液体絶縁物の電流特性に対する放射線照射効果（第一報）
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(2) . ～ ） １ 北海道学芸大学紀要 （第二音. 第８巻 第２号. 昭和３２年１２月. 液体絶縁物の電流特性に及ぼす放射線照射効果. 一第１報一 佐 々 木. 一. 郎. 北海道学芸大学釧路分校物理学研究室. ｌｖｅ ｌｓｏｔＯＰｅｓ ｏｎ ｆｅｃｔｓ ｏｆ Ｒａｄｉａｔｉｏｎ ｆｒｏ ｌ筆 Ｒａｄｉｏａｃｔ １ ．ＳＡＳＡＫ１ ，： Ｅｆ ｉ ｉ ｔｌ Ｌ ｉ ｉ ｄｌ ） ｆ ｎｓｕｌ ａｔｏｒｓ （Ｐａｒ ｔａｇｅ－Ｃｕｒｒｅｎｔ Ｃｈａｒａｃｔｅｒｓｔｃｓ ｏ ｔｈｅ Ｖｏｌ ｑｕ ．. ＳＩ. 言. 緒. 放射性物質からの放射線が液体絶縁物の放電特性に影響を及ぼすことは当然予想されるところ で あるが、 未だその方面の研究は少いようである。 筆者はその研究が絶縁破壊機構の研究にも寄与す るところがあるという考えの下に、 先ずその研究の第一段階として変圧器油中の電流特性に及ぼす 影響を研究中であるが、 この報告はその第１ 報である。 Ｓ２. 実. 験. 結. 果. 今回の実験装置は第 １ 図に示したとおりである。 即ち針端対平板電極の不平等電界における電流 特性を対象として、 放射線源としては先ず約 １ｏｍＣ の Ｃｏ６０ を器壁の直ぐ外側 から作用させた。 次 ６ ０ （約 ｌｍＣ） の針端を用いて 鋼鉄針の場合 と対象させ （両者の曲率半径は略々 に針端電極に Ｃｏ 、 ８７５ｍｍ ２５ｍｍ ０６２５ ，１ ． ， ， という 短間隙長 の三つ の場 合 ，１ 等 しい） ，針端負及び正の場合、 また間隙は ． ｍｍ. について実験した。 この実験結果の代表的のものを図表化したのが第 １図である。 他 の結果も大体これと同じ傾向で あるが、 実際の電流値は油の状態、 つまり油処置の影 響が大きかった。 なお油はガラ スフィ ルター で処理したものを使用 したが、 容器が開放型であるため実験過程での多少の変化は免れないよう で あった。 Ｓ３. 討. 検. ０ を器壁の外側より作用 させた場合 （１） １ｏｍＣ の Ｃｏ６ 、 殆んど影響を認めることができなかっ. た。 これは この程度の放射能では影響がないものと考えられるが、 なお多量の放射能のもので実験 す る予 定 で あ る。. （２） 針端負の方が正の場合よりも一般に電流値が大であるが、 これは ｄｅｇａｓ 効 果 に 関 係 あ る と され て い る。. （３） 針端負の場合 電極間隙が小さい程電流値が大きく、 電圧が大になる程顕 著である。 ６ ０針端の影 響は実験電圧 の範囲では電圧が大になるに従い大であり、 間隙が大である程 ② Ｃ ｏ. ①. 効 果 が 著 しい。. （４） 針端正の場合 － ２４ －.
(3) . 液体絶縁物の電流特性に及ぼす放射線照射効果 第 １. 図. ９ ‐ ‐ － － ‐ ″ｆ ”針 ｘ Ｇ 。 鋼鉄升. ず. ０ ′. ′ ず. ｄ ク. ０ ノ鋼鉄計り 幽 に ‘ 葛 ナ チ頃. ー ナ. Ｊ Ｏ. Ｊ ぶ. 釘 リア ノ 喜. ① 電流値は一般に針 端負の場合よりも遥かに小さい。 ②. 実験電圧の範囲では間隙長による差は小さいが、 傾向は針端負の場合と同形であって、 第. ２ 図 の 点線のように延長できるようである 。. ６ ０針端の影響については 電圧小なる間は鋼鉄針の場合よりも電流値は大きいが その ⑧ Ｃ ｏ 、 、 増勢は小さく、 或る電圧のところで鋼鉄針の場合の曲線にクロスする。 即ちその電圧以上で ６ ０ の効果はむ しろ電流を減少し 第２図に示 は針 端負 の場 合 と は 全く 逆 の 傾 向 に な っ て、 Ｃｏ 、 す よ う な 点線で延長できるようである。 この点が特異な現象と考えられる。. （５） 以 上 のご とく. ｏ ｏ による電子放射説の影響は確認できたが この機構については Ｃｏ 、 、. 高電界. における電子放射説に基けば、 一応次のように考えられるが、 詳細については、 なお平等電界にお いて、 もっと広い電圧範囲と種々の間隙で実験 して検討する必要があり、 目下変圧器油のみならず 各種の液体について厳密に純粋な定常状態において実験すべく準備中である。 ６ ０ 針端からの γ 線による２次電子の発生が鋼 鉄針の場合よりも 電流値を ① 針 端 負の場 合： Ｃｏ 大きくする原因と考えられ、 これは電圧の増大と共に大きくなる。 ②. Ｇ ０ 針端からの γ 線が対陰極から２次電子を放出し それが陰極前面に一 針 端正 の 場 合： Ｃｏ 、. 種の空間電荷状態を形成し、 陰極前面の電界を弱めるために電流値が或電圧以上では鋼鉄針の 場合よりも小さくなる。 － ２５ －.
(4) . 木. 佐 々. 第 ２. 一. 郎. 図. . . . ′ ク ′ ′ ／ ノ ラン′ ノノ . . . ｆ 仰” り α 夕 ” ｏ ｉ ｆ ｉ ヴ ２ ｆ ｏ ク ノ す り Ｊ ず ／. ６２５皿 の 場 合 に つ い て、 ブラ ウ ン管 オ ッ シ ロ グ ラ フ に よ る観 察 に よ れ ば、 なお間隙 ０． ①. ６ ０ 針 の 場 合 は２８× 針 端 負 の 場 合 ： 鋼 鉄針 の 場 合 １３×２５０Ｖ で コ ロ ナ の 発 生 が 見 ら れ た が、 Ｃｏ. ０ の 照 射 は コロ ナ の 発 生 を 抑 制 して い る よ う で あ る ２５０Ｖ で コロ ナ が 発 生 して い る。 即 ち Ｃｏ６ 。. ②. ６ ０針いずれの場合もコロナの発生な しに前者の場合は ｏ 針端正の場合： この場合は鋼鉄針、 Ｃ ５ ０Ｖ で直ちに放電した。 これがやはり特異な現象であって、 上 ８×２ ２５ｘ２５０Ｖ， 後 者 の 場 合 は ２ 記の電流機構の考察と関係 があり、 空間電荷状態にある電子雲が或電圧で突然崩壊する機構に よ っ て 説 明 で き そ う で あ る。. この実験に多大の御便宜と御指導を賜った北大教授坂本博士に深謝の意を表する。 またとくに実験を補助さ. れた本学助手工藤清勝君に感謝する。. － ２６ －.
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