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茶道の稽古が幼児の配慮行動の形成に及ぼす影響に関する質的心理学研究

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Academic year: 2021

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(1)平成24年度. 学位論文. 茶道の稽古が幼児の配慮行動の形成に及ぼす     影響に関する質的心理学研究.    兵庫教育大学 大学院 学校教育研究科 人間発達教育専攻  学校心理・発達健康教育コース   1〉[11041E  宮本 知子.

(2) はじめに.  本論文作成にあたり,問題意識の端緒になったことからを2点 述べたい。.  まず,1点目に私自身の茶道の修道体験が基盤として挙げられ る。茶道との接点は幼児期に遡るが,私の師匠は祖母であった。 最初は,大人の社中の方々の稽古風景を見学するよう命じられ, 座敷の隅で黙って正座していた記憶がある。その後,割稽古に参 加するようになり,徹底して所作の「型」を身に付けるように教 示され,稽古の場を離れた時も,白身何度も繰り返して「型」を 身になじませようとした。.  割り稽古は,私が小学校中学年になるまで続いたが,その間,. 茶席に参加することは許されずに,座敷の続き間である水屋で正 座して見学していた。茶席に同席できない当初は,苦痛であった がそのうちに師範としての祖母の住まいや言動,社中の方々の応 対や身のこなしを観察するようになっていた。「喫茶去」のとおり,. 茶道は,ただただ茶を楽しむことに尽きるのであるが,その前提 に場に集ったひとりひとりがお互いにお座ではお座の,水屋では 水屋仕事としての心地よい空間を創り上げるにはどう振る舞えば よいのかを常に考える修練の場であることを自然と気づいていっ たように思われる。.  つぎに,高校教育で校内外の学校茶道の活動に携わる中で,茶 道体験を積むことにより自然とセルフ・コントロールを身に付け, 対人関係のありかたを大きく変えていった生徒の存在が挙げられ る。彼らが」様に言うことには,静寂の空間で「型」に削った所 作を繰り返していると心が落ち着き,その場で自分はどういうや りとりや振る舞いをしたらよいのかを考える余裕が出てくるのだ ということであった。また,その体験が日常生活で切羽詰まった 場面においても,」匙分のこころの余裕として再現され得るとい うことであった。.

(3)  このように自他の茶道体験を腕白的に再構築する中で,幼児期 の茶道体験がどのように個々人の社会性の発達に影響を与えるの かという問題意識の端緒を検証するため,幼稚園の参与観察を通 して,幼児の茶道の稽古が配慮行動の形成に及ぼす影響に関する 質的心理学研究をおこなうことにした。.

(4) はじめに・・…  1・・1・・・・・・・・…. 目次・・・・・・・・・・・・・…  1・・・…  1.  問題と目的・…  1・・・・・…  1・…  12  方法・・・・・・・・・・・…  1・・・・…  7.  結果・・・・・・・・…  1111・・・・…  8.  考察…  1・111・・・・・・…  1・…  l1  引用文献・・・・・・・・・・・・・…  11・・18. おわりに・・・・・・・・・・・・・・・・…  1 附録・・・・・・…  1・・・・・・・・・…. 一1一.

(5) 問題と目的.  本研究の主たる目的は,筆者が公立幼稚園における「こども茶 道教室」での修道場面と保護者・地域住民との連携・協働のもと 実施された「こども茶会」を参与観察する中で得た印象的なエピ ソードを分析することにより,園児たちが割稽古を通して所作を. 習得する過程において,茶席をともにする他者へ個性化した思い やり(岡本,1999)を向け,相補的で心地よい居場所と心理的紐帯を. 形成し得る可能性とRespectBehavior(配慮行動)との関係性を探 索することである。本研究で茶道の修道場面に焦点化した理由は,. 茶席特有の空間的機能と修道との相互作用の中で,子どもたちが 観察やモデリング,模倣といった活動を通して,客=他者を迎え る「型」を取り込み,新たな行動レパートリーを形成し,さらに は日常的場面でのRespectBeha.ior(配慮行動)に反映されていく のではないかという推論によるものである。  Respe・t Behavior(配慮行動)は向社会的行動(pros。。i.1. behavior)というテーマの中で取り扱われており,従来の研究では 人の心理的特性である思いやり(向社会性;prosociality)が対象. 者にあるかないかは,どれだけ「思いやり行動」を行うかによっ て測定されてきた。つまり,他者に対するr思いやり」は行動と して表れなければ測定されないということになる。しかし,日常 生活を振り返ると果たして「思いやり」は可視化し得る具体的・ 積極的な行動表出でなくてはならないのだろうか。思いやりは, 「思い造り」とも書き,r遣る」はr遣う」ことでもあり,それら は「働かせる」ことを意味するため,平木(2000)は,「自らの思 いを働かせること」といえるだろうと述べている。また,Mussen& Eisenberg−berg(1980),菊池(1984)によると,外的報酬を期待す. ることなく,他者あるいは他者の集団のために自発的に生ずる行               ・2一.

