶋 舞・中村 崇・酒井幸子・坂口淳子・渡邊 俊. ともあったが、すぐに抜けてしまった。自分のやりた. C 男も設置前は保育室で剣づくりなどのものづくり. い遊びを友達と続けるということにまだ楽しさを感じ. を一人でしていることや、ベランダで他の幼児の遊ぶ. ることができていないように思われた。遊具設置後、. 姿を眺めていることが多かった。遊具設置後、D 男や. B 男は真っ先に新しい遊具に飛びつき、遊び出した。. L 男と板を使って基地をつくってそこで戦いごっこを. B 男が板と板をひもで結んで何かを作っていると、他. して遊んだり、ローラー板に乗ってうんていで遊園地. の幼児たちが集まり、一緒に作り出した。彼らはそれ. ごっこ遊びをしたりする姿がよく見られた。板を使っ. を「電車」と呼び、作った「電車」を園庭に運び、電. ての遊び以外でも D 男や L 男らと遊ぶことが続いた。. 車ごっこをして楽しんでいた。トンネル山の坂を利用. 2 学期末頃には、自分から「今日は○○しようぜ。」. してローラー板で滑り降りる遊びや砂場で板を橋のよ. と D 男や L 男を誘って遊ぶようになった。C 男は、今. うにして山や川づくりを楽しむ遊びを 1 人ではなく他. 回製作した遊具を元に友達との関係を深めることがで. の幼児と楽しむ姿をよく見かけるようになった。 また、. きた。. 桃組の幼児をローラー板に乗せてバスごっこをする姿. 今回製作した遊具が、B 男や C 男にとって、友達と. も見られた。2 学期末頃には、新しい遊具を通じて仲. 一緒に遊ぶ楽しさを感じることができるきっかけの一. 良くなった友達とサッカーをして楽しそうに遊んでい. つとなったと考えられる。. た。. 図 17 B 男の遊びの集団の変化. 図 18 C 男の遊びの集団の変化. 図 19 年中全体の遊びの集団の変化 4.7 ひもの結び方の変化. 査(平成 20 年 1 月 30 日)を比べたものである。そ. ひもの結び方を観察結果を参考にして表 1 のよう. のままが 9%、1 回結びが約 10%、何重にも結ぶが 12%. に、数値が大きくなるほど結び方が高度になる 9 段階. それぞれ減少している。その分、2 回結びが 9%、輪に. に分けた。9 段階の結び方を図 20 にそれぞれ示す。. するが 5%、蝶結び(未完成)が 7%、蝶結び(完成). 図 21 は、遊具設置前の第 1 回目の幼児のひもの結 び方の調査(平成 19 年 10 月 29 日)と第 2 回目の調. が 9%増加している。 幼児が遊具を使用する前後で、ひもの結び方に変化.

(11) 幼稚園遊具の撤去や設置が幼稚園児に与える影響について. 273. が現れた。遊具設置前の 1 回目の調査では、何もせず. 係をみるために、ひもの結び方に、「そのまま」に 1. “そのまま” だった幼児が結ぼうという意識をもって、. 点から、「蝶結び」に 9 点の 1 点刻みの順位得点を与. 皆何らかの結び方をしている。“1 回結び”や“何重. えた。調査 2 回目の結び方の順位得点と遊具を使用す. にも結ぶ”の割合が減り、“2 回結び”の割合が増え. る頻度との相関を求めたところ、図 22 のように、全. たことから、板と板をひもで結ぶとき、“1 回結び”. 体では特に有意な相関はみられなかった。しかし、乗. ではすぐ解けてしまい、“何重にも結ぶ”と解けにく. り物として紐で結ぶ操作が見られた赤組では正の相関. いが時間がかかる。そこで“2 回結び”の方がしっか. が見られた(相関係数 0.35, p=0.060)。一方、黄組で. りと簡単にしかも短時間にひもを結ぶことができ、か. は、前述のように、遊具をひもを使わないでブロック. つ解くときも簡単であるということを学んだ結果だと. 的に用いたことが影響して、相関が現れなかったと考. 考える。. えられる。. 1 回目の調査よりも 2 回目の調査の方が結び方の向. したがって、全体的には幼児の成長としてひもの結. 上が見られた原因は、お弁当包みやひも靴など日常生. び方は向上したが、ひもを結ぶ操作を取り入れた遊び. 活の中でのひも結びに関連した成長に伴う部分と、今. をすることによって、あるいは、遊具で遊びたいがた. 回の遊具の設置が影響する部分とが考えられる。そこ. めに、結び方を教員や保護者等から学んだことによっ. で、遊具を使用する頻度とひもの結び方の向上との関. て、成長を上回る効果が現れたと考えられる。. 表 1 幼児のひもの結び方の段階 段階. 名称. 具体的な説明. 1. そのまま. 何もしない。そのままの様子。. 2. クロス. 2 本のひもをクロスさせた状態。. 3. ねじり. 2 本のひもをねじった状態。. 4. 1 回結び. 2 本のひもを 1 回結んだ状態。. 5. 何重にも結ぶ. 2 本のひもがなくなるまで何回も結ぶ状態。. 6. 2 回結び. 固結びをした状態。. 7. 輪をつくる. 輪をつくって、固結びした状態。. 8. 蝶結び(未完成). 蝶結びに近いが、所々に間違いがある状態。. 9. 蝶結び(完成). 正しい蝶結び。.