(6) 動であり,しかもある種のコスト(損失)を伴う行動としている。. 高野(1985)は,思いやりを行動そのものとともに「他者に思いを. 馳せるという心理的な移動」であると捉えており,児童期の思い やり行動の非表出的な側面に焦点をあてた山村・中谷(2012)は,. 小学校4年生と6年生の時期において発達的な違いが見られる可 能性を示唆している。そこで,本研究では,向社会的行動 (prosocialbehavior)の定義としてもっとも広く使われている 「他者あるいは他の人々の集団を助けようとしたり,こうした. 人々のためになることをしようとする自発的な行為」(Eisenberg &Mussen,1989菊池・二宮訳,1991)を用いることとする。さらに,. 「外界に顕在化しないが,相手を思いやったうえで選択された行 動」をRespectBehavior(配慮行動)のうちの非表出的向社会的行. 動として操作的定義を行い,茶席にて生起される幼児のRespect Behavior(配慮行動)を場面の文脈の…連の流れから捉えていくこ. とにする。このように,子どもの配慮行動の多様性に着目するこ. とで,子どものF思いやり」理解の質や発達的変化の断片を掬い 上げることが可能になるのではないかと考える。  また,思いやりは,家庭の子育てや教育でも,子どもに期待さ れる資質の」つとして考えられており,教育現場において,他者 に対する思いやりを軸とした心の育成は,社会からの喫緊の要請 でもある。そこには,私たち大人がr個人の自律をめぐる混迷の 中で生活している」(小田中,2006)というアクチュアルな問題が背. 景にあると考えられる。従来,日本では謙譲の美徳として非主張 的な言動や控えめな態度を善しとしてきたが,その前提としてコ ミュニティの中には互いがよく知りあっている人間関係や互いに 相手の心中を察しあうという土壌があった。ところが,そういっ た精神構造に接ぎ木・したような形で,実力至上主義の人間関係の 考え方が入り込んできた。人と人とを繋ぐ紐帯が綻び,磁場が脆 弱化したコミュニティの中では,その成員であることの安心感も               一3一.

(7) なければ,他者に対する信頼感も得られないであろう。他方,社会 の機能分化とともに広域化した生活圏により,地域の匿名性(南里,. 2008)が拡大する中で,観察協力園には地域で子どもを見守り育て. る生活文化や発達環境,心身の鍛錬としての基盤が確かに根を下 ろしている。子どもは家庭や学校の中だけではなく,自分を取り 巻く地域社会の構成員との相互作用をも通じて社会化される。「こ ども茶道教室」「こども茶会」は,保護者・地域住民との連携・協. 働のもと実施された点からも検証していく必要性があろう。保護 者と地域住民が協働参画する幼稚園の課外活動において,おとな が自らの持ち得る知識,技術,人脈を相互補完し合い,「知・技・ 縁」の共有化を図り,こどもたちに還元する取り組みをおとなと こどもが相互作用を行う物理的セッティング(澤田,1991)を再布 置化し,こどもに内在化され機能し始める力動的かつ創発的な一 様態として提起したい。.  子どもは,主に観察学習やモデリング・模倣といった二つの方 法で向社会的行動をとることを身に着けていく。第」の方法は, 養育者やその他の大人からの教示を通して,社会的に望まして行 動に関する規範を内在化していく方法である。子どもは日常生活 の中で類似した状況を繰り返し経験し,大人を含めた他者からの 向社会的行動への期待認知が内面化されることで社会的規範を身 に着けていく。つまり,子どもたちに向社会的行動をとることを,. 大人が社会規範として期待し教える前提が必要である。この条件 が満たされて,子どもの向社会的規範を内在化する基盤が整うと いえよう。.  第二の方法として,養育者や大人からの直接的な教示に頼らな い方法も考えられる。子どもは周囲の他者が向社会的行動を行い, 相互協力や相互信頼が是認されるのを見て,向社会的行動をとる ことを身に着けていく。そして社会集団に参加するうえで,向社 会的行動をとることの重要性をも学びとっていく。               一4・.

(8)  子どもたちが向社会的行動を身につけていく方略を茶道空間に 置換すれば,教授者は初学者に「型」を通した」連の所作を教示 することでその背後にある他者への気遣いを伝えていく。初学者 は,教授者や熟達者の所作を模倣することからはじまり,「型」を 自身になじませるなかで他者への気遣いを具現化していく。さら にまた茶室では,亭主は花鳥風月の力を借り,取り合わせと点前 を通じて客に対する自分の態度を表現している。そこに正客は亭 主の他者受容を読み,心に受け止め,それに相客も態度で呼応す る(岡本,1999)。茶席を主客双方の他者受容の場と規定する岡本 (1999)の知見は,安部(1997)の芸道の教育や熊倉(1997)が近代数. 寄者の茶の湯で展開する,箒庵高橋義雄の言説である亭主と客と の好意と好意の交感によって醸成された場にも還流する。このよ うに,主客双方の思いが交錯しr一一期・・一会」の場が醸成される茶. 道とは, まさに五感すべてを動員した有形・無形の豊潤な Respect Bθhavior(配慮行動)の営為と考えることは妥当であろう。.  ここで,茶道に関する心理学研究および隣接する先行研究を概 観してみる。茶道の特色を先人の言行録を播きながらイ宅びとさび, 知足(控えめ),和(調和と取り合せ),創意(自由),自然の5項目. において心理学的見地から府画敢し,究極如実自由と述べた茶道の 精神(千葉,!964),わび茶道を日本独白の精神性と実践性を兼備し. た心理学と規定し,茶禅」味の主客の関係は相談者と来談者の関 係と相関し,主客のやりとりを・…’種の心理劇と捉えた茶道の心理 学(安西,1972,;安西,1995),学校教育における伝統や文化に関す. るカリキュラムの開発と充実を唱道した<お茶〉の学びと人間教 育(梶田,2002)とそれに連なる系譜として,学校茶道への取り組み. と道徳教育の関連について述べた学校茶道と<こころ〉の教育(大 野,2011),茶道の癒しの効果と茶会独特の同期律(シンクロニテ. ィ)に着目し,茶道具からの連想を介して,さらに連想を交差させ. ることにより,自己のアイデンティティをめぐる神話的な物語を               ・5一.

(9) 紡ぎだそうとする独自の心理療法(シンクロクロッシング)へと昇 華させたティーセラピーとしての茶道(黒川,2002),等がある。.  これらの研究は,茶道を1.歴史的文脈における検証,2.学校教 育におけるカリキュラムの一環,3.セラピーへの応用として大別. できるにしても茶道と心理学との接地点について論じた研究は稀 である。古今の茶の湯の先達が伝承してきた茶道の「型」を越え る「型」の精神(古田・熊倉,1998)や主客相互の「主観の出会い」 (丸田,2002)により生成するストロロウ(Sto1orow,R,D)らが提唱. する間主観的関係性に立脚して論究したものとはいえない。むし ろ,身体知の哲学者M,メルロ=ポンティ(Merleau−Ponty,M)の思想. 体系を点前という「運動」に援用し,「感じて,考えて,動く」と. いう継起的な回路でなく「感じること=動くこと」という同時的 かつ直線的回路の生成を心身」加の状態に近似したなじみの感覚 と捉えた田中(2009)の論考に,新たな問いが定立されるのではな いかと考える。また,黒川(2009)の論考では,茶道を学校知に対 する野生知を掘り起こす場,ひいては「子どもたちのやわらかな 心の深部の想像力をかきたてて他者に対しての思いやりの気持ち 等を養うとても良いきっかけ」と捉え,子どもたちに生まれなが らに身についている野生の知を活性化する営為として,教育哲学 の地平から現代茶道を再定義しようとする試みは,示唆に富んだ 卓見といえよう。.  本研究では,自他の受容のあり方や師の教示による気づきを問 題意識の端緒として通底させながら,脱自的に体験を再構築する ことで,子どもたちの点前作法の習得が,茶席をともにする他者 へ臨機自在に,個性化した思いやり(岡本,1999)を向け,その相補. 性がRespectBehavior(配慮行動)に与える影響との関係性を探索. することが主たる目的であった。さらには,人と人との相互作用 の集積体として社会や他者と自己とをつなぐ橋や扉(菅野,2003) を把持し得る,茶道体験の有意性をウェルナー(Werner,H)の有機               一6・.

(10) 体発達論における創発性を含んだ発達的連続性(園原・鯨岡・浜 田,1976)の文脈から,理解することが第二の目的であった。その うえで,宮本・福井・浅川(20!2)で述べられた見解を再吟味し,. RespectBehavior(配慮行動)の微視発生的変化をエスノメソドロ. ジーの研究法に依拠してその発生的機序について検討することに した。.               方法  方法 観察記録の方法については,参与観察法にしたがって観 察は遂行された。その際,園児たちの活動の様子はVTR録画され, 修道場面について可能な限りその場でメモを行い,観察終了後, 迅速に文章化して事例として記録する形式をとった。.  観察協力者 H県内町立A幼稚園に通う園児11名(年中児:7  年長児:4)とその保護者,及び茶道教授者1名と茶道教授者杜  中1名  今回は,第1回(初回)・第2回(中間)・第6回(終回)参与観察を. 抽出し,盆暗点前および呈茶と席入り後の所作の割稽古(分留)の 様子を報告する。.  手続き 園児たちは,在園2年間にわたってこども茶道教室を 主催する茶道教授者に師事して茶道を学んでいる。席入りからは. じまり,盆暗点前の披露に至る教室は通年4回,午前中約2時間 半程度行われており,そこでの子どもたちの稽古の様子を参加観 察法と縦断的観察法に基づき,エピソード記述した。さらに,茶 道教授者の社中1名とともに,第1回・第2回・第6回の修道場 面におけるRespectBehavior(配慮行動)に焦点をあてVTR録画を 再精査し,場面見本法による4つの行動カテゴリー(儀礼・分与・ 気遣い・援助)の抽出および5段階の評定を行った。評定の」致率               ・7一.

(11) は,O.996(第1回),O.935(第2回),O.929(第6回)であったが,. 不」致のものについては2人の評定者が協議して再分類した。次 に,園児たちの配慮行動の生起に観察時期間の差異があるかどう かについて,フリードマンの検定とサイン検定を行って検討した。  研究期間.  2011年11月下旬∼2012年3月下旬(全6回) ・第1回(初回観察) 平成23年11月15日(火) 9:OO∼12:30.           こども茶道教室 ・第2回(中間観察) 平成23年11月23日(水) 9:OO∼12:30           こども茶会 ・第6回(終回観察〉.平成24年3月16日(金) 9:OO∼12:30.           こども茶会・卒園式.              結果  配慮行動の微視発生的変化  茶席行動のうち,配慮行動に焦点をあてて,第1回(初回),第 2回(中間),第6回(終回)の各観察時期間の生起状況を整理した. ものがTab1e.1である。茶席において,多くの幼児の個々の行動 が観察されたが,配慮行動に関しては,14の行動パターンを抽出 して検討することにした。.  この表に基づき,各時期間の差異を検討するためにフリードマ ンの検定を行った。その結果,4つの行動カテゴリ」のうち,「儀 礼一礼(自発的)」「儀礼一挨拶(自発的)」「儀礼一身だしなみを整 える」,「気遣い一微笑む(亭主→客)」「気遣い一微笑む(客→亭主)」. 「気遣い一微笑む(客⇔客)」の2つの行動カテゴリーにおいて有 意差が生じていた(順に,X2=16.1,17.45,18.05,6.45,7.55, 18.2 p<、05, df・2 パ>5.99)。.  次に,これらの有意差が認められた行動について,各時期間の 有意差を検討するためにサイン検定によって下位分析を行ったと               ・8一.

(12) ころ,「儀礼一礼(自発的)」「儀礼一挨拶(自発的)」「儀礼一身だし. なみを整える」「気遣い一微笑む(客⇔客)」行動について初回<中. 間<終回の順で出現度数に有意差が認められた。「気遣い一微笑む (亭主→客)」「気遣い一微笑む(客→亭主)」行動については,初回. <中間のみ出現度数に有意差が認められた(p<、05,両側検定)。. 一9一.