(12) 274. 加藤幸一・麝嶋 舞・中村 崇・酒井幸子・坂口淳子・渡邊 俊. 1:そのまま. 2:クロス. 3:ねじり. 4:1 回結び. 5:何重にも結ぶ. 6:2 回結び. 7:輪にする. 8:蝶結び(未完成). 9:蝶結び(完成). 図 20 幼児のひもの結び方の例. 図 21 ひもの結び方の変容(4 歳児全体).

(13) 幼稚園遊具の撤去や設置が幼稚園児に与える影響について. 275. 図 22. 遊具の使用頻度と結び方の向上(4 歳児全体). 5. まとめ. この成果を踏まえ、今後とも保育を支援できる遊具を. 今回研究では、遊具の撤去と新しい遊具の設置の影. 開発していきたい。. 響を検討した。遊具撤去の影響については、3 歳児、4 歳児の遊び場別の人数比率からは、撤去遊具の使用頻. 文 献. 度がもともと低かったので、明確に撤去の影響は認め. 1)加藤幸一、田端貴宏、安藤哲也、上林千秋、渡邊 俊:幼. られなかった。しかし、若干の使用頻度があったブラ. 稚園教育における固定遊具の教育的効果についてⅠ-幼児. ンコや動物小屋については、その使用は特定の幼児で. 用 2 階建て小屋の製作・設置とその効果-、群馬大学教育. あったが、 その幼児に多少の影響があったと思われる。. 実践研究、第 22 号、pp.181-188 (2005). 今回設置した、保育を支援する遊具として構想され. 2)加藤幸一、神垣有香、岩味留美、中村 崇、渡邊 俊:幼. た穴開け遊具等は新しい遊びを増すとともに、遊びの. 稚園における 5 歳児の遊びと遊具の影響、群馬大学教育実. 変化に繋がった。それぞれの遊具にかかわった幼児に. 践研究、第 23 号、pp.153-162 (2006). ついては、その幼児の人とのかかわり等に影響を与え. 3)加藤幸一、對比地祥子、上林千秋、浅田眞由美、田邊佳 子、渡邊 俊:幼稚園教育における 3、4 歳児の遊びと. ることが認められた。 今回の遊具はひもで結んで遊ぶことができ、結ぶ操 作が比較的多いクラスの幼児には結ぶ操作に向上が見 られた。. 遊具の影響、群馬大学教育実践研究、第 24 号、pp.215-228 (2007) 4)加藤幸一、茂木 悟、中村 崇、福島こず恵、渡邊 俊:. 今回製作・設置した穴開け板等は以上の結果から当. 幼稚園教育における遊具の教育的効果とその在り方につい. 初の構想をほぼ満足する遊具ではないかと思われる。. て、群馬大学教育実践研究、第 25 号、pp.159-174 (2008). かとう こういち・じゃじま まい・なかむら たかし さかい ゆきこ・さかぐち じゅんこ・わたなべ とし.

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図 4  遊び場別人数比率(赤組)
図 5 遊び場別人数比率(黄組) ブランコ :ブランコを使用する人数比率を調査日ごと に図 6 に示す。ブランコの使用は赤組に比べ、黄組の方 が多い。黄組でも 5 月、 6 月、 7 月と日を重ねるごとに 減少し、 7 月では使用者がなくなっている。参考までに、 前回の 2005 年度の調査結果を図 7 に示すが、 7 月にも かなりの使用があるので、この年度に撤去がなされれ ば、遊んでいた幼児に影響が生じたかもしれない。 2007 年度は 7 月で使用がなくなっているので影響はなかっ たと考えられる。 し
図 20  幼児のひもの結び方の例

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