(13) T8b1811児の配慮行動の売主度数の平均値と標準日差. カテゴト. 行動パターン. 1礼(自発的). 2挨拶(自発的). 儀礼 3点茶(丁重さ). 4身だしなみを整える. 1点茶碗を共有する 分与 2茶菓子を分け合う. 1微笑む(亭主→客). 2微笑む(客→亭主). 気遣い. 3微笑む(客⇔客). 初回. 中問. 終回. Mean. 0.5. 1.6. 2.8. r.D.. O671. O.663. O748. Mean. 0.1. 1.8. 3.2. r.D.. n.300. O872. O600. M6an. O.4. r.D.. O663. Me㎝. 1教示する(発言). 援助. 2教示する(身振り). 3重い荷物を代わりに違ぶ.  O.  1 O.894 1.3. 2.7. O640. O900. Mean. O.5. O.5. 1.6. r.D.. O671. O1671. P.960. Mean. 0,3. O.5. O.900. O671. Mean. 1.1. r.D.. O700. M6an. 0.7. r.D.. O781. Meao M6an Mean.  0. O000  O n.OOO.  2 O.894.  2.  O. 1.3. P676 O.8. O.632. P600. 3.1. 3.9. O1300. O300. O.1. O.8. O300. P600 O.8. n.OOO. O300. P600. Mean. 0.3. 0.7. r.D.. O640. P005. n O00. Mean. O.5. O.7. O.3. r.D.. P.025. O.900. O900. Me8n. O.3.  0.  O. r.D.. O900. O.000. n.000.  O. ・1O・. 初回く中間 中固く終回. λ2・16.10. N・8.F・O. N・9.F・1. X2・1745. N・10.F・O. N・71F・O. N.S。. N.Sl. N.S.. X』1845. N・10,F・0. N・9.F0. N.S.. N.S.. N.S.. N.S.. N.S、. N.S.. X2・645. N・9.F・1. N.S.. X2・7.55. N・81F・0. N.S.. λ』1820. N・101F・0. N・8.F0. N.S.. N.S.. N.S.. N.S.. N,S.. N,S.. N.S.. N.S.. N.S.. N.S.. N.S.. N.S。. N.S。. N.S.. N.S一. n O00. O.1. r.D.. 定結果. 1.5. n.OOO. r.D.. 結果(z2団. サイン. P.857. r.D.. r.D.. 5見守り待つ(客→亭主). フトドマンの検定. S.D.. r.D.. 4見守り待つ(亭主→客). 参与  祭日. Me㎜.  O.

(14)               考察  儀礼にみる配慮行動の出現と変化.  フリードマンの検定およびサイン検定の結果より,4つの行動 カテゴリーのうち,「儀礼」が「儀礼一礼(自発的)」「儀礼一挨拶(自. 発的)」「儀礼一身だしなみを整える」と,3行動で有意差が生じ. ていた。また,これらの有意差が認められた行動について,各時 期間の有意差を検討するためにサイン検定によって下位分析を行 ったところ,「儀礼一礼(自発的)」「儀礼一挨拶(自発的)」「儀礼一. 身だしなみを整える」の4項目中3項目について初回<中間<終 回の順で出現度数に有意差が認められた。このことは,茶道の初 学者における「型」の習得と通底することが推察される。茶道の 初学者における「型」の習得は,明らかに外面的な「形」の習得 を含んでいる。事実,「型」には優先的に外面的な「形」としての. 身体の動きをつかさどる能力としての「技能」の側面がある。し かし,「型」と「形」は,決して同じものではない。「技能」の世 界での「形」の伝承において,教授者も学習者も究極の目的とし て力を注ぐべきところは「形」の習得では決してないのである。 子どもたちは,茶席という非日常的空間での振る舞い「形」の模 倣,「所作」を繰り返し経るうちに,そこでの目標を白ら生成的に より豊かにしてゆき,そうした目標と要素的活動とを照らし合わ せながら,「形」の意味を身体全体で積極的に納得していこうとす る努力を始める。そして,より上位のより開かれた目標へと自ら の注目を移動させていくにつれて,やがてほとんどの意識を介在 させない自然な動作として所作を取り込んでいくのである。「技 能」の世界での「型」の習得もこれで同じ次元で捉えてみること ができよう。各領域において,初学者はいきなり「見て覚える」 「聞いて覚える」という言明にしめされるように,子どもたちの 茶道の修道場面においても自分自身が「よいもの」として,そこ に向かうことに同意する,モデルとしての茶道教授者の示す「型」              ・11一.

(15) の模倣,モデリングと繰り返しという活動に参加することになる。  「よい」とされる師匠の動作を点茶の手続きの連続としてできる. だけ完全に模倣することが子どもたちの当面の明示的な目標とさ れるのである。教授者のあらゆる動きに注目して,子どもたちは たどたどしくもひたすら師匠の示す「型」の模倣に専心し,そし て何度もそれを繰り返す。しかし,子どもたちはrよい」ものと して認める茶道教授者の「型」を模倣し,繰り返すうちに,一連 の点茶行為を成り立たせている要素的な「形」の意味の「解釈の 努力」を始めるのである。それらが表出された行動が自発的な礼 であり,自発的な挨拶であり,身支度を整えることであろうと推 察する。そして子どもたちは,それぞれの「形」の意味を解釈し ながら,どの所作が必然的であり,どの所作が主客の相互交歓か ら生成した,偶然的思いやり一偶然的配慮であるかなどの事柄の 意味を身体全体で納得していくのである。その意味において,年 長5−6歳児では,手本にすべきモデルとしての大人の存在を認識 できており,回を重ねるごとに自分なりの「よさ」を体現しよう とした行為の結果であると考えられる。呈茶についても,「丁重さ」. が相手への思いやり一配慮行動の可視化し得る要素であったが,. 年長5−6歳児においては顕著にみられたのに対して,年中4−5歳 児においては各回とも単発的・局所的な儀礼行為に留まり,点茶 を通した主客相互の交歓を醸成するには至らなかった。  気遣いにみる配慮行動の出現と変化.  フリードマンの検定およびサイン検定の結果より,5つの行動 カテゴリーのうち,「気遣い一微笑む(客→亭主)」「気遣い一微笑 む(客⇔客)」のまた,これらの有意差が認められた行動について,. 各時期間の有意差を検討するためにサイン検定によって下位分析 を行ったところ,「気遣い一微笑む(客⇔客)」行動について初回<. 中間<終回の順で出現度数に有意差が認められた。「気遣い一微笑              ・12・.

(16) む(亭主→客)」r気遣い一微笑む(客→亭主)」行動については,初. 回<中間のみ出現度数に有意差が認められた。主客相互の微笑み は,呈茶の」連の所作といった「型」へのなじみとともに生起場 面が年長5−6歳児・年中4−5歳児ともに頻繁にみられるようにな っていった。「型」に白身の身を添わせる緩衝されてくると,「型」. と「型」との「間」が生起し,その「間」を主客ともに認識し得 るとき点茶中の微笑みが生まれるのではないかと推察する。微笑 みといった表出的な思いやり一配慮行動に対して,見守り待つと いった非表出的な思いやり一配慮行動は,初回観察時には見られ なかったが,終回観察時には主に年長児の行動の…様態として示 されたが,年中4−5歳児においては局所的な行動に留まり,それ らの行為をモデリングするには至らなかった。  援助にみる配慮行動の出現と変化.  フリードマンの検定およびサイン検定の結果より,3つの行動 カテゴリーのうち,すべてにおいて有意差は認められなかった。 しかし,附録終回エピソードにもあるように修道開始時点での発 話による教示から年長5−6歳児の点茶中の身振りによる無言の教 示といった思いやり一配慮行動の発達の一様態が示された。年中 4−5歳児においては,仲間の荷物を持つといった単発的・局所的 な援助に留まり,点茶を通した主客相互の援助には至らなかった。  分与にみる配慮行動の出現と変化  フリードマンの検定およびサイン検定の結果によれば,2つの 行動カテゴリーのうち,すべてにおいて有意差が認められなかっ たわけではなかった。しかし,附録終回エピソードにもあるよう に修道開始時点では自他の点茶碗と茶菓子をとり分け弁別するに すぎなかった分与が,客の手の汚れに黙って懐紙を差し出した亭 主役,点茶の返礼に亭主役を申し出た客役のように, 5−6歳児に よる分与行動のおける思いやり一配慮行動の発達の一様態が示さ れた。」方,年中4−5歳児においては,附録初回エピソードにも              一13・.

(17) あるように,仲間とのいざこざを年長児の導きによって収束した. 単発的・局所的な分与行動に留まり,点茶を通した主客相互の分 与行動には至らなかった。.  まとめにかえて.  初回の稽古では,年長5−6歳児・年中4−5歳児ともに席入りの ぎごちなさが否めなかった。特に4−5歳児において,配慮行動の 生起の前提になると推察される「型」の取り込みと身体へのなじ みに至る以前の,茶道という新奇なものにどうにか身体を添わせ ようと専心している様子がうかがえた(附録の初回エピソード① ②③参照)。.  2∼3歳頃になるとこどもには自我が芽生えてくるが,その自 我はまだ自己に中心化されたままである。しかし3歳期も終わり 頃には,おとなの期待や社会的規範に合わせて自己の行動を制御 しようとするようになってくる。4歳になると,急に引っ込み思 案になったり,ときには何となくためらいがちでぎこちない行動 も見られるようになる(岩田,1998)。それは,未知の茶道に接した. 年中児の行動にもうかがえるものである(附録の中間エピソード ④参照)。こどもが周りの思惑や評価を気にかけるようになること は,他者の気持ちを思いやりはじめるということでもある。  アスティントン(Astington,1995)によると,こどもは4歳頃に なると,それまで未分化であった欲求と意図を区別しはじめ,理 性の年齢(theage・freason)に入ってくる。自分が〈したいから してしまう〉のではなく,<したい〉と〈する〉とが分化してくる という。これは,行動が必ずしも欲求と直結しなくなり,意図的 な行動の白制(self−control)が可能になってくることも意味する。. 自分が欲しいからすぐに相手のものを取る,自分がしたいからす ぐに相手を押しのけるといった行動をよくないこととして抑制で きるようになってくると思われる。また,目的や意図があいまい.              14・.

(18) な他者の行動を目にしたとき,その他者の目的や意図を推測しな がら対応する。その際,しばしばその他者に関してあらかじめ持 っている先入見(bias)に基づいて解釈を行うものである。一碗の 所有をめぐって当初取り合いを始めた4−5歳児であったが,」碗 を3人で共有し呈茶するという行為に収束した (附録初回エピソ ード⑥参照)。日常の遊びの場面での道具の取り合いとは異質な場. の雰囲気,終始口数少なくいざこざに加わろうとしない年長5−6 歳児の態度に,4−5歳児なりに感取し得るものがあったのであろ うと考えるのは妥当と思われる。 (附録の初回エピソード⑦⑧参 照)。.  」方,年長の5歳児クラス(5∼6歳)になると,自分の世界(欲 求,思い,願い)を持ちながら,状況によってはそれを抑制して行. 動することができるようになる。年長児も,誰よりも先に点でた 」碗を園長先生に一番に差上げたい思いがあったはずである。し かし,競い合ってはげしく茶笑をかき回す周囲の様子を察し,白 ら場を譲り,年中4−5歳児に一一碗を託すことで行為と厚意を受け 渡したい他者を一人ではなく,皆で共有し分かち合う行動を能動 的に選択し,自己の行動を統制したのではないかと推察する (附 録の初回エピソード⑥参照)。そのような行為選択の積み重ねによ って,〈わたし〉の社会化(SOCia1iZatiOn)が促されることにもな. ると考える。このように5∼6歳にかけて,他者の行動特性を手 がかりに他者の感情状態を推測したり,他者への先入見(bias)が,. そのあいまいな行動の意図や目的を推察する際の手がかりとして 使われるということの理解がなされてくるようである。これらの ことは,他者の心を理解する能力が深まり,それと同時に,自己 の心の働きをより自覚的にモニタリングすることが可能になって くることを示唆しているのではないかと考える。  第二回(中間)のこども茶会において,第」度目の呈茶は,緊張 からか足運びのぎこちなさやお茶椀を落とさないよう抱え込むよ               一15一.

(19) うにゆっくり歩く姿が特に年中4−5歳児に目立った。また,見知 らぬ客に応接する含差があったのかお辞儀が機械仕掛けの人形の ように弾けていたり,お客に正対していなかったり,席入りとは 逆に逃げるように水屋へ走って帰ったり,まさに<したい〉と<す る〉とが未分化な混然とした状態であった。しかし,席を重ねる 度に子どもたちの行動に落ち着きとともに喜びと少し誇らしげな 表情が生起し始めた。呈茶の行動様式はある種のルーティン・ワ ークと言える。幾度となく水屋と茶席を往復する中で,一」人ひと りが自分なりの足運びや茶碗の持ち方の塩梅を掴み取ったのであ ろう。」期」会の客に正対し,来場のお礼の挨拶をする余裕も5−6 歳児に見られるようになった。年長5−6歳児が挨拶する様子を間 近で見ていた4−5歳児たちが同型行動を取りはじめる(附録の中 間エピソ」ド⑥⑦⑧参照)。園児たちのおもてなしを微笑みながら 受容する客座の人々。子どもたちの主客相互の自己受容と他者受 容の往還の世界が示唆された。.  子どもたちは,茶席での身のこなしを年長者の行動観察による モデリングを通して習得する。席入りの所作,点茶の際の茶売捌 き等,年長5−6歳児は茶道教授者を年中4−5歳児は5−6歳児の振 る舞いを注視する場面が多く見られた。つまり,身近な他者を観 察し模倣することによって,ひとは新しい行動をどのようにこな せぱよいのかというアイデアを想起する。未分化な欲求と意図に より自分が〈したいからしてしまう〉のではなく,<したい〉と〈す. る〉とが分化してくる。お辞儀が機械仕掛けの人形のように弾け たお辞儀,お客に正対していな姿態,お茶碗を差し出すや否やそ の場から小走りに駆けだす足運びの薗且歯舌といった,〈したい〉と<す. る〉とが未分化な混然とした状態からくしたい〉と<する〉とが 次第に統合されてくる。こうして,コード化された情報がその後 の行動を規定する道標となる。水屋と茶席を往復しながら一』賞し た足運びを保持すること,茶菓子や茶碗を客に差し出すのに相応               一16・.

(20) しい高さやタイミングを微調整すること,客のねぎらいの言葉に 笑顔で返礼相対することなど,茶事の進行が亭主を務める子ども たちと一一期一会の客に委ねられた時,「こども茶会」という「場」. への適合の様態がHeinzWemer(1976)のいう分化から統合,さ らには再分化,再統合と連環のプロセスの相貌をみせたのではな いかと考える。それは,/わたし〉が他者の声を多声的に響かせ合. いながら自己内対話への道を拓き,社会化されていく道すじでも ある。他方において,そのような他者との対話のなかで,独自性 をもった自己が意識化され,ひいては〈わたし〉という自己が形 成されていくことになるのであろうと推察する。  このような自分と他者の認識世界の相対化が始まったとき,相 手が〈こう〉思うように自分は〈そう〉振る舞おうという方略も 可能になる。最終十席目において客が退座し始めた時,すでに水 屋で待機していた子どもたちは全員が入り口に横並びし声を揃え てrありがとうございました」と深礼し,客を見送った。誰かに 教示されたのではない園児たちの自発的な行動に温かい眼差しを 向けるおとなたちの姿があった。わたしたちは,いつも自らの身 体でもって,<ここのいま〉を直接的に生きている。4−5歳児に見 られた同形型同調行動から応答的同調行動への移行もそのうちの ひとつであろう。同調行為は,他者の身体メッセージをすくい上 げ,それを自己の感覚体験に組み込み,行為で表現することで, ある種のフィードバック・ループを形成することである。これに よって子どもたちは他者理解を深め,またこのような相互作用を 介して,間主観的な場に新たな意味の関連を創出している。そし て子どもたちの配慮行動の意味は,このような感覚体験,感情体 験を通じて確実に深化していくものと考える。今後も,自他関係 の新たな地平がひらけてくる様態を,茶道という修道の「場」と 身体知というフィルターを通して再提示していきたい。  終回の「こども茶会」では,亭主を務める男児・女児とも,亭              ・17一.

(21) 主としての所作はもとより,欠席が続いた客側の男児の所作が終 始,気になっているようであった。客側の男児たちもまた,亭主 との所作のタイミングを図ろうとしぱしば視線を交錯させては互 いに微笑み返す様子が見受けられた(附録の終回エピソード①② 参照)。このような主客双方の…碗に注がれるまなざしが「場」の ほどよい緊迫感と連帯感を生成している様態は,児童の修道場面 においても指摘されている(官本・福井・浅川,2012)。亭主は客に. 差し出す」碗に心を傾け,茶碗の中心の抹茶の盛り上がりを茶集 で表現しようとし,客もまたその盛り上がりをじっと注視してい る。子どもたちは点茶を通して〈わたし〉のなかで,〈わたし〉と は別の〈あなた〉の心や声を取り込み響かせつつ,<わたし〉を主 張しながらもくわたしたち/の意識を育んでゆくのであろうと考 える。.  本研究では,参与観察法を採ったが,その観察対象児は1O人 程度と少数であった。そのために年長5−6歳児と年中4−5歳児, あるいは性差について検証することが困難であった。限定的な標 本数といえども,茶道の修道を通して」定の表出的・非表出的な 「思いやり」行動の生起とその発達の可能性が示唆された。子ど もたちの思いやり一配慮行動の生起の過程において,年長5−6歳 児において茶道教授者および教授の補佐にあたった観察協力園の 教諭や社中の者といった大人が,年中4−5歳児においては,「よい」. と思われる思いやり一配慮行動を身に着けた年長児が有効なモデ ルとなり,各人のモデリングが促進されて,より効果的な観察学 習が進んだといえる。さらに標本数を増やしたり,対象を変えた りするなどして,このような向社会的行動の内容認知に関する質 的研究を行っていく意義が示唆されたといえる。. 一18一.

(22) 引用文献 安部崇慶 (1997). 芸道の教育 ナガニシヤ出版 安西二郎 (1972.1995)、 新版茶道の心理学 淡交杜 Astington,J.W. 松村暢隆(訳) (1995). 子供はどのように.  心を発見するか 新曜杜 Eisenberg,N.&Mussen,P.(1989).思いやり行動の発達心理学.  (菊池章夫・二宮克美訳 1991) 金子書房. 千葉胤成 (1964). 茶道の精神 日本教育心理学会総会発表  論文集 6, pp,36−37. 浜田寿美男 (2002). 身体から表象へ ミネルヴァ書房. HeinzWθrner. 園原太郎(監修) 鯨岡峻・浜田寿美男(訳)  (1976). 発達心理学入門一精神発達の比較心理学一ミネル  ヴァ書房. 平木典子 (2000). 思いやりを育む 児童心理学,54,  pp.721−730 久松真一一一 (1987). 茶道の哲学 講談杜. 市川治 (1975). 精神としての身体動草書房 岩日ヨ純1一’ (1998). 認識と文化8〈わたし〉の世界の成り立ち.  金子書房 梶山叡」 (2002).<お茶〉の学びと人間教育 淡交杜 菅野仁 (2003). ジンメル・つながりの哲学 日本放送出版協  会. 菊池章夫 (1984). 向社会的行動の発達 教育心理学年報,23  118−127. 鯨岡峻 (1999). 関係発達論の構築 ミネルヴァ書房 熊倉功夫 (1997). 近代数寄者の茶の湯 河原書店              一19・.

(23) 熊倉功夫編 (1998). 日本文化のゆくえ一茶の湯から一 淡  交杜. 黒川二郎 (2002). ティー・セラピーとしての茶道 川島書店 黒川二郎 (2009). 新しい茶道のすすめ 現代書林 Mθr1eau−Ponty,M. (1974).知覚の現象学2 (竹内芳郎一木田.  元・宮本忠雄,訳) みすず書房. 丸田俊彦 (2002). 間主観的感性一現代精神分析の最先端一.  岩崎学術出版社 宮本知子・福井紫帆・浅川潔司(2012).茶席における児童の間.  主観的関係性の構築に関する有機体発達論的研究 兵庫教育  大学 学校教育研究,24,pp.47−56 Mussen&Eisenberg−bθrg(1977).思いやりの発達心理 (菊池  章夫訳 1980) 金子書房. 南里悦史 (2008). 生活構造の変容と発達のリノベーション.  日本生活体験学習学会誌, 第8号, pp1−8 野村幸正 (2002) 行為の心理学 認識の理論一行為の理論  関西大学出版部 小田中直樹 (2006). 日本の個人主義 筑摩書房. 大野光二 (2011)、 「学校茶道と〈こころ〉の教育」特集〈こ  ころ〉を育てる 教育フォーラム, 47, pp.81−90 岡本浩一 (1999). 心理学者の茶道発見 淡交杜. 津田英三 (1991). 子どもの文化的発達を支える物理的環境.  と対人的相互作用との相補的関係について 広島大学教育学  部紀要, 第1部, 39, pp213−221 StO1o「ow,R.D.,Branchaft,B&.AtwOod,G.E.(1995)、 間主観.  的アプローチーコフートの自己心理学を超えて一 (丸田俊  彦,訳) 岩崎学術出版社. 鈴木毅 (1994)、 人の「局方」からみる環境 現代思想  pp188−197              −20一.

(24) 高野清純(1985). 思いやりの発達 教育と医学,33,  pp.228−234. 田中彰吾 (2009). 「身体知としての茶道一茶道の心理学」新.  しい茶道のすすめ 現代書林pp.258−275 Wi11iamDamon.山本多喜司(編訳) (1990). 社会性と人格の.  発達心理学北大路書房 山村麻予・中谷素之 (2012). 児童が考える「思いやり」行動.  とはどのような行動か 大阪大学教育学年報 17,PP.31−44. 一21・.

(25) おわりに.  本論文作成にあたり,ご指導を賜りました指導教官の浅川潔司 教授に心より感謝申し上げます。研究が遅々として進まなかった 私を学問に対する真筆な姿勢を身を以て教示され,懇切丁寧かつ 的確なアドバイスのもと激励してくださったのは他ならない浅川 先生です。また,「こども茶道教室」および「こども茶会」の参与 観察を快く受け入れて下さった上郡町立赤松幼稚園,筆者の茶道 師範である松本宗美先生をはじめ,子どもたちと保護者の皆様, 地域の老人クラブの方々,社中の瀬戸川陽子さんに厚く御礼を申 し上げます。そして,稽古中の写真撮影と論文掲載の許可を頂き ましたことを,ここに記して感謝いたします。  最後になりましたが,学生生活を多方面からサポートしてくだ さった学校心理・発達健康教育コースの教官の諸先生方ならびに 修了生の諸先輩方,同期生,二期生の皆様方との避近を心に刻み 今後の生活の糧として歩んでゆく所存です。. 平成25年2月20日      宮本 知子.

(26) 附録. 第1回(初回)参与観察・…  1・・・・・・…  1・・ii 第2回(中間)参与観察・・・・・・・・・・・・・・…  iv 第3回(終回)参与観察・・・・・・・・・・…  一.一.vi 茶道稽古の基礎用語・・・・・・・・・・・…  一’一一”iii.

(27)               附録. 観察されたエピソード ・第1回(初回) こども茶会を共催する地域の老人クラブを招待 して点茶を行った。. Tab1e.1第1回(初回)参与観察 〈席入りの稽古〉. ①年長5−6歳児4名が2名すっ茶道教授者の両脇に着座し,席入  りの礼から座敷の足運びおよび軸物の拝見の所作を稽古する。 ②年中4−5歳児は5−6歳児の所作を注視観察する。. ③4−5歳児7名が2名ずつ5−6歳児と同様に授者の両脇に着座 し,席入りの礼から座敷の足運び,軸物の拝見の仕方を稽古する。 〈盆暗点前の稽古〉. ④5−6歳児たちは,教授者の所作を身振りで模倣しながら点前を 行う。. ⑤4−5歳児たちは,年長児の点前を注視観察した後に点前を始め る。. 〈園長先生への呈茶〉. ⑥5−6歳児が黙って差し出した一一碗をめぐって年中児たちが取り 合いを始める。. ⑦ト6歳児の1名が一碗を共有するよう教示する。 ⑧4−5歳児3人で碗を運び,深々と礼をする。 ⑨園長先生の労いの言葉に4−5歳児の顔に笑みが溢れ,その様子 に5−6歳児も微笑む。 〈水屋・茶席の片付け〉. ⑩重い荷物を4−5歳児間で相互に支え合い,5−6歳児の指示によ り掛け声を合わせて運び出す。. ii.

(28) Figure. 1. 席入り(5・6歳児). Fig11re.2. 呈茶(5−6歳児)と呈茶の観察(4・5歳児). Figure.3. 3人で呈茶碗を共有(4・5歳児) iii.

(29)  ・第2回(中間) 「こども茶会」は,H県K町で行われる地域 おこしの祭りに参画した活動である。十席に至る呈茶を子どもた ちが打つだ。. Tab1e.2第2回(中間)参与観察 〈茶会前〉. ①水屋で待機する中,互いにくすぐり合いをはじめたり,音楽に 合わせて自然に踊り出す。. ②気分の高揚した年長の男児がつかみ合いを始め出し,園長・教 諭から注意を受ける。. ③身だしなみの不備に気づいた年中4−5歳児の1人が,いきなり 靴下を脱いで裸足になる。 〈茶席1第一席〉. ④足運びのぎこちなさや戸外でお茶椀を落とさないよう抱え込む ようにゆっくり歩く姿が,特に4−5歳児に顕著である。 ⑤お辞儀が機械仕掛けの人形のように弾けていたり,お客に正対 して礼をしていなかったり,席入りとは逆に水屋へ走って帰る。 〈茶席:第二席∼九席〉. ⑥年長5−6歳児がお客に正対して礼をし,自発的に来場のお礼の 挨拶を始める。. ⑦4−5歳児が5−6歳児の挨拶行動を見て,同型行動をとり始める。 ⑧客の労いの言葉に微笑み,相対し返礼する。 〈茶席:最終十席〉. ⑨「茶会終了」の立て看板が会場に掲示され,年長5−6歳児たち は黙視する。. ⑩退座し始めた客へ,5−6歳児が先導し入口に立って園児全員で来 場のお礼の挨拶をする。. iV.

(30) Figure.4. 水屋仕事(一席目:5・6歳児). Figure.5. 呈茶中の応対(最終席. Figure.6. 呈茶中の応対(最終席:5・6歳児). 4・5歳児). V.

(31) ・第6回(終回).  卒園式での点前披露を明後日に控えた前回の割稽古においても 年長5−6歳児4名が揃わず,発表が懸念される中,当日を迎えた。         Tab1e.3第3回(終回)参与観察 〈年長児による点前の披露〉. 1亭主を務める男児・女児とも,やや緊張した面持ちで席入りす る。亭主としての所作はもとより,欠席が続いた客側の男児の所 作が終始,気になって見ている様子が例える。 ②男児たちもまた,亭主との所作のタイミングを図ろうとしばし ば視線を交錯させては,お互いに微笑み返す様子が見受けられる。 3年中4−5歳児は,会場後方から点前を注視する。 〈来貢・保護者への呈茶〉. 4互いの身だしなみを整え,呈茶準備をする。. 5保護者・顔見知りの地域の方々への呈茶で,自然と微笑みがも れ,自発的な挨拶や礼が見受けられる。 〈呈茶後の一服〉. 6儀式後の一服を客同士で会話を交わしながら過ごす。自然と笑 みもこぼれている。茶菓子を手作りしてくださった地域の方々に お礼を述べる姿も見受けられる。. .1軸.      欝・ 、1・              滞. r1一. Figure.7 一碗を介した主客のやりとり(5・6歳児) Vi.

(32) 肝  一“. Figure.8 客の手の汚れを気遣う亭主(5・6. 職1一. 撚哺. Figure.9 亭主への無言の教示(5・6歳児). Figure.1O 主客交歓の挨拶(5・6歳児) Vii. 歳児).

(33) ・茶道稽古の主な基礎用語(『新版茶道大辞典』淡交社より抜粋) 相客【あいきゃく】            しょうきゃく          しょうばん. 茶会・茶事の客のうち,正客に対して相伴の客のこと。. 挨拶【あいさつ】. 主客が取り交わす儀礼的な動作やことば,応対のこと。 居ずまい【いずまい】 座っている姿勢のこと。 懐紙【かいし】. 懐中紙。茶席用の小菊紙のこと。. 茶席で客が常に懐中しているもので,菓子を取るのに用いる。 正客【しょうきゃく】 茶事や茶会における主客のことで,上客ともいう。 茶巾【ちゃきん】 点前中に茶碗を拭き清めたりする白い麻布のこと。 茶杓【ちゃしゃく】 抹茶を掬う匙のこと。素材は竹のほか,象牙,塗物などがある。 茶究【ちゃせん】. 茶を点てるための竹製の道具。 亭主【ていしゅ】             とう 茶事の主催者。客に対し,束ともいう。 秦【なつめ】. 主に薄茶用の抹茶を入れる薄茶器の代表的なもの。 拝見【はいけん】. 茶事や茶会の際,茶席で道具をよく鑑賞すること。 床や畳には触れずに,茶碗や秦,茶杓などを手にとり鑑賞する。 畠紗【ふくさ】. 茶道具を拭き清め,器物拝見の際にその下に敷くのに用いる。 水屋【みずや】. 茶席に付属するもので,茶席の用意を整える勝手,台所のこと。              Viii.

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参照

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